説明

車両用空調装置

【課題】乗車中は暖房性能を損なわない除霜運転を実施し、乗車していないときは車両の余熱を活用した省電力性に優れた除霜運転を実施する車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置の制御装置50は、乗車中と判定した場合に除霜運転を行うときはヒートポンプサイクル10を暖房運転サイクルに動作させ、室外器用送風機27を停止し、空気を室内熱交換器12に通過させて放熱するようにエアミックスドア37の作動を制御する第1除霜運転を実施する。また、乗員不在と判定した場合に除霜運転を行うときはヒートポンプサイクル10を冷房運転サイクルに動作させ、室外器用送風機27を停止し、内気を取り込むように内外気設定ドア32の作動を制御し、室内熱交換器12に通過させる空気量が第1除霜運転時よりも減少するようにエアミックスドア37の作動を制御する第2除霜運転を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の電力によって駆動される圧縮機を備えたヒートポンプサイクル装置を用いて、車室内の暖房を行うとともに、暖房時に付着した霜を除霜する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、除霜運転を実施する車両用空調装置として、特許文献1および特許文献2に記載の従来技術が知られている。特許文献1に記載の第1の従来技術では、車室内を暖房するときの暖房サイクル運転中に、車室内の空調制御において着霜の有無を判定し、着霜があると判定されると、圧縮機の回転数を増加し、室内加熱用熱交換器(凝縮器)での放熱を抑制するようにエアミックスドアの開度を制御する。
【0003】
一方、特許文献2に記載の第2の従来技術では、暖房運転中に付着した霜を除霜する場合に、乗員無し時には甘い条件に設定された第1判定レベルを超えたときに第1除霜モードの運転を実施し、乗員有り時には厳しい条件で設定された第2判定レベルを超えたときに第2除霜モードの運転を実施する。これにより、乗員無し時の第1除霜モードは早い段階に行われるので、少ない着霜量で第1除霜モードが開始されて除霜モード時間を短くすることができる。また、乗員有り時の第2除霜モードは遅い段階に行われるので、暖房モードの時間が長くなる。
【特許文献1】特開2000−203249号公報
【特許文献2】特開2000−103225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第1の従来技術においては、上記除霜運転は暖房運転中の着霜有無判定により開始されるので、乗員の乗車時に実施されるものである。第1の従来技術では、乗員が乗車していないときの除霜運転いついては言及されていないが、仮に、上記除霜運転を乗員が乗車していないときに実施した場合には、室内冷却用熱交換器(蒸発器)から吸熱することができない。このため、車室内の熱、すなわち車両にたまっている余熱を活用することができず、エネルギーの有効利用が図れないという問題がある。
【0005】
一方、第2の従来技術においては、第1除霜モードおよび第2除霜モードは冷房モード時の冷媒流れ回路によって行われ、エアミックスドアの開度調整により、第1除霜モードでは室内加熱用熱交換器(凝縮器)で放熱を行わないように制御され、第2除霜モードでは室内加熱用熱交換器(凝縮器)で放熱を行うように制御される。したがって、乗員無し時の第1除霜モードでは、除霜モード時間を短くして省電力化が図れるが、乗員有り時の第2除霜モードでは、室内冷却用熱交換器(蒸発器)から吸熱するため、室内加熱用熱交換器(凝縮器)に送風される空気が冷却されて温度降下し、暖房エネルギーの損失が発生するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、乗車中は暖房性能を損なわない除霜運転を実施し、乗車していないときは車両の余熱を活用した省電力性に優れた除霜運転を実施する車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用することができる。なお、特許請求の範囲および下記各手段に記載の括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0008】
請求項1に記載の車両用空調装置に係る発明は、蓄電池からの給電によって駆動し、冷媒を吸入し吐出する圧縮機(11)、圧縮機から吐出された冷媒が流入し暖房運転サイクル時に放熱して車室内へ送風される空気を加熱する加熱用熱交換器(12)、暖房運転サイクル時に加熱用熱交換器で冷却された冷媒を減圧する第1の減圧装置(13)、暖房運転サイクル時に第1の減圧装置で減圧された冷媒が流入して吸熱し冷房運転サイクル時に冷媒が放熱する室外熱交換器(15)、暖房運転サイクル時に冷媒が流れないように構成され冷房サイクル運転時に内部を流れる冷媒の吸熱作用によって車室内へ送風される空気を冷却する冷却用熱交換器(18)、および冷房運転サイクル時に冷却用熱交換器に流入させる冷媒を減圧する第2の減圧装置(16)を有するヒートポンプサイクル(10)と、
室外熱交換器に対して空気を送風する室外器用送風機(27)と、
一方側に空気取入口(33,34)が形成され、他方側に車室内に向かう空気が通過する吹出し開口(40,41,42)が形成され、空気取入口と吹出し開口との間に送風される空気が通過する通風路(38,39)を有する空調ケース(31)と、
外気および内気の少なくとも一方を空気取入口から空調ケース内に取り入れる取入れ空気設定手段(32)と、
空気取入口から取り入れた空気のうち、通風路に設けられた加熱用熱交換器を通過させる空気の風量を調整する風量調整手段(37)と、
車室内に乗員がいるか否かを判定し、室外熱交換器に付着した霜をとかすための除霜運転を実施するか否かを判定するとともに、ヒートポンプサイクルを構成する各部の作動、室外器用送風機の作動、取入れ空気設定手段の作動および風量調整手段の作動を制御して除霜運転を実施する制御装置(50)と、を備え、
制御装置は、
乗員が乗車中であると判定した場合に除霜運転を行うときはヒートポンプサイクルを暖房運転サイクルに動作させ、室外器用送風機を停止し、空気を加熱用熱交換器に通過させて放熱するように風量調整手段の作動を制御する第1除霜運転を実施し、
乗員が乗車していないと判定した場合に除霜運転を行うときはヒートポンプサイクルを冷房運転サイクルに動作させ、室外器用送風機を停止し、車室内の空気を空気取入口から取り込むように取入れ空気設定手段の作動を制御し、加熱用熱交換器に通過させる空気量が第1除霜運転時よりも減少するように風量調整手段の作動を制御する第2除霜運転を実施することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、乗員乗車中での除霜運転では、蒸発器で周囲空気から吸熱を行わず、暖房運転サイクルによる暖房風の提供を行うことにより、乗員に対して所望の暖房を提供するとともに、除霜効果も得ることができる。一方、乗員不在時の除霜運転では、蒸発器で周囲空気から積極的に吸熱を行うことにより、廃熱である車両の余熱を十分に吸熱することができる。したがって、乗員乗車中は暖房性能を損なわない除霜運転が実施でき、さらに乗員不在時は車両の余熱を活用するため省電力性に優れ、空調面と省エネルギー面の両方を充足する車両用空調装置が得られる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御装置によって制御され、空調ケースの通風路に対して空気を送風する空調用送風機(35)を備え、
制御装置は、第2除霜運転時は送風量が第1除霜運転時よりも多くなるように空調用送風機の作動を制御することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第2除霜運転時には車室内の空気、すなわち内気をより大量に空調ケース内に取り込むことができる。これにより、蒸発器での吸熱量を大きくできるため、より多くの廃熱を冷媒に回収することができ、さらなる省電力化が図れる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、制御装置は、第2除霜運転時に、空気取入口から空調ケース内に取り入れる空気をすべて車室内の空気とするように取入れ空気設定手段の作動を制御することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、第2除霜運転時には空調ケース内に取り入れる空気はすべて内気とする。これにより、車室内の余熱を含んだ内気をより大量に取り入れることができ、蒸発器での吸熱量を大きくできる。したがって、より多くの廃熱を冷媒に回収することができ、さらなる省電力化が図れる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、外気温度を検出する外気温度検出手段(21)を備え、
制御装置は、乗員が乗車していないと判定した場合に外気温度検出手段によって検出された外気温度が予め定める所定温度よりも低いときは除霜運転を実施する判定をし、外気温度が所定温度以上であるときは除霜運転を実施しない判定をすることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、外気温度によって、着霜の可能性が低い状況や、着霜していても後でとける可能性が高いことを認識するため、敢えて除霜する必要がない場合に当該除霜運転を中止して省電力化が図れる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明において、外気温度を検出する外気温度検出手段(21)と、車室内の空気温度を検出する内気温度検出手段(43)と、を備え、
制御装置は、乗員が乗車していないと判定した場合に検出された内気温度が検出された外気温度よりも低いときは、ヒートポンプサイクルを暖房運転サイクルに動作させ、空調用送風機を停止する第3除霜運転を実施することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、内気温度が外気温度よりも低温である場合には車室内の空気があまり高くなく熱気がたまっていない状態であると判断し、車内の余熱を活用した第2除霜運転を行わない第3の除霜運転を行う。これにより、空調用送風機の無駄な運転を省くことによる省電力化と、室外熱交換器に対する冷媒熱の供給量を第2除霜運転よりも大きくできることによる除霜の促進とを併せ持った除霜運転を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態について図1〜図8にしたがって説明する。図1は、本発明の一例である第1実施形態に係る車両用空調装置の構成を示した概略図である。図2は本車両用空調装置における制御構成を示したブロック図である。
【0020】
本実施形態の車両用空調装置は、ヒートポンプサイクルおよび空調ユニットを備え、図1に示す構成部品を用いて空調運転を行うものであり、例えばハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等に使用することができる。本車両用空調装置は、少なくとも暖房運転、冷房運転および除霜運転(熱を与えて熱交換器に付着した霜をとかす運転)を行うように構成されている。ヒートポンプサイクル10は本車両用空調装置に適用されるヒートポンプサイクルの一例であり、その冷媒流れは、暖房運転時には後述する暖房運転サイクルとなり、冷房運転時には後述する冷房運転サイクルとなる。
【0021】
ヒートポンプサイクル10は、冷凍サイクル内を流れる冷媒(例えば、CO2等の超臨界圧以上になる冷媒)の状態変化を利用することにより、冷房用の蒸発器18と暖房用の室内熱交換器12によって車室内間に対して冷房および暖房を行うことができる。
【0022】
図1に示すように、ヒートポンプサイクル10は、電動圧縮機11、室内熱交換器12、電動弁13、室外熱交換器15、蒸発器18、電動弁16およびアキュムレータ19を備えており、これらを配管により環状に接続することによりサイクルが形成されている。電動弁13の上流側および下流側の冷媒通路には、電動弁13をバイパスするバイパス通路23が接続されている。バイパス通路23には、電動弁13と並列関係にある電磁弁14が設けられている。さらに、ヒートポンプサイクル10は、室外熱交換器15の出口側の冷媒通路を流れる冷媒と、電動圧縮機11の吸入側の冷媒通路を流れる冷媒とを熱交換させる内部熱交換器20を備えている。
【0023】
室外熱交換器15の出口側から延びる冷媒通路は、蒸発器18の入口側に接続される第1分岐通路24と、蒸発器18をバイパスしてアキュムレータ19の吸入側に接続される第2分岐通路25とに分岐している。また、第1分岐通路24は、蒸発器18の出口側からも延設され、アキュムレータ19の吸入側で第2分岐通路25に接続するようになっている。蒸発器18の入口側における第1分岐通路24には、電動弁16が設けられている。第2分岐通路25には電磁弁17が設けられている。また、室外熱交換器15の冷媒流出側には、冷媒温度センサ22が設けられている。冷媒温度センサ22は、室外熱交換器15の出口部における冷媒温度を検出する。
【0024】
電動圧縮機11は、蓄電池である車載バッテリ(図示せず)からの給電によって駆動し、冷媒を吸入して吐出する圧縮機であり、回転数制御が可能なように構成されている。電動圧縮機11はインバータ51により周波数が調整された交流電圧が印加されてそのモータの回転速度が制御される。インバータ51は車載バッテリから直流電源の供給を受け、制御装置50によって制御される。電動圧縮機11は冷媒の圧縮容量を無段階に可変できる可変容量式の圧縮機でもある。
【0025】
さらに、電動圧縮機11の出口には、電動圧縮機11によって吐出された高圧側冷媒の圧力を検出する吐出圧センサ26が設けられている。吐出圧センサ26が検出する信号は、制御装置50に入力される。また、制御装置50は、入力されたサイクルの高圧側の冷媒圧力から高圧側の冷媒温度を算出することができる。
【0026】
室内熱交換器12は電動圧縮機11から吐出された冷媒が流入し、暖房運転サイクル時に高圧の冷媒と温風通路39を流れる空気とが熱交換して、当該空気を加熱する加熱用熱交換器である。電動弁13は、暖房運転サイクル時に室内熱交換器12で冷却された冷媒を減圧する膨張弁(第1の減圧装置)であり、例えば冷媒通路の開口面積を調整自在にする電子制御弁で構成される。電磁弁14は、バイパス通路23を流れる冷媒を流通および遮断する開閉弁であり、暖房運転サイクル時にバイパス通路23を閉鎖し、冷房運転サイクル時にバイパス通路23を開放するように構成される。
【0027】
電動弁16は、冷房運転サイクル時に蒸発器18に流入させる冷媒を減圧する膨張弁(第2の減圧装置)であり、例えば冷媒通路の開口面積を調整自在にする電子制御弁で構成される。電磁弁17は、第2分岐通路25を流れる冷媒を流通および遮断する開閉弁であり、冷房運転サイクル時に第2分岐通路25を閉鎖し、暖房運転サイクル時に第2分岐通路25を開放するように構成される。
【0028】
室外熱交換器15は、車両の車室外に配置されており、室外器用送風機27により強制的に送風される外気と冷媒とを熱交換する熱交換器である。室外熱交換器15では、暖房運転サイクル時に電動弁13で減圧された冷媒が流入して外気から吸熱し、冷房運転サイクル時に高圧の冷媒が放熱するようになる。蒸発器18では、暖房運転サイクル時に冷媒が流れないようになっており、冷房サイクル運転時に内部を流れる冷媒の吸熱作用によって車室内へ送風される空気を冷却するようになる。アキュムレータ19は、電動圧縮機11に流入する前の冷媒を気液分離するタンクである。
【0029】
暖房運転サイクル時には、電磁弁14が閉、電磁弁17が開、電動弁16が0パルス制御されて閉じられ、電動弁13が要求される減圧量に制御される。これにより、ヒートポンプサイクル10における暖房運転サイクルの冷媒経路は、順に、アキュムレータ19、内部熱交換器20、電動圧縮機11、室内熱交換器12、電動弁13、室外熱交換器15、内部熱交換器20、電磁弁17、アキュムレータ19となる(図3の太線参照)。冷房運転サイクル時には、電磁弁14が開、電磁弁17が閉、電動弁13が0パルス制御されて閉じられ、電動弁16が要求される減圧量に制御される。これにより、ヒートポンプサイクル10における冷房運転サイクルの冷媒経路は、順に、アキュムレータ19、内部熱交換器20、電動圧縮機11、室内熱交換器12、電磁弁14、室外熱交換器15、内部熱交換器20、電動弁16、蒸発器18、アキュムレータ19となる(図5の太線参照)。
【0030】
空調ユニット30は、車室内に空調風を提供するためのユニットで空調ケース31を外郭とし、例えば、車室内前方のインストルメントパネルの裏側に設けられている。空調ケース31は、内部に空気の通風路を備え、一方側に空気取入口である外気吸入口34および内気吸入口33が形成され、他方側に車室内に吹き出される空気調節された空気(以下、空調空気とする)が通過するフェイス吹出し開口40、フット吹出し開口41、デフ吹出し開口42が少なくとも形成されている。
【0031】
フェイス吹出し開口40は車室内の乗員の上半身に向かって吹き出される空調空気が通過する開口であり、フット吹出し開口41は車室内の乗員の足元に吹き出される空調空気が通過する開口であり、デフ吹出し開口42は車両のフロントガラスの内面に吹き出される空調空気が通過する開口である。これらの各開口は、それぞれ吹出しダクト(図示せず)を介して車室内空間に接続されており、吹出し開口切替えドア(図示せず)によって吹出しモードに対応してそれぞれ開閉される。
【0032】
内気吸入口33と外気吸入口34は、取入れ空気設定手段である内外気設定ドア32によって、空気取入れモードに対応してその開放、閉鎖が切替え自在、または開放度合いが調整自在に行われる。すなわち、内外気設定ドア32は、そのドア本体32bがサーボモータ32a等のアクチュエータで角度調整されることによって、外気および内気の少なくとも一方を空気取入口から空調ケース31内に取り入れることができるようになっており、内気循環モードと、外気導入モードと、これらの中間のモード(内気循環および外気導入の両方を有するモード)とを設定することができる。
【0033】
空調ケース31は、一方側に、内外気設定ドア32を備える内外気切替箱と、その吸込部が外気吸入口34と内気吸入口33に接続されている空調用送風機35と、を備えている。例えば、冬季等の暖房時には、外気導入モードを行うことにより外気吸入口34から湿度の低い外気を導入し、通風路を通して空調してフロントガラスの内面に吹き出すことにより防曇効果を高めることができる。また、内気循環モードを行うことにより内気吸入口33から温度の高い内気を導入し、通風路を通して空調し乗員の足元に向けて吹き出すことにより暖房負荷を軽減することができる。
【0034】
空調用送風機35は遠心多翼ファン(例えばシロッコファン)とこれを駆動するモータ35aとからなり、遠心多翼ファンの周囲はスクロールケーシングで囲まれている。また、空調ケース31は複数のケース部材からなり、その材質は例えばポリプロピレン等の樹脂成形品である。
【0035】
空調用送風機35の吹出口は、遠心多翼ファンの遠心方向に延びるように設けられた通風路に接続されている。この通風路は、送風空気の上流側から順に、冷却用熱交換器である蒸発器18が横断する通路と、蒸発器18の送風空気下流側に配置される冷風通路38および温風通路39と、冷風通路38と温風通路39とを流れてきた空気が混合される空気混合空間部と、からなっている。空調用送風機35よりも送風空気の下流側における空調ケース31内には、上流側に蒸発器18が配置され、蒸発器18よりも下流に室内熱交換器12およびエアミックスドア37が配置されている。
【0036】
蒸発器18は空調用送風機35直後の通路全体を横断するように配置されており、空調用送風機35から吹き出された空気の全部が通過するようになっている。蒸発器18は、冷房運転時や除霜運転時において内部を流れる冷媒の吸熱作用によって冷風通路38に流入する手前の送風空気を冷却する冷却用熱交換器として機能する。空気が通過する蒸発器18の出口部(蒸発器18の下流側部位)には、蒸発器18によって冷却された空気の温度を検出する蒸発器後温度センサ36が設けられている。蒸発器後温度センサ36によって検出された信号は制御装置50に入力される。
【0037】
温風通路39には室内熱交換器12が配置されており、温風通路39は、エアミックスドア37によって開放および閉鎖されるようになっている。エアミックスドア37は、空気取入口から取り入れた空気のうち、室内熱交換器12を通過させる空気(温風)の風量を調整する風量調整手段である。蒸発器18を通過した空気は、エアミックスドア37によって、室内熱交換器12を通る空気と室内熱交換器12を迂回する空気とに風量比率が自在に分けられるようになっている。
【0038】
エアミックスドア37は、アクチュエータであるサーボモータ37aによりそのドア本体位置を変化させることで、温風通路39および冷風通路38のそれぞれの一部または全部を塞ぐことができる。そして、エアミックスドア37による温風通路39の開度は、室内熱交換器12を通過できる空気の通風路が開放される割合のことであり、0から100%の範囲で調整可能になっている。また、エアミックスドア37による冷風通路38の開度は、温風通路39の開度に反比例して変化するようになっており、これも0から100%の範囲で調整可能になっている。
【0039】
室内熱交換器12は、電動圧縮機11から吐出された冷媒が流入し、暖房運転サイクル時に内部を流れる冷媒の放熱作用によって温風通路39を流れる送風空気を加熱する加熱用熱交換器として機能する。外気温度センサ21は外気温度を検出する外気温度検出手段であり、内気温度センサ43は車室内の空気温度を検出する内気温度検出手段である。
【0040】
図2に示すように、制御装置50は車室内の空調および室外熱交換器15の着霜をとかす除霜運転を制御する電子式制御装置であり、各運転状態に応じて、ヒートポンプサイクル10を構成する各部品の作動、室外器用送風機27の作動、内外気設定ドア32の作動およびエアミックスドア37の作動等を制御する。制御装置50は、マイクロコンピュータ、入力回路、出力回路、乗員有無判定手段50a、除霜運転判定手段50b等で構成されている。乗員有無判定手段50aは、車室内に乗員がいるか否かを判定する手段であり、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチとする)のオン、オフ状態を示す信号や着座センサ等の検出信号を受信して当該判定を行い、当該判定をマイクロコンピュータに送信するように構成されている。除霜運転判定手段50bは、除霜運転を実施するか否かを判定する手段であり、外気温度、室外熱交換器15の温度(あるいは冷媒温度)等を用いて着霜の有無を検出しさらに当該判定を行い、当該判定をマイクロコンピュータに送信するように構成されている。
【0041】
入力回路には、車室内前面に設けられたコントロールパネル52上の各種スイッチからの信号、外気温度センサ21、冷媒温度センサ22、吐出圧センサ26、蒸発器後温度センサ36および内気温度センサ43等の信号が入力される。マイクロコンピュータは、ROM(読み込み専用記憶装置)、RAM(読み込み書き込み可能記憶装置)等のメモリおよびCPU(中央演算装置)等から構成されており、制御対象である各部品の適切な作動状態を演算するための各種プログラムを有している。マイクロコンピュータは、入力回路に入力された各種信号と各種プログラムとによって演算を行い、演算結果を出力回路に出力する。出力回路は、インバータ51、電動弁13、電磁弁14、電動弁16、電磁弁17、室外器用送風機27のモータ27a、内外気設定ドア32のサーボモータ32a、空調用送風機35のモータ35a、エアミックスドア37のサーボモータ37a等の各種アクチュエータに演算結果に基づいた出力信号を送る。なお、乗員有無判定手段50aおよび除霜運転判定手段50bは、マイクロコンピュータに内部に含まれる判定手段であってもよい。
【0042】
次に、上記構成に係る車両用空調装置の各運転モード(冷房、暖房、除霜)の作動を説明する。コントロールパネル52のエアコンスイッチがON状態のとき、制御装置50は電動圧縮機11を起動し、そして乗員が設定した温度と各種センサから受信した信号とから運転すべき運転モードを冷房運転と判定すると、電磁弁14を開状態、電磁弁17および電動弁13を閉状態にするとともに、電動弁16の開度を所望の冷房能力が得られる減圧量になるように制御する。さらに制御装置50は、冷房運転であるので吹出しモードがフェイス吹出しとなるように吹出し開口切替えドアを制御する。
【0043】
冷房運転時の冷媒の流れは図5の白抜き太矢印で示した流れであり、電動圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は室内熱交換器12に流入するが、室内熱交換器12を通過する送風量がないため、室内熱交換器12での放熱量は少ない。そして冷媒は、バイパス通路23を通って室外熱交換器15に流入し、室外熱交換器15内を通るときに室外器用送風機27により送風された空気に熱を奪われて冷却され霧状冷媒となる。その後、霧状冷媒は、内部熱交換器20を経由して第1分岐通路24に流れ、電動弁16で減圧されて蒸発器18に流入し、空調用送風機35によって空調ケース31内の通風路を流れる送風空気から吸熱して蒸発器18内で蒸発する。そして、冷媒はアムレータ19で気液分離された後、内部熱交換器20を経由して電動圧縮機11に吸入される。蒸発器18で吸熱され冷却された冷風はさらに通風路を進んで主にフェイス吹出し開口40から乗員の上半身に向けて吹き出されて車室内を冷房する。
【0044】
次に、暖房運転が行われた場合の冷媒の流れを説明する。制御装置50はコントロールパネル52のエアコンスイッチがON状態のとき、電動圧縮機11を起動し、そして乗員が設定した温度と各種センサから受信した信号とから運転すべきモードを暖房運転と判定すると、電磁弁17を開状態、電磁弁14および電動弁16を閉状態にするとともに、電動弁13の開度を所望の減圧量になるように制御する。さらに制御装置50は、暖房運転時であるので吹出しモードが設定温度に応じてフット吹出し、またはデフ吹出しとなるように吹出し開口切替えドアを制御する。
【0045】
暖房運転時の冷媒の流れは図3に白抜き太矢印で示した流れであり、電動圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒は、室内熱交換器12に流入し室内熱交換器12内を通るときに温風通路39を通る送風空気に熱を奪われて冷却され放熱する。そして冷媒は、電動弁13に流入し、電動弁13によって減圧される。電動弁13で減圧された冷媒は室外熱交換器15に流入し、室外熱交換器15内を通るときに室外器用送風機27により送風された空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器15で蒸発したガス冷媒は内部熱交換器20を経由して第2分岐通路25に流れ、電磁弁17を通りアキュムレータ19で気液分離された後、内部熱交換器20を経由して電動圧縮機11に吸入される。
【0046】
暖房運転時に空調ケース31内に取り込まれた低温の空気(例えば冬期の外気)は、蒸発器18を通過した後、エアミックスドア37によって温風通路39を流れ、室内熱交換器12によって加熱され温風となる。そして、暖房時にデフ吹出しモードが行われる場合は、この温風は室内熱交換器12を通過した後、吹出し開口切替えドアによって開放されたデフ吹出し開口42を通ってフロントウィンドウの内面に向けて吹き出される。また、暖房時にフット吹出しモードが行われる場合は、この温風は室内熱交換器12を通過した後、吹出し開口切替えドアによって開放されたフット吹出し開口41を通って乗員の足元に向けて吹き出される。
【0047】
また、暖房サイクル運転時のバイレベルモードが行われる場合は、空調ケース31内に取り込まれた低温の空気はエアミックスドア37によって、冷風通路38および温風通路39のそれぞれを流れる空気に適切な風量比率で分けられることになる。そして、温風通路39を流れる低温の空気は、室内熱交換器12によって加熱され、空気混合空間部で冷風通路38を流れてきた低温の空気と混ざり合って温度調節され、フット吹出し開口41を通って乗員の足元に向けて吹き出される。他方、冷風通路38を流れる低温の空気は、室内熱交換器12を通らないため加熱されることなく、低温のまま空気混合空間部で温風通路39を流れてきた温風と混ざり合って温度調節され、フェイス吹出し開口40を通って乗員の上半身に向けて吹き出される。このようにして、乗員の上半身と足元とに適切な温度差(例えば10〜15℃)のある空気が吹き出されるので、乗員に対し頭寒足熱(足元が暖かく、頭部付近が涼しい)の空調を提供することができる。
【0048】
次に、本実施形態の特徴の一つである第1除霜運転および第2除霜運転について図3〜図6にしたがって説明する。図3は第1除霜運転におけるヒートポンプサイクル10の暖房運転サイクルおよび空調ユニット30の各部の作動状態を説明する概念図である。図4は、第1除霜運転におけるヒートポンプサイクル10のモリエル線図上の挙動を表した概略図である。図5は、第2除霜運転におけるヒートポンプサイクル10の冷房運転サイクルおよび空調ユニット30の各部の作動状態を説明する概念図である。図6は、第2除霜運転におけるヒートポンプサイクル10のモリエル線図上の挙動を表した概略図である。
【0049】
第1除霜運転は、乗員有無判定手段50aが乗車中であると判定し、さらに、除霜運転判定手段50bが除霜運転を実施すると判定したときに行われ、ヒートポンプサイクル10における冷媒の流れは前述の暖房運転時と同じ(暖房運転サイクル)になるように、ヒートポンプサイクル10の各部の作動を制御する。さらに、制御装置50は、第1除霜運転においては室外器用送風機27を停止し、外気導入モードに設定し、空調用送風機35を低速運転して送風量を低減し、エアミックスドア37の開度を所望の暖房能力が得られるように制御する。
【0050】
これにより、ヒートポンプサイクル10内の冷媒は、室内熱交換器12で温風通路39を流れる空気と熱交換して放熱し、暖房風を提供する。そして、室外熱交換器15では室外器用送風機27が停止しているため、当該冷媒と周囲空気との積極的な熱交換が行われず、当該冷媒の熱によって室外熱交換器15の表面が暖められ、付着していた霜がとけるようになる。また、このときのヒートポンプサイクル10の挙動は、図4に示すようにモリエル線図上に表され、電動圧縮機11の仕事量は室内熱交換器12での放熱と室外熱交換器15での放熱とに使われるようになる。したがって、乗員の乗車中に実施される第1除霜運転では、暖房空調を提供し、乗員に対して暖房感を損なうことがないとともに、室外熱交換器15の着霜を除去することができる。
【0051】
第2除霜運転は、乗員有無判定手段50aが乗車が不在であると判定し、さらに、除霜運転判定手段50bが除霜運転を実施すると判定したときに行われる。制御装置50は、ヒートポンプサイクル10における冷媒の流れは前述の冷房運転時と同じ(冷房運転サイクル)になるように、ヒートポンプサイクル10の各部の作動を制御する。さらに、制御装置50は、第2除霜運転においては室外器用送風機27を停止し、内気循環モードまたは中間のモード(内気循環および外気導入の両方を有するモード)に設定し、空調用送風機35を第1除霜運転時よりも高速運転して送風量を増加し、エアミックスドア37の開度を閉状態または温風通路39を絞る方向(第1除霜運転時よりも閉じる方向)に制御する。
【0052】
これにより、ヒートポンプサイクル10内の冷媒は、室内熱交換器12で周囲空気との積極的な熱交換が行われず、放熱しない。そして、室外熱交換器15では室外器用送風機27が停止しているため、当該冷媒と周囲空気との積極的な熱交換が行われず、積極的な放熱が行われないが、当該冷媒の熱によって室外熱交換器15の表面が暖められ、付着していた霜がとけるようになる。さらに、蒸発器18では、電動弁16で減圧された冷媒が空調用送風機35によって送風された内気と熱交換し、内気から吸熱するようになる。このときのヒートポンプサイクル10の挙動は、図6に示すように通常の超臨界サイクルを示すようになる。したがって、乗員が車室内に不在のときに実施される第2除霜運転では、車両の余熱によって暖められた内気を空調ケース31内に多く取り入れ、蒸発器18で内気から積極的に吸熱して熱回収を行うことができる。
【0053】
次に、本車両用空調装置の作動について図7および図8にしたがって説明する。図7は乗員乗車時における車両用空調装置の制御処理の流れを示したフローチャートである。図8は乗員不在時における車両用空調装置の制御処理の流れを示したフローチャートである。また、各制御は制御装置50によって実行される。なお、ここでは、乗員乗車時における空調制御については、本実施形態の特徴の一つである暖房運転時の作動のみを説明することとし、冷房運転時の作動については周知の制御を実施するものであり、その説明を省略する。
【0054】
IGスイッチがオンされた状態、着座センサによって乗員の着座が確認されたとき等、つまり、車室内に乗員がいる場合には、図7に示す制御フローが実行される。コントロールパネル52等の操作により制御装置50に暖房空調の運転命令が入力されると、暖房制御処理が開始される(ステップ10)。具体的には、制御装置50はROM,RAMなどのメモリに記憶された制御プログラムをスタートさせてRAMに記憶されるデータなどを初期化し、コントロールパネル52および各種センサから各信号が入力されることにより、設定条件、現在の空調環境条件等の各データを読み込み、ROMに記憶されたプログラムを用いて車室内に吹き出す空気の目標吹出し温度TAOを演算し、内外気設定ドア32の作動位置、空調用送風機35のブロワレベル(送風空気の風量)、電動圧縮機11の回転数およびエアミックスドア37の開度を演算し、これらの各部品に対して駆動信号を出力する。
【0055】
次に、制御装置50は、ステップ20で、電磁弁14を閉状態、電磁弁17を開状態に制御するとともに、電動弁16に供給するパルス波をゼロ値にする制御を実行する。この処理により、ヒートポンプサイクル10が前述の暖房運転サイクルで作動するように制御される。そして、ステップ30に移行して冷媒温度センサ22によって検出された室外熱交換器15出口部の冷媒温度THOから、外気温度センサ21によって検出された外気温度TAMを減算し、この減算値が予め定めた値α(αは、例えば−15℃)よりも小さいか否かを判定する。この判定は、室外熱交換器15で霜が付着する可能性が高いか否かを判断するステップである。ステップ30での判定がNOであれば、着霜の可能性は低いと判断してステップ10に戻る。
【0056】
一方、ステップ30での判定がYESであれば、着霜の可能性が高いと判断してステップ40に進み、前述の第1除霜運転を開始する。そして、ステップ50で電磁弁14を閉状態、電磁弁17を開状態に制御するとともに、電動弁16に供給するパルス波をゼロ値に制御し、電動弁13を要求される能力を満たす減圧量に制御する。さらに、ステップ60で、目標吹出し温度を満たす温風が確保できるようにエアミックスドア37の開度を制御し、室外器用送風機27を停止するようにモータ27aの駆動を制御し、外気導入モードとなるように内外気設定ドア32の作動位置を制御し、通常の暖房運転時よりも低速運転して送風量を低減するように空調用送風機35のモータ35aを制御する。これらの処理によって前述の第1除霜運転が行われ、車室内に向けて所望の暖房風を送りながらも、室外熱交換器15に熱を与え、霜をとかすことができる。この第1除霜運転は、室外熱交換器15出口部の冷媒温度THOが予め定めた温度β(βは、例えば0〜5℃の範囲に含まれる温度に設定される)よりも高温になるまで、継続される(ステップ70)。ステップ70で、当該冷媒温度THOが所定値βよりも高くなったと判定されると、第1除霜運転を終了する処理を実行(ステップ80)し、本フローを終了する。
【0057】
次に、乗員不在時に行われる除霜運転について、図8にしたがって説明する。IGスイッチがオフされた状態、着座センサによって乗員の着座が確認できなかったとき等、つまり、車室内に乗員が不在である場合には、図8に示す制御フローが実行される。まず、制御装置50は、ステップ100で、外気温度センサ21によって検出された外気温度TAMが予め定めた温度σ(σは、例えば0℃)よりも小さいか否かを判定する。このステップは、乗員不在時の除霜運転を実施するか否かを判定するステップであり、ステップ100での判定がNOであれば、着霜していない状態、または仮に着霜したとしてもとけ得る状態であると判断し、敢えて除霜運転を実施する必要がないと判断する。そして、ステップ170に進み、室外器用送風機27による送風量が大風量になるようにモータ27aの駆動を高速に制御する。この処理によって、室外熱交換器15に付着している水滴を吹き飛ばして取り除くこと(水切り)ができる。
【0058】
一方、ステップ100での判定がYESであれば、次に前述のステップ30と同様の判定を行う(ステップ110)。ステップ110での判定でNOであれば、ステップ100での判定がYESであっても着霜の可能性は低いと判断してステップ170に進み、前述の処理を実行し、本フローを終了する。
【0059】
一方、ステップ110での判定がYESであれば、着霜の可能性が高いと判断してステップ120に進み、前述の第2除霜運転を開始する。そして、ステップ130で電磁弁14を開状態、電磁弁17を閉状態に制御するとともに、電動弁13に供給するパルス波をゼロ値に制御し、電動弁16を要求される能力を満たす減圧量に制御する。この処理により、ヒートポンプサイクル10が前述の冷房運転サイクルで作動するように制御される。さらに、ステップ140で、エアミックスドア37の開度を閉じるように制御し、室外器用送風機27を停止するようにモータ27aの駆動を制御し、内気循環モードまたは前述の中間モードとなるように内外気設定ドア32の作動位置を制御し、第1除霜運転時よりも高速運転して送風量を増大するように空調用送風機35のモータ35aを制御する。これらの処理によって前述の第2除霜運転が行われ、乗員不在の駐車時等に車両に蓄えられた余熱を蒸発器18で吸熱するとともに、室外熱交換器15に熱を与え、霜をとかすことができる。したがって、廃熱エネルギーを有効に活用することができ、また、車室内の熱気を低減することもできる。
【0060】
この第2除霜運転は、室外熱交換器15出口部の冷媒温度THOが予め定めた温度β(βは、例えば0〜5℃の範囲に含まれる温度に設定される)よりも高温になるまで、継続される(ステップ150)。ステップ150で、当該冷媒温度THOが所定値βよりも高くなったと判定されると、第2除霜運転を終了する処理を実行(ステップ160)し、前述のステップ170を実行した後、本フローを終了する。
【0061】
本実施形態に係る車両用空調装置の効果について以下に述べる。本実施形態の車両用空調装置の制御装置50は、乗車中と判定した場合に除霜運転を行うときはヒートポンプサイクル10を暖房運転サイクルに動作させ、室外器用送風機27を停止し、空気を室内熱交換器12に通過させて放熱するようにエアミックスドア37の作動を制御する第1除霜運転を実施する。また、乗員不在と判定した場合に除霜運転を行うときはヒートポンプサイクル10を冷房運転サイクルに動作させ、室外器用送風機27を停止し、内気を取り込むように内外気設定ドア32の作動を制御し、室内熱交換器12に通過させる空気量が第1除霜運転時よりも減少するようにエアミックスドア37の作動を制御する第2除霜運転を実施する。
【0062】
この制御によれば、乗員乗車中での除霜運転では、蒸発器18で周囲空気から吸熱を行わず、暖房運転サイクルによる暖房風の提供を行う。これにより、乗員に対して所望の暖房を提供するとともに、除霜効果も得ることができる。また、乗員不在時の除霜運転では、蒸発器18で周囲空気から積極的に吸熱を行うことにより、車両の余熱を十分に吸熱することができ、廃熱を有効活用する除霜運転を実現できる。したがって、乗員乗車中は暖房性能を損なわない除霜運転が実施でき、さらに乗員不在時は車両の余熱を活用するため省電力性に優れる。すなわち、空調面と省エネルギー面の両方を充足する除霜運転を提供できる。
【0063】
また、制御装置50は、ステップ140に示すように、第2除霜運転時は送風量が第1除霜運転時よりも多くなるように空調用送風機35の作動を制御する。この制御によれば、第2除霜運転時には車室内の空気、すなわち内気をより大量に空調ケース31内に取り込むことができる。これにより、蒸発器18での吸熱量を大きくできるため、より多くの廃熱を冷媒に回収することができる。
【0064】
また、制御装置50は、ステップ140に示すように、第2除霜運転時に空調ケース31内に取り入れる空気をすべて車室内の空気とするように、内外気設定ドア32の作動を制御する。すなわち、内外気設定ドア32は内気循環モードに設定される。
【0065】
この処理によれば、第2除霜運転時には空調ケース31内に取り入れる空気はすべて内気となる。これにより、車室内の余熱を含んだ内気をより大量に空調ケース31内に取り入れることができ、蒸発器18での吸熱量を可能な限り大きくできる。したがって、より多くの廃熱を冷媒に回収することができ、車両全体の省電力化がさらに促進する。
【0066】
また、本車両用空調装置は、外気温度を検出する外気温度センサ21によって外気温度を検出し、乗員が乗車していないと判定した場合に検出された外気温度が予め定める所定温度σよりも低いときは除霜運転を実施する判定をし、外気温度が所定温度σ以上であるときは除霜運転を実施しない判定をする。
【0067】
これによれば、外気温度によって、着霜の可能性が低い状況や、着霜していても後でとける可能性が高いことを認識するので、当該除霜運転をその必要性に応じてすることにより、さらなる省電力化を提供でき、車載バッテリの消耗を抑制できる。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態で説明した乗員不在時における除霜運転の変形例について、図9にしたがって説明する。図9は乗員不在時における除霜運転の他の形態を示したフローチャートである。
【0069】
本実施形態の制御は、乗員不在時に除霜運転を実施している場合に、車室内の余熱が少ないと判断したときは、前述の暖房運転サイクルにするとともに、室内熱交換器12で放熱を行わないような制御を実行することを特徴とする。以下に、本実施形態の制御に係るフローを説明する。
【0070】
IGスイッチがオフされた状態、着座センサによって乗員の着座が確認できなかったとき等、つまり、車室内に乗員が不在である場合には、図9に示す制御フローが実行される。まず、制御装置50は、前述のステップ100と同様に、外気温度センサ21によって検出された外気温度TAMが予め定めた温度σ(σは、例えば0℃)よりも小さいか否かを判定する(ステップ200)。ステップ200での判定がNOであれば、着霜していない状態、または仮に着霜したとしてもとけ得る状態であると判断し、敢えて除霜運転を実施する必要がないと判断し、前述のステップ170と同様のステップ280に進み、室外器用送風機27による送風量が大風量になるようにモータ27aの駆動を高速に制御する。この処理によって、室外熱交換器15に付着している水滴を吹き飛ばして取り除くことができる。
【0071】
一方、ステップ200での判定がYESであれば、次に前述のステップ110と同様の判定を行う(ステップ210)。ステップ210での判定でNOであれば、ステップ200での判定がYESであっても着霜の可能性は低いと判断してステップ280に進み、前述の処理を実行し、本フローを終了する。
【0072】
一方、ステップ210での判定がYESであれば、着霜の可能性が高いと判断してステップ220に進み、前述の第2除霜運転を開始する。次に、ステップ230に移行して内気温度センサ43によって検出された内気温度TRと外気温度センサ21によって検出された外気温度TAMとを比較し、内気温度TRの方か大きいか否かを判定する。この判定は、現在、車室内の余熱があるか否かを判断するステップである。ステップ230での判定がYESであれば、まだ車室内に余熱が残っている状態であると判断し、この余熱を蒸発器18で吸熱することによって、除霜運転のエネルギーとして余熱を有効活用する前述の第2除霜運転を継続する(ステップ240,250)。
【0073】
ステップ230での判定がNOであれば、車室内の余熱がない状態であると判断し、次に第3除霜運転を実行する。この第3除霜運転は、ステップ240a,250aの処理によって行われる。すなわち、制御装置50は、前述のステップ50と同様に、電磁弁14を閉状態、電磁弁17を開状態に制御するとともに、電動弁16に供給するパルス波をゼロ値に制御し、電動弁13を要求される能力を満たす減圧量に制御する(ステップ240a)。さらに、ステップ250aで、温風通路39を閉状態または開状態にするようにエアミックスドア37の開度を制御し、室外器用送風機27を停止するようにモータ27aの駆動を制御し、外気導入モードとなるように内外気設定ドア32の作動位置を制御し、空調用送風機35を停止するようにモータ35aを制御する。
【0074】
これらの処理によって前述の第1除霜運転と同様の暖房運転サイクルが実行されるとともに、前述の第3除霜運転と同様に室内熱交換器12での放熱が行われないことになる。つまり、乗員不在であるため、暖房風は提供せず、室内熱交換器12の放熱を抑制して室外熱交換器15に高温の冷媒を流入させることができる。したがって、乗員不在時でも、車室内の余熱(熱気)がない場合は、冷媒の熱を除霜のために極力使用するようにして除霜を促進することができる。
【0075】
そして、第2の除霜運転および第3除霜運転は、室外熱交換器15出口部の冷媒温度THOが予め定めた温度β(βは、例えば0〜5℃の範囲に含まれる温度に設定される)よりも高温になるまで、継続される(ステップ260)。ステップ260で、当該冷媒温度THOが所定値βよりも高くなったと判定されると、除霜運転を終了する処理を実行(ステップ270)し、前述のステップ170と同様のステップ280を実行した後、本フローを終了する。
【0076】
本実施形態に係る車両用空調装置の効果について以下に述べる。本実施形態の車両用空調装置の制御装置50は、乗員が乗車していないと判定した場合に内気温度が外気温度よりも低いときは、ヒートポンプサイクル10を暖房運転サイクルに動作させ、空調用送風機35を停止する第3除霜運転を実施する。
【0077】
この制御によれば、内気温度が外気温度よりも低温である場合には車室内の空気があまり高くなく熱気がたまっていない状態であると判断して、車内の余熱を活用した第2除霜運転を行わないで、第3の除霜運転が行われる。したがって、空調用送風機35の無用な運転を省略することができる。さらに、室外熱交換器15に与える冷媒の熱量を第2除霜運転時よりも大きくできる。これらの効果により、さらなる省電力化と除霜の促進とを併せ持った除霜運転が得られる。
【0078】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態において電動弁13および電動弁16は、減圧量を調整自在とする電子制御弁としているが、膨張弁に流入する前の冷媒圧力によって膨張弁を流出した後の冷媒圧力が定まる機構を有する減圧装置で構成してもよい。例えば、各膨張弁は、固定絞り等の固定式膨張弁(例えばキャピラリチューブ)、前後で一定の差圧が生じる差圧式膨張弁等で構成してもよい。第2の減圧装置として固定式膨張弁を採用した場合には、室外熱交換器15の出口に固定絞りが接続され、室外熱交換器15の出口冷媒を固定絞りで直接減圧、膨張させるアキュムレータサイクルが構成されることになる。そして、この減圧後の低圧冷媒を蒸発器18で吸熱して蒸発させ、この蒸発器18を通過した冷媒をアキュムレータ19に流入させ、このアキュムレータ19で蒸発器18の出口冷媒の気液を分離し、アキュムレータ19内のガス冷媒を電動圧縮機11に吸入させることができる。
【0080】
また、電動圧縮機11は、インバータ51により制御されるようにしているが、この構成に限定するものではない。例えば、電動圧縮機11は、蓄電池の電力を使用して駆動する形式であればよく、例えば、吐出容量を変化させる容量制御機構である容量制御弁を備え、容量制御弁に送られる駆動信号によって容量を可変する圧縮機でもよい。この場合には、容量制御弁は電磁駆動式の弁であり、例えば、デューディ制御により冷媒の供給通路を繰り返して開閉することができる開閉弁である。容量制御弁は、制御装置50により容量制御信号としてON−OFFの二値からなるデューティ信号形式の電流が供給されることにより、その開弁時間が制御されるようになっている。そして、制御装置50からの容量制御信号により、容量制御弁が作動し、圧縮機のケース内の制御圧力Pcが変化する。この制御圧力Pcが変化すると、ピストン等のストロークが変化して圧縮機の容量が変化することになる。
【0081】
デューティ信号は、短時間毎にON、OFFを繰り返すパルス状波形の電流信号である。信号のON、OFFは、容量制御弁の開弁、閉弁に対応する。圧縮機の容量は、容量制御弁の開弁させたときは減少し、閉弁させたときは増加する。つまり容量を小さくする必要があるときは開弁時間を長くする信号を送り制御圧力Pcを上昇させ、容量を大きくする必要があるときは開弁時間を短くする信号を送りPcを低下させる。このようにパルス信号のデューティ比を変化させることにより、圧縮機の容量を無段階に変化させて自由に制御することができる。
【0082】
また、上記実施形態において、図8のステップ170および図9のステップ270は、必ずしも実行しなくてもよい。つまり、室外熱交換器15に付着した水滴等は、敢えて送風機で吹き飛ばすことなく、自然の蒸発作用によって気化させてもよい。
【0083】
また、上記実施形態の空調ケース31には、他方側にフェイス吹出し開口40、フット吹出し開口41およびデフ吹出し開口42が形成されているが、この他、リアフット吹出し開口等が形成されてもよい。リアフット吹出し開口は車室内の後席乗員の足元に吹き出される空調空気が通過する。空調ケース31に形成されたこれらの各開口は、それぞれ吹出しダクトを介して車室内空間に接続されており、また吹き出しモードに対応して吹出し開口切換ドア(図示せず)によって開閉されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用空調装置の構成を示した概略図である。
【図2】同車両用空調装置における制御構成を示したブロック図である。
【図3】第1除霜運転におけるヒートポンプサイクル10の暖房運転サイクルおよび空調ユニット30の各部の作動状態を説明する概念図である。
【図4】第1除霜運転におけるヒートポンプサイクル10のモリエル線図上の挙動を表した概略図である。
【図5】第2除霜運転におけるヒートポンプサイクル10の冷房運転サイクルおよび空調ユニット30の各部の作動状態を説明する概念図である。
【図6】第2除霜運転におけるヒートポンプサイクル10のモリエル線図上の挙動を表した概略図である。
【図7】乗員乗車時における車両用空調装置の制御処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】乗員不在時における車両用空調装置の制御処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る乗員不在時の制御処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
10…ヒートポンプサイクル
11…電動圧縮機
12…室内熱交換器(加熱用熱交換器)
13…電動弁(第1の減圧装置)
15…室外熱交換器
16…電動弁(第2の減圧装置)
18…蒸発器(冷却用熱交換器)
21…外気温度センサ(外気温度検出手段)
27…室外器用送風機
31…空調ケース
32…内外気設定ドア(取入れ空気設定手段)
33…内気吸込口(空気取入口)
35…空調用送風機
34…外気吸込口(空気取入口)
37…エアミックスドア(風量調整手段)
38…冷風通路(通風路)
39…温風通路(通風路)
40…フェイス吹出し開口(吹出し開口)
41…フット吹出し開口(吹出し開口)
42…デフ吹出し開口(吹出し開口)
43…内気温度センサ(内気温度検出手段)
50…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池からの給電によって駆動し、冷媒を吸入し吐出する圧縮機(11)、前記圧縮機から吐出された冷媒が流入し暖房運転サイクル時に放熱して車室内へ送風される空気を加熱する加熱用熱交換器(12)、前記暖房運転サイクル時に前記加熱用熱交換器で冷却された冷媒を減圧する第1の減圧装置(13)、前記暖房運転サイクル時に前記第1の減圧装置で減圧された冷媒が流入して吸熱し冷房運転サイクル時に冷媒が放熱する室外熱交換器(15)、前記暖房運転サイクル時に冷媒が流れないように構成され前記冷房サイクル運転時に内部を流れる冷媒の吸熱作用によって車室内へ送風される空気を冷却する冷却用熱交換器(18)、および前記冷房運転サイクル時に前記冷却用熱交換器に流入させる冷媒を減圧する第2の減圧装置(16)を有するヒートポンプサイクル(10)と、
前記室外熱交換器に対して空気を送風する室外器用送風機(27)と、
一方側に空気取入口(33,34)が形成され、他方側に前記車室内に向かう空気が通過する吹出し開口(40,41,42)が形成され、前記空気取入口と前記吹出し開口との間に前記送風空気が通過する通風路(38,39)を有する空調ケース(31)と、
外気および内気の少なくとも一方を前記空気取入口から前記空調ケース内に取り入れる取入れ空気設定手段(32)と、
前記空気取入口から取り入れた空気のうち、前記通風路に設けられた前記加熱用熱交換器を通過させる空気の風量を調整する風量調整手段(37)と、
前記車室内に乗員がいるか否かを判定し、前記室外熱交換器に付着した霜をとかすための除霜運転を実施するか否かを判定するとともに、前記ヒートポンプサイクルを構成する前記各部の作動、前記室外器用送風機の作動、前記取入れ空気設定手段の作動および前記風量調整手段の作動を制御して前記除霜運転を実施する制御装置(50)と、
を備え、
前記制御装置は、
前記乗員が乗車中であると判定した場合に前記除霜運転を行うときは前記ヒートポンプサイクルを前記暖房運転サイクルに動作させ、前記室外器用送風機を停止し、空気を前記加熱用熱交換器に通過させて放熱するように前記風量調整手段の作動を制御する第1除霜運転を実施し、
前記乗員が乗車していないと判定した場合に前記除霜運転を行うときは前記ヒートポンプサイクルを前記冷房運転サイクルに動作させ、前記室外器用送風機を停止し、前記車室内の空気を前記空気取入口から取り込むように前記取入れ空気設定手段の作動を制御し、前記加熱用熱交換器に通過させる空気量が前記第1除霜運転時よりも減少するように前記風量調整手段の作動を制御する第2除霜運転を実施することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記制御装置によって制御され、前記空調ケースの前記通風路に対して空気を送風する空調用送風機(35)を備え、
前記制御装置は、前記第2除霜運転時は送風量が前記第1除霜運転時よりも多くなるように前記空調用送風機の作動を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2除霜運転時に、前記空気取入口から前記空調ケース内に取り入れる空気をすべて前記車室内の空気とするように前記取入れ空気設定手段の作動を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
外気温度を検出する外気温度検出手段(21)を備え、
前記制御装置は、前記乗員が乗車していないと判定した場合に前記外気温度検出手段によって検出された外気温度が予め定める所定温度よりも低いときは前記除霜運転を実施する判定をし、前記外気温度が前記所定温度以上であるときは前記除霜運転を実施しない判定をすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
外気温度を検出する外気温度検出手段(21)と、前記車室内の空気温度を検出する内気温度検出手段(43)と、を備え、
前記制御装置は、前記乗員が乗車していないと判定した場合に前記検出された内気温度が前記検出された外気温度よりも低いときは、前記ヒートポンプサイクルを前記暖房運転サイクルに動作させ、前記空調用送風機を停止する第3除霜運転を実施することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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