説明

車両用灯具

【課題】発光面の明るさの均一度が高い車両用灯具を提供すること。
【解決手段】光源(LED)と、該光源からの光を長手方向一端面から入射させて周面から出射させる導光レンズ6を備え、該導光レンズ6の反出射面に複数のレンズカットを長手方向に形成して成る車両用灯具において、前記導光レンズ6の反出射面の少なくとも長手方向一部に、隣接する前記レンズカット8同士を繋ぐ凹曲面9を形成する。例えば、前記導光レンズ6の反出射面に形成された複数のレンズカットのうち、前記光源に近い側のレンズカット8間に前記凹曲面9を形成し、前記光源から遠い側のレンズカットをプリズムカットとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光レンズの長手方向一端面から入射した光源の光を該導光レンズの周面から出射させる車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ポジションランプには、光源と、該光源からの光を長手方向一端面から入射させて周面から出射させる導光レンズを備えたものがあり、斯かるポジションランプの導光レンズの反出射面には配光用の複数のレンズカットが長手方向に形成されている。
【0003】
ところで、車両用灯具の導光レンズに形成されるレンズカットに関して、特許文献1には図8及び図9に示す提案がなされている。
【0004】
即ち、図8及び図9は車両用灯具要部の平断面図であり、図8に示す車両用灯具においては、導光レンズ(導光柱)106の反出射面(後面部)に鋸歯状に形成された複数のレンズカット(ノッチ)108の形状、特に左から1番目と2番目のレンズカット(ノッチ)108を工夫し、導光レンズ106の長手方向端面から入射した発光ダイオード105の光を全てのレンズカット108によってそれぞれ全反射させた後、導光レンズ106の出射面(前面部)から前方(図8の下方)に向けて出射させるようにしている。
【0005】
又、図9に示す車両用灯具においては、導光レンズ(導光柱)106に入射した発光ダイオード105からの光が発光ダイオード105から遠くまで届くよう、導光レンズ106の反出射面(後面部)に複数のレンズカット(ノッチ)108を所定の間隔を設けて離散的に配置する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−003281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図8に示す車両用灯具においては、光源である発光ダイオード105の近くと遠くの明暗差が大きく、発光面の明るさの均一度が悪いという問題がある。
【0008】
又、図9に示す車両用灯具においては、光源である発光ダイオード105の近くと遠くでの光の明暗差は図8に示す車両用灯具のそれよりは小さいものの、発光面の明るさの均一度が悪いという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、発光面の明るさの均一度が高い車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、光源と、該光源からの光を長手方向一端面から入射させて周面から出射させる導光レンズを備え、該導光レンズの反出射面に複数のレンズカットを長手方向に形成して成る車両用灯具において、前記導光レンズの反出射面の少なくとも長手方向一部に、隣接する前記レンズカット同士を繋ぐ凹曲面を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記導光レンズの反出射面に形成された複数のレンズカットのうち、前記光源に近い側のレンズカット間に前記凹曲面を形成し、前記光源から遠い側のレンズカットをプリズムカットとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導光レンズの反出射面に形成された複数のレンズカットのうち、光源に近い側のレンズカット間に凹曲面を形成したため、光源からの光が凹曲面で拡散して光源から遠い側に届く。そして、導光レンズ内を全反射して光源から遠い側に届いた光は、導光レンズのプリズムカットによって配光が制御されて導光レンズの出射面から出射する。従って、光源に近い側と遠い側との光の明暗差が小さく抑えられ、車両用灯具の発光面の明るさの均一度が高められる。又、隣接するレンズカット間に凹曲面を形成することによって、束になっていた光を拡散させてムラの無い発光状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両用灯具のアウタレンズを取り外して示す斜視図である。
【図2】本発明に係る車両用灯具の平断面図である。
【図3】図2のA部拡大詳細図である。
【図4】図3のB部拡大詳細図である。
【図5】図2のC部拡大詳細図である。
【図6】導光レンズに施されるプリズムカットの別形態を示す図5と同様の図である。
【図7】導光レンズに施されるプリズムカットの別形態を示す図5と同様の図である。
【図8】従来の車両用灯具要部の平断面図である。
【図9】従来の車両用灯具要部の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る車両用灯具のアウタレンズを取り外して示す斜視図、図2は同車両用灯具の平断面図、図3は図2のA部拡大詳細図、図4は図3のB部拡大詳細図、図5は図2のC部拡大詳細図である。
【0016】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、横方向に細長いポジションランプであって、図2に示すようにハウジング2とその開口部を覆う透明なアウタレンズ3によって画成された灯室4内に、光源であるLED5と、該LED5からの光を幅方向全域に亘って導く導光レンズ6を収容して構成されている。
【0017】
上記ハウジング2は、不透明な樹脂によって一体成形されており、図1に示すようにハウジング2の長手方向一端(図1の左端)には略矩形ボックス状の光源収容部2Aが形成されている。そして、ハウジング2の光源収容部2Aには矩形プレート状のLED基板7が収容保持されており、このLED基板7には光源である1つの前記LED5が実装されている(図2参照)。
【0018】
そして、ハウジング2の光源収容部2Aからは細長いレンズ収容部2Bが横方向に一体に延設されており、図1に示すように、ハウジング2の背面側の左右2箇所には、当該車両用灯具1を不図示の車体に取り付けるためのブラケット2a,2bが一体に形成されている。
【0019】
而して、ハウジング2とアウタレンズ3によって画成される灯室4は、図2に示すように幅方向中央部が光出射方向(図2の上方向)に向かって膨出する平面視弓状を成しており、この灯室4内に収容される前記導光レンズ6は灯室4の形状に沿って同じく平面視弓状に屈曲した形状に成形されている。
【0020】
図1に示すように、導光レンズ6は、弓状に屈曲した角柱として構成されており、その左右両端部6A,6Bは斜めに傾斜しており、左右方向中央部6Cは水平に直線状に延びている。そして、図2及び図3に示すように、導光レンズ6の長手方向一端面(図2及び図3の左端面)は、LED基板7上に実装された前記LED5に対向する入射面6aを形成しており、この入射面6aのLED5に対向する部位には凹球面6bが形成されている。
【0021】
ところで、導光レンズ6においては、LED5に近い側の端部6Aを除く部位6B,6Cのアウタレンズ3に対向する面(図2において上面)が光の出射面となるが、この出射面とは反対のハウジング2に対向する面(反出射面)には後述のように複数のレンズカットが形成されている。詳細には、図4に示すように、導光レンズ6のLED5に近い側の反出射面には、Vノッチ状の複数のレンズカット8が適当な間隔を設けて形成されており、これらのレンズカット8の隣接するもの同士の間には凹曲面9がそれぞれ形成されている。即ち、隣接するレンズカット8同士は凹曲面9によって互いに繋がれている。
【0022】
他方、導光レンズ6のLED5から遠い側の反出射面には、図5に示すように鋸歯状(直角三角形状)のノッチを隙間なく密に配列して成るプリズムカット10が形成されている。尚、プリズムカット10の形状としては、鋸歯状に限らず、例えば図6や図7に示す形状のものを採用することができる。
【0023】
以上のように構成された車両用灯具1において、灯室4内の左右方向一端に配置された光源であるLED5に電流が供給されて該LED5が発光すると、その光は、導光レンズ6の長手方向一端(図2の左端)の入射面6aから導光レンズ6内に入射する。このとき、導光レンズ6の入射面6aには凹球面6bが形成されているため、LED5から出射する光は、凹球面6bによって周囲に拡散しながら導光レンズ6内へと入射する。
【0024】
上述のようにLED5からの光が導光レンズ6の長手方向一端の入射面6aから該導光レンズ6内に入射すると、図2及び図3に示すように、この光は導光レンズ6の傾斜した一端部6Aの内部を全反射しながら中央部6Cへと進行する。そして、導光レンズ6の中央部6Cへと進む光は、LED5に近い側では、図4に示すように、導光レンズ6の反出射面に形成された凹球面9で反射して周囲に拡散しながらLED5から遠い側へと進み、その一部は導光レンズ6の出射面から外部へと出射する。又、導光レンズ6を全反射しながら進む光の他の一部は、レンズカット8のカット面によって反射して導光レンズ6の出射面から外部に出射する。尚、導光レンズ6の出射面から外部に出射した光は、アウタレンズ3を通過することによって人の目に触れ、当該車両用灯具1を運転者や歩行者に認識させることができる。
【0025】
そして、導光レンズ6のLED5に近い側の反出射面に形成された凹球面9によって拡散しながら進む光は、LED5から遠い側においては、図5に示すようにプリズムカット10によって配光制御されながら導光レンズ6の出射面から外部へと出射する。
【0026】
以上のように、本実施の形態に係る車両用灯具1においては、導光レンズ6の反出射面に形成された複数のレンズカットのうち、光源に近い側のレンズカット8間に凹曲面9を形成したため、LED5からの光が凹曲面9で拡散してLED5から遠い側に届く。そして、導光レンズ6内を全反射してLED5から遠い側に届いた光は、導光レンズ6のプリズムカット10によって配光が制御されて導光レンズ6の出射面から出射する。この場合、導光レンズ6の反出射面において隣接するレンズカット8間に凹曲面9を形成することによって、束になっていた光を拡散させてムラの無い発光状態とすることができる。
【0027】
従って、本実施の形態に係る車両用灯具1によれば、LEDに近い側と遠い側との光の明暗差が小さく抑えられ、当該車両用灯具1の発光面の明るさの均一度が高められるという効果が得られる。
【0028】
尚、以上は本発明をポジションランプに適用した形態について説明したが、本発明は、光源からの光を導光レンズによって導光する方式を採用する他の任意の車両用灯具に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用灯具
2 ハウジング
2A ハウジングの光源収容部
2B ハウジングのレンズ収容部
2a,2b ハウジングのブラケット
3 アウタレンズ
4 灯室
5 LED(光源)
6 導光レンズ
6A,6B 導光レンズの左右両端部
6C 導光レンズの左右方向中央部
6a 導光レンズの入射面
6b 導光レンズの凹球面
7 LED基板
8 導光レンズのレンズカット
9 導光レンズの凹球面
10 導光レンズのプリズムカット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源からの光を長手方向一端面から入射させて周面から出射させる導光レンズを備え、該導光レンズの反出射面に複数のレンズカットを長手方向に形成して成る車両用灯具において、
前記導光レンズの反出射面の少なくとも長手方向一部に、隣接する前記レンズカット同士を繋ぐ凹曲面を形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光レンズの反出射面に形成された複数のレンズカットのうち、前記光源に近い側のレンズカット間に前記凹曲面を形成し、前記光源から遠い側のレンズカットをプリズムカットとしたことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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