説明

車両用照明装置

【課題】導光棒の端部の軸心位置と、光源の中心位置とを容易に一致させることのできる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】車両用照明装置10は、導光棒12と、導光棒12の端部14に対向するように配置された光源16と、導光棒12の端部14及び光源16の周囲を覆うためのカバー部材18と、導光棒12、光源16、及びカバー部材18が取り付けられる本体部20を備えている。カバー部材18の一端には、回動軸22が設けられており、カバー部材18の他端には、係合爪24が設けられている。本体部20には、回動軸22を引っ掛けるためのフック部26と、係合爪24が係合する被係合爪28が設けられている。カバー部材18を回動軸22を中心として回動操作した際に、カバー部材18に設けられた矯正部36が、導光棒12の端部14の軸心位置を光源16の中心位置と一致させるように矯正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDなどの光源が導光棒の端部に対向するように配置された車両用照明装置が知られている(特許文献1を参照)。この車両用照明装置は、光源から発せられた光が導光棒の端部からその内部に導入された後に、その導入された光が導光棒の外周面から外部に放出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように構成された車両用照明装置では、導光棒の端部の軸心位置と、LEDなどの光源の中心位置とを一致させる必要がある。なぜなら、導光棒の内部に導入される光の強度を一定に保つためには、導光棒の端部における光の導入面と、光源との距離を一定に保つ必要があるためである。
【0005】
しかし、導光棒はアクリル樹脂などの曲がりやすい材料で形成されているために、導光棒の端部が曲がってしまい、導光棒の端部の軸心位置と、光源の中心位置とが不一致となる場合があった。この場合、導光棒の端部における光の導入面と、光源との距離にバラツキが発生してしまい、導光棒の内部に導入される光の強度が一定とならなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、導光棒の端部の軸心位置と、光源の中心位置とを容易に一致させることのできる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、導光棒の端部に光源が対向するように配置された車両用照明装置であって、前記導光棒及び前記光源が取り付けられる本体部を備えており、前記本体部には、前記導光棒の端部及び前記光源の周囲を覆うためのカバー部材が取り付けられており、前記カバー部材の一端には、回動軸が設けられており、前記カバー部材の他端には、係合部が設けられており、前記本体部には、前記回動軸を引っ掛けるためのフック部と、前記係合部が係合する被係合部が設けられており、前記回動軸を前記フック部に引っ掛けた後に、前記カバー部材を前記回動軸を中心として回動操作することによって、前記係合部を前記被係合部に位置合わせしながら係合させることが可能となっており、前記カバー部材には、前記導光棒の軸方向に沿って延びる凹状の矯正部が設けられており、前記カバー部材を前記回動軸を中心として回動操作した際に、前記矯正部が、前記導光棒の端部の軸心位置を前記光源の中心位置と一致させるように矯正することを特徴とする車両用照明装置である。
【0008】
本発明によれば、カバー部材を回転軸を中心として回動操作した際に、カバー部材に設けられた矯正部が、導光棒の端部の軸心位置を光源の中心位置と一致させるように矯正する。したがって、導光棒の端部の軸心位置と、光源の中心位置とを容易に一致させることが可能である。
【0009】
本発明の車両用照明装置において、前記カバー部材の両端部のうち、前記カバー部材を前記本体部に取り付けた際に前記光源に近い方に位置する側の端部に前記係合部が設けられており、前記光源から遠い方に位置する側の端部に前記回動軸が設けられていることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、導光棒の端部の軸心位置を、光源から遠い方から近い方に向かって徐々に矯正することができる。したがって、導光棒の端部の軸心位置をより確実に矯正することができる。
【0011】
本発明の車両用照明装置において、前記フック部には、前記回動軸を前記フック部に引っかけたときに、前記回動軸を前記フック部の内側の所定位置に誘導する誘導部が設けられていることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、回動軸をフック部に引っかけるだけで回動軸を所定位置に誘導することが可能である。したがって、カバー部材を本体部に取り付ける操作が容易になるとともに、導光棒の端部の軸心位置を矯正する操作が容易になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導光棒の端部の軸心位置と、光源の中心位置とを容易に一致させることのできる車両用照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両用照明装置の斜視図である。
【図2】車両用照明装置の斜視図であり、本体部に対して導光棒、光源、及びカバー部材を取り付ける前の状態を示している。
【図3】カバー部材の裏面を示す斜視図である。
【図4】車両用照明装置の断面図であり、フック部に回動軸を引っかけた状態を示している。
【図5】車両用照明装置の断面図であり、回動軸を中心としてカバー部材を回動させた後の状態を示している。
【図6】図5に示す車両用照明装置のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態に係る車両用照明装置10は、車両の天井部などに設置されて車室内を照明するために使用されるものである。
【0016】
図1は、車両用照明装置10の斜視図である。図1に示すように、車両用照明装置10は、導光棒12と、この導光棒12の端部14に対向するように配置された光源16と、導光棒12の端部14及び光源16を覆うためのカバー部材18と、導光棒12、光源16、及びカバー部材18が取り付けられる本体部20を備えている。
【0017】
光源16から発せられた光は、導光棒12の端部14における端面15からその内部に導入された後、導光棒12の外周面から外部に向かって放出される。つまり、端面15が、導光棒12の内部に光を導入するための導入面となっている。
【0018】
導光棒12は、導光材料によって形成されており、長尺状(チューブ状)でかつ断面が略円形に形成されている。ここでいう「導光材料」とは、例えば、アクリル系樹脂などの光を透過させる材料のことである。導光材料としては、例えば、特開2005−306233号や特開平6−75120号に開示された公知の導光材料を使用することが可能である。
【0019】
導光棒12の外周面には、導光棒12の内部に導入された光を外部に向かって放出させるための処理がなされている。例えば、導光棒12の外周面にフッ素系樹脂を被覆するなどの処理がなされている。
【0020】
光源16は、導光棒12の内部に光を導入するための光源であり、本実施形態では発光ダイオード(LED)が使用されている。この光源16としては、LED以外にも、例えば、電球(バルブ)等を使用することができる。この光源16は、基板17に取り付けられており、この基板17を介してバッテリ等の電源に電気的に接続されている。
【0021】
カバー部材18は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料によって形成された部材であり、やや細長い板状に形成されている。カバー部材18の一方の端部には回動軸22が設けられており、カバー部材18の他方の端部には係合爪24が設けられている。係合爪24が、本発明の「係合部」に対応している。
【0022】
本体部20は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料によって細長い板状に形成された部材である。図1において、本体部20の下面側が車室内側に指向する意匠面となっており、本体部20の上面側が各種部品が取り付けられる被取付面となっている。
【0023】
図2は、本体部20に対して導光棒12、光源16、及びカバー部材18を取り付ける前の状態を示している。
【0024】
図2に示すように、本体部20には、回動軸22を引っかけるためのフック部26と、係合爪24が係合する被係合爪28が設けられている。被係合爪28が、本発明の「被係合部」に対応している。
【0025】
本体部20には、導光棒12を収容するハウジング部30が設けられている。このハウジング部30の内面には図示しない反射板が取り付けられており、導光棒12の外周面から放出された光がこの反射板によって反射されて車室内に向かって照射されるようになっている。
【0026】
また、ハウジング部30には、導光棒12が横方向に移動しないように固定するための略半円状の固定溝32が形成されている。
【0027】
本体部20には、基板17を取り付けるための取付溝34が形成されている。この取付溝34は、凹状にかつ上下方向に延びるように形成されており、この取付溝34に対して基板17が上方から差し込まれて取り付けられている。
【0028】
図3は、カバー部材18の裏面を示す斜視図である。
図3に示すように、カバー部材18の裏面には、導光棒12の軸方向に沿って延びる凹状の矯正部36が設けられている。矯正部36は、断面略半円形状に形成されており、導光棒12の端部14が嵌合することが可能な寸法に形成されている。
【0029】
以下、図4〜図6を参照しながら、本体部20に対してカバー部材18を取り付ける際の態様について説明する。
まず、図4に示すように、本体部20に対して導光棒12及び光源16を取り付けた後、カバー部材18の一端に設けられた回動軸22を、本体部20に設けられたフック部26に引っかける。
【0030】
つぎに、カバー部材18を上方に引っ張り上げつつ、カバー部材18を回動軸22を中心として回動させることによって、カバー部材18の他端に設けられた係合爪24を、本体部20に設けられた被係合爪28に位置合わせしながら係合させる。これにより、図5に示すように、カバー部材18を本体部20に対して取り付けることができる。
【0031】
フック部26の内側には誘導リブ27が設けられている。回動軸22をフック部26に引っかけたときには、誘導リブ27によって回動軸22が所定位置に誘導される。これにより、カバー部材18の位置合わせが容易になっており、係合爪24を被係合爪28に容易に係合させることが可能となっている。誘導リブ27が、本発明の「誘導部」に対応している。
【0032】
本実施形態の車両用照明装置10によれば、カバー部材18を回動軸22を中心として回動操作した際に、カバー部材18に設けられた矯正部36が、導光棒12の端部14の軸心位置を光源16の中心位置と一致させるように矯正する。したがって、導光棒12の端部14の軸心位置と、光源16の中心位置とを容易に一致させることが可能となっている。
【0033】
図6に示すように、本体部20には、略半円状の受け部38が形成されている。カバー部材18を本体部20に取り付けたときには、導光棒12の端部14が受け部38と矯正部36によって上下方向に挟まれた状態となる。これにより、導光棒12の端部14の軸心位置を、光源16の中心位置と一致するように矯正することが可能となっている。
【0034】
図4、図5に示すように、カバー部材18の両端部のうち、カバー部材18を本体部20に取り付けた際に光源16に近い方に位置する側の端部に係合爪24が設けられており、光源16から遠い方に位置する側の端部に回動軸22が設けられている。
【0035】
カバー部材18を回動軸22を中心として回動させたときには、カバー部材18に設けられた矯正部36が、導光棒12の端部14の軸心位置を光源16から遠い方から近い方に向かって徐々に矯正する。これにより、導光棒12の端部14の軸心位置をより確実に矯正することが可能となっている。
【0036】
また、本実施形態の車両用照明装置10によれば、回動軸22及び係合爪24によってカバー部材18を横方向(車幅方向)に移動しないように固定することができる。したがって、カバー部材18の横方向への移動を防止するための爪部等をカバー部材18の側縁部に設ける必要がなく、カバー部材18を成形する際の金型の抜き方向を一方向にすることができる。この結果、カバー部材18を成形する際にスライド型を用いる必要がなくなるために、カバー部材18の製作コストを低減することが可能である。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の車両用照明装置10によれば、回動軸22をフック部26に引っかけた後にカバー部材18を回動軸22を中心として回動させるだけで、カバー部材18を本体部20に取り付ける操作と、導光棒12の端部14の軸心位置を矯正部36によって矯正する操作とを同時に行うことができる。したがって、導光棒12の端部14の軸心位置と、光源16の中心位置とを容易に一致させることのできる車両用照明装置10を実現することができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、車両用照明装置10が車室内の天井部に設置されている例を示したが、これに限定するものではない。車両用照明装置10は、例えば、車室の床部に設置されてもよいし、センターコンソールやドアトリムなどに設置されてもよい。
(2)上記実施形態では、導光棒12の一方の端部14にのみ光源16を配置した例を示したが、導光棒12の両方の端部に対向するようにして2つの光源を配置してもよい。
(3)上記実施形態では、導光棒12の断面形状が略円形である例を示したが、これに限定するものではなく、例えば、導光棒12の断面形状が略四角形であっても本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10・・・車両用照明装置
12・・・導光棒
14・・・端部
16・・・光源
18・・・カバー部材
20・・・本体部
22・・・回動軸
24・・・係合爪(係合部)
26・・・フック部
27・・・誘導リブ(誘導部)
28・・・被係合爪(被係合部)
36・・・矯正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光棒の端部に光源が対向するように配置された車両用照明装置であって、
前記導光棒及び前記光源が取り付けられる本体部を備えており、
前記本体部には、前記導光棒の端部及び前記光源の周囲を覆うためのカバー部材が取り付けられており、
前記カバー部材の一端には、回動軸が設けられており、
前記カバー部材の他端には、係合部が設けられており、
前記本体部には、前記回動軸を引っ掛けるためのフック部と、前記係合部が係合する被係合部が設けられており、
前記回動軸を前記フック部に引っ掛けた後に、前記カバー部材を前記回動軸を中心として回動操作することによって、前記係合部を前記被係合部に位置合わせしながら係合させることが可能となっており、
前記カバー部材には、前記導光棒の軸方向に沿って延びる凹状の矯正部が設けられており、
前記カバー部材を前記回動軸を中心として回動操作した際に、前記矯正部が、前記導光棒の端部の軸心位置を前記光源の中心位置と一致させるように矯正することを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用照明装置であって、
前記カバー部材の両端部のうち、前記カバー部材を前記本体部に取り付けた際に前記光源に近い方に位置する側の端部に前記係合部が設けられており、前記光源から遠い方に位置する側の端部に前記回動軸が設けられていることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用照明装置であって、
前記フック部には、前記回動軸を前記フック部に引っかけたときに、前記回動軸を前記フック部の内側の所定位置に誘導する誘導部が設けられていることを特徴とする車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−121503(P2011−121503A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281658(P2009−281658)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】