説明

車両用灯火装置

【課題】バルブからの熱に対してバルブフードの保護を図りつつ、バルブフードを小型化可能とする。
【解決手段】バルブ4と、バルブ4から発生した光を前方に向けて反射するリフレクタ5と、バルブ4の前端部を覆うバルブフード6と、を備えた車両のヘッドライトのロービーム用ランプユニット2において、バルブ4とバルブフード6との間に、熱伝導を抑制する遮熱板10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブの先端部を覆うバルブフードを備えた車両用灯火装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯火装置の1つであるヘッドライトは、通常、光源であるバルブと、バルブの後方及び側方を覆う椀状のリフレクタを備えている。リフレクタは、バルブから発生する光を前方に反射して、前方への配光範囲を制御する機能を有している。更に、ヘッドライトには、例えばすれ違いビーム(ロービーム)用のバルブの前端部を覆う椀状のバルブフードが設けられているものがある。
【0003】
バルブフードは、リフレクタで制御されていないバルブからの直射光が前方に照射されないようにして、対向車等の眩惑を防止するとともに、前方からバルブが直接見えないようにして、ヘッドライトの外観、延いては車両の外観を向上させる機能を有している。
そして、バルブフードの少なくとも外側表面にメッキや塗装等により光輝処理を施して、更なる外観の向上を図るとともに、リフレクタとともに前方への配光範囲を制御する機能を持たせた車両用灯火装置も開発されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−224297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、バルブフードが設けられた車両用灯火装置では、バルブフードによってバルブからの直射光を遮断することができるが、同時にリフレクタ面の一部が隠れるため、バルブフードが大きいと前方へ照射される光量が抑制されてしまう。ゆえに、バルブフードによって遮断される光を減少させ、リフレクタで反射して先方を照射する光量を増加させるために、バルブフードを極力小さくすることが望ましい。
【0006】
しかしながら、バルブは、光を発生するとともに熱も発生するので、上記のようにバルブフードを小さくするとバルブフード内に熱が籠もり易くなり、バルブフードが高温化する虞がある。したがって、上記特許文献1のように、バルブフードの外側表面にメッキや塗装等による光輝処理が施されている場合には、熱によってバルブフードの外側表面(メッキ等の光輝処理部分)が変色し、外観を損ねてしまうといった問題点がある。
【0007】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、バルブからの熱に対してバルブフードの保護を図りつつ、バルブフードを小型化可能な車両用灯火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の車両用灯火装置は、光源となるバルブと、バルブから発生した光を反射するリフレクタと、バルブの先端部を覆うバルブフードと、を備えた車両用灯火装置であって、バルブとバルブフードとの間に、熱伝導を抑制する遮熱手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項2の車両用灯火装置は、請求項1において、遮熱手段は、バルブフードの内壁に沿うとともに当該内壁に対して隙間を有して配置されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の車両用灯火装置は、請求項1または2において、遮熱手段は、バルブフードを支持する支持手段と一体形成されていることを特徴とする。
また、請求項4の車両用灯火装置は、請求項1乃至3のいずれか一項において、遮熱手段は、少なくともバルブの上方を覆うように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、バルブとバルブフードとの間に遮熱手段が備えられているので、バルブからバルブフードへの熱伝導が抑制され、バルブからの熱に対してバルブフードを保護することができる。そして、バルブフードの外側表面にメッキや塗装等による光輝処理が施されている場合には、バルブからの熱によるバルブフード外側表面のメッキや塗装部分の変色を防止することができる。
【0011】
したがって、バルブとバルブフードとの距離を小さくして、バルブフードを小型化することが可能となる。このようにバルブフードを小型化することで、バルブから発生した光のうちバルブフードにより遮断される光を減少させ、リフレクタで反射する光量を増加させて、照射効率を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、バルブフードと遮熱手段との間に隙間があるので、バルブによって熱せられた遮熱手段の熱が直接バルブフード側に伝わることがなく、バルブフードへの熱伝導の抑制がより一層確実となる。
【0012】
請求項3の発明によれば、遮熱手段は、バルブフードを支持する支持手段と一体形成されるので、遮熱手段を容易に設置することができるとともに、遮熱手段を設けることによる車両用灯火装置の部品点数の増加を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、遮熱手段が少なくともバルブの上方に配置されるので、特にバルブから発生した熱が籠もりやすい部位であるバルブの上方で、バルブを覆うバルブフードを熱から保護することができ、効果的なバルブフードの設置を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両のヘッドライトの前面図である。
【図2】本実施形態に係るロービーム用ランプユニットの縦断面図である。
【図3】バルブフード及びステイの形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両のヘッドライトの前面図である。
本実施形態の車両用灯火装置は、車両のヘッドライト1に採用されている。図1に示すように、ヘッドライト1には、すれ違いビーム(ロービーム)を発生するロービーム用ランプユニット2と、走行ビーム(ハイビーム)を発生するハイビーム用ランプユニット3が備えられている。本発明はロービーム用ランプユニット2に適用されている。
【0015】
図2は、ロービーム用ランプユニット2の縦断面図である。
図2に示すように、ロービーム用ランプユニット2は、バルブ4と、リフレクタ5と、バルブフード6と、を備えている。
バルブ4は、放電バルブ等の発光源であり、管状に形成されており、先端部及び側面から四方に光を発生可能となっている。
【0016】
リフレクタ5は、椀状に形成され、その内面5aが光を反射する鏡面となっている。リフレクタ5は、開口部が車両前方を向くように車体に配置されている。リフレクタ5の中央部には、バルブ4の基端部が固定されている。バルブ4は、リフレクタ5の内部で先端部が車両前方に向かって突出するように配置されている。
バルブフード6は、例えば薄板鋼板で椀状に形成されており、リフレクタ5の内部でバルブ4の先端部を覆うように配置されている。バルブフード6の外側表面は、メッキや塗装等によって光輝処理が施されている。
【0017】
バルブフード6は、細長い板状のステイ7(支持手段)によって支持されている。ステイ7は、ボルト8によって後端部がリフレクタ5に固定され、先端部がバルブ4の下面に沿って前方に突出するように配置されている。
このような構造により、バルブ4から発生した光のうち、バルブ4の基部付近から発生した光は、リフレクタ5によって反射して車両前方を照射する。バルブ4の先端部から発生した光は、バルブフード6によって遮断される。このようにして、ロービーム用ランプユニット2では、リフレクタ5及びバルブフード6によって、バルブ4から発生した光の拡散を抑え、所定の配光範囲を照射するように設定されている。また、バルブフード6によって外部(前方)からバルブ4が直接目視できなくなり、更にバルブフード6の外側表面に光輝処理が施されているので、ロービーム用ランプユニット2の見栄えを向上させることができる。
【0018】
図3は、バルブフード6及びステイ7の形状を示す斜視図である。
図3に示すように、本実施形態では、ステイ7の先端に遮熱板10(遮熱手段)が備えられている。遮熱板10は、鉄等の薄板部材によってステイ7と一体形成されており、バルブフード6の先端部6a及び上部6bの内壁に沿うように形成されている。そして、遮熱板10は、図2に示すように、バルブフード6とバルブ4との間においてバルブ4の前方及び上方を覆うように配置されている。なお、遮熱板10は、バルブフード6の内壁に対して、ある程度の隙間を有して配置されており、バルブ4により熱せられた遮熱板10の熱がバルブフード6に直接伝導されないようにしてある。
【0019】
このようにバルブフード6とバルブ4との間に遮熱板10が設けられているので、バルブ4からバルブフード6に熱が伝達し難くなる。
ところで、バルブフード6は、外側表面にメッキや塗装等による光輝処理が施してあるため、例えば遮熱板10が設けられていない従来のランプユニットでは、バルブフード6とバルブ4との距離が近い場合には、バルブ4からの熱によってバルブフード6が温度上昇し外側表面のメッキや塗装が変色してしまう虞がある。
【0020】
これに対し、本実施形態では、上記のようにバルブフード6とバルブ4との間に、バルブフード6と隙間を有した状態で配置される遮熱板10を設け、バルブ4からのバルブフード6への熱伝導が抑制される構成としたので、バルブフード6とバルブ4との距離を短くしてバルブフード6を小型化することができる。このようにバルブフード6を小型化すると、バルブフード6によって遮断される光を減少させ、リフレクタ5で前方に反射させる光量を増加させることができ、ロービーム用ランプユニット2における照射効率を向上させることが可能となる。
【0021】
また、本実施形態では、ステイ7と遮熱板10とを一体形成しているので、遮熱板10の設置を容易にすることができるとともに、遮熱板10を設けることによるロービーム用ランプユニット2の部品点数の増加を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、遮熱板10がバルブ4の前方及び上方を覆うように設けられているが、これに限定するものではない。遮熱板10を例えばバルブ4の先端部の全周を覆うように設けてもよいし、バルブ4とバルブフード6の近接した部位、即ちバルブフード6が温度上昇し易い部位に面して適宜設けてもよい。但し、バルブ4の上方は、特に熱が籠もりやすく温度上昇し易くなるので、上記実施形態のように少なくともバルブ4の上方を覆うように遮熱板10を設けることが望ましい。
【0022】
また、上記実施形態では、ステイ7と遮熱板10とを一体で形成しているが、これに限定するものではなく、ステイ7と遮熱板10とがそれぞれ別々で形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、本発明を車両のヘッドライト1のロービーム用バルブユニット2に適用しているが、本発明はこれに限定するものではなく、バルブフードを備えた車両用灯火装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ヘッドライト
2 ロービーム用バルブユニット
4 バルブ
5 リフレクタ
6 バルブフード
7 ステイ
10 遮熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源となるバルブと、前記バルブから発生した光を反射するリフレクタと、前記バルブの先端部を覆うバルブフードと、を備えた車両用灯火装置であって、
前記バルブと前記バルブフードとの間に、熱伝導を抑制する遮熱手段を備えたことを特徴とする車両用灯火装置。
【請求項2】
前記遮熱手段は、前記バルブフードの内壁に沿うとともに当該内壁に対して隙間を有して配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯火装置。
【請求項3】
前記遮熱手段は、前記バルブフードを支持する支持手段と一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯火装置。
【請求項4】
前記遮熱手段は、少なくとも前記バルブの上方を覆うように配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用灯火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−65444(P2013−65444A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203121(P2011−203121)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】