説明

車両用器具および給電方法

【課題】車室内への雨水などの侵入を防ぎつつ、給電用のケーブルを車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むことが可能な車両用器具、およびそのような車両用器具を用いた給電方法、を提供する。
【解決手段】車両用器具10は、給電用のケーブル30を車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むために用いられる。車両用器具10は、窓枠であるフレーム131およびドアガラス112の間にケーブル30を通すための開口部21を設けるように、フレーム131とドアガラス112との間に挟持される支柱40と、支柱40により支持され、フレーム131とドアガラス112との間に渡って延設される遮蔽ウォール50とを備える。遮蔽ウォール50は、車両外部でドアガラス112と向かい合って配置される。車室内から開口部21を通されたケーブル30が、遮蔽ウォール50とドアガラス112との間を経由して車両外部に引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、車両用器具および給電方法に関し、より特定的には、給電用のケーブルを車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むために用いられる車両用器具、およびそのような車両用器具を用いた給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたバッテリを利用する従来の給電方法として、たとえば、実開平3−82658号公報には、シガレットライタの使用に制限がなく、コードの引き回し等に制約を受けずに、自動車の車室内の任意の位置で、自由に自動車のバッテリから給電を受けることを目的とした自動車用の電源装置が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された自動車用の電源装置においては、車室内に設けられたコンセントに、電気機器のコードの接続プラグを接続することによって、自動車のバッテリから電気機器に給電する。
【0003】
また、特開2003−101319号公報には、車体に手を加えたり、車体の気密性および水密性を損なったりすることがなく、さらに伝送品質を損なわずにアンテナユニットへの直流電源の供給を可能にすることを目的とした車載アンテナ装置およびその高周波伝送線路が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された車載アンテナ装置においては、車体とウインドウガラスとの間の隙間に介在するパッキンに、挿通孔が形成されている。挿通孔には、平型伝送路である高周波フレキシブルケーブルが通される。
【0004】
また、実用新案登録第3112289号公報には、炎天下での自動車の駐車の際、太陽の位置や自動車の向きに関係なく、車内の温度が高温にならないように換気し、さらに、簡単でコンパクトに取り付けられることを目的とした自動車用換気装置が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示された自動車用換気装置は、車両窓枠と車両窓ガラスとの間に挟まれた状態で車両に対して固定される。換気装置に内蔵された換気ファンを作動させることにより、空気が、車室内と車外とを繋ぐダクトを流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−82658号公報
【特許文献2】特開2003−101319号公報
【特許文献3】実用新案登録第3112289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示されるように、車両に搭載されたバッテリから電気機器に給電する方法が知られている。しかしながら、電気機器が車両外部にある場合、給電用のケーブルを、車室内から車両の窓や扉の隙間を通じて車両外部に引き出す必要が生じる。この場合、その隙間から車室内に雨水等が侵入したり、ケーブルが窓や扉に挟まれて破損したりする懸念が生じる。
【0007】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、車室内への雨水などの侵入を防ぎつつ、給電用のケーブルを車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むことが可能な車両用器具、およびそのような車両用器具を用いた給電方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った車両用器具は、給電用のケーブルを車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むために用いられる車両用器具である。車両用器具は、車両の窓枠および窓の間にケーブルを通すための開口部を設けるように、窓枠と窓との間に挟持される支持部材と、支持部材により支持され、窓枠と窓との間に渡って延設される遮蔽部材とを備える。遮蔽部材は、車両外部で窓と向かい合って配置される。車室内から開口部を通されたケーブルが、遮蔽部材と窓との間を経由して車両外部に引き出される。
【0009】
このように構成された車両用器具によれば、車両の窓枠および窓の間に設けた開口部を通じて給電用のケーブルが車室内から車両外部に引き出される。この際、窓枠と窓との間に渡って遮蔽部材を延設することによって、雨水などが窓枠および窓の間を通じて車室内に侵入することを防止できる。
【0010】
また好ましくは、支持部材は、窓枠と窓との距離に合わせて伸縮可能である。このように構成された車両用器具によれば、支持部材が伸縮可能であるため、窓枠および窓の間に設ける開口部の広さを任意に設定することできる。これにより、あらゆる径のケーブルを車室内から車両外部に引き出すことができる。
【0011】
また好ましくは、遮蔽部材は、車両外部で窓と向かい合う位置で柔軟性を有して形成される。このように構成された車両用器具によれば、遮蔽部材と窓との間を経由して車両外部に引き出されるケーブルと、遮蔽部材との干渉に起因してケーブルが損傷することを防止できる。
【0012】
また好ましくは、遮蔽部材は、支持部材により支持される被支持部を有する。被支持部よりも遮蔽部材の上部が車室内で窓枠と向かい合って配置され、被支持部よりも遮蔽部材の下部が車両外部で窓と向かい合って配置される。
【0013】
このように構成された車両用器具によれば、窓枠にバイザーが設けられた車両に車両用器具を取り付ける場合であっても、遮蔽部材とバイザーとが干渉することを回避できる。
【0014】
また好ましくは、下部は、被支持部よりも柔軟性を有して形成される。このように構成された車両用器具によれば、遮蔽部材と窓との間を経由して車両外部に引き出されるケーブルと、遮蔽部材との干渉に起因してケーブルが損傷することを防止できる。また、支持部材により支持される被支持部を強度を確保して、遮蔽部材を車両に対してより強固に固定することができる。
【0015】
また好ましくは、遮蔽部材は、切断可能なように形成される。このように構成された車両用器具によれば、窓の形状や大きさにかかわらず、遮蔽部材を窓枠と窓との間に渡って延設するようにフィットさせることができる。
【0016】
また好ましくは、車両用器具は、車両前後方向における遮蔽部材の両端の少なくともいずれか一方に設けられ、遮蔽部材を伝う水を車両外部に導く導水板をさらに備える。このように構成された車両用器具によれば、車両室内への雨水などの侵入をより確実に防ぐことができる。
【0017】
この発明に従った給電方法は、上述のいずれかに記載の車両用器具を用いた給電方法である。給電方法は、車両用器具を車両に装着し、車両の窓枠および窓の間に開口部を設けるステップと、車両外部の電気機器に給電するためのケーブルを、開口部に通すとともに、ケーブルの一端を、バッテリに電気的に接続され、車室内に備えられたコンセントに接続することによって、車両から電気機器に給電するステップとを備える。
【0018】
このように構成された給電方法によれば、車室内への雨水などの侵入を防ぎつつ、車室内から車両外部の電気機器に向けて給電用のケーブルを引き出すことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上に説明したように、この発明に従えば、車室内への雨水などの侵入を防ぎつつ、給電用のケーブルを車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むことが可能な車両用器具、およびそのような車両用器具を用いた給電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態における車両用器具が用いられるハイブリッド自動車を示す側面図である。
【図2】図1中のハイブリッド自動車の駆動系を模式的に表わす側面図である。
【図3】ガソリンエンジン車の駆動系を模式的に表わす側面図である。
【図4】図1中のIV−IV線上に沿った車両用器具を示す断面図である。
【図5】図4中の矢印Vに示す方向から見た車両用器具を示す正面図である。
【図6】図4中のVI−VI線上に沿った車両用器具を示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態における車両用器具の使用形態を示す断面図である。
【図8】図1中の車両用器具を車両後方側から車両前方側に見た場合の断面図である。
【図9】図1中の車両用器具の車両前方側の端部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態における車両用器具が用いられるハイブリッド自動車を示す側面図である。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態における車両用器具10は、ハイブリッド自動車100に搭載された電源としてのバッテリから車両外部に配置された電気機器に電力を供給する際に、給電用のケーブルを車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むために用いられる。
【0024】
まず、ハイブリッド自動車100の構造について簡単に説明すると、ハイブリッド自動車100は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンと、充放電可能なバッテリ(2次電池)から電力供給されるモータとを動力源とする。
【0025】
ハイブリッド自動車100のボディには、充電部151および給油部152が設けられている。ハイブリッド自動車100への電力供給時、充電部151に充電用ケーブルのコネクタが接続され、ハイブリッド自動車100への燃料供給時、給油部152に給油ノズルが挿入される。
【0026】
ハイブリッド自動車100は、フロントドア110およびリヤドア120と、ドアガラス112およびドアガラス122とを有する。フロントドア110およびリヤドア120は、ハイブリッド自動車100のボディに形成された乗降用開口部に開閉自在に取り付けられている。フロントドア110は、リヤドア120よりも車両前方に設けられ、車室内の前座席に乗降する際に使用される。リヤドア120は、車室内の後ろ座席に乗降する際に使用される。
【0027】
ハイブリッド自動車100は、窓枠としてのフレーム137、フレーム131およびフレーム138を有する。フレーム137、フレーム131およびフレーム138は、フロントドア110の上部に枠状に配置されている。
【0028】
フレーム137は、フレーム131およびフレーム138よりも車両前方に設けられ、フロントドア110から上方に延伸している。フレーム137は、フロントドア110の車両前方に設けられた三角窓136と隣り合って設けられている。フレーム138は、フレーム137およびフレーム131よりも車両後方に設けられ、フロントドア110から上方に延伸している。フレーム138は、ドアガラス122と隣り合って設けられている。フレーム131は、フレーム137からフレーム138に向けて車両前後方向に延伸している。フレーム131は、フレーム137からフレーム138に向けて下方から上方に傾斜して延伸している。
【0029】
なお、フレーム137、フレーム131およびフレーム138は、フロントドア110側に備えられてもよいし、フロントドア110が取り付けられるハイブリッド自動車100のボディ側に備えられてもよい。
【0030】
ドアガラス112およびドアガラス122は、それぞれ、フロントドア110およびリヤドア120に設けられている。ドアガラス112は、モータ駆動によって開閉自在に設けられている。ドアガラス112は、フレーム137、フレーム131およびフレーム138に囲まれた空間で昇降可能に設けられている。ドアガラス112は、開状態でフロントドア110に収容され、閉操作に伴って、ドアガラス112とフレーム131との間の距離を小さくしながら上昇していく。ドアガラス122は、ドアガラス112と同様の形態により、リヤドア120に設けられている。
【0031】
図2は、図1中のハイブリッド自動車の駆動系を模式的に表わす側面図である。図2を参照して、ハイブリッド自動車100は、ガソリンエンジン部220と、モータジェネレータ230と、バッテリ部240と、変換機250と、車室内コンセント部280と、制御装置260と、放電スイッチ270とを有する。
【0032】
モータジェネレータ230は、バッテリ部240から供給された電力により駆動輪210を回転させるための駆動トルクを発生するほか、ガソリンエンジン部220によって駆動される発電機として動作する。バッテリ部240としては、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池などの2次電池が用いられる。
【0033】
車室内コンセント部280は、ハイブリッド自動車100の搭乗スペースである車室内に設けられている。車室内コンセント部280は、たとえば、車室内の座席の足元や、運転座席と助手席との間に設けられたコンソールボックス、インストルメントパネルなどに設けられている。
【0034】
車室内コンセント部280は、バッテリ部240に電気的に接続されている。その車室内コンセント部280とバッテリ部240とを接続する電気回路上には、変換機250が設けられている。変換機250は、AC/DCコンバータとして機能し、バッテリ部240から供給された直流電流を交流電流に変換するとともに、所定の電圧とする。
【0035】
図3は、ガソリンエンジン車の駆動系を模式的に表わす側面図である。図3を参照して、図中には、ハイブリッド自動車100とは別の車両の例として、ガソリンエンジン車が示されている。ガソリンエンジン車は、ガソリンエンジン部220と、補機バッテリ部290と、変換機250と、車室内コンセント部280とを有する。車両用器具10は、ハイブリッド自動車100に限られず、図3中に示されるようなガソリンエンジン車において、補機バッテリ部290から車両外部に配置された電気機器に電力供給する際に利用されてもよい。
【0036】
続いて、本実施の形態における車両用器具10の構造について詳細に説明する。
図4は、図1中のIV−IV線上に沿った車両用器具を示す断面図である。図5は、図4中の矢印Vに示す方向から見た車両用器具を示す正面図である。図6は、図4中のVI−VI線上に沿った車両用器具を示す断面図である。
【0037】
図4から図6を参照して、ハイブリッド自動車100から電気機器への給電時、ドアガラス112は、その上端113がフレーム131から離間するように開操作される。車両用器具10は、ドアガラス112とフレーム131との間にセッティングされる。
【0038】
車両用器具10は、支柱40と、遮蔽ウォール50とを有する。支柱40は、ドアガラス112とフレーム131との間に給電用のケーブルを通すための開口部21を設けるように、ドアガラス112とフレーム131との間に挟持されている。
【0039】
本実施の形態では、ドアガラス112とフレーム131との間に、2本の支柱40(支柱40A,支柱40B)が設けられている。支柱40Aと支柱40Bとは、車両前後方向に距離を隔てて配置されている。
【0040】
支柱40は、一方向に延びる柱形状を有する。支柱40は、上段部41および下段部46が組み合わさって構成されている。支柱40がドアガラス112とフレーム131との間に挟持された状態で、上段部41は、下段部46の上方に積み重ねられている。上段部41は、フレーム131の下端132と接触し、フレーム131からドアガラス112に向けて延びている。下段部46は、ドアガラス112の上端113と接触し、ドアガラス112からフレーム131に向けて延びている。
【0041】
上段部41は、その構成部位として、弾性部42を有する。弾性部42は、ゴムなどの弾性部材から形成されている。弾性部42は、フレーム131の下端132と接触して設けられている。下段部46は、その構成部位として、弾性部47および伸縮部48を有する。弾性部47は、ゴムなどの弾性部材から形成されている。弾性部47は、ドアガラス112の上端113と接触して設けられている。伸縮部48は、ネジ構造などを利用して、支柱40が柱状に延びる方向に沿って伸縮可能なように設けられている。伸縮部48を伸ばすことにより、下段部46の全長が大きくなり、伸縮部48を縮めることにより、下段部46の全長が小さくなる。
【0042】
遮蔽ウォール50は、支柱40により支持され、ドアガラス112とフレーム131との間に渡って延設されている。ドアガラス112を正面視した場合に、遮蔽ウォール50は、ドアガラス112の上端113とフレーム131の下端132との間の隙間と重なり合うように設けられている。
【0043】
遮蔽ウォール50は、L字型部51と、下部としてのカーテン部56とから構成されている。カーテン部56は、たとえば、樹脂製のシートなどから形成されており、柔軟性を有する。L字型部51は、たとえば、プラスチック成型品などから形成されている。カーテン部56は、L字型部51よりも柔軟性を有する。遮蔽ウォール50は、カッターや鋏みなどを用いることによって容易に切断可能なように形成されている。
【0044】
カーテン部56は、車両外部に配置されている。カーテン部56は、車両外部でドアガラス112および支柱40の下段部46と向かい合って配置されている。ドアガラス112を車両外部から正面視した場合に、カーテン部56は、下段部46を覆い隠すように設けられている。カーテン部56は、ドアガラス112と部分的に重なり合うように設けられている。
【0045】
L字型部51は、全体として、略L字型の断面を有し、車両前後方向に沿って延びている。L字型部51は、その構成部位として、車内部52と、被支持部53とを有する。
【0046】
車内部52は、車室内に配置されている。車内部52は、車室内でフレーム131および支柱40の上段部41と向かい合って配置されている。ドアガラス112を車室内から正面視した場合に、車内部52は、上段部41を覆い隠すように設けられている。車内部52は、カーテン部56および被支持部53よりも上方に配置されている。被支持部53は、車内部52から折れ曲がり、車室内から車両外部に向けて延びている。被支持部53が上段部41と下段部46との間に挟持されることによって、遮蔽ウォール50は、支柱40により支持されている。被支持部53が車両外部に向けて延びる先端には、カーテン部56が接続されている。被支持部53は、車室内52とカーテン部56との間を接続している。被支持部53および車室内52は、カッターや鋏みなどを用いることによって容易に切断可能なように形成されている。
【0047】
続いて、以上に説明した車両用器具10を用いた給電方法について説明する。
図7は、この発明の実施の形態における車両用器具の使用形態を示す断面図である。図7を参照して、ハイブリッド自動車100から電気機器300への給電時、車両用器具10をドアガラス112とフレーム131との間にセッティングする。車両用器具10のセッティングにより、支柱40Aの下段部46と支柱40Bの下段部46との間に、給電用のケーブル30(本実施の形態では、電気機器300のプラグに接続された延長コード)を通すための開口部21を設ける。
【0048】
この際、伸縮部48の全長を調節することにより、ケーブル30の直径を考慮した開口部21の高さを決定する。また、カッターや鋏みなどを用いて遮蔽ウォール50を切断することにより、遮蔽ウォール50の形状を、ドアガラス112とフレーム131との間の隙間の形状にフィットさせる。
【0049】
モータ駆動によってドアガラス112を昇降するパワーウィンドウには、挟み込み防止機構が搭載されることが一般的であり、この場合、モータの負荷を監視して、ドアガラス112およびフレーム131間に異物があると判断すると、ドアガラスの動作が停止する。ドアガラス112およびフレーム131間に支柱40を挟持する際、このような挟み込み防止機構が作動する懸念がある。これに対して、本実施の形態では、支柱40の上段部41および下段部46がそれぞれ弾性部42および弾性部47を有していることにより、モータの負荷の上昇を抑え、挟み込み防止機構の作動を防いでいる。
【0050】
次に、ケーブル30を開口部21を通して車両外部から車室内に取り込む。ケーブル30のプラグ31を、車室内コンセント部280に接続することによって、ハイブリッド自動車100から電気機器300への給電を開始する。
【0051】
この際、車室内から開口部21に通されたケーブル30は、カーテン部56とドアガラス112との間を経由して車両外部に引き出される。本実施の形態では、遮蔽ウォール50がフレーム131およびドアガラス112間に渡って延設されるため、雨天時の給電であっても、車両外部から車室内に雨水が侵入することを防止できる。特に、被支持部53の下方では、カーテン部56が開口部21を覆うように設けられ、被支持部53の上方では、車室内で車内部52が立設されるため、車室内への雨水の侵入をより確実に防ぐことができる。また、車内部52が車室内でフレーム131と向かい合って設けられるため、フレーム131に換気用のバイザーが備えられている場合であっても、車両用器具10とバイザーとの干渉を回避できる。
【0052】
また、カーテン部56は、被支持部53よりも柔軟性を有して形成されている。このような構成により、ケーブル30がカーテン部56とドアガラス112との間を経由する経路上でカーテン部56によって押圧されたり曲げられたりすることがなく、ケーブル30の破損を防ぐことができる。また、被支持部53の強度を確保して、遮蔽ウォール50をハイブリッド自動車100に対してより強固に固定することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、フロントドア110のドアガラス112を通じてケーブル30を車両外部に引き出したが、リヤドア120のドアガラス122を通じてケーブル30を引き出してもよい。この場合、ドアガラス122とその窓枠との間に車両用器具10をセッティングする。車両用器具10が装着される窓は、特に限定されず、車室内と車両外部とを隔てる開閉可能な窓であればよい。
【0054】
図8は、図1中の車両用器具を車両後方側から車両前方側に見た場合の断面図である。図9は、図1中の車両用器具の車両前方側の端部を示す斜視図である。
【0055】
図8および図9を参照して、車両用器具10は、導水板61をさらに有する。導水板61は、平板形状を有する。導水板61は、車両前方側の遮蔽ウォール50の端部50pに設けられている。導水板61は、車内部52から車両外部に向けて、かつ被支持部53から上方に向けて延出するように設けられている。導水板61は、フレーム137およびフレーム131に当接して配置されている。このような構成により、雨天時の給電の際、遮蔽ウォール50を伝う雨水を車両外部に導き、車室内への雨水の侵入をより確実に防ぐことができる。
【0056】
なお、導水板61は、車両後方側の遮蔽ウォール50の端部に設けられてもよいし、車両前方側および車両後方側の両方の端部に設けられてもよい。
【0057】
以上に説明した、この発明の実施の形態における車両用器具の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態における車両用器具10は、給電用のケーブル30を車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むために用いられる。車両用器具10は、車両の窓枠としてのフレーム131および窓としてのドアガラス112の間にケーブル30を通すための開口部21を設けるように、フレーム131とドアガラス112との間に挟持される支持部材としての支柱40と、支柱40により支持され、フレーム131とドアガラス112との間に渡って延設される遮蔽ウォール50とを備える。遮蔽ウォール50は、車両外部でドアガラス112と向かい合って配置される下部もしくは車外部としてのカーテン部56を有する。車室内から開口部21を通されたケーブル30が、カーテン部56とドアガラス112との間を経由して車両外部に引き出される。
【0058】
遮蔽ウォール50は、車室内でフレーム131と向かい合って配置される上部としての車内部52と、カーテン部56と車内部52との間を接続し、支柱40により支持される被支持部53とをさらに有する。カーテン部56は、被支持部53よりも下方に配置され、車内部52は、被支持部53よりも上方に配置される。
【0059】
このように構成された、この発明の実施の形態における車両用器具10および給電方法によれば、ハイブリッド自動車100から電気機器300への給電時、車両用器具10を用いることにより、車室内への雨水の侵入を防ぎつつ、車室内から車両外部に給電用のケーブルを引き出すことができる。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明は、主に、電源を備えた車両から電気機器への給電時に用いられる車両用器具として利用される。
【符号の説明】
【0062】
10 車両用器具、21 開口部、30 ケーブル、31 プラグ、40,40A,40B 支柱、41 上段部、42,47 弾性部、46 下段部、48 伸縮部、50 遮蔽ウォール、50p 端部、51 L字型部、52 車内部、53 被支持部、56 カーテン部、61 導水板、100 ハイブリッド自動車、110 フロントドア、112,122 ドアガラス、113 上端、120 リヤドア、131,137,138 フレーム、132 下端、136 三角窓、151 充電部、152 給油部、210 駆動輪、220 ガソリンエンジン部、230 モータジェネレータ、240 バッテリ部、250 変換機、260 制御装置、270 放電スイッチ、280 車室内コンセント部、290 補機バッテリ部、300 電気機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電用のケーブルを車室内から車両外部に引き出す、または車両外部から車室内に引き込むために用いられる車両用器具であって、
車両の窓枠および窓の間にケーブルを通すための開口部を設けるように、窓枠と窓との間に挟持される支持部材と、
前記支持部材により支持され、窓枠と窓との間に渡って延設される遮蔽部材とを備え、
前記遮蔽部材は、車両外部で窓と向かい合って配置され、
車室内から前記開口部を通されたケーブルが、前記遮蔽部材と窓との間を経由して車両外部に引き出される、車両用器具。
【請求項2】
前記支持部材は、窓枠と窓との距離に合わせて伸縮可能である、請求項1に記載の車両用器具。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、車両外部で窓と向かい合う位置で柔軟性を有して形成される、請求項1または2に記載の車両用器具。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記支持部材により支持される被支持部を有し、前記被支持部よりも上部が車室内で窓枠と向かい合って配置され、前記被支持部よりも下部が車両外部で窓と向かい合って配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用器具。
【請求項5】
前記下部は、前記被支持部よりも柔軟性を有して形成される、請求項4に記載の車両用器具。
【請求項6】
前記遮蔽部材は、切断可能なように形成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用器具。
【請求項7】
車両前後方向における前記遮蔽部材の両端の少なくともいずれか一方に設けられ、前記遮蔽部材を伝う水を車両外部に導く導水板をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用器具。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用器具を用いた給電方法であって、
前記車両用器具を車両に装着し、車両の窓枠および窓の間に開口部を設けるステップと、
車両外部の電気機器に給電するためのケーブルを、前記開口部に通すとともに、ケーブルの一端を、バッテリに電気的に接続され、車室内に備えられたコンセントに接続することによって、車両から電気機器に給電するステップとを備える、給電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56646(P2013−56646A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197330(P2011−197330)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】