説明

車両用灯具

【課題】導光板を備えた車両用灯具において、その導光板が略均一に明るく光って見えるようにする。
【解決手段】発光素子22と、その出射光を後端面26aから入射させて前端面26bから灯具前方へ向けて出射させる導光板26との間に、レンズ部材28が配置された構成とする。その際、このレンズ部材28は、発光素子22からの出射光のうち光軸Axに近い方向へ向かう光を、水平面内において拡散する拡散光として導光板26に到達させるとともに、発光素子22からの出射光を、鉛直面内において光軸Axに沿った平行光として導光板26に到達させるように構成しておく。これにより、導光板26に到達する光の光度分布として、水平面内において発光素子22の正面方向が極端に高くなってしまうのを未然に防止するとともに、発光素子22からの出射光を効率良く導光板26に入射させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、導光板を備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光ダイオード等の発光素子からの出射光を、導光板に対して、その後端面から入射させた後、その前端面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された車両用灯具が知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具において、水平面に沿って配置された導光板の後端面にレンズ要素が形成された構成が記載されている。その際、この車両用灯具においては、そのレンズ要素により、発光素子からの出射光を該発光素子の正面方向に収束する収束光として導光板に入射させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−280689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記「特許文献1」に記載された構成を採用することにより、導光板の内部において、発光素子の正面方向寄りの方向に導光される光が多くなるので、灯具前方から観察したとき導光板が明るく光って見えるようにすることができる。
【0006】
しかしながら、一般に、発光素子からの出射光の配光分布は、その正面方向へ向かう光の光度が最も高いものとなるので、上記「特許文献1」に記載された構成を採用したとしても、灯具前方から導光板を観察したとき、発光素子に近い部分だけが極端に明るく光って見えるいわゆる点光り現象が発生してしまい、導光板が略均一に光って見えるようにすることができない、という問題がある。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、導光板を備えた車両用灯具において、その導光板が略均一に明るく光って見えるようにすることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、発光素子と導光板との間に所定のレンズ部材が配置された構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
発光素子と、この発光素子からの出射光を、後端面から入射させた後、前端面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された導光板と、を備えてなる車両用灯具において、
上記発光素子と上記導光板との間に、上記発光素子からの出射光のうち該発光素子の正面方向に近い方向へ向かう光を、上記導光板に沿った第1の平面内において拡散する拡散光として上記導光板に到達させるとともに、上記発光素子からの出射光を、上記第1の平面と直交する第2の平面内において上記発光素子の正面方向に収束する収束光として上記導光板に到達させるように構成されたレンズ部材が配置されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「発光素子」とは、略点状に面発光する発光部を有する素子状の光源を意味するものであって、その種類は特に限定されるものではない。
【0011】
上記「導光板」は、発光素子からの出射光をその後端面から入射させてその前端面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されていれば、その具体的な形状は特に限定されるものではない。
【0012】
上記「第1の平面」は、水平面、鉛直面、傾斜面のいずれであってもよい。
【0013】
上記「レンズ部材」は、発光素子からの出射光のうちその正面方向に近い方向へ向かう光を第1の平面内において拡散する拡散光として導光板に到達させるとともに、発光素子からの出射光を第2の平面内において発光素子の正面方向に収束する収束光として導光板に到達させるように構成されていれば、その具体的な形状は特に限定されるものではない。ここで「発光素子の正面方向に収束する収束光」とは、仮にレンズ部材が存在しないとした場合に導光板に到達する光の方向に対して、発光素子の正面方向寄りの方向へ偏向する光を意味するものであって、必ずしも発光素子の正面方向と平行な方向へ向かう光でなくてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、発光素子からの出射光を、導光板に対して、その後端面から入射させた後、その前端面から灯具前方へ向けて出射させるように構成されているが、発光素子と導光板との間には、発光素子からの出射光のうちその正面方向に近い方向へ向かう光を、導光板に沿った第1の平面内において拡散する拡散光として導光板に到達させるとともに、発光素子からの出射光を、第1の平面と直交する第2の平面内において発光素子の正面方向に収束する収束光として導光板に到達させるように構成されたレンズ部材が配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0015】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具においては、そのレンズ部材により、発光素子からの出射光のうちその正面方向に近い方向へ向かう光を、導光板に沿った第1の平面内において拡散する拡散光として導光板に到達させるようになっているので、導光板に到達する光の光度分布として、第1の平面内において発光素子の正面方向が極端に高くなってしまうのを未然に防止することができる。そしてこれにより、灯具前方から導光板を観察したとき、導光板が第1の平面に沿った方向に関して略均一に光って見えるようにすることができる。
【0016】
また、本願発明に係る車両用灯具においては、そのレンズ部材により、発光素子からの出射光を、第2の平面内において発光素子の正面方向に収束する収束光として導光板に到達させるようになっているので、発光素子からの出射光を効率良く導光板に入射させることができる。そしてこれにより、灯具前方から導光板を観察したとき、導光板が明るく光って見えるようにすることができる。
【0017】
したがって本願発明によれば、導光板を備えた車両用灯具において、その導光板が略均一に明るく光って見えるようにすることができる。そしてこれにより、灯具の見映えを向上させることができる。
【0018】
上記構成において、レンズ部材の構成として、発光素子からの出射光を、第1の平面内において発光素子の正面方向の両側に1対のピーク値が出現する輝度分布で導光板に到達させるように構成されたものとすれば、導光板に到達する光の光度分布を第1の平面内においてより均一化することができる。そしてこれにより、灯具前方から導光板を観察したとき、導光板が第1の平面に沿った方向に関してより均一に光って見えるようにすることができる。
【0019】
上記構成において、導光板の後端面に、レンズ部材を介して到達した発光素子からの出射光を、第1の平面内において収束する収束光として導光板に入射させるためのレンズ要素が形成された構成とすれば、灯具前方から導光板を観察したとき、導光板が第1の平面に沿った方向に関して略均一に明るく光って見えるようにすることが容易に可能となる。
【0020】
上記構成において、導光板の前端面が、第1の平面内において一端部から他端部へ向けて灯具後方側へ大きく回り込むように形成されているような場合には、導光板の前端面に、その回り込み形状に沿って複数のレンズ素子が連続的に形成された構成とすると、導光板からの出射光を灯具正面方向に対してその両側にバランス良く拡散する拡散光とすることはできない。これに実現するためには、複数のレンズ素子を灯具正面方向に向けて形成し、これらレンズ素子相互間に大きな段差を形成することが必要となるが、このようにした場合には導光板の見映えが損なわれてしまう。
【0021】
そこで、このように導光板の前端面が第1の平面内において一端部から他端部へ向けて灯具後方側へ大きく回り込むように形成されている場合には、導光板の後端面が、灯具正面方向に対して上記他端部側に傾斜した方向を向くように形成された構成とすれば、導光板の前端面に、その回り込み形状に沿って複数のレンズ素子が連続的に形成された構成とした場合においても、導光板からの出射光を灯具正面方向に対してその両側にバランス良く拡散する拡散光とすることができ、これにより導光板の見映えが損なわれてしまうのを未然に防止することができる。
【0022】
上記構成において、発光素子が第1の平面内において複数箇所に配置されるとともに、レンズ部材および導光板がこれら複数の発光素子の各々と対応する複数箇所にそれぞれ配置された構成とした上で、複数のレンズ部材が互いに連結されて単一のレンズ部材ユニットとして構成されるとともに、複数の導光板が互いに連結されて単一の導光板ユニットとして構成されたものとすれば、灯具前方から導光板ユニットを観察したとき、複数箇所に配置された導光板が第1の平面に沿った方向に関して略均一に明るく光って見えるようにすることができ、かつ、これを少ない部品点数で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す平断面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】図1のIII−III線断面図
【図4】図1のIV部詳細図
【図5】上記車両用灯具のレンズ部材の作用を説明するための図
【図6】(a)は、上記車両用灯具の各発光素子を点灯したときの導光板ユニットを示す正面図、(b)は、従来例の作用を示す、(a)と同様の図
【図7】上記実施形態の変形例を示す、図1と同様の図
【図8】(a)は、図7のVIIIa 部詳細図、(b)は、比較例を示す、(a)と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具10を示す平断面図である。また、図2は、図1のII−II線断面図であり、図3は、図1のIII−III線断面図であり、図4は、図1のIV部詳細図である。
【0026】
これらの図に示すように、この車両用灯具10は、車両の左前端部に設けられるフロントターンシグナルランプであって、ランプボディ12とこのランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、3つの発光素子22と、単一の導光板ユニット16と、単一のレンズ部材ユニット18とが組み込まれた構成となっている。
【0027】
透光カバー14は、その右端部から左端部へ向けて(図1においては左端部から右端部へ向けて)灯具後方側(すなわち車両後方側)へ回り込むように形成されている。
【0028】
3つの発光素子22は、いずれもアンバー色の発光ダイオードであって、その発光面22aを灯具正面方向(すなわち車両前方正面方向)へ向けた状態で配置されている。その際、これら3つの発光素子22は、同一水平面上において左右方向(すなわち車幅方向)に略等間隔をおいて配置されており、かつ、左側に位置する発光素子22ほど灯具後方側へ変位するようにして配置されている。これら各発光素子22は、それぞれ基板24に固定支持されており、そして、これら各基板24は、ランプボディ12に固定支持されている。
【0029】
導光板ユニット16は、3つの発光素子22に対して灯具前方側に配置されている。その際、この導光板ユニット16の前端面16bは、透光カバー14の回り込み形状に対応して、その右端部から左端部へ向けて灯具後方側へ回り込むように形成されている。そして、この導光板ユニット16は、その左右両端部においてランプボディ12に固定支持されている。
【0030】
この導光板ユニット16は、3つの導光板26が互いに連結されて単一の部材として構成されている。その際、これら3つの導光板26は、3つの発光素子22の各々と対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0031】
一方、レンズ部材ユニット18は、3つの発光素子22と導光板ユニット16との間に位置するようにして配置されている。そして、この導光板ユニット16は、その左右両端部においてランプボディ12に固定支持されている。
【0032】
このレンズ部材ユニット18は、3つのレンズ部材28が互いに連結されて単一の部材として構成されている。その際、これら3つのレンズ部材28は、3つの発光素子22の各々と対応する箇所にそれぞれ配置されている。
【0033】
そして、本実施形態においては、各発光素子22から出射して、レンズ部材ユニット18の各レンズ部材28を偏向透過した光を、導光板ユニット16の各導光板26に対して、その後端面26aから入射させた後、その前端面26bから灯具前方へ向けて出射させるように構成されている。
【0034】
このように本実施形態に係る車両用灯具10は、灯具前後方向に延びる光軸Ax上に配置された発光素子22、導光板26およびレンズ部材28を3組備えた構成となっているが、これら3組の光学系は、導光板ユニット16の前端面16aの左右方向の回り込み形状によって、各導光板26の前端面26bにおける左右方向の傾斜の程度が多少異なるほかは、いずれも同様の構成を有している。
【0035】
そこで、以下においては、1つの光学系を取り上げて、その構成について詳細に説明する。
【0036】
図2に示すように、レンズ部材28は、光軸Axを含む鉛直面に沿った断面形状が、平凸非球面レンズ形状に設定されており、その際、その後面28aが凸曲線形状で、その前面28bが直線形状に設定されている。そして、このレンズ部材28は、その後面28aが、発光素子22の発光中心を通る鉛直線を中心軸とするトーリックレンズ面で構成されている。また、図4に示すように、このレンズ部材28の前面28bにおける水平面に沿った断面形状は、光軸Axの近傍領域が凹曲線で構成されており、その左右両側の領域がこの凹曲線と滑らかに繋がる凸曲線でそれぞれ形成されている。
【0037】
これにより、このレンズ部材28は、発光素子22からの出射光のうち光軸Axに近い方向へ向かう光を、水平面内において拡散する拡散光として導光板26に到達させるとともに、発光素子22からの出射光を、鉛直面内において光軸Axに沿った平行光として導光板26に到達させるように構成されている。
【0038】
その際、このレンズ部材28は、図5に示すように、発光素子22からの出射光を、水平面内において光軸Axの左右両側に1対のピーク値が出現する輝度分布で導光板26に到達させるように、その前面28bにおける水平面に沿った断面形状が設定されている。
【0039】
導光板26の後端面26aには、縦縞状のフレネルレンズがレンズ要素26s1として形成されている。これにより、レンズ部材28を介して導光板26に到達した発光素子22からの出射光を、水平面内において光軸Axと平行な光として導光板26に入射させるようになっている。
【0040】
また、この導光板26の前端面26bには、複数の拡散レンズ素子26s2が形成されている。これら複数の拡散レンズ素子26s2は上下2段で配置されており、いずれも魚眼レンズ状に形成されている。これにより、導光板26の前端面26bに到達した光を、光軸Axを中心にして上下方向および左右方向に拡散する光として灯具前方へ出射させるようになっている。
【0041】
図6(a)は、本実施形態に係る車両用灯具10において、各発光素子22を点灯したときの導光板ユニット16の見え方を示す正面図である。また、図6(b)は、上記従来例のように、本実施形態に係る車両用灯具10の構成に対してレンズ部材ユニット18が存在しないとした場合において、各発光素子22を点灯したときの導光板ユニット16´の見え方を示す正面図である。
【0042】
なお、図6(b)に示す導光板ユニット16´は、その前端面16b´の形状については本実施形態の導光板ユニット16と同様であるが、その後端面は、各導光板26´の後端面26a´が、各発光素子22からの出射光を光軸Axと平行な光として導光板26に入射させるように構成されている。
【0043】
図6(a)に示すように、本実施形態の導光板ユニット16は、その各導光板26の前端面26bに形成された複数の拡散レンズ素子26s2の各々の中心部分が光輝部Bとして光って見えるが、その際、各導光板26は複数の拡散レンズ素子26s2がいずれも略均一に明るく光って見える。
【0044】
一方、図6(b)に示すように、導光板ユニット16´においても、その各導光板26´の前端面26b´に形成された複数の拡散レンズ素子26s2´の各々の中心部分が光輝部B´として光って見える。しかしながら、この導光板ユニット16´は、本実施形態の導光板ユニット16に比して、全体的に暗く、かつ、各導光板26´における光軸Axに近い領域は比較的明るいが、光軸Axから左右両側に離れるに従って急激に暗くなってしまう。これは、この導光板ユニット16´においては、各導光板26´の後端面26a´に到達する各発光素子22からの出射光の光度分布が、光軸Axから左右両側に離れるに従って急激に低下する光度分布となり、また、各導光板26´の後端面26a´に到達する各発光素子22からの出射光の光量自体が少ないものとなっていることによるものである。
【0045】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係る車両用灯具10は、発光素子22からの出射光を、導光板26に対して、その後端面26aから入射させた後、その前端面26bから灯具前方へ向けて出射させるように構成されているが、発光素子22と導光板26との間には、発光素子22からの出射光のうち光軸Axに近い方向(すなわち発光素子22の正面方向に近い方向)へ向かう光を、水平面内(すなわち導光板26に沿った第1の平面内)において拡散する拡散光として導光板26に到達させるとともに、発光素子22からの出射光を、鉛直面内(すなわち第1の平面と直交する第2の平面内)において光軸Axに沿った平行光として(すなわち発光素子22の正面方向に収束する収束光として)導光板26に到達させるように構成されたレンズ部材28が配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0047】
すなわち、本実施形態に係る車両用灯具10においては、そのレンズ部材28により、発光素子22からの出射光のうち光軸Axに近い方向へ向かう光を、水平面内において拡散する拡散光として導光板26に到達させるようになっているので、導光板26に到達する光の光度分布として、水平面内において発光素子22の正面方向が極端に高くなってしまうのを未然に防止することができる。そしてこれにより、灯具前方から導光板26を観察したとき、導光板26が水平方向に関して略均一に光って見えるようにすることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る車両用灯具10においては、そのレンズ部材28により、発光素子22からの出射光を、鉛直面内において光軸Axに沿った平行光として導光板26に到達させるようになっているので、発光素子22からの出射光を効率良く導光板26に入射させることができる。そしてこれにより、灯具前方から導光板26を観察したとき、導光板26が明るく光って見えるようにすることができる。
【0049】
したがって本実施形態によれば、導光板26を備えた車両用灯具10において、その導光板26が略均一に明るく光って見えるようにすることができる。そしてこれにより、灯具の見映えを向上させることができる。
【0050】
特に、本実施形態においては、そのレンズ部材28が、発光素子22からの出射光を、水平面内において光軸Axの左右両側に1対のピーク値が出現する輝度分布で導光板26に到達させるように構成されているので、導光板26に到達する光の光度分布を水平面内においてより均一化することができる。そしてこれにより、灯具前方から導光板26を観察したとき、導光板26が水平方向に関してより均一に光って見えるようにすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態においては、導光板26の後端面26aに、レンズ部材28を介して到達した発光素子22からの出射光を、水平面内において光軸Axに沿った平行光として(すなわち発光素子22の正面方向に収束する収束光として)導光板26に入射させるためのレンズ要素26s1が形成されているので、灯具前方から導光板26を観察したとき、導光板26が水平方向に関して略均一に明るく光って見えるようにすることが容易に可能となる。
【0052】
また、本実施形態においては、発光素子22が水平面内において3箇所に配置されるとともに、レンズ部材28および導光板26がこれら3つの発光素子22の各々と対応する3箇所にそれぞれ配置された構成となっており、その際、3つのレンズ部材28は互いに連結されて単一のレンズ部材ユニット18として構成されるとともに、3つの導光板26は互いに連結されて単一の導光板ユニット16として構成されているので、灯具前方から導光板ユニット16を観察したとき、3箇所に配置された導光板26が水平方向に関して略均一に明るく光って見えるようにすることができ、かつ、これを少ない部品点数で実現することができる。
【0053】
上記実施形態においては、導光板26の後端面26aに形成されたレンズ要素26s1が、縦縞状のフレネルレンズで構成されているものとして説明したが、鉛直方向に延びるシリンドリカルレンズ等で構成されたものとすることも可能である。
【0054】
上記実施形態においては、発光素子22、導光板26およびレンズ部材28が3箇所に配置されているものとして説明したが、2箇所以下または4箇所以上に配置された構成とすることももちろん可能である。
【0055】
上記実施形態においては、車両用灯具10が、車両の左前端部に設けられるフロントターンシグナルランプである場合について説明したが、車両の右前端部に設けられるフロントターンシグナルランプである場合、あるいは、例えばテールランプ等のようにフロントターンシグナルランプ以外の灯具である場合においても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0057】
図7は、上記実施形態の変形例に係る車両用灯具110を示す、図1と同様の図である。
【0058】
同図に示すように、本変形例に係る車両用灯具110は、その基本的な構成については上記実施形態の場合と同様であるが、そのランプボディ112、透光カバー114および導光板ユニット116の構成が、上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0059】
すなわち、本変形例の透光カバー114は、上記実施形態の透光カバー14よりも灯具後方側へ大きく回り込むように形成されており、これに伴い、本変形例のランプボディ112は、その前端開口部の形状が上記実施形態のランプボディ12と多少異なっている。
【0060】
また、本変形例の導光板ユニット116は、その前端面116bが、透光カバー114の回り込み形状に対応して、その右端部から左端部へ向けて灯具後方側へ大きく回り込むように形成されている。
【0061】
そして、この導光板ユニット116は、その3箇所の導光板126の後端面126aが、灯具正面方向に対して左側に傾斜した方向を向くように形成されている。すなわち、本変形例においても、各導光板126の後端面126aには、縦縞状のフレネルレンズがレンズ要素126s1として形成されているが、その基準軸Ax1は、光軸Axに対して左側に傾斜している。その際、これら各基準軸Ax1の光軸Axに対する左側への傾斜角度θは、右側の導光板126、中央の導光板126、左側の導光板126の順で徐々に大きな値となるように設定されている。
【0062】
図8(a)は、図7のVIIIa 部詳細図である。また、図8(b)は、その比較例を示す同図(a)と同様の図である。
【0063】
なお、図8(b)に示す導光板ユニット116´は、その前端面116b´の形状については本変形例の導光板ユニット116と同様であるが、その後端面116´については、上記実施形態の導光板ユニット16と同様、各導光板126´の後端面126a´が灯具正面方向を向いている。
【0064】
図8(a)に示すように、本変形例の導光板ユニット116は、各導光板126の後端面126aが左側に傾斜した方向を向いているので、各導光板126の前端面126bに、その回り込み形状に沿って複数のレンズ素子126s2が連続的に形成されているにもかかわらず、各導光板126からの出射光を灯具正面方向に対してその左右両側にバランス良く拡散する拡散光とすることができる。
【0065】
一方、図8(b)に示すように、比較例としての導光板ユニット116´は、各導光板126´の後端面126a´が灯具正面方向を向いており、また、各導光板126´の前端面126b´には、その回り込み形状に沿って複数のレンズ素子126s2´が連続的に形成されているので、各導光板126´からの出射光は灯具正面方向に対して右寄りの方向に拡散してしまい、かつ、その前端面126b´に到達した光の一部はレンズ素子126s2´で全反射してしまうこととなる。このため、各導光板126´からの出射光を灯具正面方向に対して左右両側にバランス良く拡散する拡散光とすることはできず、しかも出射光量のロスを生じてしまうこととなる。
【0066】
その際、図8(b)に2点鎖線で示すように、各導光板126´の前端面126b´に、灯具正面方向を向いた複数のレンズ素子126s3´が階段状に形成された構成とすれば、各導光板126´からの出射光を灯具正面方向に対して左右両側にバランス良く拡散させることが可能となり、また出射光量のロスをなくすことが可能となる。しかしながら、このような構成にした場合には、複数のレンズ素子126s3´相互間に大きな段差が形成されていまうので、導光板ユニット116´の見映えが損なわれてしまうこととなる。
【0067】
これに対し、本変形例の構成を採用することにより、導光板ユニット116の前端面116bが、その右端部から左端部へ向けて灯具後方側へ大きく回り込むように形成されている場合においても、導光板ユニット116の見映えを損うことなく、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0068】
特に、本変形例の導光板ユニット116は、その前端面116bの回り込みの程度に応じて、各導光板126の後端面126aの基準軸Ax1の光軸Axに対する左側への傾斜角度θが、右側、中央、左側の順で徐々に大きな値となるように設定されているので、各導光板126の前端面126bに複数のレンズ素子126s2が連続的に形成されているにもかかわらず、各導光板126からの出射光を灯具正面方向に対してその左右両側に一層バランス良く拡散させることが可能となる。
【0069】
なお、上記実施形態および変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【符号の説明】
【0070】
10、110 車両用灯具
12、112 ランプボディ
14、114 透光カバー
16、116 導光板ユニット
16b、26b、116b、126b 前端面
18 レンズ部材ユニット
22 発光素子
22a 発光面
24 基板
26、126 導光板
26a、126a 後端面
26s1、126s1 レンズ要素
26s2、126s2 拡散レンズ素子
28 レンズ部材
28a 後面
28b 前面
Ax 光軸
Ax1 基準軸
B 光輝部
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、この発光素子からの出射光を、後端面から入射させた後、前端面から灯具前方へ向けて出射させるように構成された導光板と、を備えてなる車両用灯具において、
上記発光素子と上記導光板との間に、上記発光素子からの出射光のうち該発光素子の正面方向に近い方向へ向かう光を、上記導光板に沿った第1の平面内において拡散する拡散光として上記導光板に到達させるとともに、上記発光素子からの出射光を、上記第1の平面と直交する第2の平面内において上記発光素子の正面方向に収束する収束光として上記導光板に到達させるように構成されたレンズ部材が配置されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記レンズ部材が、上記発光素子からの出射光を、上記第1の平面内において上記発光素子の正面方向の両側に1対のピーク値が出現する輝度分布で上記導光板に到達させるように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記導光板の後端面に、上記レンズ部材を介して到達した上記発光素子からの出射光を、上記第1の平面内において収束する収束光として上記導光板に入射させるためのレンズ要素が形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記導光板の前端面が、上記第1の平面内において一端部から他端部へ向けて灯具後方側へ回り込むように形成されており、
上記導光板の後端面が、灯具正面方向に対して上記他端部側に傾斜した方向を向くように形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記発光素子が、上記第1の平面内において複数箇所に配置されており、
上記レンズ部材および上記導光板が、上記複数の発光素子の各々と対応する複数箇所にそれぞれ配置されており、
上記複数のレンズ部材が、互いに連結されて単一のレンズ部材ユニットとして構成されており、
上記複数の導光板が、互いに連結されて単一の導光板ユニットとして構成されている、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の車両用灯具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−26008(P2013−26008A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159414(P2011−159414)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】