説明

車両用操作装置

【課題】回転操作が可能な回転操作部を有する車両用操作装置において、耐荷重、耐被水、耐塵性能を向上すること。
【解決手段】車両用操作装置のケースの上面部には、平行に向かい合った二つの細長状の開口151、152が形成される。各開口151、152には、自身の軸回りに回転可能に支持された棒状のローラ61、62が設けられる。ケース内部の配置スペース31には自身の軸回りに回転可能に支持されたシャフト50が設けられる。帯状のベルトが環状にされた回転操作部としてのベルト操作部16が、ローラ61、62及びシャフト50の外側に掛け回され、ベルトの一部が操作面121dに沿うように設けられる。シャフト50の端部にはエンコーダ板が接続される。そのエンコーダ板周辺には、エンコーダ板の回転を検出することでベルト操作部16の操作を検出する検出部及び検出部を搭載した基板が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に設けられ、ユーザに操作される操作部を有した車両用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の視線の移動を少なくするために、運転者の視界に近い車室内の前部(インストルメントパネル)に各種情報を表示するディスプレイを配置した車両が増えつつある。このような車両では、運転者の手がディスプレイに届き難くなり、安定したタッチ操作ができなくなる。そこで、ディスプレイに表示されるスイッチを遠隔操作できる遠隔操作装置(車両用操作装置)が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の遠隔操作装置は、運転者が容易に操作できるように、運転席のサイドのセンターコンソール上に設けられる。また、その遠隔操作装置は、ディスプレイに表示されたカーソルを移動させたりするための揺動操作される操作ノブや、特定の処理の実行を決定したりするための押下操作されるプッシュスイッチなど、ユーザに操作される操作部を有している。
【0003】
ところで、ディスプレイの操作においては、オーディオの選曲画面における選曲時のように、ユーザが所望する曲名を含む画面になるように画面を切り替えたりスクロールさせたりする送り操作が必要となる場合がある。この送り操作を遠隔操作装置で行おうとした場合、遠隔操作装置に、送り操作に適した操作部を設ける必要がある。送り操作に適した操作部として、例えば、パソコンで使用されるマウスや携帯電話に設けられるスクロールホイールやベルト等の回転操作可能な操作部を採用することが考えられる(例えば特許文献2参照)。
【0004】
例えば特許文献2では、回転操作部としてのクローラがゴムベルトとされた操作装置が開示されている。そのゴムベルトには複数のスリットが形成されている。操作装置の本体ケースには、クローラ(ゴムベルト)の一部(下辺部)を挟むように対向配置された発光器及び受光器からなるフォトインタラプタが設けられている。そして、クローラのスリットを通して受光器に達する光の信号に基づいて、クローラの回転量を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−214820号公報
【特許文献2】特開平10−301712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両用操作装置は、パソコンのマウスや携帯電話と異なり車室内に設けられるものであるので、以下の理由により、パソコンのマウスや携帯電話に適用されている回転操作部の構造をそのまま適用することができない。ここで、図9は、マウスや携帯電話で採用されている回転操作部の構造を説明する図である。なお、図9では、回転操作部周辺の断面図を示している。図9に示すように、回転操作部等が収容されるケース100の上面部101には開口102が形成されている。ケース100内部の配置スペース103には、開口102から一部が突出される形で円盤状(ホイール状)の回転操作部700が配置されている。回転操作部700の中心にはシャフト300が接続されており、回転操作部700の回転にともなってそのシャフト300も回転されるようになっている。そのシャフト300には、シャフト300の回転を検出するフォトインタラプタ等のデバイス400(検出部)が接続されている。そのデバイス400は、シャフト300及びそれに接続された回転操作部700を支持する支持部としても機能している。回転操作部700が配置された配置スペース103には、デバイス400を搭載した基板500も配置されている。その基板500は、デバイス400を動作させたり、デバイス400が検出したシャフト300(回転操作部700)の回転量や回転方向を示した操作信号を装置側(パソコン側)に送信したりするものである。
【0007】
以上の構造の操作装置を車両に適用した場合、第一に、耐荷重性能が問題となる。具体的には、センターコンソール上に操作装置が設けられる場合、ユーザは、車両に乗り降りするときなどに、センターコンソールに設けられた操作装置に手を突いて操作装置に大きな荷重をかけてしまう場合があると予想される。図9の回転操作部700は、ホイール状とされており、上面部101からホイールの一部が突出されることになるので、回転操作部700に特に荷重がかかりやすい構造となっている。この場合、図9の構造では、大きな荷重を受けることを想定した構造となっていないので、回転操作部700やそれに接続されたデバイス400、基板500が破損してしまうおそれがある。
【0008】
また第二に、耐被水性能や耐塵性能が問題となる。具体的には、開口102と回転操作部700との隙間からケース100内に水や塵が進入してしまう場合がある。この場合、デバイス400や基板500が、進入した水や塵によってダメージを受けるおそれがある。また、センターコンソール上に操作装置を設ける場合、そのセンターコンソールには飲料容器を置くためのカップホルダが設けられている場合があるので、この場合には、飲料水によって操作装置が特に被水しやすくなる。
【0009】
この点、特許文献2の操作装置では、回転操作部としてのクローラがゴムベルトとされているので、スクロールホイールに比べて検出部や基板に大きな荷重がかかりにくい構造であると言える。しかし、クローラの回転量を検出する検出部(フォトインタラプタ)がクローラの一部(下辺部)を挟み込むようにして設けられているので、クローラにかかった大きな荷重が検出部やその検出部が搭載された基板にも伝わってしまう可能性がある。つまり、耐荷重性能としては不十分である。また、特許文献2の操作装置では、クローラに形成されたスリットの近くに検出部及び基板を設ける必要があり、そのために、本体ケースの上面部に形成された開口から進入される水や塵によって、検出部や基板がダメージを受けるおそれがある。つまり、耐被水性能や耐塵性能も不十分である。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、回転操作部を有した車両用操作装置において、第一に耐荷重性能を向上でき、第二に耐被水性能や耐塵性能を向上できる車両用操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の車両用操作装置は、内部に配置スペースを有し、上面部に、平行に向かい合った二つの細長状の第一の開口が形成されたケースと、
帯状のベルトが環状にされたものであって、前記上面部のうち二つの前記第一の開口間である操作面に前記ベルトの一部が沿うようにそれら二つの第一の開口を通して前記配置スペースに配置され、前記操作面において前記ベルトが前記第一の開口の方向にスライド操作可能とされたベルト操作部と、
前記配置スペースにおいて前記ベルトに掛け回され、前記ベルト操作部のスライド操作にともなって自身の軸回りに回転されるシャフトと、
前記配置スペースに配置され、前記シャフトの回転を検出することで前記ベルト操作部の操作を検出する検出部が搭載された基板と、を備えることを特徴とする。
【0012】
これによれば、ケースの上面部に形成された二つの開口間が操作面とされ、回転操作部としてのベルト操作部がその操作面に沿うように設けられるので、ベルト操作部にかかった荷重を操作面で受けることができる。よって、ケース内に配置された検出部や基板の破損を防止できる。つまり、耐荷重性能を向上できる。また、検出部が、シャフトの回転を検出することで間接的にベルト操作部の操作を検出するものとされているので、その検出部及び基板を、ベルト操作部から離れた位置に配置することができる。よって、より一層耐荷重性能を向上できる。加えて、上面部に形成された第一の開口から進入される水や塵によって、検出部や基板がダメージを受けるのを防止できる。つまり、耐被水性能や耐塵性能も向上できる。さらに、ベルト操作部が操作面に沿うように設けられているので、ケースから一部が突出されたスクロールホイールを採用する場合に比べてデザイン性を向上できる。
【0013】
また、上記の車両用操作装置における基板は、前記シャフトの一方の端部付近に配置されたことを特徴とする。
【0014】
このように、基板(及び検出部)をシャフトの一方の端部付近に配置することで、ベルト操作部の直近に、かつ、第一の開口の直下に基板及び検出部を配置しないようにすることができる。これにより、耐荷重性能、耐被水性能及び耐塵性能を向上できる。
【0015】
また、上記の車両用操作装置において、前記シャフトは、前記シャフトの周方向に沿って一定間隔おきに形成された凸状の複数の凸部を有し、
前記ベルト操作部のベルトは、スライド操作される方向に沿って一定間隔おきに形成された、前記凸部が差し込まれる複数の差込口を有することを特徴とする。
【0016】
これによれば、シャフトとベルト操作部のベルトが接触している部分において、シャフトに形成された凸部がベルト操作部のベルトに形成された差込口に差し込まれるので、ベルト操作部のスライド操作にともなってシャフトを確実に回転させることができる。よって、ベルト操作部の操作を精度良く検出することができる。
【0017】
また、上記の車両用操作装置において、前記第一の開口において自身の軸周りに回転可能に設けられた棒状のローラであって、外側から前記ベルト操作部のベルトが掛け回されたローラを備えることを特徴とする。
【0018】
これによれば、第一の開口には、ベルト操作部のベルトが掛け回されたローラが設けられているので、そのローラによってベルト操作部を容易に操作することができる。
【0019】
また、上記の車両用操作装置において、前記配置スペースには、前記ケースの前記上面部より下側の部分に第二の開口が形成されたことを特徴とする。
【0020】
これによれば、配置スペースの上面部より下側の部分に第二の開口が形成されているので、第一の開口から侵入した水や塵を下側の第二の開口から排出することができる。よって、より一層、耐被水性能や耐塵性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】車室200を示した図である。
【図2】操作本体部11の斜視図である。
【図3】上面部121の先端側121c付近を示した図である。
【図4】図3(a)のA−A線で切ったときのケース12内部の構造を示した図である。
【図5】図4のB−B線矢視方向から見たときのベルト操作部16周辺の構造を示した図である。
【図6】図4のC−C線矢視方向から見たときのベルト操作部16周辺の構造を示した図である。
【図7】シャフト50を示した図である。
【図8】フォトインタラプタ21の出力信号を示した図である。
【図9】従来の操作装置における回転操作部周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る車両用操作装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、車両用操作装置としての遠隔操作装置10が搭載された車室200を示している。図1に示すように、車室200には、運転席250の前のインストルメントパネル部にディスプレイ1が設けられている。そのディスプレイ1には、車両走行の際に有用な各種情報が表示され、具体的には例えば、ナビゲーション装置における地図画面、目的地設定画面やオーディオにおける選曲画面が表示される。また、ディスプレイ1は、タッチセンサが配設されたタッチパネルとされており、ナビゲーション装置やオーディオ等の車載機器を操作するための各種の操作スイッチが表示される。その操作スイッチは、タッチ操作されることによって車載機器に特定の処理を実行させるスイッチとされる。操作スイッチとしては、例えば、目的地を設定するための目的地設定画面に切り替える目的地設定ボタンや目的地設定画面において目的地(文字)を入力するための文字ボタンがある。また、ディスプレイ1には、操作スイッチとして、ディスプレイ1に表示された画面を送り操作するためのスクロールバー等の送り操作スイッチも表示される。
【0023】
ディスプレイ1に表示された各操作スイッチは、遠隔操作装置10によっても操作できるようになっている。その遠隔操作装置10は、操作本体部11と遠隔操作ECU2とを備えている。操作本体部11は、運転席250と助手席(図示外)の間のセンターコンソールCB上に設けられ、運転者Pによって操作される各種操作部(図2参照)が設けられている。それら操作部が操作された場合には、その操作信号が遠隔操作ECU2に送られるようになっている。遠隔操作ECU2は、CPU、ROM、RAM等から構成され、操作本体部11から受信した操作信号に応じた処理を実行するように車載機器を制御するものである。
【0024】
ここで、図2は、操作本体部11の斜視図を示している。図2に示すように、操作本体部11は、ケース12の表面上に、複数の操作部13、14、16が配設される形で構成されている。そのケース12は、車両の前後方向に細長形状とされ、運転者Pが操作本体部11を操作する際に把持しやすいように、車両の上方に面した上面部121、車両の左側(助手席側)に面した左側面部122、及び車両の右側(運転席250側)に面した右側面部123を有した形状とされている。すなわち、パソコンのマウスの如く、運転者Pが操作本体部11を操作する際には、運転者Pの左手の掌がケース12の上面部121に、左手の小指側がケース12の左側面部122に、左手の親指側がケース12の右側面部123に位置されるように、ケース12が構成されている。なお、ケース12は例えばABS樹脂で形成されている。
【0025】
ケース12の上面部121の手前側121a(運転席250側)は掌を載せるパームレスト部とされている。また、上面部121には、パームレスト部121aより先端側において開口部121bが形成されている。その開口部121bから露出される形で操作ノブ13が設けられている。その操作ノブ13は、ケース12の内部において揺動可能に支持されている。それによって、操作ノブ13は、上面部121の面内の二次元方向に揺動操作が可能とされている。ケース12の内部には操作ノブ13の操作方向及び操作量を検出する検出部(図示外)が設けられている。操作ノブ13が操作された場合には、その検出部によって検出された操作方向及び操作量を示した操作信号が遠隔操作ECU2に送信される。そして、遠隔操作ECU2によって、例えばディスプレイ1に表示されたカーソルが操作信号に応じた位置に移動されるようになっている。
【0026】
また、ケース12の内部には、操作ノブ13に反力を付与するモータ等から構成された反力発生機構(図示外)が設けられている。その反力発生機構によって、例えばディスプレイ1に表示されたカーソルを移動させる際に操作ノブ13に反力が付与されて、操作スイッチのある位置にカーソルを引き込むようにしている。
【0027】
上面部121の先端側121cには、ベルト状のベルト操作部16が設けられている。そのベルト操作部16は、ケース12の前後方向(車両の前後方向)にスライド操作が可能とされる操作部である。そのベルト操作部16は、例えば、ディスプレイ1に表示された画面を切り替えたりスクロールさせたりする送り操作をするための操作部とされている。具体的には、ベルト操作部16が順方向7a(図3参照)に操作された場合には次の画面に進める順送り操作がされ、逆方向7b(図3参照)に操作された場合には前の画面に戻す逆送り操作がされるようになっている。また、例えばベルト操作部16の操作量が大きいほど、画面のスクロール量が大きくされるようになっている。なお、ベルト操作部16は本発明の特徴部分でるので、後に詳細に説明する。
【0028】
ケース12の左側面部122には、その左側面部122に直交する方向に押下操作されるプッシュスイッチ14が設けられている。そのプッシュスイッチ14は、例えばディスプレイ1に表示された操作スイッチの選択を確定したりするエンタースイッチや、ディスプレイ1の表示をメニュー画面に戻すメニュースイッチや、ディスプレイ1の表示を地図表示にする地図表示スイッチとされる。なお、ケース12の内部にはプッシュスイッチ14の操作を検出する検出部(図示外)が設けられている。
【0029】
ケース12は、図2に示すように、上面部121(先端側121c)の先端から略直角に折れ曲がり、車両前方側に面した奥側面部124を有している。その奥側面部124には、本発明の「第二の開口」に相当する排出口17が形成されている。その排出口17は、ベルト操作部16が配置されたケース12の内部の配置スペース31(図4参照)と繋がった開口とされる。
【0030】
次に、ベルト操作部16の詳細を説明する。ここで、図3は、上面部121の先端側121c付近を示した図であり、具体的には図3(a)は先端側121c付近を上方から見たときの平面図を示しており、図3(b)は図3(a)からベルト操作部16を取り除いた図を示している。なお、図3では、図3の紙面上側が車両の前方側となるように図示の方向を図2の方向から変更している。また、図4は、ケース12を図3(a)のA−A線で切ったときのケース12内部の構造を示している。なお、図3(a)のA−A線は、ケース12の幅方向の中心を通る線である。また、図5は、図4のB−B線矢視方向から見たときのベルト操作部16周辺の構造を示している。なお、図4のB−B線は、二つの開口151、152及び操作面121dに沿った線である。また、図5では、ベルト操作部16に形成された複数の差込口161の図示を省略している。図6は、図4のC−C線矢視方向から見たときのベルト操作部16周辺の構造を示している。なお、図4のC−C線は、シャフト50を通る紙面左右方向に伸びた線である。また、図7は、図4、図6のシャフト50を示した図であり、具体的には図7(a)はシャフト50の斜視図、図7(b)は図7(a)のD矢視方向から見たときのシャフト50を示している。なお、図7(a)のD矢視方向は、シャフト50の端部の断面と直交する方向である。
【0031】
図3(b)に示すように、上面部121の先端側121cには、本発明の「第一の開口」に相当する二つの開口151、152が形成されている。それら開口151、152は、上面部121の幅方向の中心の位置において、上面部121の面内において互いに平行に向かい合うように形成されている。各開口151、152は、互いに同じ形状で、ケース12の幅方向に細長状とされている。
【0032】
各開口151、152にはそれぞれ棒状のローラ61、62が設けられており、具体的には、前側に形成された第一の開口151には第一のローラ61が、後側に形成された第二の開口152には第二のローラ62が設けられている。それらローラ61、62は、各開口151、152から突出しないように、各開口151、152と略同じ高さに設けられている。それらローラ61、62は、図5に示すように、ベルト操作部16のベルトの幅と同程度の長さとされている。図5に示すように、第一のローラ61は、ケース12内部の配置スペース31に設けられた第一のローラ支持部71によって支持されており、第二のローラ62は、配置スペース31に設けられた第二のローラ支持部72によって支持されている。より具体的には、各ローラ支持部71、72には、各ローラ61、62の軸が挿通される挿通孔(図示外)が形成されている。そして、各ローラ61、62の軸が各挿通孔に挿通される形で、各ローラ61、62は、自身の軸回りに回転可能に支持されている。なお、各ローラ支持部71、72は、例えば、上面部121の裏面に接続される形で、ケース12と一体的に形成されている。また、各ローラ61、62は、ポリアセタール(POM)等の樹脂で形成されている。
【0033】
また、図4に示すように、ケース12内部の配置スペース31には棒状のシャフト50が設けられている。より具体的には、シャフト50は、その軸がケース12の幅方向に向くように、設けられている。また、シャフト50は、第一の開口151又は第二の開口152の直下ではなく、操作面121dの下辺りに設けられている(図4参照)。そのシャフト50は、図7(a)に示すように、SUS等の金属で形成された中心軸51及びその中心軸51の両端部51a、51b間において中心軸51に外側に設けられABS樹脂等の樹脂で形成された外側軸52から構成されている。その外側軸52には、図7(b)に示すように、外側軸52の周方向に沿って一定間隔おきに凸部521が形成されている。各凸部521は、外側軸52の径方向に凸状とされている。また、各凸部521は、外側軸52の長さ方向に伸ばされた細長状とされている。
【0034】
シャフト50は、図6に示すように、配置スペース31に設けられたシャフト支持部731、732によって支持されている。より具体的には、各シャフト支持部731、732は、シャフト50の中心軸51が挿通される挿通孔(図示外)が形成されている。そして、中心軸51の一方の端部51aが、配置スペース31の右側(図6の紙面右側)に設けられた第一のシャフト支持部731に形成された挿通孔に挿通され、中心軸51の他方の端部51bが、配置スペース31の左側(図6の紙面左側)に設けられた第二のシャフト支持部732に形成された挿通孔に挿通されている。これによって、シャフト50は、自身の軸回りに回転可能とされている。なお、各シャフト支持部731、732は、例えば、ケース12の底面部(図示外)に接続される形で、ケース12と一体的に形成されている。
【0035】
ベルト操作部16は、一定幅の平帯状のベルトが環状にされたものである。ベルト操作部16のベルトは、エラストマーやシリコン等の軟質性を有する材質で形成される。ケース12の上面部121のうち二つの開口151、152間を操作面121dとしたとき、ベルト操作部16は、その一部が操作面121dに沿うように、二つの開口151、152を通してケース12内の配置スペース31に配置されている(図4参照)。より具体的には、ベルト操作部16は、各開口151、152に設けられた各ローラ61、62の外側を掛け回される形で設けられる。また、ベルト操作部16は、配置スペース31において、シャフト50の下側(図4の紙面下側)を掛け回される形で設けられる。なお、操作面121dは、デザイン性を向上させるために、図4の断面視において上方(図4の紙面上方)に湾曲されている。
【0036】
また、図6に示すように、ベルト操作部16のベルトには、その長さ方向(図5の紙面上下方向)に沿って一定間隔おきに、ベルトの幅方向に細長状とされた開口161が形成されている。その開口161は、シャフト50とベルト操作部16のベルトが接触する部分において、シャフト50の外側軸52に形成された凸部521が差し込まれる差込口とされている。そのため、各差込口161は、シャフト50の凸部521が差し込まれることができる形状、具体的には凸部521の幅、長さと略同じの幅、長さとされている。また、隣り合う二つ差込口161の間隔は、隣り合う二つ凸部521の間隔と同じとされている。
【0037】
以上のように設けられたベルト操作部16では、操作面121dに露出された部分160(図3(a)参照)がユーザに操作される操作部として機能する。すなわち、図3(a)に示すように、その操作部160が前側の第一の開口151に向かう方向7a(以下「順方向」という)又は後側の第二の開口152に向かう方向7b(以下「逆方向」という)にスライド操作可能とされている。なお、ケース12の前後方向と車両の前後方向とが同じとされているので、図3(a)の順方向7aは車両の前側に向かう方向とされ、逆方向7bは車両の後側に向かう方向とされている。操作部160がスライド操作されることにより、ベルト操作部16のベルト全体としては第一のローラ61、第二のローラ62及びシャフト50の外側の経路に沿って移動(回転)されることになる。
【0038】
操作部160がスライド操作されると、各開口151、152に設けられた各ローラ61、62が自身に軸回りに回転される。換言すると、各ローラ61、62が回転されることで、操作部160がスライド操作されやすくされている。また、操作部160がスライド操作されると、シャフト50が自身の軸回りに回転される。この際、シャフト50の凸部521がベルト操作部16の差込口161に差し込まれているので、ベルト操作部16の操作量に応じた分だけシャフト50が回転されるようになっている。なお、ベルト操作部16が操作され且つシャフト50が回転されて、ベルト操作部16とシャフト50との接触部分が変化した場合には、新たな接触部分にて形成されている凸部521が差込口161に差し込まれることになる。
【0039】
ベルト操作部16が配置される配置スペース31を第一の配置スペースとしたときに、図6に示すように、第一のシャフト支持部731を挟んで第一の配置スペース31の隣りに第二の配置スペース32が設けられている。その第二の配置スペース32には、ベルト操作部16の操作を検出する検出部や基板等が配置されている。具体的には、第二の配置スペース32には、エンコーダ板20、フォトインタラプタ21及び基板22が配置されている。エンコーダ板20は、その中心がシャフト50の中心軸51の一方の端部51aに接続された円盤状の板であって、その周方向に沿って一定間隔おきに複数のスリット(図示外)が形成された板である。そのエンコーダ板20は、ベルト操作部16の操作にともなってシャフト50(中心軸51)の軸回りに回転される。
【0040】
フォトインタラプタ21は、ベルト操作部16の操作を検出する検出部として機能する部品であり、赤外光を発信する発信機21a(図6参照)及び赤外光を受信する受信機21b(図6参照)から構成されている。それら発信機21a、受信機21bは、エンコーダ板20を間に挟んで互いに対向する位置に設けられる。エンコーダ板20に形成されたスリットが丁度発信機21aと受信機21bの間に位置しているときには、発信機21aから発信された赤外光は受信機21bで受信される。これに対し、スリットが発信機21aと受信機21bの間に位置していないときには、発信機21aから発信された赤外光は受信機21bで受信されない。よって、受信機21bは、図8に示すように、エンコーダ板20の回転(ベルト操作部16の操作)にともなって周期的にパルス3の信号を受信する。そのパルス3は、エンコーダ板20に形成されたスリットに対応する信号である。また、スリットはエンコーダ板20の周方向に一定間隔おきに形成されたものであるので、パルス3の数は、エンコーダ板20の回転量、すなわちベルト操作部16の操作量に相当する値である。よって、パルス3の数をカウントすることにより、ベルト操作部16の操作量を検出することができる。
【0041】
また、フォトインタラプタ21は、ベルト操作部16の操作方向を検出するために、図6に示すように、二組のフォトインタラプタ211、212から構成されている。エンコーダ板20に形成されたスリットは、一方のフォトインタラプタ211の赤外光が通過されるスリットと、他方のフォトインタラプタ212の赤外光が通過されるスリットとが互いに位相がずらされて形成されている。これによって、ベルト操作部16が順方向7a(図3参照)に操作されたときと、逆方向7b(図3参照)に操作されたときとで、一方のフォトインタラプタ211の出力信号を、他方のフォトインタラプタ212の出力信号に対して位相が進んでいるか遅れているかを切り替えることができる。よって、各出力信号の位相を見ることで、ベルト操作部16の操作方向を検出することができる。
【0042】
フォトインタラプタ21(フォトインタラプタ211、212)は基板22に搭載されている。その基板22は、第二の配置スペース32に設けられ、図6では、第二の配置スペース32において基板面がケース12の上方に向けられて設けられている。なお、第二の配置スペース32内であれば、基板22はどのような向きに設けられたとしてもよい。基板22は、フォトインタラプタ21を動作させたり、フォトインタラプタ21で検出されたパルス信号(図8参照)からベルト操作部16の操作量及び操作方向を決定したり、その操作量及び操作方向を示した操作信号を遠隔操作ECU2に送信したりする各種回路が実装された基板である。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の遠隔操作装置10では、送り操作をするための回転操作部がベルト状のベルト操作部16とされているので、そのベルト操作部16にかかった荷重を操作面121dで受けることができる。よって、フォトインタラプタ21や基板22に大きな荷重がかかることを防止でき、それら21、22が破損してしまうのを防止できる。また、シャフト50を介して間接的にベルト操作部16の操作を検出する構成としているので、フォトインタラプタ21や基板22をベルト操作部16から離れた位置に設けることができる。よって、より一層耐荷重性能を向上できるとともに、耐被水性能や耐塵性能も向上できる。また、ベルト操作部16が配置される第一の配置スペース31とフォトインタラプタ21や基板22が配置される第二の配置スペース32との間にシャフト50を支持する第一のシャフト支持部731が設けられているので、開口151、152から第一の配置スペース31に進入した水や塵をその第一のシャフト支持部731で遮断することができる。
【0044】
また、ケース12の奥側面部124には排出口17が形成されているので、開口151、152から進入された水や塵を、その排出口17から排出させることができる。よって、より一層、耐被水性能や耐塵性能を向上できる。さらに、ベルト操作部16が操作面121dに沿うように設けられているので、スクロールホイールを採用する場合に比べてデザイン性を向上できる。
【符号の説明】
【0045】
1 ディスプレイ
2 遠隔操作ECU
10 遠隔操作装置(車両用操作装置)
11 操作本体部
12 ケース
121 上面部
121d 操作面
151、152 開口(第一の開口)
16 ベルト操作部
160 操作部
161 差込口
17 排出口(第二の開口)
20 エンコーダ板
21、211、212 フォトインタラプタ(検出部)
22 基板
31 第一の配置スペース
32 第二の配置スペース
50 シャフト
51 中心軸
51a、51b シャフトの端部
52 外側軸
521 凸部
61、62 ローラ
71、72 ローラ支持部
731、732 シャフト支持部
200 車室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置スペースを有し、上面部に、平行に向かい合った二つの細長状の第一の開口が形成されたケースと、
帯状のベルトが環状にされたものであって、前記上面部のうち二つの前記第一の開口間である操作面に前記ベルトの一部が沿うようにそれら二つの第一の開口を通して前記配置スペースに配置され、前記操作面において前記ベルトが前記第一の開口の方向にスライド操作可能とされたベルト操作部と、
前記配置スペースにおいて前記ベルトに掛け回され、前記ベルト操作部のスライド操作にともなって自身の軸回りに回転されるシャフトと、
前記配置スペースに配置され、前記シャフトの回転を検出することで前記ベルト操作部の操作を検出する検出部が搭載された基板と、を備えることを特徴とする車室内に設けられる車両用操作装置。
【請求項2】
前記基板は、前記シャフトの一方の端部付近に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用操作装置。
【請求項3】
前記シャフトは、前記シャフトの周方向に沿って一定間隔おきに形成された凸状の複数の凸部を有し、
前記ベルト操作部のベルトは、スライド操作される方向に沿って一定間隔おきに形成された、前記凸部が差し込まれる複数の差込口を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操作装置。
【請求項4】
前記第一の開口において自身の軸周りに回転可能に設けられた棒状のローラであって、外側から前記ベルト操作部のベルトが掛け回されたローラを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用操作装置。
【請求項5】
前記配置スペースには、前記ケースの前記上面部より下側の部分に第二の開口が形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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