説明

車両用送風装置

【課題】専用の送風機を設けることにより、車室内の必要部位に集中して、より大きな風量で送風する。
【解決手段】計器盤1内に車幅方向に伸びるスライドレール10を設け、吹出口22を車室内に向けたブロアファン20を、スライドレール10に対してスライド自在に設けた。必要に応じてブロアファンをスライドさせ、その吹出口を送風の必要な部位に向けることにより、ブロアファンからの全送風量を必要部位に集中することができ、充分な風量を必要な乗員に送風することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の乗員に向け送風する車両用送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用空調装置では、車室内に向けてレジスタが設けられていて、そのレジスタの向きを変えることにより好みの方向に風向きを変えている。下記特許文献1には、常時は車室内全体に平均的に送風し、必要時には、特定部位に集中して送風する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−270661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗員間の個人差や車両への乗員の乗り込み直後などの条件により、車室内の一部に送風量を集中させたいとき、上記特許文献1でも一定の効果は達成できる。しかし、上記特許文献1の場合、広範囲の吹出口のうち、送風を行う吹出口を制限することにより送風を集中させるものであるため、送風空気が吹出口に到達するまでの経路が複雑となり、場合によっては送風量が充分でなく、乗員が早期に暑さを解消できないことがある。
本発明は、このような問題に鑑み、専用の送風機を設けることにより、車室内の必要部位に集中して、より大きな風量で送風することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、計器盤内に車幅方向に伸びるスライドレールを設け、吹出口を車室内に向けたブロアファンを、前記スライドレールに対してスライド自在に設けたことを特徴とする車両用送風装置である。
第1発明によれば、必要に応じてブロアファンをスライドさせ、その吹出口を送風の必要な部位に向けることにより、ブロアファンからの全送風量を必要部位に集中することができ、充分な風量を必要な乗員に送風することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、計器盤の車室内側には車幅方向に延在して送風口が設けられ、前記ブロアファンは、上部で前記スライドレールにスライド自在に支持され、下部に操作ノブが設けられ、操作ノブは、計器盤の下方部材から車室内側に突出して、該下方部材に対してスライド自在に構成され、前記ブロアファンの吹出口は、前記送風口に向けて配置されていることを特徴とする車両用送風装置である。
第2発明によれば、操作ノブの操作によりブロアファンを任意にスライド操作して、乗員の好みの方向に容易な操作で送風を行うことができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記スライドレールは計器盤の強度部材に設けられていることを特徴とする車両用送風装置である。
第3発明によれば、ブロアファンはスライドレールを介して計器盤の強度部材に支持されるため、送風容量の大きいブロアファンを用いることができ、より大きな送風量のニーズに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る車両用送風装置の一実施形態を装備した車両の車室内斜視図である。
【図2】上記実施形態を示す縦断面図である。
【図3】上記実施形態の主要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す車両の計器盤1は、車両前後方向の中央部に車幅方向に長い孔2が開けられたものであり、メーター50とメーター3が車室内の乗員に近い側と遠い側の2箇所に設けられている。本発明における送風装置は、図2のように乗員に近い側のメーター50の裏側にあり、メーター50の下方には、車幅方向に長く、略車室内幅と等しく送風口30としてのレジスタが設けられている。
図1中、81、82は車両空調装置の吹出口であり、91はステアリングハンドル、92は乗員が着座するシートであり、60は計器盤の上方部材である。
である。
【0010】
図2に良く示されているように、計器盤1内には、車幅方向に強度部材40が設けられており、この強度部材40は、その車幅方向の両端部で車体構成部材に溶接にて固定されている。
強度部材40の下面には、図3にも示されるようにスライドレール10がビス留め固定されており、スライドレール10には、スライドレール10に対してスライド自在とされたスライダ23を介してブロアファン20が支持されている。ブロアファン20は、公知のように図示しない吸込口から車室内の空気を吸い込んで、吹出口22からその空気を吹き出すもので、吹出口22は、上記送風口30に向けられており、送風口30から車室内へ空気を送るように配置されている。
【0011】
ブロアファン20のスライダ23とは反対側の下側面には、操作ノブ21が設けられており、この操作ノブ21は、計器盤1の下方部材70から車室内へ突出している。操作ノブ21は、下方部材70に対して車幅方向にスライド自在とされており、スライド可能幅は、上述のレジスタ30の幅に対応されている。
【0012】
以上のように構成されているため、必要時にブロアファン20を作動し、操作ノブ21を操作してブロアファン20の位置を車幅方向で任意の位置とすることにより、乗員は好みの位置にブロアファン20からの送風を行うことができる。このとき、ブロアファン20からの全送風量を必要部位に集中することができ、充分な風量を必要な乗員に送風することができる。
【0013】
この場合の送風は、車室内の空気を空調することなく、そのまま送風しているが、車室内が別途設けられた空調装置によって空調されておれば、そのままの空気を送風しても、その送風を受けた乗員は涼しさを感じることができる。
勿論、ブロアファン20から送風される空気を空調装置から吹き出される空調された空気とするように配管することも必要に応じて行うことはできる。
【0014】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.ブロアファンのスライド操作は、電動によって行っても良い。その場合は、計器盤付近にブロアファンのスライド操作のためのスイッチを設ける必要がある。
2.センサによって体温の高い乗員を検出し、その検出された乗員に向けて送風するように、ブロアファンのスライド操作を自動化しても良い。
【符号の説明】
【0015】
1 計器盤
10 スライドレール
20 ブロアファン
30 送風口(レジスタ)
40 強度部材
50 メーター
60 計器盤の上方部材
70 計器盤の下方部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器盤内に車幅方向に伸びるスライドレールを設け、吹出口を車室内に向けたブロアファンを、前記スライドレールに対してスライド自在に設けたことを特徴とする車両用送風装置。
【請求項2】
請求項1において、計器盤の車室内側には車幅方向に延在して送風口が設けられ、前記ブロアファンは、上部で前記スライドレールにスライド自在に支持され、下部に操作ノブが設けられ、操作ノブは、計器盤の下方部材から車室内側に突出して、該下方部材に対してスライド自在に構成され、前記ブロアファンの吹出口は、前記送風口に向けて配置されていることを特徴とする車両用送風装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記スライドレールは計器盤の強度部材に設けられていることを特徴とする車両用送風装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−232633(P2012−232633A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101231(P2011−101231)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】