説明

車両用空調コントローラ

【課題】少ないスイッチで多機能な操作が実施可能で、かつ使用性良好な車両用空調コントローラを提供する。
【解決手段】本発明の車両用空調コントローラは、自らに割り当てられた機能が押圧により選択される複数のプッシュスイッチ10と、プッシュスイッチ10により選択された機能に対応する動作を表示する動作表示部20と、動作表示部20に表示された動作について、回転操作により切り替え可能なダイヤルノブ30と、を備え、動作表示部20は、ダイヤルノブ30の回転操作により選択された動作について可視的に表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内の空調を制御する車両用空調コントローラ、特に、多彩な機能操作を実行可能な車両用空調コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調コントローラは高機能、かつ多機能化している。車内の限られたスペースに少ないスイッチ構成で多彩な機能操作を実行する車両用空調機の操作装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、機能設定をするためにスイッチヘッド106を押圧操作することで、液晶パネル112Aが順次切り替わり、スイッチヘッド108A〜108Dのいずれかを押圧すると、液晶パネル112Aの表示状態に応じて所望の選択状態が得られる、車両用空調機の操作装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−115377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記車両用空調機の操作装置は、スイッチヘッド106を多機能としたことにより、所望の設定を変更しようとしてスイッチヘッド106を押圧する際、所要回数より多く押してしまった場合には、再度やり直さなければならないという不具合が生じてしまう。また、フロントガラスへの空気吹きつけや、リヤガラスへの空気吹きつけは、必要時に速やかに操作できるよう、独立した配置とされることが望ましい。
【0006】
スイッチヘッド106の押圧操作によって切り替わった液晶パネル112Aに対応する機能設定は4つのスイッチヘッド108A〜108Dの押圧によって実現されるため、スイッチヘッド106に割り当てる機能設定は、理想的には4つの選択状態を備えている必要がある。例えば、3つの選択状態しかない場合には1つのスイッチヘッドが不要となり、5つ以上の選択状態を有する場合にはスイッチヘッドが不足するため、いずれにしても使用者による操作性が憂慮される。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、少ないスイッチで多機能な操作が実施可能で、かつ使用性良好な車両用空調コントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用コントローラは、自らに割り当てられた機能が押圧により選択される複数のプッシュスイッチと、プッシュスイッチにより選択された機能に対応する動作を表示する動作表示部と、動作表示部に表示された動作について、回転操作により切り替え可能なダイヤルノブと、を備え、動作表示部は、ダイヤルノブの回転操作により選択された動作について可視的に表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車両用空調コントローラにおいて、ダイヤルノブは、回転軸に沿って押圧可能であって、動作表示部で可視的に表示された動作は、ダイヤルノブの押圧により確定することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の車両用空調コントローラにおいて、複数のプッシュスイッチは、車内の吹出し風向モードを選択するモードスイッチと、車内の温度調節を選択する温度スイッチと、車内の風量調節を選択する風量スイッチと、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の車両用空調コントローラ100の正面図である。本実施形態において、車両用空調コントローラ100は、上部にある複数のプッシュスイッチ10と、プッシュスイッチ10の下部にあるダイヤルノブ30と、ダイヤルノブ30の周囲をほぼ囲むように位置する動作表示部20と、動作表示部20の右側にある切り替えスイッチ40と、切り替えスイッチ40のそれぞれに対し、上部に位置するインジケータ44と、からなる。
【0013】
プッシュスイッチ10は、それぞれ異なる機能を割り当てられた複数のスイッチからなり、本実施形態においては、左から順に風向モードスイッチ11、温度スイッチ12、風量スイッチ13を備えているが、配置箇所に制限はなく、また順序が異なっていても構わない。また、複数のプッシュスイッチ10は3つのスイッチから構成される必要はなく、またそれぞれのスイッチに割り当てられる機能は、本実施形態と異なる機能であっても構わない。
【0014】
また、プッシュスイッチ10のうち、どのスイッチが選択されているかどうかは、例えば、プッシュスイッチ10の没入−突出や、点灯−消灯により認識することができ、また組み合わせて機能させても構わない。本実施形態においては、選択されたプッシュスイッチの内部にあるランプが点灯し、例えばその一部に透明窓を設けたり、例えばプッシュスイッチ10に設けられた文字または図形等をかたどった部分から光が透過することにより、その選択されたプッシュスイッチ10の透明部分や文字または図形部分等が発光することで、選択されたスイッチが確認できる構成としたが、これに限らず、例えば、スイッチの近傍、好適には上部、にインジケータを設け、インジケータの点灯−消灯により選択したスイッチがどれであるか確認できるようにしてもよい。
【0015】
複数のプッシュスイッチ10のうちいずれか一つが押圧により選択されると、動作表示部20にプッシュスイッチ10で選択された機能に対応する動作が表示される。実施形態においては、図2〜図4のように、プッシュスイッチ10の切り替えにより動作表示部20の表示全体が切り替わるが、例えば、動作表示部20をプッシュスイッチ10に相当する数に分割し、そのそれぞれにプッシュスイッチ10により選択可能な機能に対応する動作表示を割り当て、プッシュスイッチ10の選択に相当する表示箇所のみが点灯し、表示されるようにしてもよい。動作表示部には、好ましくは液晶画面が用いられるが、これに限定されない。
【0016】
図2は、実施形態において、風向モードスイッチ11が選択された場合を示している。プッシュスイッチ10のうち、風向モードスイッチ11が選択されると、図2左のように動作表示部20に示す表示が、車内に吹出される風向がダイヤルノブ30によって切り替え可能となる。
【0017】
ダイヤルノブ30は、図示していない基板に回転自在に支持されており、柱状、実施形態においては円柱状からなる。また、ダイヤルノブ30に、適宜回転用のつまみ等が設けられてもよい。プッシュスイッチ10の選択により動作表示部20に表示された動作について、ダイヤルノブ30の回転に応じて選択された動作表示が可視的に切り替わる。ここでいう可視的とは、図2に示す実施形態においてはプッシュスイッチ10の選択により機能選択された動作表示部20のうち、ダイヤルノブ30によって選択された動作に対応する表示箇所を、選択されていない動作に対応する表示箇所よりも視覚的に強調して表示することを指しており、例えば、選択された表示箇所に対応する点灯の強度を増したり、あるいは他の表示箇所と表示の色を変えたり、適宜設定可能である。また、ダイヤルノブ30によって選択された動作に対応する表示箇所のみが点灯することも含まれる。
【0018】
図2右は、実施形態において、ダイヤルノブ30の回転操作により風向モードが足元に選択され、動作表示部20の4つの表示箇所のうち、右上の表示箇所が可視的に表示された場合を示している。図2右に示された状態から、ダイヤルノブ30を時計回りに所定量回転させる毎に、風向モードは、足元及びフロントガラス、胸元、胸元及び足元、と順次切り替わる。一方、図2右に示された状態から、ダイヤルノブ30を反時計回りに所定量回転させる毎に、風向モードは、胸元及び足元、胸元、足元及びフロントガラス、と順次切り替わる。また、他の実施形態として、ダイヤルノブ30を時計回りに操作した場合、動作表示部20の表示が足元及びフロントガラスの位置で切り替えが停止し、それ以上時計回りへの回転を続けても表示が切り替わらないようにすることも可能であり、また、ダイヤルノブ30を反時計回りに操作した場合、動作表示部20の表示が胸元の位置で切り替えが停止し、それ以上反時計回りへの回転を続けても表示が切り替わらないようにすることも可能である。
【0019】
図3は、実施形態において、温度スイッチ12が選択された場合を示している。プッシュスイッチ10のうち、温度スイッチ12が選択されると、図3左のように動作表示部20に表示され、ダイヤルノブ30によって空調による車内の温度調節が可能となる。実施形態において、動作表示部20にはダイヤルノブ30の円周に沿って円弧状の温度表示部が表示される。時計回りへのダイヤルノブ30の回転に伴って、左端から点灯が始まり、更に回転を続けると右端側へと点灯領域が延びていく。
【0020】
この温度表示部は、点灯部が左端側に近づくと低温となるよう設定されており、点灯部が右端側に延びるに従って高温であることを示す。更に時計回りへ回転させ、所定の温度表示を超えて回転を続けた場合には、一旦温度表示部の点灯が消灯し、再び低温部からの温度調節が可能となる。また、反時計回りへ回転させ、所定の温度表示を超えて回転を続けた場合には、温度表示部の点灯が消灯した後、一旦温度表示部がすべて点灯して、再び高温部からの温度調節が可能となる。
【0021】
他の実施形態として、時計回りへのダイヤルノブ30の回転によって温度表示部全体がすべて点灯し、高温設定された場合に、更に時計回りへの回転を続けても設定温度が変化しない構成とすることも可能であり、同様に反時計回りへのダイヤルノブ30の回転によって温度表示部全体がすべてまたはほとんど消灯し、低温設定された場合に、更に反時計回りへの回転を続けても設定温度が変化しない構成とすることも可能である。また、設定温度の確認を容易にするために、温度表示部に温度目盛りを同時に表示させることも可能である。
【0022】
図4は、実施形態において、風量スイッチ13が選択された場合を示している。プッシュスイッチ10のうち、風量スイッチ13が選択されると、図4左のように動作表示部20に表示され、ダイヤルノブ30によって空調の風量調節が可能となる。実施形態において、動作表示部20にはダイヤルノブ30の円周に沿って空調停止(OFF)、低風量(LO)、高風量(HI)、がそれぞれ図4左のように表示され、LOとHIの間でさらに2段階の風量調節が可能となっている。
【0023】
図4右は、本発明の実施形態において、ダイヤルノブ30の回転により、LOよりも1つだけ強く、HIよりも2つだけ弱い風量を選択した場合を示す図である。図4右のように、選択された箇所は、他の風量表示箇所よりも点灯の強度が強く、一目で選択箇所が確認できるようにすることが可能である。図4右の状態からダイヤルノブ30を反時計回りに回転させると、LO、OFF、さらにHIへと順に風量が変化する。同様に、ダイヤルノブ30を時計回りに回転させても、自在に風量が変化する。
【0024】
他の実施形態として、時計回りへのダイヤルノブ30の回転による風量調節によりHIが設定された場合に、更に時計回りへの回転を続けても風量がHIのまま変化しない構成とすることも可能であり、同様に反時計回りへのダイヤルノブ30の回転による風量調節によりOFFが設定された場合に、更に反時計回りへの回転を続けてもOFFのまま変化しない構成とすることも可能である。
【0025】
また、実施形態において、風量調節は段階的な調節としたが、図3に示した温度調節のように無段階に調節する設定にすることも可能である。また、温度調節の場合に、段階的に変化させる設定とすることも可能である。
【0026】
本発明の他の実施形態として、ダイヤルノブ30は回転可能であるとともに回転軸に沿って押圧可能であって、ダイヤルノブ30の回転操作により動作表示部20で可視的に表示された動作を、ダイヤルノブ30の押圧により確定するようにしてもよい。この押圧操作により、ダイヤルノブ30の回転により容易に切り替えられる動作から、使用者が所望する動作をより確実に決定することができる。
【0027】
また、本発明の他の実施形態として、ダイヤルノブは必ずしも1つでなくてもよく、少なくとも、1つのダイヤルノブを備えていればよい。本発明の他の実施形態として、複数のダイヤルノブを備え、それぞれのダイヤルノブにプッシュスイッチを適宜割り当てた構成としてもよい。
【0028】
次に、切り替えスイッチ40について説明する。切り替えスイッチ40は、実施形態においては上から順にデフロスタスイッチ41、リヤデフロスタスイッチ42、内外気スイッチ43からなるが、必ずしもこの順序に限らない。また、車両用空調コントローラ100の右側に配置される必要もなく、例えば、左側に配置されてもよいが、操作容易な配置が求められる。
【0029】
デフロスタスイッチ41、リヤデフロスタスイッチ42、内外気スイッチ43の上部には、それぞれに対応するインジケータ44が備えられており、各スイッチの押圧操作に応じて点灯と消灯とを交互に繰り返す。
【0030】
デフロスタスイッチ41に対応するインジケータ44が消灯している時にデフロスタスイッチ41を押圧すると、対応するインジケータ44が点灯し、フロントガラスに対して空気の吹き付けを行う。この状態からデフロスタスイッチ41を再度押圧すると、対応するインジケータ44が消灯し、フロントガラスに対する空気の吹き付けが停止する。
【0031】
同様に、リヤデフロスタスイッチ42に対応するインジケータ44が消灯している時にリヤデフロスタスイッチ42を押圧すると、対応するインジケータ44が点灯し、リヤガラスに対して空気の吹き付けを行う。この状態からリヤデフロスタスイッチ42を再度押圧すると、対応するインジケータ44が消灯し、リヤガラスに対する空気の吹き付けが停止する。
【0032】
一方、内外気スイッチ43は、空気の内部循環と外気導入とを切り替えるスイッチである。本実施形態においては、内外気スイッチ43の押圧により対応するインジケータが点灯すると、空気の車内循環を行う。内外気スイッチ43を再度押圧すると、対応するインジケータ44が消灯し、外部空気の導入に切り替わる。他の実施形態として、内外気スイッチ43に対応するインジケータ33の点灯時に外部空気の導入を行い、消灯時に空気の車内循環を行うようにしてもよい。
【0033】
このように、切り替えスイッチ40は、例えばオンとオフのような、同時に使用することの無い、相反する2つの動作のみを割り当てたスイッチからなるため、押圧の繰り返しによりそのスイッチに割り当てられた動作を速やかに切り替えることが可能となる。このため、本実施形態においては、走行中にフロントガラスやリヤガラスが曇った場合にも短時間に対処が可能である。
【0034】
本発明の実施形態において、切り替えスイッチ40に対応する各スイッチ41〜43には、風量調節及び温度調節は別に設けられていないが、ダイヤルスイッチにより現在設定されている風量及び温度が選択され、所望の動作を行う。デフロスタスイッチ41、リヤデフロスタスイッチ42はそれぞれ、本発明の実施形態において、風向モードスイッチ11と独立に動作する構成としたが、他の実施形態として、風向モードが新たに設定されると、それまで選択されていたデフロスタスイッチ41およびリヤデフロスタスイッチ42の動作をそれぞれ解除する構成とすることも可能である。
【0035】
本発明の他の実施形態として、リヤデフロスタスイッチ42の代わりに、リヤデフォッガスイッチを設けることも可能であることはいうまでもない。この実施形態においては、リヤガラスには熱線が設置され、リヤデフォッガスイッチは、前に述べたリヤデフロスタスイッチ42と同様の操作により、リヤガラスの熱線への通電をオン−オフする。
【0036】
また、本発明の実施形態において、切り替えスイッチ40は3つのスイッチ41,42,43からなるが、これに限らない。4つ以上でも、1つのみでもよく、また無くても構わない。また、また、本発明の実施形態として、切り替えスイッチ40のそれぞれに、対応するインジケータ44を設けたが、必ずしも必要でなく、例えば、それぞれの切り替えスイッチ40に透明窓を設ける、もしくは少なくとも一部を透光性とすると、内部で点灯したLED等の光が切り替えスイッチ40から漏れるので、インジケータ44の代替とすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の車両用空調コントローラの実施形態の正面図である。
【図2】図1に示す本発明の実施形態において、モード切り替えを選択した正面図である。
【図3】図1に示す本発明の実施形態において、温度調節を選択した正面図である。
【図4】図1に示す本発明の実施形態において、風量調節を選択した正面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 プッシュスイッチ、11 風向モードスイッチ、12 温度スイッチ、13 風量スイッチ、20 動作表示部、30 ダイヤルノブ、40 切り替えスイッチ、41 デフロスタスイッチ、42 リヤデフロスタスイッチ、43 内外気スイッチ、44 インジケータ、100 車両用空調コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らに割り当てられた機能が押圧により選択される複数のプッシュスイッチと、
前記プッシュスイッチにより選択された機能に対応する動作を表示する動作表示部と、
前記動作表示部に表示された動作について、回転操作により切り替え可能なダイヤルノブと、
を備え、
前記動作表示部は、前記ダイヤルノブの回転操作により選択された動作について可視的に表示することを特徴とする車両用空調コントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調コントローラにおいて、
前記ダイヤルノブは、回転軸に沿って押圧可能であって、
前記動作表示部で可視的に表示された動作は、前記ダイヤルノブの押圧により確定することを特徴とする車両用空調コントローラ。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の車両用空調コントロールにおいて、
前記複数のプッシュスイッチは、
車内の吹出し風向モードを選択するモードスイッチと、
車内の温度調節を選択する温度スイッチと、
車内の風量調節を選択する風量スイッチと、
を含むことを特徴とする車両用空調コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−199199(P2006−199199A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14476(P2005−14476)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】