説明

車両用灯具ユニット

【課題】車載バッテリとキャパシタの両方に蓄積された電力を灯具に供給するように構成された車両用灯具ユニットにおいて、車両用灯具ユニットの車両への取付を簡素化する。
【解決手段】車両用灯具ユニット70は、ランプボディと透明のアウターカバーとで画成される灯室内に配置される灯具72〜78と、灯室内に配置され灯具72〜78に電力を供給可能に構成されるキャパシタ46と、灯室外にある車載バッテリからキャパシタ46への充電を可能にするようランプボディに取り付けられる受電端子62と、灯室内に配置され、車載バッテリからキャパシタ46への充電を制御する制御装置100と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具ユニットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される電装部品の増加に伴い、自動車用の蓄電池として、エネルギー密度が高く充放電性能に優れたリチウムイオンキャパシタが注目されつつある。また、高性能のキャパシタと従来の鉛蓄電池とを組み合わせることで、車両用電源装置としての性能を改善することも試みられている。例えば、特許文献1には、バッテリと電源用のキャパシタ装置とを併用する車両用電源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術のように、キャパシタとバッテリの両方から車両用灯具の電力を受け取るようにすると、車両用灯具とキャパシタおよびバッテリ間の配線が複雑化し、車体への取り付け工数が増大する可能性がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載バッテリとキャパシタの両方に蓄積された電力を灯具に供給するように構成された車両用灯具ユニットにおいて、車両用灯具ユニットの車両への取付を簡素化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の車両用灯具ユニットは、ランプボディと、ランプボディの車両前面側に配置される透明のアウターカバーと、ランプボディとアウターカバーとで画成される灯室内に配置される灯具と、灯室内に配置され、灯具に電力を供給可能に構成されるキャパシタと、灯室外にある車載バッテリからキャパシタへの充電を可能にするようランプボディに取り付けられる受電端子と、灯室内に配置され、車載バッテリからキャパシタへの充電を制御する制御装置と、を備える。
【0007】
この態様によると、灯具に電力を供給するキャパシタと、キャパシタを制御する制御装置とを、車両用灯具ユニットの灯室内に設けたので、車両用灯具ユニットと車体間の配線が簡素になり、取り付けが容易になる。
【0008】
制御装置は、キャパシタの充電量が予め定められた値以下であるか否かを判定する充電量監視部と、車両のエンジンが作動中か否かを判定するエンジン判定部と、充電量監視部により充電量が予め定められた値以下と判定された場合、エンジン判定部によりエンジンが作動中と判定されたとき、車載バッテリからキャパシタへの充電を実行し、エンジンが非作動中と判定されたとき、車載バッテリからキャパシタへの充電を停止する充電制御部と、を備えてもよい。これによると、キャパシタの充電量が低下した場合でも、エンジンが非作動であるときには車載バッテリからキャパシタへの充電が行われないので、車載バッテリに蓄積された電力が消費されることによるバッテリ上がりが防止される。
【0009】
制御装置は、充電量監視部により充電量が予め定められた値以下と判定され、かつエンジン判定部によりエンジンが非作動中と判定されたとき、灯具を減光または消灯させる点消灯制御部をさらに備えてもよい。これによると、灯具の減光または消灯によってキャパシタの放電量を抑制することができる。
【0010】
それぞれ機能の異なる複数の灯具が灯室内に配置されていてもよい。この場合、制御装置は、エンジン判定部によりエンジンが非作動中と判定され、かつ充電量監視部により充電量が予め定められた値以下と判定されたとき、点灯中の灯具の種類を判定する灯具種類判定部と、灯具種類判定部により、点灯中の灯具がエンジン非作動中にも点灯が必要であるものとして予め定められている指定灯具であると判定されたとき、キャパシタから点灯中の灯具への給電を継続し、指定灯具以外と判定されたとき、点灯中の灯具を消灯させる点消灯制御部と、をさらに備えてもよい。これによると、ターンシグナルランプなどの駐車中の車両の安全確保に必要である灯具を指定灯具として定めておくことで、エンジンの非作動時でもキャパシタからの電力でその灯具を点灯させ続けることができる。
【0011】
充電制御部は、灯具種類判定部により、点灯中の灯具が指定灯具であると判定されたとき、エンジンが非作動中の場合でも車載バッテリからキャパシタへの充電を実行してもよい。これによると、指定灯具については、車載バッテリの電力が消費されるまで点灯し続けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車載バッテリとキャパシタの両方に蓄積された電力を灯具に供給するように構成された車両用灯具ユニットにおいて、車両用灯具ユニットの車両への取付が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具ユニットの概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用灯具ユニットの概略断面図である。
【図3】車両用灯具ユニットの各構成要素間、および車両に搭載される機器との間の接続を示す模式的な回路図である。
【図4】キャパシタ充放電制御のフローチャートである。
【図5】キャパシタ充放電制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具ユニット70の概略構成図である。図1は正面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。車両用灯具ユニット70は車両前面に配置され、それぞれ機能の異なる複数の灯具を備える。
【0015】
車両用灯具ユニット70は、ランプボディ80およびエクステンション82、84、86などの構造材で形成された車両前方の開口部を、透明のアウターカバー88で覆うことで、灯室92が画成されている。灯室92内には、ハイビーム用ランプ72、ロービーム用ランプ74、DRL(Daytime Running Lamp)76、ターンシグナルランプ78およびCLL(Clearance Lamp)79を備える。なお、DRLは、他車両のドライバーや歩行者に自車両の存在をより明確に視認させるために昼間時に点灯される灯具であり、CLLは、ハイビームやロービーム等の非点灯時に他車両や歩行者に自車両の存在を知らせるために点灯される灯具である。各灯具72〜79は、それぞれの機能に適した光源を備えている。光源としては、例えば、白熱球、ハロゲンランプ、放電球、LEDなどを使用することができる。各灯具の構造は周知であるので、具体的な構造に関する説明は省略する。
【0016】
各灯具72〜79は、車両用灯具ユニット70の灯室内に配置されるキャパシタ46と、車両に通常搭載されるバッテリのいずれかまたは両方から電力の供給を受けられるように構成されている。また、各灯具72〜79は、灯室92内に配置される制御装置100によって点消灯および充放電が制御される。
【0017】
ランプボディ80の車両後方側には、灯室外に設置されている車載バッテリから灯室内のキャパシタおよび灯具に給電を行うための受電端子62と、通常は車載バッテリから電力供給を受けて作動する車両側の電気機器に対して、灯室92内に配置されたキャパシタ46からの給電を行うための給電端子64も設けられている。
【0018】
このように、灯具に電力を供給するキャパシタと、キャパシタを制御する制御装置とを車両用灯具ユニットの灯室内に設けることで、車両用灯具ユニットと車体間の配線が簡素になり、取り付けが容易になる。
【0019】
キャパシタ46は、一例として、図2に示すような略平板状またはフィルム状に加工された薄型であることが好ましい。略平板状に成形されたキャパシタを採用することで、キャパシタを積層したり折り曲げたりして、灯室内の限られた空間に多数のキャパシタを搭載して蓄電容量を高めることができる。しかしながら、灯室内の空間に配置することができれば、キャパシタは任意の形状であってよい。
【0020】
キャパシタ46は、例えばリチウムイオンキャパシタである。リチウムイオンキャパシタは、エネルギー密度および出力密度が高く高容量のキャパシタとして知られており、灯具の光源への電力の供給用途に適している。リチウムイオンキャパシタの構造自体は周知なので、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0021】
灯室内の空いた空間にキャパシタ46を配置する代わりに、ランプボディ80およびエクステンション82〜86自体を、所定の形状に折り曲げられた平板状キャパシタで形成するようにしてもよい。平板状のキャパシタを折り曲げて灯室を形成する構造材として代用することで、灯室内の空間体積が小さく十分な量のキャパシタを配置できない場合でも、キャパシタを増やして蓄電容量を増大させることができる。上記に加えて、アウターカバー88のうち配光形成に影響を与えない周縁部の表面に、平板状のキャパシタを配置してもよい。
【0022】
ところで、キャパシタから各灯具に電力供給を行う車両用灯具ユニットでは、以下のような問題が生じることがある。
【0023】
第1に、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタは、満充電の状態で長期間放置しておくと充電容量が低下し寿命が短くなるという特性がある。そのため、例えば車両のユーザが主に昼間に運転をするような人物である場合、車両用灯具ユニット70内のキャパシタ46が放電される機会が非常に少なく、キャパシタの性能が低下してしまうという問題がある。したがって、満充電状態のキャパシタを適宜放電させるための仕組みを導入することが望ましい。
【0024】
第2に、キャパシタを車両用灯具ユニットの電源として用いる場合、キャパシタの電圧が低下したとき車載バッテリからキャパシタに充電を行うように構成される。しかし、例えばドライバーがエンジンを停止した後にも灯具を点けっぱなしにしておいた場合、車載バッテリからキャパシタへの充電と灯具の点灯が長時間継続した結果、車載バッテリが放電しきってバッテリ上がりを起こしてしまうおそれがある。そのため、特定の条件下では車載バッテリからキャパシタへの充電を停止するような仕組みを導入することが望ましい。
【0025】
本実施形態では、エンジンの作動状態、キャパシタの充電状態、および/または灯具の種類等に基づきキャパシタの充放電を制御して、車載バッテリおよびキャパシタの性能低下を防止するようにした。
【0026】
図3は、車両用灯具ユニット70の各構成要素間、および車両に搭載される機器との間の接続を示す模式的な回路図である。
【0027】
鉛蓄電池等の車載バッテリ50は、ランプボディ80に配置された受電端子62を介して、制御装置100内のスイッチ102と接続される。また、車両側のイモビライザ52、室内灯54およびカーテシーランプ56などの、エンジンを停止し車両の駐車中でも動作させる必要がある電気機器が、給電端子64を介して制御装置100内のスイッチ102と接続される。
【0028】
スイッチ102は、灯室内に配置されるキャパシタ46、ハイビーム用ランプ72、ロービーム用ランプ74、DRL76、ターンシグナルランプ78およびCLL79とも接続される。図示しないが、上記の灯具以外に、ストップランプ、テールランプ、フォグランプ等の他の灯具が追加してスイッチ102に接続されていてもよいし、上記灯具のうち一部がスイッチ102に接続されていなくてもよい。
【0029】
制御装置100は、スイッチ102を切り替えることで、各灯具72〜79の点消灯、車載バッテリ50から各灯具72〜79への給電、キャパシタ46から各灯具72〜79への給電、車載バッテリ50によるキャパシタ46の充電、およびキャパシタ46から車両側の電気機器52〜56への給電のうち一つまたは複数を選択することができる。なお、車載バッテリ50またはキャパシタ46から灯具への給電は、灯具毎にオンオフを切り替えられるように構成される。
【0030】
車体と車両用灯具ユニット70との間には、CAN(Car Area Network)60と制御装置100との間でデータを送受信するための通信経路も設けられている。
【0031】
図3では、制御装置100の構成はブロック図として示されている。この構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0032】
制御装置100は、充電量監視部104、充放電ユニット110およびエンジン判定部106を含む。
【0033】
充電量監視部104は、キャパシタ46の電圧に基づきその充電状態を監視する。例えば、キャパシタ46が所定の電圧V1(例えば、13Vまたは最大電圧の80%)以上である期間が所定期間(例えば、240時間)以上である場合、キャパシタ46が満充電状態であると判断する。電圧V1は、その電圧以下であればキャパシタを長期間放置しても性能の劣化が少なくなるという観点で実験的に決定される。
【0034】
エンジン判定部106は、CAN60から車両のイグニッションスイッチのオンオフ情報を受け取り、これに基づき車両のエンジンが作動中か否かを判定する。
【0035】
充放電ユニット110は、キャパシタ46の充電状態に応じて、キャパシタ46を充電するかまたは放電させるかを判定し、それに応じてスイッチ102を切り替える。充放電ユニット110は、充電制御部112、灯具種類判定部114、放電制御部116および点消灯制御部118を含む。
【0036】
充電制御部112は、充電量監視部104によってキャパシタ46の電圧が予め定められた値V2(例えば、9V)以下と判定された場合に、車載バッテリ50からキャパシタ46への充電を実行するか否かを判定する。より具体的には、エンジン判定部106によりエンジンが作動中であると判定された場合、スイッチ102を切り替えることで車載バッテリ50からキャパシタ46に充電が行われるようにし、エンジンが非作動中であると判定された場合は、車載バッテリ50からキャパシタ46への充電が行われないようにスイッチ102を切り替える。
【0037】
灯具種類判定部114は、エンジンの非作動中に、充電量監視部104によってキャパシタ電圧が予め定められた値以下と判定されたとき、灯具72〜79のうちいずれが点灯されているかをスイッチ102の設定に基づき決定する。そして、点灯中の灯具が、エンジン非作動中であっても点灯を継続すべきものとして予め定められた灯具(以下「指定灯具」と呼ぶ)に含まれるか否かを判定する。指定灯具は、例えばターンシグナルランプ、ストップランプ、テールランプなどの、駐車中の車両の安全確保に必要と考えられる灯具である。指定灯具以外の灯具は、エンジン非作動中(すなわち車両駐車中)に消灯しても安全性に与える影響が少ないと考えられる灯具である。
【0038】
なお、いずれの灯具を指定灯具にするかを、車両のメーカおよび/またはドライバーが設定できるようにしてもよい。
【0039】
点消灯制御部118は、灯具種類判定部114によって点灯中の灯具が指定灯具であると判定されたとき、キャパシタ46から点灯中の灯具への給電が継続されるようにする。この場合、充電制御部112は、エンジンが非作動中であっても車載バッテリ50からキャパシタ46への充電が行われるようにスイッチ102を切り替える。点消灯制御部118は、灯具種類判定部114によって点灯中の灯具が指定灯具でないと判定されたときは、点消灯制御部118は、点灯中の灯具を消灯するようにスイッチ102を切り替えるか、または点灯中の灯具を減光する。
【0040】
放電制御部116は、充電量監視部104によってキャパシタ46が満充電状態であると判定されたとき、キャパシタ46からの放電を促してキャパシタ46の満充電状態が解消されるようにする。具体的には、エンジン判定部106によってエンジンが作動中と判定されたとき、点灯中の灯具の照度を増加させ、エンジンが非作動中と判定されたとき、キャパシタ46から車両側の電気機器、すなわちイモビライザ52、室内灯54、カーテシーランプ56のうち少なくとも一つに対してキャパシタ46から給電されるようスイッチ102を切り替える。後者の場合、充電量監視部104によってキャパシタ電圧が低下して、予め定められたキャパシタ保護のための適切な電圧V1以下になったと判定された時点で、放電制御部116は、キャパシタ46から車両側の電気機器への給電が停止されるようにスイッチ102を切り替える。
【0041】
図4は、車両用灯具ユニット70におけるキャパシタ充放電制御のフローチャートである。このフローは、制御装置100において例えば数分間隔で繰り返し実行される。
【0042】
通常時は、キャパシタ46から全ての灯具72〜79に対して給電がなされるようにスイッチ102がセットされているものとする。充電量監視部104は、キャパシタ電圧が所定の電圧V1(例えば、13V)以上である状態が、所定の期間(例えば、240時間)以上継続しているか否か、すなわち満充電状態が続いているか否かを判定する(S10)。満充電状態が継続中と判定された場合(S10のY)、エンジン判定部106がエンジンが作動中か否かを判定する(S12)。
【0043】
エンジンが作動中であれば(S12のY)、点消灯制御部118はスイッチ102を参照してDRLが点灯中であるか否かを判定する(S14)。DRL点灯中であれば(S14のY)、放電制御部116は、DRLの光源の照度を増大させることでキャパシタの満充電状態を積極的に解消させる(S16)。S12において、エンジンが停止中であれば(S12のN)、放電制御部116は、スイッチ102を切り替えてキャパシタ46から車両側の電気機器、すなわちイモビライザ52、室内灯54およびカーテシーランプ56に給電させることで、キャパシタ46の満充電状態を積極的に解消させる(S18)。
【0044】
キャパシタ電圧がV1未満になると(S10のN)、DRLの照度アップまたはキャパシタから車両側電気機器への給電が行われていた場合には、放電制御部116はそれを停止する(S20)。これによって、たとえ車両が夜間走行されない場合でも、長期間放置しても性能低下しない水準までキャパシタ46の電圧を低下させることができる。
【0045】
図5は、キャパシタ充放電制御のフローチャートである。このフローは、車両用灯具ユニット70内のいずれかの灯具が点灯しているとき、制御装置100において例えば数分間隔で繰り返し実行される。
【0046】
充電量監視部104は、キャパシタ電圧が所定の電圧V2(但し、V2<V1)以下であるか否かを判定する(S22)。キャパシタ電圧がV2より大きければ(S22のN)、充電制御部112は、キャパシタ46から点灯中の全ての灯具に対して給電されるようにスイッチ102を切り替える(S24)。キャパシタ電圧がV2以下の場合(S22のY)、エンジン判定部106がエンジンが作動中か否かを判定する(S26)。エンジンが作動中の場合(S26のY)、充電制御部112は、キャパシタ46から点灯中の全ての灯具に対して電力が供給されるとともに、車載バッテリ50からキャパシタ46に対して充電が行われるように、スイッチ102を切り替える(S38)。
【0047】
エンジンが非作動である場合(S26のN)、灯具種類判定部114が点灯中の灯具の種類を判定する(S28)。点灯中の灯具のうち、予め定められている指定灯具(例えば、ターンシグナルランプ、ストップランプ、テールランプ)であるものについては、点消灯制御部118は、キャパシタ46から指定灯具に対して給電されるようにスイッチ102を設定する。このとき、車載バッテリ50からキャパシタ46への充電は行われない(S30)。キャパシタ46から指定灯具への給電を続け、キャパシタ電圧が所定の電圧V3(但し、V3<V2)以下になった場合(S32)、車載バッテリ50からキャパシタ46への充電が開始される(S34)。この結果、車載バッテリの電力がなくなるまで指定灯具は点灯され続ける。
【0048】
点灯中の灯具のうち、指定灯具以外(例えば、ハイビーム、ロービーム、CLL、フォグランプ)であるものについては、点消灯制御部118はそれらの灯具を減光するか、または消灯する(S36)。S30と同様に、このときも車載バッテリ50からキャパシタ46への充電は行われない。つまり、キャパシタ電圧がV2以下になり充電量が不足してきた場合でも、エンジンが非作動中であるときは、車載バッテリからキャパシタへの充電は行われない。この理由は、バッテリからキャパシタに充電を行いつつ指定灯具を点灯し続けた場合、灯具の点灯時間が長期化すると車載バッテリの電力を使い果たしてバッテリ上がりを起こしてしまうことを防止するためである。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、灯具に電力を供給するキャパシタと、キャパシタを制御する制御装置とを、車両用灯具ユニットの灯室内に設けたので、車両用灯具ユニットと車体間の配線が簡素になり、取り付けが容易になる。
【0050】
また、キャパシタが満充電状態であるときに適切な電圧まで電力を消費するようにしたので、車両が昼間にしか使用されず灯具を点灯する機会が少ない場合であっても、キャパシタの性能劣化を防止することができる。
【0051】
また、キャパシタの充電量が低下した場合でも、エンジンが非作動であるときには車載バッテリからキャパシタへの充電が行われないので、車載バッテリに蓄積された電力が消費されることによるバッテリ上がりが防止される。
【0052】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
【0053】
キャパシタ46から灯室内の灯具以外の電気機器にも電力を供給できるように回路を構成してもよい。そのような電気機器として、例えば、曲線道路走行時等に進行方向を照らして運転者の前方視界を向上させるAFS(Adaptive Front-lighing System)を実現するためのスイブルアクチュエータ、車両姿勢に応じた光軸調整により、ハイビーム用ランプによる前方照射の到達距離を最適な距離に調整するためのレベリングアクチュエータ、ヘッドランプクリーナの駆動モータなどが考えられる。このような回路構成の場合、アクチュエータへの電力供給によって電力を消費してキャパシタ充電量を調整することが可能になる。
【0054】
上述のような、車載バッテリからではなくキャパシタから電気機器に電力を供給するようにした車両用灯具ユニットには、以下のような利点もある。車載バッテリから電力供給を受ける一般的な車両用前照灯では、灯室内のアクチュエータなどの電気機器に、エンジン始動時のクランキング対策として電圧変動に対応する大容量のコンデンサ等が搭載されている。しかし、キャパシタのみからこれらの電気機器に電力を供給し、車載バッテリと直接接続しないような回路構成とすることで、電気機器からクランキング対策のコンデンサを排除することが可能になる。
【符号の説明】
【0055】
46 キャパシタ、 50 車載バッテリ、 62 受電端子、 64 給電端子、 70 車両用灯具ユニット、 72 ハイビーム用ランプ、 74 ロービーム用ランプ、 76 DRL、 78 ターンシグナルランプ、 79 CLL、 80 ランプボディ、 82 エクステンション、 88 アウターカバー、 92 灯室、 100 制御装置、 102 スイッチ、 104 充電量監視部、 106 エンジン判定部、 110 充放電ユニット、 112 充電制御部、 114 灯具種類判定部、 116 放電制御部、 118 点消灯制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと、
前記ランプボディの車両前面側に配置される透明のアウターカバーと、
前記ランプボディと前記アウターカバーとで画成される灯室内に配置される灯具と、
前記灯室内に配置され、前記灯具に電力を供給可能に構成されるキャパシタと、
灯室外にある車載バッテリから前記キャパシタへの充電を可能にするよう前記ランプボディに取り付けられる受電端子と、
前記灯室内に配置され、前記車載バッテリから前記キャパシタへの充電を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする車両用灯具ユニット。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記キャパシタの充電量が予め定められた値以下であるか否かを判定する充電量監視部と、
車両のエンジンが作動中か否かを判定するエンジン判定部と、
前記充電量監視部により充電量が予め定められた値以下と判定された場合、前記エンジン判定部によりエンジンが作動中と判定されたとき、前記車載バッテリから前記キャパシタへの充電を実行し、エンジンが非作動中と判定されたとき、前記車載バッテリから前記キャパシタへの充電を停止する充電制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項3】
前記制御装置は、前記充電量監視部により充電量が予め定められた値以下と判定され、かつ前記エンジン判定部によりエンジンが非作動中と判定されたとき、前記灯具を減光または消灯させる灯具制御部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項4】
それぞれ機能の異なる複数の灯具が灯室内に配置されており、
前記制御装置は、
前記エンジン判定部によりエンジンが非作動中と判定され、かつ前記充電量監視部により充電量が予め定められた値以下と判定されたとき、点灯中の灯具の種類を判定する灯具種類判定部と、
前記灯具種類判定部により、点灯中の灯具が、エンジン非作動中にも点灯が必要であるものとして予め定められている指定灯具であると判定されたとき、前記キャパシタから点灯中の灯具への給電を継続し、指定灯具以外と判定されたとき、点灯中の灯具を消灯させる点消灯制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項5】
前記充電制御部は、前記灯具種類判定部により、点灯中の灯具が指定灯具であると判定されたとき、エンジンが非作動中の場合でも前記車載バッテリから前記キャパシタへの充電を実行することを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具ユニット。
【請求項6】
前記キャパシタがリチウムイオンキャパシタであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両用灯具ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−60150(P2013−60150A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200949(P2011−200949)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】