説明

車両用灯具のシールガスケット

【課題】高いシール性能を維持しつつ、コストダウンを図ることができる車両用灯具のシールガスケットを提供すること。
【解決手段】車両用灯具の車体取付部周縁に取り付けられ、車体側に押圧されるリップ部4Bが本体部4Aに全周に亘って一体に突設された無端状のシールガスケット4を硬度が20°以下のソリッドゴムで構成するとともに、前記リップ部4Bの一方の斜面4aの本体部4Aに対する傾斜角θを70°〜80°に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイマウントストップランプ等の車両用灯具のシールガスケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の後端上部に配置されるハイマウントストップランプは、ハウジングの開口部に被着されるアウタレンズの周縁に取付フランジが一体に形成されており、該取付フランジの裏面に取り付けられた図6に示す無端状のシールガスケット104を介して取付フランジをスポイラ等の車体に密着させ、両者間の隙間をシールガスケット104によってシールして車体内への水等の浸入を防ぐ構成が採用されている。
【0003】
ところで、特許文献1には、シールガスケット(パッキン)に排水孔を形成することによって、レンズに水抜き孔を設けることなく水抜きを行うようにして構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−229716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両用灯具に設けられる図6に示す従来のシールガスケット104には硬度の低い発泡ゴムが使用されていたが、該シールガスケット104に高いシール性を確保するために発泡ゴムとして高価なものが使用されていた。
【0006】
ここで、図6に示す従来のシールガスケット104の横断面形状を図7(図6のD−D線断面図)に示すが、シールガスケット104は、ベース部としての本体部104Aと、該本体部104Aの全周に亘って突設されたリップ部104Bとで構成されており、リップ部104Bが車体に押圧されて密着することによって当該シールガスケット104が所要のシール機能を発揮する。この従来のシールガスケット104においては、図7に示すように、リップ部104Bの一方の斜面104aはベース部104Aに対する傾斜角θが略90°(直角)に設定されていたため、該リップ部104Bの弾性変形による車体への密着度を考慮すると、材料である発泡ゴムの硬度を低く抑える必要があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、高いシール性能を維持しつつ、コストダウンを図ることができる車両用灯具のシールガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、車両用灯具の車体取付部周縁に取り付けられ、車体側に押圧されるリップ部が本体部に全周に亘って一体に突設された無端状のシールガスケットを硬度が20°以下のソリッドゴムで構成するとともに、前記リップ部の一方の斜面の本体部に対する傾斜角を70°〜80°に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シールガスケットの材質として従来の高価な発泡ゴムに代えて安価なソリッドゴムを採用した場合、該ソリッドゴムの硬度とシールガスケットの断面形状を最適化、具体的には硬度が20°以下のソリッドゴムを使用するとともに、シールガスケットのリップ部の一方の斜面の本体部に対する傾斜角を70°〜80°に設定することによって、シールガスケットに高いシール性能を維持しつつ、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るシールガスケットが設けられた車両用灯具の正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB部拡大詳細図である。
【図4】本発明に係るシールガスケットの正面図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】従来のシールガスケットの正面図である。
【図7】図6のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は車両用灯具の正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB部拡大詳細図、図4は本発明に係るシールガスケットの正面図、図5は図4のC−C線断面図である。
【0013】
図1及び図2に示す車両用灯具1はハイマウントストップランプであって、このハイマウントストップランプ1は、図2に示すように、車体20の後端上部にスポイラ21を介して取り付けられる左右に細長いランプであって、運転者がブレーキペダルを踏むことによって点灯するものである。このハイマウントストップランプ1は、ハウジング2にアウタレンズ3を車両後方(図2の左方)から覆うことによって形成される灯室内に、LED等の不図示の光源を収容して構成されている。
【0014】
ハイマウントストップランプ1のアウタレンズ3の外周縁には、図3に示すように取付フランジ3Aが一体に形成されており、この取付フランジ3Aの裏面(スポイラ21への取付面)には図3に示すような無端状のシールガスケットが両面テープ5(図5参照)によって取り付けられている。ここで、シールガスケット4は、図5に示すように、ベース部としての本体部4Aと、該本体部4Aの全周に亘って突設されたリップ部4Bとで構成されており、ハイマウントストップランプ1の車体20への取り付けに際してリップ部4Bがスポイラ21に押圧されて密着することによって、当該シールガスケット4が所要のシール機能を発揮し、ハイマウントストップランプ1とスポイラ21との間の隙間からスポイラ21内への水等の浸入が防がれる。
【0015】
而して、本実施の形態では、上記シールガスケット4は、硬度が20°以下のソリッドゴムで構成されており、リップ部4Bの一方の斜面4aの本体部4Aに対する傾斜角θが70°〜80°に設定されている。
【0016】
ここで、本発明に係るシールガスケット4と図5に示した従来の発泡ゴム製のシールガスケット104の硬度を20°、30°、40°と変化させた場合のシール性の良否を実験的に確認した結果を表1に示す。
【0017】
【表1】

尚、表1において、○は良、×は不可をそれぞれ示す。
【0018】
表1の結果から明らかなように、本発明に係るシールガスケット4においてソリッドゴムの硬度を20°以下に設定した場合には良好なシール性が得られる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、シールガスケット4の材質として従来の高価な発泡ゴムに代えて安価なソリッドゴムを採用した場合、該ソリッドゴムの硬度とシールガスケット4の断面形状を最適化、具体的には硬度が20°以下のソリッドゴムを使用するとともに、シールガスケット4のリップ部4Bの一方の斜面4aの本体部に対する傾斜角θを70°〜80°に設定することによって、該シールガスケット4に高いシール性能を維持しつつ、コストダウンを図ることができるという効果が得られる。
【0020】
尚、以上は本発明をハイマウントストップランプに設けられるシールガスケットに対して適用した形態について説明したが、本発明は、他の任意の車両用灯具に設けられるシールガスケットに対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
1 ハイマウントストップランプ(車両用灯具)
2 ハウジング
3 アウタレンズ
3A アウタレンズの取付フランジ
4 シールガスケット
4A シールガスケットの本体部
4B シールガスケットのリップ部
4a リップ部の斜面
5 両面テープ
20 車体
21 スポイラ
θ リップ部の斜面の傾斜角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具の車体取付部周縁に取り付けられ、車体側に押圧されるリップ部が本体部に全周に亘って一体に突設された無端状のシールガスケットであって、
硬度が20°以下のソリッドゴムで構成されるとともに、前記リップ部の一方の斜面の本体部に対する傾斜角が70°〜80°に設定されたことを特徴とする車両用灯具のシールガスケット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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