説明

車両用計器

【課題】スイッチのオフ時は第1の制御手段と電源との接続が絶たれるシステムであってもバッテリ接続状態に応じてリセット処理を行うことが可能な車両用計器を提供する。
【解決手段】
指針式計器1と、第1の電源供給ラインL1を通じて電源4と接続され指針式計器1を制御する第1の制御手段2とを備え、第1の電源供給ラインL1上に設けられた起動スイッチ(スイッチ)5のオンにより電源4と第1の制御手段2とが接続される車両用計器装置において、第2の電源供給ラインL2を通じて電源4と接続され、第2の電源供給ラインL2による電源供給が遮断された場合に電源遮断情報を記憶する第2の制御手段3を有し、第1の制御手段2は起動スイッチ5のオン時、前記電源遮断情報の有無に基づいて指針式計器1のリセット処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオートバイ、水上バイク、スノーモービルに搭載される車両用計器に関し、特に指針式計器の動作を制御する制御手段と電源とを繋ぐ電源供給ラインがスイッチオフ時に遮断されるタイプの車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータ等の駆動本体によって指針を文字板上の起点位置から回動させることで計測量を指示する指針式計器を搭載した車両用計器が知られている。このような車両用計器にあっては、例えば特許文献1に記載されているように、イグニッションスイッチ操作に基づく電源オン時に指針を起点位置に戻すリセット処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−038593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1記載の車両用計器は、イグニッションスイッチのオフ時は制御手段と電源(バッテリ)との接続が絶たれるシステム構成であるため、イグニッションスイッチをオフからオンに切り替えた際に、例えばバッテリ交換や車両を長期間使用しないときのように一旦、バッテリを取り外した後の再接続状態なのか、再接続状態ではない通常のオン状態なのか判別できない。このため、イグニッションスイッチオン時のバッテリ接続状態に応じてリセット処理を行うことができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、スイッチのオフ時は制御手段と電源との接続が絶たれるシステムであってもバッテリ接続状態に応じてリセット処理を行うことが可能な車両用計器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するため、駆動本体によって指針を文字板上の起点位置から回動させることで計測量を指示する指針式計器と、第1の電源供給ラインを通じて電源と接続され前記駆動本体を通じて前記指針の回動を制御する第1の制御手段とを備え、前記第1の電源供給ライン上に設けられたスイッチのオンにより前記電源と前記第1の制御手段とが接続される車両用計器において、第2の電源供給ラインを通じて前記電源と接続される第2の制御手段を備え、この第2の制御手段は第2の電源供給ラインによる電源供給が遮断された場合に電源遮断情報を記憶し、前記第1の制御手段は前記スイッチのオン時、前記第2の制御手段に記憶されている前記電源遮断情報の有無に基づいて前記指針を起点位置に戻すリセット処理を実行することを特徴とする。
このように構成したことにより、スイッチのオフ時は制御手段と電源との接続が絶たれるシステムであっても電源遮断情報の有無に基づいてリセット処理を実行することによりバッテリ接続状態に応じてリセット処理を行うことができる。
【0007】
本発明は、前記第2の制御手段は前記第2の電源供給ラインの遮断時であっても時刻計時を行うリアルタイム・クロック・ICからなることを特徴とする。
このように構成したことにより、リアルタイム・クロック・ICを利用してバッテリ接続状態に応じてリセット処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スイッチのオフ時は第1の制御手段と電源との接続が絶たれるシステムであってもバッテリ接続状態に応じてリセット処理を行うことが可能な車両用計器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態による車両用計器のシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態によるリセット処理を示すフロー図。
【図3】本発明の第2の実施形態によるリセット処理を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施形態を図1、図2を用いて説明する。
本実施形態の車両用計器は、指針式計器1と、第1の制御手段2と、第2の制御手段3とを備えている。
【0011】
指針式計器1は、図示しないが、ステッピングモータ等の駆動本体によって指針を文字板上の起点位置から回動させることで計測量を指示する周知のものである。
【0012】
第1の制御手段2は、例えば入力情報に応じて前記駆動本体を動作させるに必要なデータやプログラムを格納するROM、RAM、フラッシュメモリを含んだマイクロコンピュータからなり、第1の電源供給ラインL1を通じてバッテリからなる電源4と接続され、前記入力情報に応じて前記駆動本体を制御して前記指針の回動させる。
【0013】
また第1の電源供給ラインL1上には、例えばイグニッションスイッチからなる起動スイッチ(スイッチ)5が設けられ、この起動スイッチ5のオフにより電源4と第1の制御手段3との接続が遮断され、起動スイッチ5のオンにより電源4と第1の制御手段3とが接続され、これにより第1の制御手段3が起動する。
【0014】
第2の制御手段3は、例えばリアルタイム・クロック・IC(Realtime Clock IC)からなる計時素子であり、第2の電源供給ラインL2を通じてバッテリからなる電源4と接続されている。
【0015】
この第2の制御手段3は、本実施形態の車両用計器に組み込まれる図示しない時刻やカレンダー情報を表示する際の計時データを生成すると共に、電源供給ラインL2の変化を検出し、電源4の交換や取り外しにより給電が遮断された場合には、「電源遮断情報有り」、遮断されていない場合は「電源遮断情報無し」を内部に持つ状態フラグに設定し、これにより電源遮断情報を記憶する。
【0016】
次に図2に基づいて第1の制御手段2によって実行されるリセット処理を説明する。
【0017】
第1の制御手段2は、起動スイッチ5のオフからオンへの切替により起動し、初期処理を開始する。まずステップS1で第2の制御手段3内の状態フラグに設定されているデータを参照し、状態フラグ=1(「電源遮断情報有り」)か否かを判定する。
【0018】
ステップ1の判定で状態フラグ=1の場合(YES)は、続くステップS2において前記駆動本体を前記指針を起点位置に戻すリセット処理が実行され、続くステップS3で状態フラグの設定データを消去するクリア処理が行われる。
【0019】
一方、ステップ1の判定で状態フラグ=0の場合(NO)は、リセット処理が行われず、初期処理を終了し、前記入力情報に応じて指針式計器1を動作させる等の図示しない次のステップへ移行する。
【0020】
このように起動スイッチ5のオン時に電源遮断情報の有無を判定し、「電源遮断情報有り」の場合は、電源4の交換や取り外しにより第2の電源供給ラインL2を通じた第2の制御手段3への給電が遮断された後のオン状態であって、前記指針位置が起点位置からずれている可能性が高いと見なして、リセット処理を実行し、「電源遮断情報無し」の場合は、第1の電源供給ラインL1上の起動スイッチ5オンによるオン状態であって、前記指針位置が起点位置からずれている可能性が低いと見なして、リセット処理を行わないようにし、これにより電源遮断情報無しの場合は、起動後の処理を迅速化することができる。
【0021】
以上のように本実施形態では、駆動本体によって指針を文字板上の起点位置から回動させることで計測量を指示する指針式計器1と、第1の電源供給ラインL1を通じて電源4と接続され前記駆動本体を通じて前記指針の回動を制御する第1の制御手段2とを備え、第1の電源供給ラインL1上に設けられた起動スイッチ(スイッチ)5のオフにより電源4と第1の制御手段2との接続が遮断され、起動スイッチ5のオンにより電源4と第1の制御手段2とが接続される車両用計器装置において、第2の電源供給ラインL2を通じて電源4と接続される第2の制御手段3を備え、この第2の制御手段3は第2の電源供給ラインL2による電源供給が遮断された場合に電源遮断情報を記憶し、第1の制御手段2は起動スイッチ5のオン時、第2の制御手段3に記憶されている前記電源遮断情報の有無に基づいて前記指針を起点位置に戻すリセット処理を実行することにより、スイッチのオフ時は第1の制御手段2と電源4との接続が絶たれるシステムであっても電源遮断情報の有無に基づいてリセット処理を実行することによりバッテリ接続状態に応じたリセット処理を行うことができる。
【0022】
また本実施形態では、第2の制御手段3は第2の電源供給ラインL2の遮断時であっても時刻計時を行うリアルタイム・クロック・ICからなることにより、リアルタイム・クロック・ICを利用してバッテリ接続状態に応じたリセット処理を行うことができる。
【0023】
次に本発明の第2の実施形態を図3を用いて説明する。
【0024】
本実施形態では、「電源遮断情報有り」の場合も「電源遮断情報無し」の場合とで、内容の異なるリセット処理を行うものである。
【0025】
すなわち、ステップS1の判定が「電源遮断情報有り」の場合(YES)は、ステップS21で例えばフルスケール分に相当する広角リセット処理を行い、「電源遮断情報無し」の場合(NO)は、ステップ22で例えばステップS21よりも狭い所定角度分に相当する狭角リセット処理を行うものである。
【0026】
以上のように構成したことにより、本実施形態では、前記第1の実施形態と同様の効果を期待できる。
【符号の説明】
【0027】
1 指針式計器
2 第1の制御手段
3 第2の制御手段
4 電源
5 起動スイッチ(スイッチ)
L1 第1の電源供給ライン
L2 第2の電源供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動本体によって指針を文字板上の起点位置から回動させることで計測量を指示する指針式計器と、第1の電源供給ラインを通じて電源と接続され前記駆動本体を通じて前記指針の回動を制御する第1の制御手段とを備え、前記第1の電源供給ライン上に設けられたスイッチのオンにより前記電源と前記第1の制御手段とが接続される車両用計器において、第2の電源供給ラインを通じて前記電源と接続される第2の制御手段を備え、この第2の制御手段は第2の電源供給ラインによる電源供給が遮断された場合に電源遮断情報を記憶し、前記第1の制御手段は前記スイッチのオン時、前記第2の制御手段に記憶されている前記電源遮断情報の有無に基づいて前記指針を起点位置に戻すリセット処理を実行することを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
前記第2の制御手段は前記第2の電源供給ラインの遮断時であっても時刻計時を行うリアルタイム・クロック・ICからなることを特徴とする請求項1記載の車両用計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−22049(P2011−22049A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168371(P2009−168371)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】