説明

車両用反射鏡

【課題】取付けスペースの省スペース化を図ることができるとともに、部品点数の低減を図ることができる車両用反射鏡を提供する。
【解決手段】本発明に係る車両用反射鏡15は、照射光α1を反射する反射部17を有する光反射部であるリフレックスリフレクタ16と、ミリ波β1を反射する反射面処理層20を有する電波反射部19とが、単一部材として一体形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両後部に配置されるリアコンビネーションランプに装備される車両用反射鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用反射鏡の一例として、光学的リフレクタの後方に電波リフレクタを設置した車両用反射鏡が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−248836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に開示された車両用反射鏡では、光学的リフレクタとは別部材の電波リフレクタを光学的リフレクタの後方に設置している。そのため、比較的広い取付けスペースが必要となり、車両内の限られた狭い空間に取り付けるのが難しかった。
また、光学的リフレクタと、電波リフレクタとが別部材であるため、部品点数の低減を図るのが難しかった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、取付けスペースの省スペース化を図ることができるとともに、部品点数の低減を図ることができる車両用反射鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、相手車両からの照射光を該相手車両に向けて反射する車両用反射鏡であって、
照射光を反射する反射部を透明部材の後面に形成した光反射部と、該光反射部の後面に電波を反射するための反射面処理を施した電波反射部とを備え、該電波反射部と前記光反射部とが単一部材として一体形成されていることを特徴とする車両用反射鏡により達成される。
【0007】
上記構成の車両用反射鏡によれば、相手車両の照射光は、光反射部の反射部によって相手車両に向けて反射されることで、例えば、相手車両が後続車両である場合に、前方に車両がいることを認識させることができる。また、後続車両が、例えば、ミリ波を受発信するミリ波レーダ装置を装備している場合、後続車両から発信されたミリ波を電波反射部の反射面処理によって後続車両に向けて効率良く反射させることができる。
そして、さらに電波反射部と光反射部とが単一部材として一体形成されているので、取付けスペースの省スペース化を図ることができるとともに、部品点数の低減を図ることができる。
【0008】
また、上記構成の車両用反射鏡において、前記光反射部は、リフレックスリフレクタであることが望ましい。
【0009】
このような構成の車両用反射鏡によれば、光反射部がリフレックスリフレクタであれば、リフレックスリフレクタの後面に形成されている三角錐や円錐等の点刻ステップ上に電波反射部が形成されるので、電波の反射効率の向上を図ることができる。
また、リフレックスリフレクタが車両用灯具の前面カバーに形成されている場合、車両用灯具に大幅な変更を行うことなく、前面カバーに電波反射機能を持たせることができる。
【0010】
また、上記構成の車両用反射鏡において、前記反射面処理は、アルミニウム蒸着であることが望ましい。
【0011】
このような構成の車両用反射鏡によれば、反射面処理がアルミニウム蒸着であるため、光反射部の意匠を損なうことなく、透明部材の後面に安価な金属反射面を形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両用反射鏡によれば、電波反射部と光反射部とが単一部材として一体形成されているので、取付けスペースの省スペース化を図ることができるとともに、部品点数の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な一実施形態を説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施形態に係る車両用反射鏡を適用した車両用灯具の水平断面図、図2は図1の車両用反射鏡の部分拡大図、図3は車両用灯具に適用した反射鏡の照射光における進行説明図、図4は車両用灯具に適用した反射鏡の電波における進行説明図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態である車両用灯具10は、前方側が開口された形状で車体側に固定される樹脂製のハウジング11と、ハウジング11の前方開口部から取り付けられ、赤色や橙色等の透明樹脂製である前面カバー12とを備えている。また、車両用灯具10は、ハウジング11および前面カバー12で区画された灯室13内に収容された光源である複数のランプ14を備えているリアコンビネーションランプである。なお、説明中で使用している前面及び後面とは、光源の照射方向側を「前面」、照射方向と反対側を「後面」と云う。
【0016】
車両用灯具10は、前面カバー12が、透明部材18の後面に反射部17を有する光反射部であるリフレックスリフレクタ16と、そのリフレックスリフレクタ16の後面に反射面処理層20を有する電波反射部19とを一体的に備えた車両用反射鏡15を形成している。
この車両用反射鏡15は、ハウジング11のダミー部23に対応した前面カバー12の後面上に、前面カバー12と一体の単一部材として形成されている。
【0017】
ハウジング11は、複数のランプ14の周囲を囲むキャップ21が組み付けられており、キャップ21の外周に反射面22が形成されている。このハウジング11には、ランプ14の光軸上から外れた位置にダミー部23が3箇所に形成されている。このダミー部23の前面側にリフレックスリフレクタ16が形成されている。
【0018】
前面カバー12は、その後面にランプ14の光軸を中心に、点刻ステップ形状の光拡散部24が形成されている。なお、この光拡散部24は必ずしも必須ではなく、ランプ14の発光光を拡散させる場合に適宜形成される。
【0019】
図2に示すように、リフレックスリフレクタ16は、前面カバー12の後面側(図中、左側)に点刻ステップ形状の反射部17を形成している。なお、点刻ステップとは、三角錐や円錐等の複数の突起により形成される凹凸面である。
【0020】
リフレックスリフレクタ16は、車両後方(図中、右側)からの照射光α1を反射部17によって反射する。このとき、反射部17が点刻ステップ形状を有するため、照射光α1の反射光は拡散される。
【0021】
電波反射部19は、点刻ステップ形状の反射部17の後面側に反射面処理層20が形成されている。この反射面処理層20は、電波を反射する金属蒸着膜であるアルミニウム蒸着層である。
【0022】
電波反射部19は、例えば、後続車両から発信された電波であるミリ波β1を前方車両の前面カバー12の後面に形成された点刻ステップ形状の反射面処理層20により効率良く反射させることができる。すなわち、ミリ波β1は、ミリ波レーダ装置4(図4参照)により、例えば、76GHz〜77GHzの発信波として発信されるとともに、対象物である前方車両に当たって反射した反射波がミリ波レーダ装置4に効率良く受信される。
ミリ波レーダ装置4は、前方車両で反射した反射波を受信して、その反射波の伝搬時間やドップラー効果によって生じる周波数偏差などを演算処理する。この演算処理の結果に基づいて、前方車両の位置や後続車両である自車との相対速度を算出して、自車の存在を知らせるための電気信号等を発生させる。
【0023】
なお、車両用反射鏡15は、リフレックスリフレクタ16以外の透明部材18に設けることも可能である。すなわち、ランプ14の照射光への影響の少ない前面カバー12上に車両用反射鏡15を形成させても良い。
また、前面カバー12に代えてダミー部23に形成されても良い。ダミー部23に形成する場合、ダミー部23を透明部材により形成し、ダミー部23の後面側に反射部17が形成される。そして、その反射部17の後面に反射面処理層20を一体的に形成して電波反射部19とすることも可能である。
【0024】
次に、図3及び図4を参照して、車両用反射鏡15の作用について説明する。
図3に示すように、車両用反射鏡15を適用した車両用灯具10は、前方車両1の後部に組み付けられるリアコンビネーションランプである。
【0025】
後続車両2のヘッドライト3の照射光α1は、前方車両1の車両用反射鏡15のリフレックスリフレクタ16の透明部材18を透過してから反射部17によって反射される(図2参照)。これにより、照射光α1の反射光は、後続車両2の運転者が確認することができる。
【0026】
図4に示すように、後続車両2がミリ波β1を受発信するミリ波レーダ装置4を装備している場合、後続車両2が発信したミリ波β1は、前方車両1の電波反射部19の点刻ステップ形状の反射面処理層20によって後続車両2の方向に効率良く反射される(図2参照)。これにより、ミリ波β1の反射波は、後続車両2のミリ波レーダ装置4によって効率良く受信され、前方車両1との車間距離や相対速度が検出される。
【0027】
以上説明したように、本発明の一実施形態の車両用反射鏡15によれば、照射光α1を反射する反射部17を有する光反射部であるリフレックスリフレクタ16と、ミリ波β1を反射する反射面処理層20を有する電波反射部19とが、単一部材として一体形成されている。これにより、取付けスペースの省スペース化を図ることができるとともに、部品点数の低減を図ることができる。
【0028】
また、リフレックスリフレクタ16の点刻ステップ形状の反射部17後面に反射面処理層20が形成されるので、ミリ波β1を所定方向に効率良く反射させることができる。
また、車両用灯具10の前面カバー12にリフレックスリフレクタ16が形成されているので、車両用灯具10に大幅な変更を行うことなく、電波反射機能を有する前面カバー12を得ることができる。
【0029】
また、反射面処理層20がアルミニウム蒸着であるので、リフレックスリフレクタ16の意匠を損なうことなく、安価な金属反射面処理を行うことができる。
【0030】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る車両用反射鏡の一実施形態である車両用灯具に適用した水平断面図である。
【図2】図1の車両用反射鏡周りの部分拡大図である。
【図3】車両用灯具に適用した反射鏡における照射光の進行説明図である。
【図4】車両用灯具に適用した反射鏡における電波の進行説明図である。
【符号の説明】
【0032】
10 車両用灯具
15 車両用反射鏡
16 リフレックスリフレクタ(光反射部)
17 反射部
18 透明部材
19 電波反射部
20 反射面処理層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手車両からの照射光を該相手車両に向けて反射する車両用反射鏡であって、
照射光を反射する反射部を透明部材の後面に形成した光反射部と、
該光反射部の後面に電波を反射するための反射面処理を施した電波反射部とを備え、該電波反射部と前記光反射部とが単一部材として一体形成されていることを特徴とする車両用反射鏡。
【請求項2】
前記光反射部は、リフレックスリフレクタであることを特徴とする請求項1記載の車両用反射鏡。
【請求項3】
前記反射面処理は、アルミニウム蒸着であることを特徴とする請求項1記載の車両用反射鏡。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−108817(P2010−108817A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281056(P2008−281056)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】