説明

車両用灯具

【課題】半導体型光源において、発光体を保護するレンズが基板から外れないように、レンズを基板に確実に固定することができること。
【解決手段】この発明は、ヒートシンク部材2と、半導体型光源3と、給電ホルダ4と、固定部材5と、を備える。半導体型光源3は、基板9と、基板9上に配置されている発光体30と、発光帯30を覆って保護するレンズ31と、レンズ31と一体に設けられていて基板9に固定されている放熱板23と、を有する。給電ホルダ4は、放熱板23を基板9に押え付けて固定する光源固定部71を有する。この結果、この発明は、半導体型光源3において、発光体30を保護するレンズ31が基板9から外れないように、レンズ31を基板9に確実に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源としてたとえばLEDなどの半導体型光源を使用する車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。従来の車両用灯具は、ランプハウジング内に配置された発光モジュールの半導体発光素子から出射された光が投光レンズによって照明光として照射されるものである。発光モジュールは、セラミック基板と、LEDチップなどの半導体発光素子と、カバーと、を備えるものである。
【0003】
この種の車両用灯具においては、発光チップ(半導体発光素子)を保護するレンズ(カバー)が基板(セラミック基板)から外れないように、レンズを基板に確実に固定することが重要である。
【0004】
【特許文献1】特開2008−16362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、発光チップを保護するレンズが基板から外れないように、レンズを基板に確実に固定することができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、ヒートシンク部材と、半導体型光源と、給電ホルダと、固定部材と、を備える車両用灯具において、半導体型光源が、基板と、基板上に配置されている発光チップと、発光チップを覆って保護するレンズと、レンズと一体に設けられていて基板に固定されている放熱板と、を有し、給電ホルダが、放熱板を基板に押え付けて固定する光源固定部を有する、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、レンズがガラス製からなり、放熱板が、熱膨張率がガラス製のレンズの熱膨張率に近く、かつ、熱伝導率(熱放射率)が高い金属板製からなる、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、レンズが透明樹脂製からなり、放熱板が、熱膨張率が透明樹脂製のレンズの熱膨張率に近く、かつ、熱伝導率(熱放射率)が高い樹脂板製からなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、レンズと一体の放熱板が、基板に固定されていて、かつ、給電ホルダの光源固定部によって基板に押え付けられていて光源固定部と基板との間において固定されている。このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、レンズと一体の放熱板が2重の固定構造により基板に固定されているので、レンズと一体の放熱板を介して、レンズを基板に確実に固定することができる。
【0010】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、レンズが光透過率が高いガラス製からなるので、発光チップから放射された光をガラス製のレンズから外部に効率良く透過させることができ、その分、発光効率(発光性能)が向上される。また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、レンズが耐熱性が高いガラス製からなるので、発光チップにおいて発生する熱に対して十分に耐えることができ、その分、レンズの耐熱性が向上される。
【0011】
しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、放熱板が熱膨張率がガラス製のレンズの熱膨張率に近い金属板製からなるので、一体構造のガラス製のレンズと金属板製の放熱板との間に歪の発生が極めて小さく、ガラス製のレンズと金属板製の放熱板とが確固たる一体構造を維持することができる。
【0012】
その上、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、放熱板が熱伝導率が高い金属板製からなるので、発光チップにおいて発生する熱を外部に効率良く放出(放射)することができ、発光チップの耐久性や発光効率などが向上される。
【0013】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、レンズと放熱板とが樹脂で一体に成形した樹脂製からなるので、レンズと放熱板とが完全な一体構造となり、レンズを放熱板を介して基板にさらに確実に固定することができる。
【0014】
しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、レンズと放熱板とが樹脂で一体に成形した樹脂製からなるので、部品点数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの3例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この明細書および特許請求の範囲において、「上」とは、この発明にかかる車両用灯具を組み付ける際において、引力方向の「上」である。さらに、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用灯具を自動車に取り付けた際の自動車の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例1】
【0016】
図1〜図24は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。図において、符号1は、この実施例1における車両用灯具である。前記車両用灯具1は、たとえば、自動車用前照灯であって、プロジェクタタイプのユニット構造をなす。前記車両用灯具1は、図1〜図3に示すように、ヒートシンク部材2と、半導体型光源3と、給電ホルダ4と、固定部材5と、リフレクタ6と、投影レンズ7と、図示しない自動車用前照灯のランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、から構成されている。
【0017】
前記ヒートシンク部材2および前記半導体型光源3および前記給電ホルダ4および前記固定部材5および前記リフレクタ6および前記投影レンズ7は、ランプユニットを構成する。1個もしくは複数個の前記ランプユニットは、自動車用前照灯の前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。
【0018】
前記ヒートシンク部材2は、たとえば、樹脂や金属製ダイカストなどの熱伝導率(熱放射率)が高い材料からなる。前記ヒートシンク部材2は、図3に示すように、前部が半円筒形状のフレーム形状をなし、後部が直方体形状のブロック形状をなす。前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部の上面56は、ほぼ平面をなし、かつ、前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部の下部は、フィン形状をなす。一方、前記ヒートシンク部材2のフレーム形状の前部は、上半分が開口し、下半分が半円筒形に閉塞する。前記ヒートシンク部材2のフレーム形状の前部の閉塞部には、窓部64が設けられている。
【0019】
図8、図10、図11に示すように、前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部の上面56の後半部には、四角形の収容凹部57が設けられている。前記収容凹部57の上面58は、平面をなしていて、前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部の上面56よりも一段下がっている。
【0020】
前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57の上面58の中央には、四角形の載置台8が一体に設けられている。前記載置台8の上面59は、平面をなしていて、前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部の上面56よりも一段下がっていて、かつ、前記収容凹部の上面58よりも一段上がっている。前記載置台8は、前記半導体型光源3の長方形の基板9とほぼ同等の四角形をなし、前記半導体型光源3の前記基板9が上から直接載置されるものである。なお、前記載置台8は、設けなくても良い。この場合においては、前記収容凹部57の上面58が載置面となる。
【0021】
前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57の上面58のうち前記載置台8の後側の左右両側には、2個の四角柱形状の位置決め部(ストッパ)10がそれぞれ一体に設けられている。前記位置決め部10は、前記半導体型光源3の位置を決めるものであって、前記半導体型光源3の前記載置台8の上面59上における一方向、すなわち、左右方向の位置を決めるものである。2個の前記位置決め部10は、平面の一側面が対向していて、かつ、前記半導体型光源3の前記基板9の長辺の長さ(距離)分離れている。2個の前記位置決め部10は、図11などに示すように、相対向する側の上端部が傾斜面をなしていて、前記半導体型光源3を前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上に載置し易いように構成されている。
【0022】
前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57の上面58のうち前記載置台8の前側の中央部には、細長い四角形の収納溝11が設けられている。図9〜図11に示すように、前記収納溝11中には、U字形状のスプリングのスプリング部12が上から圧入されている。前記スプリング部12は、前記位置決め部10の位置決め方向(左右方向)に対して前記載置台8の上面59上において交差する方向、すなわち、前後方向にスプリング力が作用するものである。前記スプリング部12は、後側の垂直部の長さが前側の垂直部の長さよりも長く、前記後側の垂直部の上端部13が前記ヒートシンク部材2の前記載置台8の上面59から上に突出している。前記後側の垂直部の上端部13は、前側に若干傾斜していて、前記半導体型光源3を前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上に載置し易いように構成されている。
【0023】
前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57の上面58のうち前記載置台8の後側の中央部には、細長い四角柱形状の受部(ストッパ)14が一体に設けられている。前記受部14は、前記スプリング部12のスプリング力作用方向、すなわち、後方向に前記半導体型光源3を挟んで前記スプリング部12に対向していて、前記スプリング部12のスプリング力により前記半導体型光源3の前記基板9が押し当てられるのを受けるものである。前記受部14は、図11などに示すように、前側の上端部が傾斜面をなしていて、前記半導体型光源3を前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上に載置し易いように構成されている。
【0024】
図3に示すように、前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部の前半部の上端部には、シェード15が一体に設けられている。前記シェード15には、配光パターン(図示せず)のカットオフライン(図示せず)を形成するエッジ16が設けられている。前記エッジ16は、前記ヒートシンク部材2のフレーム形状の前部とブロック形状の後部との境に設けられている。前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部の上面56は、前記シェード15の上面でもある。
【0025】
前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57のうち前記受部14よりも後側の部分には、凹形状の収納部17が設けられている。前記収納部17の上面60は、前記収容凹部57の上面58よりも一段下がっている。前記収納部17は、前記給電ホルダ4のうち少なくとも光源側コネクタ34を収納するものである。
【0026】
前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57の上面58のうち前記載置台8の左右両側の中央部から若干離れた箇所には、位置決め部の円形凹部21がそれぞれ設けられている。前記円形凹部21は、前記給電ホルダ4の円形凸部22と共に、前記ヒートシンク部材2と前記給電ホルダ4の相互位置を決めるものである。図に示すように、前記2個の円形凹部21と前記2個の円形凸部22のうちの1個を長円形としても良いし、または、2個を長円形としても良いし、または、2個を円形としても良い。
【0027】
前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57のうち、前記収容凹部57中に前記位置決め部(前記円形凹部21と前記円形凸部22)により位置決めされた状態で収容セットされている前記給電ホルダ4の給電固定部33の外側側面に相当する部分には、前記固定部材5の4枚の垂直板部50が挿入する挿入孔55が設けられている。図12に示すように、前記挿入孔55の途中の壁面には、段部形状の係合部54が設けられている。
【0028】
前記半導体型光源3は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例1ではLED)を使用する。前記半導体型光源3は、図3〜図7、図9〜図11、図21〜図24に示すように、長方形の板形状の前記基板9と、前記基板9の一面(上面)に固定されている微小な直方体形状の発光チップ(光源チップ、半導体チップ)としての発光体30と、前記発光体30を覆って保護する半球形状(ドーム形状)の光透過部材としてのレンズ(保護カバーレンズ)31と、前記レンズ31と一体に設けられていて前記基板9に固定されている放熱板23と、前記基板9の一面(上面)の相対向する2辺すなわち左右両端部の中央にそれぞれ設けられている導電部材32と、から構成されている。前記半導体型光源3の前記発光体30の上面(発光面)は、図9に示すように、前記ヒートシンク部材2の上面56とほぼ同一面に位置する。
【0029】
前記レンズ31は、光透過率が高く、かつ、耐熱性が高いガラス製からなる。一方、前記放熱板23は、熱膨張率がガラス製の前記レンズ31の熱膨張率に近く、かつ、熱伝導率(熱放射率)が高い金属板製からなる。前記レンズ31は、一方(上部)が半球形状(ドーム形状)に閉塞し、他方(下部)が円形に開口している。一方、前記放熱板23は、板部66と、前記板部66の中央に設けられている円形透孔67の縁から一方(上部)にほぼ直角に一体に立ち上げてなるリング形状(円環形状)のリング部68と、からなる。前記板部66の4角部には、小円形透孔69がそれぞれ設けられている。
【0030】
前記レンズ31と前記放熱板23とは、たとえば、インサート成形により一体に成形されている。すなわち、前記放熱板23を前記レンズ31の成形金型中にインサートし、前記成形金型中に熱せられた流体ガラスを供給し、熱せられた流体ガラスを冷却して前記放熱板23と一体化された前記レンズ31を成形金型から取り出すことにより、図22に示すように、一体構造の前記レンズ31と前記放熱板23とを構成することができる。
【0031】
前記レンズ31と一体構造の前記放熱板23を前記基板9に固定する。すなわち、前記基板9の一面(上面)の4個の前記小円形透孔69に対応する箇所に接着剤(樹脂接着剤)70を点盛する。前記基板9の一面に前記レンズ31と一体構造の前記放熱板23の他面(下面)をセットする。すると、前記接着剤70が前記放熱板23の4個の前記小円形透孔69中に一方(下方)から他方(上方)に充填露出し、その露出した前記接着剤70が前記放熱板23の一面(上面)において肉盛される。これにより、図23に示すように、前記レンズ31と一体構造の前記放熱板23は、前記接着剤70を介して前記基板9に固定される。
【0032】
また、図24に示すように、前記レンズ31と一体構造の前記放熱板23は、前記給電ホルダ4の光源固定部71により、前記基板9側に押え付けられて、前記基板9と前記給電ホルダ4の前記光源固定部71との間において挟み込まれて固定されている。
【0033】
前記給電ホルダ4は、図3〜図6、図9〜図19、図24に示すように、前記ヒートシンク部材2および前記半導体型光源3の上にセットされているものであって、給電固定部33と、光源側コネクタ34と、からなる。前記給電ホルダ4の前記給電固定部33は、前記ヒートシンク部材2の前記収納凹部57の上面58のうち前側部分と後側部分とを除いた中間のほとんどの部分に載置する大きさであって、前記載置台8および前記位置決め部10および前記収納溝11および前記受部14および前記円形凹部21を覆うことができ、かつ、前記挿入孔55を覆わない程度の大きさである。一方、前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34は、前記ヒートシンク部材2の前記収納部17中に収納される大きさである。
【0034】
前記給電ホルダ4の前記給電固定部33は、前記半導体型光源3を前記ヒートシンク部材2側に押さえ、かつ、前記半導体型光源3に給電するものである。また、前記給電ホルダ4の前記給電固定部33は、前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57中に収容されている。一方、前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34は、前記給電固定部33のうち前記半導体型光源3からの光が照射される方向(前方向)と反対側(後側)の部分に一体に設けられていて、電源側コネクタ20と電気的に接続するものである。また、前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34は、前記ヒートシンク部材2の前記収納部17中に収納されている。前記光源側コネクタ34には、前記電源側コネクタ20のロック部18がロックされる四角形のロック孔24が設けられている。また、前記光源側コネクタ34には、前記電源側コネクタ20が差し込まれる差込孔44が設けられている。
【0035】
また、前記給電ホルダ4は、前記半導体型光源3の前記導電部材32に電気的に当接する弾性を有する導電性部材の2個のコンタクト35A、35Bと、前記2個のコンタクト35A、35Bを図6、図19に示す状態で保持しかつ前記半導体型光源3の前記基板9を前記ヒートシンク部材2の前記載置台8との間に挟み込んで固定する絶縁性部材のハウジング19と、から構成されている。前記2個のコンタクト35A、35Bは、図6、図19に示す状態で、前記ハウジング19中に一体に成形(インサート成形) されている。もしくは、水平方向に上下に2分割した前記ハウジング19の間に挟み込まれて固定されている。前記2個のコンタクト35A、35Bは、+(アノード)側のコンタクト35Aと、−(カソード)側のコンタクト35Bと、からなる。
【0036】
前記給電ホルダ4の前記給電固定部33の前記ハウジング19は、上下2段層からなる中央部25と周縁部26とから構成されている。前記中央部25の上面27は、前記ヒートシンク部材2の上面56よりも下に位置する。もしくは、前記中央部25の上面27は、前記ヒートシンク部材2の上面56とほぼ同等の位置に位置する。前記周縁部26の上面28は、前記中央部25の上面27よりも下に位置する。前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34の上面は、前記周縁部26の上面28とほぼ同等の位置に位置する。また、前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34の下面は、前記給電固定部33の下面よりも一段下がっている。
【0037】
図15に示すように、前記給電ホルダ4の前記給電固定部33の前記ハウジング19の前記中央部25のうち、前記半導体型光源3および前記2個のコンタクト35A、35Bが位置する部分には、開口部40が設けられている。前記開口部40の縁には、前記ヒートシンク部材2の上面56よりも下の位置で、前記半導体型光源3の前記導電部材32に電気的に弾性当接する前記2個のコンタクト35A、35Bの接続部36が突出して設けられている。また、前記開口部40の縁には、前記ヒートシンク部材2の上面56よりも下の位置で、前記半導体型光源3の前記基板9を前記ヒートシンク部材2の前記載置台8側に押さえる押さえ凸部41が一体に設けられている。なお、前記押さえ凸部41を設けずに、前記中央部25の下面で前記半導体型光源3の前記基板9を前記ヒートシンク部材2の前記載置台8側に押さえるように構成しても良い。さらに、前記開口部40の縁には、前記ヒートシンク部材2の上面56よりも下の位置で、前記半導体型光源3の前記放熱板23を前記基板9側に押え付けて固定する4個の光源固定部71が一体に設けられている。
【0038】
前記給電ホルダ4の前記給電固定部33の下面、すなわち、前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57の上面58に相対向する面には、位置決め部としての2個の円形凸部22が、前記ヒートシンク部材2の前記2個の円形凹部21に対応して設けられている。
【0039】
前記2個のコンタクト35A、35Bは、図6、図13、図14、図19に示すように、前記半導体型光源3の前記導電部材32に垂直方向(上から下)に電気的に当接するそれぞれ2個の接続部36と、前記電源側コネクタ20と水平方向(前後方向)に電気的に接続するオスターミナル部42と、前記接続部36と前記オスターミナル部42とを水平方向に配置して電気的に接続配線する接続配線部37、38、39と、からなる。
【0040】
前記接続配線部は、水平板部37と、前記水平板部37と前記接続部36との間の垂直板部38と、前記水平板部37と前記オスターミナル部42との間の垂直板部39と、からなる。図6、図19に示すように、前記水平板部37には、円形の透孔が設けられている。前記円形の透孔は、前記給電ホルダ4をインサート成形した際に、前記円形の透孔中に前記ハウジング19の樹脂の一部が挿入されて、前記ハウジング19と前記2個のコンタクト35A、35Bとを確実に固定するものである。
【0041】
前記接続部36は、二股形状の水平板部の先端部をVないしU字形状に折り曲げてなるものである。前記二股形状の水平板部は、弾性を有する。前記2個のコンタクト35A、35Bの接続部36は、前記給電固定部33の前記開口部40の縁から突出していて、かつ、相互に対向している。前記2個の接続部36は、前記半導体型光源3の前記基板9の前記導電部材32に上から電気的に弾性当接して、前記半導体型光源3に給電し、かつ、前記半導体型光源3の前記基板9を前記ヒートシンク部材2の前記載置台8側に弾性押圧するものである。
【0042】
一方、前記2個のコンタクト35A、35Bの前記オスターミナル部42は、前記光源側コネクタ34の前記差込孔44中に突出している。前記オスターミナル部42は、前記電源コネクタ20のメスターミナル部43に着脱可能にかつ電気的に接続するものである。
【0043】
前記電源コネクタ20は、たとえば、既製品の自動車用のコネクタを使用するものである。前記電源コネクタ20は、図13に示すように、電源側に電気的に接続されている前記ハーネス29と、前記ハーネス29を加締めなどで電気的に接続すると共に固定する前記メスターミナル部43と、前記ハーネス29および前記メスターミナル部43を一体成形(インサート成形)するケーシング46と、から構成されている。前記ケーシング46には、弾性部47が一体に設けられている。前記弾性部47には、前記ロック部18が一体に設けられている。
【0044】
図13(A)は、前記光源側コネクタ34と前記電源側コネクタ20とが接続されている状態を示す縦断面図である。図13(B)は、前記光源側コネクタ34と前記電源側コネクタ20との接続が解除されている状態を示す縦断面図である。図13(B)に示すように、前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34の前記差込孔44中に前記電源側コネクタ20の前記ケーシング46を差し込んで、前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34の前記ロック孔24中に前記電源側コネクタ20のロック部18をロックさせることにより、前記給電ホルダ4の前記光源側コネクタ34の前記オスターミナル部42と前記電源側コネクタ20の前記メスターミナル部43とが電気的に接続する。また、図13(A)に示すように、前記電源コネクタ20の前記弾性部47を実線矢印方向に押し下げて、前記光源側コネクタ34の前記ロック孔24と前記電源側コネクタ20のロック部18とのロック状態を解除させて、前記光源側コネクタ34の前記差込孔44中から前記電源側コネクタ20の前記ケーシング46を抜き出すことにより、前記光源側コネクタ34の前記オスターミナル部42と前記電源側コネクタ20の前記メスターミナル部43との電気的接続を解除することができる。なお、前記光源側コネクタ34の前記ロック孔24を調整することにより、前記光源側コネクタ34の前記ロック孔24と前記電源側コネクタ20の前記ロック部18とのロック状態を、車種に合わせて、解除できない状態とすることができる。
【0045】
ここで、図14に示すように、前記ヒートシンク部材2のうち前記半導体型光源3からの光が照射される方向と反対側、すなわち、背面側(後側)の部分には、背面部材48(図14中の二点鎖線で示される部分)が設けられていて、また、前記背面部材48には、前記光源側コネクタ34が収容されている収容孔65が設けられている車両用灯具の灯具の場合もある。前記背面部材48は、たとえば、ヒートシンク部材、ランプハウジング、ブラケットなどである。また、前記背面部材48は、車種によって、厚さが薄い背面部材48Aや厚さが厚い背面部材48Bなどがある。
【0046】
前記固定部材5は、弾性を有しかつ熱伝導率が高い部材からなり、前記給電ホルダ4の前記給電固定部33上にカバーされているカバー部材から構成されている。前記固定部材5は、前記給電ホルダ4の上にカバーされていて、かつ、前記ヒートシンク部材2に固定されていて、前記給電ホルダ4を前記ヒートシンク部材2に固定して、かつ、前記半導体型光源3を前記給電ホルダ4と前記ヒートシンク部材2との間に挟み込んで固定するものである。
【0047】
前記固定部材5は、図3、図4、図9〜図12、図16〜図19に示すように、長方形板形状の水平板部49と、前記水平板部49の4角部から垂直もしくはほぼ垂直に折り曲げてなる4枚の垂直板部50と、からなる。前記水平板部49の中央部には、長方形開口部51が設けられている。前記水平板部49の左右両側部の中間部には、下側に若干湾曲した形状をなす弾性押圧部52がそれぞれ設けられている。前記弾性押圧部52は、前記固定部材5を前記ヒートシンク部材2に上から押し込むことにより前記給電ホルダ4の前記給電固定部33を上から前記ヒートシンク部材2側に弾性押圧するものである。
【0048】
前記4枚の垂直板部50には、四角板形状(四角爪形状)の弾性係合部53がそれぞれ設けられている。前記弾性係合部53の左右両側と上側とが前記垂直板部50から切り離されていて、かつ、前記弾性係合部53の下側が前記垂直板部50と繋がっていて、前記弾性係合部53は、上側が外側に若干向くように下側において折り曲げられている。前記弾性係合部53は、前記弾性押圧部52が前記給電ホルダ4を上から前記ヒートシンク部材2側に弾性押圧した時点で、前記ヒートシンク部材2の係合部54に弾性係合することにより、前記固定部材5が前記ヒートシンク部材2に固定され、かつ、前記弾性押圧部52と共に前記給電ホルダ4を前記ヒートシンク部材2に固定するものである。
【0049】
前記固定部材5の前記水平板部49は、前記給電ホルダ4の前記ハウジング19の前記給電固定部33の前記周縁部26の上面28にカバーされている。前記固定部材5の前記水平板部49の上面61は、前記ヒートシンク部材2の上面56よりも下に位置する。前記固定部材5は、薄鋼板の場合においては1枚の薄鋼板をプレス折曲加工により構成され、また、樹脂の場合においては一体成形により構成されている。すなわち、前記固定部材5は、1個の部品からなるものである。
【0050】
前記リフレクタ6は、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。また、前記リフレクタ6は、図1〜図3に示すように、前側部分が半円形に開口し、かつ、下側部分が開口し、一方、前側部分から中央部分(上側部分)を経て後側部分までが閉塞している。前記リフレクタ6は、スクリューやボルトナットや加締めや嵌合固定などの適宜な固定手段により前記ヒートシンク部材2に取り付けられる。前記リフレクタ6のうち少なくとも中央部分のほぼ後半分から後側部分までの閉塞部の凹内面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて反射面45が設けられている。
【0051】
前記反射面45は、収束型の楕円反射面である。すなわち、前記反射面45は、楕円を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記の楕円を基本とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面とは、図3の垂直断面が楕円をなし、かつ、図示しない水平断面が放物線ないし変形放物線をなす反射面からなるものである。前記反射面45は、第1焦点(図示せず)と、第2焦点(図示せず)と、光軸(図示せず)と、を有する。前記第2焦点は、水平断面上の焦線、すなわち、上(平面)から見て両端が前側に位置し中央が後側に位置するような湾曲した焦線となる。前記反射面45の自由曲面(NURBS曲面)は、「Mathematical Elements for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。なお、前記反射面45は、第1焦点と第2焦点と光軸とを有する単なる回転楕円面からなる反射面であっても良い。この場合、第2焦点は、焦線ではなく焦点となる。前記リフレクタ6の前記反射面45は、前記半導体型光源3からの光を反射させるものである。
【0052】
前記投影レンズ7は、図1〜図3に示すように、正面視の形状が円形をなす非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ7の前方側(外部側)は、曲率が大きい(曲率半径が小さい)凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ7の後方側(前記半導体型光源3側)は、曲率が小さい(曲率半径が大きい)凸非球面をなす。このような投影レンズ7を使用することにより、前記投影レンズ7の焦点距離が小さくなるので、その分、この実施例1における車両用灯具1の前記投影レンズ7の光軸方向の寸法がコンパクトとなる。なお、前記投影レンズ7の後方側は、平非球面(平面)をなすものであってもよい。
【0053】
前記投影レンズ7は、図1〜図3に示すように、前記ヒートシンク部材2のフレーム形状の前部に固定されている。すなわち、前記投影レンズ7の周縁凸部のうち下半分が前記ヒートシンク部材2の半円筒形のフレーム形状の前部の前端に適宜な固定手段により固定されている。このために、前記投影レンズ7の上半分と前記リフレクタ6との間には、隙間62が形成されていて、また、前記投影レンズ7の下半分と前記ヒートシンク部材2のブロック形状の後部との間には、隙間63が形成されている。この結果、前記隙間62、63および前記ヒートシンク部材2のフレーム形状の前部の閉塞部の前記窓部64により、空気の流れ(熱対流)が生じて放熱効果を向上させることができる。
【0054】
前記投影レンズ7は、前側焦点(前記半導体型光源3側の焦点であって、図示せず)および後側焦点(外部側の焦点であって、図示せず)と、前記前側焦点と前記後側焦点とを結ぶ光軸(図示せず)とを有する。前記反射面45の光軸と前記投影レンズ7の光軸とは、一致もしくはほぼ一致する。前記投影レンズ7の前側焦点は、レンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)である。前記投影レンズ7の前記レンズ焦点は、前記反射面45の第2焦点もしくはその近傍に位置する。なお、前記半導体型光源3の光は、高い熱を持たないので、前記投影レンズ7として樹脂製のレンズを使用することができる。前記投影レンズ7は、この例ではアクリルを使用する。前記投影レンズ7は、前記リフレクタ6の前記反射面45からの反射光を外部(車両の前方)に投影(照射)するものである。
【0055】
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成、すなわち、前記ヒートシンク部材2および前記半導体型光源3(前記基板9および前記発光体30および前記レンズ31および前記放熱板23から構成されている)および前記給電ホルダ4(前記2個のコンタクト35A、35Bおよび前記ハウジング19から構成されている)および前記固定部材5および前記リフレクタ6および前記投影レンズ7の各構成部品からなる。以下、前記の各構成部品の組付方について説明する。
【0056】
まず、前記ヒートシンク部材2を図示しない冶具に図8に示すようにセットする。この図8に示すようにセットされた前記ヒートシンク部材2の前記収納溝11中にU字形状の前記スプリング部12を、湾曲部を下にしてかつ長さが長い垂直部を後側にして、上から圧入する(図10、図11参照)。
【0057】
つぎに、前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上に前記半導体型光源3を上から直接載置させる(図7、図10、図11、図19参照)。このとき、前記ヒートシンク部材2の前記位置決め部10の傾斜面および前記受部14の傾斜面と、前記スプリング部12の前記後側の垂直部の上端部13とを、ガイドとして、前記半導体型光源3が前記位置決め部10の間、および、前記スプリング部12の後側の垂直部の上端部13と前記受部14との間に挟み込まれる。また、前記スプリング部12のスプリング力により、前記半導体型光源3は、前記位置決め部10の位置決め方向(左右方向)に対して前記載置台8の平面上において交差する方向、すなわち、後方向に前記受部14側に押し当てられている。この結果、前記半導体型光源3は、前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上に、前記載置台8の平面上における相互に交差する2方向(左右方向および前後方向)の位置が決められた状態で、直接載置されることとなる。
【0058】
前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上に前記半導体型光源3を上から直接載置させる際に、前記ヒートシンク部材2の上面から上に突出している前記スプリング部12の前記後側の垂直部の上端部13が前側に若干傾斜していて、また、前記受部14の前側の上端部が傾斜面をなしていて、さらに、2個の前記位置決め部10の相対向する側の上端部が傾斜面をなしているので、前記半導体型光源3の前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上への直接載置が容易である。
【0059】
なお、ヒートシンク部材2の前記収納溝11中にU字形状の前記スプリング部12を圧入する作業と、前記ヒートシンク部材2の前記載置台8上に前記半導体型光源3を上から直接載置させる作業とは、その手順を逆に行っても良い。
【0060】
つづいて、前記ヒートシンク部材2および前記半導体型光源3上に前記給電ホルダ4を上からセットする(図5、図6、図10、図11、図19参照)。すなわち、前記ヒートシンク部材2の前記収容凹部57および前記収納部17中に前記給電ホルダ4の前記給電固定部33および前記コネクタ側部分34を上から収納させる。また、前記ヒートシンク部材2の円形凹部21中に前記給電ホルダ4の円形凸部22を上から嵌合させる(図17参照)。さらに、前記半導体型光源3の前記導電部材32上に前記給電ホルダ4の前記接続部36を弾性当接させる(図5、図6、図17参照)。さらにまた、前記半導体型光源3の前記基板9の4つの角の上に前記給電ホルダ4の前記4個の押さえ凸部41をセットする(図16参照)。さらにまた、前記半導体型光源3の前記放熱板23の上に(直接もしくは前記接着剤70を介して)前記給電ホルダ4の前記光源固定部71をセットする(図5、図15、図24参照)。
【0061】
このとき、前記ヒートシンク部材2の前記円形凹部21中に前記給電ホルダ4の前記円形凸部22が嵌合しているので、前記ヒートシンク部材2と前記給電ホルダ4との相互の位置が決められる。また、前記ヒートシンク部材2と前記半導体型光源3とは、前記位置決め部10と前記スプリング部12および前記受部14とにより相互の位置が決められている。このために、前記半導体型光源3と前記給電ホルダ4とは、前記ヒートシンク部材2を介して、相互の位置が決められている。すなわち、前記ヒートシンク部材2および前記半導体型光源3および前記給電ホルダ4は、相互に位置が決められている。さらに、前記給電ホルダ4の前記接続部36が記半導体型光源3の前記基板9の上の前記導電部材32上に弾性当接することにより、前記半導体型光源3への給電が可能となる。さらにまた、前記給電ホルダ4の前記押さえ凸部41が前記半導体型光源3の前記基板9の4つの角の上にセットされることにより、前記半導体型光源3が前記ヒートシンク部材2側に押さえられる。さらにまた、前記給電ホルダ4の前記光源固定部71が前記半導体型光源3の前記放熱板23の上にセットされることにより、前記半導体型光源3の前記放熱板23が前記半導体型光源3の前記基板9側に押さえ付けられる。
【0062】
それから、前記ヒートシンク部材2の前記挿入孔55中に前記固定部材5の前記垂直板部50を上から挿入する。また、前記給電ホルダ4の前記給電固定部33の前記周縁部26上に前記固定部材5の前記水平板部49を上からカバーする(図4、図10、図11、図19参照)。すると、前記固定部材5の前記垂直板部50が前記ヒートシンク部材2の前記挿入孔55中に挿入されているとき、前記固定部材5の前記弾性係合部53が内側に撓んだ状態にある。前記固定部材5の前記弾性押圧部52が前記給電ホルダ4の前記給電固定部33の前記周縁部26の上に弾性押圧した時点で、内側に撓んだ状態にある前記固定部材5の前記弾性係合部53が弾性復帰して外側に突出して前記ヒートシンク部材2の前記係合部54に弾性係合する。この結果、前記固定部材5の前記弾性押圧部52と前記弾性係合部53とが、前記給電ホルダ4の前記給電固定部33の前記周縁部26と前記ヒートシンク部材2の前記係合部54とを上下から弾性挟持して、前記ヒートシンク部材2および前記半導体型光源3および前記給電ホルダ4が前記固定部材5により固定される。
【0063】
すなわち、前記固定部材5の前記弾性係合部53が前記ヒートシンク部材2の前記係合部54に弾性係合することにより、前記固定部材5は、前記ヒートシンク部材2に固定される。また、前記給電ホルダ4の前記給電固定部33の前記周縁部26が前記固定部材5前記水平板部49および前記弾性押圧部52と前記ヒートシンク部材2の前記収納凹部57の上面58との間に挟み込まれることにより、前記給電ホルダ4は、前記固定部材5により前記ヒートシンク部材2に固定されている。さらに、前記半導体型光源3の前記基板9の4つの角が前記給電ホルダ4の前記押さえ凸部41と前記ヒートシンク部材2の前記載置台8の上面59との間に挟み込まれることにより、前記半導体型光源3は、前記ヒートシンク部材2に固定されている。さらにまた、前記半導体型光源3の前記放熱板23が前記給電ホルダ4の前記光源固定部71と前記半導体型光源3の前記基板9との間に挟み込まれることにより、前記半導体型光源3の前記放熱板23は、前記半導体型光源3の前記基板9に固定されている。
【0064】
そして、前記ヒートシンク部材2に前記リフレクタ6を上からセットして、適宜な固定手段により、前記ヒートシンク部材2に前記リフレクタ6を固定する。また、前記ヒートシンク部材2に前記投影レンズ7を上からセットして、適宜な固定手段により、前記ヒートシンク部材2に前記投影レンズ7を固定する(図1、図2、図3参照)。
【0065】
このようにして、前記ヒートシンク部材2および前記半導体型光源3および前記給電ホルダ4および前記固定部材5および前記リフレクタ6および前記投影レンズ7の各構成部品を組み付けることにより、この実施例1における車両用灯具1が構成される。なお、この実施例1における車両用灯具1は、図面では省略するが、自動車用前照灯の前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内のブラケット(図示せず)に複数個取り付けても良い。
【0066】
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0067】
まず、図13に示すように、電源側コネクタ20を車両用灯具1の給電ホルダ4の光源側コネクタ34の差込孔44中に差し込んで、電源側コネクタ20のメスターミナル部43と車両用灯具1の給電ホルダ4の光源側コネクタ34のオスターミナル部42とを電気的に接続する。
【0068】
そして、車両用灯具1の半導体型光源3の発光体30を点灯発光させる。すると、半導体型光源3の発光体30から光が放射される。この光は、半導体型光源3の光透過部材31を透過してリフレクタ6の反射面45で反射され、この反射光が反射面45の第2焦点に集中する。第2焦点に集中する反射光の一部は、シェード15によりカットオフされる。このシェード15によりカットオフされなかった反射光は、カットオフラインを有する所定の配光パターンが形成される。なお、シェード15に反射面を設けることにより、このシェード15によりカットオフされた反射光をシェード15の反射面により反射させて、所定の補助配光パターンを形成することができる。
【0069】
所定の配光パターン(もしくは、所定の配光パターンと所定の補助配光パターン)は、投影レンズ7を透過して、たとえば、すれ違い用配光パターン(もしくは、すれ違い用配光パターンとオーバーヘッドサイン用配光パターン)として自動車(車両)前方に投影(照射)されて路面などを照明する。
【0070】
この実施例1における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0071】
この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源3のレンズ31と一体の放熱板23が、接着剤70を介して半導体型光源3の基板9に固定されていて、かつ、給電ホルダ4の光源固定部71によって半導体型光源3の基板9に押え付けられていて光源固定部71と基板9との間において固定されている。このように、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源3のレンズ31と一体の放熱板23が2重の固定構造(1−接着剤70による基板9への固定、2−光源固定部71と基板9との間における固定)により半導体型光源3の基板9に固定されているので、半導体型光源3のレンズ31と一体の放熱板23を介して、半導体型光源3のレンズ31を半導体型光源3の基板9に確実に固定することができる。すなわち、半導体型光源3のレンズ31との放熱板23が接着剤70を介して一体の基板9から外れたとしても、放熱板23は給電ホルダ4の光源固定部71と半導体型光源3の基板9との間において挟み込まれて固定されているので、この放熱板23と一体のレンズ31は基板9から外れたりずれたり脱落したりするようなことがない。
【0072】
また、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源3のレンズ31が光透過率が高いガラス製からなるので、発光体(発光チップ)30から放射された光をガラス製のレンズ31から外部に効率良く透過させることができ、その分、発光効率(発光性能)が向上される。また、この実施例1における車両用灯具1は、レンズ31が耐熱性が高いガラス製からなるので、発光体30において発生する熱に対して十分に耐えることができ、その分、レンズ31の耐熱性が向上される。
【0073】
しかも、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源3の放熱板23が熱膨張率がガラス製のレンズ31の熱膨張率に近い金属板製からなるので、一体構造のガラス製のレンズ31と金属板製の放熱板23との間に歪の発生が極めて小さく、ガラス製のレンズ31と金属板製の放熱板23とが確固たる一体構造を維持することができる。
【0074】
その上、この実施例1における車両用灯具1は、半導体型光源3の放熱板23が熱伝導率が高い金属板製からなるので、発光体30において発生する熱を外部に効率良く放出(放射)することができ、発光対30の耐久性や発光効率などが向上される。
【実施例2】
【0075】
図25は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図24と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例2における車両用灯具について説明する。
【0076】
この実施例2における車両用灯具は、半導体型光源3のレンズ310と放熱板230とを樹脂により一体に成形したものである。すなわち、レンズ310は、透明樹脂製からなる。一方、放熱板230は、熱膨張率が透明樹脂製のレンズ310の熱膨張率に近く、かつ、熱伝導率が高い樹脂板製からなる。なお、レンズ310と放熱板230とを同一材質の透明樹脂で一体に成形しても良いし、または、レンズ310を透明樹脂で一方放熱板230を異なる材質の不透明樹脂で、2色成形で一体に成形してもよい。
【0077】
この実施例2における車両用灯具は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例1における車両用灯具とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例2における車両用灯具は、レンズ310と放熱板230とが樹脂で一体に成形した樹脂製からなるので、レンズ310と放熱板230とが完全な一体構造となり、レンズ310を放熱板230を介して基板9にさらに確実に固定することができる。
【0078】
しかも、この実施例2における車両用灯具は、レンズ310と放熱板230とが樹脂で一体に成形した樹脂製からなるので、部品点数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【実施例3】
【0079】
図26〜図28は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す。図中、図1〜図25と同符号は、同一のものを示す。以下、この実施例3における車両用灯具について説明する。
【0080】
この実施例3における車両用灯具は、給電ホルダ4の中央部25の下面に、半導体型光源3の基板9の4つの角部を左右方向と前後方向とに位置決めする位置決め部100を、設けるものである。この実施例3における車両用灯具は、位置決め部100により、前記の実施例1、2の位置決め部10およびスプリング部12および受部14を使用せずに、半導体型光源3の基板9をヒートシンク部材2と給電ホルダ4との間において位置決めして固定することができる。この結果、この実施例3における車両用灯具は、別部材のスプリング部12が不要となり、その分、部品点数を軽減することができ、かつ、製造コストを安価にすることができる。
【0081】
以下、前記の実施例1、2、3以外の例について説明する。前記の実施例1、2、3においては、車両用灯具として自動車用前照灯について説明するものである。ところが、この発明においては、車両用灯具として自動車用前照灯以外の灯具、たとえば、フォグランプ、AFS追加ランプ、コーナリングランプ、リヤコンビネーションランプのテールランプやブレーキランプやテール・ブレーキランプやバックアップランプなどであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示すランプユニットの平面図である。
【図2】同じく、図1におけるII矢視図(側面図)である。
【図3】同じく、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】同じく、ヒートシンク部材および半導体型光源および給電ホルダ上に固定部材を固定した状態を示す一部平面図である。
【図5】同じく、ヒートシンク部材および半導体型光源上に給電ホルダをセットした状態を示す一部平面図である。
【図6】同じく、ヒートシンク部材および半導体型光源上にセットした給電ホルダのハウジングの一部を破断してコンタクトのコネクタ部および接点部を示す一部平面図である。
【図7】同じく、ヒートシンク部材の載置台上に半導体型光源を直接載置した状態を示す一部平面図である。
【図8】同じく、ヒートシンク部材の載置台およびその周辺部を示した一部平面図である。
【図9】同じく、図4におけるIX−IX線断面図である。
【図10】同じく、各構成部品の組付方を示す分解断面図である。
【図11】同じく、各構成部品の組付方を示す分解斜視図である。
【図12】同じく、図4におけるXII−XII線断面図である。
【図13】同じく、給電ホルダの光源側コネクタと電源側コネクタとの接続状態と解除状態とを示す図4におけるXIII−XIII線断面図である。
【図14】同じく、背面部材を有する車両用灯具における給電ホルダの光源側コネクタと電源側コネクタとの接続状態を示す一部断面図である。
【図15】同じく、給電ホルダの押さえ凸部の押さえ状態と接続部の接続状態とを示す一部斜視図である。
【図16】同じく、図4におけるXVI−XVI線断面図である。
【図17】同じく、図4におけるXVII−XVII線断面図である。
【図18】同じく、図4におけるXVIII矢視図である。
【図19】同じく、各構成部品の組付方を示す分解背面図である。
【図20】同じく、給電ホルダのコンタクトを示す斜視図である。
【図21】同じく、半導体型光源を示す斜視図である。
【図22】同じく、半導体型光源の一体構造のレンズと放熱板とを示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図23】同じく、図21におけるXXIII−XXIII線断面図である。
【図24】同じく、半導体型光源の放熱板が給電ホルダの光源固定部と半導体型光源の基板との間に挟まれていて固定されていて、かつ、半導体型光源の基板が給電ホルダとヒートシンク部材との間に挟まれていて固定されている状態を示す図21におけるXXIII−XXIII線断面に対応する断面図である。
【図25】この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す半導体型光源の一体構造のレンズと放熱板との縦断面図(垂直断面図)である。
【図26】この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す半導体型光源の基板と給電ホルダの下面から見た斜視図である。
【図27】同じく、図4におけるXVI−XVI線断面に対応する断面図である。
【図28】同じく、図4におけるXII−XII線断面に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 車両用灯具
2 ヒートシンク部材
3 半導体型光源
4 給電ホルダ
5 固定部材
6 リフレクタ
7 投影レンズ
8 載置台
9 基板
10 位置決め部(ストッパ)
100 位置決め部
11 収納溝
12 スプリング部
13 後側の垂直部の上端部
14 受部(ストッパ)
15 シェード
16 エッジ
17 収納部
18 ロック部
19 ハウジング
20 電源側コネクタ
21 円形凹部(位置決め部)
22 円形凸部(位置決め部)
23、230 放熱板
24 ロック孔
25 中央部
26 周縁部
27 中央部の上面
28 周縁部の上面
29 ハーネス
30 発光体(発光チップ)
31、310 レンズ(光透過部材)
32 導電部材
33 給電固定部
34 光源側コネクタ
35A、35B コンタクト
36 接続部
37 接続配線部の水平板部
38 接続配線部の垂直板部
39 接続配線部の垂直板部
40 開口部
41 押さえ凸部
42 オスターミナル部
43 メスターミナル部
44 差込孔
45 反射面
46 ケーシング
47 弾性部
48、48A、48B 背面部材
49 水平板部
50 垂直板部
51 長方形開口部
52 弾性押圧部
53 弾性係合部
54 係合部
55 挿入孔
56 ヒートシンク部材の上面(シェードの上面)
57 収容凹部
58 収容凹部の上面
59 載置台の上面
60 収納部の上面
61 固定部材の上面
62、63 隙間
64 窓部
65 収容孔
66 板部
67 円形透孔
68 リング部
69 小円形透孔
70 接着剤
71 光源固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として半導体型光源を使用する車両用灯具において、
ヒートシンク部材と、
前記ヒートシンク部材の上面に直接載置されている半導体型光源と、
前記半導体型光源および前記ヒートシンク部材の上にセットされていて、前記半導体型光源を前記ヒートシンク部材側に押さえ、かつ、前記半導体型光源に給電する給電ホルダと、
前記給電ホルダの上にカバーされていて、かつ、前記ヒートシンク部材に固定されていて、前記給電ホルダを前記ヒートシンク部材に固定して、かつ、前記半導体型光源を前記給電ホルダと前記ヒートシンク部材との間に挟み込んで固定する固定部材と、
を備え、
前記半導体型光源は、基板と、前記基板上に配置されている発光チップと、前記発光チップを覆って保護するレンズと、前記レンズと一体に設けられていて前記基板に固定されている放熱板と、を有し、
前記給電ホルダは、前記放熱板を前記基板に押え付けて固定する光源固定部を有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記レンズは、ガラス製からなり、
前記放熱板は、熱膨張率がガラス製の前記レンズの熱膨張率に近く、かつ、熱伝導率が高い金属板製からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記レンズは、透明樹脂製からなり、
前記放熱板は、熱膨張率が透明樹脂製の前記レンズの熱膨張率に近く、かつ、熱伝導率が高い樹脂板製からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−129316(P2010−129316A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301506(P2008−301506)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】