説明

車両用灯具

【課題】複数個の灯具ユニットが形成する配光パターンの位置ずれを容易に修正可能な車両用灯具の提供を図る。
【解決手段】付加灯具ユニット3は、光軸調整の基準となる基準灯具ユニット2の側方で、放熱部材1に位置調整可能に装着され、付加灯具ユニット3の放熱部材1への取付位置を調整することによって、基準灯具ユニット2の配光パターンP1に対する付加灯具ユニット3の配光パターンP2の位置ずれが修正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のヘッドランプやリヤコンビネーションランプ等に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具として例えば特許文献1に示されているように、光源として発光ダイオード(LED)等の半導体型光源を用いた灯具ユニットの複数個を、放熱部材(ヒートシンク部材)に組付けて、半導体型光源の発熱を該放熱部材により拡散して放熱するようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−311224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の車両用灯具にあっては、前記複数個の灯具ユニットでそれぞれ形成される配光パターンが合成されて、所要のカットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを得るようにしている。
【0005】
前記灯具ユニットのそれぞれは、前記放熱部材と同質材からなる基台上に半導体型光源を固定配置すると共に、該基台にリフレクタと投影レンズとを組付けて構成され、他方、前記放熱部材は、各灯具ユニットの基台を載置する台座部を多段状、例えば3段に構成して、これらの台座部上に3つの灯具ユニットを各基台を介して固定配置するようにしている。
【0006】
このように、例えば3つの灯具ユニットを組合せて、斜状カットラインと水平カットラインからなるカットオフラインを有するすれ違い用配光パターンを形成する場合、該カットオフラインの斜状カットラインと水平カットラインとの交点であるエルボ点がずれないように、前記3つの灯具ユニットの配光パターンの形成位置を正確に調整する必要がある。
【0007】
ところが、前述のように前記3つの灯具ユニットは、放熱部材に多段状に形成された台座部上に個々に固定配置されるため、これら各台座部の座面の平滑度を精度良く加工できたとしても、該座面を前記各灯具ユニットの配光パターンの形成位置ずれを吸収するように加工することは難しく、配光パターンに微妙な位置ずれが生じて、グレア光の発生要因ともなる不具合を生じる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は複数個の灯具ユニットが形成する配光パターンの位置ずれを生じることがなく、設計通りの合成配光パターンを形成することができる車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用灯具にあっては、灯具ユニット取付台座部が一体に突設されると共に、光軸調整機構の傾動支点部と、上下方向調整入力点部と、水平方向調整入力点部とが一体成形されて、前記光軸調整機構を介してランプハウジングに傾動可能に装着された放熱部材と、前記灯具ユニット取付台座部上で、正面視して光源が前記傾動支点部と上下方向調整入力点部とを上下方向に結ぶ直線上に整合して固定配置された基準灯具ユニットと、前記基準灯具ユニットの側方で、前記放熱部材に位置調整可能に装着された付加灯具ユニットと、を備えたことを主要な特徴としている。
【0010】
前記放熱部材を光軸調整機構によって前記傾動支点部を中心に上下方向あるいは水平方向に傾動することにより、車両用灯具の光軸調整が行われる。
【0011】
このとき、基準灯具ユニットが、その光源が正面視して放熱部材の傾動支点部と上下方向調整入力点部とを上下方向に結ぶ直線上に整合して該放熱部材に一体成形された灯具ユニット取付台座部上に固定配置されているため、該基準灯具ユニットの投影レンズの光軸を基準にして前記光軸調整が行われる。
【0012】
車両用灯具の配光パターンは、このようにして光軸調整の基準となる基準灯具ユニットで形成される配光パターンと、付加灯具ユニットで形成される配光パターンとが合成された配光パターンとして得られるが、基準灯具ユニットの配光パターンに対して付加灯具ユニットの配光パターンにずれが生じていた場合、該付加灯具ユニットの放熱部材に対する取付位置を調整することによって、前記配光パターンの位置ずれが修正される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基準灯具ユニットは、放熱部材に一体に突設された灯具ユニット取付台座部上に固定配置されるため、前記放熱部材に対する光源とリフレクタおよび投影レンズ等との光学的位置関係に狂いが生じることがない。
【0014】
しかも、この基準灯具ユニットの光源が正面視して前記放熱部材の傾動支点部と上下方向調整入力部とを上下方向に結ぶ直線上に整合して配置されていて、該基準灯具ユニットの投影レンズの光軸を基準にして車両用灯具の光軸調整が行われるため、配光精度を高めることができる。
【0015】
そして、前記基準灯具ユニットの配光パターンに対する付加灯具ユニットの配光パターンの位置ずれは、該付加灯具ユニットの前記放熱部材に対する取付位置を調整することによって容易に修正することができるため、これら基準灯具ユニットと付加灯具ユニットの各配光パターンの位置ずれを無くして、配光性能を一段と向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態を示す分解斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態の正面図。
【図3】本発明の第1実施形態の平面図。
【図4】本発明の第1実施形態における配光パターンの異なる例を(A),(B)にて示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態を示す正面図。
【図6】本発明の第3実施形態を示す斜視図。
【図7】本発明の第3実施形態の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0018】
図1は本発明に係る車両用灯具の第1実施形態を示す分解斜視図、図2は第1実施形態の正面図、図3は第1実施形態の平面図、図4は配光パターンの異なる例を(A),(B)にて示す説明図である。
【0019】
本実施形態における車両用灯具は、図1〜3に示すように放熱部材1と、該放熱部材1に装着された基準灯具ユニット2と、該基準灯具ユニット2の側方で前記放熱部材1に装着された付加灯具ユニット3と、を備えている。
【0020】
そして、前記基準灯具ユニット2と付加灯具ユニット3とを装着した放熱部材1が、図外のランプハウジングと、素通しのアウターレンズとで形成される灯室内に配設されて、車両用灯具が形成される。
【0021】
前記放熱部材1は、熱伝導率が高い金属材料、例えばアルミダイカスト製として構成され、一側面に縦形の平坦な取付面11と、背面に一体成形された複数の放熱フィン12とを備えている。
【0022】
前記放熱部材1の取付面11には、その一側、例えば右側に偏寄して灯具ユニット取付台座部13がほぼ水平に一体に突設されている。
【0023】
また、この放熱部材1の上縁には、前記灯具ユニット取付台座部13と同じ右側に偏寄した位置に、図外の光軸調整機構におけるボールジョイントが連結される傾動支点部としてのボールジョイント連結ブラケット14が一体成形されていると共に、該上縁の左側に偏寄した位置に、光軸調整機構における水平方向光軸調整スクリューが連結される水平方向調整入力点部としての水平方向調整スクリュー連結ブラケット15が一体成形されている。更に、この放熱部材1の下縁部には、前記ボールジョイント連結ブラケット14の連結中心部を通る垂線L上に、光軸調整機構における上下方向光軸調整スクリューが連結される上下方向調整入力点部としての上下方向調整スクリュー連結孔16が形成されている。
【0024】
前記基準灯具ユニット2はプロジェクタタイプとして構成され、半導体型光源21と、半導体型光源21から射出された光の一部を反射する反射面(図示省略)を有するリフレクタ22と、該リフレクタ22に一体的に設けられたレンズホルダー23に抱持固定されて、前記半導体型光源21の直射光および前記リフレクタ22の反射光を集光して灯具前方に向けて照射する投影レンズ24と、を備えている。
【0025】
前記半導体型光源21は、例えば発光ダイオード(LED)や有機ELおよび無機ELを含むエレクトロルミネッセンス(EL)など、半導体に電圧を印加することによって得られるルミネッセンス(発光現象)を利用した光源である。
【0026】
この半導体型光源21は平面方形の基板21aを有し、発光部を上向きにして前記基板21aを介して前記灯具ユニット取付台部13上の定位置に略水平に固定配置されている。
【0027】
一方、前記リフレクタ22は、その下側周縁のフランジ部22aの下面に突設したロケートピン25aと、前記灯具ユニット取付台部13に設けたロケート孔25bとからなる位置決め手段25によって適正に位置決めされて、前記半導体型光源21の上方を覆って該灯具ユニット取付台部13上に固定される。このリフレクタ22の固定は、例えば灯具ユニット取付台部13と、リフレクタ22のフランジ部22aに設けたボルト挿通孔26を通して、図外のボルト・ナット等の締結部材によって行われる。
【0028】
前記リフレクタ22の第1焦点近傍には前記半導体型光源21が位置し、リフレクタ22の第2焦点は投影レンズ24の後側の焦点と略一致する位置に設定されている。
【0029】
本実施形態では前記基準灯具ユニット2と、1つの付加灯具ユニット3とにより、図4(A)に示すように該基準灯具ユニット2により形成される配光パターンP1と、付加灯具ユニット3により形成される配光パターンP2とが合成されて、上縁にカットオフラインCを有するすれ違い配光パターンPが形成される。
【0030】
そこで、前記基準灯具ユニット2にあっては、前記灯具ユニット取付台部13の前縁に、図4(A)に示す配光パターンP1におけるカットオフラインC1を形成するためのエッジ13Aが形成されている。このエッジ13Aは前記リフレクタ22の第2焦点の近傍位置に設定され、本実施形態ではエッジ13Aにより、中央にエルボ点Eを持つ左右段違いの水平カットオフラインC1が形成されるようにしている。
【0031】
そして、この基準灯具ユニット2は、前記灯具ユニット取付台座部13上で、正面視して前記半導体型光源21が前記ボールジョイント連結ブラケット14の中心と、上下方向調整スクリュー連結孔16の中心とを上下方向に結ぶ直線上(前記垂線L上)に整合して配置されている。
【0032】
一方、前記付加灯具ユニット3は、前記基準灯具ユニット2と同様の半導体型光源31と、半導体型光源31から射出された光の一部を反射する凹型の反射面(図示省略)を有するリフレクタ32と、該リフレクタ32に一体的に設けられたレンズホルダー33に抱持固定されて、前記半導体型光源31の直射光および前記リフレクタ32の反射光を集光して灯具前方に向けて照射する投影レンズ34と、を備えている。
【0033】
この付加灯具ユニット3は、前記基準灯具ユニット2の側方、本実施形態では左側で前記放熱部材1の取付面11に位置調整可能に装着され、本実施形態では前記放熱部材1と同質材からなる矩形ブロック状の基台4上に前記付加灯具ユニット3が固定配置されて、該基台4を介して前記取付面11に位置調整可能に装着されている。
【0034】
前記付加灯具ユニット3の半導体型光源31は平面方形の基板31aを有し、発光部を上向きにして前記基板31aを介して前記基台4上の定位置に略水平に固定配置されている。
【0035】
また、前記リフレクタ32は、その下側周縁のフランジ部32aの下面に突設したロケートピン35aと、前記基台4に設けたロケート孔35bとからなる位置決め手段35によって適正に位置決めされて、前記半導体型光源31の上方を覆って該基台4上に固定される。このリフレクタ32の固定は、例えば基台4とリフレクタ32のフランジ部32aに設けたボルト挿通孔36を通して、図外のボルト・ナット等の締結部材によって行われる。
【0036】
前記リフレクタ32の第1焦点近傍には前記半導体型光源31が位置し、リフレクタ32の第2焦点は投影レンズ34の後側の焦点と略一致する位置に設定されている。
【0037】
この付加灯具ユニット3にあっては、前記基台4の前縁に、図4(A)に示す配光パターンP2におけるカットオフラインC2を形成するためのエッジ4Aが形成されている。このエッジ4Aは前記リフレクタ32の第2焦点の近傍位置に設定され、本実施形態ではエッジ4Aにより水平カットオフラインC2が形成されるようにしている。
【0038】
前記基台4は、その下面に一体成形された複数の冷却フィン41を備えている。
【0039】
この基台4の後端面は平坦に形成され、該後端面にロケートピン42と、ボルト43が螺合するネジ孔(図示省略)とが左右方向に離間して突設されている。
【0040】
他方、この基台4が装着される前記放熱部材1の取付面11の所定位置には、前記ロケートピン42とボルト43のネジ孔とに対応して、ロケート孔17とボルト挿通孔18が設けられている。
【0041】
そして、前記付加灯具ユニット3は、前記ロケートピン42をロケート孔17に嵌入すると共に、放熱部材1の後方からボルト43をボルト挿通孔18に挿入して基台4のネジ孔に螺合し、該基台4の後端面を放熱部材1の取付面11に締結することによって、該放熱部材1に取付けられる。
【0042】
ここで、前記取付面11のボルト挿通孔18は、ロケート孔17を中心とする円弧に沿って上下方向の長孔として、あるいはボルト43の外径よりも大径の調整用挿通孔として形成され(本実施形態では上下方向の弧状長孔を示す)、前記付加灯具ユニット3を前記ロケートピン42を支点としてボルト挿通孔18の形成範囲で上下方向に回動することにより位置調整可能とされている。
【0043】
本実施形態では、前記ロケートピン42は付加灯具ユニット3の投影レンズ34の光軸延長上に設定され、従って、該付加灯具ユニット3は、その投影レンズ34の光軸を中心にして回動して上下方向に位置調整される。
【0044】
以上の構成からなる第1実施形態の車両用灯具にあっては、前記放熱部材1を図外の光軸調整機構における上下方向光軸調整スクリューまたは水平方向光軸調整スクリューの操作により、前記ボールジョイントブラケット14の中心を支点として上下方向あるいは水平方向に傾動することにより、車両用灯具の光軸調整が行われる。
【0045】
このとき、前記基準灯具ユニット2が、その半導体型光源21が正面視して放熱部材1のボールジョイント連結ブラケット14の中心と、上下方向調整スクリュー連結孔16の中心とを上下方向に結ぶ直線L上に整合して配置されているため、該基準灯具ユニット2の投影レンズ24の光軸を基準にして前述の光軸調整が行われる。
【0046】
図3(A)は車両前方に仮想配置されたスクリーン上に形成される車両用灯具の配光パターンPを示しており、この配光パターンPは前述のように光軸調整の基準となる基準灯具ユニット2で形成される上縁に段違い水平カットラインC1を有する配光パターンP1と、付加灯具ユニット3で形成される上縁に水平カットラインC2を有する配光パターンP2とが合成されて、上縁に所定のカットオフラインCを有するすれ違い配光パターンPとして得られる。
【0047】
前述のように基準灯具ユニット2の投影レンズ24の光軸を基準にして車両用灯具の光軸調整が適正に行われたとしても、この基準灯具ユニット2で形成される配光パターンP1のカットオフラインC1に対して、付加灯具ユニット3形成される配光パターンP2のカットオフラインC2が上下方向に位置ずれを生じていると、グレア光が発生する可能性がある。
【0048】
本実施形態によれば、前記基準灯具ユニット2の配光パターンP1に対する付加灯具ユニット3の配光パターンP2の位置ずれは、該付加灯具ユニット3の前記放熱部材1に対する取付位置を調整することによって容易に修正することができるため、これら基準灯具ユニット2と付加灯具ユニット3の各配光パターンP1,P2の位置ずれを無くして、配光性能を一段と向上することができる。即ち、基準灯具ユニット2でカットオフライン(立上がり部)を有するホットゾーン(光が強い部分)を形成し、それに合わせて付加灯具ユニット3による拡散配光パターンを形成するので、確実にグレアを抑制した配光パターンを精度よく形成できる。
【0049】
特に、本実施形態では、前記付加灯具ユニット3を、その投影レンズ34の光軸を中心にして上下方向に回動して位置調整可能とされているので、この付加灯具ユニット3の回動調整により、基準灯具ユニット2の配光パターンP1におけるエルボ点Eを照準とする、付加灯具ユニット3の配光パターンP2の位置ずれ修正を精度良く、かつ、簡単に行うことができる。
【0050】
ここで、前記基準灯具ユニット2は、基本的には前記放熱部材1に一体に突設された灯具ユニット取付台座部13上に固定配置されているため、前記放熱部材1に対する半導体型光源21とリフレクタ22および投影レンズ24等との光学的位置関係に狂いが生じることがなく、配光性能に優れた車両用灯具が得られる。
【0051】
しかも、この基準灯具ユニット2の半導体型光源21が前述のように正面視して放熱部材1のボールジョイント連結ブラケット14の中心と、上下方向調整スクリュー連結孔16の中心とを上下方向に結ぶ直線L上に整合して配置されていて、該基準灯具ユニット2の投影レンズ24の光軸を基準にして車両用灯具の光軸調整が行われるため、光軸調整にブレがなく配光精度を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態では、前記付加灯具ユニット3は、前記放熱部材1と同質材からなる基台4上に固定配置され、該基台4がこの放熱部材1に面接触して位置調整可能に装着されているので、付加灯具ユニット3の半導体型光源31の発生熱はこの基台4の放熱フィン41により、および基台4から放熱部材1に熱伝達されて該放熱部材1の放熱フィン12により良好に熱拡散され、基準灯具ユニット2を含めて総合的に冷却効果を高めることができる。
【0053】
図4(B)は基準灯具ユニット2の配光パターンP1のカットオフラインC1が1つの水平カットオフラインとして形成されるようにした場合の配光パターンPを示している。
【0054】
そして、付加灯具ユニット3をその投影レンズ34の光軸を中心にして上下方向に回動調整することにより、該付加灯具ユニット3の配光パターンP2の水平なカットオフラインC2の略左半部が、基準灯具ユニット2の配光パターンP1の水平なカットオフラインC1に対して所要の傾斜角度で立上がり、これらカットオフラインC1とC2との交点にエルボ点Eが形成されるようにしたものである。
【0055】
このように、付加灯具ユニット3を、その投影レンズ34の光軸を中心にして回動して位置調整可能とすることにより、該付加灯具ユニット3の回動傾斜によって、車両前方左側あるいは右側の照射範囲が拡大可能な所望の配光パターンPを容易に得ることができる。
【0056】
図5は本発明の第2実施形態を示すもので、本実施形態にあっては、前記第1実施形態における付加灯具ユニット3が、前記基準灯具ユニット2に対して下方に位相を異ならせて配設されている。
【0057】
このような付加灯具ユニット3の配置とすることにより、車両用灯具が、車体のフロントフェンダーの灯具配設開口部の形状に合わせて、フロントフェンダー側に配置されるサイド部を車体後方に後ろ上がりとなるように上縁部分が前傾したスラント形状に形成された右側ヘッドランプであった場合、前記素通しのアウターレンズを通して透視される車両外側の基準灯具ユニット2と車両内側の付加灯具ユニット3の配列をこの車体キャラクターラインのスラント形状に合わせることができて意匠効果を高めることができる。
【0058】
図6,図7は本発明の第3実施形態を示すもので、本実施形態にあっては、前記第1実施形態における付加灯具ユニット3が、前記基準灯具ユニット2に対して下方に位相を異ならせると共に、前方に位相を異ならせて配設されている。
【0059】
このような付加灯具ユニット3の配置とすることにより、車両用灯具が右側ヘッドランプであって、該ヘッドランプが車体のフロントエンド部のコーナー部からフロントフェンダーに亘るキャラクターラインに沿って、平面視して外側に凸となる緩やかな弧状に形成され、かつ、該ヘッドランプの上縁部分が前傾したスラント形状に形成されている場合、前記素通しのアウターレンズを通して透視される車体外側の基準灯具ユニット2と車両内側の付加灯具ユニット3の配列をこの車体キャラクターラインのスラント形状に合わせることができて意匠効果を高めることができる。
【0060】
なお、前記各実施形態では基準灯具ユニット2の側方に1つの付加灯具ユニット3を備えた例を示したが、付加灯具ユニット3が複数個併設されたものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…放熱部材
13…灯具ユニット取付台座部
14…ボールジョイント連結ブラケット(傾動支点部)
15…水平方向調整スクリュー連結ブラケット(水平方向調整入力点部)
16…上下方向調整スクリュー連結孔(上下方向調整入力点部)
2…基準灯具ユニット
21…半導体型光源(光源)
22…リフレクタ
24…投影レンズ
3…付加灯具ユニット
31…半導体型光源
32…リフレクタ
34…投影レンズ
4…基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具ユニット取付台座部が一体に突設されると共に、光軸調整機構の傾動支点部と、上下方向調整入力点部と、水平方向調整入力点部とが一体成形されて、前記光軸調整機構を介してランプハウジングに傾動可能に装着された放熱部材と、
前記灯具ユニット取付台座部上で、正面視して光源が前記傾動支点部と上下方向調整入力点部とを上下方向に結ぶ直線上に整合して固定配置された基準灯具ユニットと、
前記基準灯具ユニットの側方で、前記放熱部材に位置調整可能に装着された付加灯具ユニットと、を備えたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記付加灯具ユニットは、前記放熱部材と同質材からなる基台上に固定配置され、該基台が前記放熱部材に面接触して該放熱部材に位置調整可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記付加灯具ユニットは、その投影レンズの光軸を中心にして回動して位置調整されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記付加灯具ユニットが、前記基準灯具ユニットに対して上下方向に位相を異ならせて配設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記付加灯具ユニットが、前記基準灯具ユニットに対して前後方向に位相を異ならせて配設されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−165536(P2010−165536A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6280(P2009−6280)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】