説明

車両用空調装置に用いられる送風ダクト

【課題】送風ダクトにおいて、送風路における送風抵抗の低減を図ると同時に組付性を向上させる。
【解決手段】送風ダクト10は、車両用空調装置12において車両前方側(矢印A方向)に設けられる第1ハウジング16と、前記第1ハウジング16に接続され前記車両後方側(矢印B方向)に設けられる第2ハウジング18とを含み、前記第1ハウジング16には、第2ハウジング18側に向かって延在する一対の分離壁26a、26bを有する。そして、分離壁26a、26bの先端部には、先端に向かって先細状の嵌合部28が設けられ、第2ハウジング18の第2壁部30に形成された嵌合溝34に挿入され嵌合される。これにより、送風ダクト10の内部が、センター送風路42と、該センター送風路42の両側に形成された一対のサイド送風路44a、44bとに分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、熱交換器によって温度調整のなされた空気を車室内へと送風して車室内の温度調整を行う車両用空調装置に用いられ、前記空気を車室内の所望の位置へと送風するための送風ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される車両用空調装置において、ハウジング内において冷却手段であるエバポレータにより冷却された冷風と、加熱手段であるヒータコアにより加熱された温風とを所望の混合比率で混合し、この混合された混合風を、車室内に開口した吹出口と前記ハウジングとを接続する送風ダクトを通じて前記車室内における所望の部位へと送風している。この送風ダクトは、例えば、樹脂製材料を成形することによって車両幅方向に長尺に形成され、その内部に形成された送風通路が複数の隔壁で仕切られ分離されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−236153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した送風ダクトにおいて、例えば、車両前後方向に分割されそれぞれ隔壁を有した2つのハウジングを互いに組み付けて構成する場合、成形時の歪み等に起因して隔壁同士を正確に組み付けることが困難なことがあり、これに伴って組付性の低下を招くこととなる。
【0005】
また、隔壁同士の組付性を向上させる目的で、例えば、一方の隔壁の端部に、他方の隔壁が嵌合可能なガイド手段を設けることが考えられるが、この場合、ガイド手段が送風通路側に突出することとなり、それに伴って、前記送風通路を流通する空気の抵抗となってしまう。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、送風路における送風抵抗の低減を図ると同時に、組付性を向上させることが可能な車両用空調装置に用いられる送風ダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、車両に搭載された車両用空調装置に接続され、該車両用空調装置で調温された空気を車室内における所望部位へと導く送風ダクトであって、
前記送風ダクトは、第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに組み合わされ、内部に送風路を形成する第2ハウジングと、
前記第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方に設けられ、前記送風路を分離する分離壁と、
を備え、
前記分離壁の端部には第1嵌合部が設けられ、該分離壁が設けられる第1及び第2ハウジングのいずれか一方と反対のハウジングには、前記第1嵌合部の嵌合される第2嵌合部が内壁面に設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、送風ダクトを構成する第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方に送風路を分離する分離壁を設け、前記分離壁の端部に設けられた第1嵌合部を、該分離壁が設けられる第1及び第2ハウジングのいずれか一方と反対のハウジングに設けられた第2嵌合部に対して嵌合させることで、前記分離壁が接続される。
【0009】
従って、例えば、第1及び第2ハウジングを成形によって形成する際、分離壁を前記第1及び第2ハウジングのいずれか一方に設けているため、2つのハウジングにそれぞれ隔壁を設けている従来技術に係る送風ダクトと比較し、成形によって生じる歪み(変形)を抑制することができる。その結果、分離壁を有する第1又は第2ハウジングを確実且つ容易に組み付けることができ、それに伴って、送風ダクトの組付性向上を図ることができる。また、分離壁の嵌合される第2嵌合部が送風ダクトの内側に突出することがないため、送風路を流通する空気の送風抵抗となることが防止される。
【0010】
さらに、第1嵌合部を、凸状に形成された突状部とし、第2嵌合部を、所定深さだけ窪んだ溝部とするとよい。
【0011】
さらにまた、突状部及び溝部の少なくともいずれか一方には、前記突状部を前記溝部へと案内するガイド部を設けるとよい。
【0012】
またさらに、溝部を、ハウジングの外壁面に対して外側に突出した膨出部内に形成するとよい。
【0013】
また、第1及び第2ハウジングは、車両の前後方向に断面湾曲形状に窪んだ窪み部を有し、膨出部を前記窪み部内に形成するとよい。
【0014】
さらに、送風ダクトには、第1ハウジングと第2ハウジングとを接続する接続部位を有し、第1嵌合部と第2嵌合部との嵌合部位と前記接続部位とを、前記第1及び第2ハウジングにおける車両幅方向と直交する方向にオフセットして配置するとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、送風ダクトを構成する第1及び第2ハウジングを、例えば、成形によって形成する際、分離壁を前記第1及び第2ハウジングのいずれか一方に設けているため、2つのハウジングにそれぞれ隔壁を設けている従来技術に係る送風ダクトと比較し、成形によって生じる変形を抑制することができるため、前記分離壁を有する第1又は第2ハウジングを確実且つ容易に組み付けることができ、それに伴って、送風ダクトの組付性向上を図ることができる。また、分離壁の嵌合される第2嵌合部が送風ダクトの内側に突出することがないため、送風路を流通する空気の送風抵抗となることを防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用空調装置に用いられる送風ダクトの外観斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3Aは、図2の近傍を示す拡大断面図であり、図3Bは、図2の近傍を示す拡大断面図である。
【図4】図4Aは、第1変形例に係る送風ダクトの断面図であり、図4Bは、第2変形例に係る送風ダクトの断面図であり、図4Cは、第3変形例に係る送風ダクトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る車両用空調装置に用いられる送風ダクトについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0019】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る送風ダクトを示す。なお、ここでは、車両用空調装置12を構成するケーシング14の上部に接続され、該ケーシング14内から供給される空気を、車両のフロントウィンドウ近傍へと送風するためのデフロスタ用の送風ダクト10について説明する。
【0020】
この送風ダクト10は、図1〜図3に示されるように、例えば、樹脂製材料から形成され、車両用空調装置12において車両前方側(矢印A方向)に設けられる第1ハウジング16と、前記第1ハウジング16に接続され前記車両後方側(矢印B方向)に設けられる第2ハウジング18とを含む。
【0021】
また、送風ダクト10の一端部10a及び他端部10bは、車両前後方向(矢印A、B方向)と直交する幅方向(矢印C方向)に沿って長尺に形成された長方形状に開口している。そして、送風ダクト10の一端部10aが、車両用空調装置12の上方に開口した吹出口(図示せず)に連結され、一方、前記送風ダクト10の他端部10bが、車室内に設けられたデフロスタ送風口(図示せず)へと接続される。
【0022】
さらに、送風ダクト10は、一端部10aから他端部10bに向けて徐々に幅方向に拡幅するように形成される。
【0023】
第1ハウジング16は、例えば、断面コ字状に形成され、車両前後方向(矢印A、B方向)と直交する幅方向(矢印C方向)に沿って長尺に形成される。この第1ハウジング16は、第1壁部20と、該第1壁部20の両端部にそれぞれ接合された一対の第1側壁部22a、22bとを含む。第1側壁部22a、22bは、該第1壁部20に対して直交して所定長さだけ突出するように形成される。また、第1ハウジング16は、その一端部10aから他端部10bに向けて車両前方側(矢印A方向)に湾曲した断面形状で形成される。
【0024】
第1側壁部22a、22bの先端部には、該第1側壁部22a、22bに対して薄厚で、第1壁部20から離間する方向(矢印B方向)に突出し、該第1側壁部22a、22bの延在方向に沿って凸部24がそれぞれ形成される。
【0025】
また、第1ハウジング16には、第1壁部20に対して直交し、前記第1側壁部22a、22bから幅方向(矢印C方向)に所定距離だけ離間した一対の分離壁26a、26bが設けられる。この分離壁26a、26bは、第1壁部20に対して所定長さだけ突出し、その長さは第1側壁部22a、22bの長さより長く設定される。なお、第1壁部20、第1側壁部22a、22b及び分離壁26a、26bは、それぞれ略同一の板厚で形成される。
【0026】
分離壁26a、26bの先端は、該先端に向かって先細状となる嵌合部(第1嵌合部)28を備え、後述する第2ハウジング18の嵌合溝(第2嵌合部)34に挿入する際に好適である。
【0027】
第2ハウジング18は、例えば、断面コ字状に形成され、第1ハウジング16と同様に、車両前後方向(矢印A、B方向)と直交する幅方向(矢印C方向)に沿って長尺に形成される。第2ハウジング18の幅寸法は、第1ハウジング16の幅寸法と同一に設定される。
【0028】
この第2ハウジング18は、第2壁部30と、該第2壁部30の両端部にそれぞれ接合された一対の第2側壁部32a、32bとを含む。第2壁部30は、第1ハウジング16と第2ハウジング18とが組み付けられた際、第1壁部20と略平行に配置されると共に、前記第2壁部30には、その両端部から所定距離だけ幅方向中央側となる位置に一対の嵌合溝34及び膨出部36が形成される。
【0029】
膨出部36は、第1ハウジング16の分離壁26a、26bに臨む位置に形成され、第2壁部30の外側から該第1ハウジング16から離間する方向(矢印B方向)に断面矩形状に膨出して形成される。嵌合溝34は、膨出部36と同様に第1ハウジング16の分離壁26a、26bに臨む位置に形成され、第2壁部30から膨出部36の内部まで延在するように所定深さで形成されると共に、第2壁部30側(矢印A方向)が大きく開口し、膨出部36側(矢印B方向)に向かって縮径するガイド部38を有する。
【0030】
換言すれば、嵌合溝34は、第1ハウジング16から離間する方向(矢印B方向)に向かって縮径するテーパ状に形成されたガイド部38を有する。
【0031】
すなわち、嵌合溝34及び膨出部36は、第2側壁部32a、32bと略平行に設けられ、且つ、該第2側壁部32a、32bの延在方向(矢印A、B方向)に沿って形成される。
【0032】
また、第2ハウジング18は、その一端部10aから他端部10bに向けて車両前方側(矢印A方向)に湾曲した断面形状で形成される。
【0033】
第2側壁部32a、32bは、第2壁部30に対して直交して所定長さだけ突出するように形成され、前記第2側壁部32a、32bの先端部には、該先端部に対して窪んだ凹部40がそれぞれ形成され、第1ハウジング16と第2ハウジング18とが組み付けられる際、第1側壁部22a、22bの凸部24が挿入される。なお、上述したように、第1側壁部22a、22bに凸部24を形成し、第2側壁部32a、32bに凹部40を形成する代わりに、前記第1側壁部22a、22bに凹部40を形成し、第2側壁部32a、32bに凸部24を形成して前記凸部24と前記凹部40とを接続するようにしてもよい。
【0034】
そして、送風ダクト10には、第1壁部20、第2壁部30及び一対の分離壁26a、26bとに囲まれたセンター送風路42が形成されると共に、前記センター送風路42を中心とした幅方向両側には、一方の分離壁26aと第1及び第2側壁部22a、32aとの間、他方の分離壁26bと第1及び第2側壁部22b、32bとの間に、それぞれ一対のサイド送風路44a、44bが形成される。
【0035】
本発明の実施の形態に係る送風ダクト10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に第1ハウジング16と第2ハウジング18とを組み付け、前記送風ダクト10を構成する場合について説明する。
【0036】
先ず、図示しない作業者が、第1ハウジング16の第1壁部20と第2ハウジング18の第2壁部30とを略平行とし、且つ、一対の第1側壁部22a、22bと第2側壁部32a、32bとが互いに一直線上となるように把持した後、前記第1ハウジング16と第2ハウジング18とを互いに接近させる。
【0037】
そして、第1側壁部22a、22bの凸部24を第2側壁部32a、32bの凹部40に挿入すると共に、分離壁26a、26bの嵌合部28を嵌合溝34へと嵌合させる。この際、嵌合部28は、テーパ状に形成されたガイド部38によって確実且つ好適に嵌合溝34へと導かれ、該嵌合溝34に挿入されることで嵌合される。これにより、第1ハウジング16と第2ハウジング18とが接続され、且つ、分離壁26a、26bが嵌合溝34を介して第2壁部30に接続されることで送風ダクト10が構成される。
【0038】
このように組み付けられた送風ダクト10は、一端部10a側が車両用空調装置12の上方に開口した吹出口(図示せず)に臨むように接続され、一方、他端部10bが、車室内に設けられたデフロスタ吹出口(図示せず)へと接続される。
【0039】
このように組み付けられた送風ダクト10では、車両用空調装置12の吹出口(図示せず)に供給された空気が、送風ダクト10の一端部10aからセンター送風路42、サイド送風路44a、44bへとそれぞれ供給され、他端部10b側に向かって流通した後に、デフロスタ吹出口(図示せず)へと吐出され、車室内においてフロントウィンドウ近傍へと送風される。
【0040】
以上のように、本実施の形態では、第1ハウジング16と第2ハウジング18とを組み合わせて送風ダクト10を構成する際、一対の分離壁26a、26bを前記第1ハウジング16側にのみ設けているため、2つのハウジングにそれぞれ隔壁を設けている従来技術に係る送風ダクトと比較し、前記第1及び第2ハウジング16、18を樹脂製材料から成形によって形成する際に生じる歪み(変形)を抑制することができる。その結果、分離壁26a、26bを有する第1ハウジング16と第2ハウジング18とを確実且つ容易に組み付けることができ、組付性の向上を図ることができる。
【0041】
また、一対の分離壁26a、26bの嵌合される嵌合部位が前記送風ダクト10の内側に突出することがないため、センター送風路42、サイド送風路44a、44bを流通する空気の流路抵抗(送風抵抗)となることが防止される。
【0042】
さらに、嵌合溝34は、第2ハウジング18の外側に膨出した膨出部36に形成されるため、分離壁26a、26bの嵌合部位がセンター送風路42及びサイド送風路44a、44b側に突出することが回避され、該嵌合部位が前記センター送風路42及びサイド送風路44a、44bを流通する空気の流路抵抗となることを防止することができる。
【0043】
さらにまた、嵌合溝34には、分離壁26a、26bの挿入方向(矢印B方向)に向かって徐々に縮径するガイド部38を設けているため、第1ハウジング16と第2ハウジング18とを組み付ける際、前記分離壁26a、26bの嵌合部28が前記ガイド部38に沿って嵌合溝34へと確実且つ好適に案内されることとなる。その結果、分離壁26a、26bの嵌合部28を、嵌合溝34に対して予め位置決めすることなく、前記嵌合部28を嵌合溝34に対して確実に嵌合させることができ、第1ハウジング16と第2ハウジング18との組付性向上を図ることができる。
【0044】
またさらに、第2ハウジング18に膨出部36を設けることで、該膨出部36が第2壁部30の延在方向に沿って形成されたリブとしても機能するため、前記第2ハウジング18の剛性を向上させることができる。
【0045】
また、第2壁部30に外側に膨出させた膨出部36を設けることで、該膨出部36に形成される嵌合溝34の深さをより深く設定することができるため、前記嵌合溝34に分離壁26a、26bをより深く挿入することができ、それに伴って、前記分離壁26a、26bと第2ハウジング18との間のシール性をより一層高めることができる。
【0046】
さらに、図2に示されるように、凸部24及び凹部40による第1及び第2ハウジング16、18の接続部位と、分離壁26a、26bの嵌合部28と嵌合溝34との嵌合部位とを異なる平面上に設けているため、送風ダクト10の車両幅方向(矢印C方向)と直交する厚さ方向(車両前後方向)において剛性の低い接続部位及び嵌合部位を分散させることができる。その結果、例えば、接続部位と嵌合部位を同一平面状に設けた場合と比較し、送風ダクト10のねじり剛性を高めることができる。
【0047】
換言すれば、第1及び第2ハウジング16、18の接続部位と、分離壁26a、26bと第2ハウジング18との嵌合部位とを、車両幅方向(矢印C方向)と直交する厚さ方向に所定距離だけオフセットして配置することで、送風ダクト10のねじり剛性を高めることが可能となる。
【0048】
また、第1及び第2ハウジング16、18を、その一端部10aから他端部10bに向けて車両前方側(矢印A方向)に湾曲した断面形状で形成し、その窪んだ窪み部を利用して膨出部36を第1及び第2壁部20、30の外側に突出させることで、前記第1及び第2ハウジング16、18の一端部10aから他端部10bに対して前記膨出部36が外側に突出することがなく、送風ダクト10の大型化が抑制され、しかも、前記膨出部36がリブとして機能するため、前記第2ハウジング18の剛性を高めることが可能となる。
【0049】
なお、上述した実施の形態においては、送風ダクト10がデフロスタに用いられる場合について説明したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、車両の車室内における乗員の顔近傍に送風を行うベント用の送風ダクト10として用いるようにしてもよいし、前記車室内における前記乗員の足元近傍に送風を行うヒーター用の送風ダクト10として用いるようにしてもよい。
【0050】
また、上述した本実施の形態に係る送風ダクト10のように、第1ハウジング16側に一対の分離壁26a、26bを設け、第2ハウジング18側に該分離壁26a、26bの嵌入される嵌合溝34を設ける場合に限定されるものではなく、例えば、図4Aに示される送風ダクト50のように、第2ハウジング52における膨出部54を、第1ハウジング16側(矢印A方向)となる内壁面に膨出させ、前記膨出部54に嵌合溝56を形成して分離壁58の嵌合部60を接続するようにしてもよいし、図4Bに示される送風ダクト70のように、第2ハウジング72に膨出部を設けることなく、第1ハウジング76側(矢印A方向)となる内壁面に凹部74を設け、前記第1ハウジング76において分離壁78の先端に設けた凸部80を挿入するようにしてもよい。
【0051】
さらに、図4Cに示される送風ダクト90のように、第1ハウジング92及び第2ハウジング94に対して1つずつ膨出部96a、96b及び嵌合溝98a、98bを形成すると共に、前記第1ハウジング92及び第2ハウジング94に対してそれぞれ1つずつ分離壁100a、100bを設け、それぞれ互い違いとなるように接続するようにしてもよい。
【0052】
すなわち、第1ハウジング92の分離壁100aが、第2ハウジング94の膨出部96bに形成された嵌合溝98bに嵌合されると共に、第2ハウジング94の分離壁100bが、第1ハウジング92の膨出部96aに形成された嵌合溝98aに嵌合される。
【0053】
このような構成とすることにより、第1ハウジング92の第1壁部20及び第2ハウジング94の第2壁部30に対してそれぞれ1つずつ膨出部96a、96bを設けることとなるため、前記膨出部96a、96bを第1及び第2壁部20、30の延在方向に沿って形成されたリブとして機能させることで、前記第1及び第2ハウジング92、94の剛性をそれぞれ同じように向上させることができる。換言すれば、第1ハウジング92と第2ハウジング94との剛性バランスが偏ることなく、それぞれ膨出部96a、96bによって送風ダクト90の剛性を向上させることが可能となる。
【0054】
なお、本発明に係る車両用空調装置に用いられる送風ダクトは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0055】
10、50、70、90…送風ダクト 12…車両用空調装置
14…ケーシング 16、76、92…第1ハウジング
18、52、72、94…第2ハウジング
20…第1壁部 22a、22b…第1側壁部
26a、26b、58、78、100a、100b…分離壁
28、60…嵌合部 30…第2壁部
32a、32b…第2側壁部 34、56、98a、98b…嵌合溝
36、54、96a、96b…膨出部 38…ガイド部
42…センター送風路 44a、44b…サイド送風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車両用空調装置に接続され、該車両用空調装置で調温された空気を車室内における所望部位へと導く送風ダクトであって、
前記送風ダクトは、第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに組み合わされ、内部に送風路を形成する第2ハウジングと、
前記第1ハウジング及び第2ハウジングのいずれか一方に設けられ、前記送風路を分離する分離壁と、
を備え、
前記分離壁の端部には第1嵌合部が設けられ、該分離壁が設けられる第1及び第2ハウジングのいずれか一方と反対のハウジングには、前記第1嵌合部の嵌合される第2嵌合部が内壁面に設けられることを特徴とする車両用空調装置に用いられる送風ダクト。
【請求項2】
請求項1記載の送風ダクトにおいて、
前記第1嵌合部は、凸状に形成された突状部であり、前記第2嵌合部は、所定深さだけ窪んだ溝部であることを特徴とする車両用空調装置に用いられる送風ダクト。
【請求項3】
請求項2記載の送風ダクトにおいて、
前記突状部及び溝部の少なくともいずれか一方には、前記突状部を前記溝部へと案内するガイド部が設けられることを特徴とする車両用空調装置に用いられる送風ダクト。
【請求項4】
請求項2又は3記載の送風ダクトにおいて、
前記溝部は、前記ハウジングの外壁面に対して外側に突出した膨出部内に形成されることを特徴とする車両用空調装置に用いられる送風ダクト。
【請求項5】
請求項4記載の送風ダクトにおいて、
前記第1及び第2ハウジングは、前記車両の前後方向に断面湾曲形状に窪んだ窪み部を有し、前記膨出部が前記窪み部内に形成されることを特徴とする車両用空調装置に用いられる送風ダクト。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の送風ダクトにおいて、
前記送風ダクトには、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを接続する接続部位を有し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との嵌合部位と前記接続部位とが、前記第1及び第2ハウジングにおける車両幅方向と直交する方向にオフセットして配置されることを特徴とする車両用空調装置に用いられる送風ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71485(P2013−71485A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210037(P2011−210037)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】