説明

車両用操作装置

【課題】本発明は、ダイヤル自体を所定の位置に移動保持させることで、車両搭載用機器類の動作機能を切り換える構成であって、構成の単純化と共に、省スペースが可能で、操作性の向上が可能な、車両用操作装置にすること。
【解決手段】操作パネル1A面上でのダイヤル11の単体移動により、モード切り換えをし、前記ダイヤル11の回転により前記モード切り換えに対応した機能を実行する車両用操作装置1において、前記ダイヤル11の押圧ノブ12のスイッチ押圧部12a下端部には、前記ダイヤル11の各移動位置ごとに凸部形状12bが形成されており、前記ダイヤル11の前記各移動位置で押圧ノブ12を押圧すると、動作変換スイッチ17が凸部形状12bに押圧され、電気信号に変換し車載用電装機器に通電する為、構成の単純化と省スペース化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両搭載用機器類の動作切り換えの操作機能を備える車両用操作装置の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される種々の電装機器類は、運転席近傍のインストルメントパネルや、コンソール近傍に設けた操作装置によって、所望の操作により動作切り換えや操作モードの切り換え表示を行ってきた。これらの操作は、車両の運転操作中に、行なわれることが多く、できるだけ、手数の少なく操作が単純であることが望まれていた。このような運転席近傍の電装機器類の操作手段である車両用操作装置として、ダイヤル式空調コントロール装置があり、レーバーやボタンよりコントロールしやすいメリットがある。そして各ダイヤルには、温度、モード(風の吹き出し口の切り換え)、ブロア(吹き出し風の強さの切り換え)をコントロールする機能が与えられている。その従来公報として下記特許文献1に示すような、3連ダイヤル式ヒータコントロールがあるが、ダイヤルを3個採用しており、連続して操作することができる。
【0003】
しかし、上記3連ダイヤル式ヒータコントロールにしても、操作スイッチが多い為、操作スイッチを探す手間がかかってしまう。そこで図4(a)に示すダイヤル式空調コントロール装置では、ダイヤルスイッチ41を左右にスライドさせ、1つのダイヤルスイッチ41で別の機能を持たせて、ダイヤルスイッチの数を減らすことで、操作スイッチの数を減らし、操作しやすくしてある。ところが図4(b)のD−D断面図に示すように、ダイヤルスイッチ用として使われる基板がメイン基板(制御基板)48とダイヤル部基板45との2部品に分かれており、メイン基板(制御基板)48は装置本体4に固定されて、タクトスイッチ49、ディテクタスイッチ4Aを設置しているダイヤル部基板45はダイヤルスイッチ41、プッシュノブ42、ダイヤルリテーナー43、ダイヤルハウジング44、と共に移動するよう組付けられている。そしてダイヤルスイッチ41を左右にスライドさせる際、ダイヤルスイッチ41と組付けで一体になったダイヤル部基板45の位置も移動する為、ダイヤル部基板45の移動スペースを大きくとる必要がある。また、基板間をつなぐ、フラットケーブル47等が必要になる等、構成の部品数が多くなり、コストが高くなる等の問題点が発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−132025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ダイヤル自体を所定の位置に移動保持させることで、車両搭載用機器類の動作機能を切り換える構成であって、構成の単純化と共に、省スペースが可能で、操作性の向上が可能な、車両用操作装置にすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、操作パネル内に、車載用電装機器の動作切り換え操作するダイヤルが設定され、前記操作パネル面上での前記ダイヤルの単体移動により、各移動位置で予め定められたモード切り換えをし、前記ダイヤルの回転により前記モード切り換えに対応した機能を実行する車両用操作装置において、前記ダイヤルの操作面内に設けられた押圧ノブと、前記押圧ノブの押圧ノブ裏面方向に形成されたスイッチ押圧部と、該スイッチ押圧部の下端部には前記ダイヤルの前記各移動位置に設けられた複数の凸部形状と、装置本体に固定され、前記スイッチ押圧部の複数の凸部形状に押圧されると、電気信号に変換し車載用電装機器に通電する動作変換スイッチと、を具備したことを特徴とすることにある。
【0007】

請求項1記載の本発明によれば、本発明の車両用操作装置はダイヤルをそのまま単体移動して、移動位置にて、モード切り換えが可能で、ダイヤルの回転で移動位置でのモードに対応した機能を実行する装置になっており、各ダイヤル移動位置ごとに押圧ノブに動作変換スイッチと接触する凸部形状が設けてある為、どのダイヤル移動位置においても押圧ノブを押せば機能動作ができるようになっている。よって従来のように動作変換スイッチのある基板を移動しなくて済み、1枚化する構造にして、省スペース化を達成することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明は、スライド機構により複数の機能を1つのダイヤルスイッチに持たせた時、基板を1枚化する構造にし、省スペース化を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明の実施形態におけるダイヤル式空調コントロール装置の正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)はダイヤルノブ側面図、(d)はダイヤルノブの裏面視図、(e)は(b)のA部拡大図である。(ダイヤルノブ左移動時)
【図2】(a)は本発明の実施形態におけるダイヤル式空調コントロール装置の正面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)はダイヤルノブ側面図、(d)は裏面視図、(e)は(b)のC部拡大図である。(ダイヤルノブ右移動時)
【図3】本発明の実施形態におけるダイヤル式空調コントロール装置の電気系統のブロック図である。
【図4】従来におけるダイヤル式空調コントロール装置を表わす図で(a)は正面図、(b)は(a)のD−D断面図である。(ダイヤルノブ左移動時)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0011】
図1(a)は本発明に関係するダイヤル式空調コントロール装置の正面図。図1(b)はA−A断面図である(ダイヤルノブ左移動時)。図1(a)、図1の(b)にて各構成について説明するとダイヤル式空調コントロール装置1において、ダイヤルノブ11、プッシュノブ12、ダイヤルリテーナー13、ダイヤルハウジング14を組付けたサブアッシー19をメインハウジング15に組付け、サブアッシー19がメインハウジング15に設けられたガイド機構13aのレール上を左右にスライドできるようにしてある。メイン基板(制御基板)16にはタクトスイッチ17とディテクタスイッチ18が設置されメインハウジング15に固定されており、サブアッシー19と一緒にスライドすることはない。ダイヤルノブ11はダイヤルリテーナー13の外側をダイヤルノブ11の中心軸に対しに回転する。プッシュノブ12はダイヤルノブ11の中にあり、ダイヤルハウジング14に組みつけられている。タクトスイッチ17はプッシュノブ12を押した時スイッチがON状態になる。ディテクタスイッチ18はダイヤルリテーナー13が回転した時にスイッチがON状態になる。本発明ではタクトスイッチ17、ディテクタスイッチ18はメイン基板(制御基板)16に実装していて、従来技術のようにサブアッシー19と共に、スライドすることがなくタクトスイッチ17、ディテクタスイッチ18の上をプッシュノブ12、ダイヤルリテーナー13がスライドする。
【0012】
図1の(c)はダイヤルノブ側面図、(d)はダイヤルノブ裏面視図を示し、ダイヤルノブ11の裏面に複数の放射状リブ11aが形成され、ダイヤルノブ11が回転するたびにディテクタスイッチ18を放射状リブ11aがスイッチオン方向に押圧し、回転操作で押圧した数をディテクタスイッチ18にてカウントして電気信号に変換する。
【0013】
図1(e)のA部拡大図はプッシュノブ12のタクトスイッチ17へ押圧するスイッチ押圧部12aの凸部形状12bの説明図でプッシュノブ12を押したときにタクトスイッチ17がONするように、プッシュノブ12のタクトスイッチ17を押す部分に凸部形状12bを2ヶ所形成している。ダイヤルノブ左移動時はプッシュノブ12を押すと右側の凸部形状12bが下がりタクトスイッチ17を押圧するが、2ヶ所の凸部形状12bの間に凹部形状12cが形成されている為、スイッチ押圧部12aがタクトスイッチ17への押圧でオーバーストロークで余分に押されても、スイッチ押圧部12aがタクトスイッチ17の本体外形部に干渉せず、スイッチが確実に電気信号に変換される。よって良好なON、OFF操作が可能になる。
【0014】
図2(a)は本発明の実施形態におけるダイヤル式空調コントロール装置の正面図、図2(b)はB−B断面図である(ダイヤルノブ右移動時)。図2の(a)、(b)に示すようにダイヤルノブ11を左から右へ移動するとダイヤルノブ11と一体であるサブアッシー19も右にスライドし、スイッチ押圧部12aの左側の凸部形状12bがタクトスイッチ17をONさせる凸部の真上にある構造になっている。
【0015】
また図2の(c)はダイヤルノブ側面図、(d)はダイヤルノブ裏面視図を示し、ダイヤルノブ11の裏面に複数の放射状リブ11aが形成され、ダイヤルノブ左移動時と同様、ダイヤルノブ11が回転するたびにディテクタスイッチ18を放射状リブ11aがスイッチオン方向に押圧し、回転操作で押圧した数をディテクタスイッチ18にてカウントして電気信号に変換する。ダイヤルノブの放射状リブ11aについては移動量分長さがある為、ダイヤルノブが左右移動しても回転操作によるディテクタスイッチ18のカウントが可能になる。
【0016】
この状態で、プッシュノブ12を押すと図2(e)のC部拡大図のように左側の凸部形状12bが下がりタクトスイッチ17を押圧するが、ダイヤルノブ左移動時と同様、2ヶ所の凸部形状12bの間に凹部形状12cが形成されている為、スイッチ押圧部12aがタクトスイッチ17への押圧でオーバーストロークで余分に押されても、スイッチ押圧部12aがタクトスイッチ17の本体外形部に干渉せず、スイッチが確実に電気信号に変換される。よって良好なON、OFF操作が可能になる。またプッシュノブ12がスライドした時に、タクトスイッチ17に引っかからないように凸部形状12bにラウンド面Rを設け、引っ掛かりを無くしてある。このようにダイヤル式空調コントロール装置において、機能集約、操作性向上の為にダイヤルスイッチ18を左右にスライドさせることで、1つのダイヤルスイッチで別の機能を持たせ、スイッチを減らすことで、操作しやすくしてある。例えば、下記のように右と左、別の機能を持たせることができる。
・右側 : ドライバー側温度調節 ,左側 : 助手席側温度調節
・右側 : 温度調節 ,左側 : 風量調節
・右側 : 温度調節 ,真ん中 : 噴出し口位置 ,左側 : 風量調節
【0017】
図3は本発明の実施形態におけるダイヤル式空調コントロール装置の電気系統のブロック図である。ダイヤルノブ11を移動すると、位置検出手段23からの検出信号が制御部24に送られ、モード切換え信号として判断することになる。そしてダイヤル11を回転操作すると、ダイヤル11の回転をロータリエンコーダ22にてパルス信号に変換し、制御部24はダイヤルノブ11移動位置での機能モードでダイヤル11の回転に対応した機能動作を実行する。モード表示部21では、現在の機能動作モードと機能動作の状態が表示されている。
【0018】
なお、上記実施形態では、ダイヤルのスライドを、左右方向にした場合を例に挙げて説明したが、上下に移動させても良く、上下左右切り換えの段階はいくつ設定されてもよく段階に伴なって、タクトスイッチを押圧するプッシュノブの凸部形状を多数設けてもよく、凸部形状は長方形、台形、半円形状等、様々な形状でもよく形状に特定されることはない。
【符号の説明】
【0019】
1 ダイヤル式空調コントロール装置(車両用操作装置)
1A 操作パネル
11 ダイヤルノブ(ダイヤル)
12 プッシュノブ(押圧ノブ)
12a
スイッチ押圧部
12b 凸部形状
15 メインハウジング(装置本体)
17 タクトスイッチ(動作変換スイッチ)
18 ディテクタスイッチ(回転量変換スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネル内に、車載用電装機器の動作切り換え操作するダイヤルが設定され、前記操作パネル面上での前記ダイヤルの単体移動により、各移動位置で予め定められたモード切り換えをし、前記ダイヤルの回転により前記モード切り換えに対応した機能を実行する車両用操作装置において、前記ダイヤルの操作面内に設けられた押圧ノブと、前記押圧ノブの押圧ノブ裏面方向に形成されたスイッチ押圧部と、該スイッチ押圧部の下端部には前記ダイヤルの前記各移動位置に設けられた複数の凸部形状と、装置本体に固定され、前記スイッチ押圧部の複数の凸部形状に押圧されると、電気信号に変換し車載用電装機器に通電する動作変換スイッチと、を具備したことを特徴とする車両用操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−126382(P2011−126382A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285440(P2009−285440)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】