説明

車両用室内灯

【課題】発光量及び発光色の均一性が高い照明光を得ることができる車両用室内灯を提供する。
【解決手段】各LED22からの出射光の放射指向性のピークを反射面35aに指向させ、LED22からの出射光を反射面35aでの反射を経てアウターレンズ30に間接的に入射させる。これにより、LED22の発光部に対応する発光面30a上の一部の輝度が局所的に高くなる等の不具合を防止する。また、LED22からの出射光のほとんどが、反射面35aを経て間接的に入射されることにより、白色光を構成する青色光と黄色光とがアウターレンズ30によって分散することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源として用いた車両用室内灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、乗用車等の車両の室内天井には、ルームランプやマップランプ等の車両用室内灯が取り付けられている。この種の車両用室内灯は、一般に、管球バルブ等の光源からの光を直接的或いは間接的にアウターレンズへと導き、当該アウターレンズの外面側を面状に発光させることで、所望の照明光を得る。例えば、特許文献1には、レンズ本体(アウターレンズ)を導光板で構成し、光源である管球バルブからの光をアウターレンズに直接入射させることにより、アウターレンズ上の光源に近い領域を直接照明部(光源近傍領域)として機能させ、遠い領域(光源遠方領域)を間接照明部として機能させる技術が開示されている。この技術によれば、レンズ本体は、光源近傍領域に入射した光をそのまま透過させることによりスポット照明を実現する。一方、レンズ本体は、光源遠方領域に入射した光を反射させながら先端側へと導き、その過程において点刻で反射した光を透過させることにより均一照明を実現する。
【0003】
ところで、管球バルブ等に比べ、発光ダイオード(LED)は、消費電力が小さく長寿命であるという利点を有する。そこで、近年では、LEDの高出力化に伴い、特に、比較的小型な各種照明装置の光源としてLEDを適用することが期待されている。
【特許文献1】特開平8−169278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光源として広く用いられる白色LEDは、青色LEDに黄色の蛍光体を塗布して構成されることが一般的であり、特に、このような白色LEDからの光を導光板機能を有するアウターレンズに入射させると、青色と黄色とが分散し、アウターレンズの発光面上に色ムラを発生させる虞がある。
【0005】
また、LEDは管球バルブ等の光源に比べて発光部の小さい点光源であるため、LEDからの光をそのままアウターレンズに透過させる場合等において、アウターレンズの発光面上の輝度(発光量)を平滑化させるには限界があり、LEDの発光部に対応する領域が他の領域に比べて極端に明るくなる等して見栄えが低下する虞がある。
【0006】
本発明は、簡単な構成で、発光量及び発光色の均一性が高い照明光を得ることができる車両用室内灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外面側が発光面を構成するアウターレンズと、前記アウターレンズの内面に反射面が対向する反射部材と、出射光の放射指向性のピークが前記反射面に指向するよう配置された発光ダイオードと、を備え、前記反射面は、前記発光ダイオードからの出射光を反射して前記アウターレンズに導くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用室内灯によれば、簡単な構成で、発光量及び発光色の均一性が高い照明光を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1はルームランプの要部を示す分解斜視図、図2発光ダイオードを実装したスイッチを示す斜視図、図3はルームランプの平面図、図4は図3のIV−IV線に沿う要部断面図、図5は図4の変形例を示す要部断面図、図6は発光ダイオードによる相対発光強度を示す図表、図7はマップランプの平面図、図8は図7のIIX−IIX線に沿う要部断面図である。
【0010】
図1,3,4において符号1は、車両の室内天井に取り付けられるルームランプであり、このルームランプ1は、下面が開口した扁平な略箱形形状の筐体2を有する。この筐体2は、例えば、矩形の背面板2aと、当該背面板2aの各辺に立設する側壁2bとが射出成型によって一体形成された樹脂成型品で構成されている。
【0011】
筐体2の内部において、背面板2aの略中央部には、後述するスイッチ10と電気的に接続するための第1の接点群5が設けられ、この第1の接点群5の周部には複数(例えば、4個)の嵌合孔8が穿設されている。また、第1の接点群5の近傍には、後述する光源ユニット20と電気的に接続するための第2の接点群6が設けられている。さらに、背面板2aには、第1,第2の接点群5,6の各接点と適宜電気的に接続するバスバー7が配索され、これらバスバー7の端部は、側壁2bに開口するコネクタ挿入口2cに臨まされている。なお、第1,第2の接点群5,6及びバスバー7等は、例えば、背面板2aに対するスクリーン印刷等によって形成される。
【0012】
また、各側壁2bの下端部には、筐体2の開口部を閉塞するアウターレンズ30が嵌合する段部2dが形成されている。
【0013】
スイッチ10は、例えば、略角柱形状をなすスイッチ本体11を有する。スイッチ本体11の上面には、筐体2の第1の接点群5と電気的に接続する図示しない接点群が設けられ、さらに、この接点群の周部には各嵌合孔8に嵌合するピン12が突設されている。そして、各ピン12が各嵌合孔8に嵌合されることにより、スイッチ10は筐体2内の背面板2a上に位置決め固定され、スイッチ10に設けられた接点群の各接点が第1の接点群5の各接点とそれぞれ電気的に接続される。
【0014】
また、スイッチ本体11の下面には長孔13が開口されており、この長孔13からは、スイッチ操作部14が突設されている。本実施形態において、長孔13上には、ルームランプ1を常時点灯させるための「ON」ポジションP1と、ルームランプ1を常時消灯させるための「OFF」ポジションP2と、車両のドアの開閉状態に応じてルームランプ1を点灯させるための「DOOR」ポジションP3とが設定されており、スイッチ操作部14は、これらのポジションP1〜P3の何れかを選択可能なスライド式の操作部で構成されている。
【0015】
ここで、スイッチ本体11の側壁の四隅は、例えば、R=0.5mm以上のラウンド形状に形成されている。また、スイッチ本体11の外周部の下面寄りには、外向フランジ15が周設されている。
【0016】
光源ユニット20は、スイッチ本体11の外周と略等しい長さを有する細長な帯状のフレキシブル基板21上に、光源としての発光ダイオード(LED)22が所定間隔毎に複数実装されて要部が構成されている。また、フレキシブル基板21には、第2の接点群6の各接点と電気的に接続可能な端子ピン23が設けられている。
【0017】
ここで、本実施形態において、各LED22は、例えば、青色の発光部を有するLEDの表面に黄色の蛍光体(例えば、YAG蛍光体)を塗布することで白色光を得る面実装型の白色LEDで構成されている。また、各LED22の出射面上には片凸レンズ22aが固設されており、この片凸レンズ22aの作用により、各LED22からの出射光は、例えば図6中に実線で示すように、拡散角が0°軸(光軸O)に対して15°〜20°程度の狭角となる比較的指向性の高い光束に調光されるようになっている。
【0018】
この光源ユニット20は、図2に示すように、フレキシブル基板21がスイッチ本体11の外周に巻装されることによってスイッチ10上に保持される。そして、各端子ピン23は、スイッチ10が筐体2内の背面板2aに位置決め固定される際に、圧接や半田付、レーザ溶接、或いはカシメ等により、第2の接点群6の各接点にそれぞれ電気的に接続される。また、各LED22は、スイッチ10を介して筐体2内に保持され、その光軸Oが側壁2bに略垂直に指向される。すなわち、LED22からの出射光の放射指向性のピークが、側壁2bに略垂直に指向されている。
【0019】
ここで、スイッチ本体11の側壁の四隅がラウンド形状に形成されることにより、フレキシブル基板21は、スイッチ本体11に巻装された場合にも、折れ等に起因する断線が的確に防止される。なお、筐体2内に保持された各LED22が筐体2の外部に直接的に露見することを防止するため、例えば、図2,3に示すように、スイッチ10に周設される外向フランジ15の突出量は、スイッチ10を下方から見た際に、各LED22が隠れる程度の突出量に設定されていることが望ましい。
【0020】
アウターレンズ30は、外周部が筐体2の段部2dと嵌合する平板状の部材で構成されている。このアウターレンズ30は、例えば、透明な樹脂材料を用いた射出成型品で構成され、その略中央部には、スイッチ10の長孔13に対応する長孔(開口部)31が開口されている。また、アウターレンズ30の内面(背面板2aと対向する側の面)には、長孔31を囲繞する環状の領域に、複数の微細な拡散ステップ32が形成されている。そして、アウターレンズ30の外面側において、拡散ステップ32の形成領域に対応する領域が発光面30aとして設定されている。
【0021】
図4に示すように、このアウターレンズ30は、その外周部が段部2dに嵌合された際に、内面が外向フランジ15と当接するよう設定されており、これにより、スイッチ10はアウターレンズ30と背面板2aとの間に挟持される。また、スイッチ本体11から突出するスイッチ操作部14が、長孔31を介して、ルームランプ1の外部に露呈される。
【0022】
また、図4に示すように、筐体2内において、スイッチ10を囲繞する空間には、反射部材35が配設されている。この反射部材35は、例えば、反射率90%以上を有する酸化チタンを含有したポリカーボネイト、アクリル等を材料とする射出成型品で構成されており、各LED22に対向する面が反射面35aとして設定されている。そして、反射部材35は、各LED22からの出射光を反射面35aで反射してアウターレンズ30へと導く。
【0023】
このような構成において、車両からの延出する図示しないコネクタがコネクタ挿入口2cに接続されるとともに、スイッチ操作部14が「ON」ポジションP1或いは「DOOR」ポジションP3に操作され、第2の接点群6からフレキシブル基板21への給電が行われて各LED22が点灯されると、各LED22からの出射光は、そのほとんどが、反射面35aで反射された後、アウターレンズ30の拡散ステップ32に入射される。すなわち、本実施形態において、LED22の出射面に固設された片凸レンズ22aの作用によって出射光の拡散角が狭角に設定されており、しかも、LED22の下方には外向フランジ15が配設されているため、LED22からの出射光のほとんどは、アウターレンズ30に対して、直接的に入射されることなく、反射面35aでの反射を経て間接的に入射される。
【0024】
そして、LED22からの出射光が反射を経て間接的に入射されることにより、LED22の発光部に対応する発光面30a上の一部の輝度が局所的に高くなる等の不具合を的確に防止することができる。また、アウターレンズ30への入射光を、拡散ステップ32で所定に拡散させることにより、発光面30aをより均一な照度で発光させることができる。また、LED22からの出射光のほとんどが、反射面35aを経て間接的に入射されることにより、白色光を構成する青色光と黄色光とがアウターレンズ30によって分散することを的確に防止することができる。
【0025】
また、アウターレンズ30の内面側にスイッチ本体11を配設し、当該スイッチ本体11から突出するスイッチ操作部14をアウターレンズ30に開口する長孔31を介して外部に露呈させることにより、発光面30aの内側にスイッチ10を配設することができる。そして、筐体2内において、フレキシブル基板21上にLED22を実装した光源ユニット20をスイッチ本体11の周部に巻装することにより、各LED22の光軸Oを容易に側壁2b方向(反射面35a方向)に指向させることができる。しかも、スイッチ10を中心として各光軸Oを放射状に指向させた状態で各LED22を配置することができるので、発光面30a上に極端な暗部が形成されることを的確に防止することができる。
【0026】
ここで、上述のルームランプ1において、光源であるLED22として、出射光に紫外線を含むLEDを採用することも可能である。この場合、紫外線励起によって演色評価数Ra90以上の励起光を発光する蛍光体を含有する塗料を反射面35a上に塗布等することにより、発光面30aをより好適に白色発光させることができる。なお、蛍光体の塗布に代えて、反射面35a上に蛍光体を分布すべく、蛍光体を含有した樹脂材料等によって反射部材35を成型することも可能である。
【0027】
また、上述のルームランプ1において、出射光の拡散角が比較的広角(例えば、図6中の破線参照)な特性を有するLED22を光源として用いる場合には、例えば、図5に示すように、スイッチ本体11の側面を、上方から下方へと拡開するテーパ面で構成し、各LED22の出射光の放射指向性のピーク(光軸O)を水平方向Hに対して所定の仰角で傾斜させることにより、上述の構成と同様、発光面30aにおける発光量及び発光色の均一化を図ることができる。
【0028】
また、例えば、図7,8に示すように、スライド式のスイッチ操作部14に代えて、一対のプッシュ式のスイッチ操作部17をスイッチ本体11から突出させるとともに、フレキシブル基板21上のLED22の給電系統を各スイッチ操作部17に対応する2系統の給電系統に分割し、さらに、筐体2から隔壁2eを突出させて発光面30aを各給電系統のLED22に対応する領域毎に区画することにより、運転席側と助手席側とを個別に照明可能なマップランプ50を構成することも可能である。
【0029】
なお、上述の実施形態において、光源として用いられる各LED22の全ての発光色を等しく設定する必要はなく、例えば、R,G,Bそれぞれの発光色の光を出射するLEDを混在させることも可能である。この場合、各色のLEDからの光の出射量を個別に制御すれば、バリエーションに富んだ照明を実現することができる。
【0030】
また、上述の実施形態においては、スイッチ10を発光面30aの略中央部に配設した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スイッチ10を発光面30a上の何れか一方寄りに偏倚させることも可能である。この場合、例えば、フレキシブル基板21上に実装するLED22の間隔等を適宜調整することにより、発光面30aでの発光量を均質化することができる。
【0031】
また、上述の実施形態において、反射部材35を筐体2と一体の部材で構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ルームランプの要部を示す分解斜視図
【図2】発光ダイオードを実装したスイッチを示す斜視図
【図3】ルームランプの平面図
【図4】図3のIV−IV線に沿う要部断面図
【図5】図4の変形例を示す要部断面図
【図6】発光ダイオードによる相対発光強度を示す図表
【図7】マップランプの平面図
【図8】図7のIIX−IIX線に沿う要部断面図
【符号の説明】
【0033】
1…ルームランプ、2…筐体、10…スイッチ、11…スイッチ本体、14…スイッチ操作部、17…スイッチ操作部、20…光源ユニット、21…フレキシブル基板、22…発光ダイオード、22a…片凸レンズ、30…アウターレンズ、30a…発光面、31…長孔(開口部)、32…拡散ステップ、35…反射部材、35a…反射面、50…マップランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面側が発光面を構成するアウターレンズと、
前記アウターレンズの内面に反射面が対向する反射部材と、
出射光の放射指向性のピークが前記反射面に指向するよう配置された発光ダイオードと、を備え、
前記反射面は、前記発光ダイオードからの出射光を反射して前記アウターレンズに導くことを特徴とする車両用室内灯。
【請求項2】
前記アウターレンズの内面側にスイッチ本体が配設され、当該スイッチ本体から突出するスイッチ操作部が前記アウターレンズに開口する開口部を介して外部に露呈するスイッチと、
前記発光ダイオードを実装して前記スイッチ本体の周部に巻装されるフレキシブル基板とを備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用室内灯。
【請求項3】
前記発光ダイオードからの出射光は、紫外光を含み、
前記反射面は、紫外線によって励起発光する蛍光体を具備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用室内灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−67097(P2009−67097A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234636(P2007−234636)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】