説明

車両用空調装置

【課題】バッテリの充電量確保とプレ空調実施の両立を図る車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置は、ハイブリッド車両の停止中に乗員乗車前の車室内空調を行うプレ空調運転を実行可能とするエアコンECU10を備える。エアコンECU10はプレ空調運転を開始する命令を受信した場合に、バッテリ4の充電量が所定量以上のときはバッテリ4の電力を使用してプレ空調運転を実行し、バッテリ4の充電量が所定量未満のときは車両のエンジン1を作動させる命令をハイブリッドECU6に送信するとともにバッテリ4の電力を使用してプレ空調運転を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド車両に搭載される車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用空調装置として、外部から交流200Vまたは100Vの電力が車載のバッテリに入力されると、その電力の仕様に応じて空調の事前作動(プレ空調)の可否を判断する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の車両用空調装置は、バッテリに交流200Vの電力が入力された場合に空調装置に対してその事前作動を許可し、交流100Vの電力が入力された場合にその事前作動を禁止している。このような制御によって、交流100Vが入力される緊急充電時に空調を作動させることによる充電量低下を抑制している。
【特許文献1】特開平7−46701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の車両用空調装置では、例えばバッテリに入力された電力が100Vの電力仕様であるときはプレ空調を行うことができず、ユーザーがプレ空調を必要としているときにその要求に応えられないことがある。また、ユーザーは、充電量が所定条件を満たしていないためにプレ空調が行われない状況を理解するのが難しく、この状況を故障であると思ってしまうこともある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、バッテリの充電量確保とプレ空調実施との両立が図れる車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために以下に示す技術的手段を採用する。すなわち、第1の発明は、ハイブリッド車両の停止中に乗員乗車前の車室内空調を行うプレ空調運転を実行可能とする空調制御装置(10)を備える車両用空調装置に係る発明であって、
空調制御装置(10)はプレ空調運転を開始する命令を受信した場合に、
バッテリ(4)の充電量が所定量以上のときはバッテリ(4)の電力を使用してプレ空調運転を実行し、
バッテリ(4)の充電量が所定量未満のときは、車両のエンジン(1)を作動させる命令を送信してエンジン(1)作動による電力を得るとともに、バッテリ(4)の電力を使用してプレ空調運転を実行することを特徴としている。
【0007】
この発明によれば、プレ空調運転時のバッテリの充電量に応じて、バッテリの電力を使用するか、エンジン作動も併用しつつバッテリの電力を使用するかを使い分けることにより、バッテリの充電量の確保と、バッテリに多大な負荷を与えないユーザー所望のプレ空調による快適性の確保との両立が実現できる。
【0008】
また、車両用空調装置は、バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、車室内へ送風される空気を冷却するための冷凍サイクルに冷媒を循環させる電動圧縮機(25)を備え、空調制御装置(10)はプレ空調運転時に電動圧縮機(25)を、バッテリ(4)の充電量を用いて決定された回転数に制御することが好ましい。
【0009】
この発明によれば、プレ空調運転を行う際のバッテリの充電状況に応じて圧縮機の回転数を制御して空調の強さ度合いを調節することにより、乗車したときの乗員の快適性向上とバッテリの充電量確保の両立を実現することができる。
【0010】
また、車両用空調装置は、バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、車室内に空調された空気を送風する送風機(24)を備え、空調制御装置(10)はプレ空調運転時に送風機(24)を、バッテリ(4)の充電量を用いて決定された回転数に制御することが好ましい。
【0011】
この発明によれば、プレ空調運転を行う際のバッテリの充電状況に応じて空調の強さ度合いを調節する制御を実行することにより、乗車したときの乗員の快適性向上とバッテリの充電量確保の両立を実現することができる。
【0012】
また、他の発明は、ハイブリッド車両の停止中に乗員乗車前の車室内空調を行うプレ空調運転を実行可能な空調制御装置(10)を備える車両用空調装置に係る発明であって、
空調制御装置(10)は、外部電源からの電力がバッテリ(4)に供給されている充電中にプレ空調運転を開始する命令を受信した場合には、
バッテリ(4)の充電電圧値が所定値以上のときはバッテリ(4)の電力を使用してプレ空調運転を実行し、
バッテリ(4)の充電電圧値が所定値未満のときは、車両のエンジン(1)を作動させる命令を送信してエンジン(1)作動による電力を得るとともに、バッテリ(4)の電力を使用して前記プレ空調運転を実行することを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、プレ空調運転時にバッテリに充電中の充電電圧値に応じて、バッテリの電力を使用するか、エンジン作動も併用しつつバッテリの電力を使用するかを使い分けることにより、バッテリの充電量の確保と、バッテリに多大な負荷を与えないユーザー所望のプレ空調による快適性の確保との両立が実現できる。
【0014】
また、車両用空調装置は、バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、車室内へ送風される空気を冷却するための冷凍サイクルに冷媒を循環させる電動圧縮機(25)を備え、空調制御装置(10)は、プレ空調運転時に電動圧縮機(25)を、バッテリ(4)に充電中の充電電圧値を用いて決定された回転数に制御することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、プレ空調運転を行う際にバッテリに充電されている電圧状況に応じて圧縮機の回転数を制御して空調の強さ度合いを調節することにより、乗車したときの乗員の快適性向上とバッテリの充電量確保の両立を実現することができる。
【0016】
また、車両用空調装置は、バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、車室内に空調された空気を送風する送風機(24)を備え、空調制御装置(10)は、プレ空調運転時に送風機(24)を、バッテリ(4)に充電中の充電電圧値を用いて決定された回転数に制御することが好ましい。
【0017】
この発明によれば、プレ空調運転を行う際にバッテリに充電されている電圧状況に応じて空調の強さ度合いを調節する制御を実行することにより、乗車したときの乗員の快適性向上とバッテリの充電量確保の両立を実現することができる。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態の車両用空調装置を図1〜図5にしたがって説明する。図1は、本実施形態だけでなく後述の第2実施形態にも適用されるハイブリッド自動車の制御システムを示したブロック図である。図2は本実施形態だけでなく後述の第2実施形態にも適用される車両用空調装置の制御システムを示したブロック図である。
【0021】
この車両用空調装置は、ハイブリッド自動車に搭載され、蒸気圧縮式冷凍サイクルと、蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いて冷房を行う室内ユニットと、室内ユニットの各部および蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成部品である電動圧縮機25等を自動制御可能な空調制御装置としてのエアコンECU10と、所望の運転を設定するために乗員によって操作されるコントロールパネル40と、乗員乗車前の車室内の空調運転(プレ空調運転)を行いたいときに乗員を含むユーザーが操作する携帯端末50と、を備えている。エアコンECU10は、携帯端末50から送信されるプレ空調運転の命令信号を受信すると、所定のプログラムによる演算を行ってプレ空調運転を実行することができる。
【0022】
ユーザーは、車両に乗車しようとする前に、車室内の空調環境を快適にしておくために、携帯端末50を操作して、通信局であるセンタを通じて車両の空調装置に対してプレ空調運転の指令を送信する。このプレ空調運転は、原則として、車両のイグニッションスイッチがOFF状態であること、あるいはエアコンECU10に対して乗員が乗車している信号が送信されていないことが許容条件となる。
【0023】
蒸気圧縮式冷凍サイクルは、電動圧縮機25と、電動圧縮機25の吐出口より吐出された冷媒が流入する凝縮器と、凝縮液化された冷媒を気液分離し下流に供給するレシーバと、液冷媒を減圧膨張させる膨張弁等の減圧装置と、減圧膨張された冷媒を蒸発気化させる蒸発器とを備えており、これらを環状に接続して構成されている。
【0024】
図1に示すように、ハイブリッド自動車はガソリン等の液体燃料を爆発、燃焼させて動力を発生する走行用のエンジン1と、走行補助用の電動機機能および発電機機能を有する電動発電機2と、エンジン1の燃料供給量、始動時期等を制御するエンジンECU3と、車室内の空調を制御するエアコンECU10と、電動発電機2、エンジンECU3、室内ユニットの各部および蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成部品に電力を供給するバッテリ4と、電動発電機2、無段変速機(図示しない)、電磁クラッチ7等の制御を行うとともに、エンジンECU3に制御信号を出力するハイブリッドECU6と、を備えている。
【0025】
ハイブリッドECU6は、電動発電機2、エンジン1のいずれの駆動力を駆動輪に伝えるかの切替えを制御する機能と、バッテリ4の充電、放電を制御する機能とを有している。
【0026】
ハイブリッドECU6は、具体的に以下のような制御を行う。車両走行中(減速時を除く)は、エンジン1で駆動した動力を駆動輪に伝え、減速時はエンジン1を停止して電動発電機2で発電してバッテリ4に充電する。そして、発進時、加速時等の走行負荷が大きいときは、エンジン1による駆動力に加えて電動発電機2による駆動力を駆動輪に伝達させる。
【0027】
さらに、エンジン1作動時にバッテリ4の充電量が充電開始目標値以下になった場合には、エンジン1の動力を電動発電機2に伝達し電動発電機2によって発電された電力をインバータ5を介してバッテリ4に充電する。また、車両停止時にバッテリ4の充電量が充電開始目標値以下である場合には、エンジンECU3に対してエンジン1を始動する命令を送り、エンジン1の動力を電動発電機2に伝達する。
【0028】
バッテリ4は、車室内空調、走行等によって消費した電力を充電するための充電装置を備えており、例えばニッケル水素蓄電池等が用いられる。この充電装置は、電力供給源としての電気スタンドや商業用電源に接続されるコンセントを備えており、このコンセントに電源供給源を接続することにより、バッテリ4の充電が行われる。
【0029】
図2にしたがって車両用空調装置の制御システムを説明する。エアコンECU10は、マイクロコンピュータ11と、車室内前面に設けられたコントロールパネル40上の各種スイッチからの信号、携帯端末50から送信されるプレ空調運転命令信号および各種センサ30〜36からのセンサ信号やハイブリッドECU6から出力される通信信号が入力される入力回路13と、各種アクチュエータM1〜M5に出力信号を送る出力回路12と、を備えている。マイクロコンピュータ11は、ROM(読み込み専用記憶装置)、RAM(読み込み書き込み可能記憶装置)等のメモリおよびCPU(中央演算装置)等から構成されており、コントロールパネル40等から送信された運転命令に基づいた演算に使用される各種プログラムを有している。
【0030】
コントロールパネル40には、電動圧縮機25の起動および停止を命令するためのエアコンスイッチ、吸込口モードを切り替えるための吸込口切替スイッチ、車室内温度を設定するための温度設定スイッチ、ブロワ24(送風機)による車室内への送風量を切り替えるための風量切替スイッチ、吹出口モードを切り替えるための吹出口切替スイッチ等が設けられている。
【0031】
各種センサは、車室内の空気温度を検出する内気温センサ30、車室外の外気温度を検出する外気温センサ31、車室内に照射される日射量を検出する日射センサ32、蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷却用熱交換器を構成する蒸発器を通過した直後の空気温度を検出する蒸発器吹出空気温度センサ33、室内ユニット内部の送風空気を加熱するヒータへの冷却水温度を検出する水温センサ34、車両の走行速度を検出する車速センサ35、乗員がシートに着座しているか否かを検出することができる着座センサ36等である。
【0032】
マイクロコンピュータ11は、ROM(読み込み専用記憶装置)、RAM(読み込み書き込み可能記憶装置)等のメモリおよびCPU(中央演算装置)等から構成されており、コントロールパネル40等から送信された運転命令に基づいた演算に使用される各種プログラムを有している。マイクロコンピュータ11から出力された信号は、出力回路12によってD/A変換、増幅等された後に、吹出口切替ドア21、内外気切替ドア22、エアミックスドア23、ブロワ24、電動圧縮機25のそれぞれを駆動する各種アクチュエータM1,M2,M3,M4,M5に駆動信号として出力される。
【0033】
次に、エアコンECU10による空調制御処理について図3ないし図5を用いて説明する。図3は、エアコンECU10による空調制御のメインルーチンを示したフローチャートである。
【0034】
まず、エアコンECU10にプレ空調運転を含む空調運転命令が入力されると、図3に示すメインルーチンにしたがって空調制御処理の実行を開始し、ROM,RAMなどのメモリに記憶された制御プログラムがスタートしてRAMに記憶されるデータなどを初期化する(ステップ100)。ここで車室内空調が複数の空調ゾーン毎に行われる場合には、各空調ゾーンの空調運転は空調ゾーン毎に担当する空調ユニット(例えば前席空調ユニット、後席空調ユニット)によって実行される。
【0035】
次に、エアコンECU10は、ステップ200でコントロールパネル40、内気温センサ30、外気温センサ31、日射センサ32、蒸発器吹出空気温度センサ33、水温センサ34、車速センサ35および着座センサ36等からの信号を読み込み、ROMに記憶された数式1を用いて車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを算出する(ステップ300)。
【0036】
(数式1)
TAO=Kset×Tset−KR×TR−KAM×TAM−KS×TS+C
ここで、Tsetは設定された設定温度、TRは内気温センサ30によって検出された内気温度、TAMは外気温センサ31によって検出された外気温度、TSは日射センサ32によって検出された日射量である。また、Ksetは設定温度ゲイン、KRは内気温ゲイン、KAMは外気温度ゲイン、KSは日射ゲインであり、Cは全体に掛かる補正定数である。
【0037】
続いてエアコンECU10は、ステップ400において、バッテリ4の電力により駆動されるブロワ24を作動するための電圧を決定する。このブロワ電圧の決定処理は、図4に示す特性図を用いて算出される。図4は空調制御メインルーチンにおいてブロワ電圧を決定するために用いる特性図である。この特性図は、バッテリ4の現在の充電量について、ステップ300で算出された目標吹出温度TAO[℃]とブロワ電圧[V]との関係を表したものであり、この特性図によって目標吹出温度TAO[℃]に対する適正なブロワ電圧[V]をバッテリ4の充電量を考慮して決定することができる。
【0038】
エアコンECU10は充電量に対応する複数の特性図を記憶しており、その一例として図4には、バッテリ4の現在の充電量が70%以上のときに使用する特性図(V1で示す図)と、充電量が70%未満のときに使用する特性図(V2で示す図)が示されている。
【0039】
図4に示すように、エアコンECU10は、バッテリ4の充電量が70%以上の場合にはTAO[℃]が低温時および高温時において充電量70%未満の場合よりも高電圧のブロワ電圧をアクチュエータM4に印加するように決定する。また、TAO[℃]が高温や低温でない中温時には充電量の大きさによって印加するブロワ電圧に差を設けることなく、図4に示すTAO[℃]に相当するブロワ電圧を印加するように決定する。
【0040】
つまり、エアコンECU10は、TAO[℃]が低温時および高温時においては、充電量が所定値(満タンに対して70%)未満の時にバッテリ4の消費電力を抑制するためにブロワ24に低めの電圧を供給する制御を実行し、充電量が所定値(満タンに対して70%)以上の時は前者よりも高い電圧をブロワ24に供給することにより、前者のようなバッテリ4の消費電力を抑制する制御ではなく、適切な送風量を供給してユーザーが所望する空調環境を重視する制御を実行する。
【0041】
このようにエアコンECU10は、プレ空調運転時等において、図4に示すような制御特性図を用いた演算により、バッテリ4の充電量を用いてブロワ24の回転数を決定し、当該回転数となるようにブロワ24の作動を制御する。この制御によれば、プレ空調運転等を行う際にバッテリ4の充電状況に応じて空調の強さを制限して、空調の強さ度合いを調節することによって、乗車時の乗員の快適性向上とバッテリ4の充電量確保の両面に優れた制御を実現できる。
【0042】
次にエアコンECU10は、ステップ500において、ステップ300で算出された目標吹出温度TAOに対応する吸込口モードを決定する処理を実行する。エアコンECU10は、目標吹出温度TAOが所定の目標吹出温度よりも高いときには内気循環モードを選択し、所定の目標吹出温度以下であるときには外気導入モードを選択する。
【0043】
次にエアコンECU10は、ステップ600において、ROM、RAMなどに記憶されている吹出ロモード決定するための特性図(図示せず)にしたがい、ステップ300で算出された目標吹出温度TAOに対応する吹出口モードを決定する処理を実行する。エアコンECU10は、目標吹出温度TAOが上昇するにつれて、空調ゾーンの吹出ロモードをフェイスモード、バイレベルモード、フットモードの順番に自動的に切り替えるように制御する。なお、フェイスモードとは、フェイス吹出口だけから空調風を吹き出すモードであり、フットモードとは、フット吹出口だけから空調風を吹き出しモードである。また、バレベルモードとは、フェイス吹出口およびフット吹出口から空調風を吹き出すモードである。
【0044】
次にエアコンECU10は、ステップ700において、エアミックスドア23の目標開度を算出する。エアミックスドア23の開度は、ステップ300で算出された目標吹出温度TAO、蒸発器吹出空気温度センサ33によって検出された蒸発器後の空気温度、水温センサ34によって検出された冷却水温を、ROMに記憶された数式2で演算することによって算出される。
【0045】
(数式2)
開度=((TAO−TE)/(TW−TE))×100(%)
ここで、TEは蒸発器後の空気温度、TWは冷却水温である。
【0046】
次にエアコンECU10は、図5に示すフローチャートに基づいて電動圧縮機25の回転数を決定した後(ステップ800)、各ステップ300〜800で算出または決定された各制御状態が得られるようにアクチュエータM1〜M5およびハイブリッドECU6に対して制御信号を出力する(ステップ900)。
【0047】
エアコンECU10は、その後、所定時間が経過すると(ステップ1000)、ステップ200の処理に戻り、上述の制御処理(ステップ200〜1000)を繰り返す。このような処理の繰り返しによって空調ゾーンの空調は、快適性の高いものとなる。
【0048】
次に、図5に示すフローチャートについて説明する。図5は、電動圧縮機25の回転数を決定するルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【0049】
まず、エアコンECU10は、乗員が乗車中であるか否かを判断する(ステップ801)。この判断は、イグニッションスイッチがONされているか否か、または、着座センサ36により乗員がシートに着座していることを検出したか否かによって行われる。イグニッションスイッチがONされている、または着座センサ36によって乗員の着座が検出された場合には、エアコンECU10は、乗車中であると判断し、各種センサ30〜35のセンサ信号に基づいて算出した目標蒸発器後温度TEOと、蒸発器吹出空気温度センサ33によって検出された実際の蒸発器後温度TEとの温度偏差Enを以下の数式3を用いて演算する(ステップ802)。
【0050】
(数式3)
En=TEO−TE
次に、エアコンECU10は、以下の数式4を用いて偏差変化率Edotを演算する(ステップ803)。
【0051】
(数式4)
Edot=En−En-1
ここで、Enは1秒に1回更新されるため、En-1はEnに対して1秒前の値となる。
【0052】
さらに、エアコンECU10は、ステップ802で求めたEnとステップ803で求めたEdotとを用いて、ROMに記憶されたメンバーシップ関数とファジー理論とに基づいて1秒前の電動圧縮機25のアクチュエータM5(電動モータ)の目標回転数IVOn-1に対して増減する目標増加回転数Δfを算出する(ステップ804)。
【0053】
次に、エアコンECU10は、以下の数式5を用いて電動圧縮機25の電動モータの目標回転数IVOnを算出する(ステップ805)。そして、算出された目標回転数IVOnに基づいてステップ900の処理が実行される。
【0054】
(数式5)
IVOn=IVOn-1+Δf
ここで、IVOn-1は1秒前の回転数で、Δfは1秒前の電動圧縮機25の電動モータの目標回転数IVOn-1に対して増減する回転数である。
【0055】
一方、エアコンECU10は、イグニッションスイッチがONされていない、または着座センサ36によって乗員の着座が検出されていない場合には、乗車前であると判断し、次にプレ空調運転を実行する指令があるか否かを判断する(ステップ810)。エアコンECU10は、プレ空調運転を実行する指令が送られていない場合には、電動圧縮機25を起動させる必要がないため、電動圧縮機25の目標回転数IVOを0rpmに決定する(ステップ811)。そして、決定された0rpmの目標回転数IVOに基づいてステップ900の処理が実行される。
【0056】
逆にエアコンECU10は、プレ空調運転を実行する指令が送られていると判断した場合には、次にバッテリ4の充電量を検出し、充電量が70%以上であるか否かを判断する(ステップ812)。そして、充電量が70%未満である場合には、エンジン1を起動する指令をハイブリッドECU6に送信し、ハイブリッドECU6は電磁クラッチ7を制御してエンジン1を作動させる(ステップ813)。なお、バッテリ4の充電量を検出し、その充電量が所定値以上であるか否かを判断するのは、ハイブリッドECU6が行うように構成してもよい。
【0057】
充電量が70%以上である場合や、ステップ813によってエンジン1の作動が実行された場合には、次に、エアコンが作動可能状態(カーエアコンが空調運転をできない状態にないこと)であるか否かを判断する(ステップ814)。エアコンECU10は、エアコンが作動可能状態でないと判断した場合には電動圧縮機25を作動させる必要がないため、ステップ811で電動圧縮機25の目標回転数IVOを0rpmに決定する。逆にエアコンが作動可能状態であると判断した場合には、エアコンECU10はプレ空調運転を開始すべく、電動圧縮機25を停止状態から起動させる時であるか否か、つまり前回の目標回転数IVOn-1が0rpmであるか否かを判断する(ステップ815)。
【0058】
電動圧縮機25を停止状態から起動させる時である場合、つまり前回の目標回転数IVOn-1が0rpmである場合には、エアコンECU10はステップ816において、目標回転数IVOnを決定する。ステップ816における目標回転数IVOnの決定処理は、図5のステップ816に示す特性図を用いて算出される。この特性図は、バッテリ4の現在の充電量について、ステップ300で算出された目標吹出温度TAO[℃]と目標回転数IVOn[rpm]との関係を表したものであり、この特性図によって目標吹出温度TAO[℃]に対する適正な目標回転数IVOn[rpm]をバッテリ4の充電量を考慮して決定することができる。
【0059】
エアコンECU10は充電量に対応する複数の特性図を記憶しており、その一例としてステップ816には、バッテリ4の現在の充電量が70%以上のときに使用する特性図と、充電量が70%未満のときに使用する特性図とが示されている。
【0060】
エアコンECU10は、バッテリ4の充電量が70%以上の場合にはTAO[℃]が所定値(例えば10℃)以下の比較的低温時において充電量70%未満の場合よりも高回転数の目標回転数IVOnに決定し、ステップ900で、当該目標回転数IVOnにアクチュエータM5(電動モータ)を制御する。また、TAO[℃]が所定値(例えば10℃)以上のときには充電量の大きさによって目標回転数IVOnに差を設けることなく、例えば目標回転数IVOnを2000rpmに決定し、ステップ900で、アクチュエータM5(電動モータ)を2000rpmに制御する。
【0061】
つまり、エアコンECU10は、TAO[℃]が低温時においては、充電量が所定値(満タンに対して70%)未満の時にバッテリ4の消費電力を抑制するために電動圧縮機25を低めの目標回転数IVOnに制御し、充電量が所定値(満タンに対して70%)以上の時は電動圧縮機25を前者よりも高めの目標回転数IVOnに制御することにより、前者のようなバッテリ4の消費電力を抑制する制御ではなく、適切な冷却能力を発揮させてユーザーが所望する空調環境を重視する制御を実行する。
【0062】
このようにエアコンECU10は、プレ空調運転時等において、バッテリ4の充電量を用いて電動圧縮機25の回転数を決定し、当該回転数となるように電動圧縮機25の作動を制御する。この制御によれば、プレ空調運転等を行う際にバッテリ4の充電状況に応じて空調の強さを制限することにより空調能力の強さ度合いを調節して、乗員が乗車した時の快適性の確保と各種機器の運転に支障のないバッテリ4の充電量確保との両面に優れた制御を実現できる。
【0063】
また、電動圧縮機25を停止状態から起動させる時でない場合、つまり前回の目標回転数IVOn-1が0rpmでない場合には、エアコンECU10は各種センサ30〜35のセンサ信号に基づいて上記ステップ802〜804の処理と同様に目標増加回転数Δfを算出し(ステップ817,818,819)、以下の数式6を用いて電動圧縮機25の電動モータの仮の目標回転数IVOnを算出する(ステップ820)。
【0064】
(数式6)
仮のIVOn=IVOn-1+Δf
さらにエアコンECU10は、ステップ821において、バッテリ4の充電量[%]に応じて最高回転数Y[rpm]を算出する。ステップ821における最高回転数Yの決定処理は、図5のステップ821に示す特性図を用いて算出される。この特性図は、バッテリ4の現在の充電量[%]と最高回転数Y[rpm]との関係を表したものであり、この特性図によってバッテリ4の充電量[%]に対する最高回転数Y[rpm]を決定することができる。
【0065】
次にエアコンECU10は、ステップ820で算出した仮の目標回転数IVOnと、ステップ821で算出された最高回転数Yとを比較し、このうち小さい値の方を目標回転数IVOnに決定する(ステップ822)。そしてエアコンECU10は、決定された目標回転数IVOnにアクチュエータM5(電動モータ)を制御する(ステップ900)。
【0066】
以上のように本実施形態の車両用空調装置は、ハイブリッド車両の停止中に乗員乗車前の車室内空調を行うプレ空調運転を実行可能とするエアコンECU10を備える。エアコンECU10はプレ空調運転を開始する命令を受信した場合に、バッテリ4の充電量が所定量以上のときはバッテリ4の電力を使用してプレ空調運転を実行し、バッテリ4の充電量が所定量未満のときは、エンジン1を作動させる命令をハイブリッドECU6に送信してエンジン1の作動による電力を得るとともに、バッテリ4の電力を使用してプレ空調運転を実行する。
【0067】
この構成によれば、プレ空調運転時のバッテリ4の充電量に応じて、バッテリ4の電力を使用するか、エンジン1の作動も併用しつつバッテリ4の電力を使用するかを使い分けることにより、バッテリ4の充電量の確保と、バッテリ4に多大な負荷を与えないユーザーが所望するプレ空調による快適性の確保との両方を実現した制御を提供できる。またこの制御により、従来、ハイブリッド車両においてプレ空調運転を行うことができなかった状況でも確実な運転が行われるので、ユーザーにとってうれしさが増すとともに、プレ空調運転が実行されないことによってユーザーが故障したと誤認識することがなくなる。
【0068】
(第2実施形態)
本実施形態では、上記第1実施形態に対して、空調制御メインルーチンにおける、ブロワ電圧決定ルーチンおよび電動圧縮機の回転数決定ルーチンの変形例を図6および図7にしたがって示す。図6は空調制御のメインルーチンのブロワ電圧を決定するために用いる特性図である。図7は、電動圧縮機の回転数を決定するルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【0069】
本実施形態における空調制御の処理フローは、第1実施形態で説明した空調制御の処理フローに対して、図3のステップ400およびステップ800の処理のみが異なっており、さらに、本実施形態の図7に示すフローは、図7のステップ830、842および846のみが異なっている。なお、その他の各構成部品、これらの作動、制御処理手順については、第1実施形態の車両用空調装置と同様である。
【0070】
本実施形態のブロワ電圧の決定処理について図6にしたがって説明する。図6に示す特性図は、充電中のバッテリ4の充電電圧値について、図3のステップ300で算出された目標吹出温度TAO[℃]とブロワ電圧[V]との関係を表したものであり、この特性図によって目標吹出温度TAO[℃]に対する適正なブロワ電圧[V]を充電中のバッテリ4の充電電圧値を考慮して決定することができる。
【0071】
エアコンECU10は複数の充電電圧値にそれぞれ対応する特性図を記憶しており、その一例として図6には、充電電圧値が交流200Vのときに使用する特性図(V3で示す図)と、充電電圧値が交流100Vのときに使用する特性図(V4で示す図)が示されている。
【0072】
図6に示すように、エアコンECU10は、バッテリ4の充電電圧値200Vの場合にはTAO[℃]が低温時および高温時において充電電圧値100Vの場合よりも高電圧のブロワ電圧をアクチュエータM4に印加するように決定する。また、TAO[℃]が高温や低温でない中温時には充電量の大きさによって印加するブロワ電圧に差を設けることなく、図6に示すTAO[℃]に相当するブロワ電圧を印加するように決定する。
【0073】
つまり、エアコンECU10は、TAO[℃]が低温時および高温時においては、充電電圧値が低い100Vの時はバッテリ4の消費電力を抑制するためにブロワ24に低めの電圧を供給する制御を実行し、充電電圧値が高い200Vの時は前者よりも高い電圧をブロワ24に供給することにより、前者のようなバッテリ4の消費電力を抑制する制御ではなく、適切な送風量を供給してユーザーが所望する空調環境を重視する制御を実行する。
【0074】
このようにエアコンECU10は、プレ空調運転時等において、図6に示すような制御特性図を用いた演算により、バッテリ4に充電中の充電電圧値を用いてブロワ24の回転数を決定し、当該回転数となるようにブロワ24の作動を制御する。この制御によれば、プレ空調運転等を行う際にバッテリ4の充電状況に応じて空調の強さを制限することにより空調能力の度合いを調節して、乗員が乗車した時の快適性の確保と各種機器の運転に支障のないバッテリ4の充電量確保との両面に優れた制御を実現できる。
【0075】
次に、エアコンECU10は、図7に示す電動圧縮機25の回転数を決定するフローチャートについて説明する。まず、エアコンECU10は、現在バッテリ4に充電がなされているか否かを判断する(ステップ830)。この判断はバッテリ4が充電中になるまで繰り返される。
【0076】
エアコンECU10は、充電中であると判断した場合には、前述のステップ801と同様に乗車中であるか否かを判断する(ステップ831)。エアコンECU10は、乗車中であると判断した場合には前述のステップ802〜805と同様の各処理を実行して目標回転数IVOnを算出し、算出された目標回転数IVOnに基づいてステップ900の処理を実行する。
【0077】
一方、エアコンECU10は、乗車中でないと判断した場合には前述のステップ810と同様の処理を実行し(ステップ840)、ステップ840でプレ空調運転を実行する指令が送られていないと判断した場合には、前述のステップ811と同様に、電動圧縮機25の目標回転数IVOを0rpmに決定する(ステップ841)。そして、決定された0rpmの目標回転数IVOに基づいてステップ900の処理を実行する。
【0078】
エアコンECU10は、ステップ840でプレ空調運転を実行する指令が送られていると判断した場合には、次に充電中のバッテリ4の充電電圧値が200Vであるか否かを判断する(ステップ842)。そして、充電電圧値が200Vである場合には、前述のステップ813の処理と同様に、エンジン1を起動する指令をハイブリッドECU6に送信し、ハイブリッドECU6は電磁クラッチ7を制御してエンジン1を作動させる(ステップ843)。
【0079】
エアコンECU10は、充電電圧値が200Vでない(例えば交流100Vである)場合や、ステップ813によってエンジン1の作動が実行された場合には、続いて前述のステップ814と同様のステップ844の判断処理(ステップ844においてYESの場合はステップ811と同様のステップ841の処理を実行する)を実行し、ステップ844においてNOの場合はステップ815と同様のステップ845の判断処理を実行する。さらにエアコンECU10は、ステップ845においてNOの場合はステップ817〜822と同様のステップ847、848、849、850、851、852の各処理を実行し、決定された目標回転数IVOに基づいてステップ900の処理を実行する。
【0080】
また、エアコンECU10は、ステップ845においてYESの場合(電動圧縮機25を停止状態から起動させる時である場合、つまり前回の目標回転数IVOn-1が0rpmである場合)には、ステップ846において、目標回転数IVOnを決定する。ステップ846における目標回転数IVOnの決定処理は、図7のステップ846に示す特性図を用いて算出される。この特性図は、バッテリ4に対して充電されている充電電圧値について、ステップ300で算出された目標吹出温度TAO[℃]と目標回転数IVOn[rpm]との関係を表したものであり、この特性図によって目標吹出温度TAO[℃]に対する適正な目標回転数IVOn[rpm]をバッテリ4への充電能力を考慮して決定することができる。
【0081】
エアコンECU10は充電電圧値、言い換えれば充電能力レベルに対応する複数の特性図を記憶しており、その一例としてステップ846には、バッテリ4への充電電圧が交流200Vのときに使用する特性図と、充電電圧が交流100Vのときに使用する特性図とが示されている。
【0082】
エアコンECU10は、充電電圧が200Vの場合にはTAO[℃]が所定値(例えば10℃)以下の比較的低温時において充電電圧が100Vの場合よりも高回転数の目標回転数IVOnに決定し、ステップ900で、当該目標回転数IVOnにアクチュエータM5(電動モータ)を制御する。また、TAO[℃]が所定値(例えば10℃)以上のときには充電電圧値の大きさによって目標回転数IVOnに差を設けることなく、例えば目標回転数IVOnを2000rpmに決定し、ステップ900で、アクチュエータM5(電動モータ)を2000rpmに制御する。
【0083】
つまり、エアコンECU10は、TAO[℃]が低温時においては、充電電圧値が所定値未満の時(交流100Vの電圧を充電時)にバッテリ4の消費電力を抑制するために電動圧縮機25を低めの目標回転数IVOnに制御し、充電量が所定値以上の時(交流200Vの電圧を充電時)は電動圧縮機25を前者よりも高めの目標回転数IVOnに制御することにより、前者のようなバッテリ4の消費電力を抑制する制御ではなく、適切な冷却能力を発揮させてユーザーが所望する空調環境を重視する制御を実行する。
【0084】
そして、エアコンECU10は、ステップ846で決定された目標回転数IVOに基づいてステップ900の処理を実行する。エアコンECU10は、その後、所定時間が経過すると(ステップ1000)、ステップ200の処理に戻り、上述の制御処理(ステップ200〜1000)を繰り返す。このような処理の繰り返しによって空調ゾーンの空調は、快適性の高いものとなる。
【0085】
このようにエアコンECU10は、プレ空調運転時等において、バッテリ4に充電中の充電電圧値を用いて電動圧縮機25の回転数を決定し、当該回転数となるように電動圧縮機25の作動を制御する。この制御によれば、プレ空調運転等を行う際に充電中のバッテリ4の充電能力に応じて空調の強さを制限して、空調の強さ度合いを調節することによって、乗車時の乗員の快適性向上とバッテリ4の充電量確保の両面に優れた制御を実現できる。
【0086】
以上のように本実施形態のエアコンECU10は、プレ空調運転を開始する命令を受信した場合に、バッテリ4の充電電圧が所定量以上のとき(例えば交流200V充電の時)はバッテリ4の電力を使用してプレ空調運転を実行し、バッテリ4の充電量が所定量未満のとき(例えば交流100V充電の時)は、エンジン1を作動させる命令をハイブリッドECU6に送信してエンジン1の作動による電力を得るとともに、バッテリ4の電力を使用してプレ空調運転を実行する。
【0087】
この構成によれば、プレ空調運転時のバッテリ4に充電中の充電電圧値に応じて、バッテリ4の電力を使用するか、エンジン1の作動も併用しつつバッテリ4の電力を使用するかを使い分けることにより、バッテリ4の充電量の確保と、バッテリ4に多大な負荷を与えないユーザーが所望するプレ空調による快適性の確保との両方を実現した制御を提供できる。またこの制御により、従来、ハイブリッド車両においてプレ空調運転を行うことができなかった状況でも確実な運転が行われるので、ユーザーにとってうれしさが増すとともに、プレ空調運転が実行されないことによってユーザーが故障したと誤認識することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明のすべての実施形態に使用されるハイブリッド自動車の制御システムを示したブロック図である。
【図2】すべての実施形態における車両用空調装置の制御システムを示したブロック図である。
【図3】すべての実施形態の車両用空調装置における空調制御のメインルーチンを示したフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態である第1実施形態において、空調制御のメインルーチンのブロワ電圧を決定するために用いる特性図である。
【図5】第1実施形態における電動圧縮機の回転数を決定するルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【図6】第2実施形態における空調制御のメインルーチンのブロワ電圧を決定するために用いる特性図である。
【図7】第2実施形態における電動圧縮機の回転数を決定するルーチンの処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1…エンジン
4…バッテリ
10…エアコンECU(空調制御装置)
24…ブロワ(送風機)
25…電動圧縮機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両の停止中に乗員乗車前の車室内空調を行うプレ空調運転を実行可能とする空調制御装置(10)を備える車両用空調装置であって、
前記空調制御装置(10)は前記プレ空調運転を開始する命令を受信した場合に、
バッテリ(4)の充電量が所定量以上のときは前記バッテリ(4)の電力を使用して前記プレ空調運転を実行し、
前記バッテリ(4)の充電量が前記所定量未満のときは、前記車両のエンジン(1)を作動させる命令を送信して前記エンジン(1)作動による電力を得るとともに、前記バッテリ(4)の電力を使用して前記プレ空調運転を実行することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、前記車室内へ送風される空気を冷却するための冷凍サイクルに冷媒を循環させる電動圧縮機(25)を備え、
前記空調制御装置(10)は、前記プレ空調運転時に前記電動圧縮機(25)を、前記バッテリ(4)の充電量を用いて決定された回転数に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、前記車室内に空調された空気を送風する送風機(24)を備え、
前記空調制御装置(10)は、前記プレ空調運転時に前記送風機(24)を、前記バッテリ(4)の充電量を用いて決定された回転数に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
ハイブリッド車両の停止中に乗員乗車前の車室内空調を行うプレ空調運転を実行可能な空調制御装置(10)を備える車両用空調装置であって、
前記空調制御装置(10)は、外部電源からの電力がバッテリ(4)に供給されている充電中に前記プレ空調運転を開始する命令を受信した場合には、
前記バッテリ(4)の充電電圧値が所定値以上のときは前記バッテリ(4)の電力を使用して前記プレ空調運転を実行し、
前記バッテリ(4)の充電電圧値が前記所定値未満のときは、前記車両のエンジン(1)を作動させる命令を送信して前記エンジン(1)作動による電力を得るとともに、前記バッテリ(4)の電力を使用して前記プレ空調運転を実行することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
前記バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、前記車室内へ送風される空気を冷却するための冷凍サイクルに冷媒を循環させる電動圧縮機(25)を備え、
前記空調制御装置(10)は、前記プレ空調運転時に前記電動圧縮機(25)を、前記バッテリ(4)に充電中の前記充電電圧値を用いて決定された回転数に制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記バッテリ(4)の電力を用いて駆動され、前記車室内に空調された空気を送風する送風機(24)を備え、
前記空調制御装置(10)は、前記プレ空調運転時に前記送風機(24)を、前記バッテリ(4)に充電中の前記充電電圧値を用いて決定された回転数に制御することを特徴とする請求項4または5に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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