説明

車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置

【課題】蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収し、変形量を低減することができる車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供する。
【解決手段】クラッシュボックス13は、一定断面形状を有しており、第1中空部C1,C2においてリブ22,23が本体部21と接続する部位の曲率半径(Ra1),(Rb1)は、第2中空部C3,C4において22,23が本体部21と接続する部位の曲率半径(Ra2),(Rb2)よりもそれぞれ大きく設定され、且つ、第1中空部C1,C2において両リブ22,23が交差する部位の曲率半径(Rc1)は、第2中空部C3,C4において両リブ22,23が交差する部位の曲率半径(Rc2)よりも大きく設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用衝撃吸収具としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この車両用衝撃吸収具は、略田の字の一定断面形状を有するアルミニウム合金の押出材からなり、例えば車両衝突に伴いその押出しの軸方向に圧縮の衝撃荷重(軸圧縮荷重)を受けた際に、オイラー座屈を抑えて軸圧縮変形、いわゆる蛇腹変形することで衝撃エネルギーを効率よく吸収するものである。そして、図6に示すように、衝撃エネルギーをより効率よく吸収するべく、内側に形成された複数のリブが外周部と接続する部位の曲率半径(Ra)をリブの厚さの1/2以下にし、且つ、これらリブ同士が交差する部位の曲率半径(Rb)を1mm以下にすることが提案されている。
【特許文献1】特許第3520959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1の車両用衝撃吸収具では、リブの各曲率半径(Ra,Rb)がそれぞれ一定であることで、図6に破線にて示すように、蛇腹変形時、基本的に同一断面上では該断面形状が全て同じ方向に凸変形する。この場合、図5に変形量(ストローク)に対する荷重の推移を破線にて示したように、荷重の振幅(変動幅)が大きくなって十分に効率よく衝撃エネルギーを吸収することができず、その分、変形量の増大を余儀なくされてしまう。
【0004】
本発明の目的は、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収し、変形量を低減することができる車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、軸圧縮荷重を蛇腹変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する押出材からなる車両用衝撃吸収具において、四角筒状の本体部と、該本体部に接続され互いに交差する一対の内側のリブとを備え、該両リブにより前記本体部内に一の対角方向に並設される2つの第1中空部及び他の対角方向に並設される2つの第2中空部が区画形成された一定断面形状を有し、
前記リブが前記本体部と接続する部位は湾曲形状に成形されており、前記第1中空部において前記リブが前記本体部と接続する部位の曲率半径を、前記第2中空部において前記リブが前記本体部と接続する部位の曲率半径よりも大きく設定し、且つ、
前記両リブが交差する部位は湾曲形状に成形されており、前記第1中空部において前記両リブが交差する部位の曲率半径を、前記第2中空部において前記両リブが交差する部位の曲率半径よりも大きく設定したことを要旨とする。
【0006】
同構成によれば、前記第1中空部において前記リブが前記本体部と接続する部位の曲率半径は、前記第2中空部において前記リブが前記本体部と接続する部位の曲率半径よりも大きく設定されることで、前記第1中空部の当該部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に隣接する前記第2中空部の当該部位における断面形状の凹変形が促進される。同様に、前記第1中空部において前記両リブが交差する部位の曲率半径は、前記第2中空部において前記両リブが交差する部位の曲率半径よりも大きく設定されることで、前記第1中空部の当該部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に隣接する前記第2中空部の当該部位における断面形状の凹変形が促進される。つまり、この車両用衝撃吸収具では、前記各第1中空部の断面形状全体に凸変形が促進され、前記各第2中空部の断面形状全体に凹変形が促進されることで、断面形状が互い違いの方向に凸変形する。従って、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができ、その分、変形量を低減することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用衝撃吸収具において、前記本体部の角部をなす部位は湾曲形状に成形されており、前記第1中空部において前記本体部の角部をなす部位の曲率半径を、前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位の曲率半径よりも大きく設定したことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、前記第1中空部において前記本体部の角部をなす部位の曲率半径は、前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位の曲率半径よりも大きく設定されることで、前記第1中空部の当該部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に前記第2中空部の当該部位における断面形状の凹変形が促進される。従って、前記各第1中空部の断面形状全体の凸変形及び前記各第2中空部の断面形状全体の凹変形が更に促進されることで、蛇腹変形時の荷重振幅を更に小さくすることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用衝撃吸収具において、前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位に対向して、外向きのフランジを突設したことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位では、前記外向きのフランジによって断面形状の凸変形が阻害されることで、相対的に凹変形が促進される。従って、前記各第2中空部の断面形状全体の凹変形が更に促進されることで、蛇腹変形時の荷重振幅を更に小さくすることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、車両の幅方向に延びるバンパリインホースの両端部において、該バンパリインホースと車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバとの間にそれぞれ介在される一対のクラッシュボックスを備えた車両用バンパ装置において、前記クラッシュボックスとして、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収具を備えたことを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収し、変形量を低減することができるクラッシュボックスを備えた車両用バンパ装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収し、変形量を低減することができる車両用衝撃吸収具及び車両用バンパ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面に従って説明する。
図1は、自動車などの車両のフロント部分に適用される本実施形態に係る車両用バンパ装置を示す平面図である。同図に示されるように、車両幅方向両側には、例えば金属板からなり、断面略四角形の中空構造を有して車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ11が配設されている。これらサイドメンバ11は、ボデーの一部を構成する。なお、各サイドメンバ11の前端には、該サイドメンバ11の開口部を閉塞する態様で、例えば金属板からなる略四角形のブラケット12が溶接にて固着されている。
【0015】
車両用バンパ装置は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり車両前後方向に延びて前記各ブラケット12の前面に取着される車両用衝撃吸収具としてのクラッシュボックス13を備える。一対のクラッシュボックス13は、例えば車両衝突に伴う軸圧縮荷重を蛇腹変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する。そして、前記各クラッシュボックス13の前端には、車両幅方向に延在するバンパリインホース16の各端部が取着されている。
【0016】
図2は、前記クラッシュボックス13を示す横断面図(図1のA−A線に沿った断面図)である。同図に示されるように、本実施形態のクラッシュボックス13は、その外形をなす四角筒状の本体部21と、該本体部21に接続され互いに交差する一対の内側のリブ22,23とを備える。なお、前記リブ22,23が前記本体部21と接続する部位、前記両リブ22,23が交差する部位、前記本体部21の角部をなす部位はそれぞれ湾曲形状に成形されている。
【0017】
クラッシュボックス13は、両リブ22,23により前記本体部21内に一の対角方向(図2の左上から右下に向かう方向)に並設される2つの第1中空部C1,C2及び他の対角方向に並設される2つの第2中空部C3,C4が区画形成されて、略田の字の一定断面形状を有する。第1及び第2中空部C1〜C4の開口面積は互いに略同等に設定されている。
【0018】
本実施形態では、図2の範囲A1に示すように、第1中空部C1,C2においてリブ22が本体部21と接続する部位の曲率半径(Ra1)を、第2中空部C3,C4においてリブ22が本体部21と接続する部位の曲率半径(Ra2)よりも大きく設定している。すなわち、第2中空部C3,C4においてリブ22は、本体部21と略直角に接続して当該部位の曲率半径(Ra2)が実質的にゼロとなっている。また、図2の範囲A2に示すように、第1中空部C1,C2においてリブ23が本体部21と接続する部位の曲率半径(Rb1)を、第2中空部C3,C4においてリブ23が本体部21と接続する部位の曲率半径(Rb2)よりも大きく設定している。すなわち、第2中空部C3,C4においてリブ23は、本体部21と略直角に接続して当該部位の曲率半径(Rb2)が実質的にゼロとなっている。なお、本実施形態では、第1中空部C1,C2における曲率半径(Ra1)及び曲率半径(Rb1)が互いに同等に設定されており、第2中空部C3,C4における曲率半径(Ra2)及び曲率半径(Rb2)が互いに同等に設定されている。
【0019】
さらに、図2の範囲A3に示すように、第1中空部C1,C2において両リブ22,23が交差する部位の曲率半径(Rc1)を、第2中空部C3,C4において両リブ22,23が交差する部位の曲率半径(Rc2)よりも大きく設定している。すなわち、第2中空部C3,C4において両リブ22,23は、略直角で交差して当該部位の曲率半径(Rc2)が実質的にゼロとなっている。
【0020】
以上により、第1中空部C1,C2の前記各部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に隣接する第2中空部C3,C4の前記各部位における断面形状の凹変形が促進される。
【0021】
また、図2の範囲A4に示すように、第1中空部C1,C2において本体部21の角部をなす部位に曲率半径(Rd1)が設定されている。これに合わせて、本体部21の角部外側に、曲率半径(Re)が設定されている。そして、この曲率半径(Rd1)を、図2の範囲A5に示すように、第2中空部C3,C4において本体部21の角部をなす部位の曲率半径(Rd2)よりも大きく設定している。すなわち、第2中空部C3,C4において本体部21の角部をなす部位は、略直角で交差して当該部位の曲率半径(Rd2)が実質的にゼロとなっている。これにより、第1中空部C1,C2の当該部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に第2中空部C3,C4の当該部位における断面形状の凹変形が促進される。なお、外側の曲率半径(Re)は、内側の曲率半径(Rd1)よりも大きく設定されている。
【0022】
さらに、図2の範囲A5に併せ示すように、クラッシュボックス13(本体部21)には、第2中空部C3,C4において本体部21の角部をなす部位に対向して、外向きのフランジ24が前記リブ22と平行に突設されている。そして、各フランジ24が本体部21と接続する部位に曲率半径(Rf)が設定されている。これにより、第2中空部C3,C4において本体部21の角部をなす部位では、フランジ24によって断面形状の凸変形が阻害されることで、相対的に凹変形が促進される。
【0023】
図3は、本実施形態におけるクラッシュボックス13の蛇腹変形時の断面形状の特性を示す説明図である。同図に破線にて示すように、蛇腹変形時、前述の態様で一の対角方向に並設される両第1中空部C1,C2の断面形状全体に凸変形が促進され、他の対角方向に並設される両第2中空部C3,C4の断面形状全体に凹変形が促進されることで、断面形状(各辺)が互い違いの方向に凸変形することが確認される。この場合、図4に変形量(ストローク)に対する荷重の推移を実線にて示したように、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができ、その分、変形量が低減される。
【0024】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第1中空部C1,C2においてリブ22,23が本体部21と接続する部位の曲率半径(Ra1),(Rb1)は、第2中空部C3,C4において22,23が本体部21と接続する部位の曲率半径(Ra2),(Rb2)よりもそれぞれ大きく設定されることで、第1中空部C1,C2の当該部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に隣接する第2中空部C3,C4の当該部位における断面形状の凹変形が促進される。同様に、第1中空部C1,C2において両リブ22,23が交差する部位の曲率半径(Rc1)は、第2中空部C3,C4において両リブ22,23が交差する部位の曲率半径(Rc2)よりも大きく設定されることで、第1中空部C1,C2の当該部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に隣接する第2中空部C3,C4の当該部位における断面形状の凹変形が促進される。つまり、このクラッシュボックス13では、各第1中空部C1,C2の断面形状全体に凸変形が促進され、各第2中空部C3,C4の断面形状全体に凹変形が促進されることで、断面形状が互い違いの方向に凸変形する。従って、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができ、その分、変形量を低減することができる。そして、クラッシュボックス13を車両の前後方向に短くできる分、全体としてより小型化することができ、あるいは意匠の自由度を向上することができる。
【0025】
(2)本実施形態では、本体部21の角部外側に曲率半径(Re)が設定されており、第1中空部C1,C2において本体部21の角部をなす部位の曲率半径(Rd1)は、第2中空部C3,C4において本体部21の角部をなす部位の曲率半径(Rd2)よりも大きく設定されることで、第1中空部C1,C2の当該部位における断面形状の凸変形が促進され、相対的に第2中空部C3,C4の当該部位における断面形状の凹変形が促進される。従って、各第1中空部C1,C2の断面形状全体の凸変形及び各第2中空部C3,C4の断面形状全体の凹変形が更に促進されることで、蛇腹変形時の荷重振幅を更に小さくすることができる。
【0026】
(3)本実施形態では、第2中空部C3,C4において本体部21の角部をなす部位では、外向きのフランジ24によって断面形状の凸変形が阻害されることで、相対的に凹変形が促進される。従って、各第2中空部C3,C4の断面形状全体の凹変形が更に促進されることで、蛇腹変形時の荷重振幅を更に小さくすることができる。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。
図5は、本実施形態のクラッシュボックス30を示す横断面図である。同図に示されるように、このクラッシュボックス30は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、その外形をなす四角筒状の本体部31と、該本体部31に接続され互いに交差する一対の内側のリブ32,33とを備える。クラッシュボックス30は、両リブ32,33により前記本体部31内に一の対角方向(図5の左上から右下に向かう方向)に並設される2つの第1中空部C11,C12及び他の対角方向に並設される2つの第2中空部C13,C14が区画形成されて、略田の字の一定断面形状を有する。第1及び第2中空部C11〜C14の開口面積は互いに略同等に設定されている。
【0028】
本実施形態では、第1及び第2中空部C11〜C14において、各リブ32,33が本体部31と接続する部位の曲率半径を互いに同等に設定している。また、第1及び第2中空部C11〜C14において、両リブ32,33が交差する部位の曲率半径を互いに同等に設定している。さらに、第1及び第2中空部C11〜C14において、本体部31の角部をなす部位の曲率半径を互いに同等に設定している。
【0029】
そして、図5の範囲Bに示すように、クラッシュボックス30(本体部31)には、第2中空部C13,C14において本体部31の角部をなす部位に対向して、外向きのフランジ34が前記リブ32と平行に突設されている。そして、各フランジ34が本体部31と接続する部位に曲率半径(Rg)が設定されている。この曲率半径(Rg)は、第2中空部C13,C14において本体部31の角部をなす部位の曲率半径よりも大きく設定している。これにより、第2中空部C13,C14において本体部31の角部をなす部位では、フランジ34によって断面形状の凸変形が阻害されることで、相対的に凹変形が促進される。従って、クラッシュボックス30の蛇腹変形時、これを起点に一の対角方向に並設される両第1中空部C11,C12の断面形状全体に凸変形が促進され、他の対角方向に並設される両第2中空部C13,C14の断面形状全体に凹変形が促進されることで、断面形状(各辺)が互い違いの方向に凸変形しやすくなる。この場合、蛇腹変形時の荷重振幅が小さくなるのは前記第1の実施形態と同様である。
【0030】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第2中空部C13,C14において本体部31の角部をなす部位では、外向きのフランジ34によって断面形状の凸変形が阻害されることで、相対的に凹変形が促進される。従って、クラッシュボックス30の蛇腹変形時、これを起点に一の対角方向に並設される両第1中空部C11,C12の断面形状全体に凸変形が促進され、他の対角方向に並設される両第2中空部C13,C14の断面形状全体に凹変形が促進されることで、断面形状(各辺)が互い違いの方向に凸変形しやすくなる。この場合、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができ、その分、変形量を低減することができる。そして、クラッシュボックス30を車両の前後方向に短くできる分、全体としてより小型化することができ、あるいは意匠の自由度を向上することができる。
【0031】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1の実施形態において、曲率半径(Rc1)は、曲率半径(Ra1)と同等であってもよい。同様に、曲率半径(Rc2)は、曲率半径(Ra2)と同等であってもよい。
【0032】
・前記第1の実施形態において、曲率半径(Rd2)は、曲率半径(Ra2)と同等であってもよい。
・前記第1の実施形態において、曲率半径(Re)は、曲率半径(Ra1)と同等であってもよい。つまり、曲率半径(Rd1)は、曲率半径(Ra1)よりも小さくてもよい。
【0033】
・前記第1の実施形態において、フランジ24を割愛してもよい。
・前記第1の実施形態において、本体部21の角部外側の曲率半径(Re)を割愛するとともに、曲率半径(Rd1)を曲率半径(Rd2)と同等に設定してもよい。
【0034】
・前記第2の実施形態において、第1中空部C11,C12に合わせて本体部21の角部外側に前記第1の実施形態と同様の曲率半径(Re)を設定してもよい。
・本発明に係る車両用衝撃吸収具を、例えばサイドメンバ11などその他の衝撃吸収用のフレームに適用してもよい。この場合、クラッシュボックス13を割愛し、バンパリインホース16をサイドメンバ11に直結してもよい。
【0035】
・本発明は、車両のリヤ部分に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・軸圧縮荷重を蛇腹変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する押出材からなる車両用衝撃吸収具において、
四角筒状の本体部と、該本体部に接続され互いに交差する一対の内側のリブとを備え、該両リブにより前記本体部内に一の対角方向に並設される2つの第1中空部及び他の対角方向に並設される2つの第2中空部が区画形成されて略田の字の一定断面形状を有し、
前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位に対向して、外向きのフランジを突設したことを特徴とする車両用衝撃吸収具。同構成によれば、前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位では、前記外向きのフランジによって断面形状の凸変形が阻害されることで、相対的に凹変形が促進される。従って、この車両用衝撃吸収具では、前記各第2中空部の断面形状の凹変形が促進され、相対的に前記各第1中空部の断面形状の凸変形が促進されることで、断面形状が互い違いの方向に凸変形しやすくなる。これにより、蛇腹変形時の荷重振幅を小さくして衝撃エネルギーをより効率的に吸収することができ、その分、変形量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す平面図。
【図2】同実施形態を示す断面図。
【図3】同実施形態の蛇腹変形時の断面形状の特性を示す説明図。
【図4】同実施形態の変形量と荷重との関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す断面図。
【図6】従来形態の蛇腹変形時の断面形状の特性を示す説明図。
【符号の説明】
【0037】
C1,C2,C11,C12…第1中空部、C3,C4,C13,C14…第2中空部、11…サイドメンバ、13,30…クラッシュボックス(車両用衝撃吸収具)、16…バンパリインホース、21,31…本体部、22,23,32,33…リブ、24,34…フランジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸圧縮荷重を蛇腹変形で吸収して衝撃エネルギーを吸収する押出材からなる車両用衝撃吸収具において、
四角筒状の本体部と、該本体部に接続され互いに交差する一対の内側のリブとを備え、該両リブにより前記本体部内に一の対角方向に並設される2つの第1中空部及び他の対角方向に並設される2つの第2中空部が区画形成された一定断面形状を有し、
前記リブが前記本体部と接続する部位は湾曲形状に成形されており、前記第1中空部において前記リブが前記本体部と接続する部位の曲率半径を、前記第2中空部において前記リブが前記本体部と接続する部位の曲率半径よりも大きく設定し、且つ、
前記両リブが交差する部位は湾曲形状に成形されており、前記第1中空部において前記両リブが交差する部位の曲率半径を、前記第2中空部において前記両リブが交差する部位の曲率半径よりも大きく設定したことを特徴とする車両用衝撃吸収具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用衝撃吸収具において、
前記本体部の角部をなす部位は湾曲形状に成形されており、前記第1中空部において前記本体部の角部をなす部位の曲率半径を、前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位の曲率半径よりも大きく設定したことを特徴とする車両用衝撃吸収具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用衝撃吸収具において、
前記第2中空部において前記本体部の角部をなす部位に対向して、外向きのフランジを突設したことを特徴とする車両用衝撃吸収具。
【請求項4】
車両の幅方向に延びるバンパリインホースの両端部において、該バンパリインホースと車両の前後方向に延びる一対のサイドメンバとの間にそれぞれ介在される一対のクラッシュボックスを備えた車両用バンパ装置において、
前記クラッシュボックスとして、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用衝撃吸収具を備えたことを特徴とする車両用バンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−280145(P2009−280145A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135819(P2008−135819)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000100791)アイシン軽金属株式会社 (137)