説明

車両用空調装置およびブロワユニット交換作業方法

【課題】1つのモータと、このモータにより回転される一対のファンと、を有するブロワユニットを備えた車両用空調装置において、設計自由度の向上、ブロワユニットの交換作業性の向上、インテーク部の大型化抑制を可能とすること。
【解決手段】第1ファン41を収容して送風をユニットハウジングへ導く第1スクロール室を形成する第1スクロールケース部21と、第2ファンを収容して送風をユニットハウジングへ導く第2スクロール室を形成する第2スクロールケース部22と、ブロワユニット40と、を備え、ブロワユニット40を、第1スクロールケース部21に結合し、第1スクロールケース部21を、ユニットハウジング1に着脱可能に結合したことを特徴とする車両用空調装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関し、特に、モータの両側に一対のファンを備えるとともに、これらのファンの回転によりユニットハウジング内に空気を取り入れる一対のスクロール室を有したスクロールケースを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置において、モータの両側にモータと同軸に2個のファンを備えた一般にツインファンタイプと称されるものが、例えば、特許文献1などにより知られている。
このような従来技術では、熱交換器を収容するユニットハウジングの空気を取り入れるインテーク部に、モータおよび一対のファンを備えたブロワユニットが設置されている。
【0003】
このようなインテーク部には、第1ファンを収容する第1スクロール室を形成し、軸方向の両側に一対の開口を備えた第1スクロールケース部と、第2ファンを収容する第2スクロール室を形成し、軸方向の両側に一対の開口を備えた第2スクロールケース部とが設けられている。
また、各スクロールケース部の軸方向両端部には、それぞれ開口が設けられており、各スクロールケース部のモータ側の開口は、モータと一体の蓋部材で塞がれ、その反対側の開口は、空気取入用のインテークボックスが接続されている。
【0004】
そして、この従来技術では、モータやファンに異常が生じた場合には、このブロワユニットを交換可能となっていた。
すなわち、ブロワユニットを取り外す際には、ブロワユニットのユニットハウジングへの結合を解除し、ブロワユニットを、第1スクロールケース部および第2スクロールケース部に対して軸方向へ移動させる。このとき、例えば、ブロワユニットを第1ファンの側へ移動させる場合、第1ファンは、第1スクロールケース部の開口を通過させて外部へ抜き出す。一方、第2ファンは、第2スクロールケース部の開口から外部に抜き出した後、いったん、第1スクロールケース部の開口から第1スクロール室を通過し、第1スクロールケース部のもう一方の開口を通過させてから外部に抜き出す。
【0005】
また、交換するブロワユニットは、上記と逆工程で第1スクロールケースの外側の開口から第2スクロールケース部に向けて軸方向へ移動させる。すなわち、第2ファンは、第1スクロールケース部の両端の開口部を通過させた後、第2スクロール室の内側の開口から、第2スクロール室内に配置される。また、モータは、第1スクロールケース部の両端の開口部を通り抜けた後、両スクロールケース部の間に配置される。そして、第1ファンは、第1スクロールケース部の外側の開口を通り第1スクロール室内に配置される。
【特許文献1】EP1731339B1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、ブロワユニットの交換時には、第2ファンが、3つの開口を通過するまで軸方向へ移動させる必要があり、軸方向への移動距離が長く、車両用空調装置の設置位置に、このようなブロワユニットの移動を許容するスペースを確保するのが難しく、設計自由度に制限を与えていた。
そして、このようにブロワユニットを軸方向へ移動させる際には、両ファン、モータおよびモータを支持するホルダが、各スクロールケース部に設けられた各開口と干渉しないように、軸直交方向の変位量を小さく抑える必要がある。このため、ブロワユニットを軸方向へ移動させる作業に正確性が要求され、作業性が悪かった。また、このような干渉が生じないようにするために各開口の大きさを大きくすると、インテーク部の大型化を招くとともに、ファンの外周の空間が大きくなり、送風効率が悪化する。
【0007】
本発明は、上述の従来の問題に着目して成されたもので、1つのモータと、このモータにより回転される一対のファンと、を有するブロワユニットを備えた車両用空調装置において、設計自由度の向上、ブロワユニットの交換作業性の向上、インテーク部の大型化抑制を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、熱交換器を収容したユニットハウジングに設けられ、このユニットハウジングの内部に空気を取り入れるインテーク部と、このインテーク部に設置され、モータおよびこのモータの軸方向両側に設けられた第1ファンと第2ファンを備えたブロワユニットと、前記インテーク部に設けられ、前記第1ファンを収容して送風を前記ユニットハウジングへ導く第1スクロール室を形成する第1スクロールケース部と、前記インテーク部において、前記第1スクロールケース部と前記モータを挟んで略同軸に設けられ、前記第2ファンを収容して送風を前記ユニットハウジングへ導く第2スクロール室を形成する第2スクロールケース部と、
前記第2スクロールケース部において前記軸方向で前記第1スクロールケース部に近い側の端部に設けられ、前記第2ファンを通過可能な内径に形成された開口部と、を備え、前記ブロワユニットが、前記第1スクロールケース部に結合され、前記第1スクロールケース部が、結合部により前記ユニットハウジングに着脱可能に結合されていることを特徴とする車両用空調装置とした。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用空調装置において、前記第1スクロールケース部を、前記ユニットハウジングに対して、前記軸方向へ移動するのをガイドするスライドガイドを備えていることを特徴とする車両用空調装置とした。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用空調装置において、前記ユニットハウジングは、前記第1スクロールケース部から前記ユニットハウジングの内部へ送風を取り入れる取入口を備え、この取入口と前記第1スクロールケース部との間に、前記第1スクロールケース部側の遮蔽板と、前記ユニットハウジング側の遮蔽板とを内外に重ねて前記取入口の内外を遮蔽可能なインロー構造部が設けられ、このインロー構造部の両遮蔽板が、前記軸方向に延在されて前記スライドガイドを構成していることを特徴とする車両用空調装置とした。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、前記第1スクロールケース部に、前記モータを収容可能な円筒形に一体に形成された支持筒部が、前記第2スクロールケース部に向けて延在され、前記モータが、前記支持筒部に収容されていることを特徴とする車両用空調装置とした。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、前記結合部が、前記第1スクロールケース部の外周で、前記軸方向であって前記第1スクロールケース部を前記ユニットハウジングから取り外す方向から締結するビスを備えていることを特徴とする車両用空調装置とした。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、前記第1スクロールケース部において軸方向で前記第2スクロールケース部に近い端部に、前記第1ファンおよび前記モータを通過可能な内径に形成された開口部を備えていることを特徴とする車両用空調装置とした。
【0010】
また、上述の目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載された車両用空調装置のブロワユニット交換作業方法であって、前記結合部による前記第1スクロールケース部の前記ユニットハウジングに対する結合を解除する作業と、前記第1スクロールケース部を、前記ユニットハウジングに対して軸方向へ移動させ、前記第1スクロールケース部に結合された前記ブロワユニットの前記第2ファンを、前記第2スクロールケース部の前記開口部を通過させて前記第2スクロール室から抜き出す作業と、を実行することを特徴とするブロワユニット交換作業方法とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両用空調装置では、ブロワユニットの交換時には、まず、結合部による第1スクロールケース部のユニットハウジングに対する結合を解除し、第1スクロールケース部およびこれに支持されたブロワユニットを、ユニットハウジングから取り外す。
このとき、第1スクロールケース部には少なくとも第1ファンが収容されたままで、少なくとも第1ファンは、インテーク部のユニットハウジング側に固定されている部分に対して相対移動させる必要が無くなる。
したがって、ブロワユニットを、軸直交方向への変位を抑えて軸方向へ移動させる距離が短くなり、その分、作業性が向上する。
次に、新たなブロワユニットをユニットハウジングに取り付ける場合、あらかじめブロワユニットと第1スクロールケース部とが一体となったものを、ユニットハウジングに取り付けて固定する。このとき、ブロワユニットの第2ファンを、第2スクロールケース部の開口部から差し込む。
以上のように、本発明では、ブロワユニットの交換時に、第1ファンを第1スクロールケース部から抜き出す必要が無く、しかも、ブロワユニットの軸方向への移動距離が、ブロワユニットの全長に対して短い距離となる。
このように、ブロワユニット交換時のブロワユニットの軸方向への移動距離が短くて済むことから、車両用空調装置周辺のスペースを小さくでき、設計自由度が向上する。
加えて、ブロワユニットを軸直交方向への変位を抑えながら軸方向へ移動させる距離が短くなり、作業性精度を低くでき、作業性が向上する。しかも、作業精度を抑えることができることから、各開口部の内径寸法を小さく抑えることが可能となり、スクロールケースの小型化を図ることが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、第1スクロールケース部をユニットハウジングに対して軸方向へ移動させる際に、スライドガイドによりガイドされる。
したがって、この第1スクロールケース部の移動がスムーズに成され、かつ、第2ファンとモータ側開口部との干渉の回避も容易となり、さらに作業性が向上する。
請求項3に記載の発明では、第1スクロールケース部のスライドをガイドするスライドガイドが、取入口の送風を外部と遮蔽するインロー構造部を利用して形成されているため、インロー構造部とは別にスライドガイドを形成するものと比較して、構成を簡略化してコストダウンならびに小型化を図ることが可能となる。
請求項4に記載の発明では、第1スクロールケース部にモータおよび第1ファンが収容されている。したがって、第1スクロールケース部をユニットハウジングから取り外す際には、第2ファンを第2スクロールケース部の開口部を通過させて抜き出す。
この場合、ブロワユニットを、軸直交方向への変位量を抑えて移動させる必要のある距離は、第2ファンの軸方向寸法程度の距離で済ませることができる。
このように、ブロワユニットの軸直交方向の変位を抑えた移動距離がさらに短くなることから、さらに作業性が向上する。
【0013】
請求項5に記載の発明では、結合部による結合を解除する際には、第1スクロールケース部の取り外し方向側から、第1スクロールケース部の外周にドライバなどの治具を差し込んでビスを緩める。この第1スクロールケース部の取り外し方向には、第1スクロールケース部の移動を許容するスペースを確保する必要があることから、締結解除作業の作業スペースの確保も容易で、作業性に優れる。
請求項6に記載の発明では、ブロワユニットと第1スクロールケース部との結合を解除した際には、第1スクロールケース部の開口部を通過させて第1ファン、あるいはモータを取り出すことができる。また、車両の仕様の違いにより、第1スクロールケース部と第2スクロールケース部とを入れ替えて用いることも可能となる。すなわち、このような場合には、ユニットハウジングから第2スクロールケース部に結合されたブロワユニットを取り外す際に、第1ファンあるいはモータを、ユニットハウジングに結合状態の第1スクロール部の開口部を通過させて取り外すことができる。
請求項7に記載の発明では、ブロワユニットを取り外す際には、まず、結合部による第1スクロールケース部のユニットハウジングに対する固定を解除する。
次に、第1スクロールケース部およびこれに結合されたブロワユニットを軸方向に移動させ、ブロワユニットにおいて、少なくとも第2ファンを含み、第2スクロールケース部内に配置されている部分を、開口部を通過させて第2スクロール室の外部に抜き出す。
したがって、このときのブロワユニットの移動距離は、ブロワユニットにおいて第2スクロールケース部内に配置されている部分の軸方向の長さとなる。
その後、第1スクロールケース部およびこれに結合されたブロワユニットを車両から取り出す。
このように、本発明では、ブロワユニットの交換時におけるブロワユニットの軸方向への移動距離は、第2スクロールケース部内に配置されている部分の軸方向寸法相当の距離となり、ブロワユニットの全長よりも短い距離となる。
したがって、ブロワユニットを、開口部などとの干渉を避けて軸直交方向への変位量を抑えて軸方向に移動させる距離が短くなり、作業性が向上する。加えて、ブロワユニットの軸方向への移動距離が短くなることから、ブロワユニット交換に必要な車両用空調装置周辺のスペースを小さくでき、設計自由度が向上する。
さらに、作業精度を抑えることができることから、各開口部の内径寸法を小さく抑えることが可能となり、スクロールケースの小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態の車両用空調装置は、熱交換器を収容したユニットハウジング(1)に設けられ、このユニットハウジング(1)の内部に空気を取り入れるインテーク部(2)と、このインテーク部(2)に設置され、モータ(43)およびこのモータ(43)の軸方向両側に設けられた第1ファン(41)と第2ファン(42)を備えたブロワユニット(40)と、前記インテーク部(2)に設けられ、前記第1ファン(41)を収容して送風を前記ユニットハウジング(1)へ導く第1スクロール室(21a)を形成する第1スクロールケース部(21)と、前記インテーク部(2)において、前記第1スクロールケース部(21)と前記モータ(43)を挟んで略同軸に設けられ、前記第2ファン(42)を収容して送風を前記ユニットハウジング(1)へ導く第2スクロール室(22a)を形成する第2スクロールケース部(22)と、前記第2スクロールケース部(22)において前記軸方向で前記第1スクロールケース部(21)に近い側の端部に設けられ、前記第2ファン(42)を通過可能な内径に形成された開口部(22m)と、を備え、前記ブロワユニット(1)が、前記第1スクロールケース部(21)に結合され、前記第1スクロールケース部(21)が、結合部により前記ユニットハウジングに着脱可能に結合されていることを特徴とする車両用空調装置である。
【実施例1】
【0015】
以下に、図1〜図6に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1の車両用空調装置Aについて説明する。
図2は車両用空調装置Aの構成の概略を示す全体概略図であって、この車両用空調装置Aは、ユニットハウジング1と、インテーク部2と、を備えている。
【0016】
ユニットハウジング1は、樹脂などにより箱状に形成され、内部には、上部に開口された一対の取入口1a(図1参照)から図示を省略したデフ吹出口、フット吹出口、ベント吹出口に至る送風通路を備えている。そして、ユニットハウジング1は、この内部の図示を省略した送風通路に、図示を省略した冷却器や加熱器などを備え、送風の温度を調節可能であるとともに、送風の吹出口を切換可能に構成されている。
なお、本実施例1の車両用空調装置Aは、左ハンドル仕様の車両において、図1に示すインストルメントパネル100の裏側の車幅方向略中央に設置されるもので、図1ではインストルメントパネル100の上部を裏側(車両斜め前方)から視た状態で示している。また、各図において、矢印RS、矢印UP、矢印FRは、それぞれ、車両搭載状態で、車両右方向、車両上方、車両前方を示す。
【0017】
図2に戻り、インテーク部2は、スクロールケース20、第1インテークボックス31、第2インテークボックス32、ブロワユニット40を備えている。
【0018】
ブロワユニット40は、第1ファン41、第2ファン42、モータ43(図3参照)、ホルダ44、を備えている。
モータ43は、図3に示すように、矢印Yで示しモータ軸方向(以下、この矢印Y方向を軸方向と称する)の両側に突出した駆動軸431を備え、この駆動軸431の両端部に、第1ファン41と第2ファン42とが取り付けられている。したがって、両ファン41,42は、モータ43の駆動により一体的に回転する。
【0019】
第1ファン41および第2ファン42は、回転により軸方向から空気を吸い込んで、外径方向に吹き出すいわゆるシロッコタイプのファンであって、両者41,42は同径に形成されている。
【0020】
ホルダ44は、モータ43をスクロールケース20に保持するもので、本実施例1では樹脂で形成されており、モータ43の外周に装着された内筒部441と、この内筒部441から外径方向に起立された第1フランジ部442および第2フランジ部443と、を備えている。
なお、ホルダ44の外径は、第1ファン41および第2ファン42よりも大径に形成されている。
【0021】
スクロールケース20は、図1に示すように、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とベース23とを備えている。
【0022】
ベース23は、スクロールケース20の下部を形成し、ユニットハウジング1に結合されている。
すなわち、ベース23は、ユニットハウジング1の図示を省略した送風通路に連通された一対の取入口1a(図1では取入口1aの一方のみを示している)が開口されており、これらの取入口1aを送風通路(図示省略)に連通させた状態で、ユニットハウジング1の上部に結合される。なお、この結合は、本実施例1では、ベース23の複数箇所から下方に突出されたピン23pを、ユニットハウジング1の受部(図示省略)に差し込んで位置決めした状態で、複数箇所をビス(図示省略)でユニットハウジング1に締結することで成されている。
第2スクロールケース部22は、第2ファン42を収容し、第2インテークボックス32に吸入された送風を、ベース23の一方の取入口(図1では第2スクロールケース部22の下方に重なって配置されるため図示を省略している)に向けて送風するスクロール形状の第2スクロール室22a(図3参照)を備えている。
【0023】
そして、第2スクロールケース部22は、図示を省略した取入口の上方に連続する略長方形の筒状に形成された四角筒部221と、この四角筒部221に連続し、上述の第2スクロール室22aを形成するスクロール形状を形成するスクロール部222と、を備えている。なお、本実施例1では、第2スクロールケース部22は、上下に二分割された部材をビス(図示省略)で結合して形成されている。
【0024】
また、第2スクロールケース部22には、図3に示すように、左右の両端部に略同軸に、第2インテークボックス32に連通される略円形の外側開口部22kと、略円形の内側開口部22mとが開口されている。
さらに、内側開口部22mの周縁には、内外二重のフランジに挟まれて図において車両左方向に凹んだ形状の凹溝部22uが周状に延在されている。
【0025】
上述した第2スクロールケース部22は、下方向に突出された複数の係合ピン(図示省略)を、ベース23に形成された受穴(図示省略)に係合させて位置決めした状態で、複数個所を図5に示すビス76,77で締結して成されている。
すなわち、第2スクロールケース部22の四角筒部221の下端部に、2個の締結用フランジ226,227が、車両下方に延在されている。この締結用フランジ226,227は、ベース23の車両左方向の側壁234に当接される位置に配置されており、これら締結用フランジ226,227を、軸方向の車両左方向からビス76,77でベース23に締結している。
【0026】
第1スクロールケース部21は、図1に示すように、スクロール部211と支持筒部212とを備えている。
スクロール部211は、第1ファン41を収容し、第1インテークボックス31から吸入された送風を、取入口1aに向けて送風するスクロール形状の第1スクロール室21a(図3参照)を備えている。
また、第2スクロールケース部22と同様に、スクロール部211に一体に、取入口1aの上方に連続する略長方形の筒状に形成された四角筒部213を備えている。
【0027】
支持筒部212は、ホルダ44の両フランジ部442,443の外周にきつく嵌合してホルダ44を保持可能な内径の円筒形状に形成され、スクロール部211に連続して形成されている。
【0028】
さらに、第1スクロールケース部21には、図3に示すように、スクロール部211の軸方向の端部に、第1インテークボックス31に連通される略円形の外側開口部21kが開口され、かつ、支持筒部212の車両左方向の端部に、第2ファン42を挿通可能な内径を有した略円形の内側開口部21mが開口されている。
なお、スクロール部211と支持筒部212との間には、図3に示すように、径差による段差が形成されている。そして、この段差部分に、車両右方向の外側開口部22kに臨む段差壁面217が形成されている。
また、本実施例1では、第1スクロールケース部21は、上下に二分割された部材をビス(図示省略)で結合して形成されている。
【0029】
支持筒部212には、ブロワユニット40のホルダ44が圧入されている。このホルダ44の圧入状態で、ブロワユニット40は、図1に示すように、第1ファン41が第1スクロール室21a内に配置され、かつ、第2ファン42が支持筒部212から突出された状態で第1スクロールケース部21に保持されている。
【0030】
さらに、第1スクロールケース部21は、ベース23に軸方向へスライド可能に支持されている。
すなわち、ベース23には、図4に示すように、取入口1aの車両前後方向縁部に沿って、上方に凸となった遮蔽フランジ23f,23fが形成されている。
【0031】
一方、第1スクロールケース部21の下端部には、遮蔽板を2枚並設した断面略凹形状のスライド部216が形成され、このスライド部216が遮蔽フランジ23fに上方から緩く嵌合してインロー構造部200が形成されている。
このインロー構造部200により、取入口1aを流される送風が外部に漏れるのが防止され、かつ、第1スクロールケース部21は、遮蔽フランジ23fに沿って、軸方向にスライド可能に支持される。
【0032】
次に、第1スクロールケース部21のユニットハウジング1側への固定構造について説明する。
第1スクロールケース部21は、第2スクロールケース部22とベース23とに、ビス(結合部)71,72,73で固定されている。
すなわち、図1に示すように、第1スクロールケース部21の四角筒部213の車両右方向端部の下端から一対の第1固定用フランジ(結合部)214,214が車両下方へ突出されている。また、支持筒部212の先端部外周から斜め上方へ第2固定用フランジ215(結合部)が突出されている。
【0033】
一方、ベース23には、第1固定用フランジ214,214に軸方向に対向して、ビス71,72を締結可能なベース側ビス受部(結合部)231,232が形成されている。また、第2スクロールケース部22のスクロール部222の外周であって、第2固定用フランジ215に軸方向に重なる位置に、ビス73を締結可能なスクロール側ビス受部(結合部)223が形成されている。
【0034】
そして、第1スクロールケース部21を、インロー構造部200に沿って車両左方向へスライドさせて、ブロワユニット40の第2ファン42を第2スクロール室22aに挿入させたときに、支持筒部212の先端部21sが第2スクロールケース部22の凹溝部22uに差し込まれて突き当たり、かつ、第1固定用フランジ214,214が、ベース側ビス受部231,232に当接されるとともに、第2固定用フランジ215がスクロール側ビス受部223に当接される。
【0035】
この状態で、第1固定用フランジ214,214とベース側ビス受部231,232とをビス71,72で締結するとともに、第2固定用フランジ215とスクロール側ビス受部223とをビス73で締結することで、第1スクロールケース部21は、第2スクロールケース部22およびベース23を介してユニットハウジング1に固定される。
【0036】
図2に戻り、第1インテークボックス31および第2インテークボックス32は、それぞれ、車外の空気(以下、外気という)を取り入れる外気取入口31a,32aおよび車室内の空気(以下、内気という)を取り入れる内気取入口31b,32bを備えており、さらに、内部には、内気取入状態と外気取入状態とを切り換えるインテークドア(図示省略)が設置されている。
【0037】
また、第1インテークボックス31は、軸方向一端に略円形に形成された開口部31cを、第1スクロールケース部21の外側開口部21kに連続させて、第1スクロールケース部21に連続させた状態でユニットハウジング1に対して固定されている。このユニットハウジング1に対する固定は、第1インテークボックス31を、図示を省略した係合ピンなどで第1スクロールケース部21に係合させた状態で、ユニットハウジング1および第1スクロールケース部21に図示を省略したビスで車両右方向から締結されている。
なお、第2インテークボックス32も、同様の構成によりユニットハウジング1および後述する第2スクロールケース部22に固定され、図示を省略したビスで車両左方向から固定されている。
また、図示は省略するが、各インテークボックス31,32の開口部31c,32cと、各スクロールケース部21,22の外側開口部21k,22kとの間には、送風の漏れを抑制するインロー構造が形成されている。
【0038】
以上のように構成されたスクロールケース20に、図3に示すように、ブロワユニット40が収容されている。ブロワユニット40は、前述したように、ホルダ44が支持筒部212に嵌合されており、両スクロール室21a,22aは、ホルダ44に形成された第1フランジ部442、第2フランジ部443、モータ43により、区画されている。
【0039】
次に、実施例1の作用を説明する。
(組付手順)
インテーク部2のユニットハウジング1への組付手順を説明する。
まず、ブロワユニット40を第1スクロールケース部21に組み付ける。
すなわち、ホルダ44を、第1スクロールケース部21の支持筒部212に圧入し、その軸方向の位置を、あらかじめ決められた設定位置に配置させることで、図1に示すように、第1ファン41がスクロール部211の第1スクロール室21aに配置され、第2ファン42が支持筒部212から軸方向へ突出した状態とする。
【0040】
次に、ベース固定作業を行う。
すなわち、ユニットハウジング1の上部にベース23を固定する。この場合、ベース23の複数箇所において下方に突出されたピン23pを、ユニットハウジング1の受部(図示省略)に差し込み、かつ、複数箇所をビス(図示省略)でユニットハウジング1に締結する。
【0041】
次に、第2スクロールケース部22の組付作業を行う。
すなわち、ベース23に第2スクロールケース部22を固定する。この場合、第2スクロールケース部22から下方に突出された複数のピン(図示省略)をベース23に形成された受部(図示省略)に係合させて位置決めを行った後に、締結用フランジ226,227を、車両左方向からビス76,77によりベース23の側壁234に締結する。
【0042】
次に、第1スクロールケース部21およびブロワユニット40の組付作業を行う。
この場合、ブロワユニット40を組み付けた第1スクロールケース部21を、インロー構造部200のスライドガイド機能を利用して、ベース23に対して車両右方向側から車両左方向へ軸方向に沿ってスライドさせる。すなわち、第1スクロールケース部21のスライド部216を、ベース23の遮蔽フランジ23fに嵌め合わせた後、この遮蔽フランジ23fに沿ってスライドさせる。
【0043】
そして、第2ファン42を内側開口部22mから第2スクロール室22a内に挿入し、支持筒部212の先端部21sを、第2スクロールケース部22の内側開口部22mの周縁に形成された凹溝部22uに差し込んで突き当てる。これにより、第2スクロールケース部22と支持筒部212との間にインロー構造が形成される。
このとき、第1固定用フランジ214,214がベース側ビス受部231,232に対面するとともに、図6に示すように、第2固定用フランジ215がスクロール側ビス受部223に対面する。
【0044】
なお、上述の作業において、第2ファン42を内側開口部22mに挿入させる際には、第2ファン42の外周が内側開口部22mの内周と干渉しないように、ブロワユニット40を、軸直交方向への変位量を抑えながら軸方向に移動させる必要がある。本実施例1では、ブロワユニット40を、軸直交方向の変位を抑えて軸方向に移動させる必要のある距離は、第2ファン42の軸方向の長さ相当の距離であり、ブロワユニット40の全長に比べるとその半分以下の距離で済み、上記干渉が生じにくく、作業性に優れる。しかも、このブロワユニット40の軸方向の移動は、インロー構造部200の遮蔽フランジ23fによりガイドされ、軸直交方向への変位が抑えられることから、上記干渉が生じにくく作業性に優れる。
【0045】
その後、第1スクロールケース部21をユニットハウジング1に対して固定させる。
すなわち、車両右方向からビス71,72で第1固定用フランジ214,214をベース側ビス受部231,232に締結させ、同様に、ビス73で、第2固定用フランジ215をスクロール側ビス受部223に締結させ、第1スクロールケース部21を、ユニットハウジング1に結合されたベース23および第2スクロールケース部22に固定する(図6参照)。
【0046】
次に、インテークボックス組付作業を行う。
第1インテークボックス31の組み付けは、第1スクロールケース部21の外側開口部21kに開口部31cが連続するように配置し、図示を省略したビスにより車両右方向からベース23に締結する。
【0047】
第2インテークボックス32についても、第1インテークボックス31と左右対称に、第2スクロールケース部22の外側開口部22kに開口部32cを連続させた状態で、車両左方向から図示を省略したビスによりベース23に締結されている。
以上の工程を経て、インテーク部2は、図2に示す状態に組み付けられる。
【0048】
(ブロワユニット40の交換時)
ブロワユニット40に異常が生じた場合、本実施例1では、車両用空調装置Aを車体から取り外すことなく、ブロワユニット40を交換することができるもので、以下に、その手順を、図面を参照しつつ説明する。
【0049】
この交換作業は、実施例1の左ハンドル仕様の場合、車両用空調装置Aの車両右方向から作業する。
まず、第1インテークボックス取外作業を行う。
すなわち、インテーク部2から、図2に示すように第1インテークボックス31を取り外す。
この場合、車両用空調装置Aの車両右方向から軸方向に沿ってドライバ(図示省略)を差し込んで図示を省略したビスを緩め、第1インテークボックス31とユニットハウジング1との結合を解除し、第1インテークボックス31を車両右方向へ軸方向に沿って移動させる。
【0050】
次に、第1スクロールケース部取外作業を行う。
すなわち、ブロワユニット40が結合された第1スクロールケース部21をユニットハウジング1から取り外す。この場合、車両用空調装置Aの右側からドライバ(図示省略)を差し込んでビス71,72,73を緩め、第1スクロールケース部21の第2スクロールケース部22およびベース23に対する結合を解除する。
【0051】
そして、第1スクロールケース部21をベース23の遮蔽フランジ23fに沿って車両右方向へスライドさせる。このとき、ブロワユニット40は、第1スクロールケース部21と一体的にスライドされ、第2ファン42が第2スクロールケース部22の内側開口部22mを通過して第2スクロール室22aから取り出される。
このように、第2ファン42を第2スクロール室22aから取り出す際には、第2ファン42と内側開口部22mとが干渉しないように、軸直交方向への変位量を抑えて軸方向へ移動させる必要があるが、この際の移動距離は、第2ファン42の軸方向寸法相当であり、ブロワユニット40の全長と比較して半分以下の移動距離となり、作業性に優れる。しかも、このブロワユニット40の軸方向の移動は、インロー構造部200の遮蔽フランジ23fによりガイドされ、軸直交方向への変位が抑えられることから、上記干渉が生じにくく作業性に優れる。
【0052】
次に、ブロワユニット組付作業を行う。
まず、古いブロワユニット40を第1スクロールケース部21から取り外し、新たなブロワユニット40を、第1スクロールケース部21に組み付ける。あるいは、新規な第1スクロールケース部21とブロワユニット40とを組み付けたものを用いてもよい。
【0053】
次に、ブロワユニット40を組み付けた第1スクロールケース部21のスライド部216を、ベース23の遮蔽フランジ23fに嵌め合わせてインロー構造部200を形成し、このインロー構造部200に沿って第1スクロールケース部21をスライドさせて、設定位置に配置させる。
【0054】
その後、車両右方向からビス71,72,73を締結し、第1スクロールケース部21を第2スクロールケース部22およびベース23に締結する。
以上で、ブロワユニット40の交換作業を終える。
【0055】
以上説明したように、本実施例1では、以下に列挙する効果が得られる。
a)ブロワユニット40の交換時に、車両内における交換作業では、ブロワユニット40を他部品との干渉を抑えるために軸直交方向への変位量を抑えて軸方向に移動させる距離は、第2ファン42を、第2スクロールケース部22から引き出すのに必要な距離であって、第2ファン42の略軸方向寸法程度の距離となる。
しかも、第1ファン41を第1スクロールケース部21から抜き出すのは、車外作業となる。
したがって、ブロワユニット40を、軸直交方向への変位量を抑えながら軸方向へ移動させる距離が短くなり、作業性精度を低くでき、作業性が向上する。加えて、ブロワユニット40の軸方向への移動距離が短くて済むことから、ブロワユニット交換に必要な車両用空調装置周辺のスペースを小さくでき、設計自由度が向上する。
さらに、作業精度を抑えることができることから、各開口部の内径寸法を小さく抑えることが可能となり、各スクロールケース部21,22の小型化を図ることが可能となる。
【0056】
b)第1スクロールケース部21をユニットハウジング1に対して軸方向へ移動させる際に、インロー構造部200によりガイドされる。
したがって、この第1スクロールケース部21の移動がスムーズに成され、かつ、第2ファン42と第2スクロールケース部22の内側開口部22mとの干渉の回避も容易となり、さらに作業性が向上する。
【0057】
c)第1スクロールケース部21のスライドをガイドする遮蔽フランジ23fは、取入口1aの送風を外部と遮蔽するインロー構造部200の構成要素であるため、インロー構造部200とは別に第1スクロールケース部21のスライドをガイドする構成を追加するものと比較して、構成が簡略化され、コストダウンならびに小型化を図ることが可能となる。
【0058】
d)ブロワユニット40のホルダ44を、第1スクロールケース部21の支持筒部212に圧入させた。したがって、ブロワユニット40を第1スクロールケース部21に対して固定させるのにあたり、締結部材などを用いて固定するのと比較して、部品点数を削減でき、コストダウンおよび作業効率の向上を図ることができる。
【0059】
(他の実施例)
以下に、本発明の実施の形態の他の実施例について説明する。
なお、これら他の実施例を説明するのにあたり、実施例1と共通する構成には、実施例1で示した符号を付けることで、説明を省略する。また、作用についても、実施例1と共通する作用については説明を省略する。
【実施例2】
【0060】
上述した実施例1は、左ハンドル仕様であったが、実施例2では、右ハンドル仕様との部品の共通化を図った例である。すなわち、上述した実施例1のような左ハンドル仕様では、車両右側からの交換作業となるが、右ハンドル仕様では、車両左側からの交換作業となる。そこで、実施例2では、図7に示すブロワユニット240の交換を、ハンドル仕様に応じ、車両右側からと車両左側からと選択的に実行可能としている。
【0061】
このため、この実施例2で用いるブロワユニット240のモータ43に装着されたホルダ244は、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とに選択的に結合可能に形成されている。すなわち、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とを、それぞれ、特許請求の範囲でいう「ブロワユニットを結合させる第1スクロールケース部」として選択的に用いることができる。
また、実施例2では、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22との結合を、車両左側からと車両右側からと選択的に実行可能に形成されている。
【0062】
以下、これらの構成について詳細に説明する。
まず、ホルダ244について説明する。
実施例2では、ホルダ244を、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とに、選択的にビス止め可能としている。すなわち、第1スクロールケース部21には、スクロール部211と支持筒部212との間に形成された段差壁面217にビス穴(図示省略)が形成されている。そして、左ハンドル仕様に用いる図7に示すホルダ244には、車両右側の第1フランジ部442と一体に、ホルダ244を支持筒部212に挿入させた際に、ビス穴の位置で、段差壁面217に突き当たり、ビス271で締結可能な締結用フランジ442fが形成されている。
【0063】
一方、第2スクロールケース部22の内側開口部22mの周縁であって、凹溝部22uの背面側に形成された壁面229(図3参照)には、外側開口部22kに臨むように軸方向にビス穴(図示省略)が形成されている。そして、右ハンドル仕様の場合、図8に示すように、ホルダ244を、左ハンドル仕様とは軸方向で逆向きにしてブロワユニット240が組み付けられている。このブロワユニット240を、図8に示すように、第2スクロールケース部22の外側開口部22kから軸方向へ挿入させた場合に、ホルダ244の第1フランジ部442の締結用フランジ442fが、ビス穴の位置で壁面229に突き当たり、これをビス271で締結することができるよう形成されている。なお、図3に示す、実施例1のホルダ44は、内側開口部22mを通過できない外径に形成されているが、実施例2のホルダ244は、締結用フランジ442fを除いて、内側開口部22mを通過できる外径に形成されている。
【0064】
このように、実施例2では、ホルダ244を、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様とで、軸方向で向きを変えて使用し、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とに選択的にビス271で結合可能に形成されている。
【0065】
また、実施例2では、第2スクロールケース部22は、実施例1と同様に、図示を省略した取入口1aのインロー構造部を利用して、ベース23に軸方向にスライド可能に支持されている。なお、この構造は、実施例1の第1スクロールケース部21と同様であるので、図示は省略する。
【0066】
さらに、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22との結合構造について説明する。
実施例2では、第1スクロールケース部21には、第2固定用フランジ215と一体にビス受部218が車両前後方向に隣り合って形成されている。
さらに、第2スクロールケース部22にあっても、ビス受部218に軸方向に対向する位置であって、スクロール側ビス受部223に隣り合って、固定用フランジ228がスクロール側ビス受部223と一体に形成されている。
【0067】
すなわち、実施例2では、実施例1と同様に、第1スクロールケース部21の第2固定用フランジ215を第2スクロールケース部22のスクロール側ビス受部223に対し、車両右方向からビス73(図6参照)で締結可能となっているのに加え、第2スクロールケース部22の固定用フランジ228を、第1スクロールケース部21のビス受部218に対し、車両左方向からビス73で締結可能となっている。
【0068】
したがって、本実施例2では、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とのビス73による締結を、選択的に、左ハンドル仕様では車両右方向から行い、右ハンドル仕様では車両左方向から行うようにしている。
【0069】
以下に左ハンドル仕様と右ハンドル仕様との、装置組付手順およびブロワユニット240の交換手順をそれぞれ説明する。
(左ハンドル仕様)
まず、左ハンドル仕様の組付手順を説明する。なお、この場合は、実施例1と同様であるので、実施例1との相違点のみ説明する。
実施例2では、ホルダ244を第1スクロールケース部21にビス271で締結する。この場合、ブロワユニット240を、図7に示すように、第2ファン42を先にして、第1スクロールケース部21の外側開口部22kから軸方向に差し込み、ホルダ244の締結用フランジ442fを、内側開口部22mの周縁の段差壁面217に突き当て、ビス271を、車両右方向から軸方向に差し込み締結する。
その後の第1スクロールケース部21のベース23への組付などは、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0070】
次に、ブロワユニット240の交換の手順について説明する。
この場合も、実施例1と同様であり、車両右方向からビス71,72,73を緩め、第1スクロールケース部21のベース23および第2スクロールケース部22への締結を解除し、第1スクロールケース部21と一体にブロワユニット240を取り外す。
【0071】
(右ハンドル仕様)
まず、右ハンドル仕様の装置の組付手順を説明する。
右ハンドル仕様では、第2スクロールケース部22を、特許請求の範囲の第1スクロールケース部として用い、この第2スクロールケース部22に、あらかじめブロワユニット240を締結する。すなわち、図8に示すように、第2スクロールケース部22の外側開口部22kから、第1ファン41を先にしてブロワユニット240を差し込む。そして、ホルダ244の殆どの部分が内側開口部22mを通過し、締結用フランジ442fが、内側開口部22mの周縁の壁面229に突き当たったら、締結用フランジ442fの位置を図示を省略したビス穴の位置に一致させ、ビス271で締結する。これにより、第2スクロールケース部22にブロワユニット240が結合される。
【0072】
次に、第1スクロールケース部21を、実施例1と同様に、ビス71,72でベース23に締結する。
次に、ブロワユニット240を結合させた第2スクロールケース部22を、ベース23の車両左方向から軸方向に沿ってスライドさせ、ベース23に組み付ける。このとき、第1ファン41は、第1スクロールケース部21の支持筒部212を通過させて第1スクロール室21a内に配置させる。また、ホルダ244は、支持筒部212に配置させる。
【0073】
その後、第2スクロールケース部22の締結用フランジ226,227を、ベース23の側壁234にビス76,77で、車両左方向から軸方向に締結する。
さらに、第2スクロールケース部22の固定用フランジ228を、第1スクロールケース部21のビス受部218に車両左方向からビス73で締結する。
実施例2では、ビス73,76,77、締結用フランジ226,227、側壁234、固定用フランジ228、ビス受部218が、結合部となる。
このように、本実施例2では、右ハンドル仕様の場合、第2スクロールケース部22は、車両左方向からビス76,77によりベース23に締結されるとともに、ビス73で第1スクロールケース部21に締結されている。
【0074】
次に、ブロワユニット240の交換手順を説明する。
この場合、車両用空調装置の車両左側からの作業となる。
まず、第2スクロールケース部22をベース23に締結するビス76,77を緩めるとともに、第2スクロールケース部22を第1スクロールケース部21に締結するビス73を緩める。これにより、第2スクロールケース部22は、ユニットハウジング1に対する固定が解除される。
【0075】
そこで、取入口1aに沿って設けられたインロー構造部のスライドガイド機能を用いて第2スクロールケース部22を軸方向に沿って車両左方向にスライドさせる。このとき、ブロワユニット240は、第2スクロールケース部に結合されていることから、ブロワユニット240も軸方向に沿ってスライドされ、ホルダ244が支持筒部212の内側開口部21mを通過し、第1ファン41は、支持筒部212および内側開口部21mを通過して、第1スクロールケース部21の外部に移動する。
【0076】
この場合、ブロワユニット240を軸直交方向に変位しないように軸方向に移動させる距離は、第1ファン41とホルダ244とを併せた軸方向寸法となり、全長に比べて短い距離となり、作業性に優れる。
【0077】
その後、ユニットハウジング1から取り外した第2スクロールケース部22のビス271を緩めホルダ244の締結を解除し、第2スクロールケース部22からブロワユニット240を取り外す。
【0078】
以上説明したように、実施例2にあっても、ブロワユニット240を交換する際に、ブロワユニット240を、軸直交方向への変位量を抑えて軸方向に移動させる距離がブロワユニット240の全長よりも短い距離で済み、作業性に優れる。
【0079】
さらに、実施例2では、左ハンドル仕様と右ハンドル仕様とに対応し、ブロワユニット240の取り外し方向を任意に設定でき、汎用性に優れる。
しかも、左ハンドル仕様と右ハンドル仕様とは、ブロワユニット240を締結するビス271の締結方向と、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とを締結するビス73の締結方向を変えただけであり、部品を共用化している。このため、必要な部品点数が少なくて済み、低コスト化を図ることができる。
【0080】
また、実施例1と同様に、第2スクロールケース部22をユニットハウジング1に対して軸方向へ移動させる際に、インロー構造部200と同様のインロー構造部によりガイドされる。したがって、この第2スクロールケース部22の移動がスムーズに成され、かつ、第1ファン41と第1スクロールケース部21の内側開口部21mとの干渉の回避が容易となり、さらに作業性が向上する。
さらに、第2スクロールケース部22のスライドガイドを、インロー構造部を利用するため、構成が簡略化され、コストダウンならびに小型化を図ることが可能となる。
【0081】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1,2について詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0082】
例えば、実施例1,2では、インテーク部2は、ユニットハウジング1に結合されるベース23を備え、このベース23に、第1スクロールケース部21と第2スクロールケース部22とを着脱可能に形成したが、これら各スクロールケース部21,22を、ベース23を介在させずに、ユニットハウジング1に対して直接着脱可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の最良の実施の形態の実施例1の車両用空調装置Aの要部を示す分解斜視図である。
【図2】実施例1の車両用空調装置Aを示す分解斜視図である。
【図3】実施例1の車両用空調装置Aのスクロールケース20およびブロワユニット40を示す縦断面図である。
【図4】実施例1の車両用空調装置Aの第1スクロールケース部21を示す縦断面図である。
【図5】実施例1の車両用空調装置Aのインテーク部20を車両左方向から視た状態を示す側面図である。
【図6】実施例1の車両用空調装置Aのインテーク部20を車両右斜め前方向から視た状態を示す斜視図である。
【図7】実施例2の車両用空調装置の左ハンドル仕様のものを示す分解斜視図である。
【図8】実施例2の車両用空調装置の右ハンドル仕様のものを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ユニットハウジング
2 インテーク部
21 第1スクロールケース部
21a 第1スクロール室
21k 外側開口部
21m 内側開口部
22 第2スクロールケース部
22a 第2スクロール室
22k 外側開口部
22m 内側開口部
40 ブロワユニット
41 第1ファン
42 第2ファン
43 モータ
44 ホルダ
71 ビス(結合部)
72 ビス(結合部)
73 ビス(結合部)
76 ビス(結合部)
77 ビス(結合部)
200 インロー構造部
214 第1固定用フランジ(結合部)
215 第2固定用フランジ(結合部)
223 スクロール側ビス受部(結合部)
231 ベース側ビス受部(結合部)
232 ベース側ビス受部(結合部)
A 車両用空調装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を収容したユニットハウジングに設けられ、このユニットハウジングの内部に空気を取り入れるインテーク部と、
このインテーク部に設置され、モータおよびこのモータの軸方向両側に設けられた第1ファンと第2ファンを備えたブロワユニットと、
前記インテーク部に設けられ、前記第1ファンを収容して送風を前記ユニットハウジングへ導く第1スクロール室を形成する第1スクロールケース部と、
前記インテーク部において、前記第1スクロールケース部と前記モータを挟んで略同軸に設けられ、前記第2ファンを収容して送風を前記ユニットハウジングへ導く第2スクロール室を形成する第2スクロールケース部と
前記第2スクロールケース部において前記軸方向で前記第1スクロールケース部に近い側の端部に設けられ、前記第2ファンを通過可能な内径に形成された開口部と、
を備え、
前記ブロワユニットが、前記第1スクロールケース部に結合され、
前記第1スクロールケース部が、結合部により前記ユニットハウジングに着脱可能に結合されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記第1スクロールケース部を、前記ユニットハウジングに対して、前記軸方向へ移動するのをガイドするスライドガイドを備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記ユニットハウジングは、前記第1スクロールケース部から前記ユニットハウジングの内部へ送風を取り入れる取入口を備え、
この取入口と前記第1スクロールケース部との間に、前記第1スクロールケース部側の遮蔽板と、前記ユニットハウジング側の遮蔽板とを内外に重ねて前記取入口の内外を遮蔽可能なインロー構造部が設けられ、
このインロー構造部の両遮蔽板が、前記軸方向に延在されて前記スライドガイドを構成していることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第1スクロールケース部に、前記モータを収容可能な円筒形に一体に形成された支持筒部が、前記第2スクロールケース部に向けて延在され、
前記モータが、前記支持筒部に収容されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記結合部が、前記第1スクロールケース部の外周で、前記軸方向であって前記第1スクロールケース部を前記ユニットハウジングから取り外す方向から締結するビスを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記第1スクロールケース部において軸方向で前記第2スクロールケース部に近い端部に、前記第1ファンおよび前記モータを通過可能な内径に形成された開口部を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載された車両用空調装置のブロワユニット交換作業方法であって、 前記結合部による前記第1スクロールケース部の前記ユニットハウジングに対する結合を解除する作業と、
前記第1スクロールケース部を、前記ユニットハウジングに対して軸方向へ移動させ、前記第1スクロールケース部に結合された前記ブロワユニットの前記第2ファンを、前記第2スクロールケース部の前記開口部を通過させて前記第2スクロール室から抜き出す作業と、
を実行することを特徴とするブロワユニット交換作業方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−36827(P2010−36827A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204933(P2008−204933)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】