説明

車両用灯具

【課題】 防水用ガスケットが脱落することなく車両用灯具を車両に取り付けできる技術を提供する。
【解決手段】 光源及び光学系を構成する光学部材16を収容し、車両への取り付け時に車体と近接する取り付け面11aを有するハウジング11と、取り付け面11aの頂点を結ぶ対角線付近にある2点にて延出する一対の棒状部である、車体への取り付けボス12と、取り付け面11aのうち光源の取り付け孔15の周囲を囲む形状をなし、取り付けボス12の外径よりも大きい径の孔13aを有しこの孔13aによって当該取り付けボス12に係止されるボス係止部を有するガスケット13と、取り付けボス12の外径よりも大きい径の孔17aを有し、かつ、ガスケットの孔13aの径よりも大きな外径を有し、その孔17aによりガスケット13が係止された取り付けボス12に取り付けられるパッキン17と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源及び光学系を構成する光学部材を収容するハウジングが車両への取り付け時に車体と近接する、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用灯具を車体に取り付ける際に、光源取り付け用の開口部を防水するために、車体と車両用灯具の上記開口部との間にベースガスケットやパッキンと称されるシール部材(以下、ガスケットとも称する)を介在させることがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、車両用灯具は、一般に車両用灯具のハウジングにあるボルトやハウジングに設けたピンにガスケットを係止した後、あるいは、ガスケットとハウジングとを両面テープで固定した後、車両用灯具とともに車体に取り付けられていた。
【0004】
なお、車両用灯具と車体との間にガスケットを設けた構造の車体への取り付け時の作業性向上に関して、シール部材がランプハウジング背面側のリブによって凹部に押圧される技術が開示されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−118292号公報
【特許文献2】特開2007−296972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、以上のような車両用灯具は、車両用灯具と車体との間隔が狭いなどの車体との位置関係の都合上ボルトやピンの長さが短くなってしまう場合や、車体の取り付け面とハウジング側でガスケットを保持するシールリブと段差が大きい場合に、車体への取り付け時にガスケットが外れてしまうおそれがあった。
【0007】
また、両面テープでガスケットを車両用灯具に固定した場合は、あらかじめ両面テープをガスケットに貼り付けたものを用意して車両用灯具に固定する。この場合には、左右の車両用灯具に合わせて左右別にガスケットを用意しなければならず、コストアップにつながっていた。
【0008】
さらに、特許文献2に開示される技術においても、車両用灯具を車体に取り付けるためのボルト付近でガスケットがめくれてしまうことを防止できるような技術は開示されていなかった。
【0009】
そこで、本発明は、防水用ガスケットが脱落することなく車両用灯具を車両に取り付けできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題に鑑み、本発明は以下の手段とした。
すなわち、本発明は、光源及び光学系を構成する光学部材を収容し、車両への取り付け時に車体と近接する取り付け面を有するハウジングと、取り付け面の頂点を結ぶ対角線付近にある2点にて延出する一対の棒状部である、車体への取り付けボスと、取り付け面のうち前記光源の取り付け孔の周囲を囲む形状をなし、取り付けボスの外径よりも大きい径の孔を有しこの孔によって当該取り付けボスに係止されるボス係止部を有するガスケットと、取り付けボスの外径よりも大きい径の孔を有し、かつ、ガスケットの孔の径よりも大きな外径を有し、その孔によりガスケットが係止された取り付けボスに取り付けられるパッキンと、を備える車両用灯具である。
【0011】
本発明は、光源の取り付け孔の周囲を囲む形状をなすガスケットに、取り付けボスの外径よりも大きい径の孔を有しこの孔によって当該取り付けボスに係止されるボス係止部を有する。このボス係止部は、車体への取り付け構造として取り付け面の頂点付近の点のうち対角線上の2点にある、一対の取り付けボスに対応して設けられている。
【0012】
そして、本発明は、取り付けボスに係止されたボス係止部の上から、車両用灯具と車体との間で緩衝部材として機能するパッキンが取り付けられる。また、本発明のパッキンは、ガスケットの孔の径よりも大きな外径を有する。
【0013】
以上のように、本発明によれば、車両用灯具に設けられている車体への取り付け構造を利用して、ガスケットが取り付けボスから脱落(外れ・めくれ等)してしまうおそれをなくすことができる。
【0014】
また、本発明は、取り付けボスが、取り付け面上における対角線のうち、最も長い対角線の頂点付近に設けられてもよい。
【0015】
以上のように構成すれば、本発明は、取り付けボスがハウジングの取り付け面上でもっとも距離を長く取ることができるので灯具の車体取り付け時に位置決めの基準となり、ガスケット共々灯具を安定して車体に取り付けることができる。
【0016】
さらに、本発明は、ガスケットが、取り付けボス根元付近で当該取り付けボスと係止されてもよい。
【0017】
以上のように構成すれば、本発明は、より確実にガスケットが車両用灯具に取り付けられることで、ガスケットが車両用灯具から浮き上がってしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明は、防水用ガスケットが脱落することなく車両用灯具を車両に取り付けできる技術を提供するという、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である、車両用灯具の裏面(ハウジング側)から見た斜視図である。
【図2】本実施の形態にかかる車両用灯具における、取り付けボス、取り付けボスの係止部周囲のガスケット、パッキンの拡大斜視図である
【図3】本実施の形態にかかる車両用灯具へガスケットを取り付ける前の状態を示す裏面から見た斜視図である。
【図4】本実施の形態にかかる車両用灯具へガスケットを取り付けた後パッキンを取り付ける前の状態を示す裏面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態に係る車両用灯具について、以下の例に基づいて説明する。
なお、本実施の形態は、本発明の一実施の形態にすぎないため、本発明には他の実施の形態も含まれることはいうまでもない。
【0021】
本発明は、車両用灯具のうちハウジングと車体との間で防水のためのシールがされる、いわゆるボディシールタイプの車両用灯具に適用される。
【0022】
図1は、本実施の形態にかかる車両用灯具を、車両用灯具の裏面(ハウジング側)から見た斜視図である。
【0023】
車両用灯具1は、ハウジング11,ハウジング11から車体(不図示)方向へ延びる取り付けボス12,ガスケット(ベースガスケット)13,ガスケット止めピン14,光源であるバルブ(不図示)を差し込むソケット穴15,リフレクタ16,パッキン17、及びカバーレンズ(不図示)を備える。
【0024】
ハウジング11は、一方が開放した筐体であり、その一方をカバーレンズで覆うことにより閉じた空間(灯室)を構成して、その灯室に光源や光学系(リフレクタ・レンズなど)を収容する。ここで、ハウジング11は、車体(不図示)への取り付け時に車体と近接する面となる、取り付け面11aを有する。ハウジング11の取り付け面11a上の頂点11b1,2,3,4を結ぶ対角線L1,L2のうち、最も長い対角線L1の頂点11b1,2付近の位置(いわゆる、車体への取り付け時の第一基準・第二基準位置にあたる位置)には、取り付けボス12a,bが設けられている。このような位置に取り付けボス12があることによって、取り付けボス12双方の間で取り付け面11a上において長い距離を取ることができるため、取り付けた後に安定した状態を維持できる。
【0025】
また、ハウジング11の取り付けボス12がない頂点11b3,4付近には、ガスケット13を係止するガスケット止めピン14が設けられている。
【0026】
図2は、本実施の形態にかかる車両用灯具1における、取り付けボス12、取り付けボス12の係止部周囲のガスケット13、パッキン17の拡大斜視図である。
【0027】
取り付けボス12は、車体に設けられた灯具取り付け部分にある取り付け孔(以上不図示)などを介して車両用灯具1を車体に取り付けるために用いられる。車体への取り付けに際して、取り付けボス12には、ガスケット13が係止される。
【0028】
ガスケット13は、ソケット穴15の周囲(本実施の形態ではソケット穴15の外側のリフレクタ16の周囲)を囲む。ガスケット13は、車両用灯具1を車体に取り付けた後に、車体と車両用灯具1との間隙を埋めてソケット穴15等の開口部への水の進入を防ぎ、車両用灯具1の防水性能を確保する。ガスケット13は、例えばスポンジ状のポリウレタンなどの材料で形成される。
【0029】
図3は、本実施の形態にかかる車両用灯具1へガスケット13を取り付ける前の状態を示す裏面から見た斜視図である。また、図4は、本実施の形態にかかる車両用灯具へガスケット13を取り付けた後でありパッキン17を取り付ける前の状態を示す裏面から見た斜視図である。
【0030】
ガスケット13は、上述のように取り付けボス12とこの取り付けボス12に対応した孔13a、及び、ガスケット止めピン14とこのガスケット止めピン14に対応した孔13bによってハウジング11の取り付け面11aに取り付けられる。そして、ガスケット13が係止された取り付けボス12には、パッキン17が取り付けられる。このとき、ガスケット13とパッキン17は、取り付けボス12が延出するハウジング11の根元付近まで押し込むようにすることが、脱落防止の観点から望ましい。
【0031】
パッキン17は、車両用灯具1を車体に取り付けた後、車体側の取り付け孔と取り付けボス12との間で緩衝材となる。パッキン17は、上記作用に鑑みればゴムのような弾性を有する材料により作成するのが望ましい。
【0032】
また、パッキン17は、ガスケット13が車両用灯具1(の取り付けボス12)から脱落(外れ・めくれ等)をすることを防止する作用も有する。このために、パッキン17は、取り付けボス12の外径よりも大きい径の孔17aを有し、かつ、ガスケット13の孔13aの径よりも大きな外径を有する。
【0033】
ここで、パッキン17の外径と外形形状は、従来であれば緩衝材としての作用のみであったため取り付けボス12に係止でき、車体側の部材との接触面が確保できればよかった。これに対して、本実施の形態にかかる車両用灯具1においては、この他にガスケット13の脱落防止作用も得る必要があるため、上記のような寸法を有する必要がある。そして、パッキン17の外形形状は、緩衝材としての作用の他にガスケット13の脱落防止作用も得るために必要な形状(ガスケット13がパッキン17に引っかかる形状)、例えば略円盤形状をなす。
【0034】
以上、説明した車両用灯具1によれば、従来から車体への取り付けに用いられてきた取り付けボス12を利用してガスケット13の脱落防止を行うことができる。このため、ガスケットの脱落防止構造(ピン・ボルト)を別途設ける必要がなく、コストの削減や省スペース可への対応(灯具と車体との間の間隙が少ない場合でも取り付け可能となる)を行うことができる。また、ガスケットを両面テープなどでハウジングに貼り付けた場合と比較すると、左右のガスケットの共用化などができるため、コストの削減ができる。
【符号の説明】
【0035】
1 車両用灯具
11 ハウジング
11a 取り付け面
11b 頂点
12 取り付けボス
13 ガスケット
13a 孔
13b 孔
14 ガスケット止めピン
15 ソケット穴
16 リフレクタ
17 パッキン
17a 孔
L1,L2 対角線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源及び光学系を構成する光学部材を収容し、車両への取り付け時に車体と近接する取り付け面を有するハウジングと、
前記取り付け面の頂点を結ぶ対角線付近にある2点にて延出する一対の棒状部である、前記車体への取り付けボスと、
前記取り付け面のうち前記光源の取り付け孔の周囲を囲む形状をなし、前記取り付けボスの外径よりも大きい径の孔を有しこの孔によって当該取り付けボスに係止されるボス係止部を有するガスケットと、
前記取り付けボスの外径よりも大きい径の孔を有し、かつ、前記ガスケットの孔の径よりも大きな外径を有し、前記孔により前記ガスケットが係止された前記取り付けボスに取り付けられるパッキンと、を備える車両用灯具。
【請求項2】
前記取り付けボスが、
前記取り付け面上における対角線のうち、最も長い対角線の頂点付近に設けられる、請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ガスケットが、
前記取り付けボス根元付近で当該取り付けボスと係止される、請求項1記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−209143(P2012−209143A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74308(P2011−74308)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】