車両用操作入力装置および車両用操作入力システム
【課題】ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことを、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能にする。
【解決手段】4方向操作キーのうちの一部のスイッチが故障した場合に、故障を検知していないスイッチだけで、第1のマスク画像を重畳した選択用画面から第2のマスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようにすることで、選択用画面の種類ごとの遷移モデルを必要としないようにする。
【解決手段】4方向操作キーのうちの一部のスイッチが故障した場合に、故障を検知していないスイッチだけで、第1のマスク画像を重畳した選択用画面から第2のマスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようにすることで、選択用画面の種類ごとの遷移モデルを必要としないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GUI(Graphical User Interface)に用いられる車両用操作入力装置および車両用操作入力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のHMI(Human Machine Interface)として、ディスプレイの画面上にカーエアコンやカーオーディオ等の車載器の機能を示すアイコンやボタン等のグラフィックを集約して表示するとともに、ユーザが操作デバイスによって目的の機能を示すグラフィックを選択することで各車載器の操作を行うことが可能なGUIが知られている。
【0003】
このようなGUIでは、操作デバイスの故障によって目的の機能を示すグラフィックが選択できなくなると、目的の機能が利用できなくなるという課題があった。そこで、この課題を解決する手段として、例えば特許文献1には、タッチパネルを含む操作入力系に異常が生じた場合に、異常によって利用不可となったタッチパネルの範囲を避けた位置に操作キーの表示位置が変更されるように画面レイアウトを変更する技術が開示されている。他にも、特許文献2には、タッチパネルに故障が生じた場合に、表示面のうち異常箇所に対応する位置に表示されていた操作ボタンを正常部分に対応する位置に表示させる技術が開示されている。
【0004】
また、車両のGUIとして、タッチパネルのようにディスプレイと操作デバイスとが一体となったもの以外のGUIも知られている。例えば、ディスプレイとしてヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いる一方、操作デバイスとしてセンターコンソールやステアリングに設けたスイッチを用いるといったように、ドライバの視線移動を最小限に抑えるためにディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−119931号公報
【特許文献2】特開2009−3756号公報
【特許文献3】特開2001−337761号公報
【特許文献4】特開平6−286534号公報
【特許文献5】特開2010−157362号公報
【特許文献6】特開平7−71572号公報
【特許文献7】特開2007−285969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいては、タッチパネルのタッチスイッチとは異なって、キースイッチやボタンスイッチ等の固定されたスイッチを用いることになるので、特許文献1および特許文献2に開示の技術を適用することは出来ないという課題があった。また、故障に備えて操作デバイスに予め余分なスイッチを設けることも考えられるが、余分なスイッチを新たに設ける分のコストの増加が生じるという課題があった。
【0007】
他にも、操作デバイスの一部のスイッチに故障が生じた場合、ディスプレイの画面を階層化し、故障が生じていないスイッチによる選択のみで目的の機能を示すグラフィックを選択できるようにすることも考えられる。ここで、機能を示すグラフィックが画面上の上下左右の4方向に割り付けられており(それぞれ機能A、C、B、Dとする)、各方向に割り付けられたグラフィックを上下左右の4方向のスイッチによってそれぞれ選択できるようになっているGUI(図1参照)を例に挙げて説明する。
【0008】
例えば、上方向を選択するスイッチに故障が生じた場合には、上方向以外の例えば下方向に、本来は上方向に割り付ける筈の機能Aと下方向に割り付ける機能Cとの両方を示すグラフィクを下方向に割り付けた画面を表示させることが考えられる。そして、下方向が選択された場合には、上方向以外の例えば左方向に機能A、右方向に機能Cを割り付けた画面に遷移し、左方向が選択された場合には機能Aを選択し、右方向が選択された場合には機能Cを選択するようにすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、この場合には、故障が1つのスイッチのみで生じると想定したときに、1種類の画面に対して、上下左右の各スイッチの故障のパターンである4パターン分だけ階層化された画面(図1のa〜fの6枚)とその遷移モデル(4パターン)を準備する必要がある。よって、開発工数やメモリが多く必要となり、コストが増大してしまうという課題があった。また、画面レイアウトを大きく変更してしまうため、ユーザにとっての見易さが低下し、快適性が低下する可能性が高いという課題もあった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことを、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能にする車両用操作入力装置および車両用操作入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の車両用操作入力装置においては、操作デバイスの複数のスイッチの個々の故障を検知する故障検知手段を備えるとともに、第1のマスク画像のデータと第2のマスク画像のデータを保持している。表示制御手段は、故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、第1のマスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、故障を検知していないスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、第2のマスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させる。そして、第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの故障方向操作用画像のみが含まれる区画を選択手段で選択することによって、故障方向操作用画像を選択することになる。
【0012】
第1のマスク画像のデータは、故障を検知したスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である故障方向操作用画像が、故障を検知しなかったスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である非故障方向操作用画像と組みになるように、選択用画面を複数区画に区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像のデータである。
【0013】
第2のマスク画像のデータは、故障方向操作用画像と非故障方向操作用画像とが含まれる区画に相当する区画について当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とにさらに区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像のデータである。
【0014】
以上の構成によれば、操作デバイスの複数のスイッチのうちの一部のスイッチが故障した場合に、故障を検知していないスイッチだけで、第1のマスク画像を重畳した選択用画面から第2のマスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0015】
ここで、各方向のスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、1種類の選択用画面に対して、スイッチの故障のパターン分だけ階層化された画面が必要となるとともに、当該パターン分だけの数の画面の遷移モデルが必要となる。これに対して、請求項1の構成によれば、第1のマスク画像や第2のマスク画像を選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとの遷移モデルを必要とせず、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0016】
また、請求項1の構成によれば、故障が検知されたスイッチによる操作用画像の選択を行うことが出来なくなった場合でも、故障が検知されていないスイッチによって操作用画像を選択することが可能になる。また、操作デバイスのスイッチのうちの故障が検知されていないスイッチによって代替を行うので、余分なスイッチを設けるコストがかからない。
【0017】
さらに、請求項1の構成によれば、選択用画面に第1のマスク画像や第2のマスク画像を重畳させるだけなので、操作用画像の配置といった選択用画面の画面レイアウトを大きく変更することがない。よって、ユーザにとっての選択用画面の見易さを損ないにくい。
【0018】
その結果、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【0019】
ここで、操作デバイスが上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、表示制御手段が、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものである場合には、例えば、請求項2〜5の態様がある。
【0020】
請求項2の構成によれば、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、左右のスイッチだけで、第1上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった操作用画像(以下、故障方向操作用画像)を選択できるようになる。
【0021】
ここで、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、図2に示すように、1種類の画面に対して、各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面については、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、図2に示すように5枚の画面(図2中のg〜k参照)が新たに必要となる。
【0022】
これに対して、請求項2の構成によれば、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して共通に用いることができる第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。また、第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像は選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとに各パターンのスイッチの故障に応じた遷移モデルが必要とならない。よって、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0023】
請求項3の構成においても、請求項2の構成と同様に、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、左右のスイッチだけで、第1上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。従って、請求項3の構成でも、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0024】
請求項4の構成によれば、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、上下のスイッチだけで、第1左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0025】
ここで、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障の場合と同様に、1種類の画面に対して、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面についても、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障の場合と同様に5枚の画面が新たに必要となる。
【0026】
これに対して、請求項4の構成によれば、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して共通に用いることができる第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。また、第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像は選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとに左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった各パターンのスイッチの故障に応じた遷移モデルが必要とならない。よって、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0027】
請求項5の構成においても、請求項4の構成と同様に、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、上下のスイッチだけで、第1左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。従って、請求項5の構成でも、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0028】
請求項6の構成によれば、表示制御手段は、故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、ディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うので、当該スイッチによって操作用画像を選択することが出来ないことをユーザが迅速に認識することが可能になる。
【0029】
請求項7の車両用操作入力システムにおいては、車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を表示するディスプレイと、ユーザによって操作される複数のスイッチからなるとともにディスプレイとは別体に設けられた操作デバイスと、前記のいずれかに記載の車両用操作入力装置とを含むことなる。従って、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】4方向のスイッチの各方向のスイッチの故障に応じてディスプレイの画面を単純に階層化し、故障が生じていないスイッチによる選択のみで目的の機能を示すグラフィックを選択できるようにする場合の例を示す模式図である。
【図2】上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じてディスプレイの画面を単純に階層化し、左右方向のスイッチによる選択のみで目的の機能を示すグラフィックを選択できるようにする場合の例を示す模式図である。
【図3】車両用操作入力システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】操作デバイス2の概略的な構成を説明するための模式図である。
【図5】ディスプレイ1に表示される選択用画面の一例を示す図である。
【図6】正常時モデルの一例を説明するための模式図である。
【図7】制御装置3での代替処理に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図8】左右系故障時処理の概要を示す模式図である。
【図9】(a)は第1左右故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(b)は第2左右故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(c)は第3左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。
【図10】上下系故障時処理の概要を示す模式図である。
【図11】(a)は第1上下故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(b)は第2上下故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(c)は第3上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。
【図12】下方向SW22に故障が生じた場合の左右スイッチによる代替の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図3は、本発明が適用された車両用操作入力システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示す車両用操作入力システム100は、車両に搭載されるものであり、ディスプレイ1、操作デバイス2、および制御装置3を含んでいる。
【0032】
車両用操作入力システム100では、GUIを採用しており、ディスプレイ1の画面上にカーエアコンやカーオーディオ等の車載器の機能を示すアイコンやボタン等のグラフィック(つまり、車載器に対する操作入力を行うための操作用画像)を集約して表示するとともに、ユーザが操作デバイス2によって目的の機能を示す操作用画像を選択することで各車載器の操作を行うことが可能となっている。
【0033】
ディスプレイ1は、制御装置3の指示に従った画像を表示するものであり、車室内に設けられている。例えばディスプレイ1としては、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いる構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイを利用する構成としてもよい。また、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0034】
操作デバイス2は、ディスプレイ1の画面上の操作用画像を選択するために用いられるポインティングデバイスであって、ディスプレイ1とは別体に設けられる。操作デバイス2は、例えば車両のステアリングやセンターコンソール等に設けられる構成とすればよい。
【0035】
また、操作デバイス2はスイッチ(SW)からなっており、複数の方向を指定可能となっている。例えば操作デバイス2は、プッシュSWやロータリSWやチルトSW等のスイッチからなる構成としてもよいし、これらを組み合わせたものからなる構成としてもよい。一例としては、指定する方向ごとの複数のプッシュSWからなる構成としてもよいし、指定する方向ごとの接点を有するロータリSWからなる構成としてもよい。
【0036】
本実施形態では、操作デバイス2は、「上方向」、「下方向」、「左方向」、「右方向」、「決定」、「戻る」の6種類のプッシュSWからなる場合を例に挙げて以降の説明を続ける。ここで、図4を用いて操作デバイス2の概略的な構成について説明を行う。図4は、操作デバイス2の概略的な構成を説明するための模式図である。
【0037】
操作デバイス2は、図4に示すように、上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24、決定SW25、および戻るSW26の6種類のスイッチからなっている。
【0038】
上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24は、それぞれディスプレイ1の画面上の上下左右の各方向を指定して操作用画像を選択するためのスイッチである。以下では、上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24の4つのスイッチを4方向操作キーと呼ぶ。決定SW25は、選択を決定したりなどするためのスイッチである。戻るSW26は、操作用画像の選択によって更なる選択を行うための画面に遷移した場合に、遷移前の画面に戻るなどするためのスイッチである。
【0039】
操作デバイス2のスイッチをユーザが操作した場合には、操作したスイッチに対応する信号(つまり、操作情報)が制御装置3に送られる。例えば、スイッチごとに信号を伝達するための信号線がそれぞれ設けられており、その信号線を介して操作情報が制御装置3に送られるものとする。
【0040】
図3に戻って、制御装置3は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、操作デバイス2から入力される情報をもとにROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、操作用画像の選択に関する処理、操作用画像が示す車載器の機能の実行に関する処理、操作デバイス2の故障時の代替処理等の各種の処理を実行する。図3に示すように制御装置3は、表示制御部31、画面操作部32、および故障検知部33を備えている。なお、制御装置3が請求項の車両用操作入力装置に相当する。
【0041】
表示制御部31は、例えば図5に示すように、操作デバイス2の4方向操作キーの各方向に応じた位置に操作用画像が配置された選択用画面をディスプレイ1で表示させる。図3は、ディスプレイ1に表示される選択用画面の一例を示す図である。図3中の機能A〜Dの表示が操作用画像に該当する。図5に示す選択用画面の例では、上方向に機能A、右方向に機能B、下方向に機能C、左方向に機能Dが配置されている。なお、表示制御部31が請求項の表示制御手段に相当する。
【0042】
表示制御部31は、画面操作部32において操作用画像の選択が行われた場合に、その操作用画像について更なる選択用画面を表示させる必要がある場合には、新たな選択用画面に遷移させる。また、表示制御部31は、故障検知部33での故障の検知結果の情報をもとに、操作デバイス2のスイッチの故障の有無に応じて、選択用画面から画面を遷移させていく画面遷移モデルの変更を行う。他にも、表示制御部31は、故障検知部33から指示があった場合に、操作デバイス2の故障時用の通知画面を表示させる。なお、画面遷移モデルおよび故障時用の通知画面の詳細については後述する。
【0043】
画面操作部32は、操作デバイス2の4方向操作キーからの操作情報に従って操作用画像の選択を行う。よって、画面操作部32が請求項の選択手段に相当する。詳しくは、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の上方向に配置されている操作用画像を選択し、下方向SW22からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の下方向に配置されている操作用画像を選択する。また、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の左方向に配置されている操作用画像を選択し、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の右方向に配置されている操作用画像を選択する。
【0044】
他にも、戻るSW26からの操作情報が入力された場合には、遷移前の画面に戻す指示を表示制御部31に送って、遷移前の画面に戻させる。また、選択の決定が必要な状況において、決定SW25からの操作情報が入力された場合には、その選択の決定を行う。例えば、操作用画像について更なる選択用画面が表示されない状況において決定SW25からの操作情報が入力された場合に、当該操作用画像が示す機能の実行を決定する構成としてもよい。そして、決定が行われた場合には、当該機能を実行させる指示を対象となる車載器に送って、目的の機能を実行させる。なお、操作デバイス2のスイッチ操作に応じて行われる上下左右のいずれかの操作用画像の選択、選択の決定、遷移前の画面に戻すといったイベントを以下では操作イベントと呼ぶ。
【0045】
画面操作部32は、故障検知部33での故障の検知結果の情報をもとに、操作デバイス2のスイッチの故障の有無に応じて処理を行う。例えば画面操作部32は、故障検知部33で操作デバイス2のいずれのスイッチの故障も検知していない場合には、操作デバイス2の4方向操作キーの操作情報に対して上述したような対応関係となるように操作イベントの割り当てを行っている。以降では、操作デバイス2のいずれのスイッチの故障も検知していない場合の操作イベントの割り当てを正常時割り当てと呼ぶ。
【0046】
また、故障検知部33で操作デバイス2のいずれのスイッチの故障も検知していない場合には、表示制御部31では、上記正常時割り当てに対応する画面遷移モデル(以下、正常時モデル)に従って選択用画面の遷移を行わせる。ここで、正常時モデルについて図6を用いて説明を行う。図6は、正常時モデルの一例を説明するための模式図である。図6では、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示す。
【0047】
例えば、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の上方向に配置されている機能Aの実行を決定するための画面に遷移し、下方向SW22からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の下方向に配置されている機能Cの実行を決定するための画面に遷移する。また、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の左方向に配置されている機能Dの実行を決定するための画面に遷移し、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の右方向に配置されている機能Bの実行を決定するための画面に遷移する。
【0048】
一方、表示制御部31および画面操作部32は、故障検知部33で操作デバイス2のいずれかのスイッチの故障を検知した場合には代替処理を行う。表示制御部31における代替処理は、正常時モデルに代わって、正常時モデルに故障時用の画面遷移モデルを差込んだ画面遷移モデルに従って画面を遷移させる処理を示す。また、画面操作部32における代替処理は、4方向操作キーのうちの故障が検知されていないスイッチからの操作情報に応じて故障時用の画面を遷移させるように操作イベントの再割り当てを行う処理を示す。本実施形態では、便宜上、故障検知部33で操作デバイス2の4方向操作キーの故障を検知した場合に代替処理を行う構成を例に挙げて説明を行う。
【0049】
ここで、図7を用いて、制御装置3での代替処理に関連する処理についての説明を行う。図7は、制御装置3での代替処理に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。なお、本フローは、例えば自車両のACC電源がオンになったときに開始され、ACC電源がオフになったときに終了する。
【0050】
まず、ステップS1では、故障検知部33で4方向操作キーのいずれかのスイッチに故障があるか否かの故障判定を行ってステップS2に移る。故障判定は、故障検知部33で故障を検知したか否かに応じて行う。よって、故障検知部33が請求項の故障検知手段に相当する。故障には、例えばプッシュSWが押し込まれたまま復帰しない固着や4方向操作キーと制御装置3とを接続する信号線の断線等がある。また、4方向操作キーから出力される信号のオンオフがユーザ操作の限界を超えた速度で切り替わる異常や4方向操作キーが有接点スイッチである場合には接点部分の破損等もある。
【0051】
例えば固着については、4方向操作キーから出力される信号が一定時間以上オンであり続けることをもとにして検知する構成とすればよい。4方向操作キーから出力される信号のオンオフがユーザ操作の限界を超えた速度で切り替わる異常については、オンオフの切り替えの頻度をもとに検知する構成とすればよい。断線や接点部分の破損については、電流の通電状態をもとに検知する構成とすればよい。また、故障検知部33での故障の検知は、特許文献3〜7に開示されているような公知の方法を利用して行う構成としてもよい。
【0052】
ステップS2では、故障判定で故障があると判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、故障判定で故障があると判定しなかった場合(ステップS2でNO)には、ステップS7に移る。
【0053】
ステップS3では、故障検知部33から表示制御部31に操作デバイス2のスイッチの故障通知を行う。故障通知には、故障を検知したことを示す情報以外にも例えば故障を検知したスイッチを特定する情報も含まれるものとする。そして、表示制御部31は、故障通知をもとに、操作デバイス2の故障時用の通知画面をディスプレイ1に表示させ、ステップS4に移る。
【0054】
故障時用の通知画面では、操作デバイス2のスイッチの故障を示す表示を行う。故障を検知したスイッチを特定する情報は、故障を検知したスイッチを知らせる内容の通知を行なうために用いる構成とすればよい。例えば「操作デバイスの故障」や「上方向キーが故障中です」等の操作デバイス2のスイッチの故障を示すテキスト表示を行うことによって、操作デバイス2のスイッチの故障をユーザに通知する構成とすればよい。これによれば、当該スイッチによって操作用画像を選択することが出来ないことをユーザが迅速に認識することが可能になる。なお、テキスト表示以外にも、アイコン等の画像表示によってスイッチの故障を示す表示を行う構成としてもよい。
【0055】
ステップS4では、故障検知部33で左方向SW23もしくは右方向SW24の故障を検知したか否か(つまり、左右スイッチが故障か否か)を判定する。そして、左方向SW23および右方向SW24の少なくともいずれかのスイッチ(以下、左右スイッチ)の故障を検知していた場合(ステップS4でYES)には、ステップS5に移る。また、上方向SW21もしくは下方向SW22の少なくともいずれか(以下、上下スイッチ)の故障を検知していた場合(ステップS4でNO)には、ステップS6に移る。
【0056】
ステップS5では、左右系故障時処理を行い、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。左右系故障時処理では、表示制御部31は、左右スイッチが故障した場合の画面遷移モデル(以下、左右系故障時モデル)を正常時モデルに差込んだ画面遷移モデルを用いる。また、画面操作部32は、上方向SW21や下方向SW22からの操作情報を無効とし、左方向SW23や右方向SW24からの操作情報に応じて、左右系故障時モデルにおける画面を遷移させる指示を表示制御部31に送る。
【0057】
ここで、図8および図9(a)〜図9(c)を用いて左右系故障時処理の概要について説明を行う。図8は、左右系故障時処理の概要を示す模式図である。図9(a)は第1左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。図9(b)は第2左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。図9(c)は第3左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。ここでは、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示す。
【0058】
まず、左右スイッチの故障(つまり、左右系の故障)であった場合には、正常時モデルの選択用画面と同様の選択用画面(図5参照)に図9(a)に示すような第1左右故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、左右系故障時選択用画面)を表示制御部31が表示させる。
【0059】
第1左右故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、およびこれらの区画を択一的に選択させるための上方向のマークと下方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。
【0060】
続いて、左右系故障時選択用画面において、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時選択用画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、上方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図9(b)に示すような第2左右故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、左右系故障時上/左画面)を表示制御部31が表示させる。
【0061】
第2左右故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上方向のマークと下方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第2左右故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0062】
一方、左右系故障時選択用画面において、下方向SW22からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時選択用画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、下方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図9(c)に示すような第3左右故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、左右系故障時下/右画面)を表示制御部31が表示させる。
【0063】
第3左右故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上方向のマークと下方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第3左右故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0064】
続いて、左右系故障時上/左画面において、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時上/左画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、上方向のマークが付された区画(つまり、画面上の上方向)を選択する。このとき、画面上の上方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「上」)を行い、機能Aの実行を決定するための画面に遷移する。
【0065】
また、下方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時上/左画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、下方向のマークが付された区画(つまり、画面上の左方向)を選択する。このとき、画面上の左方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「左」)を行い、機能Dの実行を決定するための画面に遷移する。
【0066】
一方、左右系故障時下/右画面において、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時下/右画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、上方向のマークが付された区画(つまり、画面上の右方向)を選択する。このとき、画面上の右方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「右」)を行い、機能Bの実行を決定するための画面に遷移する。
【0067】
また、下方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時下/右画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、下方向のマークが付された区画(つまり、画面上の下方向)を選択する。このとき、画面上の下方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「下」)を行い、機能Cの実行を決定するための画面に遷移する。
【0068】
以上に説明したような画面の遷移モデルが左右系故障時モデルに相当する。本実施形態では、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。選択用画面の種類が異なった場合であっても、第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳させることで上述したような左右系故障時モデルを常に適用することができる。
【0069】
また、第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像のデータについては、例えば制御装置3のROM等の不揮発性のメモリに予め格納しておくものとする。
【0070】
ステップS6では、上下系故障時処理を行い、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。上下系故障時処理では、表示制御部31は、上下スイッチが故障した場合の画面遷移モデル(以下、上下系故障時モデル)を正常時モデルに差込んだ画面遷移モデルを用いる。また、画面操作部32は、左方向SW23や右方向SW24からの操作情報を無効とし、上方向SW21や下方向SW22からの操作情報に応じて、上下系故障時モデルにおける画面を遷移させる指示を表示制御部31に送る。
【0071】
ここで、図10および図11(a)〜図11(c)を用いて上下系故障時処理の概要について説明を行う。図10は、上下系故障時処理の概要を示す模式図である。図11(a)は第1上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。図11(b)は第2上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。図11(c)は第3上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。ここでは、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示す。
【0072】
まず、上下スイッチの故障(つまり、上下系の故障)であった場合には、正常時モデルの選択用画面と同様の選択用画面(図5参照)に図11(a)に示すような第1上下故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、上下系故障時選択用画面)を表示制御部31が表示させる。
【0073】
第1上下故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、およびこれらの区画を択一的に選択させるための左方向のマークと右方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。
【0074】
続いて、上下系故障時選択用画面において、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時選択用画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、左方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図11(b)に示すような第2上下故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、上下系故障時上/左画面)を表示制御部31が表示させる。
【0075】
第2上下故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左方向のマークと右方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第2上下故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0076】
一方、上下系故障時選択用画面において、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時選択用画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、右方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図11(c)に示すような第3上下故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、上下系故障時下/右画面)を表示制御部31が表示させる。
【0077】
第3上下故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左方向のマークと右方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第3上下故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0078】
続いて、上下系故障時上/左画面において、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時上/左画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、左方向のマークが付された区画(つまり、画面上の左方向)を選択する。このとき、画面上の左方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「左」)を行い、機能Dの実行を決定するための画面に遷移する。
【0079】
また、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時上/左画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、右方向のマークが付された区画(つまり、画面上の上方向)を選択する。このとき、画面上の上方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「上」)を行い、機能Aの実行を決定するための画面に遷移する。
【0080】
一方、上下系故障時下/右画面において、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時下/右画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、左方向のマークが付された区画(つまり、画面上の下方向)を選択する。このとき、画面上の下方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「下」)を行い、機能Cの実行を決定するための画面に遷移する。
【0081】
また、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時下/右画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、右方向のマークが付された区画(つまり、画面上の右方向)を選択する。このとき、画面上の右方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「右」)を行い、機能Bの実行を決定するための画面に遷移する。
【0082】
以上に説明したような画面の遷移モデルが上下系故障時モデルに相当する。本実施形態では、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。選択用画面の種類が異なった場合であっても、第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳させることで上述したような上下系故障時モデルを常に適用することができる。
【0083】
また、第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像のデータについては、例えば制御装置3のROM等の不揮発性のメモリに予め格納しておくものとする。なお、第1左右故障時用マスク画像および第1上下故障時用マスク画像が請求項の第1のマスク画像に相当し、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、および第3上下故障時用マスク画像が請求項の第2のマスク画像に相当する。
【0084】
ステップS7では、正常時処理を行い、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。正常時処理では、画面操作部32での操作イベントの割り当ては前述の正常時割り当てとするとともに、表示制御部31での画面遷移モデルは前述の正常時モデルに従うものとして、4方向操作キーの入力に応じて画面の遷移や操作用画像の選択を行う
以上の構成によれば、4方向操作キーのうちの上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、左右のスイッチだけで、第1上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0085】
ここで、下方向SW22に故障が生じた場合の例を、図12を用いて説明を行う。図12は、下方向SW22に故障が生じた場合の左右スイッチによる代替の一例を示す図である。図12に示すように、下方向SW22の故障を検知した場合には、選択用画面に第1上下故障時用マスク画像を重畳した上下系故障時選択用画面がディスプレイ1に表示されることになる。
【0086】
続いて、上下系故障時選択用画面において右方向SW24を押下すると、その入力に応じて選択用画面に第3上下故障時用マスク画像を重畳した上下系故障時下/右画面がディスプレイ1に表示されることになる。そして、上下系故障時下/右画面において左方向SW23を押下すれば、機能Cの実行を決定するための画面に遷移し、下方向SW22で選択する筈であった機能Cを選択することが可能になる。
【0087】
また、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合には、上下のスイッチだけで、第1左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0088】
ここで、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、図2に示すように、1種類の画面に対して、各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面については、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、図2に示すように5枚の画面(図2中のg〜k参照)が新たに必要となる。
【0089】
また、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、1種類の画面に対して、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面についても、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障の場合と同様に5枚の画面が新たに必要となる。
【0090】
つまり、上方向、下方向、上および下方向、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、1種類の画面に対して、6パターンの画面の遷移モデルと10枚の画面が新たに必要となる。
【0091】
これに対して、以上の構成によれば、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対しては、共通に用いることができる第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。また、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対しては、共通に用いることができる第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。つまり、合計6枚の画像が必要なだけである。
【0092】
さらに、上下系の故障の場合には第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して用い、左右系の故障の場合には第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとに各パターンのスイッチの故障に応じた遷移モデルが必要とならない。具体的には、選択用画面の種類が増えても、上下系故障時モデルと左右系故障時モデルとの2パターンの画面遷移モデルと6枚のマスク画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0093】
また、以上の構成によれば、故障が検知されたスイッチによる操作用画像の選択を行うことが出来なくなった場合でも、故障が検知されていないスイッチによって操作用画像を選択することが可能になる。また、4方向操作キーのうちの故障が検知されていないスイッチによって代替を行うので、余分なスイッチを設けるコストがかからない。さらに、選択用画面にマスク画像を重畳させるだけなので、操作用画像の配置といった選択用画面の画面レイアウトを大きく変更することがない。よって、ユーザにとっての選択用画面の見易さを損ないにくい。
【0094】
その結果、ディスプレイ1と操作デバイス2とが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイス2の故障によって当該操作デバイス2によるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【0095】
なお、前述の実施形態では、故障時用のマスク画像において、上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画とに区切る構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画と下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画とに区切る構成としてもよい。
【0096】
詳しくは、前述の第1上下故障時用マスク画像の代わりに、上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画(以下、上/右区画)と下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組との区画(以下、下/左区画)とを区切る区切り、および左右スイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための左右を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0097】
また、前述の第2上下故障時用マスク画像の代わりには、上記上/右区画に相当する区画について上方向の操作用画像の区画と右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右スイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左右を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0098】
さらに、前述の第3上下故障時用マスク画像の代わりには、上記下/左区画に相当する区画について下方向の操作用画像の区画と左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右スイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左右を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0099】
また、前述の第1左右故障時用マスク画像の代わりに、前述の上/右区画と下/左区画とを区切る区切り、および上下スイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための上下を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0100】
さらに、前述の第2左右故障時用マスク画像の代わりには、上記上/右区画に相当する区画について上方向の操作用画像の区画と右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下スイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上下を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0101】
そして、前述の第3左右故障時用マスク画像の代わりには、上記下/左区画に相当する区画について下方向の操作用画像の区画と左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下スイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上下を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0102】
この場合であっても、前述の実施形態と同様に、ディスプレイ1と操作デバイス2とが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイス2の故障によって当該操作デバイス2によるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【0103】
また、前述の実施形態では、4方向操作キーからなる操作デバイス2に本発明を適用した例について示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、4方向以外の3方向や5方向以上の複数方向についてのスイッチからなる操作デバイス2に本発明を適用してもよい。
【0104】
この場合には、前述の第1上下故障時用マスク画像や第1左右故障時用マスク画像の代わりに、故障を検知しなかったスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像(以下、非故障方向操作用画像)と故障方向操作用画像が組みになるように選択用画面を複数区画に区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該区画を択一的に選択させるためのマーク等の案内を重畳して表示させるための第1のマスク画像を用いる。
【0105】
また、前述の第2上下故障時用マスク画像や第3上下故障時用マスク画像や第2左右故障時用マスク画像や第3左右故障時用マスク画像の代わりに、故障方向操作用画像と非故障方向操作用画像とが含まれる区画に相当する区画について故障方向操作用画像が含まれる区画と故障方向操作用画像が含まれない区画とにさらに区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで故障方向操作用画像が含まれる区画と故障方向操作用画像が含まれない区画とを択一的に選択させるためのマーク等の案内を重畳して表示させるための第2のマスク画像を用いる。
【0106】
この構成においては、操作デバイス2の複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、第1のマスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、故障を検知していないスイッチからの信号に応じた選択に従って、第2のマスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させる。そして、第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの故障方向操作用画像のみが含まれる区画を選択することによって、故障方向操作用画像を選択する。
【0107】
以上の構成によっても、第1のマスク画像や第2のマスク画像を選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとの遷移モデルを必要とせず、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。また、選択用画面に第1のマスク画像や第2のマスク画像を重畳させるだけなので、操作用画像の配置といった選択用画面の画面レイアウトを大きく変更することがなく、ユーザにとっての選択用画面の見易さを損ないにくい。
【0108】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1 ディスプレイ、2 操作デバイス、3 制御装置(車両用操作入力装置)、21 上方向SW、22 下方向SW、23 左方向SW、24 右方向SW、25 決定SW、26 戻るSW、31 表示制御部(表示制御手段)、32 画面操作部(選択手段)、33 故障検知部(故障検知手段)、100 車両用操作入力システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、GUI(Graphical User Interface)に用いられる車両用操作入力装置および車両用操作入力システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のHMI(Human Machine Interface)として、ディスプレイの画面上にカーエアコンやカーオーディオ等の車載器の機能を示すアイコンやボタン等のグラフィックを集約して表示するとともに、ユーザが操作デバイスによって目的の機能を示すグラフィックを選択することで各車載器の操作を行うことが可能なGUIが知られている。
【0003】
このようなGUIでは、操作デバイスの故障によって目的の機能を示すグラフィックが選択できなくなると、目的の機能が利用できなくなるという課題があった。そこで、この課題を解決する手段として、例えば特許文献1には、タッチパネルを含む操作入力系に異常が生じた場合に、異常によって利用不可となったタッチパネルの範囲を避けた位置に操作キーの表示位置が変更されるように画面レイアウトを変更する技術が開示されている。他にも、特許文献2には、タッチパネルに故障が生じた場合に、表示面のうち異常箇所に対応する位置に表示されていた操作ボタンを正常部分に対応する位置に表示させる技術が開示されている。
【0004】
また、車両のGUIとして、タッチパネルのようにディスプレイと操作デバイスとが一体となったもの以外のGUIも知られている。例えば、ディスプレイとしてヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いる一方、操作デバイスとしてセンターコンソールやステアリングに設けたスイッチを用いるといったように、ドライバの視線移動を最小限に抑えるためにディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−119931号公報
【特許文献2】特開2009−3756号公報
【特許文献3】特開2001−337761号公報
【特許文献4】特開平6−286534号公報
【特許文献5】特開2010−157362号公報
【特許文献6】特開平7−71572号公報
【特許文献7】特開2007−285969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいては、タッチパネルのタッチスイッチとは異なって、キースイッチやボタンスイッチ等の固定されたスイッチを用いることになるので、特許文献1および特許文献2に開示の技術を適用することは出来ないという課題があった。また、故障に備えて操作デバイスに予め余分なスイッチを設けることも考えられるが、余分なスイッチを新たに設ける分のコストの増加が生じるという課題があった。
【0007】
他にも、操作デバイスの一部のスイッチに故障が生じた場合、ディスプレイの画面を階層化し、故障が生じていないスイッチによる選択のみで目的の機能を示すグラフィックを選択できるようにすることも考えられる。ここで、機能を示すグラフィックが画面上の上下左右の4方向に割り付けられており(それぞれ機能A、C、B、Dとする)、各方向に割り付けられたグラフィックを上下左右の4方向のスイッチによってそれぞれ選択できるようになっているGUI(図1参照)を例に挙げて説明する。
【0008】
例えば、上方向を選択するスイッチに故障が生じた場合には、上方向以外の例えば下方向に、本来は上方向に割り付ける筈の機能Aと下方向に割り付ける機能Cとの両方を示すグラフィクを下方向に割り付けた画面を表示させることが考えられる。そして、下方向が選択された場合には、上方向以外の例えば左方向に機能A、右方向に機能Cを割り付けた画面に遷移し、左方向が選択された場合には機能Aを選択し、右方向が選択された場合には機能Cを選択するようにすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、この場合には、故障が1つのスイッチのみで生じると想定したときに、1種類の画面に対して、上下左右の各スイッチの故障のパターンである4パターン分だけ階層化された画面(図1のa〜fの6枚)とその遷移モデル(4パターン)を準備する必要がある。よって、開発工数やメモリが多く必要となり、コストが増大してしまうという課題があった。また、画面レイアウトを大きく変更してしまうため、ユーザにとっての見易さが低下し、快適性が低下する可能性が高いという課題もあった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことを、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能にする車両用操作入力装置および車両用操作入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の車両用操作入力装置においては、操作デバイスの複数のスイッチの個々の故障を検知する故障検知手段を備えるとともに、第1のマスク画像のデータと第2のマスク画像のデータを保持している。表示制御手段は、故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、第1のマスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、故障を検知していないスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、第2のマスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させる。そして、第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの故障方向操作用画像のみが含まれる区画を選択手段で選択することによって、故障方向操作用画像を選択することになる。
【0012】
第1のマスク画像のデータは、故障を検知したスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である故障方向操作用画像が、故障を検知しなかったスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である非故障方向操作用画像と組みになるように、選択用画面を複数区画に区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像のデータである。
【0013】
第2のマスク画像のデータは、故障方向操作用画像と非故障方向操作用画像とが含まれる区画に相当する区画について当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とにさらに区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像のデータである。
【0014】
以上の構成によれば、操作デバイスの複数のスイッチのうちの一部のスイッチが故障した場合に、故障を検知していないスイッチだけで、第1のマスク画像を重畳した選択用画面から第2のマスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0015】
ここで、各方向のスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、1種類の選択用画面に対して、スイッチの故障のパターン分だけ階層化された画面が必要となるとともに、当該パターン分だけの数の画面の遷移モデルが必要となる。これに対して、請求項1の構成によれば、第1のマスク画像や第2のマスク画像を選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとの遷移モデルを必要とせず、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0016】
また、請求項1の構成によれば、故障が検知されたスイッチによる操作用画像の選択を行うことが出来なくなった場合でも、故障が検知されていないスイッチによって操作用画像を選択することが可能になる。また、操作デバイスのスイッチのうちの故障が検知されていないスイッチによって代替を行うので、余分なスイッチを設けるコストがかからない。
【0017】
さらに、請求項1の構成によれば、選択用画面に第1のマスク画像や第2のマスク画像を重畳させるだけなので、操作用画像の配置といった選択用画面の画面レイアウトを大きく変更することがない。よって、ユーザにとっての選択用画面の見易さを損ないにくい。
【0018】
その結果、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【0019】
ここで、操作デバイスが上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、表示制御手段が、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものである場合には、例えば、請求項2〜5の態様がある。
【0020】
請求項2の構成によれば、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、左右のスイッチだけで、第1上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった操作用画像(以下、故障方向操作用画像)を選択できるようになる。
【0021】
ここで、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、図2に示すように、1種類の画面に対して、各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面については、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、図2に示すように5枚の画面(図2中のg〜k参照)が新たに必要となる。
【0022】
これに対して、請求項2の構成によれば、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して共通に用いることができる第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。また、第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像は選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとに各パターンのスイッチの故障に応じた遷移モデルが必要とならない。よって、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0023】
請求項3の構成においても、請求項2の構成と同様に、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、左右のスイッチだけで、第1上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。従って、請求項3の構成でも、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0024】
請求項4の構成によれば、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、上下のスイッチだけで、第1左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0025】
ここで、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障の場合と同様に、1種類の画面に対して、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面についても、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障の場合と同様に5枚の画面が新たに必要となる。
【0026】
これに対して、請求項4の構成によれば、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して共通に用いることができる第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。また、第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像は選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとに左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった各パターンのスイッチの故障に応じた遷移モデルが必要とならない。よって、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0027】
請求項5の構成においても、請求項4の構成と同様に、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、上下のスイッチだけで、第1左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。従って、請求項5の構成でも、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対して、1パターンの遷移モデルと3枚の新たな画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0028】
請求項6の構成によれば、表示制御手段は、故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、ディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うので、当該スイッチによって操作用画像を選択することが出来ないことをユーザが迅速に認識することが可能になる。
【0029】
請求項7の車両用操作入力システムにおいては、車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を表示するディスプレイと、ユーザによって操作される複数のスイッチからなるとともにディスプレイとは別体に設けられた操作デバイスと、前記のいずれかに記載の車両用操作入力装置とを含むことなる。従って、ディスプレイと操作デバイスとが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイスの故障によって当該操作デバイスによるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】4方向のスイッチの各方向のスイッチの故障に応じてディスプレイの画面を単純に階層化し、故障が生じていないスイッチによる選択のみで目的の機能を示すグラフィックを選択できるようにする場合の例を示す模式図である。
【図2】上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じてディスプレイの画面を単純に階層化し、左右方向のスイッチによる選択のみで目的の機能を示すグラフィックを選択できるようにする場合の例を示す模式図である。
【図3】車両用操作入力システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図4】操作デバイス2の概略的な構成を説明するための模式図である。
【図5】ディスプレイ1に表示される選択用画面の一例を示す図である。
【図6】正常時モデルの一例を説明するための模式図である。
【図7】制御装置3での代替処理に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。
【図8】左右系故障時処理の概要を示す模式図である。
【図9】(a)は第1左右故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(b)は第2左右故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(c)は第3左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。
【図10】上下系故障時処理の概要を示す模式図である。
【図11】(a)は第1上下故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(b)は第2上下故障時用マスク画像の一例を示す図であって、(c)は第3上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。
【図12】下方向SW22に故障が生じた場合の左右スイッチによる代替の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図3は、本発明が適用された車両用操作入力システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図3に示す車両用操作入力システム100は、車両に搭載されるものであり、ディスプレイ1、操作デバイス2、および制御装置3を含んでいる。
【0032】
車両用操作入力システム100では、GUIを採用しており、ディスプレイ1の画面上にカーエアコンやカーオーディオ等の車載器の機能を示すアイコンやボタン等のグラフィック(つまり、車載器に対する操作入力を行うための操作用画像)を集約して表示するとともに、ユーザが操作デバイス2によって目的の機能を示す操作用画像を選択することで各車載器の操作を行うことが可能となっている。
【0033】
ディスプレイ1は、制御装置3の指示に従った画像を表示するものであり、車室内に設けられている。例えばディスプレイ1としては、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を用いる構成としてもよいし、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイを利用する構成としてもよい。また、車載ナビゲーション装置に用いられるディスプレイとは別に、インストゥルメントパネル等に設けたディスプレイを用いる構成としてもよい。
【0034】
操作デバイス2は、ディスプレイ1の画面上の操作用画像を選択するために用いられるポインティングデバイスであって、ディスプレイ1とは別体に設けられる。操作デバイス2は、例えば車両のステアリングやセンターコンソール等に設けられる構成とすればよい。
【0035】
また、操作デバイス2はスイッチ(SW)からなっており、複数の方向を指定可能となっている。例えば操作デバイス2は、プッシュSWやロータリSWやチルトSW等のスイッチからなる構成としてもよいし、これらを組み合わせたものからなる構成としてもよい。一例としては、指定する方向ごとの複数のプッシュSWからなる構成としてもよいし、指定する方向ごとの接点を有するロータリSWからなる構成としてもよい。
【0036】
本実施形態では、操作デバイス2は、「上方向」、「下方向」、「左方向」、「右方向」、「決定」、「戻る」の6種類のプッシュSWからなる場合を例に挙げて以降の説明を続ける。ここで、図4を用いて操作デバイス2の概略的な構成について説明を行う。図4は、操作デバイス2の概略的な構成を説明するための模式図である。
【0037】
操作デバイス2は、図4に示すように、上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24、決定SW25、および戻るSW26の6種類のスイッチからなっている。
【0038】
上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24は、それぞれディスプレイ1の画面上の上下左右の各方向を指定して操作用画像を選択するためのスイッチである。以下では、上方向SW21、下方向SW22、左方向SW23、右方向SW24の4つのスイッチを4方向操作キーと呼ぶ。決定SW25は、選択を決定したりなどするためのスイッチである。戻るSW26は、操作用画像の選択によって更なる選択を行うための画面に遷移した場合に、遷移前の画面に戻るなどするためのスイッチである。
【0039】
操作デバイス2のスイッチをユーザが操作した場合には、操作したスイッチに対応する信号(つまり、操作情報)が制御装置3に送られる。例えば、スイッチごとに信号を伝達するための信号線がそれぞれ設けられており、その信号線を介して操作情報が制御装置3に送られるものとする。
【0040】
図3に戻って、制御装置3は、CPU、ROM、RAM、EEPROM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、操作デバイス2から入力される情報をもとにROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、操作用画像の選択に関する処理、操作用画像が示す車載器の機能の実行に関する処理、操作デバイス2の故障時の代替処理等の各種の処理を実行する。図3に示すように制御装置3は、表示制御部31、画面操作部32、および故障検知部33を備えている。なお、制御装置3が請求項の車両用操作入力装置に相当する。
【0041】
表示制御部31は、例えば図5に示すように、操作デバイス2の4方向操作キーの各方向に応じた位置に操作用画像が配置された選択用画面をディスプレイ1で表示させる。図3は、ディスプレイ1に表示される選択用画面の一例を示す図である。図3中の機能A〜Dの表示が操作用画像に該当する。図5に示す選択用画面の例では、上方向に機能A、右方向に機能B、下方向に機能C、左方向に機能Dが配置されている。なお、表示制御部31が請求項の表示制御手段に相当する。
【0042】
表示制御部31は、画面操作部32において操作用画像の選択が行われた場合に、その操作用画像について更なる選択用画面を表示させる必要がある場合には、新たな選択用画面に遷移させる。また、表示制御部31は、故障検知部33での故障の検知結果の情報をもとに、操作デバイス2のスイッチの故障の有無に応じて、選択用画面から画面を遷移させていく画面遷移モデルの変更を行う。他にも、表示制御部31は、故障検知部33から指示があった場合に、操作デバイス2の故障時用の通知画面を表示させる。なお、画面遷移モデルおよび故障時用の通知画面の詳細については後述する。
【0043】
画面操作部32は、操作デバイス2の4方向操作キーからの操作情報に従って操作用画像の選択を行う。よって、画面操作部32が請求項の選択手段に相当する。詳しくは、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の上方向に配置されている操作用画像を選択し、下方向SW22からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の下方向に配置されている操作用画像を選択する。また、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の左方向に配置されている操作用画像を選択し、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の右方向に配置されている操作用画像を選択する。
【0044】
他にも、戻るSW26からの操作情報が入力された場合には、遷移前の画面に戻す指示を表示制御部31に送って、遷移前の画面に戻させる。また、選択の決定が必要な状況において、決定SW25からの操作情報が入力された場合には、その選択の決定を行う。例えば、操作用画像について更なる選択用画面が表示されない状況において決定SW25からの操作情報が入力された場合に、当該操作用画像が示す機能の実行を決定する構成としてもよい。そして、決定が行われた場合には、当該機能を実行させる指示を対象となる車載器に送って、目的の機能を実行させる。なお、操作デバイス2のスイッチ操作に応じて行われる上下左右のいずれかの操作用画像の選択、選択の決定、遷移前の画面に戻すといったイベントを以下では操作イベントと呼ぶ。
【0045】
画面操作部32は、故障検知部33での故障の検知結果の情報をもとに、操作デバイス2のスイッチの故障の有無に応じて処理を行う。例えば画面操作部32は、故障検知部33で操作デバイス2のいずれのスイッチの故障も検知していない場合には、操作デバイス2の4方向操作キーの操作情報に対して上述したような対応関係となるように操作イベントの割り当てを行っている。以降では、操作デバイス2のいずれのスイッチの故障も検知していない場合の操作イベントの割り当てを正常時割り当てと呼ぶ。
【0046】
また、故障検知部33で操作デバイス2のいずれのスイッチの故障も検知していない場合には、表示制御部31では、上記正常時割り当てに対応する画面遷移モデル(以下、正常時モデル)に従って選択用画面の遷移を行わせる。ここで、正常時モデルについて図6を用いて説明を行う。図6は、正常時モデルの一例を説明するための模式図である。図6では、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示す。
【0047】
例えば、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の上方向に配置されている機能Aの実行を決定するための画面に遷移し、下方向SW22からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の下方向に配置されている機能Cの実行を決定するための画面に遷移する。また、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の左方向に配置されている機能Dの実行を決定するための画面に遷移し、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、選択用画面の右方向に配置されている機能Bの実行を決定するための画面に遷移する。
【0048】
一方、表示制御部31および画面操作部32は、故障検知部33で操作デバイス2のいずれかのスイッチの故障を検知した場合には代替処理を行う。表示制御部31における代替処理は、正常時モデルに代わって、正常時モデルに故障時用の画面遷移モデルを差込んだ画面遷移モデルに従って画面を遷移させる処理を示す。また、画面操作部32における代替処理は、4方向操作キーのうちの故障が検知されていないスイッチからの操作情報に応じて故障時用の画面を遷移させるように操作イベントの再割り当てを行う処理を示す。本実施形態では、便宜上、故障検知部33で操作デバイス2の4方向操作キーの故障を検知した場合に代替処理を行う構成を例に挙げて説明を行う。
【0049】
ここで、図7を用いて、制御装置3での代替処理に関連する処理についての説明を行う。図7は、制御装置3での代替処理に関連する処理のフローの一例を示すフローチャートである。なお、本フローは、例えば自車両のACC電源がオンになったときに開始され、ACC電源がオフになったときに終了する。
【0050】
まず、ステップS1では、故障検知部33で4方向操作キーのいずれかのスイッチに故障があるか否かの故障判定を行ってステップS2に移る。故障判定は、故障検知部33で故障を検知したか否かに応じて行う。よって、故障検知部33が請求項の故障検知手段に相当する。故障には、例えばプッシュSWが押し込まれたまま復帰しない固着や4方向操作キーと制御装置3とを接続する信号線の断線等がある。また、4方向操作キーから出力される信号のオンオフがユーザ操作の限界を超えた速度で切り替わる異常や4方向操作キーが有接点スイッチである場合には接点部分の破損等もある。
【0051】
例えば固着については、4方向操作キーから出力される信号が一定時間以上オンであり続けることをもとにして検知する構成とすればよい。4方向操作キーから出力される信号のオンオフがユーザ操作の限界を超えた速度で切り替わる異常については、オンオフの切り替えの頻度をもとに検知する構成とすればよい。断線や接点部分の破損については、電流の通電状態をもとに検知する構成とすればよい。また、故障検知部33での故障の検知は、特許文献3〜7に開示されているような公知の方法を利用して行う構成としてもよい。
【0052】
ステップS2では、故障判定で故障があると判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、故障判定で故障があると判定しなかった場合(ステップS2でNO)には、ステップS7に移る。
【0053】
ステップS3では、故障検知部33から表示制御部31に操作デバイス2のスイッチの故障通知を行う。故障通知には、故障を検知したことを示す情報以外にも例えば故障を検知したスイッチを特定する情報も含まれるものとする。そして、表示制御部31は、故障通知をもとに、操作デバイス2の故障時用の通知画面をディスプレイ1に表示させ、ステップS4に移る。
【0054】
故障時用の通知画面では、操作デバイス2のスイッチの故障を示す表示を行う。故障を検知したスイッチを特定する情報は、故障を検知したスイッチを知らせる内容の通知を行なうために用いる構成とすればよい。例えば「操作デバイスの故障」や「上方向キーが故障中です」等の操作デバイス2のスイッチの故障を示すテキスト表示を行うことによって、操作デバイス2のスイッチの故障をユーザに通知する構成とすればよい。これによれば、当該スイッチによって操作用画像を選択することが出来ないことをユーザが迅速に認識することが可能になる。なお、テキスト表示以外にも、アイコン等の画像表示によってスイッチの故障を示す表示を行う構成としてもよい。
【0055】
ステップS4では、故障検知部33で左方向SW23もしくは右方向SW24の故障を検知したか否か(つまり、左右スイッチが故障か否か)を判定する。そして、左方向SW23および右方向SW24の少なくともいずれかのスイッチ(以下、左右スイッチ)の故障を検知していた場合(ステップS4でYES)には、ステップS5に移る。また、上方向SW21もしくは下方向SW22の少なくともいずれか(以下、上下スイッチ)の故障を検知していた場合(ステップS4でNO)には、ステップS6に移る。
【0056】
ステップS5では、左右系故障時処理を行い、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。左右系故障時処理では、表示制御部31は、左右スイッチが故障した場合の画面遷移モデル(以下、左右系故障時モデル)を正常時モデルに差込んだ画面遷移モデルを用いる。また、画面操作部32は、上方向SW21や下方向SW22からの操作情報を無効とし、左方向SW23や右方向SW24からの操作情報に応じて、左右系故障時モデルにおける画面を遷移させる指示を表示制御部31に送る。
【0057】
ここで、図8および図9(a)〜図9(c)を用いて左右系故障時処理の概要について説明を行う。図8は、左右系故障時処理の概要を示す模式図である。図9(a)は第1左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。図9(b)は第2左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。図9(c)は第3左右故障時用マスク画像の一例を示す図である。ここでは、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示す。
【0058】
まず、左右スイッチの故障(つまり、左右系の故障)であった場合には、正常時モデルの選択用画面と同様の選択用画面(図5参照)に図9(a)に示すような第1左右故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、左右系故障時選択用画面)を表示制御部31が表示させる。
【0059】
第1左右故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、およびこれらの区画を択一的に選択させるための上方向のマークと下方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。
【0060】
続いて、左右系故障時選択用画面において、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時選択用画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、上方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図9(b)に示すような第2左右故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、左右系故障時上/左画面)を表示制御部31が表示させる。
【0061】
第2左右故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上方向のマークと下方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第2左右故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0062】
一方、左右系故障時選択用画面において、下方向SW22からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時選択用画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、下方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図9(c)に示すような第3左右故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、左右系故障時下/右画面)を表示制御部31が表示させる。
【0063】
第3左右故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上方向のマークと下方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第3左右故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0064】
続いて、左右系故障時上/左画面において、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時上/左画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、上方向のマークが付された区画(つまり、画面上の上方向)を選択する。このとき、画面上の上方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「上」)を行い、機能Aの実行を決定するための画面に遷移する。
【0065】
また、下方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時上/左画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、下方向のマークが付された区画(つまり、画面上の左方向)を選択する。このとき、画面上の左方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「左」)を行い、機能Dの実行を決定するための画面に遷移する。
【0066】
一方、左右系故障時下/右画面において、上方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時下/右画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、上方向のマークが付された区画(つまり、画面上の右方向)を選択する。このとき、画面上の右方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「右」)を行い、機能Bの実行を決定するための画面に遷移する。
【0067】
また、下方向SW21からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が左右系故障時下/右画面の上方向のマークが付された区画と下方向のマークが付された区画とのうち、下方向のマークが付された区画(つまり、画面上の下方向)を選択する。このとき、画面上の下方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「下」)を行い、機能Cの実行を決定するための画面に遷移する。
【0068】
以上に説明したような画面の遷移モデルが左右系故障時モデルに相当する。本実施形態では、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。選択用画面の種類が異なった場合であっても、第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳させることで上述したような左右系故障時モデルを常に適用することができる。
【0069】
また、第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像のデータについては、例えば制御装置3のROM等の不揮発性のメモリに予め格納しておくものとする。
【0070】
ステップS6では、上下系故障時処理を行い、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。上下系故障時処理では、表示制御部31は、上下スイッチが故障した場合の画面遷移モデル(以下、上下系故障時モデル)を正常時モデルに差込んだ画面遷移モデルを用いる。また、画面操作部32は、左方向SW23や右方向SW24からの操作情報を無効とし、上方向SW21や下方向SW22からの操作情報に応じて、上下系故障時モデルにおける画面を遷移させる指示を表示制御部31に送る。
【0071】
ここで、図10および図11(a)〜図11(c)を用いて上下系故障時処理の概要について説明を行う。図10は、上下系故障時処理の概要を示す模式図である。図11(a)は第1上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。図11(b)は第2上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。図11(c)は第3上下故障時用マスク画像の一例を示す図である。ここでは、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示す。
【0072】
まず、上下スイッチの故障(つまり、上下系の故障)であった場合には、正常時モデルの選択用画面と同様の選択用画面(図5参照)に図11(a)に示すような第1上下故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、上下系故障時選択用画面)を表示制御部31が表示させる。
【0073】
第1上下故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、およびこれらの区画を択一的に選択させるための左方向のマークと右方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。
【0074】
続いて、上下系故障時選択用画面において、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時選択用画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、左方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図11(b)に示すような第2上下故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、上下系故障時上/左画面)を表示制御部31が表示させる。
【0075】
第2上下故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左方向のマークと右方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第2上下故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0076】
一方、上下系故障時選択用画面において、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時選択用画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、右方向のマークが付された区画を選択する。そして、上記選択用画面に図11(c)に示すような第3上下故障時用マスク画像を重畳した画面(以下、上下系故障時下/右画面)を表示制御部31が表示させる。
【0077】
第3上下故障時用マスク画像は、画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左方向のマークと右方向のマークとを重畳して表示させるためのマスク画像である。また、第3上下故障時用マスク画像は、画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画についてはマスクするようになっている。
【0078】
続いて、上下系故障時上/左画面において、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時上/左画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、左方向のマークが付された区画(つまり、画面上の左方向)を選択する。このとき、画面上の左方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「左」)を行い、機能Dの実行を決定するための画面に遷移する。
【0079】
また、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時上/左画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、右方向のマークが付された区画(つまり、画面上の上方向)を選択する。このとき、画面上の上方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「上」)を行い、機能Aの実行を決定するための画面に遷移する。
【0080】
一方、上下系故障時下/右画面において、左方向SW23からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時下/右画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、左方向のマークが付された区画(つまり、画面上の下方向)を選択する。このとき、画面上の下方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「下」)を行い、機能Cの実行を決定するための画面に遷移する。
【0081】
また、右方向SW24からの操作情報が入力された場合には、画面操作部32が上下系故障時下/右画面の左方向のマークが付された区画と右方向のマークが付された区画とのうち、右方向のマークが付された区画(つまり、画面上の右方向)を選択する。このとき、画面上の右方向の操作用画像を選択する操作イベント(操作イベント「右」)を行い、機能Bの実行を決定するための画面に遷移する。
【0082】
以上に説明したような画面の遷移モデルが上下系故障時モデルに相当する。本実施形態では、図5で示す選択用画面から画面が遷移していく場合の例を示したが、必ずしもこれに限らない。選択用画面の種類が異なった場合であっても、第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳させることで上述したような上下系故障時モデルを常に適用することができる。
【0083】
また、第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像のデータについては、例えば制御装置3のROM等の不揮発性のメモリに予め格納しておくものとする。なお、第1左右故障時用マスク画像および第1上下故障時用マスク画像が請求項の第1のマスク画像に相当し、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、および第3上下故障時用マスク画像が請求項の第2のマスク画像に相当する。
【0084】
ステップS7では、正常時処理を行い、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。正常時処理では、画面操作部32での操作イベントの割り当ては前述の正常時割り当てとするとともに、表示制御部31での画面遷移モデルは前述の正常時モデルに従うものとして、4方向操作キーの入力に応じて画面の遷移や操作用画像の選択を行う
以上の構成によれば、4方向操作キーのうちの上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合に、左右のスイッチだけで、第1上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3上下故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0085】
ここで、下方向SW22に故障が生じた場合の例を、図12を用いて説明を行う。図12は、下方向SW22に故障が生じた場合の左右スイッチによる代替の一例を示す図である。図12に示すように、下方向SW22の故障を検知した場合には、選択用画面に第1上下故障時用マスク画像を重畳した上下系故障時選択用画面がディスプレイ1に表示されることになる。
【0086】
続いて、上下系故障時選択用画面において右方向SW24を押下すると、その入力に応じて選択用画面に第3上下故障時用マスク画像を重畳した上下系故障時下/右画面がディスプレイ1に表示されることになる。そして、上下系故障時下/右画面において左方向SW23を押下すれば、機能Cの実行を決定するための画面に遷移し、下方向SW22で選択する筈であった機能Cを選択することが可能になる。
【0087】
また、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合には、上下のスイッチだけで、第1左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面から第2左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面もしくは第3左右故障時用マスク画像を重畳した選択用画面に遷移させ、故障を検知したスイッチで選択できなくなった故障方向操作用画像を選択できるようになる。
【0088】
ここで、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、図2に示すように、1種類の画面に対して、各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面については、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、図2に示すように5枚の画面(図2中のg〜k参照)が新たに必要となる。
【0089】
また、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、1種類の画面に対して、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった各パターンのスイッチの故障に応じた3パターンの画面の遷移モデルが必要となる。また、画面についても、各パターン分だけ階層化された画面が必要となり、共通に用いることのできる画面を除くと、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障の場合と同様に5枚の画面が新たに必要となる。
【0090】
つまり、上方向、下方向、上および下方向、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に応じた画面の階層化を単純に行う場合には、1種類の画面に対して、6パターンの画面の遷移モデルと10枚の画面が新たに必要となる。
【0091】
これに対して、以上の構成によれば、上方向、下方向、上および下方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対しては、共通に用いることができる第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。また、左方向、右方向、左および右方向のスイッチの故障といった3パターンのスイッチの故障に対しては、共通に用いることができる第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像の3枚の画像が必要なだけである。つまり、合計6枚の画像が必要なだけである。
【0092】
さらに、上下系の故障の場合には第1上下故障時用マスク画像、第2上下故障時用マスク画像、第3上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して用い、左右系の故障の場合には第1左右故障時用マスク画像、第2左右故障時用マスク画像、第3左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとに各パターンのスイッチの故障に応じた遷移モデルが必要とならない。具体的には、選択用画面の種類が増えても、上下系故障時モデルと左右系故障時モデルとの2パターンの画面遷移モデルと6枚のマスク画像の追加で済ませることができ、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。
【0093】
また、以上の構成によれば、故障が検知されたスイッチによる操作用画像の選択を行うことが出来なくなった場合でも、故障が検知されていないスイッチによって操作用画像を選択することが可能になる。また、4方向操作キーのうちの故障が検知されていないスイッチによって代替を行うので、余分なスイッチを設けるコストがかからない。さらに、選択用画面にマスク画像を重畳させるだけなので、操作用画像の配置といった選択用画面の画面レイアウトを大きく変更することがない。よって、ユーザにとっての選択用画面の見易さを損ないにくい。
【0094】
その結果、ディスプレイ1と操作デバイス2とが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイス2の故障によって当該操作デバイス2によるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【0095】
なお、前述の実施形態では、故障時用のマスク画像において、上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画とに区切る構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画と下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画とに区切る構成としてもよい。
【0096】
詳しくは、前述の第1上下故障時用マスク画像の代わりに、上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画(以下、上/右区画)と下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組との区画(以下、下/左区画)とを区切る区切り、および左右スイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための左右を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0097】
また、前述の第2上下故障時用マスク画像の代わりには、上記上/右区画に相当する区画について上方向の操作用画像の区画と右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右スイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左右を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0098】
さらに、前述の第3上下故障時用マスク画像の代わりには、上記下/左区画に相当する区画について下方向の操作用画像の区画と左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右スイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための左右を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0099】
また、前述の第1左右故障時用マスク画像の代わりに、前述の上/右区画と下/左区画とを区切る区切り、および上下スイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための上下を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0100】
さらに、前述の第2左右故障時用マスク画像の代わりには、上記上/右区画に相当する区画について上方向の操作用画像の区画と右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下スイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上下を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0101】
そして、前述の第3左右故障時用マスク画像の代わりには、上記下/左区画に相当する区画について下方向の操作用画像の区画と左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下スイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための上下を示すマークを重畳して表示させるためのマスク画像を用いる。
【0102】
この場合であっても、前述の実施形態と同様に、ディスプレイ1と操作デバイス2とが離れた位置に設けられるGUIにおいて、操作デバイス2の故障によって当該操作デバイス2によるディスプレイ画面上での一部の選択が不能となった場合に、選択不能となった選択を行うことが、ユーザにとっての快適性の低下を抑えながら低コストで可能になる。
【0103】
また、前述の実施形態では、4方向操作キーからなる操作デバイス2に本発明を適用した例について示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、4方向以外の3方向や5方向以上の複数方向についてのスイッチからなる操作デバイス2に本発明を適用してもよい。
【0104】
この場合には、前述の第1上下故障時用マスク画像や第1左右故障時用マスク画像の代わりに、故障を検知しなかったスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像(以下、非故障方向操作用画像)と故障方向操作用画像が組みになるように選択用画面を複数区画に区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該区画を択一的に選択させるためのマーク等の案内を重畳して表示させるための第1のマスク画像を用いる。
【0105】
また、前述の第2上下故障時用マスク画像や第3上下故障時用マスク画像や第2左右故障時用マスク画像や第3左右故障時用マスク画像の代わりに、故障方向操作用画像と非故障方向操作用画像とが含まれる区画に相当する区画について故障方向操作用画像が含まれる区画と故障方向操作用画像が含まれない区画とにさらに区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで故障方向操作用画像が含まれる区画と故障方向操作用画像が含まれない区画とを択一的に選択させるためのマーク等の案内を重畳して表示させるための第2のマスク画像を用いる。
【0106】
この構成においては、操作デバイス2の複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、第1のマスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、故障を検知していないスイッチからの信号に応じた選択に従って、第2のマスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させる。そして、第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの故障方向操作用画像のみが含まれる区画を選択することによって、故障方向操作用画像を選択する。
【0107】
以上の構成によっても、第1のマスク画像や第2のマスク画像を選択用画面に重畳して用いるので、選択用画面の種類ごとの遷移モデルを必要とせず、開発工数やメモリの増加によるコストを抑えることができる。また、選択用画面に第1のマスク画像や第2のマスク画像を重畳させるだけなので、操作用画像の配置といった選択用画面の画面レイアウトを大きく変更することがなく、ユーザにとっての選択用画面の見易さを損ないにくい。
【0108】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
1 ディスプレイ、2 操作デバイス、3 制御装置(車両用操作入力装置)、21 上方向SW、22 下方向SW、23 左方向SW、24 右方向SW、25 決定SW、26 戻るSW、31 表示制御部(表示制御手段)、32 画面操作部(選択手段)、33 故障検知部(故障検知手段)、100 車両用操作入力システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を、車両に設けられたディスプレイに表示する表示制御手段と、
ユーザによって操作される3つ以上の方向についての複数のスイッチからなるとともに前記ディスプレイとは別体に設けられている操作デバイスの当該スイッチからの信号に応じて、前記操作用画像を選択する選択手段とを備え、
前記表示制御手段は、複数種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上における前記操作デバイスの複数のスイッチのうちのいずれかに対応する方向に各操作用画像を別々に割り付けて表示する車両用操作入力装置であって、
前記操作デバイスの複数のスイッチの個々の故障を検知する故障検知手段を備えるとともに、
故障を検知したスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である故障方向操作用画像が、故障を検知しなかったスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である非故障方向操作用画像と組みになるように、前記選択用画面を複数区画に区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで前記区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるための第1のマスク画像のデータと、
前記故障方向操作用画像と前記非故障方向操作用画像とが含まれる前記区画に相当する区画について当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とにさらに区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるための第2のマスク画像のデータとを保持しており、
前記選択手段は、前記故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合には、故障を検知していないスイッチからの信号に応じて、前記第1のマスク画像の区切りによって区切られる各区画の選択、および前記第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画の選択を行うものであって、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1のマスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、故障を検知していないスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2のマスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像のみが含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1上下故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2上下故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3上下故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で上下の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、左右のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1上下故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2上下故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3上下故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で上下の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、左右のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1左右故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2左右故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3左右故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で左右の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、上下のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1左右故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2左右故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3左右故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で左右の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、上下のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、前記ディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項7】
車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を表示するディスプレイと、
ユーザによって操作される複数のスイッチからなるとともに前記ディスプレイとは別体に設けられた操作デバイスと、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置とを含む車両用操作入力システム。
【請求項1】
車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を、車両に設けられたディスプレイに表示する表示制御手段と、
ユーザによって操作される3つ以上の方向についての複数のスイッチからなるとともに前記ディスプレイとは別体に設けられている操作デバイスの当該スイッチからの信号に応じて、前記操作用画像を選択する選択手段とを備え、
前記表示制御手段は、複数種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上における前記操作デバイスの複数のスイッチのうちのいずれかに対応する方向に各操作用画像を別々に割り付けて表示する車両用操作入力装置であって、
前記操作デバイスの複数のスイッチの個々の故障を検知する故障検知手段を備えるとともに、
故障を検知したスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である故障方向操作用画像が、故障を検知しなかったスイッチに対応する方向に割り付けられていた操作用画像である非故障方向操作用画像と組みになるように、前記選択用画面を複数区画に区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで前記区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるための第1のマスク画像のデータと、
前記故障方向操作用画像と前記非故障方向操作用画像とが含まれる前記区画に相当する区画について当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とにさらに区切る区切り、および故障を検知していないスイッチで当該故障方向操作用画像が含まれる区画と当該故障方向操作用画像が含まれない区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるための第2のマスク画像のデータとを保持しており、
前記選択手段は、前記故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合には、故障を検知していないスイッチからの信号に応じて、前記第1のマスク画像の区切りによって区切られる各区画の選択、および前記第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画の選択を行うものであって、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で複数のスイッチのうちの一部のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1のマスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、故障を検知していないスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2のマスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2のマスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像のみが含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1上下故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2上下故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3上下故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で上下の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、左右のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、上下の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1上下故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2上下故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および左右のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3上下故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で上下の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1上下故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、左右のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2上下故障時用マスク画像もしくは前記第3上下故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1左右故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2左右故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3左右故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で左右の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、上下のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記操作デバイスは上下左右の4方向についてのスイッチからなるものであって、
前記表示制御手段は、4種類の操作用画像のうちから目的の操作用画像を選択するための選択用画面をディスプレイに表示する場合に、画面上の上下左右の4方向に各操作用画像をそれぞれ割り付けて表示するものであり、
前記第1のマスク画像のデータには、左右の少なくともいずれかの方向についてのスイッチが故障した場合のためのマスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画と画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組との区画とを区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチでこれらの区画を択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第1左右故障時用マスク画像のデータを含み、
前記第2のマスク画像のデータには、マスク画像のデータとして、
画面上の上方向の操作用画像と右方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該上方向の操作用画像の区画と当該右方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第2左右故障時用マスク画像のデータと、
画面上の下方向の操作用画像と左方向の操作用画像との組の区画に相当する区画について当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とにさらに区切る区切り、および上下のいずれかの方向についてのスイッチで当該下方向の操作用画像の区画と当該左方向の操作用画像の区画とを択一的に選択させるための案内を重畳して表示させるためのマスク画像である第3左右故障時用マスク画像のデータとを含み、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段で左右の少なくともいずれかの方向のスイッチの故障を検知した場合に、前記第1左右故障時用マスク画像を選択用画面に重畳して表示させるとともに、上下のいずれかの方向についてのスイッチからの信号に応じた選択手段での選択に従って、前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像を重畳して表示させた選択用画面に遷移させ、
前記第2左右故障時用マスク画像もしくは前記第3左右故障時用マスク画像の区切りによって区切られる各区画のうちの前記故障方向操作用画像が含まれる区画を前記選択手段で選択することによって、前記故障方向操作用画像を選択することを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、
前記表示制御手段は、前記故障検知手段でスイッチの故障を検知した場合に、前記ディスプレイに当該スイッチの故障を示す表示を行うことを特徴とする車両用操作入力装置。
【請求項7】
車載器に対する操作入力を行うための画像である操作用画像を表示するディスプレイと、
ユーザによって操作される複数のスイッチからなるとともに前記ディスプレイとは別体に設けられた操作デバイスと、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用操作入力装置とを含む車両用操作入力システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−174052(P2012−174052A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36158(P2011−36158)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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