説明

車両用空気循環式寝具の制御装置

【課題】高速応答性の良い制御器を用いることなく安定した起動特性を有する車両用空気循環式寝具の制御装置をコスト安価に提供する。
【解決手段】車両2に配設される寝具本体10と、寝具本体10に循環させる空気の温度を調節する温度調節ユニット20と、温度調節ユニット20に電源を供給するバッテリ16と、を備えた車載用空気循環式寝具1の制御装置において、温度調節ユニット20が有する圧縮機20の起動時から所定時間の間、電圧検出部70により検出されたバッテリ16の電圧VBに応じて、予め定められたPWM制御におけるデューティ比を設定しコンバータ部40を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
温度調節ユニットにより温度調節された空気を車両内に配設される寝具本体内に循環させて、寝具本体の温度を調節する車載用空気循環式寝具の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの車両内で休憩する場合、夏季においては車両内の室温が高くなることが多いことから、車両自体の空気調和装置を作動させて車内を冷房しながら休憩することがあるが、かかる場合、空気調和装置を動かすためだけにエンジンを回し続けることになるので、エネルギーの浪費に繋がるばかりでなく大気汚染や騒音公害など環境汚染の原因になるという問題がある。
【0003】
そこで、従来、内部に人間が横たわる空間を有する寝具本体とこの寝具本体に接続される空気調和装置とを有し、空気調和装置に設けられた冷凍機などの冷熱源によって発生した冷気を送風装置が寝具本体に供給する寝具が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
このような寝具では、トラックなどの車両内に搭載されることから空気調和装置などの小型化の要請が強く、空気調和装置に用いられる圧縮機も200Wクラスの単相100VのACモータなどの比較的小型のものが搭載される。
【0005】
このような寝具は、車両に搭載されているバッテリを使用して空気調和装置を駆動しており、トラックなどでは24Vバッテリを使用して空気調和装置を駆動している。そのため、単相100VのACモータを駆動するには、バッテリ電圧をコンバータ回路により約125V程度に昇圧した後、インバータ回路によりモータに供給する単相100Vを生成する。
【0006】
ところで、自動車規格(JASO規格)によると、車載用24Vバッテリの動作保証電圧範囲は22V〜32Vと広いため、ACモータを効率よく駆動するにはバッテリの電圧変動に対してインバータ回路の出力電圧を一定に保つ必要がある。
【0007】
そこで、コンバータ回路の2次側(出力側)の回路にコイルを挿入し、コンバータ回路に入力されるバッテリからの電圧変動やACモータの負荷変動に対して、PWM制御におけるデューティ比の調整によりコンバータ回路の1次側(入力側)のスイッチング素子を制御することで、コンバータ回路からの出力電圧が一定値となるような制御方式を採用している。
【0008】
しかしながら、上記のようなコンバータ回路の制御方式の場合、ACモータの停止状態から起動した直後では、ACモータに負荷がないため、負荷電流が所定値以下になりデューティ比の調整ができず、出力電圧を所定値に合わせることができない。そのため、ACモータの起動直後におけるコンバータ回路からの出力電圧は、おおよそバッテリからの入力電圧VBとコンバータ回路が有するトランスの巻数比R(2次側の巻数/1次側の巻数)との積(=VB×R)に相当する値で安定し、例えば、バッテリからの入力電圧VBが30V、トランスの巻数比Rが6の場合、コンバータ回路からの出力電圧は約180V(=30×6)となる。
【0009】
コンバータ回路の出力電圧値は、インバータ回路がACモータに出力する通電角を例えば120°とすると、インバータ回路の出力電圧の実効値が100Vとなるように約125Vとなるように調整する必要があるが、上記のように起動直後におけるコンバータ回路からの出力電圧が約180Vの場合、オーバーシュートやアンダーシュートを抑えてコンバータ回路からの出力電圧が脈動することなく速やかに約125Vまで調整しなければ、ACモータが安定して起動しないおそれがある。
【0010】
これに対して、高速応答性の良い制御器によってコンバータ回路を制御することで、コンバータ回路からの出力電圧が脈動するのを抑え、速やかにコンバータ回路からの出力電圧を目標電圧値まで調整し、ACモータを安定して起動させることができるが、高速応答性の良い制御器は高価であり大幅な製造コスト増加となる問題がある。
【特許文献1】特開2007− 98044号
【特許文献2】特開2007−111372号
【特許文献3】特開2007−105084号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題を考慮してなされたものであり、コスト安価に安定した起動特性を有する車両用空気循環式寝具の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、車両に配設される寝具本体と、圧縮機と凝縮器と蒸発器とを連結した冷凍サイクルを有し空気の温度を調節する温度調節ユニットと、前記温度調節ユニットに電源を供給するバッテリと、を備え、前記温度調節ユニットにより温度調節された空気を前記寝具本体内に循環させて前記寝具本体の温度を調節する車載用空気循環式寝具の制御装置において、前記バッテリの電圧を昇圧するコンバータ部と、前記コンバータ部により昇圧された電圧を前記圧縮機のモータに供給するインバータ部と、前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、前記コンバータ部により昇圧された電圧を検出する出力電圧検出部と、前記出力電圧検出部の検出値と所定の目標電圧値との偏差をPI制御によりPWM制御におけるデューティ比を調整し前記コンバータ部から出力される電圧を所定値に調整する電圧制御部と、を備え、前記電圧制御部は、前記圧縮機の起動時から所定時間の間、前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリの電圧に応じて前記コンバータ部のPWM制御におけるデューティ比を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、圧縮機の起動時から所定時間の間、バッテリからの電圧に応じてデューティ比を設定するため、高速応答性の良い制御器を用いることなく安定した起動特性が得られ、コスト安価に車両用空気循環式寝具の制御装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の1実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る制御装置18により制御される車両用空気循環式寝具(以下、寝具という)1を示す図であり、図2は寝具1の冷凍サイクル30の構成を示す図、図3は制御装置18を示すブロック図、図4は起動制御モードにおけるバッテリ16の電圧VBとコンバータ部40に入力するPWM制御信号のONデューティ比との関係を示す図である。
【0015】
寝具1は、例えば、トラックなどの車両2内で休憩する際に使用される寝袋であって、図1に示すように、使用者Aを収容する収容空間Sが形成され寝具本体10と、寝具本体10内部に供給する空気の温度を調節する温度調節ユニット20とを備えており、車両2内において寝具本体10を配設し使用者Aが休憩する際に使用されるものである。
【0016】
なお、本実施形態では寝具として敷きマット及び掛けマットが一体となった寝袋について説明するが、本発明はこれに限定されず、内部の少なくとも一部に空気を循環させることができるものであればよく、例えば、敷きマット及び掛けマットのいずれか一方であっても良く、また、敷きマット及び掛けマットの双方を備えたものであってもよい。
【0017】
寝具本体10内部には空気の流路(不図示)が形成され、該流路の両端部が寝具本体10の外方に開口しており、一方の開口部12が温度調節ユニット20の吹出ダクト22と連結され、他方の開口部14が温度調節ユニット20の吸込ダクト24と連結されている。
【0018】
これにより、温度調節ユニット20により温度調節された空気が、吹出ダクト22を介して一方の開口部12より寝具本体10内部に送り込まれ、寝具本体10内部に形成された流路を流通した空気が他方の開口部14から吸込ダクト24を介して温度調節ユニット20に戻り、戻った空気が、温度調節ユニット20内で温度調節され再び寝具本体10内部に送り込まれ、寝具本体10内部と温度調節ユニット20とを循環することで、寝具本体10の温度を調節する。
【0019】
温度調節ユニット20は、寝具1のON・OFFの切換や寝具1を循環する空気の温度設定を行う操作部26と、寝具1のON・OFFやバッテリの電圧低下を表示する表示部28とを設けた筐体21を有する。この筐体21内部には、寝具本体10内に流通させる空気の温度を調整する熱源としての冷凍サイクル30とこの冷凍サイクル30を制御する制御装置18とを備え、温度調節ユニット20は車両2に搭載されるバッテリ16より電力の供給を受けて、操作部26の操作に従い駆動運転される。
【0020】
詳細には、冷凍サイクル30は、図2に示すように、圧縮機31、四方弁32、第1熱交換器33、ドライヤ34、キャピラリーチューブ35及び第2熱交換器36を順次接続してなる。第2熱交換器36は寝具本体10内部を流通する空気と熱交換するものであって、送風ファン37が第2熱交換機36と熱交換した空気を寝具本体10内部に送り込む。第2熱交換機36と熱交換した空気は、例えば、吹出ダクト22に至る流路内に設けられた温度センサ39により温度が測定される。なお、符号38は第1熱交換器33の放熱を促す放熱ファンであり、第1熱交換器33と熱交換した空気は車両2の側壁に設けられた排気孔3を介して車両2の外部へ放出される。
【0021】
図2において、実線の矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示し、圧縮機31から吐出した冷媒は四方弁32を通って凝縮器としての第1熱交換器33に流入して凝縮され、ドライヤ34で水分を除去した後キャピラリーチューブ35に入る。キャピラリーチューブ35で減圧された冷媒は、蒸発器としての第2熱交換器36で蒸発し第2熱交換器36を冷却することで気化し、四方弁32を通って圧縮機31に戻り、再び四方弁32を介して第1熱交換器33に流入し循環する。また、破線の矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示し、四方弁32を切り替えて、第1熱交換器33が蒸発器となり、第2熱交換器36が凝縮器となるように冷媒が循環する。
【0022】
寝袋1の温度調整ユニット20を制御する制御装置18は、バッテリ16の電圧値を検出するバッテリ電圧検出部70と、バッテリ16に接続されたコンバータ部40と、コンバータ部40より出力される電圧を検出する出力電圧検出部74と、圧縮機31が有する単相100VのACモータ(以下、圧縮機モータという)31aに単相100Vの駆動電源を供給するインバータ部60と、コンバータ部40及びインバータ部60を制御する制御部80とを備える。
【0023】
コンバータ部40は、例えば、プッシュプルコンバータから構成され、高周波トランス42の1次側に接続された2つのMOSFETからなるスイッチング素子43,44を交互にON・OFF切換制御することで、バッテリ16の電源電圧VBを所定の目標電圧Va(例えば、125V)に昇圧してインバータ部60に出力する。高周波トランス42の2次側には、ハーフブリッジ回路からなる整流回路45が配置され、平滑コンデンサ46との間にコイル47が実装されている。
【0024】
インバータ部60は、単相フルブリッジ回路を備え、コンバータ部40により昇圧された電源を受けて単相100Vの駆動電源を圧縮機モータ31aに供給する。
【0025】
バッテリ電圧検出部70は、バッテリ16からの電源電圧VBを抵抗71,72により分圧し、電源電圧VBに応じた検出信号を制御部80に入力する。
【0026】
出力電圧検出部74は、コンバータ部40により昇圧された出力電圧Voを抵抗75,76により分圧し、出力電圧Voに応じた検出信号を制御部80に入力する。
【0027】
制御部80は、A/Dコンバータ82と、主制御部84と、PWM制御部86と、インバータ制御部88と、を備えるマイコンより構成され、操作部26、温度センサ39、バッテリ電圧検出部70、出力電圧検出部74からの各種信号がA/Dコンバータ82を介して主制御部84に入力されることで、表示部28、PWM制御部86、インバータ制御部88、送風ファン37及び放熱ファン38を回転駆動するファンモータ駆動部92に制御信号を出力する。
【0028】
PWM制御部86は、ドライバ48を介してスイッチング素子43,44のON・OFFを切換制御するPWM制御信号のONデューティ比を調節してコンバータ部40に入力する。
【0029】
PWM制御部86は、例えば、所定時間(例えば、約10ms)毎に出力電圧検出部74により検出された出力電圧Voと目標電圧Vaの偏差及び当該偏差の時間積分値を算出し、下記の数式に基づいて、次に出力するPWM制御信号のONデューティ比を調整することで、PI制御を用いて出力電圧Voと目標電圧Vaの偏差をゼロとするようにフィードバック制御する。
【数1】

【0030】
ここで、Δx(t)は、ある時刻tにおけるONデューティ比の調整量、Δy(t)は時刻tにおける出力電圧Voと目標電圧Vaの偏差、kp、kiは予め記憶された比例ゲイン及び積分ゲインである。
【0031】
また、PWM制御部86は、圧縮機モータ31aの起動時から所定時間の間、上記のようなフィードバック制御を行う通常制御モードと異なる起動制御モードを実行する。
【0032】
この起動制御モードは、圧縮機モータ31aを安定して起動させるため、停止状態にある圧縮機モータ31aの起動時から所定時間(例えば、1秒間)が経過するまでの間、フィードバック制御を禁止し、予め記憶された図4のようなバッテリの電圧VBとPWM制御信号のONデューティ比との関係に基づき、バッテリ電圧検出部70により検出されたバッテリの電圧VBに対応するONデューティ比のPWM制御信号をコンバータ部40に入力し、一例を示すと、圧縮機モータ31aの起動時におけるバッテリの電圧VB=30Vの場合、圧縮機モータ31aの起動時から所定時間の間、コンバータ部40に出力するPWM制御信号のONデューティ比を70%に固定する。
【0033】
インバータ制御部88は、主制御部84から駆動信号の入力を受け、ドライバ66を介してインバータ部60の4つのMOSFET(不図示)のON・OFFを切換制御することで、インバータ部60より圧縮機モータ31aに所定角度(例えば、120°)に通電角を制御しつつ駆動電源を出力させる。
【0034】
インバータ制御部88には、インバータ部60の過電流異常を検出する保護回路62が接続されており、シャント抵抗64によってインバータ回路72を流れる電流を電圧に変換し、この電圧値が所定値を越えると、保護回路62より異常信号が入力されることで、インバータ部60を停止させ圧縮機モータ31aへの通電を停止する。
【0035】
また、インバータ制御部88は、PWM制御部86が起動制御モードを実行している場合において、図5に例示するように、圧縮機モータ31aの起動時における圧縮機モータ31aに供給する駆動電源の通電角を通常運転時における通電角より小さく設定し(例えば、30°)、通常運転時における通電角まで漸次増大させる。これにより、圧縮機モータ31aの起動時に必要な電流量を低減し、コンバータ部40の出力電圧Voの変動を抑制することができ、圧縮機モータ31aの起動特性を向上させることができる。
【0036】
主制御部84は、操作部26の設定値と温度センサ39の検出温度を比較して、インバータ制御部88に駆動信号を出力して温度センサ39の検出温度が操作部26の設定値に到達するまで圧縮機モータ31aを駆動させ、設定値に到達すると圧縮機モータ31aを停止させる。
【0037】
以上のように本実施形態の寝袋1の制御装置18では、圧縮機モータ31aの起動時から所定時間の間、コンバータ部40のフィードバック制御を禁止し、予め定められたバッテリの電圧VBとPWM制御信号のONデューティ比との関係に基づき、バッテリ電圧検出部70により検出されたバッテリの電圧VBに対応するONデューティ比のPWM制御信号をコンバータ部40に入力し、起動制御モードを実行する。
【0038】
これにより、圧縮機モータ31aの起動直後は、通常、負荷変動が小さくバッテリからの電源電圧の変動も小さいため、起動時のバッテリの電源電圧に対して、予め記憶されたバッテリの電圧VBとPWM制御信号のONデューティ比との関係に基づいて適切なONデューティ比を決定することができる。
【0039】
そのため、バッテリ16の電圧値が定格電圧値に比べが大きい場合であっても、高速応答性の良い制御器を要することなく、コンバータ部40の出力電圧の脈動を抑えつつ速やかにコンバータ回路からの出力電圧Voを目標電圧Vaに設定することができ、これにより、コスト安価に安定した起動特性を有する寝具1の制御装置18が得られる。
【0040】
なお、上記した本実施形態の寝具1の制御装置18では、圧縮機モータ31aの起動時から所定時間経過後に、PWM制御部86が起動制御モードから通常制御モードに移行するように設定したが、例えば、起動制御モード実行中において、出力電圧検出部74により検出された出力電圧Voと目標電圧Vaの偏差が所定範囲内(例えば、10V以下)になると、予め設定された所定時間が経過する前であっても、起動制御モードを終了し通常制御モードに移行するように設定してもよい。
【0041】
圧縮機モータ31aの起動時にバッテリからの電源電圧VBに応じて予め記憶されたPWM制御信号のONデューティ比に基づき、PWM制御部86がコンバータ部40を制御することから、通常、約0.1秒程度でコンバータ部40からの出力電圧Voと目標電圧Vaの偏差が所定範囲内に到達し、PWM制御部86がコンバータ部40の出力電圧値を脈動させることなくフィードバック制御が可能となるが、圧縮機モータ31aの安定起動を確実にするため、起動制御モードを実行する所定時間を、安定起動に必要とされる起動制御モードの実行時間より長く設定する場合がある。
【0042】
このような場合であっても、圧縮機モータ31aの起動時から所定時間経過する前にコンバータ部40の出力電圧Voと目標電圧Vaの偏差が所定範囲内に到達すると、PWM制御部86がコンバータ部40の出力電圧値を脈動させることなく制御可能になったとして、起動制御モードから通常制御モードに移行し、PWM制御部86がコンバータ部40を早期にフィードバック制御することができる。そのため、圧縮機モータ31aの起動直後に負荷変動が生じた場合であっても安定して起動させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、起動制御モードとして、フィードバック制御を禁止し、予め記憶されたバッテリの電圧VBとPWM制御信号のONデューティ比との関係に基づいて、起動時におけるバッテリ電圧検出部70により検出されたバッテリの電圧VBからONデューティ比を決定し、起動制御モード実行中は決定したONデューティ比を一定に保ちコンバータ部40を制御したが、本発明はこれに限定されず、例えば、決定したONデューティ比をPI制御の初期値とし、比例ゲインkp及び積分ゲインkiを通常制御モード時より小さい値、例えば、通常制御モードの比例ゲインkp及び積分ゲインkiの1/3に設定し、フィードバック制御を行っても良い。
【0044】
このような起動制御モードであるとコンバータ部40の出力電圧Voの脈動を抑えつつ、圧縮機モータ31aの起動後に負荷変動が生じた場合であっても安定して起動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の1実施形態に係る制御装置が制御する寝具の設置状態を示す図である。
【図2】本発明の1実施形態に係る制御装置が制御する冷凍サイクルを示す図である。
【図3】本発明の1実施形態に係る制御装置を示すブロック図である。
【図4】起動制御モード実行時におけるバッテリの電圧とコンバータ部40に入力するPWM制御信号のONデューティ比との関係を示す図である。
【図5】起動制御モード実行時における通電角の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1…車両用空気循環式寝具 10…寝具本体 16…バッテリ
18…制御装置 20…温度調節ユニット 70…電圧検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配設される寝具本体と、圧縮機と凝縮器と蒸発器とを連結した冷凍サイクルを有し空気の温度を調節する温度調節ユニットと、前記温度調節ユニットに電源を供給するバッテリと、を備え、前記温度調節ユニットにより温度調節された空気を前記寝具本体内に循環させて前記寝具本体の温度を調節する車載用空気循環式寝具の制御装置において、
前記バッテリの電圧を昇圧するコンバータ部と、
前記コンバータ部により昇圧された電圧を前記圧縮機のモータに供給するインバータ部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記コンバータ部により昇圧された電圧を検出する出力電圧検出部と、
前記出力電圧検出部の検出値と所定の目標電圧値との偏差をPI制御によりPWM制御におけるデューティ比を調整し前記コンバータ部から出力される電圧を所定値に調整する電圧制御部と、を備え、
前記電圧制御部は、前記圧縮機の起動時から所定時間の間、前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリの電圧に応じて前記PWM制御におけるデューティ比を設定することを特徴とする車載用空気循環式寝具の制御装置。
【請求項2】
車両に配設される寝具本体と、圧縮機と凝縮器と蒸発器とを連結した冷凍サイクルを有し空気の温度を調節する温度調節ユニットと、前記温度調節ユニットに電源を供給するバッテリと、を備え、前記温度調節ユニットにより温度調節された空気を前記寝具本体内に循環させて前記寝具本体の温度を調節する車載用空気循環式寝具の制御装置において、
前記バッテリの電圧を昇圧するコンバータ部と、
前記コンバータ部により昇圧された電圧を前記圧縮機のモータに供給するインバータ部と、
前記バッテリの電圧を検出するバッテリ電圧検出部と、
前記コンバータ部により昇圧された電圧を検出する出力電圧検出部と、
前記出力電圧検出部の検出値と所定の目標電圧値との偏差をPI制御によりPWM制御におけるデューティ比を調整し前記コンバータ部から出力される電圧を所定値に調整する電圧制御部と、を備え、
前記電圧制御部は、前記圧縮機の起動時において、前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリの電圧に応じて前記PWM制御におけるデューティ比を設定し、
前記圧縮機の起動後から所定時間の間、PI制御の調整ゲインを前記所定時間の経過後におけるPI制御の調整ゲインより小さく設定することを特徴とする車載用空気循環式寝具の制御装置。
【請求項3】
前記電圧制御部は、前記圧縮機の起動時から前記出力電圧検出部の検出値と所定の目標電圧値との偏差が所定範囲内になるまでの間、前記バッテリ電圧検出部により検出された前記バッテリの電圧に応じて前記コンバータ部のPWM制御におけるデューティ比を設定することを特徴とする請求項1に記載の車載用空気循環式寝具の制御装置。
【請求項4】
前記圧縮機の起動時から所定時間の間、前記インバータ部が前記モータに供給する通電角を漸次増大させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載用空気循環式寝具の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−5018(P2010−5018A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165890(P2008−165890)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】