車両用空調装置本発明は、車両用空調装置に関する。
【課題】窓ガラスの曇りに対する安全率を高める。
【解決手段】電子制御装置26は、送風機37の送風量が少なくなるほど、第1の基準湿度TRHWを下げる(ステップS115a)。この第1の基準湿度TRHWは、コンプレッサ40の停止状態での曇りが生じるか否かを判定する防曇判定(ステップS116)で用いられる判定値である。これにより、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少ない状態では、窓ガラスの温度ムラが生じ易い状態になるが、第1の基準湿度TRHWを下げることにより、コンプレッサ40の停止状態での曇りが生じると判定する機会を増やすことが可能になる。このため、内気導入量を減らして外気導入量を増やすことが可能になり、窓ガラスの曇りが生じ難くなり、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めることができる。
【解決手段】電子制御装置26は、送風機37の送風量が少なくなるほど、第1の基準湿度TRHWを下げる(ステップS115a)。この第1の基準湿度TRHWは、コンプレッサ40の停止状態での曇りが生じるか否かを判定する防曇判定(ステップS116)で用いられる判定値である。これにより、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少ない状態では、窓ガラスの温度ムラが生じ易い状態になるが、第1の基準湿度TRHWを下げることにより、コンプレッサ40の停止状態での曇りが生じると判定する機会を増やすことが可能になる。このため、内気導入量を減らして外気導入量を増やすことが可能になり、窓ガラスの曇りが生じ難くなり、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、車両用空調装置において、空調ケーシング内に、空気を冷媒により冷却する冷房用熱交換器と、冷房用熱交換器から吹き出される冷風を加熱する暖房用熱交換器と、暖房用熱交換器をバイパスして冷風を流すバイパス通路と、暖房用熱交換器に流れる風気量とバイパス通路に流れる空気量との比率を変えるエアミックスドアを備え、エアミックスドアの開度を変えることにより、当該比率を変えて、車室内に吹き出す空気温度を調整しているものがある。
【0002】
このものにおいて、冷房用熱交換器とともに冷凍サイクル装置を構成して冷媒を循環させるコンプレッサを備え、オートエアコンモードを実施する際には、夏期は冷房のためにコンプレッサを動作させて冷房用熱交換器により空気を十分に冷却させ、また冬期は窓ダラスの曇り防止のための除湿目的でコンプレッサを動作させて冷房用熱交換器により空気を十分に冷却させている。
【0003】
また、車室内湿度を検出する湿度センサを搭載している車両においては、湿度センサの検出湿度に基づいて、冷房、湿度快適性、および窓ガラスの防曇を考慮して、最適な冷房用熱交換器の温度の目標値Teを決定して、この決定された目標値Teに冷房用熱交換器の実際の温度を近づけるようにコンプレッサを制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方で、近年の走行用エンジンの高効率化に伴って走行用エンジンの廃熱量が低くなっている。このため、冬期においては、暖房用熱交換器に対して十分な走行用エンジンからエンジン冷却水として十分な廃熱量を供給できなくなり、暖房性能不足が懸念されている。
【0005】
これは、冬期においては、窓ガラスの防曇のために車室内に外気を導入して、車室内空気の熱エネルギーを車室外に逃がしているためである。すなわち、冬期の暖房性能不足は、換気に伴うエネルギー損失が生じるためのである。
【0006】
しかし、車室内の空気を循環させる内気循環と窓ガラスの防曇とは相反することであり、内気循環を実施すれば、車室内空気の熱エネルギーを車室外に逃がすことを抑制できるが、窓ガラスの曇りが生じ易くなる。このため、現在の車両用空調装置においては、窓ガラスの曇りに対する安全性の面から、外気導入をせざるを得ないのが通常である。
【特許文献1】特許第3309528号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、コンプレッサを停止した状態で、窓曇りの発生しない範囲で内気導入率Tを調整して可能な限り内気を導入する技術について鋭意検討したところ、次の問題点があることが分かった。
【0008】
この窓曇りの発生しない範囲で可能な限り内気を導入するには、ガラス近傍の湿度およびガラス温度を測定し演算し、このガラス近傍の湿度およびガラス温度からガラス表面相対湿度を求める。このガラス表面相対湿度と判定値とを比較して、窓ガラスに曇りが生じていると判定すると、デフロスタ吹出口から窓ガラスの内表面に温風を吹き出して防曇を実施する。
【0009】
例えば、フットモードを実施する場合には、フット吹出口を開口するとともにデフロスタ吹出口を若干開口して、デフロスタ吹出口から窓ガラスの内表面に温風を漏らして防曇を実施する。
【0010】
図19に示すように、デフロスタ吹出口1から窓ガラス2の表面に漏らす温風量が多い場合には、窓ガラス2の表面に全面に亘り温風が行き渡るので、窓ガラス2の表面全面において温度ムラ生じ難く、曇りが生じることを防止できる。
【0011】
しかし、図20に示すように、デフロスタ吹出口1から窓ガラス2の表面に漏らす温風量が少ない場合には、窓ガラス2の表面において温風が到達しない箇所が生じる。このため、窓ガラス2の表面に温度ムラが生じる。このため、ガラス近傍の湿度、ガラス温度を検出するセンサ3の位置よりも、温度の低い箇所が窓ガラス2の一部に生じてしまい、窓ガラス2の表面の一部には曇りが生じてしまうという問題が生じる。
【0012】
本発明は、上記点に鑑み、窓ガラスに曇りが生じ難くした車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記デフロスタ吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
前記窓ガラスの内表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このように、デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど基準湿度を小さい値にすることにより、防曇手段による窓ガラスの内表面の曇り止めを実施する機会が増えるため、窓ガラスの内表面の曇りが生じ難くなる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、前記空調ケーシング内に設けられ、前記冷却用熱交換器からの冷風を前記暖房用熱交換器をバイパスして流すバイパス通路(45)と、
前記バイパス通路を流れる空気量と前記暖房用熱交換器に流れる空気量との比率を変えることにより、前記デフロスタ吹出口から吹き出される空気温度を調整する温度調整用ドア(46)と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明では、前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードと、を有し、
前記湿度検出手段の検出湿度が前記基準湿度より高く、かつ第1の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第1の閾値よりも高く、かつ第2の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットデフモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第2の閾値よりも高いときに、前記防曇手段は前記デフモードを実施するようになっていることを特徴とする。
【0017】
これにより、湿度が高くなるほど、フットモード→フットデフモード→デフモードの順に切り替わり、デフロスタ吹出口から吹き出す風量が増え、防曇能力を高めることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、外気導入口を開口して車室内に外気を導入して窓ガラスに曇りが生じることを防止できる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機からの送風空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
当該車両の窓ガラス表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記コンプレッサが停止した状態で前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて前記内外気
切替ドアを制御して、前記窓ガラスが曇らない範囲で前記内気導入口を介して内気を導入するように内気導入率を調整する内外気ドア制御手段(S191d)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少なくなるほど前記内気導入率の最大値を下げるように設定する内気導入率設定手段(S119)と、を備えることを特徴とする。
【0021】
これにより、デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少なくなる場合ほど、内気の導入率の最大値を下げることにより、内気導入量を減らして外気導入量を増やすようにするので、窓ガラスの曇りが生じ難くなる。
【0022】
内気導入率とは、外気導入口を介して導入する外気量に対して、内気導入口を介して導入する内気量の比率である。
【0023】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の車両用空調装置において、前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて、前記車室内に導入する内気導入量と外気導入量との比率を決めるための内気指令値(S)を算出する指令値算出手段(S119)を備えており、
前記内外気ドア制御手段は、前記内外気切替ドアを制御する際に、前記指令値算出手段により算出された内気指令値(S)を用いることを特徴とする。
【0024】
具体的には、請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の車両用空調装置において、前記車室内への内気導入率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第1の制御モード、前記車室内への前記内気導入率および前記外気導入比率を維持させるように前記内気指令値(S)を算出する第2の制御モード、前記車室内への外気導入比率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第3の制御モードと、前記車室内に前記外気だけを導入させるように前記内気指令値(S)を算出する第4の制御モードを有しており、
さらに、前記指令値算出手段は、前記湿度検出手段の検出湿度が高くなるほど前記外気導入比率を増やすように、前記第1〜第4の制御モードのうち1つの制御モードを選択し、この選択された制御モードに基づいて前記内気指令値(S)を算出することを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明では、請求項5ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードを有し、
前記内外気ドア制御手段が前記内外気切替ドアを制御する際には、前記デフロスタ吹出口および前記フット吹出口の目標吹出温度が大きくなるほど、前記フットモード、前記フットデフモードモード、および前記デフモードの順に切り替わるようになっていることを特徴とする。
【0026】
これにより、目標吹出温度が大きくなるほど、フットモード、フットデフモードモード、およびデフモードの順に切り替わり、デフロスタ吹出口から吹き出す風量が増え、防曇能力を高めることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明では、前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする。
【0028】
これにより、外気導入口を開口して車室内に外気を導入して窓ガラスに曇りが生じることを防止できる。
【0029】
請求項10に記載の発明では、請求項5ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、を備えることを特徴とする。
【0030】
このように、デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど基準湿度を小さい値にすることにより、防曇手段による窓ガラスの内表面の曇り止めを実施する機会が増えるため、窓ガラスの内表面の曇りが生じ難くなる。
【0031】
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記車室内の空気温度の設定温を設定する温度設定手段(70)と、
前記車室内の空気温度を前記設定温に維持するために必要である前記デフロスタ吹出口の吹出空気温度として前記目標吹出空気温度を算出する目標温度算出手段(S102)と、
を備えていることを特徴とする。
【0032】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態の概略構成を示す。
【0034】
車両用空調装置は、室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側部等に配設される。この室内空調ユニット30は空調ケーシング31を有し、この空調ケーシング31内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。
【0035】
この空調ケーシング31の空気通路の最上流部に内外気切替箱32を配置し、内気導入口33および外気導入口34を内外気切替ドア35により切替開閉するようになっている。この内外気切替ドア35はサーボモータ36によって駆動される。
【0036】
内外気切替箱32の下流側には車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機37を配置している。この送風機37は、遠心式の送風ファン37aをモータ37bにより駆動するようになっている。送風機37の下流側には送風空気を冷却する冷房用熱交換器をなす蒸発器38を配置している。
【0037】
この蒸発器38は、冷凍サイクル装置39を構成する要素の一つであり、低温低圧の冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。なお、冷凍サイクル装置39は周知のものであり、コンプレッサ40の吐出側から、凝縮器41、受液器42および減圧手段をなす膨張弁43を介して蒸発器38に冷媒が循環するように構成されている。凝縮器41には電動式の冷却ファン41aによって室外空気(冷却空気)が送風される。この冷却ファン41aはモータ41bによって駆動される。
【0038】
冷凍サイクル装置39において、コンプレッサ40としては、例えば、冷媒吐出容量を変更可能である可変容量型コンプレッサが用いられる。コンプレッサ40は、電磁クラッチ40aを介して車両エンジン(図示せず)により駆動される。従って、電磁クラッチ40aの通電の断続によりコンプレッサ40の作動を断続制御できる。
【0039】
一方、室内空調ユニット30において、蒸発器38の下流側には空調ケーシング31内を流れる空気を加熱するヒータユニット44を配置している。このヒータユニット44は車両エンジンの温水(すなわち、エンジン冷却水)を熱源として、蒸発器38通過後の空気(冷風)を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータユニット44の上側にはバイパス通路45が形成され、このバイパス通路45をヒータユニット44のバイパス空気が流れる。
【0040】
蒸発器38とヒータユニット44との間に温度調整手段をなすエアミックスドア46を回転自在に配置してある。このエアミックスドア46はサーボモータ47により駆動されて、その回転位置(開度)が連続的に調整可能になっている。
【0041】
エアミックスドア46の開度によりヒータユニット44を通る空気量(温風量)と、バイパス通路45を通過してヒータユニット44をバイパスする空気量(冷風量)との割合を調節し、これにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整するようになっている。
【0042】
空調ケーシング31の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラス12に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ吹出口48、乗員顔部(乗員上半身)に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口49、および乗員足元部(乗員下半身)に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口50の計3種類の吹出口が設けられている。空調ケーシング31内においてバイパス通路45を通過する冷風とヒータユニット44を通過する温風とが混合されて吹出口48、49、50から車室内に吹き出される。
【0043】
これら吹出口48〜50の上流部にはデフロスタドア51、フェイスドア52およびフットドア53が回転自在に配置されている。これらのドア51〜53は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ54によって開閉操作される。
【0044】
電子制御装置26は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この電子制御装置26は、そのROM内に空調制御のためのコンピュータプログラムを記憶しており、そのコンピュータプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
【0045】
電子制御装置26には、後述する検出装置10の検出値が入力される他に、周知の空調用センサ群61〜65からの検出信号、および空調操作パネル70からの各種操作信号が入力される。
【0046】
空調用センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気センサ61、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ62、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ63、蒸発器38の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ64、ヒータユニット44に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ65等が設けられる。
【0047】
また、空調操作パネル70には各種空調操作部材として、車室内の設定温度Tsetを設定する温度設定手段をなす温度設定スイッチ71、吹出モードドア51〜53により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ72、内外気切替ドア35による内外気吸込モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ73、コンプレッサ40の作動指令信号(電磁クラッチ40aのON信号)を出すエアコンスイッチ74、送風機37の風量をマニュアル設定する送風機作動スイッチ75、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ76等が設けられる。
【0048】
電子制御装置26の出力側には、コンプレッサ40の電磁クラッチ40a、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータ36、47、54、送風機37のモータ37b、凝縮器冷却ファン41aのモータ41b等が接続され、これらの機器の作動が電子制御装置26の出力信号により制御される。
【0049】
次に、検出装置10の構成について図2〜図4を用いて説明する。図2は検出装置10を車両の窓ガラス(具体的には、フロント側窓ガラス)の内面に装着した状態を示す概略断面図で、図3は検出装置10の概略斜視図であり、図4は検出装置10の電気的構成図である。
【0050】
検出装置10は、樹脂等により成形されたケース11を有している。このケース11は高さの低い薄型の直方体状であって、底面部は全面的に開口した形状になっている。
【0051】
ケース11の前面および背面の壁面には凸形状の開口部11aを形成している。この前面および背面の開口部11aによりケース11の内部空間が周辺の空間、すなわち、車室内空間に常時連通するようになっている。ケース11の前面および背面の壁面のうち、開口部11aの左右両側部分は窓ガラス12の内面12aへの取付ステー部11bを構成する。
【0052】
窓ガラス12は本例では車両の前面(フロント)ガラスであり、図1の上面側が車室内に面する内面12aであり、図1の下面側が車室外に面する外面12bである。従って、図2は窓ガラス12の内面12aを図示している。取付ステー部11bの下端面には遮光フィルム13が貼り付けられ、さらに、遮光フィルム13が窓ガラス12の内面12aに貼り付けられる。なお、遮光フィルム13は取付ステー部11bの下端面および窓ガラス12の内面に対して接着等の手段で貼り付ければよい。
【0053】
ケース11の内部空間において開口部11aの上端部と上側壁面11cとの間に回路基板14が窓ガラス12の面と平行に配置され、図示しない取付手段にて回路基板14はケース11の内壁面に固定される。回路基板14は絶縁基板上に導体回路部を構成する一般にプリント基板と称される部材であり、以下に述べるセンサ類および回路部が実装される。
【0054】
回路基板14のうち、窓ガラス12側の表面(図1の下側面)には、湿度センサ17、空気温度検出用温度センサ18、増幅器19、演算回路20、および通信回路21が実装されている。
【0055】
なお、湿度センサ17と温度センサ18は回路基板14の長手方向(図2の左右方向)の中央部に配置され、開口部11aの上端部付近、すなわち、車室内空間への連通部位に配置されている。このため、湿度センサ17と温度センサ18は車室内の窓ガラス内面付近の空気の代表的な湿度と温度を検出できる。
【0056】
遮光フィルム13のうちセンサ側の表面の1箇所にガラス温度検出用の温度センサ23が一体化して配置される。遮光フィルム13は上述のように熱伝導率の高い薄膜状部材であるから、窓ガラス12の車室内側表面温度(内面温度)とほぼ同一の温度になっている。
【0057】
なお、本例では、湿度センサ17として、感湿膜の誘電率が空気の相対湿度に応じて変化し、それにより、静電容量が空気の相対湿度に応じて変化する容量変化型のものを用いている。また、温度センサ18、23としては温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタを用いている。
【0058】
リード線25はケース11の内部空間からケース11の外部へ取り出される電源線および通信線であり、回路基板14の電気回路部(増幅器19、演算回路20、および通信回路21)と、外部回路(後述の図4の電子制御装置26、車両電源等)との間を電気的に接続するものである。
【0059】
なお、前述したケース11の取付ステー部11bは、回路基板14および回路基板14上に実装される各種センサ類と窓ガラス12の内面12aとの間隔を規定する位置決め手段としての役割を果たす。
【0060】
次に、図4により検出装置10電気的構成を説明すると、各センサ17、18、23の出力信号をそれぞれ増幅器19a〜19dで増幅して演算回路20a〜20cに加える。
【0061】
そして、演算回路20aが、湿度センサ17(具体的には増幅回路20aの出力値)の出力値Vに基づいて、窓ガラス付近の車室内空気の相対湿度RHを演算する。すなわち、湿度センサ17の出力値Vを相対湿度RHに変換するための所定の演算式が予め設定されており、この演算式に出力値Vを適用することにより、相対湿度RHを演算する。下記(1)式は、この湿度演算式の具体例である。
【0062】
RH=αV+β ……(1)
但し、αは制御係数で、βは定数である。
【0063】
次に、演算回路20bが空気温度センサ18の出力値(具体的には増幅回路20bの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス付近の車室内空気温度を演算する。
【0064】
さらに、演算回路20cが、ガラス温度センサ23の出力値(具体的には増幅回路20cの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス温度(ガラス室内側表面温度)を演算する。
【0065】
さらに、演算回路20dが、相対湿度RH、空気温度および窓ガラス温度に基づいて、窓ガラス表面相対湿度(窓ガラス室内側表面の相対湿度:曇り易さ)RHWを演算する。すなわち、湿り空気線図を用いることにより、相対湿度RHと空気温度と窓ガラス温度とから窓ガラス表面相対湿度RHWを演算できる。そして、その窓ガラス表面相対湿度RHWが通信回路21を通して電子制御装置26に出力するようになっている。
【0066】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
【0067】
図5は、基本空調制御処理のフローチャートを示す。電子制御装置26は、図5に示すフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。当該コンピュータプログラムの実行は、イグニッションスイッチIGがオンされると開始される。
【0068】
まず、ステップS100において、空調操作パネル70からの操作信号(設定温度Tset)を読み込む。
【0069】
次のステップS101において、センサ群61〜65からの検出信号、および検出装置10からの検出信号(窓ガラス表面相対湿度RHW)を読み込む。
【0070】
次のステップS102において、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、車室内の空調熱負荷の変動にかかわらず、温度設定スイッチ71により設定した設定温度Tsetに車室内温度(内気温)Trを維持するために必要な車室内吹出空気温度である。具体的には、下記数式(1)により目標吹出温度TAOを演算する。
【0071】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr
−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(1)
ここで、Trは内気センサ62により検出される内気温、Tamは外気センサ61により検出される外気温、Tsは日射センサ63により検出される日射量、Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインおよびCは補正用の定数である。
【0072】
次に、ステップS103において、目標吹出温度TAOに基づいて、サーボモータ54を制御して、フェイスドア52およびフットドア53を開閉する。
【0073】
具体的には、吹出モードを目標吹出温度TAOに基づいて決定する。本実施形態では、目標吹出温度TAOが低温域に入っていると判定したとき吹出モードとしてフェイスモードを実施し、目標吹出温度TAOが中間温域に入っていると判定したとき吹出モードとしてバイレベル(B/L)モードを実施し、目標吹出温度TAOが高温域に入っているとき吹出モードとしてフットモードを実施する。
【0074】
ここで、フェイスモードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を閉鎖する。バイレベル(B/L)モードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を開口する。フットモードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を若干開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を開口する。
【0075】
次に、ステップS104において、エンジン冷却水の温度Twおよび目標吹出温度TAOに基づいて、送風機37の送風量を制御する。例えば、エンジン冷却水の温度Twが所定温度未満であるときには送風機37を停止する。このため、温度Twが所定温度未満であるときには送風機37の風量が零になる。
【0076】
エンジン冷却水の温度Twが所定温度以上で、かつ目標吹出温度TAOが中間温度域に入っている場合には、送風機37の風量を最小風量にする。一方、エンジン冷却水の温度Twが所定温度以上で、かつ目標吹出温度TAOが低温域および高温域に入っている場合には、送風機37の送風量を最大風量にする。目標吹出温度TAOが低温域(または高温域)から中間温度域に向かって変化するにつれて送風機37の送風量を減少させる。
【0077】
次に、ステップS105において、外気温Tam、目標吹出温度TAO、および窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて内外気切替ドア35を制御する。具体的な内外気切替ドア35の制御処理については後述する。
【0078】
次に、ステップS106にて、エアミックスドア46の目標開度SWを目標吹出温度TAO、蒸発器吹出空気温度Te、及びエンジン冷却水温度Twに基づいて次の数式(2)により算出する。
【0079】
SW=〔(TAO−Te)/(Tw−Te)〕×100(%)…(2)
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア46の最大冷房位置であり、バイパス通路16を全開し、ヒータコア15側の通風路を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア46の最大暖房位置であり、バイパス通路16を全閉し、ヒータコア15側の通風路を全開する。このように算出される目標開度SWにエアミックスドア46の実際の開度を近づけるようにサーボモータ47を制御する。その後、ステップS100〜ステップS107の処理を繰り返す。
【0080】
次に、本実施形態の内外気切替ドア35の制御処理(ステップS105)について図6〜図15を参照して説明する。図6は、内外気切替ドア35の制御処理の概略を示すフローチャートである。
【0081】
まず、ステップS110において、電磁クラッチ40aを制御してコンプレッサ40を停止させる。次のステップS110aにおいて、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が零であるか否かを判定する。
【0082】
このとき、(1)送風機37が停止している場合、(2)フェイスモードおよびバイレベル(B/L)モードのうち一方が実施されてデフロスタ吹出口48がデフロスタドア51により閉鎖されている場合のうち少なくもと一方であるときには、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が零であるとしてステップS110aでYESと判定する。これに伴い、ステップS110bに進んで、内外気切替ドア35により内気導入口33を閉鎖し、かつ外気導入口34を開口する。
【0083】
この場合、後述する内外気制御(ステップS191d)、省電力防曇制御(ステップS118)、および防曇付きオート制御(ステップS113c)等は実施されないものの、外気導入口34を開口することにより、空調ケーシング31内には外気だけが導入され、この外気が車室内に吹き出されるので、車室内の窓ガラスの曇り止めを行うことができる。
【0084】
一方、(3)送風機37が動作中である場合、(4)フットモードが実施されてデフロスタ吹出口48が開口しているときには、次のステップS110aにおいて、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が零よりも大きいとしてNOと判定する。
【0085】
これに伴い、次のステップS111において、検出回路10で演算された窓ガラス表面相対湿度RHWを読み込む。
【0086】
次のステップS112において、外気センサ61で検出される外気温Tamが一定温度(例えば15℃)以上であるか否かを判定する。外気温Tamが一定温度以上であるときには、YESと判定して防曇付きオート制御(この制御処理については後述する)を実施する。
【0087】
一方、外気温Tamが一定温度未満であるときにはステップS112でNOと判定して、次のステップS114において、コンプレッサ40が停止中であるか否かを判定する。このとき、コンプレッサ40が動作中であるときには、NOと判定して、ステップS115において電磁クラッチ40aを制御してコンプレッサ40を停止させて、ステップS115aに進む。一方、コンプレッサ40が停止中であるときには、ステップS115においてYESとステップS115aに進む。このステップS115aでは、図7のマップに基づいて、第1の基準湿度TRHWを算出する。
【0088】
図7では縦軸を第1の基準湿度TRHWとし、横軸を送風量とする特性図であり、送風量は、上述のステップS104で算出した送風機37の送風量である。
【0089】
送風量が0レベル以上4レベル未満では、第1の基準湿度TRHWが0%から70%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が4レベル以上16レベル未満では、第1の基準湿度TRHWが70%から90%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が16レベル以上では、第1の基準湿度TRHWが90%まま一定値になる。
【0090】
このように、送風量が下がるほど、第1の基準湿度TRHWを下げるように設定されている。ここで、後述する内外気制御(ステップS191d)および省電力防曇制御(ステップS118)では、デフロスタ吹出口48が開口した状態で行われる。このため、送風機37の送風量を、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量と見なし、デフロスタ吹出口48からの送風量が下がるほど、第1の基準湿度TRHWを下げるように設定されている。
【0091】
ステップS116において、ステップS115aで算出した第1の基準湿度TRHWと窓ガラス表面相対湿度RHWとに基づいて、内外気制御を選択するか否かを判定する。
【0092】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW以下であるか否かを判定し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW以下であると判定したときには内外気制御を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHWよりも高いと判定したときには省電力防曇制御を選択する。
【0093】
なお、内外気制御を選択するか、或いは省電力防曇制御を選択するかの判定には制御ハンチングを抑えるためにヒステリシス特性が設定されている。
【0094】
ステップS116において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW以上であるときには、NOと判定して、ステップS117に進んで、内外気切替ドア35により内気導入口33を閉鎖し、かつ外気導入口34を開口する。これにより、空調ケーシング31内には外気だけが導入されることになる。その後、ステップS117に進んで、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて省電力防曇制御を実施する。この省電力防曇制御の詳細については後述する。
【0095】
次に、ステップS119において、内外気制御に用いる内外気指令値Sを算出する。ここで、内外気指令値Sは、車室内への内気導入率T(すなわち、導入口33、34からの導入空気のうち内気の占める割合を示す比率)を決めるための数値であり、S=1からS=7に向かって内気導入率が順次増大する。
【0096】
図8は上記の内外気指令値Sの算出処理(ステップS119)の具体例を示すフローチャートであり、図8を参照して内外気指令値Sの算出処理について具体的に説明する。
【0097】
まず、車速SPDが低速域Aにあるか高速域Bにあるかを図9のマップに基づいて判定する(ステップS120)。そして、車速SPDが高速域Bにあるときは、図10のマップに示すように窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて内外気指令値Sを決定する(ステップS121)。
【0098】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第2の基準湿度RHWaよりも上昇すると、窓ガラスに曇りが生じ易いとして外気モードを実施する、また窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の基準湿度RHWbよりも低下すると、窓ガラスに曇りが生じ難いとして、内気モードを実施する。
【0099】
ここで、外気モードでは、内外気切替ドア35により内気導入口33を閉鎖し、かつ外気導入口34を開口し、内気モードでは内外気切替ドア35により内気導入口33を開口し、かつ外気導入口34を閉鎖する。
【0100】
第2の基準湿度RHWaとしては、窓ガラスに曇りが生じない上限湿度付近のレベルとして、例えば、80%が用いられ、第3の基準湿度RHWbとしては、例えば、65%が用いられる。
【0101】
一方、車速SPDが低速域Aにあるときは、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて、図8のマップに示す制御モード1、2、3、4のうち1つの制御モードを決定する(ステップS122)。
【0102】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHWと同じであるときには制御モード4を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW未満で、かつ第4の基準湿度RHWdよりも高い場合には制御モード3を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の基準湿度RHWd未満で、かつ第5の基準湿度RHWcよりも高い場合には制御モード2を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第5の基準湿度RHWc未満であるときには制御モード1を選択する。
【0103】
なお、制御モード1、2、3、4の選択に際しては、制御ハンチングを避けるためにヒステリシス特性が設定されている。
【0104】
ここで、第5の基準湿度TRHWc→第4の基準湿度RHWd→第1の基準湿度TRHWの順に湿度が高くなり、これらの順で徐々に窓ガラスに曇りが生じ易くなる傾向になっている。すなわち、TRHWc→TRHW→RHWdの順に窓ガラスに曇り易さ度合いが高くなる。
【0105】
第5の基準湿度TRHWcは、第1の基準湿度TRHWから一定値cを引いた値であり、第4の基準湿度RHWdは、第1の基準湿度TRHWから一定値d(<c)を引いた値である。このため、第4、第5の基準湿度TRHWcは、第1の基準湿度TRHWの変化に連動して変化する。
【0106】
また、制御モード1を決定したときは所定時間経過ごとにS=S+1の制御処理を行う(図8中S123)。すなわち、所定時間ごとに内外気指令値Sの値を「1」ずつ増加して、内気導入率を所定割合ずつ順次増加する制御処理を行う。
【0107】
また、制御モード2を決定したときはS=Sの制御処理、すなわち、内外気指令値Sの値として、前回算出のSの値を持続する制御処理を行う(図8中ステップS124)。
【0108】
また、制御モード3を決定したときは所定時間経過ごとにS=S−1の制御処理を行う(図8中ステップS125)。すなわち、所定時間ごとに内外気指令値Sの値を「1」ずつ減少して、内気導入率を所定割合ずつ減少する制御処理を行う。このため、制御モード3を決定したときは最初、内外気指令値S≠0であっても、時間経過に伴って、S=S−1を繰り返すと内外気指令値S=0になる。さらに、制御モード4を決定したときはS=0の制御処理、具体的には外気モードを実施する制御を行う(図8中ステップS126)。
【0109】
このことにより、制御モード1〜4のいずれか1つのモードの選択は、窓ガラス表面相対湿度RHW(湿度検出手段の検出湿度)が高くなるほど外気導入比率を増やすように行われていることになる。
【0110】
なお、特許請求範囲に記載の第1の制御モードが実施形態の制御モード1に相当し、特許請求範囲に記載の第2の制御モードが実施形態の制御モード2に相当し、特許請求範囲に記載の第3の制御モードが実施形態の制御モード3に相当し、特許請求範囲に記載の第4の制御モードが実施形態の制御モード4に相当する。
【0111】
再び、図6に戻って、ステップS191bにおいて、内気導入率Tを算出する。
【0112】
具体的には、図12のマップを用いて内外気指令値S(0<S<7)に基づいて内気導入率Tを決める。内外気指令値Sが「0」から「7」の間において内外気指令値Sが大きくなるにつれて、内気導入率Tが0%から100%まで増加し、内外気指令値Sが小さくなるにつれて、内気導入率Tが100%から0%まで減少する。
【0113】
このように算出した内気導入率Tに対応するように内外気制御を実施する(ステップS191d)。すなわち、図12で決めた内外気指令値Sに対応するように内外気切替ドア35の開度を制御する。このことにより、窓ガラス12が曇らない範囲内で、内外気指令値Sに対応して内外気切替ドア35の開度を制御して内気導入率を調整するので、窓ガラス12の防曇を行うことができる。
【0114】
これに加えて、目標吹出温度TAOに基づいて吹出モードを再選択する。具体的には、目標吹出温度TAOが第1の高温域に入っているときフットモードを実施し、目標吹出温度TAOが第1の高温域よりも高い第2の高温域に入っているときフットデフモードを実施し、目標吹出温度TAOが第2の高温域よりも高い第3の高温域に入っているときデフモードを実施する。
【0115】
フットデフモードでは、デフロスタドア51によりデフロスタ吹出口48を全開し、かつフットドア53によりフット吹出口50を全開する。このため、フットデフモードでは、フットモードに比べてデフロスタ吹出口48の開度(開口面積)が大きくなる。デフモードでは、デフロスタ吹出口48以外の吹出口を全閉し、かつデフロスタドア51によりデフロスタ吹出口48を全開する。このため、フットデフモードでは、フットモードに比べてデフロスタ吹出口48の開度(開口面積)が大きくなる。
【0116】
次に、省電力防曇制御の詳細について図13に基づいて説明する
省電力防曇制御では、窓ガラス表面相対湿度RHWに応じて省電力防曇制御モード1、2、3のうちいずれかが選択される。
【0117】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW(基準湿度)よりも高く、かつ第6の基準湿度RHWe(第1の閾値)以下であるときには(TRHW<RHW≦RHWe)、省電力防曇制御モード1を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の基準湿度RHWe(第1の閾値)以上で、かつ第7の基準湿度RHWf(第2の閾値)以下であるときには(RHWe<RHW≦RHWf)、省電力防曇制御モード2を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第7の基準湿度RHWf(第2の閾値)よりも高いときには(RHW>RHWf)、省電力防曇制御モード3を選択する。
【0118】
ここで、第6の基準湿度RHWeは、第1の基準湿度TRHWに対して一定値dを加えた値であり、第7の基準湿度RHWfは、第1の基準湿度TRHWに対して一定値eを加えた値である。第1の基準湿度TRHWは、上述の如く、送風量に応じて変化する。このため、第1の基準湿度TRHWの変化に連動して第6の基準湿度RHWeおよび第7の基準湿度RHWfが変わる。
【0119】
省電力防曇制御モード1では、フットモードを実施し、かつ上述のステップS104において目標吹出温度TAOに基づいて決められた送風機37の送風量に対して一定風量を増加させる。省電力防曇制御モード2では、強制的にフットデフモードを実施する。
【0120】
省電力防曇制御モード3では、デフモードを実施し、かつ上述のステップS104で決められた送風機37の風量に対して一定風量を増加させる。
【0121】
以上により、窓ガラス表面相対湿度RHWが高くなるほど、フットモード、フットデフモード、デフモードの順に切り替わることになる。これにより、目標吹出温度TAOが高くなるほど、デフロスタ吹出口48からの吹き出される送風量が増えて、防曇能力が増すことになる。
【0122】
次に、防曇付きオート制御の処理について説明する。
【0123】
まず、上述した図6中のステップS112において、外気温Tamが一定温度以上であるときには、YESと判定してステップS113aに進んで、コンプレッサ40が動作中か否かを判定する。コンプレッサ40が動作状態であるときには、YESと判定してステップS113cに移行する。一方、コンプレッサ40が停止状態であるときにはNOと判定して、コンプレッサ40を動作させて(ステップS113b)、ステップS113cに移行して防曇付きオート制御を実施する。
【0124】
ステップS113cでは、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜制御モード40のいずれかを選択する。図14は制御モード10〜制御モード40を選択するための閾値を示す特性図、図15は防曇付きオート制御の処理を示すフローチャートである。
【0125】
具体的には、図15中ステップS130において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の基準湿度RHWeよりも高いときには、YESと判定して、ステップS131において制御モード40を実行する。また、制御モード40の制御処理については、後述する。
【0126】
ステップS132において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の基準湿度RHWeよりも低く、かつ第1の基準湿度TRHWよりも高いときには、YESと判定して、ステップS133において制御モード30を実行する。また、制御モード30の制御処理については、後述する。
【0127】
ステップS134において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHWよりよりも低く、かつ第4の基準湿度RHWdより高いときには、YESと判定してステップS135において制御モード20を実行する。また、制御モード20の制御処理については、後述する。
【0128】
ステップS134において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の基準湿度RHWdよりも低いときには、NOと判定してステップS136において制御モード10を実行する。また、制御モード10の制御処理については、後述する。
【0129】
以上のように、制御モード40、30、20、10が選択されるもので、コンプレッサ40が動作して蒸発器38による冷却除湿が行われた状態で、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード40→制御モード30→制御モード20→制御モード10の順に段階的に切り替わる。制御モード10→20→…50→60の順で、防曇効果が段階的に高くなるようになっている。以下に、制御モード10〜40の具体的な制御処置について説明する。
【0130】
(制御モード10)
制御モード10では、フットモードを実施する。加えて、目標吹出温度TAOが中間温度域よりも低い低温域に入っていると判定したときには内気モードを実施し、目標吹出温度TAOが中間温度域内に入っていると判定したときには半内気モード(内気導入率T=50%)を実施し、目標吹出温度TAOが中間温度域より高いよりも高温域に入っていると判定したときには外気モードを実施する。この半内気モードでは、内外気切替ドア35により内気導入口33および外気導入口34をそれぞれ開口する。
【0131】
(制御モード20)
この制御モード20では、上述のステップS103で決められた吹出モードに関係なく、フットデフモードを実施する。加えて、上述のステップS104で目標吹出温度TAOに基づいて決められたブロワ電圧に対して一定電圧を増加する。すなわち、上述のステップS104で目標吹出温度TAOに基づいて決められた送風機37の風量に対して一定風量を増加させる。
【0132】
(制御モード30)
この制御モード30では、上述のステップS103で決められた吹出モードに関係なく、強制的にデフモードを実施する。
【0133】
(制御モード40)
制御モード40では、上述の制御モード20、30のそれぞれの制御処理を両方とも実施する。すなわち、上述のステップS104で目標吹出温度TAOに基づいて決められた送風機37の風量に対して一定風量を増加させ、かつデフモードを実施する。
【0134】
以上説明したように本実施形態によれば、電子制御装置26は、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少なくなるほど、第1の基準湿度TRHWを下げる。この第1の基準湿度TRHWは、外気導入による防曇を実施する制御(省電力防曇制御)を行うか否かに判定に用いられる閾値である。
【0135】
これにより、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少ない状態では、窓ガラスの温度ムラが生じ易い状態になるが、第1の基準湿度TRHWを下げることにより、防曇を実施する機会を増やすことが可能になる。このため、窓ガラスの曇りが生じ難くなり、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めることができる。
【0136】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めるために、防曇判定で用いられる判定値(第1の基準湿度TRHW)を送風量に応じて変更した例について説明したが、これに加えて、本第2実施形態では、内外気制御で用いられる内気導入率の最大値を送風機37の送風量に応じて変更する。なお、内気導入率の最大値を略して最大内気導入率Mtともいう。
【0137】
本第2実施形態の内外気モード制御のフローチャートを図16に示す。図16において、図6中の同一ステップは同一処理を示しており、図16のフローチャートは、図6のフローチャートにおいてステップS119とステップS119bとの間にステップS119aが追加されたものである。このため、以下、主にステップ119aの制御処理について説明し、ステップ119a以外の制御処理の説明は簡略化する。
【0138】
本実施形態においてステップ119aでは、図17のマップに基づいて、内外気制御で用いられる内気導入率の最大値を算出する。
【0139】
図17では縦軸を内気導入率の最大値とし、横軸を送風機37の送風量とする特性図であり、送風量が0レベル以上4レベル未満では、最大内気導入率Mtが0%から60%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が4レベル以上16レベル未満では、最大内気導入率Mtが60%から100%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が16レベル以上では、第1の基準湿度TRHWが90%まま一定値になる。つまり、4レベル<送風量<16レベルの場合に比べて、0レベル<送風量<4レベルでは、送風量に対して最大内気導入率Mtが大きく増加するように設定されている。
【0140】
本実施形態の内外気制御(ステップS191d)では、デフロスタ吹出口48を開口しているので、送風機37の送風量をデフロスタ吹出口48から吹き出される送風量と見なす。このため、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が下がるほど、最大内気導入率Mtが下がるように設定されることになる。
【0141】
次に、ステップS191bにおいて、最大内気導入率Mtに基づいて内気導入率Tを算出する。
【0142】
具体的には、内気導入率Tを縦軸とし、内外気指令値S(0<S<7)を横軸とする特性グラフを作成する。特性グラフは、図18に示すように、内外気指令値S=0ときに内気導入率T=0とし、内外気指令値S=7ときに内気導入率T=最大内気導入率Mtとなり、内外気指令値Sの増加に伴い内気導入率Tが線形的に増加するように設定する。図18中特性グラフaは、最大内気導入率Mtが100%の場合のグラフであり、特性グラフbは、最大内気導入率Mtが30%の場合のグラフである。
【0143】
このように作成された特性グラフに基づいて内気導入率Tを算出し、この内気導入率Tに対応するように内外気制御を実施する(ステップS191d)。すなわち、図19で決めた内外気指令値Sに対応するように内外気切替ドア35の開度を制御する。このことにより、内外気切替ドア35の開度を制御して、窓ガラス12が曇らないように内気導入率Tを調整して窓ガラス12の防曇を行うことになる。
【0144】
以上説明した本実施形態では、電子制御装置26は、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少なくなるほど、最大内気導入率Mtを下げる。この最大内気導入率Mtは、コンプレッサ40の停止状態で内外気制御を実施する際の内気導入率の最大値である。
【0145】
これにより、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少ない状態では、窓ガラスの温度ムラが生じ曇りが生じ易い状態になるが、最大内気導入率Mtを下げることにより、内気導入量を減らし、外気導入量を増やす機会を増やすことが可能になる。このため、窓ガラスの曇りが生じ難くなり、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めることができる。
【0146】
(他の実施形態)
上述の第1、第2実施形態では、室内空調ユニット30においてエアミックスドア46を用いて吹出口48〜50から車室内に吹き出す空気温度を調整した例について説明したが、これに代えて、ヒータユニット44とエンジンとの間で循環するエンジン冷却水の量を調整して吹出口48〜50から車室内に吹き出す空気温度を調整してもよい。
【0147】
上述の第1、第2実施形態では、室内空調ユニット30により前面窓ガラス12を防曇した例について説明したが、これに代えて、室内空調ユニット30により後側窓ガラスを防曇するようにしてもよく、側面側窓ガラスを防曇するようにしてもよい。
【0148】
上述の第1、第2実施形態では、車室内の窓ガラス内面付近の空気湿度、窓ガラス内面付近の空気温度、およびガラス温度をそれぞれ検出し、これらの検出値から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算した例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
(1)車室内の窓ガラス内面付近の空気湿度、および窓ガラス内面付近の空気温度を検出し、これら空気湿度、および空気温度からガラス温度を推定し、この推定ガラス温度、空気温度を検出し、および空気湿度から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算する。
(2)車室内の窓ガラス表面の温度センサ、湿度センサを直接貼り付け、ガラス温度、および窓ガラス表面相対湿度RHWを検出する。
(3)車室内の空気湿度、車室内の空気温度、およびガラス温度を検出し、これら検出値から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算する。
(4)車室内の空気湿度、車室内の空気温度を検出し、これらからガラス温度を推定し、この推定ガラス温度、車室内の空気湿度、および車室内の空気温度から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算する。
【0149】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、検出装置10が湿度検出手段に相当し、ステップS116の制御処理が湿度判定手段に相当し、ステップS118の制御処理が防曇手段に相当し、ステップS115aの制御処理が基準湿度設定手段に相当し、エアミックスドア46が温度調整用ドアに相当し、ステップS191dの制御処理が内外気ドア制御手段に相当し、ステップS119aの制御処理が内気導入率設定手段に相当し、ステップS119の制御処理が指令値算出手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置の全体システム構成図である。
【図2】図1の検出装置の概略断面図である。
【図3】図1の検出装置の概略斜視図である。
【図4】図1の検出装置の電気的ブロック図である。
【図5】第1実施形態による空調装置側制御の基本ロジックを示すフローチャ−トである。
【図6】第1実施形態による内外気制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図7】第1実施形態による送風量と基準湿度との関係を示す特性図である。
【図8】内外気制御指令値を求めるためのフローチャートである
【図9】内外気制御における車速判定の特性図である。
【図10】窓ガラス表面相対湿度RHWと内外気モードとの関係を示す特性図である。
【図11】窓ガラス表面相対湿度RHWと内外気制御のモードとの関係を示す特性図である。
【図12】内気導入率と内外気指令値との関係を示す特性図である。
【図13】窓ガラス表面相対湿度RHWと省電力防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【図14】窓ガラス表面相対湿度と防曇付きオート制御のモードとの関係を示す特性図である。
【図15】第1実施形態による防曇付きのオート制御のロジックを示すフローチャ−トである。
【図16】本発明の第2実施形態による内外気モード制御を示すフローチャ−トである。
【図17】第2実施形態において最大内気導入率と送風量との関係を示す特性図である。
【図18】第2実施形態において内気導入率Tと内外気指令値Sとの関係を示す特性グラフである。
【図19】窓ガラスに曇りが発生するメカニズムを説明するための図である。
【図20】窓ガラスに曇りが発生するメカニズムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0151】
10…検出装置、26…電子制御装置、30…室内空調ユニット、
31…空調ケーシング、35…内外気切替ドア、36…サーボモータ、
37…送風機、38…蒸発器、40…コンプレッサ、44…ヒータユニット、
45…バイパス通路、46…エアミックスドア、49…フェイス吹出口、
50…フット吹出口。
【背景技術】
【0001】
従来、車両用空調装置において、空調ケーシング内に、空気を冷媒により冷却する冷房用熱交換器と、冷房用熱交換器から吹き出される冷風を加熱する暖房用熱交換器と、暖房用熱交換器をバイパスして冷風を流すバイパス通路と、暖房用熱交換器に流れる風気量とバイパス通路に流れる空気量との比率を変えるエアミックスドアを備え、エアミックスドアの開度を変えることにより、当該比率を変えて、車室内に吹き出す空気温度を調整しているものがある。
【0002】
このものにおいて、冷房用熱交換器とともに冷凍サイクル装置を構成して冷媒を循環させるコンプレッサを備え、オートエアコンモードを実施する際には、夏期は冷房のためにコンプレッサを動作させて冷房用熱交換器により空気を十分に冷却させ、また冬期は窓ダラスの曇り防止のための除湿目的でコンプレッサを動作させて冷房用熱交換器により空気を十分に冷却させている。
【0003】
また、車室内湿度を検出する湿度センサを搭載している車両においては、湿度センサの検出湿度に基づいて、冷房、湿度快適性、および窓ガラスの防曇を考慮して、最適な冷房用熱交換器の温度の目標値Teを決定して、この決定された目標値Teに冷房用熱交換器の実際の温度を近づけるようにコンプレッサを制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方で、近年の走行用エンジンの高効率化に伴って走行用エンジンの廃熱量が低くなっている。このため、冬期においては、暖房用熱交換器に対して十分な走行用エンジンからエンジン冷却水として十分な廃熱量を供給できなくなり、暖房性能不足が懸念されている。
【0005】
これは、冬期においては、窓ガラスの防曇のために車室内に外気を導入して、車室内空気の熱エネルギーを車室外に逃がしているためである。すなわち、冬期の暖房性能不足は、換気に伴うエネルギー損失が生じるためのである。
【0006】
しかし、車室内の空気を循環させる内気循環と窓ガラスの防曇とは相反することであり、内気循環を実施すれば、車室内空気の熱エネルギーを車室外に逃がすことを抑制できるが、窓ガラスの曇りが生じ易くなる。このため、現在の車両用空調装置においては、窓ガラスの曇りに対する安全性の面から、外気導入をせざるを得ないのが通常である。
【特許文献1】特許第3309528号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、コンプレッサを停止した状態で、窓曇りの発生しない範囲で内気導入率Tを調整して可能な限り内気を導入する技術について鋭意検討したところ、次の問題点があることが分かった。
【0008】
この窓曇りの発生しない範囲で可能な限り内気を導入するには、ガラス近傍の湿度およびガラス温度を測定し演算し、このガラス近傍の湿度およびガラス温度からガラス表面相対湿度を求める。このガラス表面相対湿度と判定値とを比較して、窓ガラスに曇りが生じていると判定すると、デフロスタ吹出口から窓ガラスの内表面に温風を吹き出して防曇を実施する。
【0009】
例えば、フットモードを実施する場合には、フット吹出口を開口するとともにデフロスタ吹出口を若干開口して、デフロスタ吹出口から窓ガラスの内表面に温風を漏らして防曇を実施する。
【0010】
図19に示すように、デフロスタ吹出口1から窓ガラス2の表面に漏らす温風量が多い場合には、窓ガラス2の表面に全面に亘り温風が行き渡るので、窓ガラス2の表面全面において温度ムラ生じ難く、曇りが生じることを防止できる。
【0011】
しかし、図20に示すように、デフロスタ吹出口1から窓ガラス2の表面に漏らす温風量が少ない場合には、窓ガラス2の表面において温風が到達しない箇所が生じる。このため、窓ガラス2の表面に温度ムラが生じる。このため、ガラス近傍の湿度、ガラス温度を検出するセンサ3の位置よりも、温度の低い箇所が窓ガラス2の一部に生じてしまい、窓ガラス2の表面の一部には曇りが生じてしまうという問題が生じる。
【0012】
本発明は、上記点に鑑み、窓ガラスに曇りが生じ難くした車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記デフロスタ吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
前記窓ガラスの内表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このように、デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど基準湿度を小さい値にすることにより、防曇手段による窓ガラスの内表面の曇り止めを実施する機会が増えるため、窓ガラスの内表面の曇りが生じ難くなる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、前記空調ケーシング内に設けられ、前記冷却用熱交換器からの冷風を前記暖房用熱交換器をバイパスして流すバイパス通路(45)と、
前記バイパス通路を流れる空気量と前記暖房用熱交換器に流れる空気量との比率を変えることにより、前記デフロスタ吹出口から吹き出される空気温度を調整する温度調整用ドア(46)と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明では、前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードと、を有し、
前記湿度検出手段の検出湿度が前記基準湿度より高く、かつ第1の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第1の閾値よりも高く、かつ第2の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットデフモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第2の閾値よりも高いときに、前記防曇手段は前記デフモードを実施するようになっていることを特徴とする。
【0017】
これにより、湿度が高くなるほど、フットモード→フットデフモード→デフモードの順に切り替わり、デフロスタ吹出口から吹き出す風量が増え、防曇能力を高めることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、外気導入口を開口して車室内に外気を導入して窓ガラスに曇りが生じることを防止できる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機からの送風空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
当該車両の窓ガラス表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記コンプレッサが停止した状態で前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて前記内外気
切替ドアを制御して、前記窓ガラスが曇らない範囲で前記内気導入口を介して内気を導入するように内気導入率を調整する内外気ドア制御手段(S191d)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少なくなるほど前記内気導入率の最大値を下げるように設定する内気導入率設定手段(S119)と、を備えることを特徴とする。
【0021】
これにより、デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少なくなる場合ほど、内気の導入率の最大値を下げることにより、内気導入量を減らして外気導入量を増やすようにするので、窓ガラスの曇りが生じ難くなる。
【0022】
内気導入率とは、外気導入口を介して導入する外気量に対して、内気導入口を介して導入する内気量の比率である。
【0023】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の車両用空調装置において、前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて、前記車室内に導入する内気導入量と外気導入量との比率を決めるための内気指令値(S)を算出する指令値算出手段(S119)を備えており、
前記内外気ドア制御手段は、前記内外気切替ドアを制御する際に、前記指令値算出手段により算出された内気指令値(S)を用いることを特徴とする。
【0024】
具体的には、請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の車両用空調装置において、前記車室内への内気導入率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第1の制御モード、前記車室内への前記内気導入率および前記外気導入比率を維持させるように前記内気指令値(S)を算出する第2の制御モード、前記車室内への外気導入比率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第3の制御モードと、前記車室内に前記外気だけを導入させるように前記内気指令値(S)を算出する第4の制御モードを有しており、
さらに、前記指令値算出手段は、前記湿度検出手段の検出湿度が高くなるほど前記外気導入比率を増やすように、前記第1〜第4の制御モードのうち1つの制御モードを選択し、この選択された制御モードに基づいて前記内気指令値(S)を算出することを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明では、請求項5ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードを有し、
前記内外気ドア制御手段が前記内外気切替ドアを制御する際には、前記デフロスタ吹出口および前記フット吹出口の目標吹出温度が大きくなるほど、前記フットモード、前記フットデフモードモード、および前記デフモードの順に切り替わるようになっていることを特徴とする。
【0026】
これにより、目標吹出温度が大きくなるほど、フットモード、フットデフモードモード、およびデフモードの順に切り替わり、デフロスタ吹出口から吹き出す風量が増え、防曇能力を高めることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明では、前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする。
【0028】
これにより、外気導入口を開口して車室内に外気を導入して窓ガラスに曇りが生じることを防止できる。
【0029】
請求項10に記載の発明では、請求項5ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、を備えることを特徴とする。
【0030】
このように、デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど基準湿度を小さい値にすることにより、防曇手段による窓ガラスの内表面の曇り止めを実施する機会が増えるため、窓ガラスの内表面の曇りが生じ難くなる。
【0031】
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、前記車室内の空気温度の設定温を設定する温度設定手段(70)と、
前記車室内の空気温度を前記設定温に維持するために必要である前記デフロスタ吹出口の吹出空気温度として前記目標吹出空気温度を算出する目標温度算出手段(S102)と、
を備えていることを特徴とする。
【0032】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
図1に、本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態の概略構成を示す。
【0034】
車両用空調装置は、室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側部等に配設される。この室内空調ユニット30は空調ケーシング31を有し、この空調ケーシング31内に車室内へ向かって空気が送風される空気通路を構成する。
【0035】
この空調ケーシング31の空気通路の最上流部に内外気切替箱32を配置し、内気導入口33および外気導入口34を内外気切替ドア35により切替開閉するようになっている。この内外気切替ドア35はサーボモータ36によって駆動される。
【0036】
内外気切替箱32の下流側には車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機37を配置している。この送風機37は、遠心式の送風ファン37aをモータ37bにより駆動するようになっている。送風機37の下流側には送風空気を冷却する冷房用熱交換器をなす蒸発器38を配置している。
【0037】
この蒸発器38は、冷凍サイクル装置39を構成する要素の一つであり、低温低圧の冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却する。なお、冷凍サイクル装置39は周知のものであり、コンプレッサ40の吐出側から、凝縮器41、受液器42および減圧手段をなす膨張弁43を介して蒸発器38に冷媒が循環するように構成されている。凝縮器41には電動式の冷却ファン41aによって室外空気(冷却空気)が送風される。この冷却ファン41aはモータ41bによって駆動される。
【0038】
冷凍サイクル装置39において、コンプレッサ40としては、例えば、冷媒吐出容量を変更可能である可変容量型コンプレッサが用いられる。コンプレッサ40は、電磁クラッチ40aを介して車両エンジン(図示せず)により駆動される。従って、電磁クラッチ40aの通電の断続によりコンプレッサ40の作動を断続制御できる。
【0039】
一方、室内空調ユニット30において、蒸発器38の下流側には空調ケーシング31内を流れる空気を加熱するヒータユニット44を配置している。このヒータユニット44は車両エンジンの温水(すなわち、エンジン冷却水)を熱源として、蒸発器38通過後の空気(冷風)を加熱する加熱用熱交換器である。ヒータユニット44の上側にはバイパス通路45が形成され、このバイパス通路45をヒータユニット44のバイパス空気が流れる。
【0040】
蒸発器38とヒータユニット44との間に温度調整手段をなすエアミックスドア46を回転自在に配置してある。このエアミックスドア46はサーボモータ47により駆動されて、その回転位置(開度)が連続的に調整可能になっている。
【0041】
エアミックスドア46の開度によりヒータユニット44を通る空気量(温風量)と、バイパス通路45を通過してヒータユニット44をバイパスする空気量(冷風量)との割合を調節し、これにより、車室内に吹き出す空気の温度を調整するようになっている。
【0042】
空調ケーシング31の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラス12に向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ吹出口48、乗員顔部(乗員上半身)に向けて空調風を吹き出すためのフェイス吹出口49、および乗員足元部(乗員下半身)に向けて空調風を吹き出すためのフット吹出口50の計3種類の吹出口が設けられている。空調ケーシング31内においてバイパス通路45を通過する冷風とヒータユニット44を通過する温風とが混合されて吹出口48、49、50から車室内に吹き出される。
【0043】
これら吹出口48〜50の上流部にはデフロスタドア51、フェイスドア52およびフットドア53が回転自在に配置されている。これらのドア51〜53は、図示しないリンク機構を介して共通のサーボモータ54によって開閉操作される。
【0044】
電子制御装置26は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この電子制御装置26は、そのROM内に空調制御のためのコンピュータプログラムを記憶しており、そのコンピュータプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。
【0045】
電子制御装置26には、後述する検出装置10の検出値が入力される他に、周知の空調用センサ群61〜65からの検出信号、および空調操作パネル70からの各種操作信号が入力される。
【0046】
空調用センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気センサ61、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ62、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ63、蒸発器38の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ64、ヒータユニット44に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ65等が設けられる。
【0047】
また、空調操作パネル70には各種空調操作部材として、車室内の設定温度Tsetを設定する温度設定手段をなす温度設定スイッチ71、吹出モードドア51〜53により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ72、内外気切替ドア35による内外気吸込モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ73、コンプレッサ40の作動指令信号(電磁クラッチ40aのON信号)を出すエアコンスイッチ74、送風機37の風量をマニュアル設定する送風機作動スイッチ75、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ76等が設けられる。
【0048】
電子制御装置26の出力側には、コンプレッサ40の電磁クラッチ40a、各機器の電気駆動手段をなすサーボモータ36、47、54、送風機37のモータ37b、凝縮器冷却ファン41aのモータ41b等が接続され、これらの機器の作動が電子制御装置26の出力信号により制御される。
【0049】
次に、検出装置10の構成について図2〜図4を用いて説明する。図2は検出装置10を車両の窓ガラス(具体的には、フロント側窓ガラス)の内面に装着した状態を示す概略断面図で、図3は検出装置10の概略斜視図であり、図4は検出装置10の電気的構成図である。
【0050】
検出装置10は、樹脂等により成形されたケース11を有している。このケース11は高さの低い薄型の直方体状であって、底面部は全面的に開口した形状になっている。
【0051】
ケース11の前面および背面の壁面には凸形状の開口部11aを形成している。この前面および背面の開口部11aによりケース11の内部空間が周辺の空間、すなわち、車室内空間に常時連通するようになっている。ケース11の前面および背面の壁面のうち、開口部11aの左右両側部分は窓ガラス12の内面12aへの取付ステー部11bを構成する。
【0052】
窓ガラス12は本例では車両の前面(フロント)ガラスであり、図1の上面側が車室内に面する内面12aであり、図1の下面側が車室外に面する外面12bである。従って、図2は窓ガラス12の内面12aを図示している。取付ステー部11bの下端面には遮光フィルム13が貼り付けられ、さらに、遮光フィルム13が窓ガラス12の内面12aに貼り付けられる。なお、遮光フィルム13は取付ステー部11bの下端面および窓ガラス12の内面に対して接着等の手段で貼り付ければよい。
【0053】
ケース11の内部空間において開口部11aの上端部と上側壁面11cとの間に回路基板14が窓ガラス12の面と平行に配置され、図示しない取付手段にて回路基板14はケース11の内壁面に固定される。回路基板14は絶縁基板上に導体回路部を構成する一般にプリント基板と称される部材であり、以下に述べるセンサ類および回路部が実装される。
【0054】
回路基板14のうち、窓ガラス12側の表面(図1の下側面)には、湿度センサ17、空気温度検出用温度センサ18、増幅器19、演算回路20、および通信回路21が実装されている。
【0055】
なお、湿度センサ17と温度センサ18は回路基板14の長手方向(図2の左右方向)の中央部に配置され、開口部11aの上端部付近、すなわち、車室内空間への連通部位に配置されている。このため、湿度センサ17と温度センサ18は車室内の窓ガラス内面付近の空気の代表的な湿度と温度を検出できる。
【0056】
遮光フィルム13のうちセンサ側の表面の1箇所にガラス温度検出用の温度センサ23が一体化して配置される。遮光フィルム13は上述のように熱伝導率の高い薄膜状部材であるから、窓ガラス12の車室内側表面温度(内面温度)とほぼ同一の温度になっている。
【0057】
なお、本例では、湿度センサ17として、感湿膜の誘電率が空気の相対湿度に応じて変化し、それにより、静電容量が空気の相対湿度に応じて変化する容量変化型のものを用いている。また、温度センサ18、23としては温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタを用いている。
【0058】
リード線25はケース11の内部空間からケース11の外部へ取り出される電源線および通信線であり、回路基板14の電気回路部(増幅器19、演算回路20、および通信回路21)と、外部回路(後述の図4の電子制御装置26、車両電源等)との間を電気的に接続するものである。
【0059】
なお、前述したケース11の取付ステー部11bは、回路基板14および回路基板14上に実装される各種センサ類と窓ガラス12の内面12aとの間隔を規定する位置決め手段としての役割を果たす。
【0060】
次に、図4により検出装置10電気的構成を説明すると、各センサ17、18、23の出力信号をそれぞれ増幅器19a〜19dで増幅して演算回路20a〜20cに加える。
【0061】
そして、演算回路20aが、湿度センサ17(具体的には増幅回路20aの出力値)の出力値Vに基づいて、窓ガラス付近の車室内空気の相対湿度RHを演算する。すなわち、湿度センサ17の出力値Vを相対湿度RHに変換するための所定の演算式が予め設定されており、この演算式に出力値Vを適用することにより、相対湿度RHを演算する。下記(1)式は、この湿度演算式の具体例である。
【0062】
RH=αV+β ……(1)
但し、αは制御係数で、βは定数である。
【0063】
次に、演算回路20bが空気温度センサ18の出力値(具体的には増幅回路20bの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス付近の車室内空気温度を演算する。
【0064】
さらに、演算回路20cが、ガラス温度センサ23の出力値(具体的には増幅回路20cの出力値)を予め設定された所定の演算式に適用することにより、窓ガラス温度(ガラス室内側表面温度)を演算する。
【0065】
さらに、演算回路20dが、相対湿度RH、空気温度および窓ガラス温度に基づいて、窓ガラス表面相対湿度(窓ガラス室内側表面の相対湿度:曇り易さ)RHWを演算する。すなわち、湿り空気線図を用いることにより、相対湿度RHと空気温度と窓ガラス温度とから窓ガラス表面相対湿度RHWを演算できる。そして、その窓ガラス表面相対湿度RHWが通信回路21を通して電子制御装置26に出力するようになっている。
【0066】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
【0067】
図5は、基本空調制御処理のフローチャートを示す。電子制御装置26は、図5に示すフローチャートにしたがって、コンピュータプログラムを実行する。当該コンピュータプログラムの実行は、イグニッションスイッチIGがオンされると開始される。
【0068】
まず、ステップS100において、空調操作パネル70からの操作信号(設定温度Tset)を読み込む。
【0069】
次のステップS101において、センサ群61〜65からの検出信号、および検出装置10からの検出信号(窓ガラス表面相対湿度RHW)を読み込む。
【0070】
次のステップS102において、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、車室内の空調熱負荷の変動にかかわらず、温度設定スイッチ71により設定した設定温度Tsetに車室内温度(内気温)Trを維持するために必要な車室内吹出空気温度である。具体的には、下記数式(1)により目標吹出温度TAOを演算する。
【0071】
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr
−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(1)
ここで、Trは内気センサ62により検出される内気温、Tamは外気センサ61により検出される外気温、Tsは日射センサ63により検出される日射量、Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインおよびCは補正用の定数である。
【0072】
次に、ステップS103において、目標吹出温度TAOに基づいて、サーボモータ54を制御して、フェイスドア52およびフットドア53を開閉する。
【0073】
具体的には、吹出モードを目標吹出温度TAOに基づいて決定する。本実施形態では、目標吹出温度TAOが低温域に入っていると判定したとき吹出モードとしてフェイスモードを実施し、目標吹出温度TAOが中間温域に入っていると判定したとき吹出モードとしてバイレベル(B/L)モードを実施し、目標吹出温度TAOが高温域に入っているとき吹出モードとしてフットモードを実施する。
【0074】
ここで、フェイスモードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を閉鎖する。バイレベル(B/L)モードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を開口する。フットモードでは、フェイスドア52によりフェイス吹出口49を若干開口し、かつフットドア53によりフット吹出口50を開口する。
【0075】
次に、ステップS104において、エンジン冷却水の温度Twおよび目標吹出温度TAOに基づいて、送風機37の送風量を制御する。例えば、エンジン冷却水の温度Twが所定温度未満であるときには送風機37を停止する。このため、温度Twが所定温度未満であるときには送風機37の風量が零になる。
【0076】
エンジン冷却水の温度Twが所定温度以上で、かつ目標吹出温度TAOが中間温度域に入っている場合には、送風機37の風量を最小風量にする。一方、エンジン冷却水の温度Twが所定温度以上で、かつ目標吹出温度TAOが低温域および高温域に入っている場合には、送風機37の送風量を最大風量にする。目標吹出温度TAOが低温域(または高温域)から中間温度域に向かって変化するにつれて送風機37の送風量を減少させる。
【0077】
次に、ステップS105において、外気温Tam、目標吹出温度TAO、および窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて内外気切替ドア35を制御する。具体的な内外気切替ドア35の制御処理については後述する。
【0078】
次に、ステップS106にて、エアミックスドア46の目標開度SWを目標吹出温度TAO、蒸発器吹出空気温度Te、及びエンジン冷却水温度Twに基づいて次の数式(2)により算出する。
【0079】
SW=〔(TAO−Te)/(Tw−Te)〕×100(%)…(2)
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア46の最大冷房位置であり、バイパス通路16を全開し、ヒータコア15側の通風路を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア46の最大暖房位置であり、バイパス通路16を全閉し、ヒータコア15側の通風路を全開する。このように算出される目標開度SWにエアミックスドア46の実際の開度を近づけるようにサーボモータ47を制御する。その後、ステップS100〜ステップS107の処理を繰り返す。
【0080】
次に、本実施形態の内外気切替ドア35の制御処理(ステップS105)について図6〜図15を参照して説明する。図6は、内外気切替ドア35の制御処理の概略を示すフローチャートである。
【0081】
まず、ステップS110において、電磁クラッチ40aを制御してコンプレッサ40を停止させる。次のステップS110aにおいて、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が零であるか否かを判定する。
【0082】
このとき、(1)送風機37が停止している場合、(2)フェイスモードおよびバイレベル(B/L)モードのうち一方が実施されてデフロスタ吹出口48がデフロスタドア51により閉鎖されている場合のうち少なくもと一方であるときには、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が零であるとしてステップS110aでYESと判定する。これに伴い、ステップS110bに進んで、内外気切替ドア35により内気導入口33を閉鎖し、かつ外気導入口34を開口する。
【0083】
この場合、後述する内外気制御(ステップS191d)、省電力防曇制御(ステップS118)、および防曇付きオート制御(ステップS113c)等は実施されないものの、外気導入口34を開口することにより、空調ケーシング31内には外気だけが導入され、この外気が車室内に吹き出されるので、車室内の窓ガラスの曇り止めを行うことができる。
【0084】
一方、(3)送風機37が動作中である場合、(4)フットモードが実施されてデフロスタ吹出口48が開口しているときには、次のステップS110aにおいて、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が零よりも大きいとしてNOと判定する。
【0085】
これに伴い、次のステップS111において、検出回路10で演算された窓ガラス表面相対湿度RHWを読み込む。
【0086】
次のステップS112において、外気センサ61で検出される外気温Tamが一定温度(例えば15℃)以上であるか否かを判定する。外気温Tamが一定温度以上であるときには、YESと判定して防曇付きオート制御(この制御処理については後述する)を実施する。
【0087】
一方、外気温Tamが一定温度未満であるときにはステップS112でNOと判定して、次のステップS114において、コンプレッサ40が停止中であるか否かを判定する。このとき、コンプレッサ40が動作中であるときには、NOと判定して、ステップS115において電磁クラッチ40aを制御してコンプレッサ40を停止させて、ステップS115aに進む。一方、コンプレッサ40が停止中であるときには、ステップS115においてYESとステップS115aに進む。このステップS115aでは、図7のマップに基づいて、第1の基準湿度TRHWを算出する。
【0088】
図7では縦軸を第1の基準湿度TRHWとし、横軸を送風量とする特性図であり、送風量は、上述のステップS104で算出した送風機37の送風量である。
【0089】
送風量が0レベル以上4レベル未満では、第1の基準湿度TRHWが0%から70%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が4レベル以上16レベル未満では、第1の基準湿度TRHWが70%から90%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が16レベル以上では、第1の基準湿度TRHWが90%まま一定値になる。
【0090】
このように、送風量が下がるほど、第1の基準湿度TRHWを下げるように設定されている。ここで、後述する内外気制御(ステップS191d)および省電力防曇制御(ステップS118)では、デフロスタ吹出口48が開口した状態で行われる。このため、送風機37の送風量を、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量と見なし、デフロスタ吹出口48からの送風量が下がるほど、第1の基準湿度TRHWを下げるように設定されている。
【0091】
ステップS116において、ステップS115aで算出した第1の基準湿度TRHWと窓ガラス表面相対湿度RHWとに基づいて、内外気制御を選択するか否かを判定する。
【0092】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW以下であるか否かを判定し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW以下であると判定したときには内外気制御を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHWよりも高いと判定したときには省電力防曇制御を選択する。
【0093】
なお、内外気制御を選択するか、或いは省電力防曇制御を選択するかの判定には制御ハンチングを抑えるためにヒステリシス特性が設定されている。
【0094】
ステップS116において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW以上であるときには、NOと判定して、ステップS117に進んで、内外気切替ドア35により内気導入口33を閉鎖し、かつ外気導入口34を開口する。これにより、空調ケーシング31内には外気だけが導入されることになる。その後、ステップS117に進んで、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて省電力防曇制御を実施する。この省電力防曇制御の詳細については後述する。
【0095】
次に、ステップS119において、内外気制御に用いる内外気指令値Sを算出する。ここで、内外気指令値Sは、車室内への内気導入率T(すなわち、導入口33、34からの導入空気のうち内気の占める割合を示す比率)を決めるための数値であり、S=1からS=7に向かって内気導入率が順次増大する。
【0096】
図8は上記の内外気指令値Sの算出処理(ステップS119)の具体例を示すフローチャートであり、図8を参照して内外気指令値Sの算出処理について具体的に説明する。
【0097】
まず、車速SPDが低速域Aにあるか高速域Bにあるかを図9のマップに基づいて判定する(ステップS120)。そして、車速SPDが高速域Bにあるときは、図10のマップに示すように窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて内外気指令値Sを決定する(ステップS121)。
【0098】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第2の基準湿度RHWaよりも上昇すると、窓ガラスに曇りが生じ易いとして外気モードを実施する、また窓ガラス表面相対湿度RHWが第3の基準湿度RHWbよりも低下すると、窓ガラスに曇りが生じ難いとして、内気モードを実施する。
【0099】
ここで、外気モードでは、内外気切替ドア35により内気導入口33を閉鎖し、かつ外気導入口34を開口し、内気モードでは内外気切替ドア35により内気導入口33を開口し、かつ外気導入口34を閉鎖する。
【0100】
第2の基準湿度RHWaとしては、窓ガラスに曇りが生じない上限湿度付近のレベルとして、例えば、80%が用いられ、第3の基準湿度RHWbとしては、例えば、65%が用いられる。
【0101】
一方、車速SPDが低速域Aにあるときは、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて、図8のマップに示す制御モード1、2、3、4のうち1つの制御モードを決定する(ステップS122)。
【0102】
すなわち、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHWと同じであるときには制御モード4を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW未満で、かつ第4の基準湿度RHWdよりも高い場合には制御モード3を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の基準湿度RHWd未満で、かつ第5の基準湿度RHWcよりも高い場合には制御モード2を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第5の基準湿度RHWc未満であるときには制御モード1を選択する。
【0103】
なお、制御モード1、2、3、4の選択に際しては、制御ハンチングを避けるためにヒステリシス特性が設定されている。
【0104】
ここで、第5の基準湿度TRHWc→第4の基準湿度RHWd→第1の基準湿度TRHWの順に湿度が高くなり、これらの順で徐々に窓ガラスに曇りが生じ易くなる傾向になっている。すなわち、TRHWc→TRHW→RHWdの順に窓ガラスに曇り易さ度合いが高くなる。
【0105】
第5の基準湿度TRHWcは、第1の基準湿度TRHWから一定値cを引いた値であり、第4の基準湿度RHWdは、第1の基準湿度TRHWから一定値d(<c)を引いた値である。このため、第4、第5の基準湿度TRHWcは、第1の基準湿度TRHWの変化に連動して変化する。
【0106】
また、制御モード1を決定したときは所定時間経過ごとにS=S+1の制御処理を行う(図8中S123)。すなわち、所定時間ごとに内外気指令値Sの値を「1」ずつ増加して、内気導入率を所定割合ずつ順次増加する制御処理を行う。
【0107】
また、制御モード2を決定したときはS=Sの制御処理、すなわち、内外気指令値Sの値として、前回算出のSの値を持続する制御処理を行う(図8中ステップS124)。
【0108】
また、制御モード3を決定したときは所定時間経過ごとにS=S−1の制御処理を行う(図8中ステップS125)。すなわち、所定時間ごとに内外気指令値Sの値を「1」ずつ減少して、内気導入率を所定割合ずつ減少する制御処理を行う。このため、制御モード3を決定したときは最初、内外気指令値S≠0であっても、時間経過に伴って、S=S−1を繰り返すと内外気指令値S=0になる。さらに、制御モード4を決定したときはS=0の制御処理、具体的には外気モードを実施する制御を行う(図8中ステップS126)。
【0109】
このことにより、制御モード1〜4のいずれか1つのモードの選択は、窓ガラス表面相対湿度RHW(湿度検出手段の検出湿度)が高くなるほど外気導入比率を増やすように行われていることになる。
【0110】
なお、特許請求範囲に記載の第1の制御モードが実施形態の制御モード1に相当し、特許請求範囲に記載の第2の制御モードが実施形態の制御モード2に相当し、特許請求範囲に記載の第3の制御モードが実施形態の制御モード3に相当し、特許請求範囲に記載の第4の制御モードが実施形態の制御モード4に相当する。
【0111】
再び、図6に戻って、ステップS191bにおいて、内気導入率Tを算出する。
【0112】
具体的には、図12のマップを用いて内外気指令値S(0<S<7)に基づいて内気導入率Tを決める。内外気指令値Sが「0」から「7」の間において内外気指令値Sが大きくなるにつれて、内気導入率Tが0%から100%まで増加し、内外気指令値Sが小さくなるにつれて、内気導入率Tが100%から0%まで減少する。
【0113】
このように算出した内気導入率Tに対応するように内外気制御を実施する(ステップS191d)。すなわち、図12で決めた内外気指令値Sに対応するように内外気切替ドア35の開度を制御する。このことにより、窓ガラス12が曇らない範囲内で、内外気指令値Sに対応して内外気切替ドア35の開度を制御して内気導入率を調整するので、窓ガラス12の防曇を行うことができる。
【0114】
これに加えて、目標吹出温度TAOに基づいて吹出モードを再選択する。具体的には、目標吹出温度TAOが第1の高温域に入っているときフットモードを実施し、目標吹出温度TAOが第1の高温域よりも高い第2の高温域に入っているときフットデフモードを実施し、目標吹出温度TAOが第2の高温域よりも高い第3の高温域に入っているときデフモードを実施する。
【0115】
フットデフモードでは、デフロスタドア51によりデフロスタ吹出口48を全開し、かつフットドア53によりフット吹出口50を全開する。このため、フットデフモードでは、フットモードに比べてデフロスタ吹出口48の開度(開口面積)が大きくなる。デフモードでは、デフロスタ吹出口48以外の吹出口を全閉し、かつデフロスタドア51によりデフロスタ吹出口48を全開する。このため、フットデフモードでは、フットモードに比べてデフロスタ吹出口48の開度(開口面積)が大きくなる。
【0116】
次に、省電力防曇制御の詳細について図13に基づいて説明する
省電力防曇制御では、窓ガラス表面相対湿度RHWに応じて省電力防曇制御モード1、2、3のうちいずれかが選択される。
【0117】
具体的には、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHW(基準湿度)よりも高く、かつ第6の基準湿度RHWe(第1の閾値)以下であるときには(TRHW<RHW≦RHWe)、省電力防曇制御モード1を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の基準湿度RHWe(第1の閾値)以上で、かつ第7の基準湿度RHWf(第2の閾値)以下であるときには(RHWe<RHW≦RHWf)、省電力防曇制御モード2を選択し、窓ガラス表面相対湿度RHWが第7の基準湿度RHWf(第2の閾値)よりも高いときには(RHW>RHWf)、省電力防曇制御モード3を選択する。
【0118】
ここで、第6の基準湿度RHWeは、第1の基準湿度TRHWに対して一定値dを加えた値であり、第7の基準湿度RHWfは、第1の基準湿度TRHWに対して一定値eを加えた値である。第1の基準湿度TRHWは、上述の如く、送風量に応じて変化する。このため、第1の基準湿度TRHWの変化に連動して第6の基準湿度RHWeおよび第7の基準湿度RHWfが変わる。
【0119】
省電力防曇制御モード1では、フットモードを実施し、かつ上述のステップS104において目標吹出温度TAOに基づいて決められた送風機37の送風量に対して一定風量を増加させる。省電力防曇制御モード2では、強制的にフットデフモードを実施する。
【0120】
省電力防曇制御モード3では、デフモードを実施し、かつ上述のステップS104で決められた送風機37の風量に対して一定風量を増加させる。
【0121】
以上により、窓ガラス表面相対湿度RHWが高くなるほど、フットモード、フットデフモード、デフモードの順に切り替わることになる。これにより、目標吹出温度TAOが高くなるほど、デフロスタ吹出口48からの吹き出される送風量が増えて、防曇能力が増すことになる。
【0122】
次に、防曇付きオート制御の処理について説明する。
【0123】
まず、上述した図6中のステップS112において、外気温Tamが一定温度以上であるときには、YESと判定してステップS113aに進んで、コンプレッサ40が動作中か否かを判定する。コンプレッサ40が動作状態であるときには、YESと判定してステップS113cに移行する。一方、コンプレッサ40が停止状態であるときにはNOと判定して、コンプレッサ40を動作させて(ステップS113b)、ステップS113cに移行して防曇付きオート制御を実施する。
【0124】
ステップS113cでは、窓ガラス表面相対湿度RHWに基づいて制御モード10〜制御モード40のいずれかを選択する。図14は制御モード10〜制御モード40を選択するための閾値を示す特性図、図15は防曇付きオート制御の処理を示すフローチャートである。
【0125】
具体的には、図15中ステップS130において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の基準湿度RHWeよりも高いときには、YESと判定して、ステップS131において制御モード40を実行する。また、制御モード40の制御処理については、後述する。
【0126】
ステップS132において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第6の基準湿度RHWeよりも低く、かつ第1の基準湿度TRHWよりも高いときには、YESと判定して、ステップS133において制御モード30を実行する。また、制御モード30の制御処理については、後述する。
【0127】
ステップS134において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第1の基準湿度TRHWよりよりも低く、かつ第4の基準湿度RHWdより高いときには、YESと判定してステップS135において制御モード20を実行する。また、制御モード20の制御処理については、後述する。
【0128】
ステップS134において、窓ガラス表面相対湿度RHWが第4の基準湿度RHWdよりも低いときには、NOと判定してステップS136において制御モード10を実行する。また、制御モード10の制御処理については、後述する。
【0129】
以上のように、制御モード40、30、20、10が選択されるもので、コンプレッサ40が動作して蒸発器38による冷却除湿が行われた状態で、窓ガラス表面相対湿度RHWが低くなるほど、制御モード40→制御モード30→制御モード20→制御モード10の順に段階的に切り替わる。制御モード10→20→…50→60の順で、防曇効果が段階的に高くなるようになっている。以下に、制御モード10〜40の具体的な制御処置について説明する。
【0130】
(制御モード10)
制御モード10では、フットモードを実施する。加えて、目標吹出温度TAOが中間温度域よりも低い低温域に入っていると判定したときには内気モードを実施し、目標吹出温度TAOが中間温度域内に入っていると判定したときには半内気モード(内気導入率T=50%)を実施し、目標吹出温度TAOが中間温度域より高いよりも高温域に入っていると判定したときには外気モードを実施する。この半内気モードでは、内外気切替ドア35により内気導入口33および外気導入口34をそれぞれ開口する。
【0131】
(制御モード20)
この制御モード20では、上述のステップS103で決められた吹出モードに関係なく、フットデフモードを実施する。加えて、上述のステップS104で目標吹出温度TAOに基づいて決められたブロワ電圧に対して一定電圧を増加する。すなわち、上述のステップS104で目標吹出温度TAOに基づいて決められた送風機37の風量に対して一定風量を増加させる。
【0132】
(制御モード30)
この制御モード30では、上述のステップS103で決められた吹出モードに関係なく、強制的にデフモードを実施する。
【0133】
(制御モード40)
制御モード40では、上述の制御モード20、30のそれぞれの制御処理を両方とも実施する。すなわち、上述のステップS104で目標吹出温度TAOに基づいて決められた送風機37の風量に対して一定風量を増加させ、かつデフモードを実施する。
【0134】
以上説明したように本実施形態によれば、電子制御装置26は、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少なくなるほど、第1の基準湿度TRHWを下げる。この第1の基準湿度TRHWは、外気導入による防曇を実施する制御(省電力防曇制御)を行うか否かに判定に用いられる閾値である。
【0135】
これにより、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少ない状態では、窓ガラスの温度ムラが生じ易い状態になるが、第1の基準湿度TRHWを下げることにより、防曇を実施する機会を増やすことが可能になる。このため、窓ガラスの曇りが生じ難くなり、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めることができる。
【0136】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めるために、防曇判定で用いられる判定値(第1の基準湿度TRHW)を送風量に応じて変更した例について説明したが、これに加えて、本第2実施形態では、内外気制御で用いられる内気導入率の最大値を送風機37の送風量に応じて変更する。なお、内気導入率の最大値を略して最大内気導入率Mtともいう。
【0137】
本第2実施形態の内外気モード制御のフローチャートを図16に示す。図16において、図6中の同一ステップは同一処理を示しており、図16のフローチャートは、図6のフローチャートにおいてステップS119とステップS119bとの間にステップS119aが追加されたものである。このため、以下、主にステップ119aの制御処理について説明し、ステップ119a以外の制御処理の説明は簡略化する。
【0138】
本実施形態においてステップ119aでは、図17のマップに基づいて、内外気制御で用いられる内気導入率の最大値を算出する。
【0139】
図17では縦軸を内気導入率の最大値とし、横軸を送風機37の送風量とする特性図であり、送風量が0レベル以上4レベル未満では、最大内気導入率Mtが0%から60%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が4レベル以上16レベル未満では、最大内気導入率Mtが60%から100%までの範囲内で送風量の増加に伴い線形的に大きくなる。送風量が16レベル以上では、第1の基準湿度TRHWが90%まま一定値になる。つまり、4レベル<送風量<16レベルの場合に比べて、0レベル<送風量<4レベルでは、送風量に対して最大内気導入率Mtが大きく増加するように設定されている。
【0140】
本実施形態の内外気制御(ステップS191d)では、デフロスタ吹出口48を開口しているので、送風機37の送風量をデフロスタ吹出口48から吹き出される送風量と見なす。このため、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が下がるほど、最大内気導入率Mtが下がるように設定されることになる。
【0141】
次に、ステップS191bにおいて、最大内気導入率Mtに基づいて内気導入率Tを算出する。
【0142】
具体的には、内気導入率Tを縦軸とし、内外気指令値S(0<S<7)を横軸とする特性グラフを作成する。特性グラフは、図18に示すように、内外気指令値S=0ときに内気導入率T=0とし、内外気指令値S=7ときに内気導入率T=最大内気導入率Mtとなり、内外気指令値Sの増加に伴い内気導入率Tが線形的に増加するように設定する。図18中特性グラフaは、最大内気導入率Mtが100%の場合のグラフであり、特性グラフbは、最大内気導入率Mtが30%の場合のグラフである。
【0143】
このように作成された特性グラフに基づいて内気導入率Tを算出し、この内気導入率Tに対応するように内外気制御を実施する(ステップS191d)。すなわち、図19で決めた内外気指令値Sに対応するように内外気切替ドア35の開度を制御する。このことにより、内外気切替ドア35の開度を制御して、窓ガラス12が曇らないように内気導入率Tを調整して窓ガラス12の防曇を行うことになる。
【0144】
以上説明した本実施形態では、電子制御装置26は、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少なくなるほど、最大内気導入率Mtを下げる。この最大内気導入率Mtは、コンプレッサ40の停止状態で内外気制御を実施する際の内気導入率の最大値である。
【0145】
これにより、デフロスタ吹出口48から吹き出される送風量が少ない状態では、窓ガラスの温度ムラが生じ曇りが生じ易い状態になるが、最大内気導入率Mtを下げることにより、内気導入量を減らし、外気導入量を増やす機会を増やすことが可能になる。このため、窓ガラスの曇りが生じ難くなり、窓ガラスの曇りに対する安全率を高めることができる。
【0146】
(他の実施形態)
上述の第1、第2実施形態では、室内空調ユニット30においてエアミックスドア46を用いて吹出口48〜50から車室内に吹き出す空気温度を調整した例について説明したが、これに代えて、ヒータユニット44とエンジンとの間で循環するエンジン冷却水の量を調整して吹出口48〜50から車室内に吹き出す空気温度を調整してもよい。
【0147】
上述の第1、第2実施形態では、室内空調ユニット30により前面窓ガラス12を防曇した例について説明したが、これに代えて、室内空調ユニット30により後側窓ガラスを防曇するようにしてもよく、側面側窓ガラスを防曇するようにしてもよい。
【0148】
上述の第1、第2実施形態では、車室内の窓ガラス内面付近の空気湿度、窓ガラス内面付近の空気温度、およびガラス温度をそれぞれ検出し、これらの検出値から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算した例について説明したが、これに代えて、次のようにしてもよい。
(1)車室内の窓ガラス内面付近の空気湿度、および窓ガラス内面付近の空気温度を検出し、これら空気湿度、および空気温度からガラス温度を推定し、この推定ガラス温度、空気温度を検出し、および空気湿度から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算する。
(2)車室内の窓ガラス表面の温度センサ、湿度センサを直接貼り付け、ガラス温度、および窓ガラス表面相対湿度RHWを検出する。
(3)車室内の空気湿度、車室内の空気温度、およびガラス温度を検出し、これら検出値から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算する。
(4)車室内の空気湿度、車室内の空気温度を検出し、これらからガラス温度を推定し、この推定ガラス温度、車室内の空気湿度、および車室内の空気温度から窓ガラス表面相対湿度RHWを演算する。
【0149】
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、検出装置10が湿度検出手段に相当し、ステップS116の制御処理が湿度判定手段に相当し、ステップS118の制御処理が防曇手段に相当し、ステップS115aの制御処理が基準湿度設定手段に相当し、エアミックスドア46が温度調整用ドアに相当し、ステップS191dの制御処理が内外気ドア制御手段に相当し、ステップS119aの制御処理が内気導入率設定手段に相当し、ステップS119の制御処理が指令値算出手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1実施形態の車両用空調装置の全体システム構成図である。
【図2】図1の検出装置の概略断面図である。
【図3】図1の検出装置の概略斜視図である。
【図4】図1の検出装置の電気的ブロック図である。
【図5】第1実施形態による空調装置側制御の基本ロジックを示すフローチャ−トである。
【図6】第1実施形態による内外気制御ロジックを示すフローチャ−トである。
【図7】第1実施形態による送風量と基準湿度との関係を示す特性図である。
【図8】内外気制御指令値を求めるためのフローチャートである
【図9】内外気制御における車速判定の特性図である。
【図10】窓ガラス表面相対湿度RHWと内外気モードとの関係を示す特性図である。
【図11】窓ガラス表面相対湿度RHWと内外気制御のモードとの関係を示す特性図である。
【図12】内気導入率と内外気指令値との関係を示す特性図である。
【図13】窓ガラス表面相対湿度RHWと省電力防曇制御モードとの関係を示す特性図である。
【図14】窓ガラス表面相対湿度と防曇付きオート制御のモードとの関係を示す特性図である。
【図15】第1実施形態による防曇付きのオート制御のロジックを示すフローチャ−トである。
【図16】本発明の第2実施形態による内外気モード制御を示すフローチャ−トである。
【図17】第2実施形態において最大内気導入率と送風量との関係を示す特性図である。
【図18】第2実施形態において内気導入率Tと内外気指令値Sとの関係を示す特性グラフである。
【図19】窓ガラスに曇りが発生するメカニズムを説明するための図である。
【図20】窓ガラスに曇りが発生するメカニズムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0151】
10…検出装置、26…電子制御装置、30…室内空調ユニット、
31…空調ケーシング、35…内外気切替ドア、36…サーボモータ、
37…送風機、38…蒸発器、40…コンプレッサ、44…ヒータユニット、
45…バイパス通路、46…エアミックスドア、49…フェイス吹出口、
50…フット吹出口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記デフロスタ吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
前記窓ガラスの内表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空調ケーシング内に設けられ、前記冷却用熱交換器からの冷風を前記暖房用熱交換器をバイパスして流すバイパス通路(45)と、
前記バイパス通路を流れる空気量と前記暖房用熱交換器に流れる空気量との比率を変えることにより、前記デフロスタ吹出口から吹き出される空気温度を調整する温度調整用ドア(46)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードと、を有し、
前記湿度検出手段の検出湿度が前記基準湿度より高く、かつ第1の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第1の閾値よりも高く、かつ第2の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットデフモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第2の閾値よりも高いときに、前記防曇手段は前記デフモードを実施するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機からの送風空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
当該車両の窓ガラス表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記コンプレッサが停止した状態で前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて前記内外気
切替ドアを制御して、前記窓ガラスが曇らない範囲で前記内気導入口を介して内気を導入するように内気導入率を調整する内外気ドア制御手段(S191d)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少なくなるほど前記内気導入率の最大値を下げるように設定する内気導入率設定手段(S119)と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて、前記車室内に導入する内気導入量と外気導入量との比率を決めるための内気指令値(S)を算出する指令値算出手段(S119)を備えており、
前記内外気ドア制御手段は、前記内外気切替ドアを制御する際に、前記指令値算出手段により算出された内気指令値(S)を用いることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記車室内への内気導入率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第1の制御モード、前記車室内への前記内気導入率および前記外気導入比率を維持させるように前記内気指令値(S)を算出する第2の制御モード、前記車室内への外気導入比率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第3の制御モードと、前記車室内に前記外気だけを導入させるように前記内気指令値(S)を算出する第4の制御モードを有しており、
さらに、前記指令値算出手段は、前記湿度検出手段の検出湿度が高くなるほど前記外気導入比率を増やすように、前記第1〜第4の制御モードのうち1つの制御モードを選択し、この選択された制御モードに基づいて前記内気指令値(S)を算出することを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードを有し、
前記内外気ドア制御手段が前記内外気切替ドアを制御する際には、前記デフロスタ吹出口および前記フット吹出口の目標吹出温度が大きくなるほど、前記フットモード、前記フットデフモードモード、および前記デフモードの順に切り替わるようになっていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする請求項8に記載の車両用空調装置。
【請求項10】
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、
を備えることを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項11】
前記車室内の空気温度の設定温を設定する温度設定手段(70)と、
前記車室内の空気温度を前記設定温に維持するために必要である前記デフロスタ吹出口の吹出空気温度として前記目標吹出空気温度を算出する目標温度算出手段(S102)と、
を備えていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項1】
当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記デフロスタ吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機から吹き出される空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
前記窓ガラスの内表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空調ケーシング内に設けられ、前記冷却用熱交換器からの冷風を前記暖房用熱交換器をバイパスして流すバイパス通路(45)と、
前記バイパス通路を流れる空気量と前記暖房用熱交換器に流れる空気量との比率を変えることにより、前記デフロスタ吹出口から吹き出される空気温度を調整する温度調整用ドア(46)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードと、を有し、
前記湿度検出手段の検出湿度が前記基準湿度より高く、かつ第1の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第1の閾値よりも高く、かつ第2の閾値以下であるときに、前記防曇手段は前記フットデフモードを実施し、前記湿度検出手段の検出湿度が前記第2の閾値よりも高いときに、前記防曇手段は前記デフモードを実施するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
当該車両の窓ガラスの内表面に吹き出すデフロスタ吹出口(48)、内気導入口(33)、および外気導入口(34)を有する空調ケーシング(31)と、
前記内気導入口および前記外気導入口を選択的に開閉する内外気切替ドア(35)と、
前記内気導入口および前記外気導入口のうち少なくとも一方から空気を前記空調ケーシング内に導入して前記吹出口に向けて送風する送風機(37)と、
コンプレッサ(40)とともに冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を構成し、前記冷媒を蒸発させて前記送風機からの送風空気を除湿冷却する冷却用熱交換器(38)と、
前記空調ケーシング内に配置され、前記送風機からの送風空気を加熱する暖房用熱交換器(44)と、
当該車両の窓ガラス表面の湿度を検出する湿度検出手段(10)と、
前記コンプレッサが停止した状態で前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて前記内外気
切替ドアを制御して、前記窓ガラスが曇らない範囲で前記内気導入口を介して内気を導入するように内気導入率を調整する内外気ドア制御手段(S191d)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少なくなるほど前記内気導入率の最大値を下げるように設定する内気導入率設定手段(S119)と、
を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
前記湿度検出手段の検出湿度に基づいて、前記車室内に導入する内気導入量と外気導入量との比率を決めるための内気指令値(S)を算出する指令値算出手段(S119)を備えており、
前記内外気ドア制御手段は、前記内外気切替ドアを制御する際に、前記指令値算出手段により算出された内気指令値(S)を用いることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記車室内への内気導入率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第1の制御モード、前記車室内への前記内気導入率および前記外気導入比率を維持させるように前記内気指令値(S)を算出する第2の制御モード、前記車室内への外気導入比率を増加させるように前記内気指令値(S)を算出する第3の制御モードと、前記車室内に前記外気だけを導入させるように前記内気指令値(S)を算出する第4の制御モードを有しており、
さらに、前記指令値算出手段は、前記湿度検出手段の検出湿度が高くなるほど前記外気導入比率を増やすように、前記第1〜第4の制御モードのうち1つの制御モードを選択し、この選択された制御モードに基づいて前記内気指令値(S)を算出することを特徴とする請求項6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記空調ケーシングは、乗員下半身に向けて吹き出すフット吹出口(50)を備えており、
前記フット吹出口を開閉するフットドア(53)と、
前記デフロスタ吹出口を開閉するデフロスタドア(51)と、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を所定開度開口するフットモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を開口し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するフットデフモードと、
前記フットドアにより前記フット吹出口を閉鎖し、かつ前記デフロスタドアにより前記デフロスタ吹出口を前記フットモードに比べて大きく開口するデフモードを有し、
前記内外気ドア制御手段が前記内外気切替ドアを制御する際には、前記デフロスタ吹出口および前記フット吹出口の目標吹出温度が大きくなるほど、前記フットモード、前記フットデフモードモード、および前記デフモードの順に切り替わるようになっていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項9】
前記デフロスタ吹出口が前記デフロスタドアにより閉鎖されているとき、および前記送風機が停止しているときのうち少なくとも一方のときには、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開ける外気ドア制御手段(S110b)を備えることを特徴とする請求項8に記載の車両用空調装置。
【請求項10】
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いか否かを判定する湿度判定手段(S116)と、
前記湿度検出手段の検出湿度が基準湿度よりも高いと前記湿度判定手段が判定したときには、前記コンプレッサを停止した状態で、前記内外気切替ドアを制御して前記内気導入口(33)を閉鎖し、かつ前記外気導入口を開けることにより、前記デフロスタ吹出口から前記窓ガラスの内表面に向けて外気を送風させて前記窓ガラスの曇り止めを行う防曇手段(S118)と、
前記デフロスタ吹出口から吹き出される送風量が少ない場合ほど前記基準湿度を小さい値に設定する基準湿度設定手段(S115a)と、
を備えることを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項11】
前記車室内の空気温度の設定温を設定する温度設定手段(70)と、
前記車室内の空気温度を前記設定温に維持するために必要である前記デフロスタ吹出口の吹出空気温度として前記目標吹出空気温度を算出する目標温度算出手段(S102)と、
を備えていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−40242(P2009−40242A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207914(P2007−207914)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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