説明

車両用外装部品の取付構造

【課題】車両にガタ付きなく外装部品を取付けることのできる取付構造を提供する。
【解決手段】外装部品の裏面側に取付用のボスが立設された外装部品であって、ボスの表面にはシボが設けられている。ボスを取付孔に挿入して外装部品を仮保持後、ワッシャーをボスに取付ける。ワッシャーの鉤部がシボに係合することにより、ボス部にワッシャーを強固に保持することができ、よって外装部品をガタ付きなく車両に取付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に取付けられる、めっきが施された外装部品の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1にはラジエータグリルにエンブレムを取付けるものが開示されている。図3に示すように、被取付体であるラジエータグリル1の取付台座2に設けられた取付孔3にエンブレム6の裏面に形成したボス部6aを挿入し、ラジエータグリル1の裏面側から固定手段としてのワッシャー7及びプッシュナット8をボス部6aに装着し、エンブレム6がラジエータグリル1に固定されている。
【特許文献1】特開2001−301540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の取付構造では、図4に示すように、エンブレム6のガタ付きを防止するために、ラジエータグリル1に設けられた取付孔3の裏面側周辺に一対のリブ2a、2bが設けられている。このリブの先端には図5に示すように凹凸面4が形成されており、ラジエータグリル1の取付孔3に差し込まれたボス部6aに、裏面側からゴムワッシャ7及びプッシュナット8が装着され、エンブレム6がラジエータグリルに固定される。この時、ゴムワッシャ7はその弾性によりリブ先端の凹凸面4に密着して変形し、凹凸面に食い込む。特許文献1によると、このようにゴムワッシャ7とリブ2a、2bの先端の凹凸面4が噛み合ってワッシャの滑りが抑制され、エンブレム6のガタ付きが防止されるとある。
【0004】
一般に、エンブレムにはめっき等の金属表面処理が施されている場合が多い。特許文献1に記載の取付構造においては、被取付体であるラジエータグリルと固定手段のワッシャーとの間でガタ付きを防止できるとしても、取付部品であるエンブレムのボス部に対するプッシュナットの固定が強固でない。特にめっきが施された外装部品においては、金属表面に固定手段の勘合力が作用しないという問題がある。つまり特許文献1の取付構造においては、金属表面処理が施されたボス部に対しプッシュナットが係合できず、ガタ付き防止手段としては未だ充分でない。また、勘合力を高めるため、ワッシャーを装着するボスの径を大きくしてガタ付きを防止しようとするとワッシャーの組付にあたって抵抗力が高まり、作業性の低下が問題となる。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑み、めっきが施された外装部品であっても、作業性を低下させず、被取付体に対する固定を強固なものとすることができる外装部品の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明では、被取付体に設けられた取付孔にボス部が挿入され、固定手段により固定されるめっき表面を有する車両用外装部品であって、前記ボス部の表面にはシボが形成されており、前記取付孔に差し込まれた前記ボス部に前記固定手段の挿入孔を挿入して、挿入孔の周壁を前記シボに係合させることを特徴とする。
【0007】
本発明の取付構造によると、ボス部の外周表面に形成された凹凸部に挿入された固定手段の挿入孔の内周壁が機械的に勘合することができる。よって、めっきが施された表面であっても固定手段の勘合力を作用させることができ、ボス部に対する固定手段の固定を強固なものとすることができる。よって、外装部品を車両にガタ付きなく取付けることができる。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の発明では、固定手段の挿入孔の周壁には鉤部が設けられ
ていることを特徴とする。この発明によると、ボス部に対する固定手段の固定をより強固なものとすることができ、ガタ付き防止効果をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によると、組付け性を低下させることなく、ガタ付きに対し高い信頼性を有する取付構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の取付構造について図に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の取付構造を示しており、エンブレム10の裏面に立設されたボス部20に固定手段としてのワッシャー40を固定した状態の斜視図である。なお図1では説明の便宜上、被取付体のラジエータグリル及びボス部20表面のシボを省略してある。エンブレム10は全体にめっきが施され、裏面に立設されたボス部20の表面にも金属面が形成されている。ワッシャー40は従来技術のプッシュナットに相当する。図2は断面図であり、表面にめっきが施された外装部品としてのエンブレム10であり、裏面には車両への取付用であるボス部20が立設されている。ボス部20はその根元に十字状のリブ30を有しており、このリブ30の先端面が被取付体であるラジエータグリル100との当接面とされている。また、ボス部20の表面には凹凸状のシボ21が形成されている。一方、車両100には取付孔101がボス部20に対応して設けられており、取付孔101にボス部20が挿入されることにより、エンブレム1がラジエータグリル100に仮保持される。仮保持の状態で、図2に示すようにボス部2の先端部は取付孔101の裏面側に突出しており、この先端部に固定手段としてのワッシャー40を装着する。ワッシャー40は金属製であって、その中央には挿入孔41が設けられている。また、挿入孔41の周縁には切欠き状の鉤部42が挿入方向と反対側に、先端側が狭くなるように起立形成されている。ワッシャー40の固定には、固定孔41をボス部20の先端側からシボに弾接させながらラジエータグリル裏面に当接するまで挿入し、リブ30の当接面との間で車両を挟み込むようにする。この際、ワッシャー40の鉤部42がボス部20表面のシボ21に引っかかり、機械的に勘合される。鉤部42はワッシャー40の挿入方向に対し逆側に起立しているので、挿入荷重を低減でき、かつ、装着の際のガイドとして機能することができる。また、挿入孔41は鉤部42の先端の間が狭くなるように閉口しているので、抜け荷重に対し抵抗を与えることができる。
【0012】
上記のように、本発明の取付構造によると、めっき表面を有する部品であってもガタ付きなく、強固に取付けることができる。また、一旦固定されたワッシャーに抜け荷重がかかってもボス部に対する勘合力を確実に維持することができ、ガタ付きのない取付状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の取付構造に係るエンブレムの裏面斜視図である。
【図2】本発明の取付構造を示す断面図である。
【図3】従来の取付構造を説明する斜視図である。
【図4】従来構造におけるラジエータグリルの裏面図である。
【図5】従来の取付構造である。
【符号の説明】
【0014】
10・・・ラジエータグリル、20・・・ボス部、21・・・シボ、40・・・ワッシャー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付体に設けられた取付孔にボス部が挿入され、固定手段により固定されるめっき表面を有する車両用外装部品であって、前記ボス部の表面にはシボが形成されており、前記取付孔に差し込まれた前記ボス部に前記固定手段の挿入孔を挿入して、挿入孔の周壁を前記シボに係合させることを特徴とする車両用外装部品の取付構造。
【請求項2】
前記固定手段の挿入孔の周壁には鉤部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用外装部品の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−265670(P2008−265670A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114443(P2007−114443)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】