説明

車両用空調システム

【課題】冷媒配管内の冷媒を抜かずに熱交換ユニットを交換することができる車両用空調システムを得る。
【解決手段】車体12に取り付けられた空調ユニット10Aは、空気流路22を形成すると共にブロアファン26により送風して車室内18へ空気を吹き出す。また、空調ユニット10Aの空気流路22中に、エバポレータ40、及び冷媒配管32の一部が配置されるので、空気流路22中の空気はエバポレータ40によって冷媒と熱交換される。そして、熱交換された空気が車室内18へ吹き出される。ここで、熱交換ユニット10Bは、空調ユニット10Aとは別体とされて車体12に対し着脱可能となっているので、熱交換ユニット10Bが空調ユニット10Aに対して取り外される際には、冷媒配管32の分断が不要となり、冷媒配管32中の冷媒を抜く必要が生じない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換及び送風の機能を備えた車両用空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調システムにおいては、熱交換ユニットを構成する一部(熱交換器及び冷媒配管)が車両室内側の空調ユニット内に収容されたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような車両用空調システムでは、冷媒配管が車両室内と車両室外との両方を通った構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−268035
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この構造では、熱交換ユニットを交換する際に、冷媒配管内の冷媒をその都度抜く必要が生じる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、冷媒配管内の冷媒を抜かずに熱交換ユニットを交換することができる車両用空調システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両用空調システムは、車体に取り付けられ、空気流路を形成すると共に送風して車室内へ空気を吹き出す空調ユニットと、前記空調ユニットとは別体とされて熱交換器及び当該熱交換器に接続された冷媒配管を備えると共に、車体に対し着脱可能とされ、車体への取付状態では前記熱交換器、及び前記冷媒配管の一部が前記空調ユニットの空気流路中に配置される熱交換ユニットと、を有する。
【0007】
請求項1に記載する本発明の車両用空調システムによれば、車体に取り付けられた空調ユニットが空気流路を形成すると共に送風して車室内へ空気を吹き出す。この空調ユニットの空気流路中に、熱交換器、及び冷媒配管の一部が配置されるので、空気流路中の空気は熱交換器によって冷媒と熱交換される。そして、熱交換された空気が車室内へ吹き出される。
【0008】
ここで、熱交換ユニットは、空調ユニットとは別体とされて車体に対し着脱可能となっているので、熱交換ユニットが空調ユニットに対して取り外される際には、冷媒配管の分断が不要となり、冷媒配管中の冷媒を抜く必要が生じない。
【0009】
請求項2に記載する本発明の車両用空調システムは、請求項1記載の構成において、前記熱交換ユニットは、前記空調ユニットの空気流路中に配置可能でかつ前記熱交換器及び前記冷媒配管における前記熱交換器側の部位が収容されたボックスを備え、前記ボックスは、前記空調ユニットの空気流路中に配置された状態で当該配置位置における前記空気流路の上流側となる部位に空気導入口が形成されると共に当該配置位置における前記空気流路の下流側となる部位に空気排出口が形成され、さらに前記冷媒配管が貫通して取り付けられる部位の周囲がシールされている。
【0010】
請求項2に記載する本発明の車両用空調システムによれば、熱交換器及び冷媒配管における熱交換器側の部位は、熱交換ユニットのボックスに収容されており、ボックスは空調ユニットの空気流路中に配置可能となっている。ボックスが空調ユニットの空気流路中に配置された状態では、空気流路の上流側の空気は、ボックスの空気導入口からボックス内に入った後、ボックスの空気排出口からボックス外に出て空気流路の下流側へ流通する。また、ボックスにおいて冷媒配管が貫通して取り付けられる部位の周囲はシールされているので、空気導入口からボックス内に入った空気はボックスから漏れずに空気流路の下流側へ流通する。
【0011】
このように、空調ユニットとは別体のボックスを空調ユニットの空気流路中に配置することで熱交換器及び冷媒配管の一部を空調ユニットの空気流路中に配置することができる。また、空調ユニットとは別体のボックスを空調ユニットの空気流路中から外すことができるので、熱交換ユニットの交換作業性も良い。
【0012】
請求項3に記載する本発明の車両用空調システムは、請求項2記載の構成において、前記空調ユニットは、車室内外を仕切る隔壁に対して車室内側に配置されると共に、前記ボックスは、前記隔壁に対して車室外側から当該隔壁に形成された開口部を通って前記空調ユニットの空気流路中に配置可能とされると共に、前記隔壁における前記開口部の周囲部に対し着脱される着脱部を備えている。
【0013】
請求項3に記載する本発明の車両用空調システムによれば、空調ユニットは、車室内外を仕切る隔壁に対して車室内側に配置され、ボックスは、隔壁に対して車室外側から当該隔壁に形成された開口部を通って空調ユニットの空気流路中に配置可能となっている。また、ボックスの着脱部は、隔壁における開口部の周囲部に対し着脱される。このため、空調ユニットは車室内側から着脱されると共に、熱交換ユニットは車室外側から着脱され、かつ各着脱はそれぞれ独立して行うことができる。このため、熱交換ユニットの組付性及び交換作業性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両用空調システムによれば、冷媒配管内の冷媒を抜かずに熱交換ユニットを交換することができるという優れた効果を有する。
【0015】
請求項2に記載の車両用空調システムによれば、熱交換ユニットの組み付け性及び交換作業性を良好にすることができるという優れた効果を有する。
【0016】
請求項3に記載の車両用空調システムによれば、熱交換ユニットの組み付け性及び交換作業性をさらに向上させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用空調システムの一部を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用空調システムの一部を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用空調システムの熱交換器ボックスを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用空調システムの全体構成を示す構成図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車両用空調システムの熱交換ユニットを他の熱交換ユニットに交換した場合の全体構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態の構成)
本発明の一実施形態に係る車両用空調システムについて図1〜図5を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示している。また、本実施形態に係る車両用空調システムは、電気自動車(EV)やハイブリット車(電気モータ及びエンジンを備える自動車)の他、エンジン車等にも適用できる。
【0019】
図4には、本発明の一実施形態に係る車両用空調システム10の全体構成が示されている。図4に示されるように、車両用空調システム10は、空調ユニット10A及び熱交換ユニット10Bを備えている。
【0020】
熱交換ユニット10Bは、空調ユニット10Aとは別体とされており、冷凍サイクル30が形成されている。冷凍サイクル30では、冷媒(図示省略)を冷媒配管32内に封じ込めて循環させる。冷媒配管32には、コンプレッサ(圧縮機)34、コンデンサ(凝縮器)36、レシーバドライヤ44、エキスパンションバルブ(膨張弁)38及び熱交換器としてのエバポレータ(放熱器)40等が接続されている。冷凍サイクル30では、冷媒がサイクル内を循環する過程において、冷媒の状態変化を圧縮、凝固、膨張、蒸発と連続的に繰り返すことで、車室内の熱を吸収したりその熱を車室外に放出したりして冷房を行うようになっている。以下、冷媒配管32にそれぞれ接続されるコンプレッサ34、コンデンサ36、レシーバドライヤ44、エキスパンションバルブ38、エバポレータ40等について簡単に説明する。
【0021】
コンプレッサ34は、図示しないモータ(又はエンジン)の回転動力がクランクプーリ及びVベルトを介して伝達されることで駆動され、冷媒を吸入圧縮により高温・高圧の気体にしてコンデンサ36に送り込む。コンデンサ36は、図示しないラジエータの前面等に取り付けられ、冷却ファン42や車両走行によって得られる風(車外空気)で高温・高圧の冷媒を冷却し、高圧の液体にする。コンデンサ36のサイクル下流側には、一時貯留のタンクを備えたレシーバドライヤ44が設けられている。レシーバドライヤ44は、冷媒に含まれる水分やゴミを取り除いて冷媒を円滑に供給できるようにし、液冷媒のみをサイクル下流側のエキスパンションバルブ38に流す。
【0022】
エキスパンションバルブ38は、冷媒を急激に膨張させ、低温・低圧の液体(霧状)にしてエバポレータ40へ送る。エバポレータ40は、送られた冷媒と、外部を通過する空気との間で熱交換を行って前記空気から熱を奪う(冷却する)と共に、冷媒を低温・低圧の気体にしてコンプレッサ34へ送る。
【0023】
一方、エバポレータ40に隣接する空調ユニット10Aは、HVAC本体を構成している。図1には、空調ユニット10Aを含む車両用空調システム10の一部が縦断面図にて示されている。空調ユニット10Aは、図示しないインストルメントパネルの内側(車両前方側)に配置される空調ケース(空調ダクト)20を備えている。空調ユニット10Aの空調ケース20は、車室内外を仕切る隔壁としてのダッシュパネル14に対して車室内18側に配置されてかつダッシュパネル14に図示しない締結具(ボルト及びナット)により取り付けられている。ダッシュパネル14は、車体12の一部を構成し、空調ケース20との対向部の一部が貫通されることで図2に示される略矩形状の開口部14Aが形成されており、開口部14Aのコーナ付近にはボルト挿通孔14Bが貫通形成されている。また、図1に示されるように、ダッシュパネル14の上端部には、カウル16が接合されており、カウル16には、空調ユニット10Aの外気導入用となる外気取込口部16Aが形成されている。
【0024】
空調ユニット10Aの空調ケース20には、車室内外に通じる空気流路22が形成されている。なお、図1では、空気流路22における空気流通方向を矢印A1、A2で示している。空調ケース20の上部には、外気導入用の外気導入口20Aが形成され、外気導入口20Aには、外気導入用ダクト15の一端が接続されている。また、外気導入用ダクト15の他端はカウル16の外気取込口部16Aに接続されている。これらにより、空気流路22は、車室外28に通じている。また、図示を省略するが、空調ケース20には、外気導入口20Aに隣接して内気導入用の内気導入口が形成されており、外気導入口20Aと前記内気導入口とは図示しない切換ダンパによって開閉を切り替えられるようになっている。さらに、空調ケース20には、複数の空気出口(図示省略)が形成されており、これらの空気出口はダクト(図示省略)を介して空気吹出口(図示省略)に通じている。なお、前記空気吹出口は車室内18へ向けて開口されている。
【0025】
空調ケース20には、ダッシュパネル14の開口部14Aに対応する部位にダッシュパネル14側とは反対側へ凹んだ凹部24が形成されている(図2参照)。この凹部24は、空調ケース20における上下方向中央部から下部にかけての部位に設けられており、収納用として機能すると共に空気流路22を形成する隔壁として機能している。凹部24の上壁部24Aには第一開口部124Aが貫通形成され、凹部24の凹底側の縦壁部24Bにおける下部には第二開口部124Bが貫通形成されている。なお、この第一開口部124Aと第二開口部124Bとの間も空気流路22の一部となっている。
【0026】
空調ケース20内において、凹部24の上壁部24Aの上方側には、送風用のブロアファン26が設けられている。ブロアファン26は、ブロアモータが作動することで外気導入口20A又は内気導入口(図示省略)から空調ケース20内に空気を吸引し、さらにこの空気をエバポレータ40へ向けて送出する構成となっている。すなわち、空調ユニット10Aは、送風して車室内18へ空気を吹き出すようになっている。
【0027】
空調ケース20の凹部24の凹内側空間、換言すれば、空調ユニット10Aの空気流路22中には、熱交換ユニット10Bの一部を構成する熱交換器ボックス46が配置可能となっている。図2及び図3に示されるように、熱交換器ボックス46は、箱体46Aの開口部側が平板状の蓋体46Bに突き当てられ、箱体46Aの開口部側フランジ346Aが締結具(ボルト46C及びナット46D)により蓋体46Bに取り付けられた構造になっている。なお、箱体46Aと蓋体46Bとを結合させる構造については、ボルト締結の他、爪嵌合等の他の構造であってもよい。また、熱交換器ボックス46は、蓋体46Bの外周部がダッシュパネル14への着脱用として設けられた着脱部48とされている。着脱部48は、熱交換器ボックス46の内部空間を形成する部位の外周側に設けられ、熱交換器ボックス46の外周縁部を構成している。着脱部48の四隅にはボルト挿通孔48Aが貫通形成されている。
【0028】
図1に示されるように、熱交換器ボックス46には、エバポレータ40及び冷媒配管32におけるエバポレータ40側の部位が収容されている。冷媒配管32は、熱交換器ボックス46の蓋体46Bに形成された取付孔(図示省略)に弾性を有するシール部材50を介して挿入されることで蓋体46Bに取り付けられている。これによって、熱交換器ボックス46において冷媒配管32が貫通して取り付けられる部位の周囲は、シール部材50によってシールされている(図2参照)。
【0029】
図3に示されるように、熱交換器ボックス46の箱体46Aには、設置状態で上側となる上壁部146Aの一部が貫通して空気導入口52が形成されると共に、蓋体46Bに対向する縦壁部246Aの下部が貫通して空気排出口54が形成されている。図1に示されるように、熱交換器ボックス46の空気導入口52は、熱交換器ボックス46が空調ユニット10Aの空気流路22中に配置された状態で当該配置位置における空気流路22の上流側となる部位に形成されている。これに対して、熱交換器ボックス46の空気排出口54は、熱交換器ボックス46が空調ユニット10Aの空気流路22中に配置された状態で当該配置位置における空気流路22の下流側となる部位に形成されている。
【0030】
図1及び図2に示されるように、熱交換器ボックス46は、ダッシュパネル14に対して車室外28側から開口部14Aを通って空調ユニット10Aの空気流路22中に配置可能とされると共に、着脱部48がダッシュパネル14における開口部14Aの周囲部に締結具(ボルト挿通孔48A、14B(図2参照)を貫通するボルト56A及びナット56B(図1参照))により取り付けられている。すなわち、着脱部48は、開口部14Aの周囲部に対し着脱可能となっており、着脱部48のダッシュパネル14への取付状態では着脱部48がダッシュパネル14の開口部14Aと熱交換器ボックス46との隙間をシールしている。このように、熱交換ユニット10Bは、熱交換器ボックス46が車体12のダッシュパネル14に対し着脱可能とされ、図1に示されるように、熱交換器ボックス46のダッシュパネル14への取付状態ではエバポレータ40、及び冷媒配管32の一部が空調ユニット10Aの空気流路22中に配置されるようになっている。
【0031】
なお、図示を省略するが、熱交換ユニット10Bは、熱交換器ボックス46以外の構成部も車体12に締結具(ボルト及びナット)により取り付けられており、車体12に対し着脱可能となっている。
【0032】
次に、車両用空調システム10における熱交換ユニット10Bを図5に示される熱交換ユニット60Aに交換した場合の車両用空調システム60について概説する。なお、車両用空調システム10(図4参照)と実質的に同様の構成部については同一符号を付して説明を省略する。図5に示されるように、熱交換ユニット60Aには冷凍サイクル62が形成されている。冷凍サイクル62は、冷媒(図示省略)を冷媒配管32内に封じ込めてペルチェユニット64、第一ラジエータ66、及び熱交換器としての第二ラジエータ68の構成部品を含んで構成されるサイクル内を循環させる。ペルチェユニット64は、ペルチェ素子が複数個接続された冷却用とされており、冷媒配管32を介して第一ラジエータ66及び第二ラジエータ68に接続されている。
【0033】
熱交換ユニット60Aは、第二ラジエータ68、及び冷媒配管32における第二ラジエータ68側の部位が熱交換器ボックス46(図1参照)に収容される。このため、熱交換ユニット60Aは、熱交換器ボックス46(図1参照)がダッシュパネル14(図1参照)に対し着脱可能とされると共に、車体12(図1参照)への取付状態では第二ラジエータ68、及び冷媒配管32の一部が空調ユニット10Aの空気流路22中に配置されるようになっている。
【0034】
なお、図示を省略するが、熱交換ユニット60Aは、熱交換器ボックス46(図1参照)以外の構成部も車体12(図1参照)に締結具(ボルト及びナット)により取り付けられており、車体12に対し着脱可能となっている。
【0035】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0036】
図1に示されるように、車体12に取り付けられた空調ユニット10Aは、空気流路22を形成すると共にブロアファン26により送風して車室内18へ空気を吹き出す。また、空調ユニット10Aの空気流路22中に、エバポレータ40、及び冷媒配管32の一部が配置されるので、空気流路22中の空気はエバポレータ40によって冷媒と熱交換される。そして、熱交換された空気が車室内18へ吹き出される。
【0037】
ここで、熱交換ユニット10Bは、空調ユニット10Aとは別体とされて車体12に対し着脱可能となっているので、熱交換ユニット10Bが空調ユニット10Aに対して取り外される際には、冷媒配管32の分断が不要となり、冷媒配管32中の冷媒を抜く必要が生じない。
【0038】
また、本実施形態では、エバポレータ40、及び冷媒配管32の一部は、熱交換ユニット10Bの熱交換器ボックス46に収容されており、熱交換器ボックス46は空調ユニット10Aの空気流路22中に配置可能となっている。熱交換器ボックス46が空調ユニット10Aの空気流路22中に配置された状態では、空気流路22の上流側の空気は、熱交換器ボックス46の空気導入口52から熱交換器ボックス46内に入った後(矢印A1方向参照)、熱交換器ボックス46の空気排出口54から熱交換器ボックス46の外に出て(矢印A2方向参照)、空気流路22の下流側へ流通する。また、熱交換器ボックス46において冷媒配管32が貫通して取り付けられる部位の周囲はシール部材50によってシールされているので、空気導入口52から熱交換器ボックス46内に入った空気は熱交換器ボックス46から漏れずに空気流路22の下流側へ流通する。
【0039】
このように、空調ユニット10Aとは別体の熱交換器ボックス46を空調ユニット10Aの空気流路22中に配置することで、エバポレータ40、及び冷媒配管32の一部を空調ユニット10Aの空気流路22中に配置することができる。また、空調ユニット10Aとは別体の熱交換器ボックス46を空調ユニット10Aの空気流路22中から外すことができるので、熱交換ユニット10Bの交換作業性も良い。
【0040】
また、本実施形態では、空調ユニット10Aは、車室内外を仕切るダッシュパネル14に対して車室内18側に配置され、熱交換器ボックス46は、ダッシュパネル14に対して車室外28側からダッシュパネル14に形成された開口部14Aを通って空調ユニット10Aの空気流路22中に配置可能となっている。また、熱交換器ボックス46の着脱部48は、ダッシュパネル14における開口部14Aの周囲部に着脱される。このため、空調ユニット10Aは車室内18側から着脱されると共に、熱交換ユニット10Bは車室外28側から着脱され、かつ各着脱はそれぞれ独立して行うことができる。このため、熱交換ユニット10Bの組付性及び交換作業性が向上する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用空調システム10によれば、冷媒配管32内の冷媒を抜かずに熱交換ユニット10Bを交換することができる。
【0042】
また、本実施形態では、空調ユニット10Aが車室内18に配置された状態で、冷媒を冷媒配管32内に注入してから熱交換ユニット10B、60A(図5参照)を車両へ搭載することが可能(換言すれば、熱交換ユニット10B、60Aを車両へ搭載した後の冷媒注入が不要)になるので、組付時の工数を低減することができる。
【0043】
また、熱交換器ボックス46内が当該熱交換器ボックス46内の熱交換器(エバポレータ40、第二ラジエータ68)に応じた空気流通部となることで、空調ユニット10Aの共通化が可能となる。換言すれば、空調ユニット10Aを共通のユニットとして用い、異なる種類の熱交換器(エバポレータ40、第二ラジエータ68)を単独で交換(モジュール交換)できる。
【0044】
さらに、本実施形態では、空調ユニット10Aが車室内18に配置されると共に車室外28の熱交換器(エバポレータ40、第二ラジエータ68)が空調ユニット10Aに隣接して配置されることで、空調空気は車室外28の熱の影響を殆ど受けずに済むと共に、空調用のダクトの長さを抑えられる。よって、熱交換性能及び送風性能が容易に確保される。
【0045】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、熱交換器(エバポレータ40、第二ラジエータ68)、及び冷媒配管32の一部が熱交換器ボックス46に収容されているが、このような熱交換器ボックス46に代えて、例えば、空調ユニットの空気流路中に配置可能でかつ熱交換器、及び冷媒配管における熱交換器側の部位を支持する非ボックス状の支持構造部(例えば、支柱で構成される支持構造部)を備えると共に開口部14Aを塞ぐための板状体(蓋体46Bに相当する部材)に前記支持構造部を結合させたような構造体を設けてもよい。そのような構造体を適用する場合には、上記実施形態のように空調ケース20に凹部24が形成されることが好ましい。また、上記実施形態の他の変形例として、熱交換ユニットがボックス(熱交換器ボックス46)を備えない構成(熱交換器が直接車体側に着脱される構成)とすることも可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、空調ユニット10Aは、車室内18側に配置されるが、例えば、空調ユニットが車室外28側に配置される構成とすることも可能である。この場合、ボックス(熱交換器ボックス46)は、空調ユニット(10A)を介して車体12に着脱される構成としてもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態のように熱交換ユニット10B、60Aが熱交換器ボックス46を備えるような構造では、上記実施形態における空調ケース20に凹部24が形成されないような構成も可能である。
【0048】
さらにまた、請求項1の「車体に対し着脱可能」の概念には、上記実施形態のように、車体12に対し直接着脱可能とされるものの他、車体に対し他部材を介して着脱可能とされるものも含まれる。なお、上記実施形態では、着脱部48は、ダッシュパネル14に取り付けられているが、着脱部48は、ダッシュパネル14と共締めされて空調ユニット10Aの空調ケース20に取り付けられてもよい。
【0049】
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 車両用空調システム
10A 空調ユニット
10B 熱交換ユニット
12 車体
14 ダッシュパネル(隔壁)
14A 開口部
18 車室内
22 空気流路
28 車室外
32 冷媒配管
40 エバポレータ(熱交換器)
46 熱交換器ボックス(ボックス)
48 着脱部
52 空気導入口
54 空気排出口
60 車両用空調システム
60A 熱交換ユニット
68 第二ラジエータ(熱交換器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられ、空気流路を形成すると共に送風して車室内へ空気を吹き出す空調ユニットと、
前記空調ユニットとは別体とされて熱交換器及び当該熱交換器に接続された冷媒配管を備えると共に、車体に対し着脱可能とされ、車体への取付状態では前記熱交換器、及び前記冷媒配管の一部が前記空調ユニットの空気流路中に配置される熱交換ユニットと、
を有する車両用空調システム。
【請求項2】
前記熱交換ユニットは、前記空調ユニットの空気流路中に配置可能でかつ前記熱交換器及び前記冷媒配管における前記熱交換器側の部位が収容されたボックスを備え、
前記ボックスは、前記空調ユニットの空気流路中に配置された状態で当該配置位置における前記空気流路の上流側となる部位に空気導入口が形成されると共に当該配置位置における前記空気流路の下流側となる部位に空気排出口が形成され、さらに前記冷媒配管が貫通して取り付けられる部位の周囲がシールされている請求項1記載の車両用空調システム。
【請求項3】
前記空調ユニットは、車室内外を仕切る隔壁に対して車室内側に配置されると共に、
前記ボックスは、前記隔壁に対して車室外側から当該隔壁に形成された開口部を通って前記空調ユニットの空気流路中に配置可能とされると共に、前記隔壁における前記開口部の周囲部に対し着脱される着脱部を備えている請求項2記載の車両用空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−91660(P2012−91660A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240091(P2010−240091)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】