説明

車両用空調装置

【課題】冷媒回路を構成する複数の部品を一体構成とすることにより、占有スペースを小さくすると共に部品点数及び組み付け工数の低減を図ることのできる車両空調装置を提供する。
【解決手段】冷媒回路1に、凝縮器3の下流側の高圧冷媒が流通する高圧冷媒貯蔵部22と、蒸発器5の下流側の低圧冷媒が流通する低圧冷媒貯蔵部23と、蓄熱材が収容された蓄熱材収容部24とを有し、高圧冷媒貯蔵部22の高圧冷媒と低圧冷媒貯蔵部23の低圧冷媒とを熱交換するとともに、圧縮機2の駆動時に低圧冷媒貯蔵部23の低圧冷媒によって蓄冷材収容部24の蓄冷材を冷却し、圧縮機2の停止時に蓄冷材収容部24の蓄冷材によって低圧冷媒貯蔵部23の低圧冷媒を冷却する蓄冷内部熱交換器10を設けたので、蓄冷内部熱交換器10の一部品によって内部熱交換器の機能及び蓄冷熱交換器の機能を果たすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を有する冷媒回路を備えた車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用空調装置としては、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を有する冷媒回路を備え、車両のエンジンを駆動源として圧縮機を駆動することにより車室内を冷房するようになっている。
【0003】
前記車両用空調装置では、凝縮器の下流側の高圧冷媒と蒸発器の下流側の低圧冷媒とを熱交換するための内部熱交換器を冷媒回路に設け、冷房能力の向上を図るようにしたものが知られている。
【0004】
ところで、信号待ち等による停車を検知してエンジンを停止するアイドリングストップ機構を備えた車両に対して前記空調装置を適用する場合には、エンジンの停止と同時に圧縮機の駆動も停止して冷媒回路に冷媒が流通しなくなるため、冷房を継続することができない。そこで、圧縮機の停止中に冷房を継続するため、冷媒回路の蒸発器の下流側の冷媒流路に、内部に蓄冷材を有し、圧縮機の運転時に低圧冷媒によって蓄冷材を冷却し、圧縮機の停止時に蓄冷材によって低圧冷媒を冷却する蓄冷熱交換器を設け、圧縮機の停止時に蓄冷材によって冷媒を液化し、圧縮機が停止してから冷媒回路の高圧側と低圧側との圧力が均一になるまでの時間を遅らせることにより、所定時間の冷房の継続が可能となるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−1485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記車両空調装置では、内部熱交換器や蓄冷熱交換器等、冷媒回路を構成する部品を多数有しており、部品点数が多く、組み付け工数が多くなるため、占有スペースが大きく製造コストが高くなる。
【0007】
本発明の目的とするところは、冷媒回路を構成する複数の部品を一体構成とすることにより、占有スペースを小さくすると共に部品点数及び組み付け工数の低減を図ることのできる車両空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を有する冷媒回路を備えた車両用空調装置において、前記冷媒回路に、凝縮器の下流側の高圧冷媒が流通する高圧冷媒流路と、蒸発器の下流側の低圧冷媒が流通する低圧冷媒流路と、蓄冷材が収容された蓄冷材収容部とを有し、高圧冷媒流路の高圧冷媒と低圧冷媒流路の低圧冷媒とを熱交換するとともに、圧縮機の駆動時に低圧冷媒流路の低圧冷媒によって蓄冷材収容部の蓄冷材を冷却し、圧縮機の停止時に蓄冷材収容部の蓄冷材によって低圧冷媒流路の低圧冷媒を冷却する蓄冷内部熱交換器を設けている。
【0009】
これにより、蓄冷内部熱交換器によって凝縮器の下流側の高圧冷媒と蒸発器の下流側の低圧冷媒とが熱交換されるとともに、圧縮機の駆動時に低圧冷媒によって蓄冷材が冷却され、圧縮機の停止時に蓄冷材によって低圧冷媒が冷却されることから、蓄冷内部熱交換器の一部品によって内部熱交換器としての機能及び蓄冷熱交換器としての機能が果たされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓄冷内部熱交換器の一部品によって内部熱交換器としての機能及び蓄冷熱交換機としての機能を果たすことができるので、冷媒回路の占有スペースを小さくすると共に部品点数及び組み付け工数の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空調装置の冷媒回路図
【図2】蓄冷内部熱交換器の全体斜視図
【図3】蓄冷内部熱交換器の側面断面図
【図4】図3のA−A′断面図
【図5】本発明の他の実施形態を示す蓄冷内部熱交換器の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図4は本発明の一実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の車両用空調装置は、信号待ち等で停車したことを検知してエンジンを停止するアイドリングストップ機構を備えた車両に適用されるものであり、図1に示す冷媒回路1を備えている。
【0014】
冷媒回路1は、圧縮機2、凝縮器3、減圧器としての膨張弁4及び蒸発器5を有する周知の冷凍サイクルに、凝縮器3の下流側の高圧冷媒と蒸発器5の下流側の低圧冷媒とを熱交換するとともに、蒸発器5の下流側の低圧冷媒と蓄冷材とを熱交換するための蓄冷内部熱交換器10が接続されたものである。ここで用いられる圧縮機2は、車両のエンジンを駆動源として駆動するようになっており、アイドリングストップ機構によってエンジンが停止した場合に、同時に駆動が停止するものである。また、この車両用空調装置は、蒸発器5が車室内の空調ユニットの内部に設けられ、蒸発器5において冷媒と熱交換した空気が送風機5aによって車室内に供給されるようになっている。また、圧縮機2、凝縮器3、膨張弁4及び蓄冷内部熱交換器10は、車室外のエンジンルームの内部に設けられている。
【0015】
蓄冷内部熱交換器10は、上下方向に延びる円筒形状の熱交換器本体20と、熱交換器本体20の上面を覆う上面カバー30と、熱交換器本体20の下面を覆う下面カバー40とからなる。
【0016】
熱交換器本体20内は、周方向に亘って仕切壁21によって径方向の内側と外側に仕切ることにより、凝縮器3から流出した高圧冷媒を流通させると共に所定量の高圧冷媒を貯蔵可能な高圧冷媒流路としての高圧冷媒貯蔵部22が外側に設けられ、蒸発器5から流出した低圧冷媒を流通させると共に所定量の低圧冷媒を貯蔵可能な低圧冷媒流路としての低圧冷媒貯蔵部23が内側に設けられている。高圧冷媒貯蔵部22の下面には、一端側に凝縮器3の冷媒流出側が接続される冷媒流入口22aが設けられ、他端側に膨張弁4に接続される冷媒流出口22bが設けられている。低圧冷媒貯蔵部23の下面には、蒸発器5の冷媒流出側が接続される一対の冷媒流入口23aが設けられ、低圧冷媒貯蔵部23の上面を覆う上面カバーの中心部に圧縮機2冷媒吸入側に接続される冷媒流出口23bが設けられている。
【0017】
また、低圧冷媒貯蔵部23内には、圧縮機2の駆動時に低圧冷媒貯蔵部23を流通する冷媒によって冷却され、圧縮機2の駆動停止時に低圧冷媒貯蔵部23を流通する冷媒を冷却するための蓄冷材が収容された蓄冷材収容部24が設けられている。蓄冷材収容部24は、低圧冷媒貯蔵部23の径方向中央部を上下に延びる円柱状の空間である第1収容部24aと、第1収容部24aの外周面及び仕切壁21の内面と間隔をおいて上下方向に延びる円環状の空間である第2収容部24bとからなる。第1収容部24aと第2収容部24bは、それぞれの側面を上下方向に亘って延びる一対の連通路24cによって互いに連結され、第2収容部24bの上面に設けられた一対の蓄冷材注入口24dから第1収納部24a及び第2収納部24bに蓄冷材が注入されるようになっている。また、第1収容部24a及び第2収容部24bは、それぞれの上端と上面カバー30の下面との間に隙間を有し、低圧冷媒貯蔵部23内に流入する冷媒は、上面カバー30の下面と第1収容部24a及び第2収容部24bとの隙間を介して、低圧冷媒貯蔵部23全体に流通するようになっている。また、低圧冷媒貯蔵部23の各冷媒流入口23aは、第1収容部24aの外周部と第2収容部24bの内周部との間に位置するように設けられている。また、蓄冷材収容部24に収容される蓄冷材としては、例えばエンジン冷却用のクーラントや水が用いられる。
【0018】
下面カバー40には、高圧冷媒貯蔵部22の冷媒流入口22aを除いて高圧冷媒貯蔵部22の冷媒流出口22b及び低圧冷媒貯蔵部23の各冷媒流入口23bが含まれるように、蒸発器5から流出して低圧冷媒貯蔵部23に流入する低圧冷媒の冷媒流路41が形成されている。冷媒流路41に位置する高圧冷媒貯蔵部22の冷媒流出口22bには、膨張弁4として温度膨張弁が接続され、冷媒流路41中に感温部としてのダイヤフラム4aが位置するようになっている。
【0019】
以上のように構成された車両用空調装置において、車両の走行時には、圧縮機2が駆動され、圧縮機2から吐出された冷媒は、凝縮器3において放熱して液化し、蓄冷内部熱交換器10の高圧冷媒貯蔵部22を流通する。また、高圧冷媒貯蔵部22から流出した冷媒は、膨張弁4において減圧されて蒸発器5において吸熱して蒸発し、蓄冷内部熱交換器10の低圧冷媒貯蔵部23を流通した後、圧縮機2に吸入される。
【0020】
前記車両の走行時において、蓄冷内部熱交換器10の蓄冷材収容部24に収容された蓄冷材は、低圧冷媒貯蔵部23を流通する低圧冷媒によって冷却される。蓄冷内部熱交換器10の高圧冷媒貯蔵部22を流通する冷媒は、仕切壁21を介して低圧冷媒貯蔵部23を流通する冷媒と熱交換することにより冷却されるため、過冷却の状態となる。また、蓄冷内部熱交換器10の高圧冷媒貯蔵部22には、凝縮器3において液化した冷媒が一時的に貯えられるため、冷房負荷に応じて冷媒が蒸発器5に供給される。
【0021】
また、信号待ち等の停車を検知してエンジンが停止し、圧縮機2の駆動が停止すると、冷媒回路1内の圧力が均一となるまで高圧側から低圧側に冷媒が流入するが、蓄冷内部熱交換器10の低圧冷媒貯蔵部23の冷媒は、蓄冷材収容部24の蓄冷材によって冷却されて液化するため、冷媒回路1の低圧側の圧力の上昇が遅くなり、冷媒回路1内の圧力が均一となるまでの時間が長くなる。これにより、圧縮機2の駆動が停止した場合にも、冷媒回路1内を冷媒が流通している間、車室内の冷房の継続が可能となる。
【0022】
また、圧縮機2の駆動が停止している状態で、蓄冷内部熱交換器10の低圧冷媒貯蔵部23を流通する冷媒は、蓄冷材収容部24の蓄冷材によって冷却されて液化し、蓄冷材収容部24の第1収容部24aと第2収容部24bの間に位置する低圧冷媒貯蔵部23に溜まる。低圧冷媒貯蔵部23の第1収容部24aと第2収容部24bの間から液冷媒が溢れると、溢れた液冷媒は、低圧側貯蔵部23の第2収容部24bと高圧冷媒貯蔵部22との間に流れ、仕切壁21を介して高圧冷媒貯蔵部22の冷媒によって加熱されて気化するため、低圧冷媒貯蔵部23の冷媒流出口23bから液冷媒が流出することはない。
【0023】
このように、本実施形態の車両用空調装置によれば、冷媒回路1に、凝縮器3の下流側の高圧冷媒が流通する高圧冷媒貯蔵部22と、蒸発器5の下流側の低圧冷媒が流通する低圧冷媒貯蔵部23と、蓄熱材が収容された蓄熱材収容部24とを有し、高圧冷媒貯蔵部22の高圧冷媒と低圧冷媒貯蔵部23の低圧冷媒とを熱交換するとともに、圧縮機2の駆動時に低圧冷媒貯蔵部23の低圧冷媒によって蓄冷材収容部24の蓄冷材を冷却し、圧縮機2の停止時に蓄冷材収容部24の蓄冷材によって低圧冷媒貯蔵部23の低圧冷媒を冷却する蓄冷内部熱交換器10を設けたので、蓄冷内部熱交換器10の一部品によって内部熱交換器の機能及び蓄冷熱交換器の機能を果たすことができ、冷媒回路1の占有スペースを小さくすると共に部品点数及び組み付け工数の低減を図ることが可能となる。
【0024】
また、蓄冷内部熱交換器10に、蒸発器5の下流側の低圧冷媒が流通すると共に所定量の低圧冷媒を貯蔵可能な低圧冷媒貯蔵部23を設け、低圧冷媒貯蔵部23の冷媒流出口23bを、低圧冷媒貯蔵部23の上部に設けたので、蓄冷材によって冷却されて液化した低圧冷媒の低圧冷媒貯蔵部23外への流出を防止することができ、冷媒回路1に別途アキュムレータを設けることなく圧縮機2の液圧縮を防止することが可能となる。
【0025】
また、蓄冷内部熱交換器10に、凝縮器3の下流側の高圧冷媒が流通すると共に所定量の高圧冷媒を貯蔵可能な高圧冷媒貯蔵部22を設けたので、凝縮器3において液化した冷媒を高圧冷媒貯蔵部22に一時的に貯えることができ、冷媒回路1に別途受液器を設けることなく冷房負荷が変化する場合に確実に冷媒を蒸発器5に供給することが可能となる。
【0026】
図5は本発明の他の実施形態を示すものであり、蓄冷内部熱交換器50の側面断面図である。
【0027】
この蓄冷内部熱交換器50は、下部側に位置する熱交換器本体51と、熱交換器本体51の上面に設けられ、上端が閉鎖された上下方向に延びる円筒形状の第1円筒部材52と、第1円筒部材52内に設けられ、上端が閉鎖された上下方向に延びる円筒形状の第2円筒部材53と、第2円筒部材53内に設けられ、上端が閉鎖された上下方向に延びる円筒形状の第3円筒部材54とからなり、径方向内側から順に、高圧冷媒貯蔵部55、低圧冷媒貯蔵部56及び蓄冷材収容部57が形成されている。
【0028】
熱交換器本体51の下部には、凝縮器3から流出した高圧冷媒が流通する高圧冷媒流通路51aが水平方向に延びるように設けられ、その両端にそれぞれ冷媒流入口51b及び冷媒流出口51cが設けられている。また、高圧冷媒流通路51aには、高圧冷媒貯蔵部55の下部が連通路51dを介して連結している。熱交換器本体51の冷媒流出口51cの上方には、蒸発器5から流出した低圧冷媒が流入する冷媒流入口51eが設けられ、蒸発器5から流出した冷媒が連通路51fを介して低圧冷媒貯蔵部56に流入するようになっている。また、高圧冷媒流路51aの冷媒流出口51cと連通路51fの冷媒流入口51eには、膨張弁4としてボックス型の温度膨張弁が接続され、冷媒流入口51eから低圧冷媒貯蔵部56に流入する低圧冷媒の温度を感知して弁開度が調整され、蒸発器5に流入する冷媒の流量が調整されるようになっている。
【0029】
第1円筒部材52の上面の中心部には、蓄冷材収容部57を貫通して低圧冷媒貯蔵部56の冷媒を流出させるための冷媒流出口52aが設けられている。
【0030】
高圧冷媒貯蔵部55の上部側には、高圧冷媒貯蔵部55内を上下方向に移動可能なピストン55aが設けられ、ピストン55aはコイルスプリングからなる付勢部材55bによって下方に付勢されている。
【0031】
以上のように構成された車両用空調装置において、車両の走行時には、圧縮機2が駆動され、圧縮機2から吐出された冷媒は、凝縮器3において放熱して液化し、蓄冷内部熱交換器50の高圧冷媒貯蔵部55に流入する。また、高圧冷媒貯蔵部55から流出した冷媒は、膨張弁4において減圧されて蒸発器5において吸熱して蒸発し、蓄冷内部熱交換器50の低圧冷媒貯蔵部56を流通した後、圧縮機2に吸入される。
【0032】
前記車両の走行時において、蓄冷内部熱交換器50の蓄冷材収容部57に収容された蓄冷材は、低圧冷媒貯蔵部56を流通する低圧冷媒によって冷却される。蓄冷内部熱交換器50の高圧冷媒貯蔵部55の高圧冷媒は、低圧冷媒貯蔵部56を流通する冷媒と熱交換することにより冷却されるため、過冷却の状態となり、冷却能力が向上する。また、蓄冷内部熱交換器50の高圧冷媒貯蔵部55には、凝縮器3において液化した冷媒が一時的に貯えられるため、冷房負荷に応じた冷媒が蒸発器5に供給される。
【0033】
また、信号待ち等の停車を検知してエンジンが停止し、圧縮機2の駆動が停止すると、冷媒回路1内の圧力が均一となるまで高圧側から低圧側に冷媒が流入するが、蓄冷内部熱交換器50の低圧冷媒貯蔵部56の冷媒は、蓄冷材収容部57の蓄冷材によって冷却されて液化するため、冷媒回路1の低圧側の圧力の上昇が遅くなり、冷媒回路1内の圧力が均一となるまでの時間が長くなる。これにより、圧縮機2の駆動が停止した場合にも、冷媒回路1内を冷媒が流通している間、車室内の空調を継続することが可能となる。
【0034】
また、圧縮機2の駆動が停止している状態で、蓄冷内部熱交換器50の低圧冷媒貯蔵部56を流通する冷媒は、蓄冷材収容部57の蓄冷材によって冷却されて液化し、低圧冷媒貯蔵部56に溜まる。低圧冷媒貯蔵部56の液冷媒は、高圧冷媒貯蔵部55の冷媒によって加熱されて気化した後に第1円筒部材52の上面に設けられた冷媒流出口52aから流出するため、冷媒流出口52aから液冷媒が流出することはない。
【0035】
また、蓄冷内部熱交換器50の高圧冷媒貯蔵部55では、高圧冷媒がピストン55aによって高圧冷媒貯蔵部55外に圧送されるため、圧縮機2の駆動が停止している状態でも確実に蒸発器5に冷媒が供給される。
【0036】
このように、本実施形態の車両用空調装置によれば、冷媒回路1に、凝縮器3の下流側の高圧冷媒が流通する高圧冷媒貯蔵部55と、蒸発器5の下流側の低圧冷媒が流通する低圧冷媒貯蔵部56と、蓄冷材が収容された蓄冷材収容部57とを有し、高圧冷媒貯蔵部55の高圧冷媒と低圧冷媒貯蔵部56の低圧冷媒とを熱交換するとともに、圧縮機2の駆動時に低圧冷媒貯蔵部56の低圧冷媒によって蓄冷材収容部57の蓄冷材を冷却し、圧縮機2の停止時に蓄冷材収容部57の蓄冷材によって低圧冷媒貯蔵部56の低圧冷媒を冷却する蓄冷内部熱交換器50を設けたので、前記実施形態と同様に、蓄冷内部熱交換器50の一部品によって内部熱交換器の機能及び蓄冷熱交換器の機能を果たすことができ、冷媒回路1の占有スペースを小さくすると共に部品点数及び組み付け工数の低減を図ることが可能となる。
【0037】
また、蓄冷内部熱交換器50の高圧冷媒貯蔵部55に、高圧冷媒貯蔵部55内の高圧冷媒を蒸発器5側に圧送するピストン55bを設けたので、高圧冷媒貯蔵部55内の高圧冷媒が蒸発器5側に向かって圧送されるため、圧縮機2が停止している状態でも確実に蒸発器5に冷媒を流通させることが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1…冷媒回路、2…圧縮機、3…凝縮器、4…膨張弁、5…蒸発器、10…蓄冷内部熱交換器、20…熱交換器本体、21…仕切壁、22…高圧冷媒貯蔵部、23…低圧冷媒貯蔵部、23b…冷媒流出口、24…蓄冷材収容部、50…蓄冷内部熱交換器、52a…冷媒流出口、55…高圧冷媒貯蔵部、55a…ピストン、55b…付勢部材、56…低圧冷媒貯蔵部、57…蓄冷材収容部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を有する冷媒回路を備えた車両用空調装置において、
前記冷媒回路に、凝縮器の下流側の高圧冷媒が流通する高圧冷媒流路と、蒸発器の下流側の低圧冷媒が流通する低圧冷媒流路と、蓄冷材が収容された蓄冷材収容部とを有し、高圧冷媒流路の高圧冷媒と低圧冷媒流路の低圧冷媒とを熱交換するとともに、圧縮機の駆動時に低圧冷媒流路の低圧冷媒によって蓄冷材収容部の蓄冷材を冷却し、圧縮機の停止時に蓄冷材収容部の蓄冷材によって低圧冷媒流路の低圧冷媒を冷却する蓄冷内部熱交換器を設けた
ことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記蓄冷内部熱交換器の低圧冷媒流路として、蒸発器の下流側の低圧冷媒が流通すると共に所定量の低圧冷媒を貯蔵可能な低圧冷媒貯蔵部を設け、
低圧冷媒貯蔵部の低圧冷媒の流出口を、低圧冷媒貯蔵部の上部に設けた
ことを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記蓄冷内部熱交換器の高圧冷媒流路として、凝縮器の下流側の高圧冷媒が流通すると共に所定量の高圧冷媒を貯蔵可能な高圧冷媒貯蔵部を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記高圧冷媒貯蔵部に、高圧冷媒貯蔵部内の高圧冷媒を蒸発器側に圧送する圧送機構を設けた
ことを特徴とする請求項3記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−2113(P2011−2113A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143125(P2009−143125)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】