説明

車両用曇り除去装置

【課題】バッテリ上がりの発生を抑えつつ、リアウインドウガラスの曇りの発生を良好に抑える。
【解決手段】電子制御装置5は、電熱線1に所定期間に亘って継続的に通電した後、車載発電機が車載バッテリBaに充電していると判定したときに限って、電熱線1に対して引き続き通電するようにリレー2をオンする。これによって、電熱線1によって所定期間に亘ってリアウインドウガラスを継続的に加熱した後、車載発電機に電熱線1に電力を供給する余裕があるときに限り、電熱線1に引き続き通電すされる。このため、電熱線1に対して引き続き通電を行う場合、車載発電機の発電によって電熱線1へ電力の供給を対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドウの曇りを除去する車両用曇り除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の曇り除去装置においては、通電によりリアウインドウガラスを加熱する熱線と、熱線への通電をオン・オフさせる操作スイッチと、この操作スイッチのオン作動によって熱線に所定時間だけ通電させるタイマ回路と、車外の温度を検知する外気温センサと、外気温センサの検出温度に応じて、熱線への通電時間を変更する制御回路とを備えものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものにおいては、外気温が低くリアウインドウガラスが曇り易い状態の場合には、熱線への通電時間を長くする。このため、外気温に関わらず、曇りの発生を未然に防ぐことができるので、乗員に対して、リアウインドウガラスを通した良好な視界を提供することができる。
【特許文献1】特開2004−210156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の曇り除去装置では、リアウインドウガラスを加熱するためには、熱線に大きな電流を流す必要があるので、熱線への通電時間の時間が長くなると、車載バッテリに蓄えられる電力が減少し、いわゆるバッテリ上がりが発生し、車載バッテリから必要な車載機器に電力供給できなくなる場合がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、バッテリ上がりの発生を抑えつつ、ウインドウガラスの曇りの発生を良好に抑えることができる車両用曇り除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車載発電機において電力を供給するべき負荷が小さく他の負荷(例えば、電熱線)にも電力を供給する余裕があるときに、車載発電機は車載バッテリに充電するものであることに着目してなされたものである。
【0007】
具体的には、本発明では、ウインドウガラスに配置され、車載バッテリから供給される電力に基づいて通電してウインドウガラスを加熱する電熱線と、車載バッテリおよび電熱線の間を接続、或いは開放する接続・開放手段と、を備え、電子制御装置は、電熱線に所定期間に亘って継続的に通電した後、車載発電機が車載バッテリに充電していると判定したときに限って、電熱線に対して引き続き通電するように接続・開放手段を制御することを特徴とする。
【0008】
これによって、電熱線によって所定期間に亘ってウインドウガラスを継続的に加熱した後、車載発電機において電熱線に電力を供給する余裕があるときに限り、電熱線に引き続き通電される。このため、電熱線に対して引き続き通電を行う場合、電熱線に電力を供給するに際して、バッテリの蓄電量(すなわち、バッテリの容量)に頼ることなく、車載発電機の発電によって対応することができるので、バッテリの上がりの発生を抑えつつ、ウインドウガラスの曇りの発生を良好に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1に本発明に係る車両用曇り除去装置の電気的概略構成を示す。
【0010】
車両用曇り除去装置は、電熱線1、リレー2、操作スイッチ3、発光ダイオード2a、および電子制御装置5を備えている。電熱線1は、リアウインドウガラスの表面に沿うように配設されて、通電によりリアウインドウガラスを加熱する。リレー2は、車載バッテリBaと電熱線1との間を接続、或いは遮断する。なお、リレー2は、特許請求の範囲に記載の接続・開放手段を構成している。
【0011】
操作スイッチ3は、電熱線1への通電を開始、或いは終了するために乗員によって操作されるものである。発光ダイオード2aは、操作スイッチ3の操作ノブに配置されて、電熱線1の通電状態に応じて点灯する。電子制御装置5は、マイクロコンピュータ、メモリ、タイマなどから構成され、操作スイッチ3からの出力信号およびオルタネータ6のレギュレータ6aから出力信号に基づいて、リレー2、および発光ダイオード2aを制御する。
【0012】
オルタネータ6は、周知の発電装置であって、走行用エンジンの駆動力により発電する三相発電機6bと、三相発電機6bに与える励磁電圧を調整するレギュレータ6aとから構成される。
【0013】
レギュレータ6aは、車載バッテリBaの容量が少なくなると、三相発電機6bの出力電流Iaの値を大きくするように励磁電圧を調整するとともに、出力電流の最大値Imaxに対する実際の電流Iaの値の電流比率H{(=Ia/Imax)×100%}を示す負荷率信号を出力する。
【0014】
ここで、三相発電機6bの出力電流Iaは、エンジン回転数により変化するので、出力電流の最大値Imaxが予めエンジン回転数毎に設定されており、実際のエンジン回転数に対応して電流比率H{(=Ia/Imax)×100%}が変化することになる。
【0015】
次に、本実施形態の車両用曇り除去装置の作動について図2を参照して説明する。図2は、電子制御装置5による制御処理を示すフローチャートである。電子制御装置5は、イグニッションスイッチIGがオンされると、図2のフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムの実行を開始する。
【0016】
まず、ステップ100において、操作スイッチ3からの出力信号に基づいて操作スイッチ3が操作されたか否かを判定し、操作スイッチ3が操作されたとしてYESと判定すると、ステップ110に移行する。ここで、リレー2をオンするとともに、発光ダイオード2aを点灯し、さらにタイマによる計時を開始させる。
【0017】
次に、ステップ120において、操作スイッチ3が操作されたか否かを判定して、操作スイッチ3が操作されていない場合にはNOと判定する。次に、ステップ140において、タイマによる計時を開始してから所定期間(例えば、15分)経過したか否かを判定する。このとき、タイマによる計時を開始してから所定期間経過してない場合には、NOと判定してステップ120に戻る。
【0018】
その後、操作スイッチ3が操作されていない状態が継続して、タイマの計時を開始後所定期間経過するまで、スイッチの操作有無判定(ステップ120:NO)および所定期間経過判定(ステップ140:NO)を繰り返す。このため、電熱線1への電力供給が継続され、その後、タイマの計時を開始後所定期間経過して、ステップ120でNOと判定すると、ステップ150において、発光ダイオード2aを消灯する。
【0019】
次に、ステップ170において、レギュレータ6aからの負荷率信号に基づいて、オルタネータ6の三相発電機6bが車載バッテリBaに充電中であるか否かを判定する。
【0020】
ここで、レギュレータ6aは、上述のごとく、車載バッテリBaの容量が多いとき、三相発電機6bに与える励磁電圧を低くして三相発電機6bの出力電流Iaの値(すなわち、発電量)を小さくする。このため、電流比率H≠100%であると判定したときには、オルタネータ6の三相発電機6bが車載バッテリBaに充電していると判定する。すなわち、車載発電機に電熱線1に電力を供給する余裕があって、車載発電機の発電によって電熱線1へ電力の供給を対応することができると判定することになる。
【0021】
このため、ステップ170において、車載発電機の発電によって電熱線1へ電力の供給を対応することができるとしてYESと判定すると、ステップ190において、リレー2のオン状態を継続して、ステップ200に移行する。
【0022】
一方、レギュレータ6aは、上述のごとく、車載バッテリBaの容量が少ないとき、三相発電機6bに与える励磁電圧を高くして三相発電機6bの出力電流Iaの値(すなわち、発電量)を大きくする。このため、電流比率H=100%であると判定したときには、オルタネータ6の三相発電機6bが車載バッテリBaに充電していなく、三相発電機6bから車載バッテリBa以外の負荷に電力供給していると判定する。すなわち、車載発電機に電熱線1に電力を供給する余裕がなく、車載発電機の発電によって電熱線1へ電力の供給を対応することができないと判定することになる。
【0023】
このため、ステップ170において、車載発電機の発電によって電熱線1へ電力の供給を対応することができないとしてNOと判定すると、ステップ180において、リレー2をオフして電熱線1へ電力の供給を停止してステップ200に移行する。
【0024】
以上により、ステップ200において、操作スイッチ3が操作されないとして、NOと判定すると、ステップ170に戻る。したがって、操作スイッチ3が操作されない状態が継続し、かつ、三相発電機6bが車載バッテリBaに充電している状態が継続すると、オルタネータ6の充電判定(ステップ170:YES)、リレー2のオン(ステップ190)、およびスイッチ操作判定(ステップ200:NO)を繰り返す。これに伴って、電熱線1へ電力の供給が引き続き行われることになる。
【0025】
また、ステップ200において、操作スイッチ3が操作あるとして、YESと判定すると、ステップ110に戻る。
【0026】
以上説明したように本実施形態によれば、電子制御装置5は、電熱線1に所定期間に亘って継続的に通電した後、車載発電機が車載バッテリBaに充電していると判定したときに限って、電熱線1に対して引き続き通電するようにリレー2をオンする。
【0027】
これによって、電熱線1によって所定期間に亘ってリアウインドウガラスを継続的に加熱した後、車載発電機に電熱線1に電力を供給する余裕があるときに限り、電熱線1に引き続き通電される。このため、電熱線1に対して引き続き通電を行う場合、電熱線1に電力を供給するに際して、車載バッテリBaの蓄電量(すなわち、車載バッテリBaの容量)に頼ることなく、車載発電機の発電によって電熱線1へ電力の供給を対応することができるので、バッテリ上がりの発生を抑えつつ、リアウインドウガラスの曇りの発生を良好に抑えることができる。
【0028】
上述の実施形態では、ウインドウガラスとしてリアウインドウガラスを用いた例について説明したが、これに限らず、フロンドウインドウガラス、或いは、サイドウインドウガラスを用いてもよい。
【0029】
(第2実施形態)
本第2実施形態の電子制御装置5は、電熱線1に所定期間に亘って継続的に通電した後、リアウインドウガラスが曇りやすい状態であって、かつ車載発電機が車載バッテリBaに充電しているときに限り、引き続き電熱線1によりリアウインドウガラスの加熱を実施する。
【0030】
本実施形態では、リアウインドウガラスが曇りやすいか否かを判定するために外気温を検出する外気温センサ7が追加されている。
【0031】
本実施形態の電子制御装置5の制御処理を図3に示す。図3において、図2の同一のステップは、同一処理を示す。本実施形態の制御処理においては、電熱線1に所定期間に亘って継続的に通電した後、ステップ150で発光ダイオード2a消灯すると、ステップ160において、リアウインドウガラスが曇りやすい状態であるか否かを判定する。具体的には、図4に示すように外気温がゼロ℃よりも高くなると曇りやすい状態であるとしてYESと判定すると、上述の第1実施形態と同様、ステップ170に進む。
【0032】
これに伴い、ステップ170において車載発電機が車載バッテリBaに充電しているとしてYESと判定するとステップ190においてリレー2をオンする。また、車載発電機が車載バッテリBaに充電していないとしてNOと判定するとステップ180においてリレー2をオフする。また、ステップ160において、図4に示すように、外気温が−5℃よりも低くなると曇りにくい状態であるとNOと判定して、リレー2をオフする。
【0033】
以上説明したように本実施形態によれば、電熱線1に所定期間に亘って継続的に通電した後、リアウインドウガラスが曇りやすい状態であって、かつ車載発電機が車載バッテリBaに充電しているときに限り、引き続き電熱線1によりリアウインドウガラスの加熱を実施することになる。
【0034】
なお、上述の第2実施形態では、リアウインドウガラスが曇りやすいか否かを判定するために、外気温を用いた例について説明したが、これに限らず、次のようなものを用いてもよい。すなわち、(1)車速、(2)車室内湿度、(3)日射量、(4)ワイパの払拭作動の有無のうちいずれかを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の車両用曇り除去装置の第1実施形態の電気的概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子制御装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る第2実施形態の電子制御装置の制御処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の制御処理を説明するための特性図である。
【符号の説明】
【0036】
1…電熱線、2…リレー、3…操作スイッチ、4…発光ダイオード、
5…電子制御装置、Ba…車載バッテリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウガラスに配置され、車載バッテリから供給される電力に基づいて通電して前記ウインドウガラスを加熱する電熱線と、
前記車載バッテリおよび前記電熱線の間を接続、或いは開放する接続・開放手段と、
前記電熱線に対して所定期間に亘って継続的に通電するように前記接続・開放手段を制御する電子制御装置と、を備える車両用曇り除去装置であって、
前記電子制御装置は、前記電熱線に所定期間に亘って継続的に通電した後、前記車載発電機が前記車載バッテリに充電していると判定したときに限って、前記電熱線に対して引き続き通電するように前記接続・開放手段を制御することを特徴とする車両用曇り除去装置。
【請求項2】
前記電子制御装置は、前記電熱線に所定期間に亘って継続的通電した後、前記ウインドウガラスが曇り易い状態であって、かつ前記車載バッテリに対して車載発電機が充電していると判定するときに限って、前記電熱線に対して引き続き通電するように前記接続・開放手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用曇り除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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