説明

車両用照明器具

【課題】狭い車内でも本体ケースに対して蛍光灯の反射カバーを簡単に取り付けることにある。
【解決手段】下面が開口された前記本体ケース11の内側面には一対のソケット17を介して蛍光灯が着脱可能に取り付けられている。各ソケット17の基端と本体ケース11の内側面との間には合成樹脂製の取付枠20が設けられており、この取付枠20には断面略円弧状をなす反射カバー21が取り付けられている。取付枠20の先端には係止爪26a,26bがそれぞれ突設され、各係止爪26a,26bにより前記反射カバー21の各コーナ部21aが着脱可能に係止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用照明器具としては、例えば、図8に示すものがある。この車両用照明器具31では、車内に設けられた本体ケース32内にソケット33を介して照明手段としての蛍光灯34が取り付けられている。本体ケース32と蛍光灯34との間には湾曲状をなす反射カバー35が設けられ、この反射カバー35は数個(6〜8本)のビス36により本体ケース32に対して取り付けられている。そして、蛍光灯34が点灯すると、そこから照射される光が反射カバー35により反射され、蛍光灯34から直接照射される直接光と、反射カバー35からの反射光により高い照度を得ていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の車両用照明器具31では、反射カバー35を数個のビス36により取り付けなければならないので、ビス締めによる組み付け作業工程数が増える。そのため、作業工程数の増加に伴って製造コストが上昇するという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、本体ケースに対して反射カバーを簡単に取り付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、本体ケースに設けられた照明手段と、前記照明手段からの光を反射するための反射手段とを備えた車両用照明器具において、前記本体ケースには反射手段を着脱可能に係止する係止手段を設けたことを要旨とするものである。従って、請求項1に記載の発明によれば、係止手段に係止されることにより反射手段が本体ケースに取り付けられる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記係止手段は、反射手段の内側へ突設された係止爪であることを要旨とする。従って、請求項2に記載の発明の作用によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、反射手段が係止爪に引っかけられることにより、本体ケースに対して取り付けられる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記係止爪は、同係止爪に反射手段が取り付けられる際、反射手段の取付方向に対して傾斜した傾斜面を有するものであることを要旨とする。従って、請求項3に記載の発明の作用によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、反射手段を係止爪に取り付ける際において、反射手段が傾斜面に摺動されながら係止される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、本体ケースに対して反射カバーを簡単に着脱することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、簡単な構成でもって、反射手段を係止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、反射手段を取り付ける際において、同反射手段を係止爪の傾斜面に対して摺動させながら、同反射カバーの両端をその幅方向内側へ撓ませるようにした。そのため、取付枠の内側に反射カバーをその取付方向に沿って押し込むだけで簡単に組み付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を自動車の車両用照明器具に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、下面が開口された箱状をなす本体ケース11の外周縁には段状をなすフランジ部11aが突設され、このフランジ部11aには長方形状をなすレンズ12がパッキン13を介して着脱可能に取り付けられている。このレンズ12の内面中央部に形成された第1の透過部14と、第1の透過部14の外周に沿って形成された第2の透過部15とから構成されている。即ち、両透過部14,15には断面逆三角形状をなす多数の穴14a,15aが形成されており、第1透過部14の穴14aは第2の透過部15の穴15aよりも大きいものになっている。又、本体ケース11内にはインバータ回路等の電子部品16が収容されている。
【0012】
前記本体ケース11の長手方向内側面には一対のソケット17がビス18により対向して取り付けられ、各ソケット17には照明手段としての蛍光灯19が着脱可能に取り付けられている。各ソケット17の基端と本体ケース11の内側面との間には合成樹脂製の取付枠20が設けられており、この取付枠20には断面略円弧状をなす反射手段としての反射カバー21が取付けられている。そして、蛍光灯19からの光が反射カバー21の内側面に照射されて反射するようになっている。この反射カバー21は蛍光灯19の長手方向に沿って延びており、同反射カバー21の両端縁は蛍光灯19の長手両側に配置されている。反射カバー21は所定の弾性を有しており、その幅方向へ撓むようになっている。
【0013】
図3,図4に示すように、前記各取付枠20は、基部22と、基部22の両側から鉤状をなす一対の腕部23a,23bとから一体的に形成されている。基部22はソケット17と本体ケース11の内側面との間に挟まれており、同基部22により各ソケット17の電極部(図示しない)と本体ケース11との絶縁が図られている。
【0014】
前記各腕部23a,23bの上端には突起部24が形成されており、前記電子部品16から延びる複数のリード線25は突起部24に掛けられるようにして各ソケット17に接続されている。又、各腕部23a,23bの先端側内側面には係止手段としての係止爪26a,26bがそれぞれ突設され、各係止爪26a,26bにより前記反射カバー21の各コーナ部21aが着脱可能に係止されている。各係止爪26a,26bの先端は反射カバー21の内側へ延びるようにして互いに対向配置されている。
【0015】
又、図5に示すように、各係止爪26a,26bの下部には、反射カバー21が同係止爪26a,26bに係止される際、反射カバー21の取付方向Aに対して直線状に傾斜した傾斜面27が形成されている。即ち、この傾斜面27により各係止爪26a,26bの厚みは基端側から先端側へ向かうほど薄くなっている。
【0016】
次に、上記のように構成された自動車の車両用照明器具の作用について以下に説明する。
まず、車両用照明器具の製造時において、反射カバー21の組み付け方について説明する。図6に示すように、ソケット17に蛍光灯19が装着されていない状態で、反射カバー21の長手方向両端部をその取付方向Aへ各取付枠20の内側に押し込む。すると、反射カバー21のコーナ部21aが各係止爪26a,26bの傾斜面27に対して摺動されながら、反射カバー21の両端はその弾性力に抗して同反射カバーの幅方向内側へ撓む。そして、反射カバー21のコーナ部21aが係止爪26a,26bの先端を越えると、反射カバー21のコーナ部21aは弾性力により元の形状に復元され、各係止爪26a,26bにより係止される。この係止状態において、各係止爪26a,26bは反射カバー21の内側にあるため、係止解除されることはない。
【0017】
次に、車両用照明器具の掃除等において、反射カバー21の取り外し方について説明する。図7に示すように、レンズ12及び蛍光灯19を取り外した後、反射カバー21の両端をその弾性力に抗して各係止爪26a,26bの先端よりも内側へ撓ませる。これにより、反射カバー21のコーナ部21aが係止爪26a,26bから係止解除される。そして、この状態のまま、反射カバー21をその取付方向Aの反対側に引き抜く。
【0018】
本実施形態は以下に示す(1)〜(5)の効果を有する。
(1)従来技術と異なり、反射カバー21を数個のビスにより取り付けるのではなく、取付枠20の各係止爪26a,26bにワンタッチで取り付けるようにしたため、反射カバー21を簡単に組み付けることができる。
【0019】
(2)車両用照明器具の製造時等において、ビス締めにより反射カバー21を組み付け作業工程数を減らすことができるため、作業工程数の減少に伴って製造コストを低減することができる。
【0020】
(3)係止爪26a,26bを各腕部23a,23bの先端側内側面に一体的に形成したため、簡単な構成でもって、反射カバー21の各コーナ部21aを係止することができる。
【0021】
(4)反射カバー21を組み付ける際において、同反射カバー21のコーナ部21aを係止爪26a,26bの傾斜面27に対して摺動させながら、同反射カバー21の両端をその幅方向内側へ撓ませるようにした。そのため、取付枠20の内側に反射カバー21をその取付方向Aに沿って押し込むだけで組み付けることができる。従って、作業者が力で反射カバー21を撓ませることなく、反射カバー21を簡単に組み付けることができる。
【0022】
(5)反射カバー21を取り外す場合には、反射カバー21の両端をその弾性力に抗して各係止爪26a,26bの先端よりも内側へ撓ませたたまま、反射カバー21をその取付方向Aの反対側に引き抜いた。従って、反射カバー21を取り付けるためのネジ等を使用していないので、自動車の狭い室内でも反射カバー21を簡単に取り外すことができる。
【0023】
なお、本発明は前記実施の形態以外に以下のように構成してもよい。
(a)前記実施形態では、各係止爪26a,26bの下部に傾斜面27を形成したが、この傾斜面27を省略してもよく、各係止爪26a,26bの基端から先端までを同じ厚みにしてもよい。また、傾斜面27は直線上に傾斜させたものとしたが、湾曲状に傾斜させたものでもよい。
【0024】
(b)前記実施形態では、自動車の車両用照明器具に具体化したが、自動車に限らず建物や飛行機や船舶等の各種乗り物の室内に取り付けられる車両用照明器具に具体化することも可能である。
【0025】
(c)前記実施形態では、照明手段に蛍光灯19を使用したが、装飾用の豆電球や白熱灯等に変更することも可能である。
(d)前記実施形態では、反射カバー21に弾性を持たせた。これ以外にも反射カバー21又は各係止爪26a,26bの内少なくとも何れか一つに弾性を持たせるようにしてもよい。
【0026】
(e)前記実施形態では、反射カバー21の各コーナ部21aを係止爪26a,26bにて係止するようにしたが、コーナ部21a以外の箇所で係止するようにしてもよい。
【0027】
次に、前記実施形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A)前記係止爪は、反射手段を取り付けるためのソケットに設けられた絶縁部材(基部22)と一体に形成されている請求項1〜請求項3のうち何れかに記載の車両用照明器具。この構成によれば、車両用照明器具の組み付けをより一層簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】車両用照明器具の底面図。
【図2】車両用照明器具の断面図。
【図3】取付枠の斜視図。
【図4】取付枠の拡大底面図。
【図5】取付枠の拡大断面図。
【図6】反射カバーの取り付けを示す車両用照明器具の断面図。
【図7】反射カバーの取り外しを示す車両用照明器具の断面図。
【図8】従来の技術を示す車両用照明器具の断面図。
【符号の説明】
【0029】
11…本体ケース、19…蛍光灯(照明手段)、21…反射カバー(反射手段)、26a,26b…係止爪(係止手段)、27…傾斜面、A…取付方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに設けられた照明手段と、前記照明手段からの光を反射するための反射手段とを備えた車両用照明器具において、
前記本体ケースには反射手段を着脱可能に係止する係止手段を設けた車両用照明器具。
【請求項2】
前記係止手段は、反射手段の内側へ延びる係止爪である請求項1に記載の車両用照明器具。
【請求項3】
前記係止爪は、同係止爪に反射手段が取り付けられる際、反射手段の取付方向に対して傾斜した傾斜面を有するものである請求項2に記載の車両用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−230560(P2007−230560A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2007−161973(P2007−161973)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【分割の表示】特願平8−197705の分割
【原出願日】平成8年7月26日(1996.7.26)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】