説明

車両用空調機器の操作装置

【課題】小型化で直感的な操作が可能で、また、組み立てが簡単な車両用空調機器の操作装置を提供する。
【解決手段】空調装置200の空気経路に設けられるドアを開閉操作する空調側プーリと、車両1のインストルメントパネル5側に設けられる操作側プーリ110と、操作側プーリ110を回転可能に収容するプーリケース120と、プーリケース120を固定するボデー130と、ボデー130と回転可能に嵌合して支持され、手動により上下方向に操作されることにより操作側プーリ110を回転駆動する操作部である操作ノブ140と、操作側プーリ110の外周上に対向して巻回されて固定され、操作側プーリ110のいずれの方向の回転によっても接続された空調側プーリを互いに逆方向に回転駆動する2本のケーブル160と、を有し、プーリケース120内に操作側プーリ110が収容されたプーリユニット100と、操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130は、操作側プーリ110の回転軸CLに直交する方向から組み込まれる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調機器の操作装置に関し、特に、ケーブルを用いて車両用空調機器を手動操作する車両用空調機器の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調機器の空調ケース内空気通路の切替えや流量調整を行なう操作装置として、ケーブルの引き引き操作でドアを開閉する車両用空調機器の操作装置がある。この車両用空調機器の操作装置は、車両のインストルメントパネルに取り付けられるスイッチハウジングと、この前面に取り付けられる操作部材とにより構成され、中身のコア部は、手動により回転操作された力を車両用空調機器へ伝達させるための各ケーブルサブ組立部(温度コントロール・モード切替・内外気切替)と空気導入の切替を制御するためのブロアサブ組立部とにより構成されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この車両用空調機器の操作装置によれば、スイッチハウジングとこの前面に取り付けられる操作部材等の意匠部と中身のコア部を分離したことにより両者の配置の自由度が大となり、各車種への適用が可能になるとされている。また2本のケーブルで引く構成のため2つのプーリをつなぐ2本のケーブルを柔らかくできるため押し引きタイプよりもケーブル配策の曲げ半径を小さくすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の車両用空調機器の操作装置は、スイッチハウジングの前面に取り付けられる操作部材が円盤状の回転ダイアルで、これが平面的に複数個配置された構成とされている。この様な平面的な配置ではスペース効率が悪く、左右の回転操作では直感的な操作ができないという問題があった。また、この回転を伝達するためのプーリも平面内な配置となり、組み立て時の工数を要する構成になっているという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、小型化で直感的な操作が可能で、また、組み立てが簡単な車両用空調機器の操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は上記目的を達成するため、空調装置の空気経路に設けられるドアを開閉操作する空調側プーリと、車両のインストルメントパネル側に設けられる操作側プーリと、前記操作側プーリを回転可能に収容するプーリケースと、前記プーリケースを固定するボデーと、前記ボデーと回転可能に嵌合して支持され、手動により上下方向に操作されることにより前記操作側プーリを回転駆動する操作部と、前記操作側プーリの外周上に対向して巻回されて固定され、前記操作側プーリのいずれの方向の回転によっても接続された空調側プーリを互いに逆方向に回転駆動する2本のケーブルと、を有し、前記プーリケース内に操作側プーリが収容されたプーリユニットと、前記操作部を回転可能に嵌合して組み込んだ前記ボデーは、前記操作側プーリの回転軸に直交する方向から組み込まれて構成されることを特徴とする車両用空調機器の操作装置を提供する。
【0008】
[2]本発明は上記目的を達成するため、空調装置の空気経路に設けられるドアを開閉操作する空調側プーリと、車両のインストルメントパネル側に設けられる操作側プーリと、前記操作側プーリを回転可能に収容するプーリケースと、前記プーリケースを固定するボデーと、前記ボデーと回転可能に嵌合して支持され、手動により上下方向に操作されることにより前記操作側プーリを回転駆動する操作部と、前記操作側プーリの外周上に対向して巻回されて固定され、前記操作側プーリのいずれの方向の回転によっても接続された空調側プーリを互いに逆方向に回転駆動する2本のケーブルと、を有し、前記プーリケース内に操作側プーリが収容されたプーリユニットと、前記操作部を回転可能に嵌合して組み込んだ前記ボデーは、互いに前記操作側プーリの回転軸に直交する方向から組み込まれて結合する結合部をそれぞれ有することを特徴とする車両用空調機器の操作装置を提供する。
【0009】
[3]前記操作部は、縦スライド式の操作ノブにより手動により上下方向に操作されることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の車両用空調機器の操作装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型化で直感的な操作が可能で、また、組み立てが簡単な車両用空調機器の操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10と空調装置200の取付け配置例を示す概観斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10の操作対象となる空調装置200の空調ケース内の開閉ドア等の配置を示す概略構成の断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10を含む全体分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10のプーリユニット100と、操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130との組立て工程を示す概観斜視図である。
【図5A】図5Aは、プーリユニット100と操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130が組立てられた状態での、図4における回転軸CLを含むA−A断面図である。
【図5B】図5Bは、操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130にプーリユニット100が組付けられた状態での、図5AにおけるB−B断面図である。
【図5C】図5Cは、操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130にプーリユニット100が組付けられた状態での、図5AにおけるC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10と空調装置200の取付け配置例を示す概観斜視図である。
【0013】
(操作装置10の構成)
本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10は、空調装置200の空気経路に設けられるドア(ダンパ)を開閉操作する空調側プーリ(図示省略)と、車両1のインストルメントパネル5側に設けられる操作側プーリ110と、操作側プーリ110を回転可能に収容するプーリケース120と、プーリケース120を固定するボデー130と、ボデー130と回転可能に嵌合して支持され、手動により上下方向に操作されることにより操作側プーリ110を回転駆動する操作部である操作ノブ140と、操作側プーリ110の外周上に対向して巻回されて固定され、操作側プーリ110のいずれの方向の回転によっても接続された空調側プーリを互いに逆方向に回転駆動する2本のケーブル160と、を有し、プーリケース120内に操作側プーリ110が収容されたプーリユニット100と、操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130は、操作側プーリ110の回転軸CLに直交する方向から組み込まれる構成とされている。
【0014】
(空調装置200)
図2は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10の操作対象となる空調装置200の空調ケース内の開閉ドア等の配置を示す概略構成の断面図である。
【0015】
空調装置200は、一方の開口端に空気取入口210、220が形成され、他方の開口端に吹出し口(図示省略)が形成された空調ケース230を備え、この空調ケース230が車両のインストルメントパネル内に配置されている。
【0016】
空調ケース230内には、ブロワファン240、エバポレータ241、エアミックスダンパ(ドア)242、ヒータコア243等が設けられ、空気取入口210、220の近傍に内外気切替ダンパ(ドア)250が設けられている。
【0017】
空調装置200は、ブロワモータ245によってブロワファン240を回転駆動して、空気取入口210、220から空気を吸引し、この空気をエバポレータ241、ヒータコア243を通過させて吹出し口から空調された風として車室内に吹き出す。このとき、空調装置200は、内外気切替ダンパ250によって車両外部と連通している空気取入口210が開放されることにより外気導入モードとなり、車室内と連通する空気取入口220が開放されることにより内気循環モードとなる。
【0018】
エバポレータ241は、コンプレッサ、コンデンサ、エキスパンションバルブ等との間で冷媒が循環される冷凍サイクルを形成して、空気取入口210、220から吸引される空気をエバポレータ241を通過するときに冷却する。また、ヒータコア243には、エンジン冷却水が循環されて、この冷却水によりヒータコア243を通過する空気を加熱する。
【0019】
エアミックスダンパ242は、ヒータコア243を通過する通路とヒータコア243をバイパスする通路とを分けており、エバポレータ241を通過した空気は、エアミックスダンパ242の開閉角度に応じてヒータコア243へ送られる空気とヒータコア243をバイパスする空気に分けられた後、混合される。これにより、エアミックスダンパ242の開閉角度によって車室内へ吹き出される空調された風の温度が調整される。
【0020】
車室内への吹出し口は、VENT吹出し口、HEAT吹出し口、DEF吹出し口の3系統に大別されている。VENT吹出し口は、インストルメントパネル5に配置され、主にD席、P席に着座した乗員へ向けて空調された風を吹き出す。HEAT吹出し口は、D席、P席に着座している乗員の足元へ向けて空調された風を吹き出す。また、DEF吹出し口は、主にフロントガラスへ向けて空調された風を吹き出す。
【0021】
空調装置200は、モード切替ダンパ(ドア)246によってVENT吹出し口、HEAT吹出し口、及びデフロスタ吹出し口が選択的に開閉されることにより、
(a)VENT吹出し口から空気を吹き出すVENTモード
(b)HEAT吹出し口から空気を吹き出すHEATモード
(c)デフロスタ吹出し口から空気を吹き出すDEFモード
(d)VENT吹出し口とHEAT吹出し口から空気を吹き出すBi−LEVELモード
(e)HEAT吹出口とデフロスタ吹出し口から空気を吹き出すHEAT/DEFモード
の5つのいずれかの吹出しモードが選択される。
【0022】
上記示した空調装置200は、図1に示した車両用空調機器の操作装置10により操作される。車両用空調機器の操作装置10の操作ノブ140を上下スライド操作して、操作側プーリ110、2本のケーブル160、および空調側プーリを介して、エアミックスダンパ242、モード切替ダンパ246、内外気切替ダンパ250の開閉、又は開閉角度を手動により操作することで、所望の空調された風が吹き出される。
【0023】
(操作ユニット150の構成)
図3は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10の全体分解斜視図である。
【0024】
本実施の形態では、空調装置200の温度設定、吹き出しモード設定、風量設定、および、内外気切替は、それぞれ独立した4つの操作ユニット150A、150B、150C、150Dの手動操作により遠隔制御される。図3で示す、操作ユニット150A、150B、150Dは基本構成が同じであるが、風量設定を行うための操作ユニット150Cはプーリユニット100が装着されず、ボデー130内にブロワモータ245の回転制御を行なうための回転スイッチまたは回転ポテンショメータが内蔵される点で異なる。
【0025】
温度設定、調整のための操作ユニット150Aは、操作側プーリ110A、プーリケース120A、ボデー130A、操作ノブ140A、導光板170A、表示パネル180Aから構成されている。吹き出しモード設定のための操作ユニット150Bは、操作側プーリ110B、プーリケース120B、ボデー130B、操作ノブ140B、導光板170B、表示パネル180Bから構成されている。また、内外気切替のための操作ユニット150Dは、操作側プーリ110D、プーリケース120D、ボデー130D、操作ノブ140D、導光板170D、表示パネル180Dから構成されている。ここで、表示パネル180A、B、Dにはそれぞれ図3で示すような機能説明のための記号または模様が表示され、背後に配置される導光板170A、B、Dからの照明により上記の記号または模様が照明表示される。従って、表示パネル180A、B、Dはそれぞれ異なる部品であるが、その他の構成部品は操作ユニット150A、150B、150Dで共通である。
【0026】
一方、風量設定を行うための操作ユニット150Cは、プーリユニット100が装着されず、ボデー130C内に回転スイッチまたは回転ポテンショメータが内蔵されており、操作ノブ140Cの上下スライド操作によりこれらを回転駆動して、ブロワモータ245の回転速度の制御を行なうことにより風量設定、風量調整を行なう。
【0027】
図4は、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10のプーリユニット100(100A、100B、100D)と、操作ノブ140(140A、140B、140D)を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130(130A、130B、130D)との組立て工程を示す概観斜視図である。以下では代表として、温度設定・調整のための操作ユニット150A(プーリユニット100A、操作ノブ140A、およびボデー130A)について説明する。
【0028】
プーリユニット100Aは、操作側プーリ110Aがプーリケース120A内に回転可能に収容され、図4に示す回転軸CLを中心に回転可能とされている。図5Aは、プーリユニット100と操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130が組立てられた状態での、図4における回転軸CLを含むA−A断面図である。また、図5Bは、図5AにおけるB−B断面図であり、図5Cは、図5AにおけるC−C断面図である。
【0029】
図5Aに示すように、操作側プーリ110Aは、回転軸CLを中心とする軸部111Aがプーリケース120Aの軸受部121Aに回転可能に嵌合し、軸部111と同軸にフランジ部112Aが軸部111Aよりも大なる径で段付形状で形成されて、後述する操作ノブ140Aの溝部141Aと嵌合し、回転軸方向に結合する。
【0030】
また、プーリケース120Aとボデー130Aには、それぞれ段付形状の嵌合部122A、131Aが形成されており、回転軸方向に結合する。
【0031】
操作側プーリ110Aは、図5Bにおいて示される平坦部114Aが形成され、これに対応する操作ノブ140Aの平坦受容部142Aと嵌合する。図4に示すように、操作側プーリ110Aの嵌合部分は、上記説明した平坦部114Aとこれを繋ぐ円周部115Aとで小判形状を呈し、一方、操作ノブ140Aの嵌合部分は、上記説明した平坦受容部142Aとそれを繋ぐ円周部143Aで、一方の側が開口するコの字形状あるいはC型形状とされている。これにより、操作側プーリ110Aと操作ノブ140Aは、図4に示す矢印M方向にスライドさせて組み込まれることにより、回転軸CLが一致した状態で回転方向に結合する。
【0032】
また、プーリケース120Aは、図5Cにおいて示される平坦部123Aが形成され、これに対応するボデー130Aの平坦受容部132Aと嵌合する。図5Cに示すように、プーリケース120Aの嵌合部分は、上記説明した平坦部123Aとこれを繋ぐ円周部125Aとで小判形状を呈し、一方、ボデー130Aの嵌合部分は、上記説明した平坦受容部132Aとそれを繋ぐ円周部134Aで、一方の側が開口するコの字形状あるいはC型形状とされている。これにより、プーリケース120Aとボデー130Aは、図4に示す矢印M方向にスライドさせて組み込まれることにより、回転軸CLが一致した状態で回転方向に結合する。
【0033】
尚、図5Bに示すように、操作側プーリ110Aの平坦部114Aの一部に係合突起部116Aが形成され、操作ノブ140Aの平坦受容部142Aに設けられた係止部146Aに係合突起部116Aが係合することにより、プーリユニット100Aが操作ノブ140Aを回転可能に嵌合して組み込んだボデー130A側に組み込み固定される。
【0034】
同様に、図5Cに示すように、プーリケース120Aの平坦部123Aの一部に係合突起部124Aが形成され、ボデー130Aの平坦受容部132Aに設けられた係止部133Aに係合突起部124Aが係合することにより、プーリケース120Aがボデー130Aに組み込み固定される。
【0035】
また、操作ユニット150Aは、図1または図3に示すように、隣接する操作ユニット150Bと連結される場合、操作ノブ140Aの側面側には他の操作ユニット150が組み込まれないので、操作ノブ140Aおよび操作側プーリ110Aがボデー130Aから脱落しないように、係止リング190が操作ノブ140A側からボデー130Aに嵌合して固定される構成とされている。
【0036】
操作側プーリ110Aの軸部111Aには、2本のケーブル160Aが巻回されている。図5A、5Bに示すように、2本のケーブル160Aは、それぞれ操作側プーリ110Aの溝部113Aに沿って180°対向して周方向に巻回され、図1で示す空調装置200側へ伸設されている。それぞれのケーブル160Aは、その一端部がインストルメントパネル5の前面側になるように操作側プーリ110Aに埋入して固定され、他端側は、ガイドチューブ320にガイドされながら空調装置200側の空調側プーリに繋がっている。
【0037】
操作ノブ140Aは、開口を有する環形状に形成され、図4に示すように、ボデー130Aのガイド部135Aに回転可能に嵌合する同心状の凸部145Aが設けられている。操作ノブ140Aは、この凸部145Aがボデー130Aに回転可能に嵌合して組み込まれる。そして、ノブ部144Aを手動により上下方向に縦スライドさせることで、操作側プーリ110Aを回転軸CLの回りの両方向に回転操作させることができる。
【0038】
操作ノブ140Aとボデー130Aの間に挟まれた周上には、導光板170A、表示パネル180Aが装着される。導光板170Aは光を透過する樹脂で形成され、後述するLEDからの光を導光して表示パネル180Aの記号または模様を照明表示する。
【0039】
上記説明した操作ユニット150(150A、150B、150C、150D)を構成する構造部品は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂により形成される。
【0040】
(電装ユニット400)
図3に示す電装ユニット400は、インシュレータ310上に、導光板170(170A、170B、170C、170D)を介して表示パネル180(180A、180B、180C、180D)を照明するためのLED420(420A、420B、420C、420D)が実装されている。インシュレータ310は、例えば、PBT(Polybutylene terephthalate)樹脂製で、表面には配線パターンが形成されて、上記のLED420以外にも必要に応じて他の電気部品等が実装され、コネクタ410により車両本体側の制御ECUに接続される。
【0041】
(操作ユニット150の組み立てと操作装置10としての動作)
各操作ユニット150(150A、150B、150C、150D)は、単独で、本発明の実施の形態に係る車両用空調機器の操作装置10としてその機能を発揮する。尚、各操作ユニット150が複数連結された形態でも操作装置10として機能するが、以下においては、単独で機能を発揮する操作ユニット150単体の組み立て工程を説明する。
【0042】
各操作ユニット150は、ボデー130側とプーリユニット100側でそれぞれ組み立てられた後に、プーリユニット100をボデー130側へ組み付けることにより組み立てられる。
【0043】
ボデー130には、導光板170および表示パネル180が装着され、ボデー130のガイド部135と操作ノブ140の凸部145が嵌合するように操作ノブ140がボデー130に組み込まれる。一方、プーリユニット100は、操作側プーリ110がプーリケース120内に回転可能に収容されて仮り組みされる。
【0044】
この状態で、図4に示す矢印M方向にスライドさせて、プーリユニット100をボデー130側に組み付ける。このとき、回転軸方向には、操作側プーリ110の軸部111がプーリケース120の軸受部121に回転可能に嵌合し、また、フランジ部112が操作ノブ140の溝部141と嵌合し、結合する。一方、回転方向には、操作側プーリ110の平坦部114と操作ノブ140の平坦受容部142Aが嵌合し、また、プーリケース120の平坦部123とボデー130の平坦受容部132Aが嵌合し、結合する。これにより、操作ノブ140の回転が操作側プーリ110に伝達される。尚、操作側プーリ110の係合突起部116が操作ノブ140の係止部146に係止され、また、プーリケース120の係合突起部124がボデー130の係止部133に係止されて、プーリユニット100がボデー130側に組み付けられた状態で固定される。
【0045】
操作ユニット150(150A、150B、150D)は、操作ノブ140のノブ部144(144A、144B、144D)を上下方向に縦スライドさせることで、それぞれの操作側プーリ110を回転軸CLの回りの両方向に回転操作させる。この回転動作により、操作側プーリ110に沿って180°対向して周方向に巻回されたそれぞれのケーブル160は引き動作を行なう。このケーブルの引き引き操作により、空調装置200の空調ケース内の開閉ドア等を遠隔操作する。
【0046】
操作ユニット150Aのノブ部144Aを上下方向に縦スライドさせてエアミックスダンパ242を遠隔操作により開閉角度を調整して空調装置200の温度設定を行なう。また、操作ユニット150Bのノブ部144Bを上下方向に縦スライドさせてモード切替ダンパ246を遠隔操作により開閉させて空調装置200の吹き出しモード設定を行なう。また、操作ユニット150Dのノブ部144Dを上下方向に縦スライドさせて内外気切替ダンパ250を遠隔操作により開閉させて空調装置200の内気循環モードを行なう。
【0047】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、以下のような効果を有する。
(1)操作ユニット150の操作ノブによる操作を、操作方向が上下である縦スライド式としたので、インストルメントパネル5に配置される場合の意匠面の小型化が可能となる。
(2)プーリケース120内に操作側プーリ110が収容されたプーリユニット100と、操作ノブ140を回転可能に嵌合して組み込んだボデー130は、互いに操作側プーリ110の回転軸に直交する方向からスライドして組み付けるので、組み立て工程が簡単化される。
(3)プーリユニット100を空調装置200側からボデー130側にスライドして組み付ける構成とすることができるので、ケーブル160の配索方向を任意の方向に向けることができる。また、ケーブル160を空調装置200に向って配索することができるのでケーブル160の鋭角の曲げ配索が回避でき、ケーブルのストレスの無い状態での配索が可能となる。
【0048】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは調整しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…車両
5…インストルメントパネル
10…操作装置
100、100A、100B、100D…プーリユニット
110、110A、110B、110D…操作側プーリ
111、111A、111B、111D…軸部
112、112A、112B、112D…フランジ部
113、113A、113B、113D…溝部
114、114A、114B、114D…平坦部
115、115A、115B、115D…円周部
116、116A、116B、116D…係合突起部
120、120A、120B、120D…プーリケース
121、121A、121B、121D…軸受部
122、122A、122B、122D…嵌合部
123、123A、123B、123D…平坦部
124、124A、124B、124D…係合突起部
125、125A、125B、125D…円周部
130、130A、130B、130C、130D…ボデー
131、131A、131B、131D…嵌合部
132、132A、132B、132D…平坦受容部
133、133A、133B、133D…係止部
134、134A、134B、134D…円周部
135、135A、135B、135D…ガイド部
140、140A、140B、140C、140D…操作ノブ
141、141A、141B、141D…溝部
142、142A、142B、142D…平坦受容部
143、143A、143B、143D…円周部
144、144A、144B、144C、144D…ノブ部
145、145A、145B、145D…凸部
146、146A、146B、146D…係止部
150、150A、150B、150C、150D…操作ユニット
160…ケーブル
170、170A、170B、170C、170D…導光板
180、180A、180B、180C、180D…表示パネル
190…係止リング
200…空調装置
210…空気取入口
220…空気取入口
230…空調ケース
240…ブロワファン
241…エバポレータ
242…エアミックスダンパ
243…ヒータコア
245…ブロワモータ
246…モード切替ダンパ
250…内外気切替ダンパ
310…インシュレータ
320…ガイドチューブ
400…電装ユニット
410…コネクタ
420…LED


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置の空気経路に設けられるドアを開閉操作する空調側プーリと、
車両のインストルメントパネル側に設けられる操作側プーリと、
前記操作側プーリを回転可能に収容するプーリケースと、
前記プーリケースを固定するボデーと、
前記ボデーと回転可能に嵌合して支持され、手動により上下方向に操作されることにより前記操作側プーリを回転駆動する操作部と、
前記操作側プーリの外周上に対向して巻回されて固定され、前記操作側プーリのいずれの方向の回転によっても接続された空調側プーリを互いに逆方向に回転駆動する2本のケーブルと、を有し、
前記プーリケース内に操作側プーリが収容されたプーリユニットと、前記操作部を回転可能に嵌合して組み込んだ前記ボデーは、前記操作側プーリの回転軸に直交する方向から組み込まれて構成されることを特徴とする車両用空調機器の操作装置。
【請求項2】
空調装置の空気経路に設けられるドアを開閉操作する空調側プーリと、
車両のインストルメントパネル側に設けられる操作側プーリと、
前記操作側プーリを回転可能に収容するプーリケースと、
前記プーリケースを固定するボデーと、
前記ボデーと回転可能に嵌合して支持され、手動により上下方向に操作されることにより前記操作側プーリを回転駆動する操作部と、
前記操作側プーリの外周上に対向して巻回されて固定され、前記操作側プーリのいずれの方向の回転によっても接続された空調側プーリを互いに逆方向に回転駆動する2本のケーブルと、を有し、
前記プーリケース内に操作側プーリが収容されたプーリユニットと、前記操作部を回転可能に嵌合して組み込んだ前記ボデーは、互いに前記操作側プーリの回転軸に直交する方向から組み込まれて結合する結合部をそれぞれ有することを特徴とする車両用空調機器の操作装置。
【請求項3】
前記操作部は、縦スライド式の操作ノブにより手動により上下方向に操作されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調機器の操作装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2011−116167(P2011−116167A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273018(P2009−273018)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】