説明

車両用灯具

【課題】車両用灯具の軽量化を図るとともに、光源としての半導体発光素子から生じた熱を効率的に拡散させる。
【解決手段】車両用灯具10は、光源としての半導体発光素子32と、半導体発光素子32を支持する支持部材としてのブラケット50と、を備える。ブラケット50は、半導体発光素子32と接する領域の少なくとも一部が等方的熱伝導性を有する第1伝熱部材を含み、第1伝熱部材と接する領域が異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に半導体発光素子を光源とする車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などの半導体発光素子を光源として用いた車両用灯具が提案されている。車両用灯具の光源として半導体発光素子を用いる場合、車両用灯具に要求される光量レベルを満足するために、半導体発光素子の発光を最大限利用することが求められている。
【0003】
一般に、半導体発光素子は、高出力を得るために大きな電流を供給すると発熱が増えるが、発熱によって半導体発光素子の温度が高温になると発光効率が低下するという性質を有する。そのため、半導体発光素子からの熱を効率良く放熱するために、種々の車両用灯具の放熱構造が提案されている。たとえば、半導体発光素子を支持する支持部材を放熱性に優れるアルミニウムなどの金属で形成し、金属製支持部材によって半導体発光素子で発生した熱を効率よく拡散させて、半導体発光素子の温度上昇を抑える技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−214144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両の燃費向上や運動性能向上などの観点から車両の軽量化が求められており、そのため車両用灯具についても軽量化が求められている。このような状況において、本発明者は以下の課題を認識するに至った。すなわち、車両用灯具を軽量化する方法としては、半導体発光素子を支持する支持部材を、アルミニウムなどの金属よりも軽量な材料、たとえば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に置き換えることが考えられる。
【0005】
CFRPは、複数の炭素繊維を熱硬化性樹脂などで接着して形成された層状のコア材(プリプレグ)が多数積層された構造であり、コア材の積層方向に熱が伝わりにくく、コア材の延在方向に熱が伝わりやすいという異方的熱伝導性を有している。そのため、CFRPを半導体発光素子の支持部材として用いた場合には、アルミニウムなどの等方的熱伝導性を有する金属からなる支持部材と比べて、半導体発光素子から生じた熱を効率よく拡散させることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、発明者によるこうした認識に基づいてなされたものであり、その目的は、車両用灯具の軽量化を図るとともに、光源としての半導体発光素子から生じた熱を効率的に拡散させる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具であり、この車両用灯具は、光源としての半導体発光素子と、半導体発光素子を支持する支持部材と、を備え、支持部材は、半導体発光素子と接する領域の少なくとも一部が等方的熱伝導性を有する第1伝熱部材を含み、第1伝熱部材と接する領域が異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材を含むことを特徴とする。
【0008】
この態様によれば、車両用灯具の軽量化を図るとともに、光源としての半導体発光素子から生じた熱をより効率的に拡散させることができる。
【0009】
上記態様において、第2伝熱部材は、層状のコア材が積層された構造であって、コア材の延在方向に異方的熱伝導性を有し、第1伝熱部材は、複数のコア材と交わるように設けられていてもよい。これによれば、より効率的に熱を拡散させることができる。
【0010】
また、上記態様において、支持部材は、略板状の本体部と、本体部の一方の面から突出し、突出方向に沿った面に半導体発光素子が搭載される光源搭載部と、を含んでもよい。このような構成においても、車両用灯具の軽量化を図るとともに、光源としての半導体発光素子から生じた熱を効率的に拡散させることができる。
【0011】
また、上記態様において、支持部材は、略板状の本体部と、本体部の一方の面から突出し、突出方向に沿った面に半導体発光素子が搭載される光源搭載部と、を含み、コア材は、本体部から光源搭載部にかけて延在していてもよい。これによれば、より効率的に熱を拡散させることができる。
【0012】
また、上記態様において、放熱フィンが本体部の他方の面に設けられていてもよい。これによれば、より効率的に熱を拡散させることができる。
【0013】
また、上記態様において、第1伝熱部材と第2伝熱部材とを互いに固定する固定部材を備えていてもよい。これによれば、第1伝熱部材の第2伝熱部材からの抜け落ちを防止できる。
【0014】
また、上記態様において、第2伝熱部材は、第1伝熱部材より質量が軽くてもよい。また、第2伝熱部材は、320W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で20%以上含有する炭素繊維強化プラスチックであってもよい。これらによれば、車両用灯具の軽量化を図るとともに、光源としての半導体発光素子から生じた熱を効率的に拡散させることができる。
【0015】
また、本発明の他の態様もまた車両用灯具であり、この車両用灯具は、光源としての半導体発光素子と、半導体発光素子を支持する支持部材と、を備え、支持部材は、半導体発光素子の熱を拡散せしめる第1伝熱部材と、第1伝熱部材に接し、異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材とを含み、第1伝熱部材は、第2伝熱部材の異方的熱伝導性が原因となって生じる、半導体発光素子の熱の拡散がしにくい方向に熱を拡散せしめることを特徴とする。
【0016】
この態様によれば、車両用灯具の軽量化を図るとともに、光源としての半導体発光素子から生じた熱をより効率的に拡散させることができる。
【0017】
また、上記態様において、第2伝熱部材は、孔ないし凹部を有し、第1伝熱部材が孔ないし凹部にはめ込まれる形で両者が接し、半導体発光素子が第1伝熱部材に取り付けられてもよい。これによれば、製造工程の複雑化を回避できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両用灯具の軽量化を図るとともに、光源としての半導体発光素子から生じた熱を効率的に拡散させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0020】
(実施形態1)
本発明は、光源としての半導体発光素子と、半導体発光素子を支持する支持部材と、を備えた車両用灯具に係るものである。本発明の車両用灯具では、支持部材が半導体発光素子の熱を拡散せしめる第1伝熱部材と、第1伝熱部材に接し、異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材とを含む。そして、第1伝熱部材が、第2伝熱部材の異方的熱伝導性が原因となって生じる、半導体発光素子の熱の拡散がしにくい方向に熱を拡散せしめることで、半導体発光素子から生じた熱を効率的に拡散させている。
【0021】
図1は、実施形態1に係る車両用灯具の概略水平断面図である。図2は、図1におけるA−A線上の断面図である。図3は、ブラケットの概略構成図である。図1では、車両の左前方に取り付けられる車両用灯具を例として示している。車両右前方に配置される車両用灯具は、図1の構成とは線対称の配置となる。
【0022】
図1および図2に示すように、実施形態1に係る車両用灯具10は、灯具ボディ12と、灯具ボディ12の前端開口部に取り付けられた透光カバー14とで形成された灯室内に、光源としての半導体発光素子32を含む灯具ユニット30が収容された構成である。また、灯室内には半導体発光素子32を支持する支持部材としてのブラケット50が収容されており、灯具ユニット30は、ブラケット50に固定されている。
【0023】
灯具ユニット30は、反射型のプロジェクタ型灯具ユニットであり、半導体発光素子32と、半導体発光素子32からの光を車両前方へ反射するリフレクタ34とを備える。また、灯具ユニット30は、ブラケット50に固定されたシェード36と、シェード36に保持された投影レンズ38とを備える。
【0024】
半導体発光素子32は、たとえば発光ダイオード(LED)であり、略半球状のキャップに覆われた発光チップ32aと、セラミックなどで形成された熱伝導性絶縁基板32bとを備える。発光チップ32aは、熱伝導性絶縁基板32b上に配置されている。半導体発光素子32は、その照射軸が灯具ユニット30の照射方向(図2中左方向)と略垂直となる略鉛直上方に向けられた状態で、ブラケット50の後述する光源搭載部54a〜54c上に載置されている。なお、半導体発光素子32の照射軸は、その形状や前方に照射される配光に応じて調整可能である。また、半導体発光素子32は、複数の発光チップ32aを設けた構成であってもよい。
【0025】
リフレクタ34は、たとえば回転楕円面の一部で構成された反射面が内側に形成された反射部材であり、その一端がブラケット50に固定されている。また、シェード36は、略水平に配置された平面部36aを有しており、この平面部36aよりも前方領域は下方に凹状に湾曲された湾曲部36bとして構成され、半導体発光素子32から出射した光を反射しないようになっている。リフレクタ34は、その第1焦点が半導体発光素子32近傍に位置し、そしてその第2焦点がシェード36の平面部36aと湾曲部36bとが為す稜線36c近傍に位置するように設計配置されている。
【0026】
投影レンズ38は、リフレクタ34の反射面にて反射した光を灯具前方に投影する、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであって、車両前後方向に延びる光軸上に配置され、シェード36の車両前方側先端部にて固定されている。投影レンズ38の後方焦点は、例えばリフレクタ34の第2焦点と略一致するように構成されている。また、投影レンズ38は、その後側焦点を含む後側焦点面上の像を、灯具前方に配置された鉛直仮想スクリーン上に反転像として投影するように構成されている。
【0027】
半導体発光素子32の発光チップ32aから出射した光は、リフレクタ34の反射面にて反射され、第2焦点を通って投影レンズ38に入射する。投影レンズ38に入射した光は、投影レンズ38で集光されて略平行な光として前方に照射される。また、シェード36の稜線36cを境界線として、一部の光が平面部36aにて反射し、光が選択的にカットされて車両前方に投影される配光パターンに斜めカットオフラインが形成される。
【0028】
図1ないし図3に示すように、ブラケット50は水平断面視で複数回折れ曲がった略板状の本体部52と、本体部52の一方の面から突出し、突出方向に沿った面に半導体発光素子32が搭載される光源搭載部54a〜54cとを備える。
【0029】
本体部52には、所定の辺縁部に螺孔51が設けられており、ブラケット50は、螺孔51が灯具ボディ12を貫通して前方に延出するエイミングスクリュー60、62、およびレベリングシャフト64に螺合することで、灯具ボディ12に取り付けられている。レベリングシャフト64はレベリングアクチュエータ66に接続されている。車両用灯具10は、エイミングスクリュー60、62と、レベリングシャフト64およびレベリングアクチュエータ66によって、灯具ユニット30の光軸を水平方向あるいは垂直方向に調整できるように構成されている。
【0030】
また、ブラケット50は、3つの光源搭載部54a〜54cを備え、3つの灯具ユニット30を取り付けることが可能である。なお、図1では、光源搭載部54aに取り付けられた灯具ユニット30のみを図示し、光源搭載部54bおよび光源搭載部54cに取り付けられた灯具ユニット30は図示を省略している。光源搭載部54a〜54cは、半導体発光素子32と接する領域の少なくとも一部が、たとえばアルミなどの金属から成り、等方的熱伝導性を有する第1伝熱部材で形成された第1伝熱部材領域56a〜56cを含む。光源搭載部54a〜54cの第1伝熱部材と接する領域、本実施形態では第1伝熱部材領域56a〜56c以外の領域は、異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材で形成されている。また、本体部52は、第2伝熱部材で形成されている。ブラケット50は、その大部分、たとえば体積分率で80%以上が第2伝熱部材であることがことが好ましい。
【0031】
図4は、図1におけるA−A線上の拡大部分断面模式図である。
本体部52と、光源搭載部54a〜54cの第1伝熱部材領域56a〜56c以外の領域とを形成する第2伝熱部材(図3参照)は、第1伝熱部材より質量が軽い部材であり、たとえば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)である。CFRPは、好ましくは320W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で20%以上含有するものであり、より好ましくは500W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で50%以上含有するものである。
【0032】
第2伝熱部材は、層状のコア材が積層された多層構造である。また、コア材は、多数の炭素繊維が略平行に配列され、たとえばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂により各炭素繊維が接着された略シート状形状を有する。そして、第2伝熱部材は、コア材の延在方向に熱が伝わりやすく、コア材の積層方向に熱が伝わりにくい。言い換えれば、第2伝熱部材は、コア材内で熱伝導しやすく、コア材間で熱伝導しにくい性質を有する。すなわち第2伝熱部材は、コア材の延在方向に異方的熱伝導性を有する。具体的には、第2伝熱部材におけるコア材の延在方向の熱伝導率は第1伝熱部材の熱伝導率よりも高く、コア材の積層方向の熱伝導率は第1伝熱部材の熱伝導率よりも低い。
【0033】
本実施形態では、図4に示すように、本体部52および光源搭載部54aの第1伝熱部材領域56a以外の領域が、コア材53a〜53cを積層して構成された第2伝熱部材で形成されている。光源搭載部54aは、たとえばコア材53a〜53cが積層された略板状の本体部52の一方の主表面から、コア材53a〜53cを略垂直方向に展延させて形成される。そのため、コア材53a〜53cは、本体部52から光源搭載部54aにかけて連続しており、すなわち本体部52から光源搭載部54aにかけて延在している。
【0034】
光源搭載部54aは、半導体発光素子32の載置領域に貫通孔55aを有している。そして、第1伝熱部材領域56aは、第1伝熱部材が貫通孔55aに嵌め込まれる形で形成される。そのため、第1伝熱部材は、複数のコア材と交わるように光源搭載部54aに設けられ、第1伝熱部材と第2伝熱部材とが互いに接した状態となっている。なお、光源搭載部54aに、貫通孔55aではなく溝を含む凹部を形成し、該凹部に第1伝熱部材を嵌め込んで第1伝熱部材領域56aを形成してもよい。
【0035】
図1、図2、および図4に示すように、本体部52の光源搭載部54a〜54cが形成された面と反対側の面には、放熱フィン58が設けられている。また、図1および図2に示すように、灯室内には、放熱フィン58に向けて空気を送風し、放熱フィン58を冷却するファン70が設けられている。図1では、光源搭載部54aに対応する放熱フィン58とファン70のみを図示している。
【0036】
このような構成における半導体発光素子32で発生した熱の放熱機序について説明する。図4中の矢印で示すように、まず、半導体発光素子32で発生した熱は、第1伝熱部材の等方的熱伝導性のために、半導体発光素子32と接する第1伝熱部材領域56a内を等方的に拡散していく。そして、第1伝熱部材領域56a内の熱は、第1伝熱部材と接触する第2伝熱部材の複数のコア材53a〜53cに伝達される。コア材53a〜53cに伝達された熱は各コア材内を移動し、光源搭載部54a内を異方的に拡散していく。続いて、光源搭載部54a内の熱は、光源搭載部54aから本体部52にかけて連続しているコア材53a〜53c内を移動して、本体部52に拡散する。光源搭載部54aから本体部52に拡散した熱は、放熱フィン58に伝達され、放熱フィン58においてファン70から送られた空気との間で熱交換が行われる。
【0037】
ここで、第2伝熱部材のみで形成された光源搭載部に半導体発光素子32を載置した場合には、半導体発光素子32で発生した熱は、第2伝熱部材の異方的熱伝導性のために、半導体発光素子32と接する最表面のコア材には伝達されるが、他のコア材には伝達されにくい。そのため、半導体発光素子32で発生した熱の拡散には、主に最表面のコア材が寄与し、他のコア材はほとんど寄与しないこととなり、半導体発光素子32で発生した熱が効率的に拡散されずに半導体発光素子32の近傍に留まってしまう。その結果、半導体発光素子32の温度が過度に上昇してしまうおそれがある。
【0038】
一方、本実施形態では、半導体発光素子32が接する領域に、第2伝熱部材のコア材間の熱伝導性よりも高く、かつ等方的な熱伝導性を有する第1伝熱部材が嵌め込まれた第1伝熱部材領域56aを設けている。そして、第1伝熱部材を複数のコア材と交わるように設けている。これにより、半導体発光素子32で発生した熱を、第1伝熱部材を介して各コア材に伝達することができるため、最表面のコア材だけでなく、第1伝熱部材と接する複数のコア材を熱の拡散に寄与せしめることができる。そのため、半導体発光素子32で発生した熱を半導体発光素子32から離れる方向に効率的に拡散させることができ、その結果、半導体発光素子32における過度の温度上昇を抑えることができる。
【0039】
また、本実施形態では、第2伝熱部材のコア材内の熱伝導性は、第1伝熱部材の熱伝導性よりも高い構成となっている。そのため、第1伝熱部材から各コア材に伝達された熱は、各コア材内を半導体発光素子32から離れる方向に迅速に拡散していく。その結果、半導体発光素子32で発生した熱をより効率的に拡散させることができる。
【0040】
なお、図5に示すように、シート状の固定部材80を光源搭載部54aの表面と第1伝熱部材領域56aの表面とを被覆するように設けてもよい。図5には示されていないが、光源搭載部54b、54c、と第1伝熱部材領域56b、56cについても同様である。これによれば、固定部材80によって第1伝熱部材と第2伝熱部材とが互いに固定されるため、第1伝熱部材の第2伝熱部材からの抜け落ちを防止することができる。固定部材80の形状は特に限定されず、たとえば第1伝熱部材と第2伝熱部材とに軸が一致するように螺孔を設け、該螺孔にネジを挿入して互いを固定するようにしてもよい。図5は、固定部材80を設けた状態を示す概略模式図である。
【0041】
また、放熱フィン58の本体部52側の端部を本体部52内に埋没あるいは貫通させ、本体部52を形成する各コア材と交わるようにしてもよい。これによれば、半導体発光素子32から各コア材に伝達された熱をより効率的に放熱フィン58に伝達することができる。
【0042】
以上説明した構成による作用効果を総括すると、本実施形態では、ブラケット50の光源搭載部54a〜54cに、等方的熱伝導性を有する第1伝熱部材からなる第1伝熱部材領域56a〜56cを設けている。また、ブラケット50の第1伝熱部材領域56a〜56c以外の領域を異方的熱伝導性を有し、第1伝熱部材より質量が軽い第2伝熱部材で形成している。そのため、車両用灯具10が軽量となり、また半導体発光素子32から生じた熱を効率的に拡散させることができる。
【0043】
LEDなどの半導体発光素子32は、温度の上昇によって発光効率が低下するという性質を有するが、本実施形態の車両用灯具10によれば、半導体発光素子32の過度の温度上昇を抑えることができるため、半導体発光素子32の発光効率の低下を抑制することができる。その結果、半導体発光素子32を光源として用いた車両用灯具10の製品信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、車両用灯具10では、第1伝熱部材を、第2伝熱部材を構成する複数のコア材と交わるように配置している。そのため、複数のコア材を半導体発光素子32で発生した熱の拡散に寄与せしめることが可能となり、より効率的に熱を拡散させることができる。また、本体部52と光源搭載部54a〜54cにかけてコア材53a〜53cが連続しているため、光源搭載部54a〜54cから本体部52へ効率的に熱を拡散させることができる。
【0045】
また、ブラケット50の大部分、たとえば体積分率で80%以上が第2伝熱部材で構成され、第2伝熱部材であるCFRPが好ましくは320W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で20%以上含有し、より好ましくは500W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で50%以上含有する場合には、車両用灯具10のさらなる軽量化と熱伝導性の向上を図ることができる。
【0046】
さらに、車両用灯具10では、第1伝熱部材から成る第1伝熱部材領域56a〜56cに半導体発光素子32の載置面を設けている。そして、CFRPなどの第2伝熱部材に比べて金属などの第1伝熱部材は加工が容易である。そのため、より簡単に半導体発光素子32の位置決めなどが可能となり、製造工程数および製造コストの上昇を抑えることができる。また、第1伝熱部材と第2伝熱部材とを互いに固定する固定部材80を設けることで、第1伝熱部材の抜け落ちを防止することができる。
【0047】
(変形例)
実施形態1に係る車両用灯具10としては、次のような変形例が挙げられる。
【0048】
(第1変形例)
図6(a)、(b)は、実施形態1の第1変形例を説明するための概略図である。図6(a)は、ブラケットの概略構成を示し、図6(b)は、ブラケットに放熱フィンと灯具ユニット30とを取り付けた状態を示している。また、図7は、第1変形例に係る車両用灯具の概略垂直断面図である。
【0049】
図6(a)、(b)、および図7に示すように、第1変形例に係る車両用灯具10のブラケット150は、略板状の本体部152と、本体部152の一方の面から突出し、突出方向に沿った面に半導体発光素子32が搭載される光源搭載部154a〜154cとを備える。本体部152には、所定の辺縁部に螺孔151が設けられており、ブラケット150は、螺孔151がエイミングスクリュー60、62(図1参照)、およびレベリングシャフト64に螺合することで、灯具ボディ12に取り付けられている。本体部152の他方の面には放熱フィン158が設けられている。
【0050】
ブラケット150は、3つの光源搭載部154a〜154cを備え、3つの灯具ユニット30を取り付けることが可能である。ブラケット150では、本体部152が光源搭載部154a〜154cにおける灯具ユニット30の取付面157a〜157cに対して水平断面視で傾いており、そのため、本体部152が灯具ユニット30の光軸、あるいは車両の前後方向に大きく傾く構成となっている。したがって、本変形例のブラケット150は、灯室が水平断面視で車両の前後方向に傾いた車両用灯具10に好適に用いられる。なお、図6(b)では、光源搭載部154aに取り付けられた灯具ユニット30のみを図示している。また、灯具ユニット30のリフレクタ34は省略している。
【0051】
第1変形例に係るブラケット150では、光源搭載部154a〜154cと、光源搭載部154a〜154cと当接する領域を含む本体部152の一部とが第1伝熱部材で形成され、第1伝熱部材領域156を構成している。そして、本体部152の第1伝熱部材領域156以外の領域は第2伝熱部材で形成されている。第1伝熱部材領域156は、光源搭載部154a〜154cと本体部152の一部を形成する第1伝熱部材が、本体部152の他の部分を構成する第2伝熱部材に設けられた貫通孔もしくは凹部に嵌め込まれて形成される。第1伝熱部材は、複数のコア材と交わるように本体部152に設けられている。
【0052】
ブラケット150では、第1伝熱部材が等方的熱伝導性を有するため、半導体発光素子32で発生した熱は、第1伝熱部材領域156内を光源搭載部154a〜154cから本体部152の方向に等方的に拡散する。そして、第1伝熱部材領域156内を拡散した熱は、本体部152において第1伝熱部材から、第1伝熱部材領域156に接する第2伝熱部材に伝達され、本体部152内を拡散して放熱フィン158に伝達される。また、第1伝熱部材領域156の一部は放熱フィン158と接しており、半導体発光素子32で発生した熱の一部は、第1伝熱部材領域156から放熱フィン158に直接伝達される。放熱フィン158に伝達された熱は、ファン70から送られた空気との間で熱交換が行われる。
【0053】
(第2変形例)
図8(a)、(b)は、実施形態1の第2変形例を説明するための概略図である。図8(a)は、ブラケットの概略構成を示し、図8(b)は、ブラケットの水平断面を示している。なお、図8では、ブラケット350を灯具ボディ12に取り付けるための螺孔、および放熱フィンの図示を省略している。
【0054】
図8(a)、(b)に示すように、第2変形例に係る車両用灯具10のブラケット350は、略板状の本体部352と、本体部352の一方の面から突出し、突出方向に沿った面に半導体発光素子が搭載される光源搭載部354a〜354cとを備える。ブラケット350では、本体部352が光源搭載部354a〜354cにおける灯具ユニットの取付面357a〜357cに対して水平断面視で傾いており、そのため、本体部352が灯具ユニットの光軸、あるいは車両の前後方向に大きく傾く構成となっている。
【0055】
第2変形例に係るブラケット350では、光源搭載部354a〜354cは互いに分離しており、光源搭載部354a〜354cの本体部352と当接する側の面に突起部359a〜359cが形成されている。また、光源搭載部354a〜354cは第1伝熱部材で形成され、第1伝熱部材領域356a〜356cを構成している。一方、本体部352には突起部359a〜359cが挿入される取付用貫通孔352a〜352cが形成されており、本体部352は、第2伝熱部材で形成されている。そして、第1伝熱部材領域356a〜356cは、光源搭載部354a〜354cの突起部359a〜359cが本体部352の取付用貫通孔352a〜352cに挿入されて形成されている。第1伝熱部材は、突起部359a〜359cにおいて第2伝熱部材の複数のコア材と交わった状態となる。また、光源搭載部354a〜354cが本体部352の主表面に当接している。これにより、光源搭載部354a〜354cの本体部352からの抜け落ちを防止している。
【0056】
ブラケット350では、半導体発光素子で発生した熱は、第1伝熱部材領域356a〜356c内を光源搭載部354a〜354cから本体部352の方向に等方的に拡散する。そして、第1伝熱部材領域356a〜356c内を拡散した熱は、本体部352の取付用貫通孔352a〜352cの内側面において、第1伝熱部材から第2伝熱部材に伝達され、本体部352内を拡散して放熱フィンに伝達される。また、突起部359a〜359cの頂部面は放熱フィンと接しており、半導体発光素子で発生した熱の一部は、第1伝熱部材領域356a〜356cから放熱フィンに直接伝達される。放熱フィンに伝達された熱は、ファンから送られた空気との間で熱交換が行われる。
【0057】
このように、実施形態1の第1変形例および第2変形例に係る車両用灯具においても、車両用灯具の軽量化とともに、半導体発光素子で発生した熱を効率的に拡散させることができ、半導体発光素子における過度の温度上昇を抑えることができる。また、実施形態1と同様に他の効果も得ることができる。また、第2変形例に係る車両用灯具では、ブラケット350における第1伝熱部材の量を低減し、ブラケット350全体に占める第2伝熱部材の割合を増やすことができるため、車両用灯具のより一層の軽量化を図ることができる。
【0058】
(実施形態2)
実施形態2に係る車両用灯具は、灯具ユニットが直射型の灯具ユニットであり、ブラケットが直射型の灯具ユニットを固定可能な構成となっている点が実施形態1と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、車両用灯具のその他の構成は実施形態1と同一であり、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0059】
図9は、実施形態2に係る車両用灯具の概略水平断面図である。図10は、図9におけるB−B線上の断面図である。図11は、ブラケットの概略構成図である。
図9および図10に示すように、実施形態2に係る車両用灯具10は、灯具ボディ12と、透光カバー14とで形成された灯室内に、光源としての半導体発光素子232を含む灯具ユニット230が収容された構成である。また、灯室内には灯具ユニット230を支持する支持部材としてのブラケット250が収容されており、灯具ユニット230は、ブラケット250に固定されている。
【0060】
灯具ユニット230は、直射型のプロジェクタ型灯具ユニットであり、半導体発光素子232と、ブラケット250に固定されたシェード236と、シェード236に保持された投影レンズ238とを備える。
【0061】
半導体発光素子232は、たとえば発光ダイオード(LED)であり、略半球状のキャップに覆われた発光チップ232aと、セラミックなどで形成された熱伝導性絶縁基板232bとを備える。半導体発光素子232は、その照射軸が灯具ユニット230の照射方向(図10中左方向)と略平行となる車両前方に向けられた状態で、ブラケット250の後述する光源搭載部254a〜254c上に載置されている。
【0062】
シェード236は、略水平に配置された平面部236aを有しており、この平面部236aよりも前方領域は下方に凹状に湾曲された湾曲部236bとして構成され、半導体発光素子232から出射した光を反射しないようになっている。また、シェード236は、平面部236aと湾曲部236bとが為す稜線236cを有する。
【0063】
投影レンズ38は、半導体発光素子232から出射した光を灯具前方に投影する、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであって、車両前後方向に延びる光軸上に配置され、シェード236の車両前方側先端部に固定されている。投影レンズ238の後方焦点は、例えば半導体発光素子232の発光チップ232aと略一致するように構成されている。
【0064】
発光チップ232aから出射した光は、投影レンズ238に直接入射する。投影レンズ238に入射した光は、投影レンズ238で集光されて略平行な光として前方に照射される。また、シェード236の稜線236cを境界線として、一部の光が平面部236aにて反射し、配光パターンに斜めカットオフラインが形成される。
【0065】
図9ないし図11に示すように、ブラケット250は水平断面視で略波形板状の本体部252を有する。本体部252には、半導体発光素子232が搭載される光源搭載部254a〜254cが含まれる。
【0066】
本体部252には、所定辺縁部に螺孔251が設けられており、ブラケット250は、螺孔51がエイミングスクリュー60、62、およびレベリングシャフト64に螺合することで、灯具ボディ12に取り付けられている。また、本体部252には3つの光源搭載部254a〜254cが含まれ、3つの灯具ユニット230を取り付けることが可能である。なお、図9では、光源搭載部254aに取り付けられた灯具ユニット230のみを図示している。
【0067】
さらに、本体部252には、光源搭載部254a〜254cの半導体発光素子232と接する領域の少なくとも一部を含むように、たとえばアルミなどの金属から成り、等方的熱伝導性を有する第1伝熱部材で形成された第1伝熱部材領域256が設けられている。光源搭載部254a〜254cの第1伝熱部材と接する領域、本実施形態では本体部252の第1伝熱部材領域256以外の領域は、異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材で形成されている。ブラケット250は、その大部分、たとえば体積分率で80%以上が第2伝熱部材であることがことが好ましい。
【0068】
第2伝熱部材は、第1伝熱部材より質量が軽い部材、たとえば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)であり、層状のコア材が積層された多層構造である。CFRPは、好ましくは320W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で20%以上含有するものであり、より好ましくは500W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で50%以上含有するものである。コア材は、多数の炭素繊維が略平行に配列され、たとえばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂により各炭素繊維が接着された略シート状形状を有する。そして、第2伝熱部材は、コア材の延在方向に異方的熱伝導性を有する。
【0069】
第1伝熱部材領域256は、第1伝熱部材が本体部252に設けられた貫通孔あるいは凹部に嵌め込まれる形で形成され、第1伝熱部材は複数のコア材と交わるように本体部252に設けられている。
【0070】
図9および図10に示すように、本体部252の半導体発光素子232が搭載される面と反対側の面には、放熱フィン258が設けられている。また、灯室内には、放熱フィン258に向けて空気を送風し、放熱フィン258を冷却するファン70が設けられている。図9では、光源搭載部254aに対応する放熱フィン258とファン70のみを図示している。
【0071】
このような構成において、半導体発光素子232で発生した熱は、半導体発光素子232と接する第1伝熱部材領域256内を等方的に拡散していく。そして、第1伝熱部材領域56a内の熱は、第1伝熱部材領域256に接する第2伝熱部材の複数のコア材に伝達され、各コア材内を移動して本体部52内を異方的に拡散して、放熱フィン58に伝達される。また、第1伝熱部材領域256の一部は放熱フィン258と接しており、半導体発光素子232で発生した熱の一部は、第1伝熱部材領域256から放熱フィン258に直接伝達される。放熱フィン258に伝達された熱は、ファン70から送られた空気との間で熱交換が行われる。
【0072】
なお、シート状の固定部材を本体部252の表面と第1伝熱部材領域256の表面とを被覆するように設けてもよい。これによれば、第1伝熱部材の第2伝熱部材からの抜け落ちを防止することができる。固定部材の形状は特に限定されず、たとえば第1伝熱部材と第2伝熱部材とに軸が一致するように螺孔を設け、該螺孔にネジを挿入して互いを固定するようにしてもよい。また、放熱フィン258の本体部252側の端部を本体部252内に埋没あるいは貫通させ、本体部252を形成する各コア材と交わるようにしてもよい。これによれば、半導体発光素子232から各コア材に伝達された熱をより効率的に放熱フィン258に伝達することができる。
【0073】
以上説明した構成による作用効果を総括すると、実施形態2に係る車両用灯具10は、ブラケット250における半導体発光素子232と接する領域に、等方的熱伝導性を有する第1伝熱部材からなる第1伝熱部材領域256を設けている。また、ブラケット250の第1伝熱部材領域256以外の領域を、異方的熱伝導性を有し第1伝熱部材より質量が軽い第2伝熱部材で形成している。そのため、車両用灯具10が軽量となり、また半導体発光素子232から生じた熱を効率的に拡散させることができる。その結果、半導体発光素子32の発光効率の低下を抑制することができ、車両用灯具10の製品信頼性を向上させることができる。
【0074】
また、実施形態2に係る車両用灯具10においても、第1伝熱部材を、第2伝熱部材を構成する複数のコア材と交わるように配置している。そのため、複数のコア材を半導体発光素子232で発生した熱の拡散に寄与せしめることが可能となり、より効率的に熱を拡散させることができる。また、ブラケット250の大部分、たとえば体積分率で80%以上が第2伝熱部材で構成され、第2伝熱部材であるCFRPが好ましくは320W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で20%以上含有し、より好ましくは500W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で50%以上含有する場合には、車両用灯具10のさらなる軽量化と熱伝導性の向上を図ることができる。
【0075】
さらに、第1伝熱部材から成る第1伝熱部材領域256に半導体発光素子32の載置面を設けており、第2伝熱部材に比べて第1伝熱部材は加工が容易であるため、より簡単に半導体発光素子32の位置決めなどが可能となり、製造工程数および製造コストの上昇を抑えることができる。また、第1伝熱部材と第2伝熱部材とを互いに固定する固定部材80を設けることで、第1伝熱部材の抜け落ちを防止することができる。
【0076】
(変形例)
実施形態2に係る車両用灯具10としては、次のような変形例が挙げられる。図12(a)、(b)は、実施形態2の変形例を説明するための概略図である。図12(a)は、ブラケットの概略構成を示し、図12(b)は、ブラケットの水平断面を示している。なお、図12では、ブラケット450を灯具ボディ12に取り付けるための本体部452に設けられた螺孔、本体部452に設けられた放熱フィンの図示を省略している。また、本体部452は略平板状としている。
【0077】
図12(a)、(b)に示すように、変形例に係る車両用灯具10のブラケット450は、略平板状の本体部452を有し、本体部452には、半導体発光素子が搭載される光源搭載部454a〜454cが含まれ、光源搭載部454a〜454cの半導体発光素子と接する領域の少なくとも一部を含むように、第1伝熱部材で形成された第1伝熱部材領域456a〜456cが設けられている。第1伝熱部材領域456a〜456cは互いに分離している。第1伝熱部材領域456a〜456cを形成する第1伝熱部材は、円柱状の円柱部456a〜456cと、円柱部456a〜456cの直径よりも大きい直径を有し、円柱部456a〜456cの一方の頂部面に設けられた径止部456a〜456cとを備えた、水平断面視略T字形状である。一方、本体部452には円柱部456a〜456cが挿入される取付用貫通孔452a〜452cが形成されており、本体部452は、第2伝熱部材で形成されている。
【0078】
第1伝熱部材領域456は、第1伝熱部材の円柱部456a〜456cが本体部452の取付用貫通孔452a〜452cに挿入されて形成されており、そのため、第1伝熱部材は、円柱部456a〜456cにおいて第2伝熱部材の複数のコア材と交わった状態となる。また、径止部456a〜456cの直径は取付用貫通孔452a〜452cの直径よりも大きく、径止部456a〜456cが本体部452の主表面に当接している。これにより、第1伝熱部材領域456a〜456cを形成する第1伝熱部材の本体部452からの抜け落ちを防止している。なお、円柱部456a〜456cの形状は、たとえば四角柱状などの他の形状であってもよい。
【0079】
ブラケット450では、半導体発光素子で発生した熱が、第1伝熱部材領域456a〜456c内を等方的に拡散する。そして、第1伝熱部材領域456内を拡散した熱は、本体部452の取付用貫通孔452a〜452cの内側面において、第1伝熱部材から第2伝熱部材の複数のコア材に伝達され、本体部452内を拡散して放熱フィンに伝達される。また、第1伝熱部材領域456a〜456cの一部、すなわち円柱部456a〜456cの径止部456a〜456cと反対側の頂部面は放熱フィンと接しており、半導体発光素子で発生した熱の一部は、第1伝熱部材領域456a〜456cから放熱フィンに直接伝達される。放熱フィンに伝達された熱は、ファンから送られた空気との間で熱交換が行われる。
【0080】
このように、実施形態2の変形例に係る車両用灯具においても、車両用灯具の軽量化とともに、半導体発光素子で発生した熱を効率的に拡散させることができ、半導体発光素子における過度の温度上昇を抑えることができる。また、実施形態2と同様に他の効果も得ることができる。さらに、変形例に係る車両用灯具では、ブラケット450における第1伝熱部材の量を低減し、ブラケット450全体に占める第2伝熱部材の割合を増やすことができるため、車両用灯具のより一層の軽量化を図ることができる。
【0081】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれるものである。
【0082】
例えば、上述の各実施形態では、灯具ユニット30、230は、車両前方に投影される配光パターンに斜めカットオフラインが形成されるロービーム用灯具ユニットであるが、灯具ユニット30、230は、斜めカットオフラインを形成しないハイビーム用灯具ユニットなどであってもよい。
【0083】
また、上述の各実施形態の車両用灯具10は、たとえば自動車用ヘッドランプや、テールランプ、もしくはフォグランプ、ドライビングランプなどの補助前照灯などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施形態1に係る車両用灯具の概略水平断面図である。
【図2】図1におけるA−A線上の断面図である。
【図3】ブラケットの概略構成図である。
【図4】図1におけるA−A線上の拡大部分断面模式図である。
【図5】固定部材を設けた状態を示す概略模式図である。
【図6】図6(a)、(b)は、実施形態1の第1変形例を説明するための概略図である。
【図7】第1変形例に係る車両用灯具の概略垂直断面図である。
【図8】図8(a)、(b)は、実施形態1の第2変形例を説明するための概略図である。
【図9】実施形態2に係る車両用灯具の概略水平断面図である。
【図10】図9におけるB−B線上の断面図である。
【図11】ブラケットの概略構成図である。
【図12】図12(a)、(b)は、実施形態2の変形例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0085】
10 車両用灯具、 12 灯具ボディ、 14 透光カバー、 30、230 灯具ユニット、 32、232 半導体発光素子、 32a、232a 発光チップ、 32b、232b 熱伝導性絶縁基板、 34 リフレクタ、 36、236 シェード、 38、238 投影レンズ、 50、150、250、350、450 ブラケット、 52、152、252、352、452 本体部、 53a、53b、53c コア材、 54a、54b、54c、154a、154b、154c、254a、254b、254c、354a、354b、354c、454a、454b、454c 光源搭載部、 55a 貫通孔、 56a、56b、56c、156、256、356a、356b、356c、456a、456b、456c 第1伝熱部材領域、 58、158、258 放熱フィン、 70 ファン、 80 固定部材、 157a、157b、157c、357a、357b、357c 取付面、 352a、352b、352c、452a、452b、452c 取付用貫通孔、 359a、359b、359c 突起部、 456a、 456b、 456c 円柱部、 456a、456b、456c 径止部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源としての半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を支持する支持部材と、
を備え、前記支持部材は、前記半導体発光素子と接する領域の少なくとも一部が等方的熱伝導性を有する第1伝熱部材を含み、前記第1伝熱部材と接する領域が異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材を含むことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第2伝熱部材は、層状のコア材が積層された構造であって、コア材の延在方向に異方的熱伝導性を有し、
前記第1伝熱部材は、複数の前記コア材と交わるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記支持部材は、略板状の本体部と、前記本体部の一方の面から突出し、突出方向に沿った面に前記半導体発光素子が搭載される光源搭載部と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記支持部材は、略板状の本体部と、前記本体部の一方の面から突出し、突出方向に沿った面に前記半導体発光素子が搭載される光源搭載部と、を含み、
前記コア材は、前記本体部から前記光源搭載部にかけて延在していることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
放熱フィンが前記本体部の他方の面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1伝熱部材と前記第2伝熱部材とを互いに固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第2伝熱部材は、前記第1伝熱部材より質量が軽いことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第2伝熱部材は、320W/mK以上の熱伝導率を有する炭素繊維を体積分率で20%以上含有する炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
光源としての半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を支持する支持部材と、
を備え、前記支持部材は、前記半導体発光素子の熱を拡散せしめる第1伝熱部材と、前記第1伝熱部材に接し、異方的熱伝導性を有する第2伝熱部材とを含み、
前記第1伝熱部材は、前記第2伝熱部材の異方的熱伝導性が原因となって生じる、前記半導体発光素子の熱の拡散がしにくい方向に熱を拡散せしめることを特徴とする車両用灯具。
【請求項10】
前記第2伝熱部材は、孔ないし凹部を有し、前記第1伝熱部材が前記孔ないし凹部にはめ込まれる形で両者が接し、前記半導体発光素子が前記第1伝熱部材に取り付けられていることを特徴とする請求項9に記載の車両用灯具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−102978(P2010−102978A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273850(P2008−273850)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【出願人】(599104369)日鉄コンポジット株式会社 (51)
【Fターム(参考)】