説明

車両用灯具

【課題】発熱部品及び放電灯の放熱性の向上を図ることができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】リフレクタ6にケース部材12を固定するコネクタである嵌合部材20が放熱構造を形成する放熱フィン22を有している。これにより、放電バルブ7からの熱とケース部材12内の発熱部品からの熱の両方を放熱フィン22から効率良く放熱させることができ、放熱性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両用灯具に関し、特に車両前照灯として使用されるバルブ一体型バラストの放電灯点灯装置を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前照灯として使用される放電灯点灯装置としては、バルブソケットの中に高電圧発生手段(スタータ)を内蔵した形態や、放電灯とスタータ及びケースを一体にした形態が既に実用化されている。このスタータに、供給電圧変換手段や制御回路等(バラスト)を加え、スタータとバラストをバルブソケットに内蔵、或いは放電灯と一体にする形態が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
通常、バラストとスタータをバルブソケットに内蔵或いは一体にしている放電灯点灯装置では、ノイズ対策のために一部又は全周を金属製のケースで覆っている。このケース内でダイオード等の発熱部品をバルブソケットとは反対側の灯具本体の外部に露出するようにして放熱効果を高めている。また、電解コンデンサ等の耐熱性の低い部品をバルブソケット側に設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−210009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記放電灯点灯装置では、バラストとスタータをバルブソケット内蔵或いはケース内で一体化しているため、耐熱性の低い部品への熱伝導を最小限に抑えるために、発熱部品からの熱と共に放電灯からの熱を効率良く放熱させる必要がある。
しかしながら、ケースをリフレクタに固定した状態では、耐熱性の低い部品周辺の放熱性を向上させるのは難しい。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、発熱部品及び放電灯の放熱性の向上を図ることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、ランプボディと前面カバーで形成された灯室内に、光源と、該光源からの光を前方に向けて反射するリフレクタと、前記光源が電気的に接続され、該光源を点灯させる電圧を供給するための回路手段と、該回路手段を収納するケース部材と、前記光源と接続され、前記ケース部材に固定される結合部材と、を備えている車両用灯具において、前記リフレクタに前記ケース部材を固定するコネクタが、放熱構造を有することを特徴とする車両用灯具により達成される。
【0008】
上記構成の車両用灯具によれば、リフレクタにケース部材を固定するコネクタが放熱構造を有しているので、放電灯からの熱と発熱部品からの熱の両方をコネクタから放熱させることができ、放熱性の向上を図ることができる。なお、ここで云うコネクタとは、ケース部材をリフレクタに固定する固定機能を有する部材である。従って、電気的な接続機能は必ずしも必要ではないが、コネクタを導電性の金属で形成することで、リフレクタとケース部材内の回路手段とを導通させることができ、同時にノイズ対策を採ることができる。
【0009】
また、上記構成の車両用灯具において、前記コネクタが一方向から嵌合する嵌合部材であることが望ましい。
【0010】
このような構成の車両用灯具によれば、ケース部材のリフレクタへの取り付けが、一方向から嵌合する嵌合部材によって行われるので、嵌合部材の簡易的な嵌合により組付け性の向上を図ることができる。
【0011】
また、上記構成の車両用灯具において、前記嵌合部材は略半円形状であり、前記リフレクタの取付け部と、前記結合部材の鍔部との当接部分に、一方向から嵌合されることが望ましい。
【0012】
このような構成の車両用灯具によれば、取り付け時は、ケース部材側の結合部材の鍔部をリフレクタの取付け部に当接させ、一方向から略半円形状の嵌合部材を当接部分の結合部材とリフレクタに跨るように嵌合させることで、確実にケース部材をリフレクタに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両用灯具によれば、リフレクタにケース部材を固定するコネクタが放熱構造を有しているので、発熱部品及び放電灯の放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一実施形態を示す放電灯点灯装置10を含む車両用前照灯1の断面図である。
【図2】図1の放電灯点灯装置10の分解斜視図である。
【図3】図2の嵌合部材20の正面図である。
【図4】図2の固定状態を示す電灯点灯装置10の側面図である。
【図5】図4の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る放電灯点灯装置の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施形態である放電灯点灯装置を含む車両用前照灯1は、前面カバーである透明カバー2とランプボディ3とで画成された灯室4内に、灯具ユニット5が収容されている。灯具ユニット5は、光源からの光を前方に向けて反射するリフレクタ6、光源である放電バルブ7及び投影レンズ8を備えている。放電バルブ7は、結合部材であるバルブソケット9に取り付けられている。
【0017】
放電灯点灯装置10は、バルブ一体型バラストであり、バルブソケット9に固定されており、該バルブソケット9がリフレクタ6の後端部に固定されることで、灯室4内のリフレクタ6の後端部に配置されている。放電灯点灯装置10内には、放電バルブ7を点灯させる電圧を供給するための回路手段を有している。
【0018】
回路手段は、入力電圧をパワー素子でスイッチングすることにより放電バルブ7への供給電圧を変換する変換手段と、パワー素子をオン/オフすることにより放電バルブ7へ供給する電力を制御する制御回路(バラスト)と、放電バルブ7の点灯を開始するときに放電バルブ7に加える高電圧を発生する高電圧発生手段(スタータ)とを備えている(不図示)。
【0019】
図2に示すように、放電灯点灯装置10は、前記回路手段を金属製のケース部材12内に収納しており、ケース部材12の前端面がバルブソケット9に固定されている。そして、放電灯点灯装置10は、バルブソケット9の鍔部13が、リフレクタ6の後端に形成された取付け部8に、コネクタである嵌合部材20によって嵌合されることでリフレクタ6に固定される。
【0020】
本実施形態の嵌合部材20は、銅やアルミニウム等の導電性の良好な金属からなる略半円形状である。この嵌合部材20は、その外周部に略円弧状の複数の放熱フィン22からなる放熱構造を有している。嵌合部材20は、リフレクタ6の取付け部8とバルブソケット9の鍔部13との当接部分に一方向から嵌合される。なお、ここで云う放熱構造とは、放熱フィン22の他に、カーボン等の黒塗装を表面に施すことも含んでいる。
【0021】
図3に示すように、嵌合部材20は、一対の挟持部21と、該挟持部21の対向した両端部に爪状の一対の係止部23とを有している。嵌合部材20の嵌合時に、一方の挟持部21がリフレクタ6の取付け部8に当接すると共に、他方の挟持部21がバルブソケット9の鍔部13に当接する。これにより、挟持部21は、灯具前後方向からリフレクタ6とバルブソケット9を挟持する(図5参照)。
【0022】
係止部23は、リフレクタ6の取付け部8とバルブソケット9の鍔部13の両方に跨り、その先端は装着位置から取付け部8及び鍔部13の反対側まで回り込んで係止される。なお、係止部23は、装着時に専用治具によって中心方向に向かって加締められることで、確実に抜け止めされる。
【0023】
図4及び図5に示すように、バルブソケット9及びケース部材12が嵌合部材20によってリフレクタ6に取付けられた状態では、嵌合部材20は、ケース部材12内部の発熱部品からの熱を、ケース部材12を介して一方の挟持部21(図中右側)から放熱フィン22へ伝熱させる。また、同時にリフレクタ6内に配置された放電バルブ7からの熱を、リフレクタ6を介して他方の挟持部21(図中左側)から放熱フィン22へ伝熱させる。そして、双方の熱は、放熱フィン22から効率良く放熱させることができる。
【0024】
なお、嵌合部材20の装着方向は、取付け部8の径方向の360°いずれの方向からでも簡易的に嵌め込むことができる。また、嵌合部材20が銅やアルミニウム等の導電性の金属からなるので、リフレクタ6とケース部材12内の回路手段とを導通させることができ、同時にノイズ対策を採ることができる。
【0025】
上述した実施形態の車両用灯具によれば、リフレクタ6にケース部材12を固定するコネクタである嵌合部材20が放熱構造を形成する放熱フィン22を有しているので、放電バルブ7からの熱とケース部材12内の発熱部品からの熱の両方を放熱フィン22から放熱させることができ、放熱性の向上を図ることができる。
【0026】
また、ケース部材12のリフレクタ6への取り付けが、一方向から嵌合する嵌合部材20によって行われるので、嵌合部材20の簡易的な嵌合により組付け性の向上を図ることができる。
【0027】
また、ケース部材12側の結合部材であるバルブソケット9の鍔部13をリフレクタ6の取付け部8に当接させ、一方向から略半円形状の嵌合部材20を当接部分のバルブソケット9の鍔部13とリフレクタ6の取付け部8に跨るように嵌合させることで、確実にケース部材12をリフレクタ6に取り付けることができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、リフレクタ6は、プロジェクタ型を一例に説明したが、パラボラ型のリフレクタにも適用できることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1…車両用前照灯、6…リフレクタ、7…放電バルブ(放電灯)、8…取付け部、9…バルブソケット(結合部材)、10…放電灯点灯装置、12…ケース部材、13…鍔部、20…嵌合部材、21…挟持部、22…放熱フィン(放熱構造)、23…係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプボディと前面カバーで形成された灯室内に、光源と、
該光源からの光を前方に向けて反射するリフレクタと、
前記光源が電気的に接続され、該光源を点灯させる電圧を供給するための回路手段と、
該回路手段を収納するケース部材と、
前記光源と接続され、前記ケース部材に固定される結合部材と、
を備えている車両用灯具において、
前記リフレクタに前記ケース部材を固定するコネクタが、放熱構造を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記コネクタが、一方向から嵌合する嵌合部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記嵌合部材は、略半円形状であり、前記リフレクタの取付け部と、前記結合部材の鍔部との当接部分に、一方向から嵌合されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−146597(P2012−146597A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5750(P2011−5750)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】