車両用空調装置の空調ユニット、車両用空調装置の空調ユニットの製造方法、空調ユニットの熱交換器搭載方法および空調ユニット用ケースの使用方法。
【課題】形状の異なる空調用の熱交換器を搭載しても、空調フィーリングの低下を抑制できる車両用空調装置の空調ユニットを提供する。
【解決手段】ケース2の取付部2aに適合する形状の蒸発器5’よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された蒸発器5および蒸発器5から流出した空気の流れ形態を調整する通風抵抗板6を隣接配置することによって形成されたものを蒸発器構造体7としたときに、この蒸発器構造体7を取付部2aに取り付けたときと、蒸発器5’を取り付けたときの空気通路を流れる空気の流れ形態が同等となるように通風抵抗板6を形成する。これにより、ケース2に蒸発器構造体7を取り付けた場合と蒸発器5’を取り付けた場合の空調フィーリングと変化を抑制できるので、同一のケース2に対して蒸発器5および蒸発器5’を使い分けることで空調ユニットの低コスト化を図ることができる。
【解決手段】ケース2の取付部2aに適合する形状の蒸発器5’よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された蒸発器5および蒸発器5から流出した空気の流れ形態を調整する通風抵抗板6を隣接配置することによって形成されたものを蒸発器構造体7としたときに、この蒸発器構造体7を取付部2aに取り付けたときと、蒸発器5’を取り付けたときの空気通路を流れる空気の流れ形態が同等となるように通風抵抗板6を形成する。これにより、ケース2に蒸発器構造体7を取り付けた場合と蒸発器5’を取り付けた場合の空調フィーリングと変化を抑制できるので、同一のケース2に対して蒸発器5および蒸発器5’を使い分けることで空調ユニットの低コスト化を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置において車室内へ空調風を送風する空調ユニット、その製造方法、さらに、空調ユニットへ空調用の熱交換器を搭載する熱交換器搭載方法、および、空調ユニット用ケースの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置において車室内へ空調風を送風する空調ユニットは、一般的に、その外殻を形成するとともに、室内送風空気の空気通路を形成する空調ユニット用ケース(以下、ケースという。)を有して構成される。
【0003】
さらに、このケース内(空気通路内)には、送風機から送風された空気を冷却する冷却用熱交換器である蒸気圧縮式冷凍サイクルの蒸発器、この蒸発器にて冷却された冷風を、エンジン冷却水を熱源として再加熱する加熱用熱交換器であるヒータコアといった空調用の熱交換器等の構成機器が取り付けられている。
【0004】
ところが、この種の空調ユニットでは、車両搭載上の都合により、その形状および体格に制約があるため、ケース内の空気通路を充分に大きく形成することが難しい。そのため、空調用の熱交換器等の取付位置が僅かに変化するだけで、空気通路内の空気流れ形態および通風抵抗が変化して、車室内送風空気の温度や風量が大きく変化してしまう。
【0005】
従って、例えば、特許文献1に記載された空調ユニットのように、ケース内の側壁部に取付部を形成し、空調用の熱交換器等の構成機器を取付部に取り付けて支持固定する構成が採用されている。
【特許文献1】特開2006−82694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、車両用空調装置に対する低コスト化ニーズが高くなり、このニーズに応える手段として、空調ユニット搭載部品の共通化が検討されている。例えば、異なる冷媒を用いる冷凍サイクルが適用される車両用空調装置において同一の冷房性能を発揮させるためには、空調ユニットの蒸発器以外のケースおよびその他搭載部品を共通化して、蒸発器のみを変更する手段が考えられる。
【0007】
しかしながら、特定の空調ユニットに対して、例えば、この特定の空調ユニットに適合するように設計された基準形状蒸発器(基準形状熱交換器)よりも空気流れ主流方向の幅が狭い幅狭形状蒸発器(幅狭形状熱交換器)を取り付けると、前述の如く、車室内送風空気の温度変化や風量変化を生じ、乗員の空調フィーリングが変化してしまうことがある。
【0008】
その結果、空調フィーリングを向上させるために、ケース内(空気通路)の形状、あるいは、制御パラメータのチューニングなどを改めて行う必要が生じ、低コスト化の妨げとなってしまう。
【0009】
上記点に鑑み、本発明は、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載しても、空調フィーリングの変化を抑制できる車両用空調装置の空調ユニットを提供することを第1の目的とする。
【0010】
また、本発明では、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる車両用空調装置の空調ユニットの製造方法を提供することを第2の目的とする。
【0011】
また、本発明では、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる空調ユニットの熱交換器搭載方法を提供することを第3の目的とする。
【0012】
また、本発明では、形状の異なる空調用の熱交換器を取り付けても、空調フィーリングの変化を招くことのない空調ユニット用ケースの使用方法を提供することを第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)と、取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向(A)の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と、幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて、幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを備え、
空気流れ調整部材(6、61、62)と幅狭形状熱交換器(5)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたときに、空気流れ調整部材(6、61、62)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されている車両用空調装置の空調ユニットを第1の特徴とする。
【0014】
これによれば、ケース(2)の取付部(2a)に対して、空気流れ調整部材(6、61、62)と幅狭形状熱交換器(5)とを隣接配置したもの、すなわち熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が同等となるので、車室内へ送風される空気の風量変化や温度変化を生じにくい。
【0015】
従って、ケース(2)に対して熱交換器構造体(7)を取り付けた場合の空調フィーリングと基準形状熱交換器(5’)を取り付けた場合の空調フィーリングとの変化を抑制できる。
【0016】
さらに、空調フィーリングを向上させるために、ケース(2)内(空気通路)の形状、あるいは、制御パラメータのチューニングなどを改めて行う必要がなく、特定の空調ユニットに対して、形状の異なる基準形状熱交換器(5’)と幅狭形状熱交換器(5)とを使い分けることが可能となり、空調用の熱交換器以外のケース(2)およびその他搭載部品を共通化して、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0017】
なお、本発明における「同等」とは、完全に同一となっていることのみを意味するものではなく、製造誤差、組付誤差によって微小に異なるものも「同等」という用語の範囲内に含むものとする。
【0018】
また、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の「吹出温度」としては、開口部(11、12、13)から吹き出される空気に温度分布を生じている場合は、平均温度を採用することができ、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の「吹出風量」としては、開口部(11、12、13)から吹き出される総風量を採用できる。
【0019】
さらに、開口部(11、12、13)が複数箇所に設けられている場合は、それぞれの開口部(11、12、13)から吹き出される空気の吹出温度と吹出風量とを同等とすればよい。
【0020】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6、61、62)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の空気通路を流れる空気の流れ形態が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の流れ形態と同等となるように形成されていてもよい。
【0021】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0022】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6、61、62)は、熱交換器構造体(7)の通風抵抗が、基準形状熱交換器(5’)の通風抵抗と同等となるように形成されていてもよい。
【0023】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0024】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の熱交換器構造体(7)の空気出口面の位置は、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の基準形状熱交換器(5’)の空気出口面の位置と同等であってもよい。
【0025】
これによれば、形状の異なる基準形状熱交換器(5’)と幅狭形状熱交換器(5)とを使い分けても、ケース(2)の取付部(2a)に容易に取り付けることができる。さらに、空気出口面の位置が変化しないので、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を容易に、同等とすることができる。
【0026】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6、61、62)は、幅狭形状熱交換器(5)の空気出口面に対して平行に配置された板状部材で形成されるとともに、幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気を通過させる通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)が形成されており、通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)は、通風孔配置範囲のうち内側よりも外側の通風面積が広くなるように形成されていてもよい。
【0027】
これによれば、後述する実施形態に説明するように、熱交換器構造体(7)から流出する空気の流れ方向と基準形状熱交換器(5’)から流出する空気の流れ方向とを容易に同等とすることができるので、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の空気の流れ形態と基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の空気の流れ形態とを同等として、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を容易に、同等とすることができる。
【0028】
また、本発明では、空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)を備える車両用空調装置の空調ユニットの製造方法であって、
取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)、および、幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を取付部(2a)に取り付ける取付工程を有し、
幅狭形状熱交換器(5)と空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、取付工程では、空気流れ調整部材(6、61、62)として、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いる車両用空調装置の製造方法を第2の特徴とする。
【0029】
これによれば、上述の第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットを製造できる。つまり、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる車両用空調装置の空調ユニットの製造方法を提供できるとともに、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、上記第2の特徴の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法において、取付工程では、熱交換器構造体(7)を形成した後に、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けてもよい。
【0031】
これによれば、空気流れ調整部材(6、61、62)と幅狭形状熱交換器(5)と一体化した状態で取り付けることができるので、取付部(2a)に対して容易に取り付けることができる。
【0032】
また、上記第2の特徴の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法において、取付工程では、取付部(2a)に空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けた後に、取付部(2a)に幅狭形状熱交換器(5)を取り付けてもよい。
【0033】
空気流れ調整部材(6、61、62)は、幅狭形状熱交換器(5)に対して、材料の選択あるいは形状において設計自由度が高いので、取付部(2a)に取り付けやすい構造とすることができる。従って、空気流れ調整部材(6、61、62)を取付部(2a)に取り付けた後に、幅狭形状熱交換器(5)を取付部(2a)に取り付けるようにすれば、幅狭形状熱交換器(5)の形状および構造を複雑化してしまうことを回避できる。
【0034】
また、上記第2の特徴の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法において、取付工程では、取付部(2a)に幅狭形状熱交換器(5)を取り付けた後に、取付部(2a)に空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けてもよい。
【0035】
これによれば、例えば、後述する第5実施形態に説明する構成において、取付部(2a)に対して、幅狭形状熱交換器(5)および空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けやすい。
【0036】
また、本発明は、空気が流れる空気通路を形成するとともに、空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)内に、空調用の熱交換器を搭載する空調ユニットの熱交換器搭載方法であって、
ケース(2)に形成された熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a、2b)に取り付ける第1取付工程、および、基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを取付部(2a、2b)に取り付ける第2取付工程のうち、いずれか一方の取付工程を選択し、
幅狭形状熱交換器(5)と空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、第2取付工程で用いられる空気流れ調整部材(6、61、62)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものであることを特徴とする空調ユニットの熱交換器搭載方法。空調ユニットの熱交換器搭載方法を第3の特徴とする。
【0037】
これによれば、第1の特徴の空調ユニットと同様に、ケース(2)に対して、熱交換器構造体(7)を取り付けた場合の空調フィーリングと基準形状熱交換器(5’)を取り付けた場合の空調フィーリングとの変化を抑制できる。従って、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる空調ユニットの熱交換器搭載方法を提供することができる。
【0038】
また、本発明は、空調ユニットにて空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)の使用方法であって、
第1空調ユニット(1’)を形成する場合には、取付部(2a、2b)に対して、取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を取り付け、第2空調ユニット(1)を形成する場合には、取付部(2a、2b)に対して、基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)および幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付け、さらに、空気流れ調整部材(6、61、62)として、第2空調ユニット(1)にて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、第1空調ユニット(1’)にて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いる空調ユニット用ケースの使用方法を第4の特徴とする。
【0039】
これによれば、第2空調ユニットにて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、第1空調ユニット(1’)にて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が同等となるので、第1の特徴の空調ユニットと同様に、第1空調ユニットにおける空調フィーリングと第2空調ユニットにおける空調フィーリングとの変化を抑制できる。
【0040】
従って、形状の異なる空調用の熱交換器を取り付けても、空調フィーリングの変化を招くことのない空調ユニット用ケースの使用方法を提供することができる。
【0041】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際に熱交換器構造体(7)を通過する空気の風速分布が、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際に基準形状熱交換器(5’)を通過する空気の風速分布と同等となるように形成されていてもよい。
【0042】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0043】
さらに、具体的に、熱交換器構造体(7)を通過する空気の風速分布と基準形状熱交換器(5’)を通過する空気の風速分布と同等とするために、空気流れ調整部材(6)の少なくとも一部は、幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ上流側に配置されており、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の熱交換器構造体(7)の空気入口面とケース(2)との距離は、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の基準形状熱交換器(5’)の空気入口面とケース(2)との距離と同等であってもよい。
【0044】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6)は、幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ下流側に配置されるとともに、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の熱交換器構造体(7)から吹き出される空気の吹出角度が、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の基準形状熱交換器(5’)から吹き出される空気の吹出角度と同等となるように形成されていてもよい。
【0045】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0046】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
(第1実施形態)
図1〜4により、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態の車両用空調装置の空調ユニット1(第2空調ユニット)の模式的な断面図であり、図2は、本実施形態の比較例となる車両用空調装置の空調ユニット1’(第1空調ユニット)の模式的な断面図である。なお、図2では、図1に対して同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
【0048】
空調ユニット1、1’は、車室内へ温度調整、湿度調整等がなされた空調風を送風するもので、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側に配置されている。また、空調ユニット1、1’は、その外殻を形成するとともに、車室内へ向かって送風される室内送風空気の空気通路を形成するケース2を有して構成されている。
【0049】
ケース2は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。また、ケース2の内部には、空調ユニットを構成する各構成機器を取り付ける取付部が形成されている。例えば、後述する空調用の熱交換器5’、7、8の取付部2a、2bとしては、空調用の熱交換器5’、7、8の外形形状に適合する形状の突出部あるいは段部が形成されている。
【0050】
さらに、ケース2は、車両幅方向の略中央部に車両上下方向の分割面を有しており、この分割面で左右2つの分割部に分割できる。そして、左右2つの分割部は、その内部に空調ユニット1、1’を構成する各種の構成機器を収容した状態で、金属バネ、クリップ、ネジ等の締結手段によって一体に結合されている。
【0051】
ケース2の空気流れ最上流部には、空気吸込口3が設けられている。なお、空気吸込口3の上流側には、図示しない内外気切替箱が配置されており、この内外気切替箱によって、吸込口3を介してケース2内に導入される空気が、内気(車室内空気)あるいは外気(車室外空気)に切り替えられる。
【0052】
空気吸込口3の空気流れ下流側には、車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機4が配置されている。送風機4は、周知の遠心多翼ファン4aを電動モータ4bによって回転駆動させて空気を送風するものである。
【0053】
また、図1に示すように、本実施形態の空調ユニット1では、送風機4の空気流れ下流側に、車室内送風空気を冷却する冷却用熱交換器である蒸発器5、および、蒸発器5から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材である通風抵抗板6を隣接配置した蒸発器構造体7(熱交換器構造体)が配置されている。
【0054】
本実施形態では、この蒸発器構造体7が、空調用の熱交換器の1つとして、ケース2の取付部2aに取り付けられて支持固定されている。なお、蒸発器構造体7の詳細については後述する。
【0055】
蒸発器構造体7の空気流れ下流側には、ヒータコア8が配置されている。ヒータコア8は、エンジン冷却水を熱源として、蒸発器構造体7通過後の空気(冷風)を再加熱する加熱用熱交換器である。従って、このヒータコア8も空調用の熱交換器の1つであり、ケース2の取付部2bに取り付けられて支持固定されている。
【0056】
蒸発器構造体7の空気流れ下流側であって、かつ、ケース2内のヒータコア8の側方には、バイパス通路9が形成されている。バイパス通路9は、蒸発器構造体7通過後の空気(冷風)が、ヒータコア8を迂回して流れるように、ヒータコア8に対して並列的に形成された通路である。
【0057】
蒸発器構造体7とヒータコア8との間には、エアミックスドア10が配置されている。エアミックスドア10は、サーボモータ(図示せず)あるいはマニュアル操作にて開度調整されることによって、蒸発器構造体7通過後の空気(冷風)のうち、ヒータコア8を通過する空気量(矢印B)とバイパス通路9を通過する空気量(矢印C)との風量割合を調整するものである。
【0058】
さらに、矢印B方向に流れてヒータコア8を通過した温風と矢印C方向に流れてバイパス通路9を通過した冷風は、ヒータコア8およびバイパス通路9の下流側で混合されて、車室内に吹き出される。従って、上記の風量割合の調整によって車室内吹出空気温度が調整される。つまり、エアミックスドア10は、車室内吹出空気の温度を調整する温度調整手段を構成する。
【0059】
ケース2の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ開口部11、乗員の顔部(上半身)に向けて空調風を吹き出すためのフェイス開口部12、および、乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット開口部13の計3種類の開口部が設けられている。
【0060】
デフロスタ開口部11は、図示しないデフロスタダクトを介して計器盤上面のデフロスタ吹出口に接続され、フェイス開口部12は、図示しないフェイスダクトを介して計器盤上面乗員側面のフェイス吹出口に接続され、さらに、フット開口部13は図示しないフットダクトを介して乗員の足元近傍に配置されるフット吹出口に接続されており、各吹出口から車室内へ空調風が吹き出される。
【0061】
また、これら開口部11〜13の上流部には、それぞれデフロスタドア14、フェイスドア15およびフットドア16が回転自在に配置されている。これらのドア14〜16は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ(図示せず)あるいはマニュアル操作によって開閉操作される。
【0062】
例えば、フェイス開口部12を介して乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出すフェイスモードではフェイスドア15のみが開き、フェイス開口部12を介して乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出すと同時にフット開口部13を介して乗員の足元側に向けて空調風を吹き出すバイレベルモードでは、フェイスドア15およびフットドア16が開く。
【0063】
また、主にフット開口部13から乗員の足元側に向けて空調風を吹き出すフットモードでは、デフロスタドア14が、デフロスタ開口部11を僅かに開放した状態で、フットドア16がフット開口部13を開く。なお、図1、2では、デフロスタドア14とフットドア16とを同時に開放するフット・デフロスタモードの状態を示している。
【0064】
一方、図2に示すように、比較例の空調ユニット1’では、蒸発器構造体7は設けられておらず、蒸発器5’が、空調用の熱交換器の1つとしてケース2の取付部2aに取り付けられて支持固定されている。その他の比較例の空調ユニット1’の構成は、本実施形態の空調ユニット1の構成と全く同様である。
【0065】
次に、本実施形態の蒸発器構造体7および比較例の蒸発器5’について説明する。前述の如く、蒸発器構造体7は、蒸発器5および通風抵抗板6を隣接配置したものであり、この蒸発器5と比較例の蒸発器5’は、図示しない周知の蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する冷凍サイクル構成要素の一つである。
【0066】
従って、蒸発器5、5’は、いずれもその内部に流入した低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることで、送風機4によって送風された送風空気を冷却する冷却機能を発揮する点で共通しており、図1、2に示すように、それぞれの外形形状が異なる点で相違している。
【0067】
具体的には、比較例の蒸発器5’の外形形状は、図2に示すように、ケース2の取付部2aに適合する形状になっている。これに対して、本実施形態の蒸発器5は、比較例の蒸発器5’に対して、空気の主流流れ方向(矢印A方向)の幅寸法(厚み寸法)が短く形成されている。従って、本実施形態では、蒸発器5’が特許請求の範囲に記載された基準形状熱交換器に相当し、蒸発器5が幅狭形状熱交換器に相当する。
【0068】
なお、蒸発器5、5’は、周知のフィンアンドチューブ型の熱交換器で構成されており、ケース2内を流れる空気の主流流れ方向(矢印A方向)に対して略垂直に広がる矩形状の空気入口面と空気出口面を有して形成される。
【0069】
通風抵抗板6については、図3により説明する。なお、図3は、蒸発器構造体7の空気出口面側から見た外観斜視図である。通風抵抗板6は、図3に示すように、蒸発器5の空気出口面に対して平行に配置された樹脂製の板状部材であり、空気出口面の全域を覆うように矩形状に形成されている。本実施形態では、通風抵抗板6をケース2と同じ材質の樹脂で形成しているが、もちろん金属で形成してもよい。
【0070】
通風抵抗板6の空気の主流流れ方向(矢印A方向)の幅寸法(厚み寸法)は、取付部2aに蒸発器構造体7を取り付けた際の蒸発器構造体7の空気出口面(具体的には、通風抵抗板6の空気出口面)の位置が、取付部2aに蒸発器5’を取り付けた際の蒸発器5’の空気出口面の位置と同等となるように形成されている。
【0071】
また、通風抵抗板6の板面には、蒸発器5から流出した空気を通過させる略円形状の複数の通風孔6aが形成されている。この通風孔6aは、通風抵抗板6の板面の全域に配置されており、内側よりも外側の通風面積が広くなるように配置されている。
【0072】
本実施形態では、具体的に、内側に形成される通風孔6aに対して外側に形成される通風孔6aの数を多くすることによって、内側よりも外側の通風面積を広くしている。さらに、複数の通風孔6aの総開口面積(総通風面積)は、蒸発器構造体7の通風抵抗が、蒸発器5’の通風抵抗と同等となるように調整されている。
【0073】
次に、本実施形態の空調ユニット1の製造方法について説明する。まず、本実施形態では、蒸発器5と通風抵抗板6とを予め蒸発器構造体7として一体化した状態のものをケース2の取付部2aに取り付けている。具体的には、通風抵抗板6に形成された図示しない爪状の係止部によって通風抵抗板6を蒸発器5に係止することによって一体化している。
【0074】
もちろん、ボルト止め、クリップ止め等の締結手段あるいは接着等によって蒸発器5と通風抵抗板6とを一体化してもよい。さらに、金属製の通風抵抗板6を採用した場合は、溶接、ろう付け等の接合手段によって一体化してもよい。
【0075】
そして、この蒸発器構造体7を分割された状態のケース2の取付部2aに嵌挿し、さらに、その他の構成部品を分割された状態のケース2の各取付部に取り付けた状態で、ケース2の左右2つの分割部同士を締結する。これにより、本実施形態の空調ユニット1が製造される。
【0076】
なお、本実施形態では、蒸発器構造体7をケース2の取付部2aに嵌挿するだけで支持固定できるようになっているが、もちろん、一方の分割部の取付部2aに対して、蒸発器構造体7をボルト止め等によって固定した状態で、ケース2の分割部同士を締結するようにしてもよい。
【0077】
次に、上記構成における本実施形態の空調ユニット1の作動について説明する。図示しない車両走行用エンジンの作動状態において、車両用空調装置を作動させると空調制御装置から出力される制御信号によって、送風機4が回転駆動され、エアミックスドア10の開度が調整され、各開口部11〜13上流側の各ドア14〜16が開閉操作され、さらに、上述の冷凍サイクルが作動状態となる。
【0078】
送風機4から送風された送風空気は、蒸発器構造体7にて冷却され、その一部がエアミックスドア10の開度に応じて、ヒータコア8にて再加熱される。そして、ヒータコア8を通過した温風とバイパス通路9を通過した冷風が、ヒータコア8およびバイパス通路9の下流側で混合されて、温度調整された空調風となる。
【0079】
そして、温度調整された空調風が、ドア14〜16の開閉状態に応じて、各開口部11〜13へ流れ、各吹出口から車室内に吹き出されることによって、車室内の空調がなされる。なお、比較例の空調ユニット1’の作動についても同様である。
【0080】
さらに、本実施形態では、上記構成の蒸発器構造体7を採用することによって、空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態と比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態とを同等として、各開口部11〜13から各吹出口を介して車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができるので、空調ユニット1および空調ユニット1’の乗員の空調フィーリングを同等とすることができる。
【0081】
このことを図4に基づいて説明する。図4は、本発明者らの検討によって得られた、図1、2のD部周辺に相当する空気通路の空気の流れ形態を示す数値解析シミュレーション結果である。図4(a)は、比較例の空気通路を流れる空気の流れ形態を示し、図4(b)は、本実施形態の空気通路を流れる空気の流れ形態を示し、図4(c)は、本実施形態の空調ユニット1から通風抵抗板6を廃止した場合の空気の流れ形態を示している。
【0082】
なお、図1、2は、空調ユニット1、1’の全体構成を説明するために模式的な断面図を示しているが、図4は、実際の空調ユニット1、1’と略同等の形状の数値解析シミュレーション結果を示している。従って、図1、2と図4とでは、図示された断面形状が若干異なっている。また、図4中の太破線矢印は、それぞれ蒸発器5、5’および蒸発器構造体7から流出した空気の代表的な流れ方向を示している。
【0083】
図4(a)および(c)から明らかなように、通風抵抗板6を廃止して蒸発器5のみをケース2に取り付けると、蒸発器5下流側の空気流れ形態が、蒸発器5’下流側の空気流れ形態に対して変化してしまう。これに対して、図4(a)および(b)から明らかなように、蒸発器構造体7をケース2に取り付けることによって、蒸発器構造体7下流側の空気流れ形態を、蒸発器5’下流側の空気流れ形態と同等とすることができる。
【0084】
つまり、通風抵抗板6の複数の通風孔6aの総通風面積を調整することによって、蒸発器構造体7全体としての通風抵抗と蒸発器5’の通風抵抗とを同等とし、さらに、通風抵抗板6の通風孔配置範囲のうち内周側よりも外周側の通風面積を広く形成することによって、蒸発器構造体7から流出する冷風の風向と蒸発器5’から流出する冷風の風向とを同等とする。
【0085】
これにより、空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態と比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態とを同等とすることができ、空調ユニット1にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を、空調ユニット1’にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができる。その結果、共通するケース2に対して蒸発器構造体7を取り付けた場合、および、蒸発器5’を取り付けた場合における乗員の空調フィーリングの変化を抑制できる。
【0086】
つまり、本実施形態の空調ユニット1によれば、比較例の空調ユニット1’に対して、ケース2およびその他搭載部品を共通化して、蒸発器5、5’のみを変更しても、空調フィーリングを向上させるために、ケース2内(空気通路)の形状、あるいは、制御パラメータのチューニングなどを改めて行う必要がない。
【0087】
従って、蒸発器以外のケース2およびその他搭載部品を共通化して、形状の異なる基準形状熱交換器である蒸発器5’と幅狭形状熱交換器である蒸発器5とを使い分けることができ、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0088】
なお、上述した本実施形態の空調ユニット1の製造方法については、換言すると、取付部2aに対して蒸発器5、5’を取り付ける蒸発器(熱交換器)の搭載方法として表現することができる。つまり、本実施形態では、基準形状熱交換器である蒸発器5’を取り付ける第1取付工程、および、蒸発器構造体7を取り付ける第2取付工程のうちいずれか一方の取付工程を選択することが可能な蒸発器の搭載方法を採用している。
【0089】
従って、ケース2に対して、形状の異なる基準形状熱交換器である蒸発器5’と幅狭形状熱交換器である蒸発器5とを使い分けることができる。
【0090】
また、本実施形態では、蒸発器以外のケース2およびその他搭載部品の使用方法として、基準形状熱交換器である蒸発器5’を取り付けた空調ユニット1’(第1空調ユニット)を形成する場合と、蒸発器構造体7を取り付けた空調ユニット1(第2空調ユニット)を形成する場合とを使い分けることが可能な使用方法を提供している。
【0091】
従って、空調ユニット1、1’を形成する際に、ケース2を共通化して、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0092】
(第2実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を採用した例を説明したが、本実施形態では、図5に示す通風抵抗板61を採用している。この通風抵抗板61は、具体的には、内側に形成される円形状の通風孔61aに対して外側に形成される通風孔61bの通風面積を大きくすることで、内側よりも外側の通風面積を広くしている。
【0093】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような通風抵抗板61を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0094】
(第3実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を採用した例を説明したが、本実施形態では、図6に示す通風抵抗板62を採用している。この通風抵抗板62は、具体的には、通風孔62a、62bを格子形状に形成するとともに、内側に形成される矩形状の通風孔62aに対して外側に形成される通風孔62bの通風面積を大きくすることで、内側よりも外側の通風面積を広くしている。
【0095】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような通風抵抗板62を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0096】
(第4実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を蒸発器5に対して空気流れ下流側(空気出口面側)に隣接配置して蒸発器構造体7を形成しているが、本実施形態では、図7に示すように、通風抵抗板6を蒸発器5に対して空気流れ上流側(空気入口側)に隣接配置して蒸発器構造体7を形成している。
【0097】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような配置を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0098】
(第5実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を蒸発器5に対して空気流れ下流側(空気出口面側)に隣接配置して蒸発器構造体7を形成しているが、本実施形態では、図8に示すように、通風抵抗板6を通風抵抗板6b、6cの2枚に分割して、蒸発器5に対して空気流れ上流側(空気入口面側)および下流側(空気出口面側)にそれぞれ隣接配置している。
【0099】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような配置を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0100】
(第6実施形態)
上述の各実施形態では、空調ユニット1および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態が同等となるようにして、各開口部11〜13から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とした例を説明したが、本実施形態では、図9に示すように、通風抵抗板6、61、62によって、空調ユニット1にて蒸発器構造体7を通過する空気の風速分布が、空調ユニット1’にて蒸発器5’を通過する空気の風速分布と同等となるようにした例を説明する。
【0101】
なお、図9は、本実施形態の空調ユニット1(第2空調ユニット)を車両上方向から見た水平方向の一部断面図であり、図10は、本実施形態の比較例となる空調ユニット1’(第1空調ユニット)の水平方向の一部断面図である。なお、図9、10では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
【0102】
本実施形態の空調ユニット1および比較例の空調ユニット1’は、内外気切替箱および送風機4を収容する送風機側ユニットが車両計器盤内側のうち助手席側に配置され、蒸発器構造体7および蒸発器5’、ヒータコア8等を収容する熱交換器側ユニットが、車両計器盤内側のうち車両幅(左右)方向略中央部に配置される、いわゆるセミセンタ置きタイプの空調ユニットである。
【0103】
この種のセミセンタ置きタイプの空調ユニットでは、送風機4から送風された送風空気の主流流れ方向Aが、蒸発器5’あるいは熱交換器構造体7の上流側直前で、車両幅方向(車両左右方向)の車両前後方向へ方向転換する。このため、蒸発器5’あるいは熱交換器構造体7の内部を通過する空気に風速分布を生じやすい。
【0104】
このため、例えば、図10の空調ユニット1’では、ケース2のうち、蒸発器5’の空気入口面に対向する面に、段差部21a設ける等の手段を採用して、蒸発器5’の内部を通過する空気に風速分布が生じてしまうことを抑制している。
【0105】
なお、図10では、段差部21aを2箇所に設けているが、段差部21aの数は、単数でも3箇所以上の複数でもよい。さらに、段差部21aを設ける手段のみならず、ケース2のうち蒸発器5’の空気入口面と対向する面に、蒸発器5’へ向かって突出する突出部を設ける手段を採用してもよい。
【0106】
そこで、本実施形態では、空調ユニット1における蒸発器構造体7の空気入口面とケース2とのを、空調ユニット1’における蒸発器5’の空気入口面とケース2とのと同等とする通風抵抗板6を採用している。そして、この通風抵抗板6を、蒸発器5の空気流れ上流側に配置することによって、蒸発器構造体7を構成している。
【0107】
より具体的には、本実施形態の通風抵抗板6は、図11に示すように、車両搭載状態において略上下方向に延びる支柱部6dを有しており、この支柱部6dの車両前方側先端部とケース2の段差部21aとの距離L1、L2(図9参照)が、空調ユニット1’における蒸発器5’の空気入口面とケース2の段差部21aとの距離L1’、L2’(図10参照)と同等になるように形成されている。
【0108】
本実施形態のように、セミセンタ置きタイプの空調ユニットにおいて支柱部6dを有する通風抵抗板6を採用すると、支柱部6dが送風機4から送風された空気の主流流れ(矢印A)のうち車両幅方向の空気流れに対する通路抵抗となり、空調ユニット1における蒸発器構造体7を通過する空気の風速分布と、空調ユニット1’における蒸発器5’を通過する風速分布とを同等とすることができる。
【0109】
つまり、本実施形態の通風抵抗板6は、蒸発器構造体7の上流側の空気流れに対する通風抵抗を、蒸発器5’の上流側の空気流れに対する通風抵抗と同等とする機能を果たしている。これにより、本実施形態では、空調ユニット1にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を、空調ユニット1’にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができる。
【0110】
その結果、共通するケース2に対して蒸発器構造体7を取り付けた場合、および、蒸発器5’を取り付けた場合における乗員の空調フィーリングの変化を抑制でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態の通風抵抗板6は、送風機4から送風された送風空気が蒸発器構造体7、蒸発器5’の直前で方向転換するセミセンタ置きタイプの空調ユニットに適用して極めて有効である。
【0111】
(第7実施形態)
上述の各実施形態では、比較例の空調ユニット1’用の蒸発器5’の詳細構成について説明していないが、本実施形態では、この蒸発器5’として、図12に示すように、熱交換フィンにルーバ53aが設けられたものを採用する例を説明する。なお、図12は、本実施形態の蒸発器5’の概略正面図であり、図13は、図12の拡大E−E断面図である。
【0112】
具体的には、蒸発器5’は、冷媒が流れる複数本のチューブ51、チューブ51の端部に接続された冷媒を分配・集合させるタンク52、および、隣接するチューブ51間に配置されて冷媒と空気との熱交換を促進する複数のコルゲートフィン53を有して構成される。このコルゲートフィン53は、伝熱性に優れる金属(例えば、アルミニウム)の薄板を波状に折り曲げて形成された熱交換フィンである。
【0113】
さらに、コルゲートフィン53の平坦面には、図13に示すように、蒸発器5’を通過する空気の流れ方向をガイドするルーバ53aが、例えば、プレス加工等により一体に切り起こし成形されている。このルーバ53はコルゲートフィン53の平坦面近傍の温度境界層の成長を抑制して熱伝達率を向上させるものである。
【0114】
また、ルーバ53は、空気流れ上流側と下流側とで傾斜方向が反転しているので、蒸発器5’を通過する空気流れには、図13の破線矢印に示すようにコルゲートフィン53の平坦面に平行な流れと、ルーバ53にガイドされたV字状に流れが発生する。このため、蒸発器5’から吹き出される空気は、矢印Fに示すように、蒸発器5’の熱交換コア面に対して垂直方向から所定の角度θを有して吹き出される。
【0115】
そこで、本実施形態の空調ユニット1の蒸発器構造体7では、図14に示すように、蒸発器5の空気流れ下流側に通風抵抗板6を配置し、空調ユニット1にて蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度と、空調ユニット1’にて蒸発器5’から吹き出される空気の吹出角度とを同等にするようにしている。なお、図14は、本実施形態の蒸発器構造体7の車両幅方向(図13と同方向)から見た概略断面図である。
【0116】
より具体的には、通風抵抗板6は、車両幅方向に延びるガイド板6eを有しており、このガイド板6eによって、蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度が調整される。もちろん、上述の実施形態のように通風抵抗板6に通風穴を設け、この通風穴の開口方向を蒸発器5の熱交換コア面に対して傾けることによって蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度を調整してもよい。
【0117】
これにより、本実施形態では、空調ユニット1にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を、空調ユニット1’にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができる。
【0118】
その結果、比較例の空調ユニット1’用の蒸発器5’として、ルーバが設けられたものが採用される場合であっても、共通するケース2に対して蒸発器構造体7を取り付けた場合、および、蒸発器5’を取り付けた場合における乗員の空調フィーリングの変化を抑制でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
なお、本実施形態の蒸発器構造体7では、通風抵抗板6を蒸発器5の空気流れ下流側に配置しているが、空調ユニット1にて蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度と、空調ユニット1’にて蒸発器5’から吹き出される空気の吹出角度とを同等とすることができれば、第5実施形態で説明したように、通風抵抗板6の一部を蒸発器5の空気流れ下流側に配置してもよい。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
【0120】
(1)上述の実施形態では、蒸発器構造体7として一体化した状態のものをケース2の取付部2aに取り付けることによって、空調ユニット1を製造したが、空調ユニット1の製造方法はこれに限定されない。例えば、取付部2aに通風抵抗板6を取り付けた後に、さらに、蒸発器5を取り付けてもよい。
【0121】
上述の実施形態のように、通風抵抗板6は樹脂にて成形できるので、取付部2aに係止するための係止用突起部や爪部などを容易に成形できる。一方、蒸発器5については、例えば、この蒸発器5を基準形状熱交換器とする空調ユニットとの共通化を行うために、その形状および構造を複雑に変更することは難しい。
【0122】
そこで、通風抵抗板6を取付部2aに取り付けた後に、蒸発器5を取付部2aに取り付けるようにすれば、蒸発器5の形状および構造を複雑化してしまうことを回避でき、より一層、低コスト化できる。
【0123】
また、例えば、取付部2aに蒸発器5を取り付けた後に、さらに、通風抵抗板6を取り付けてもよい。これにより、例えば、第5実施形態に説明した構成において、取付部2aに対して、幅狭形状熱交換器5を取り付けた後に、通風抵抗板6b、6cを幅狭形状熱交換器5の上流側および下流側に取り付けるようにすれば、通風抵抗板6b、6cを取り付けやすくなる。
【0124】
(2)上述の実施形態では、空調用の熱交換器として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの蒸発器を例に説明したが、空調用の熱交換器はこれに限定されない。例えば、ヒータコア8も空調用熱交換器に含まれる。
【0125】
つまり、幅狭形状ヒータコアに対してヒータコア用の通風抵抗板を隣接配置して、熱交換器構造体を形成すれば、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ヒータコア8の下流側に配置される補助加熱器(例えば、PTCヒータ)についても、本願発明の空調用の熱交換器に含まれる。
【0126】
(3)上述の実施形態では、通風抵抗板6、61、62の通風孔6a、61a、61b、62a、62bを円形状、矩形状に形成しているが、楕円形状等その他の形状でもよい。また、1つの通風抵抗板に複数種類の通風孔(例えば、円形状と矩形状)を組み合わせて形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】第1実施形態の空調ユニットの構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態の比較例の空調ユニットの構成を示す模式図である。
【図3】第1実施形態の蒸発器構造体の全体斜視図である。
【図4】(a)は、比較例の空調ユニットにおける空気流れ形態を示す説明図であり、(b)は、本実施形態の空調ユニットにおける空気流れ形態を示す説明図であり、(c)は、本実施形態の空調ユニットから通風抵抗板を廃止した場合における空気流れ形態を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の通風抵抗板の正面図である。
【図6】第3実施形態の通風抵抗板の正面図である。
【図7】第4実施形態の通風抵抗板の配置を説明する配置図である。
【図8】第5実施形態の通風抵抗板の配置を説明する配置図である。
【図9】第6実施形態の空調ユニットの断面図である。
【図10】第6実施形態の比較例の空調ユニットの断面図である。
【図11】第6実施形態の蒸発器構造体の全体斜視図である。
【図12】第7実施形態の比較例の空調ユニット用の蒸発器の正面図である。
【図13】図12のE−E断面図である。
【図14】第7実施形態の蒸発器構造体の断面図である。
【符号の説明】
【0128】
2 ケース
2a、2b 取付部
5、5’ 蒸発器
6、61、62 通風抵抗板
6a、61a、61b、62a、62b 通風孔
7 蒸発器構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置において車室内へ空調風を送風する空調ユニット、その製造方法、さらに、空調ユニットへ空調用の熱交換器を搭載する熱交換器搭載方法、および、空調ユニット用ケースの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置において車室内へ空調風を送風する空調ユニットは、一般的に、その外殻を形成するとともに、室内送風空気の空気通路を形成する空調ユニット用ケース(以下、ケースという。)を有して構成される。
【0003】
さらに、このケース内(空気通路内)には、送風機から送風された空気を冷却する冷却用熱交換器である蒸気圧縮式冷凍サイクルの蒸発器、この蒸発器にて冷却された冷風を、エンジン冷却水を熱源として再加熱する加熱用熱交換器であるヒータコアといった空調用の熱交換器等の構成機器が取り付けられている。
【0004】
ところが、この種の空調ユニットでは、車両搭載上の都合により、その形状および体格に制約があるため、ケース内の空気通路を充分に大きく形成することが難しい。そのため、空調用の熱交換器等の取付位置が僅かに変化するだけで、空気通路内の空気流れ形態および通風抵抗が変化して、車室内送風空気の温度や風量が大きく変化してしまう。
【0005】
従って、例えば、特許文献1に記載された空調ユニットのように、ケース内の側壁部に取付部を形成し、空調用の熱交換器等の構成機器を取付部に取り付けて支持固定する構成が採用されている。
【特許文献1】特開2006−82694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、車両用空調装置に対する低コスト化ニーズが高くなり、このニーズに応える手段として、空調ユニット搭載部品の共通化が検討されている。例えば、異なる冷媒を用いる冷凍サイクルが適用される車両用空調装置において同一の冷房性能を発揮させるためには、空調ユニットの蒸発器以外のケースおよびその他搭載部品を共通化して、蒸発器のみを変更する手段が考えられる。
【0007】
しかしながら、特定の空調ユニットに対して、例えば、この特定の空調ユニットに適合するように設計された基準形状蒸発器(基準形状熱交換器)よりも空気流れ主流方向の幅が狭い幅狭形状蒸発器(幅狭形状熱交換器)を取り付けると、前述の如く、車室内送風空気の温度変化や風量変化を生じ、乗員の空調フィーリングが変化してしまうことがある。
【0008】
その結果、空調フィーリングを向上させるために、ケース内(空気通路)の形状、あるいは、制御パラメータのチューニングなどを改めて行う必要が生じ、低コスト化の妨げとなってしまう。
【0009】
上記点に鑑み、本発明は、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載しても、空調フィーリングの変化を抑制できる車両用空調装置の空調ユニットを提供することを第1の目的とする。
【0010】
また、本発明では、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる車両用空調装置の空調ユニットの製造方法を提供することを第2の目的とする。
【0011】
また、本発明では、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる空調ユニットの熱交換器搭載方法を提供することを第3の目的とする。
【0012】
また、本発明では、形状の異なる空調用の熱交換器を取り付けても、空調フィーリングの変化を招くことのない空調ユニット用ケースの使用方法を提供することを第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)と、取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向(A)の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と、幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて、幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを備え、
空気流れ調整部材(6、61、62)と幅狭形状熱交換器(5)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたときに、空気流れ調整部材(6、61、62)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されている車両用空調装置の空調ユニットを第1の特徴とする。
【0014】
これによれば、ケース(2)の取付部(2a)に対して、空気流れ調整部材(6、61、62)と幅狭形状熱交換器(5)とを隣接配置したもの、すなわち熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が同等となるので、車室内へ送風される空気の風量変化や温度変化を生じにくい。
【0015】
従って、ケース(2)に対して熱交換器構造体(7)を取り付けた場合の空調フィーリングと基準形状熱交換器(5’)を取り付けた場合の空調フィーリングとの変化を抑制できる。
【0016】
さらに、空調フィーリングを向上させるために、ケース(2)内(空気通路)の形状、あるいは、制御パラメータのチューニングなどを改めて行う必要がなく、特定の空調ユニットに対して、形状の異なる基準形状熱交換器(5’)と幅狭形状熱交換器(5)とを使い分けることが可能となり、空調用の熱交換器以外のケース(2)およびその他搭載部品を共通化して、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0017】
なお、本発明における「同等」とは、完全に同一となっていることのみを意味するものではなく、製造誤差、組付誤差によって微小に異なるものも「同等」という用語の範囲内に含むものとする。
【0018】
また、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の「吹出温度」としては、開口部(11、12、13)から吹き出される空気に温度分布を生じている場合は、平均温度を採用することができ、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の「吹出風量」としては、開口部(11、12、13)から吹き出される総風量を採用できる。
【0019】
さらに、開口部(11、12、13)が複数箇所に設けられている場合は、それぞれの開口部(11、12、13)から吹き出される空気の吹出温度と吹出風量とを同等とすればよい。
【0020】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6、61、62)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の空気通路を流れる空気の流れ形態が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の流れ形態と同等となるように形成されていてもよい。
【0021】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0022】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6、61、62)は、熱交換器構造体(7)の通風抵抗が、基準形状熱交換器(5’)の通風抵抗と同等となるように形成されていてもよい。
【0023】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0024】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の熱交換器構造体(7)の空気出口面の位置は、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の基準形状熱交換器(5’)の空気出口面の位置と同等であってもよい。
【0025】
これによれば、形状の異なる基準形状熱交換器(5’)と幅狭形状熱交換器(5)とを使い分けても、ケース(2)の取付部(2a)に容易に取り付けることができる。さらに、空気出口面の位置が変化しないので、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を容易に、同等とすることができる。
【0026】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6、61、62)は、幅狭形状熱交換器(5)の空気出口面に対して平行に配置された板状部材で形成されるとともに、幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気を通過させる通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)が形成されており、通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)は、通風孔配置範囲のうち内側よりも外側の通風面積が広くなるように形成されていてもよい。
【0027】
これによれば、後述する実施形態に説明するように、熱交換器構造体(7)から流出する空気の流れ方向と基準形状熱交換器(5’)から流出する空気の流れ方向とを容易に同等とすることができるので、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の空気の流れ形態と基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の空気の流れ形態とを同等として、開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を容易に、同等とすることができる。
【0028】
また、本発明では、空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)を備える車両用空調装置の空調ユニットの製造方法であって、
取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)、および、幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を取付部(2a)に取り付ける取付工程を有し、
幅狭形状熱交換器(5)と空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、取付工程では、空気流れ調整部材(6、61、62)として、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いる車両用空調装置の製造方法を第2の特徴とする。
【0029】
これによれば、上述の第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットを製造できる。つまり、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる車両用空調装置の空調ユニットの製造方法を提供できるとともに、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、上記第2の特徴の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法において、取付工程では、熱交換器構造体(7)を形成した後に、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けてもよい。
【0031】
これによれば、空気流れ調整部材(6、61、62)と幅狭形状熱交換器(5)と一体化した状態で取り付けることができるので、取付部(2a)に対して容易に取り付けることができる。
【0032】
また、上記第2の特徴の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法において、取付工程では、取付部(2a)に空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けた後に、取付部(2a)に幅狭形状熱交換器(5)を取り付けてもよい。
【0033】
空気流れ調整部材(6、61、62)は、幅狭形状熱交換器(5)に対して、材料の選択あるいは形状において設計自由度が高いので、取付部(2a)に取り付けやすい構造とすることができる。従って、空気流れ調整部材(6、61、62)を取付部(2a)に取り付けた後に、幅狭形状熱交換器(5)を取付部(2a)に取り付けるようにすれば、幅狭形状熱交換器(5)の形状および構造を複雑化してしまうことを回避できる。
【0034】
また、上記第2の特徴の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法において、取付工程では、取付部(2a)に幅狭形状熱交換器(5)を取り付けた後に、取付部(2a)に空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けてもよい。
【0035】
これによれば、例えば、後述する第5実施形態に説明する構成において、取付部(2a)に対して、幅狭形状熱交換器(5)および空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けやすい。
【0036】
また、本発明は、空気が流れる空気通路を形成するとともに、空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)内に、空調用の熱交換器を搭載する空調ユニットの熱交換器搭載方法であって、
ケース(2)に形成された熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a、2b)に取り付ける第1取付工程、および、基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを取付部(2a、2b)に取り付ける第2取付工程のうち、いずれか一方の取付工程を選択し、
幅狭形状熱交換器(5)と空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、第2取付工程で用いられる空気流れ調整部材(6、61、62)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、基準形状熱交換器(5’)を取付部(2a)に取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものであることを特徴とする空調ユニットの熱交換器搭載方法。空調ユニットの熱交換器搭載方法を第3の特徴とする。
【0037】
これによれば、第1の特徴の空調ユニットと同様に、ケース(2)に対して、熱交換器構造体(7)を取り付けた場合の空調フィーリングと基準形状熱交換器(5’)を取り付けた場合の空調フィーリングとの変化を抑制できる。従って、空調フィーリングの変化を招くことなく、形状の異なる空調用の熱交換器を搭載できる空調ユニットの熱交換器搭載方法を提供することができる。
【0038】
また、本発明は、空調ユニットにて空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)の使用方法であって、
第1空調ユニット(1’)を形成する場合には、取付部(2a、2b)に対して、取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を取り付け、第2空調ユニット(1)を形成する場合には、取付部(2a、2b)に対して、基準形状熱交換器(5’)よりも空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)および幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付け、さらに、空気流れ調整部材(6、61、62)として、第2空調ユニット(1)にて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、第1空調ユニット(1’)にて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いる空調ユニット用ケースの使用方法を第4の特徴とする。
【0039】
これによれば、第2空調ユニットにて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、第1空調ユニット(1’)にて開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が同等となるので、第1の特徴の空調ユニットと同様に、第1空調ユニットにおける空調フィーリングと第2空調ユニットにおける空調フィーリングとの変化を抑制できる。
【0040】
従って、形状の異なる空調用の熱交換器を取り付けても、空調フィーリングの変化を招くことのない空調ユニット用ケースの使用方法を提供することができる。
【0041】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6)は、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際に熱交換器構造体(7)を通過する空気の風速分布が、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際に基準形状熱交換器(5’)を通過する空気の風速分布と同等となるように形成されていてもよい。
【0042】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0043】
さらに、具体的に、熱交換器構造体(7)を通過する空気の風速分布と基準形状熱交換器(5’)を通過する空気の風速分布と同等とするために、空気流れ調整部材(6)の少なくとも一部は、幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ上流側に配置されており、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の熱交換器構造体(7)の空気入口面とケース(2)との距離は、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の基準形状熱交換器(5’)の空気入口面とケース(2)との距離と同等であってもよい。
【0044】
また、上記第1の特徴の車両用空調装置の空調ユニットにおいて、空気流れ調整部材(6)は、幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ下流側に配置されるとともに、取付部(2a)に熱交換器構造体(7)を取り付けた際の熱交換器構造体(7)から吹き出される空気の吹出角度が、取付部(2a)に基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の基準形状熱交換器(5’)から吹き出される空気の吹出角度と同等となるように形成されていてもよい。
【0045】
これによれば、熱交換器構造体(7)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と、基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の開口部(11、12、13)から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量とを容易に、同等とすることができる。
【0046】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
(第1実施形態)
図1〜4により、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本実施形態の車両用空調装置の空調ユニット1(第2空調ユニット)の模式的な断面図であり、図2は、本実施形態の比較例となる車両用空調装置の空調ユニット1’(第1空調ユニット)の模式的な断面図である。なお、図2では、図1に対して同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
【0048】
空調ユニット1、1’は、車室内へ温度調整、湿度調整等がなされた空調風を送風するもので、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側に配置されている。また、空調ユニット1、1’は、その外殻を形成するとともに、車室内へ向かって送風される室内送風空気の空気通路を形成するケース2を有して構成されている。
【0049】
ケース2は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。また、ケース2の内部には、空調ユニットを構成する各構成機器を取り付ける取付部が形成されている。例えば、後述する空調用の熱交換器5’、7、8の取付部2a、2bとしては、空調用の熱交換器5’、7、8の外形形状に適合する形状の突出部あるいは段部が形成されている。
【0050】
さらに、ケース2は、車両幅方向の略中央部に車両上下方向の分割面を有しており、この分割面で左右2つの分割部に分割できる。そして、左右2つの分割部は、その内部に空調ユニット1、1’を構成する各種の構成機器を収容した状態で、金属バネ、クリップ、ネジ等の締結手段によって一体に結合されている。
【0051】
ケース2の空気流れ最上流部には、空気吸込口3が設けられている。なお、空気吸込口3の上流側には、図示しない内外気切替箱が配置されており、この内外気切替箱によって、吸込口3を介してケース2内に導入される空気が、内気(車室内空気)あるいは外気(車室外空気)に切り替えられる。
【0052】
空気吸込口3の空気流れ下流側には、車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機4が配置されている。送風機4は、周知の遠心多翼ファン4aを電動モータ4bによって回転駆動させて空気を送風するものである。
【0053】
また、図1に示すように、本実施形態の空調ユニット1では、送風機4の空気流れ下流側に、車室内送風空気を冷却する冷却用熱交換器である蒸発器5、および、蒸発器5から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材である通風抵抗板6を隣接配置した蒸発器構造体7(熱交換器構造体)が配置されている。
【0054】
本実施形態では、この蒸発器構造体7が、空調用の熱交換器の1つとして、ケース2の取付部2aに取り付けられて支持固定されている。なお、蒸発器構造体7の詳細については後述する。
【0055】
蒸発器構造体7の空気流れ下流側には、ヒータコア8が配置されている。ヒータコア8は、エンジン冷却水を熱源として、蒸発器構造体7通過後の空気(冷風)を再加熱する加熱用熱交換器である。従って、このヒータコア8も空調用の熱交換器の1つであり、ケース2の取付部2bに取り付けられて支持固定されている。
【0056】
蒸発器構造体7の空気流れ下流側であって、かつ、ケース2内のヒータコア8の側方には、バイパス通路9が形成されている。バイパス通路9は、蒸発器構造体7通過後の空気(冷風)が、ヒータコア8を迂回して流れるように、ヒータコア8に対して並列的に形成された通路である。
【0057】
蒸発器構造体7とヒータコア8との間には、エアミックスドア10が配置されている。エアミックスドア10は、サーボモータ(図示せず)あるいはマニュアル操作にて開度調整されることによって、蒸発器構造体7通過後の空気(冷風)のうち、ヒータコア8を通過する空気量(矢印B)とバイパス通路9を通過する空気量(矢印C)との風量割合を調整するものである。
【0058】
さらに、矢印B方向に流れてヒータコア8を通過した温風と矢印C方向に流れてバイパス通路9を通過した冷風は、ヒータコア8およびバイパス通路9の下流側で混合されて、車室内に吹き出される。従って、上記の風量割合の調整によって車室内吹出空気温度が調整される。つまり、エアミックスドア10は、車室内吹出空気の温度を調整する温度調整手段を構成する。
【0059】
ケース2の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ開口部11、乗員の顔部(上半身)に向けて空調風を吹き出すためのフェイス開口部12、および、乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット開口部13の計3種類の開口部が設けられている。
【0060】
デフロスタ開口部11は、図示しないデフロスタダクトを介して計器盤上面のデフロスタ吹出口に接続され、フェイス開口部12は、図示しないフェイスダクトを介して計器盤上面乗員側面のフェイス吹出口に接続され、さらに、フット開口部13は図示しないフットダクトを介して乗員の足元近傍に配置されるフット吹出口に接続されており、各吹出口から車室内へ空調風が吹き出される。
【0061】
また、これら開口部11〜13の上流部には、それぞれデフロスタドア14、フェイスドア15およびフットドア16が回転自在に配置されている。これらのドア14〜16は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ(図示せず)あるいはマニュアル操作によって開閉操作される。
【0062】
例えば、フェイス開口部12を介して乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出すフェイスモードではフェイスドア15のみが開き、フェイス開口部12を介して乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出すと同時にフット開口部13を介して乗員の足元側に向けて空調風を吹き出すバイレベルモードでは、フェイスドア15およびフットドア16が開く。
【0063】
また、主にフット開口部13から乗員の足元側に向けて空調風を吹き出すフットモードでは、デフロスタドア14が、デフロスタ開口部11を僅かに開放した状態で、フットドア16がフット開口部13を開く。なお、図1、2では、デフロスタドア14とフットドア16とを同時に開放するフット・デフロスタモードの状態を示している。
【0064】
一方、図2に示すように、比較例の空調ユニット1’では、蒸発器構造体7は設けられておらず、蒸発器5’が、空調用の熱交換器の1つとしてケース2の取付部2aに取り付けられて支持固定されている。その他の比較例の空調ユニット1’の構成は、本実施形態の空調ユニット1の構成と全く同様である。
【0065】
次に、本実施形態の蒸発器構造体7および比較例の蒸発器5’について説明する。前述の如く、蒸発器構造体7は、蒸発器5および通風抵抗板6を隣接配置したものであり、この蒸発器5と比較例の蒸発器5’は、図示しない周知の蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する冷凍サイクル構成要素の一つである。
【0066】
従って、蒸発器5、5’は、いずれもその内部に流入した低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることで、送風機4によって送風された送風空気を冷却する冷却機能を発揮する点で共通しており、図1、2に示すように、それぞれの外形形状が異なる点で相違している。
【0067】
具体的には、比較例の蒸発器5’の外形形状は、図2に示すように、ケース2の取付部2aに適合する形状になっている。これに対して、本実施形態の蒸発器5は、比較例の蒸発器5’に対して、空気の主流流れ方向(矢印A方向)の幅寸法(厚み寸法)が短く形成されている。従って、本実施形態では、蒸発器5’が特許請求の範囲に記載された基準形状熱交換器に相当し、蒸発器5が幅狭形状熱交換器に相当する。
【0068】
なお、蒸発器5、5’は、周知のフィンアンドチューブ型の熱交換器で構成されており、ケース2内を流れる空気の主流流れ方向(矢印A方向)に対して略垂直に広がる矩形状の空気入口面と空気出口面を有して形成される。
【0069】
通風抵抗板6については、図3により説明する。なお、図3は、蒸発器構造体7の空気出口面側から見た外観斜視図である。通風抵抗板6は、図3に示すように、蒸発器5の空気出口面に対して平行に配置された樹脂製の板状部材であり、空気出口面の全域を覆うように矩形状に形成されている。本実施形態では、通風抵抗板6をケース2と同じ材質の樹脂で形成しているが、もちろん金属で形成してもよい。
【0070】
通風抵抗板6の空気の主流流れ方向(矢印A方向)の幅寸法(厚み寸法)は、取付部2aに蒸発器構造体7を取り付けた際の蒸発器構造体7の空気出口面(具体的には、通風抵抗板6の空気出口面)の位置が、取付部2aに蒸発器5’を取り付けた際の蒸発器5’の空気出口面の位置と同等となるように形成されている。
【0071】
また、通風抵抗板6の板面には、蒸発器5から流出した空気を通過させる略円形状の複数の通風孔6aが形成されている。この通風孔6aは、通風抵抗板6の板面の全域に配置されており、内側よりも外側の通風面積が広くなるように配置されている。
【0072】
本実施形態では、具体的に、内側に形成される通風孔6aに対して外側に形成される通風孔6aの数を多くすることによって、内側よりも外側の通風面積を広くしている。さらに、複数の通風孔6aの総開口面積(総通風面積)は、蒸発器構造体7の通風抵抗が、蒸発器5’の通風抵抗と同等となるように調整されている。
【0073】
次に、本実施形態の空調ユニット1の製造方法について説明する。まず、本実施形態では、蒸発器5と通風抵抗板6とを予め蒸発器構造体7として一体化した状態のものをケース2の取付部2aに取り付けている。具体的には、通風抵抗板6に形成された図示しない爪状の係止部によって通風抵抗板6を蒸発器5に係止することによって一体化している。
【0074】
もちろん、ボルト止め、クリップ止め等の締結手段あるいは接着等によって蒸発器5と通風抵抗板6とを一体化してもよい。さらに、金属製の通風抵抗板6を採用した場合は、溶接、ろう付け等の接合手段によって一体化してもよい。
【0075】
そして、この蒸発器構造体7を分割された状態のケース2の取付部2aに嵌挿し、さらに、その他の構成部品を分割された状態のケース2の各取付部に取り付けた状態で、ケース2の左右2つの分割部同士を締結する。これにより、本実施形態の空調ユニット1が製造される。
【0076】
なお、本実施形態では、蒸発器構造体7をケース2の取付部2aに嵌挿するだけで支持固定できるようになっているが、もちろん、一方の分割部の取付部2aに対して、蒸発器構造体7をボルト止め等によって固定した状態で、ケース2の分割部同士を締結するようにしてもよい。
【0077】
次に、上記構成における本実施形態の空調ユニット1の作動について説明する。図示しない車両走行用エンジンの作動状態において、車両用空調装置を作動させると空調制御装置から出力される制御信号によって、送風機4が回転駆動され、エアミックスドア10の開度が調整され、各開口部11〜13上流側の各ドア14〜16が開閉操作され、さらに、上述の冷凍サイクルが作動状態となる。
【0078】
送風機4から送風された送風空気は、蒸発器構造体7にて冷却され、その一部がエアミックスドア10の開度に応じて、ヒータコア8にて再加熱される。そして、ヒータコア8を通過した温風とバイパス通路9を通過した冷風が、ヒータコア8およびバイパス通路9の下流側で混合されて、温度調整された空調風となる。
【0079】
そして、温度調整された空調風が、ドア14〜16の開閉状態に応じて、各開口部11〜13へ流れ、各吹出口から車室内に吹き出されることによって、車室内の空調がなされる。なお、比較例の空調ユニット1’の作動についても同様である。
【0080】
さらに、本実施形態では、上記構成の蒸発器構造体7を採用することによって、空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態と比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態とを同等として、各開口部11〜13から各吹出口を介して車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができるので、空調ユニット1および空調ユニット1’の乗員の空調フィーリングを同等とすることができる。
【0081】
このことを図4に基づいて説明する。図4は、本発明者らの検討によって得られた、図1、2のD部周辺に相当する空気通路の空気の流れ形態を示す数値解析シミュレーション結果である。図4(a)は、比較例の空気通路を流れる空気の流れ形態を示し、図4(b)は、本実施形態の空気通路を流れる空気の流れ形態を示し、図4(c)は、本実施形態の空調ユニット1から通風抵抗板6を廃止した場合の空気の流れ形態を示している。
【0082】
なお、図1、2は、空調ユニット1、1’の全体構成を説明するために模式的な断面図を示しているが、図4は、実際の空調ユニット1、1’と略同等の形状の数値解析シミュレーション結果を示している。従って、図1、2と図4とでは、図示された断面形状が若干異なっている。また、図4中の太破線矢印は、それぞれ蒸発器5、5’および蒸発器構造体7から流出した空気の代表的な流れ方向を示している。
【0083】
図4(a)および(c)から明らかなように、通風抵抗板6を廃止して蒸発器5のみをケース2に取り付けると、蒸発器5下流側の空気流れ形態が、蒸発器5’下流側の空気流れ形態に対して変化してしまう。これに対して、図4(a)および(b)から明らかなように、蒸発器構造体7をケース2に取り付けることによって、蒸発器構造体7下流側の空気流れ形態を、蒸発器5’下流側の空気流れ形態と同等とすることができる。
【0084】
つまり、通風抵抗板6の複数の通風孔6aの総通風面積を調整することによって、蒸発器構造体7全体としての通風抵抗と蒸発器5’の通風抵抗とを同等とし、さらに、通風抵抗板6の通風孔配置範囲のうち内周側よりも外周側の通風面積を広く形成することによって、蒸発器構造体7から流出する冷風の風向と蒸発器5’から流出する冷風の風向とを同等とする。
【0085】
これにより、空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態と比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態とを同等とすることができ、空調ユニット1にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を、空調ユニット1’にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができる。その結果、共通するケース2に対して蒸発器構造体7を取り付けた場合、および、蒸発器5’を取り付けた場合における乗員の空調フィーリングの変化を抑制できる。
【0086】
つまり、本実施形態の空調ユニット1によれば、比較例の空調ユニット1’に対して、ケース2およびその他搭載部品を共通化して、蒸発器5、5’のみを変更しても、空調フィーリングを向上させるために、ケース2内(空気通路)の形状、あるいは、制御パラメータのチューニングなどを改めて行う必要がない。
【0087】
従って、蒸発器以外のケース2およびその他搭載部品を共通化して、形状の異なる基準形状熱交換器である蒸発器5’と幅狭形状熱交換器である蒸発器5とを使い分けることができ、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0088】
なお、上述した本実施形態の空調ユニット1の製造方法については、換言すると、取付部2aに対して蒸発器5、5’を取り付ける蒸発器(熱交換器)の搭載方法として表現することができる。つまり、本実施形態では、基準形状熱交換器である蒸発器5’を取り付ける第1取付工程、および、蒸発器構造体7を取り付ける第2取付工程のうちいずれか一方の取付工程を選択することが可能な蒸発器の搭載方法を採用している。
【0089】
従って、ケース2に対して、形状の異なる基準形状熱交換器である蒸発器5’と幅狭形状熱交換器である蒸発器5とを使い分けることができる。
【0090】
また、本実施形態では、蒸発器以外のケース2およびその他搭載部品の使用方法として、基準形状熱交換器である蒸発器5’を取り付けた空調ユニット1’(第1空調ユニット)を形成する場合と、蒸発器構造体7を取り付けた空調ユニット1(第2空調ユニット)を形成する場合とを使い分けることが可能な使用方法を提供している。
【0091】
従って、空調ユニット1、1’を形成する際に、ケース2を共通化して、車両用空調装置の低コスト化を図ることができる。
【0092】
(第2実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を採用した例を説明したが、本実施形態では、図5に示す通風抵抗板61を採用している。この通風抵抗板61は、具体的には、内側に形成される円形状の通風孔61aに対して外側に形成される通風孔61bの通風面積を大きくすることで、内側よりも外側の通風面積を広くしている。
【0093】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような通風抵抗板61を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0094】
(第3実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を採用した例を説明したが、本実施形態では、図6に示す通風抵抗板62を採用している。この通風抵抗板62は、具体的には、通風孔62a、62bを格子形状に形成するとともに、内側に形成される矩形状の通風孔62aに対して外側に形成される通風孔62bの通風面積を大きくすることで、内側よりも外側の通風面積を広くしている。
【0095】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような通風抵抗板62を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0096】
(第4実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を蒸発器5に対して空気流れ下流側(空気出口面側)に隣接配置して蒸発器構造体7を形成しているが、本実施形態では、図7に示すように、通風抵抗板6を蒸発器5に対して空気流れ上流側(空気入口側)に隣接配置して蒸発器構造体7を形成している。
【0097】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような配置を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0098】
(第5実施形態)
第1実施形態では、通風抵抗板6を蒸発器5に対して空気流れ下流側(空気出口面側)に隣接配置して蒸発器構造体7を形成しているが、本実施形態では、図8に示すように、通風抵抗板6を通風抵抗板6b、6cの2枚に分割して、蒸発器5に対して空気流れ上流側(空気入口面側)および下流側(空気出口面側)にそれぞれ隣接配置している。
【0099】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。このような配置を採用しても、本実施形態の空調ユニット1の空気通路を流れる空気の流れ形態および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態を同等にすることができるので、第1実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0100】
(第6実施形態)
上述の各実施形態では、空調ユニット1および比較例の空調ユニット1’の空気通路を流れる空気の流れ形態が同等となるようにして、各開口部11〜13から車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とした例を説明したが、本実施形態では、図9に示すように、通風抵抗板6、61、62によって、空調ユニット1にて蒸発器構造体7を通過する空気の風速分布が、空調ユニット1’にて蒸発器5’を通過する空気の風速分布と同等となるようにした例を説明する。
【0101】
なお、図9は、本実施形態の空調ユニット1(第2空調ユニット)を車両上方向から見た水平方向の一部断面図であり、図10は、本実施形態の比較例となる空調ユニット1’(第1空調ユニット)の水平方向の一部断面図である。なお、図9、10では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。
【0102】
本実施形態の空調ユニット1および比較例の空調ユニット1’は、内外気切替箱および送風機4を収容する送風機側ユニットが車両計器盤内側のうち助手席側に配置され、蒸発器構造体7および蒸発器5’、ヒータコア8等を収容する熱交換器側ユニットが、車両計器盤内側のうち車両幅(左右)方向略中央部に配置される、いわゆるセミセンタ置きタイプの空調ユニットである。
【0103】
この種のセミセンタ置きタイプの空調ユニットでは、送風機4から送風された送風空気の主流流れ方向Aが、蒸発器5’あるいは熱交換器構造体7の上流側直前で、車両幅方向(車両左右方向)の車両前後方向へ方向転換する。このため、蒸発器5’あるいは熱交換器構造体7の内部を通過する空気に風速分布を生じやすい。
【0104】
このため、例えば、図10の空調ユニット1’では、ケース2のうち、蒸発器5’の空気入口面に対向する面に、段差部21a設ける等の手段を採用して、蒸発器5’の内部を通過する空気に風速分布が生じてしまうことを抑制している。
【0105】
なお、図10では、段差部21aを2箇所に設けているが、段差部21aの数は、単数でも3箇所以上の複数でもよい。さらに、段差部21aを設ける手段のみならず、ケース2のうち蒸発器5’の空気入口面と対向する面に、蒸発器5’へ向かって突出する突出部を設ける手段を採用してもよい。
【0106】
そこで、本実施形態では、空調ユニット1における蒸発器構造体7の空気入口面とケース2とのを、空調ユニット1’における蒸発器5’の空気入口面とケース2とのと同等とする通風抵抗板6を採用している。そして、この通風抵抗板6を、蒸発器5の空気流れ上流側に配置することによって、蒸発器構造体7を構成している。
【0107】
より具体的には、本実施形態の通風抵抗板6は、図11に示すように、車両搭載状態において略上下方向に延びる支柱部6dを有しており、この支柱部6dの車両前方側先端部とケース2の段差部21aとの距離L1、L2(図9参照)が、空調ユニット1’における蒸発器5’の空気入口面とケース2の段差部21aとの距離L1’、L2’(図10参照)と同等になるように形成されている。
【0108】
本実施形態のように、セミセンタ置きタイプの空調ユニットにおいて支柱部6dを有する通風抵抗板6を採用すると、支柱部6dが送風機4から送風された空気の主流流れ(矢印A)のうち車両幅方向の空気流れに対する通路抵抗となり、空調ユニット1における蒸発器構造体7を通過する空気の風速分布と、空調ユニット1’における蒸発器5’を通過する風速分布とを同等とすることができる。
【0109】
つまり、本実施形態の通風抵抗板6は、蒸発器構造体7の上流側の空気流れに対する通風抵抗を、蒸発器5’の上流側の空気流れに対する通風抵抗と同等とする機能を果たしている。これにより、本実施形態では、空調ユニット1にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を、空調ユニット1’にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができる。
【0110】
その結果、共通するケース2に対して蒸発器構造体7を取り付けた場合、および、蒸発器5’を取り付けた場合における乗員の空調フィーリングの変化を抑制でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態の通風抵抗板6は、送風機4から送風された送風空気が蒸発器構造体7、蒸発器5’の直前で方向転換するセミセンタ置きタイプの空調ユニットに適用して極めて有効である。
【0111】
(第7実施形態)
上述の各実施形態では、比較例の空調ユニット1’用の蒸発器5’の詳細構成について説明していないが、本実施形態では、この蒸発器5’として、図12に示すように、熱交換フィンにルーバ53aが設けられたものを採用する例を説明する。なお、図12は、本実施形態の蒸発器5’の概略正面図であり、図13は、図12の拡大E−E断面図である。
【0112】
具体的には、蒸発器5’は、冷媒が流れる複数本のチューブ51、チューブ51の端部に接続された冷媒を分配・集合させるタンク52、および、隣接するチューブ51間に配置されて冷媒と空気との熱交換を促進する複数のコルゲートフィン53を有して構成される。このコルゲートフィン53は、伝熱性に優れる金属(例えば、アルミニウム)の薄板を波状に折り曲げて形成された熱交換フィンである。
【0113】
さらに、コルゲートフィン53の平坦面には、図13に示すように、蒸発器5’を通過する空気の流れ方向をガイドするルーバ53aが、例えば、プレス加工等により一体に切り起こし成形されている。このルーバ53はコルゲートフィン53の平坦面近傍の温度境界層の成長を抑制して熱伝達率を向上させるものである。
【0114】
また、ルーバ53は、空気流れ上流側と下流側とで傾斜方向が反転しているので、蒸発器5’を通過する空気流れには、図13の破線矢印に示すようにコルゲートフィン53の平坦面に平行な流れと、ルーバ53にガイドされたV字状に流れが発生する。このため、蒸発器5’から吹き出される空気は、矢印Fに示すように、蒸発器5’の熱交換コア面に対して垂直方向から所定の角度θを有して吹き出される。
【0115】
そこで、本実施形態の空調ユニット1の蒸発器構造体7では、図14に示すように、蒸発器5の空気流れ下流側に通風抵抗板6を配置し、空調ユニット1にて蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度と、空調ユニット1’にて蒸発器5’から吹き出される空気の吹出角度とを同等にするようにしている。なお、図14は、本実施形態の蒸発器構造体7の車両幅方向(図13と同方向)から見た概略断面図である。
【0116】
より具体的には、通風抵抗板6は、車両幅方向に延びるガイド板6eを有しており、このガイド板6eによって、蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度が調整される。もちろん、上述の実施形態のように通風抵抗板6に通風穴を設け、この通風穴の開口方向を蒸発器5の熱交換コア面に対して傾けることによって蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度を調整してもよい。
【0117】
これにより、本実施形態では、空調ユニット1にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量を、空調ユニット1’にて各開口部11〜13から吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等とすることができる。
【0118】
その結果、比較例の空調ユニット1’用の蒸発器5’として、ルーバが設けられたものが採用される場合であっても、共通するケース2に対して蒸発器構造体7を取り付けた場合、および、蒸発器5’を取り付けた場合における乗員の空調フィーリングの変化を抑制でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
なお、本実施形態の蒸発器構造体7では、通風抵抗板6を蒸発器5の空気流れ下流側に配置しているが、空調ユニット1にて蒸発器構造体7から吹き出される空気の吹出角度と、空調ユニット1’にて蒸発器5’から吹き出される空気の吹出角度とを同等とすることができれば、第5実施形態で説明したように、通風抵抗板6の一部を蒸発器5の空気流れ下流側に配置してもよい。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
【0120】
(1)上述の実施形態では、蒸発器構造体7として一体化した状態のものをケース2の取付部2aに取り付けることによって、空調ユニット1を製造したが、空調ユニット1の製造方法はこれに限定されない。例えば、取付部2aに通風抵抗板6を取り付けた後に、さらに、蒸発器5を取り付けてもよい。
【0121】
上述の実施形態のように、通風抵抗板6は樹脂にて成形できるので、取付部2aに係止するための係止用突起部や爪部などを容易に成形できる。一方、蒸発器5については、例えば、この蒸発器5を基準形状熱交換器とする空調ユニットとの共通化を行うために、その形状および構造を複雑に変更することは難しい。
【0122】
そこで、通風抵抗板6を取付部2aに取り付けた後に、蒸発器5を取付部2aに取り付けるようにすれば、蒸発器5の形状および構造を複雑化してしまうことを回避でき、より一層、低コスト化できる。
【0123】
また、例えば、取付部2aに蒸発器5を取り付けた後に、さらに、通風抵抗板6を取り付けてもよい。これにより、例えば、第5実施形態に説明した構成において、取付部2aに対して、幅狭形状熱交換器5を取り付けた後に、通風抵抗板6b、6cを幅狭形状熱交換器5の上流側および下流側に取り付けるようにすれば、通風抵抗板6b、6cを取り付けやすくなる。
【0124】
(2)上述の実施形態では、空調用の熱交換器として、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの蒸発器を例に説明したが、空調用の熱交換器はこれに限定されない。例えば、ヒータコア8も空調用熱交換器に含まれる。
【0125】
つまり、幅狭形状ヒータコアに対してヒータコア用の通風抵抗板を隣接配置して、熱交換器構造体を形成すれば、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、ヒータコア8の下流側に配置される補助加熱器(例えば、PTCヒータ)についても、本願発明の空調用の熱交換器に含まれる。
【0126】
(3)上述の実施形態では、通風抵抗板6、61、62の通風孔6a、61a、61b、62a、62bを円形状、矩形状に形成しているが、楕円形状等その他の形状でもよい。また、1つの通風抵抗板に複数種類の通風孔(例えば、円形状と矩形状)を組み合わせて形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】第1実施形態の空調ユニットの構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態の比較例の空調ユニットの構成を示す模式図である。
【図3】第1実施形態の蒸発器構造体の全体斜視図である。
【図4】(a)は、比較例の空調ユニットにおける空気流れ形態を示す説明図であり、(b)は、本実施形態の空調ユニットにおける空気流れ形態を示す説明図であり、(c)は、本実施形態の空調ユニットから通風抵抗板を廃止した場合における空気流れ形態を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の通風抵抗板の正面図である。
【図6】第3実施形態の通風抵抗板の正面図である。
【図7】第4実施形態の通風抵抗板の配置を説明する配置図である。
【図8】第5実施形態の通風抵抗板の配置を説明する配置図である。
【図9】第6実施形態の空調ユニットの断面図である。
【図10】第6実施形態の比較例の空調ユニットの断面図である。
【図11】第6実施形態の蒸発器構造体の全体斜視図である。
【図12】第7実施形態の比較例の空調ユニット用の蒸発器の正面図である。
【図13】図12のE−E断面図である。
【図14】第7実施形態の蒸発器構造体の断面図である。
【符号の説明】
【0128】
2 ケース
2a、2b 取付部
5、5’ 蒸発器
6、61、62 通風抵抗板
6a、61a、61b、62a、62b 通風孔
7 蒸発器構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)と、
前記取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向(A)の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と、
前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて、前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを備え、
前記空気流れ調整部材(6、61、62)と前記幅狭形状熱交換器(5)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたときに、
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されていることを特徴とする車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項2】
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記空気通路を流れる空気の流れ形態が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記流れ形態と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項3】
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記熱交換器構造体(7)の通風抵抗が、前記基準形状熱交換器(5’)の通風抵抗と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項4】
前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記熱交換器構造体(7)の空気出口面の位置は、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の前記基準形状熱交換器(5’)の空気出口面の位置と同等であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項5】
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記幅狭形状熱交換器(5)の空気出口面に対して平行に配置された板状部材で形成されるとともに、前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気を通過させる通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)が形成されており、
前記通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)は、通風孔配置範囲のうち内側よりも外側の通風面積が広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項6】
空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)を備える車両用空調装置の空調ユニットの製造方法であって、
前記取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)、および、前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を前記取付部(2a)に取り付ける取付工程を有し、
前記幅狭形状熱交換器(5)と前記空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、
前記取付工程では、前記空気流れ調整部材(6、61、62)として、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いることを特徴とする車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項7】
前記取付工程では、前記熱交換器構造体(7)を形成した後に、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項8】
前記取付工程では、前記取付部(2a)に前記空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けた後に、前記取付部(2a)に前記幅狭形状熱交換器(5)を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項9】
前記取付工程では、前記取付部(2a)に前記幅狭形状熱交換器(5)を取り付けた後に、前記取付部(2a)に前記空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項10】
空気が流れる空気通路を形成するとともに、前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)内に、空調用の熱交換器を搭載する空調ユニットの熱交換器搭載方法であって、
前記ケース(2)に形成された前記熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a、2b)に取り付ける第1取付工程、および、前記基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを前記取付部(2a、2b)に取り付ける第2取付工程のうち、いずれか一方の取付工程を選択し、
前記幅狭形状熱交換器(5)と前記空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、
前記第2取付工程で用いられる前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものであることを特徴とする空調ユニットの熱交換器搭載方法。
【請求項11】
空調ユニットにて空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)の使用方法であって、
第1空調ユニット(1’)を形成する場合には、前記取付部(2a、2b)に対して、前記取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を取り付け、
第2空調ユニット(1)を形成する場合には、前記取付部(2a、2b)に対して、前記基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)および前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付け、
さらに、前記空気流れ調整部材(6、61、62)として、前記第2空調ユニット(1)にて前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記第1空調ユニット(1’)にて前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いることを特徴とする空調ユニット用ケースの使用方法。
【請求項12】
前記空気流れ調整部材(6)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際に前記熱交換器構造体(7)を通過する空気の風速分布が、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際に前記基準形状熱交換器(5’)を通過する空気の風速分布と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項13】
前記空気流れ調整部材(6)は、前記幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ上流側に配置されており、
前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記熱交換器構造体(7)の空気入口面と前記ケース(2)との距離は、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の前記基準形状熱交換器(5’)の空気入口面と前記ケース(2)との距離と同等であることを特徴とする請求項12に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項14】
前記空気流れ調整部材(6)は、前記幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ下流側に配置されるとともに、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記熱交換器構造体(7)から吹き出される空気の吹出角度が、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の前記基準形状熱交換器(5’)から吹き出される空気の吹出角度と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項1】
空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)と、
前記取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向(A)の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と、
前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて、前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを備え、
前記空気流れ調整部材(6、61、62)と前記幅狭形状熱交換器(5)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたときに、
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されていることを特徴とする車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項2】
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記空気通路を流れる空気の流れ形態が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記流れ形態と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項3】
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記熱交換器構造体(7)の通風抵抗が、前記基準形状熱交換器(5’)の通風抵抗と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項4】
前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記熱交換器構造体(7)の空気出口面の位置は、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の前記基準形状熱交換器(5’)の空気出口面の位置と同等であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項5】
前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記幅狭形状熱交換器(5)の空気出口面に対して平行に配置された板状部材で形成されるとともに、前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気を通過させる通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)が形成されており、
前記通風孔(6a、61a、61b、62a、62b)は、通風孔配置範囲のうち内側よりも外側の通風面積が広くなるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項6】
空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)を備える車両用空調装置の空調ユニットの製造方法であって、
前記取付部(2a)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)、および、前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を前記取付部(2a)に取り付ける取付工程を有し、
前記幅狭形状熱交換器(5)と前記空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、
前記取付工程では、前記空気流れ調整部材(6、61、62)として、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いることを特徴とする車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項7】
前記取付工程では、前記熱交換器構造体(7)を形成した後に、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項8】
前記取付工程では、前記取付部(2a)に前記空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けた後に、前記取付部(2a)に前記幅狭形状熱交換器(5)を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項9】
前記取付工程では、前記取付部(2a)に前記幅狭形状熱交換器(5)を取り付けた後に、前記取付部(2a)に前記空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置の空調ユニットの製造方法。
【請求項10】
空気が流れる空気通路を形成するとともに、前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)内に、空調用の熱交換器を搭載する空調ユニットの熱交換器搭載方法であって、
前記ケース(2)に形成された前記熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a、2b)に取り付ける第1取付工程、および、前記基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)と前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)とを前記取付部(2a、2b)に取り付ける第2取付工程のうち、いずれか一方の取付工程を選択し、
前記幅狭形状熱交換器(5)と前記空気流れ調整部材(6、61、62)とを隣接配置したものを熱交換器構造体(7)としたとき、
前記第2取付工程で用いられる前記空気流れ調整部材(6、61、62)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記基準形状熱交換器(5’)を前記取付部(2a)に取り付けた際の前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものであることを特徴とする空調ユニットの熱交換器搭載方法。
【請求項11】
空調ユニットにて空気が流れる空気通路を形成するとともに、空調用の熱交換器を取り付ける取付部(2a、2b)および前記空気を車室内へ吹き出す開口部(11、12、13)が形成されたケース(2)の使用方法であって、
第1空調ユニット(1’)を形成する場合には、前記取付部(2a、2b)に対して、前記取付部(2a、2b)に適合する形状の基準形状熱交換器(5’)を取り付け、
第2空調ユニット(1)を形成する場合には、前記取付部(2a、2b)に対して、前記基準形状熱交換器(5’)よりも前記空気の主流流れ方向の幅寸法が短く形成された幅狭形状熱交換器(5)および前記幅狭形状熱交換器(5)に隣接配置されて前記幅狭形状熱交換器(5)から流出した空気の流れ形態を調整する空気流れ調整部材(6、61、62)を取り付け、
さらに、前記空気流れ調整部材(6、61、62)として、前記第2空調ユニット(1)にて前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量が、前記第1空調ユニット(1’)にて前記開口部(11、12、13)から前記車室内へ吹き出される空気の吹出温度および吹出風量と同等となるように形成されたものを用いることを特徴とする空調ユニット用ケースの使用方法。
【請求項12】
前記空気流れ調整部材(6)は、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際に前記熱交換器構造体(7)を通過する空気の風速分布が、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際に前記基準形状熱交換器(5’)を通過する空気の風速分布と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項13】
前記空気流れ調整部材(6)は、前記幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ上流側に配置されており、
前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記熱交換器構造体(7)の空気入口面と前記ケース(2)との距離は、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の前記基準形状熱交換器(5’)の空気入口面と前記ケース(2)との距離と同等であることを特徴とする請求項12に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【請求項14】
前記空気流れ調整部材(6)は、前記幅狭形状熱交換器(5)に対して空気流れ下流側に配置されるとともに、前記取付部(2a)に前記熱交換器構造体(7)を取り付けた際の前記熱交換器構造体(7)から吹き出される空気の吹出角度が、前記取付部(2a)に前記基準形状熱交換器(5’)を取り付けた際の前記基準形状熱交換器(5’)から吹き出される空気の吹出角度と同等となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置の空調ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−62035(P2009−62035A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196014(P2008−196014)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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