説明

車両計器用スイッチ

【課題】直接的かつ単純なスイッチ操作を求めるユーザの意向が反映された車両計器用スイッチを、簡単かつ安価に構成する。
【解決手段】スイッチSWを構成する操作ノブ10は、軸部11、アーム部12及びスイッチ押圧部13を備える。軸部11、アーム部12及びスイッチ押圧部13は、一体的に軸線O1方向に移動可能かつ軸線O1周りに回転可能とされる。操作ノブ10は、非操作状態にあるときに位置する原点位置から複数のプッシュスイッチ21〜23のいずれかに対応する回転位置まで軸線O1周りに回転操作され、その回転位置から軸線O1方向に押圧操作されたときの押圧位置にて選択されたプッシュスイッチがオンするように構成される。操作ノブ10とケース体40との間には、操作ノブ10を押圧位置から原点位置へ復帰させるコイルばね30(ノブ復帰部)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両計器用スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
車両計器用スイッチとして、基板に実装された1つの固定接点と、2つの固定接点のいずれか一方とを可動接点を介して導通させるようにした操作体(操作ノブ)を備えたものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この特許文献1に記載された車両計器用スイッチでは、操作体の軸線方向への直線運動がカムフォロアにより軸線周りの回転運動に変換されることで、カムフォロアにスプライン結合されたカム面を有する作動部材がカムフォロアと一体的に回転し、作動部材の回転に応じて作動部材とカム結合されたスライド部材が軸線方向と直交する方向へスライド移動し、スライド部材と一体的に移動する可動接点の移動に応じて2つの固定接点のいずれか一方が選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−281259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された車両計器用スイッチでは、押圧操作により操作体が原点位置から押圧位置へ移動するのに伴ってスライド部材が一方の固定接点との導通位置から他方の固定接点との導通位置へ向けて前進し、操作体が押圧位置から原点位置へ復帰する場合にはスライド部材が前進位置に維持されて他方の固定接点との導通状態が確保される。再度の押圧操作により、操作体が原点位置から押圧位置へ移動するのに伴ってスライド部材が他方の固定接点との導通位置から一方の固定接点との導通位置へ向けて後退し、操作体が押圧位置から原点位置へ復帰する場合にはスライド部材が後退位置に維持されて一方の固定接点との導通状態が確保される。すなわち、操作体に対する押圧操作を繰り返すことで、接点が交互に切り替わる。このように、押圧操作を繰り返すことで接点が順次切り替わる形式のスイッチは、選択できる接点の数が多いほど、操作体を押圧操作する回数が多くなり、直接的かつ単純なスイッチ操作のみで希望の導通状態を得たいというユーザの意向に沿うものではなかった。また、上記特許文献1に記載された車両計器用スイッチでは、操作体の直線移動をスライド部材のスライド移動に変換するために多くの部品が使用されており、構造が複雑でコストが高価になるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、直接的かつ単純なスイッチ操作を求めるユーザの意向が反映された車両計器用スイッチを、簡単かつ安価に構成することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、基板に実装された複数のプッシュスイッチを択一的にオン操作可能な操作ノブを備えた車両計器用スイッチであって、
操作ノブは、基板又はその基板の実装面を覆うケース体の板面に対して直交する姿勢で配置される軸部と、その軸部と一体的に設けられ該軸部の軸線から遠ざかる向きに延び出すアーム部と、そのアーム部の所定位置に設けられプッシュスイッチを押圧するためのスイッチ押圧部とを備え、軸部、アーム部及びスイッチ押圧部が一体的に該軸部の軸線方向に移動可能かつ軸線周りに回転可能とされており、
複数のプッシュスイッチは、スイッチ押圧部の軸線周りの回転軌跡に沿って基板上に配置されており、操作ノブが、非操作状態にあるときに位置する原点位置から複数のプッシュスイッチのいずれかに対応する回転位置まで軸線周りに回転操作され、その回転位置から軸線方向に押圧操作されたときの押圧位置にて選択されたプッシュスイッチがオンするように構成されており、
操作ノブと基板又はケース体との間には、操作ノブの操作に応じて弾性変形し、操作が解除された操作ノブを弾性復帰力に基づいて押圧位置から原点位置へ復帰させるノブ復帰部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、選択を希望するプッシュスイッチに向けて操作ノブを回転操作し、その回転位置で押圧操作すればプッシュスイッチを選択することができる。これにより、直接的かつ単純なスイッチ操作を求めるユーザの意向が反映されたスイッチとすることができる。また、操作ノブの押圧操作を解除すれば、ノブ復帰部の弾性復帰力に基づいて操作ノブが押圧位置から原点位置へと自動的に復帰する。このため、スイッチの構成をシンプルとしつつも、操作ノブの自動復帰機能を確保することができる。
【0008】
この場合、ノブ復帰部は、操作ノブの軸線方向の直線移動、及び操作ノブの軸線周りの回転移動に応じて弾性変形するコイルばねとして構成され、その一端部が基板又はケース体側の係止部に係止され、他端部が軸部側の係止部に係止されるものとすることができる。
【0009】
ノブ復帰部をコイルばねとして構成することで、ノブ復帰部を極めて簡易に構成することができ、部品点数を削減することができる。また、操作ノブへの組み込みも容易となる。
【0010】
また、ノブ復帰部は、操作ノブの軸線方向の直線移動に応じて弾性変形する第一弾性部と、操作ノブの軸線周りの回転移動に応じて弾性変形する第二弾性部とを備えた弾性部として構成され、軸部と一体的に設けられるようにしてもよい。あるいは、ノブ復帰部は、操作ノブの軸線方向の直線移動に応じて弾性変形する第一弾性部と、操作ノブの軸線周りの回転移動に応じて弾性変形する第二弾性部とを備えた弾性部として構成され、基板又はケース体と一体的に設けられるようにしてもよい。
【0011】
ノブ復帰部を操作ノブの軸部や、基板又はケース体と一体的に設けることで、スイッチの部品点数をより一層削減することができる。
【0012】
さらに、ケース体には、操作ノブのスイッチ押圧部が回転位置に対して周方向にずれているとき、押圧操作に伴って軸線方向へ直線移動するスイッチ押圧部に接触して押圧位置へと誘導する誘導部が形成されているとよい。
【0013】
スイッチ押圧部がプッシュスイッチに対応した回転位置で止まるように操作ノブを回転操作することは難しい。スイッチ押圧部がプッシュスイッチに対応していない場合には、操作ノブを押圧操作しても、プッシュスイッチをオンさせることができない。これに対しスイッチ押圧部が誘導部により押圧位置へと誘導される場合には、操作ノブの回転操作量が正確でなくても、押圧操作によりプッシュスイッチがほぼ確実にオンとなるため、操作ノブの操作性を向上させることができる。
【0014】
さらに、ケース体には、操作ノブの軸線周りの回転を規制する回転規制部が形成されているとよい。
【0015】
上記したように、スイッチ押圧部がプッシュスイッチに対応した回転位置で止まるように操作ノブを回転操作することは難しく、操作ノブを必要以上に回転操作してしまう場合もある。これに対し操作ノブの軸線周りの回転が回転規制部(ストッパ部)により規制される場合には、操作ノブを勢いよく回転操作した場合でも、操作ノブの押圧操作に際してスイッチ押圧部を容易に押圧位置へ誘導することが可能となり、操作ノブの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した車両用計器の一例を示す外観図。
【図2】本発明の実施例1に係る車両計器用スイッチの分解斜視図。
【図3】図2の車両計器用スイッチが組み付けられた状態を示す平面図。
【図4】図3のA−A断面図。
【図5】実施例1の変形例に係る車両計器用スイッチを示す斜視図。
【図6】本発明の実施例2に係る車両計器用スイッチの分解斜視図。
【図7】本発明の実施例3に係る車両計器用スイッチの分解斜視図。
【図8】図7の車両計器用スイッチが組み付けられた状態を示す要部平面図。
【図9】図8の側面図。
【図10】本発明の実施例4に係る車両計器用スイッチの要部側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る車両計器用スイッチを備えた車両用計器1の一例を示す外観図である。車両用計器1は、車室内のインストルメントパネルにてコンビネーションメータとして設けられており、周知のスピードメータ2、タコメータ3、フューエルゲージ4、ウォーターテンプゲージ5及びオド・トリップメータ6を組み合わせて構成されている。本実施例1では、オド・トリップメータ6の操作スイッチとして車両計器用スイッチSW(以下、単にスイッチSWという)が使用されている。
【0019】
スイッチSWは、図2〜図4に示すように、基板20に実装された複数(この実施例1では3個)のプッシュスイッチ21,22,23を択一的にオン操作可能な操作ノブ10を備えている。なお、基板20は、後述するケース体40に覆われている。
【0020】
操作ノブ10は、基板20の実装面に対して直交する姿勢で配置される円柱状の軸部11と、軸部11の中間部位から径方向外向きに延設されるアーム部12と、アーム部12の先端にてプッシュスイッチ21〜23側へ突設されるスイッチ押圧部13とを備え、軸部11の軸線O1方向に移動可能かつ軸線O1周りに回転可能とされている。
【0021】
図2にて軸部11の下端には、ケース体40に形成された貫通孔41aに差し込まれることで軸部11の基板20に対する過度の位置ずれを防止する突出部14が形成されている。また、軸部11の上端部側周面には、セレーションの施された摘み部15が形成されている。
【0022】
プッシュスイッチ21〜23は、スイッチ押圧部13の軸線O1周りの回転軌跡、すなわち円弧線上に位置するように基板20に配置されている。プッシュスイッチ21〜23は、いずれか一つが押圧操作されてオンになるとそれを検出して表示の切替え等を行う回路部に電気接続されている。
【0023】
そして、本実施例1では、プッシュスイッチ21を押圧操作すると、オド・トリップメータ6においてオドメータ表示とトリップメータ表示とを交互に表示させることができる。また、プッシュスイッチ22を押圧操作すると、車両用計器1の輝度を上げることができ、プッシュスイッチ23を押圧操作すると、車両用計器1の輝度を下げることができる。なお、プッシュスイッチ21〜23による機能の割付は、上記の場合に限らず、例えば車両用計器1に設けられる時計の設定やディスプレイ表示の切替えなどに広く適用することができる。
【0024】
図2に戻って、操作ノブ10のアーム部12と、ケース体40との間には、ノブ復帰部としてのコイルばね30が組み込まれている。コイルばね30は、各端部が1段曲げ形状とされており、一端部31がケース体40に形成された貫通孔41bに係止され、他端部32がアーム部12に形成された貫通孔12a(軸部11側の係止部)に係止されている。
【0025】
コイルばね30は、操作ノブ10の軸線O1方向の直線移動に応じて弾性変形する圧縮コイルばねとしての機能と、操作ノブ10の軸線O1周りの回転移動に応じて弾性変形するねじりコイルばねの機能とを兼ね備えており、操作ノブ10に対するスイッチ操作(押圧操作、回転操作)が解除された場合に、その弾性復帰力に基づいて、操作ノブ10を原点位置へと自動的に復帰させる。ここで、「原点位置」とは、コイルばね30が操作による外力を受けていない自由状態にあるとき操作ノブ10が位置する基準位置(初期位置)をいい、本実施例1では、図2にてプッシュスイッチ21の上方位置に設定されている。
【0026】
ケース体40には、平面視にて略扇形状をなす凹所41が形成されている。凹所41には、図2にて操作ノブ10のアーム部12を含む下側部位と、コイルばね30とが収容されるようになっている。
【0027】
この凹所41には、基板40上のプッシュスイッチ21〜23と、操作ノブ10のスイッチ押圧部13との接触を許容する開口41c〜41eがそれぞれ形成されるとともに、スイッチ押圧部13の軸線O1周りの回転軌跡に沿って見た場合、開口41c〜41e相互の中間位置から開口41c〜41eの個々に向かうに従って高さ位置が低くなる傾斜壁41f〜41h(誘導部)が形成されている。また、傾斜壁41f〜41hのうち、両端に位置するものの各壁端は、凹所41において径方向に延び出す垂直壁41j,41k(回転規制部)にそれぞれ接続されている。
【0028】
次に、上記のように構成されたスイッチSWの操作について説明する。操作ノブ11の摘み部15を摘んで、コイルばね30の軸線O1方向の付勢力に抗して軸部11をそのまま押圧操作すれば、押圧位置にてプッシュスイッチ21がオンする。これにより、オド・トリップメータ6においてオドメータ表示されている場合はトリップメータ表示に切り替わり、トリップメータ表示されている場合はオドメータ表示に切り替わる。摘み部15から指を離せば、コイルばね30の弾性復帰力により、操作ノブ10は押圧位置から原点位置へ復帰する。
【0029】
また、操作ノブ11の摘み部15を摘んで、コイルばね30の軸線O1周りの付勢力に抗してスイッチ押圧部13がプッシュスイッチ22に対応する回転位置に達するまで軸部11を右回りに回転操作し、その回転位置にてコイルばね30の軸線O1方向の付勢力に抗して軸部11を押圧操作すれば、押圧位置にてプッシュスイッチ22がオンする。これにより、車両計器用メータ1の輝度が高くなる。摘み部15から指を離せば、コイルばね30による軸線O1周り及び軸線O1方向への弾性復帰力により、操作ノブ10が押圧位置から原点位置へ復帰する。
【0030】
なお、スイッチ押圧部13がプッシュスイッチ22に対して周方向にずれたとしても、スイッチ押圧部13がケース体40の傾斜壁41gに沿って滑り落ちプッシュスイッチ22との押圧位置へ誘導されるため、プッシュスイッチ22をほぼ確実にオンさせることができる。また、軸部11を軸線O1周りに必要以上に回転(右回り)させたとしても、アーム部12がケース体40の垂直壁41jに当接してそれ以上の回転が規制されるため、軸部11の回し過ぎが防止される。
【0031】
同様に、軸部11aの摘み部15を摘んで、コイルばね30の軸線O1周りの付勢力に抗してスイッチ押圧部13がプッシュスイッチ23に対応する回転位置に達するまで軸部11を左回りに回転操作し、その回転位置にてコイルばね30の軸線O1方向の付勢力に抗して軸部11を押圧操作すれば、押圧位置にてプッシュスイッチ23がオンする。これにより、車両計器用メータ1の輝度が低くなる。摘み部15から指を離せば、コイルばね30による軸線O1周り及び軸線O1方向への弾性復帰力により、操作ノブ10が押圧位置から原点位置へ復帰する。
【0032】
また、スイッチ押圧部13がプッシュスイッチ23に対して周方向にずれたとしても、スイッチ押圧部13がケース体40の傾斜壁41hに沿って滑り落ちプッシュスイッチ23との押圧位置へ誘導されるため、プッシュスイッチ23をほぼ確実にオンさせることができる。また、軸部11を軸線O1周りに必要以上に回転(左回り)させたとしても、アーム部12がケース体40の垂直壁41kに当接してそれ以上の回転が規制されるため、軸部11の回し過ぎが防止され、操作ノブ10の操作性が向上する。
【0033】
以上の説明からも明らかなように、上記実施例1によれば、プッシュスイッチ21を選択する場合には、操作ノブ10の軸部11をそのまま押圧操作すればよく、プッシュスイッチ22あるいは23を選択する場合には、操作ノブ10の軸部11aを所定の回転位置まで回転操作し、その回転位置で押圧操作すればよい。これにより、直接的かつ単純なスイッチ操作を求めるユーザの意向が反映されたスイッチSWを提供することができる。また、操作ノブ10に対する操作を解除すれば、コイルばね30により操作ノブ10が押圧位置から原点位置へと自動的に復帰する。このため、スイッチSWの構成をシンプルとしつつも、操作ノブ10の自動復帰機能を確保することができる。
【0034】
(変形例)
図5に示すように、本発明に係るスイッチSWは、ケース体40が省略された車両用計器に適用することも可能である。この場合には、操作ノブ10の突出部14が、基板20に形成された貫通孔20aに差し込まれ、コイルばね30の一端部31が基板20に形成された貫通孔20bに係止されることとなる。その他の構成は、上記実施例1と同じであるため、同じ機能を果たす部材、部位には同じ符号を付して説明は省略する。
【実施例2】
【0035】
上記実施例1のコイルばね30に代えて、例えば図6に示すような弾性部130をノブ復帰部として機能させてもよい。その他の構成は、上記実施例1とほぼ同様であるため、同じ機能を果たす部材、部位には同じ符号を付して説明は省略する。
【0036】
弾性部130は、操作ノブ10のアーム部12が延設された方向とは反対方向、すなわち軸線O1方向と直交する基準線O2方向に延び出すように操作ノブ10の軸部11と一体に形成されており、軸部11に接続される基端側から第一弾性部131(可動側第一弾性部)、第二弾性部132(可動側第二弾性部)及び取付軸部133をこの順に備えている。ケース体40には、操作ノブ10のアーム部12を含む下側部位を収容する凹所41に加えて、弾性部130を収容する平面視にて略矩形状の凹所42が形成されるとともに、弾性部130の取付軸部133を固定するための取付孔42aが形成されている。
【0037】
第一弾性部131は、円弧状の屈曲部131aを複数(この実施例2では2個)有する略波線形状に形成されている。第一弾性部131の各屈曲部131aは、軸線O1方向にて異なる高さ位置に配置されている。第二弾性部132は、第一弾性部131を基準線O2周りに例えば90度回転させたものである。第二弾性部132の各屈曲部132aは、略軸線O1周りにて異なる周方向位置に配置されている。
【0038】
これにより、操作ノブ10の軸部11を軸線O1周りに回転操作すると、第二弾性部132aが弾性変形する。回転操作を解除すると、第二弾性部132aの弾性復帰力により、軸部11が原点位置に復帰する。また、操作ノブ10の軸部11を押圧操作すると、第一弾性部131aが弾性変形する。押圧操作を解除すると、第一弾性部131aの弾性復帰力により、軸部11が原点位置に復帰する。
【0039】
この実施例2のように、ノブ復帰部として機能する弾性部130を操作ノブ10の軸部11に一体形成することで、スイッチSWの部品点数をより一層削減することができる。
【実施例3】
【0040】
上記実施例2の弾性部130に代えて、例えば図7〜図9に示すような弾性部230をノブ復帰部として機能させてもよい。その他の構成は、上記実施例1とほぼ同様であるため、同じ機能を果たす部材、部位には同じ符号を付して説明は省略する。
【0041】
この実施例3において、操作ノブ10には、アーム部12と反対方向へ延び出す板状の作用片16が一体に形成されている。弾性部230は、図7にて作用片16の下端面に当接する第一弾性部231(固定側第一弾性部)と、作用片16を挟持する一対の第二弾性部232,232(固定側第二弾性部)とを備え、いずれの弾性部231,232も各基端がケース体40に接続されている。
【0042】
第一弾性部231は、円弧状の屈曲部231aを複数(この実施例3では4個)備えた略波線形状に形成されており、凹所41の底壁から開口側へ延び出すように配置されている。第一弾性部231の各屈曲部231aは、軸線O1方向にて異なる高さ位置に配置されている。
【0043】
第二弾性部232,232は、凹所42の側壁を基端側として凹所41へ向けて延び出すように対向配置されており、基端側から略平行に延び出し、中間部232aから先端部232bに向かうに従って互いに接近するような湾曲形状に形成されている。
【0044】
これにより、図8に示すように、操作ノブ10の軸部11を軸線O1周りに例えば左回りに回転操作すると、作用片16を介して第二弾性部232,232の片側が弾性変形する。回転操作を解除すると、第二弾性部232の弾性復帰力により、作用片16が右回りに回転し、軸部11が原点位置に復帰する。
【0045】
また、図9に示すように、操作ノブ10の軸部11を押圧操作すると、作用片16を介して第一弾性部231が弾性変形(圧縮)する。押圧操作を解除すると、第一弾性部231の弾性復帰力により、作用片16を介して軸部11が原点位置に復帰する。
【0046】
この実施例3のように、ノブ復帰部として機能する弾性部230をケース体40に一体形成するようにしても、スイッチSWの部品点数を削減することができる。
【実施例4】
【0047】
上記実施例1では、ノブ復帰部としてのコイルばね30を1部材で構成したが、例えば図10に示すように、圧縮コイルばね331とねじりコイルばね332との2部材で構成するようにしてもよい。その他の構成は、上記実施例1とほぼ同様であるため、同じ機能を果たす部材、部位には同じ符号を付し、説明は省略する。
【0048】
この実施例4において、操作ノブ10には、軸部11と同軸にフランジ部17が形成されている。操作ノブ10のフランジ部17とケース体40との間には、圧縮コイルばね331が組み込まれるとともに、圧縮コイルばね331を取り囲むように、圧縮コイルばね331よりも大径のねじりコイルばね332が配置されている。ねじりコイルばね332の一端部332aはケース体40に形成された貫通孔41bに係止され、他端部332bはフランジ部17に形成された貫通孔17a(軸部11側の係止部)に係止されている。
【0049】
この実施例4のように、ノブ復帰部として複数の弾性部材を使用するようにしても、スイッチSWの構成をシンプルとしつつ、操作ノブ10の復帰機能を確保することができる。
【0050】
なお、上記した各実施例では、プッシュスイッチが3個使用される場合について説明したが、プッシュスイッチは2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 車両用計器
6 オド・トリップメータ
SW スイッチ(車両計器用スイッチ)
10 操作ノブ
11 軸部
12 アーム部
13 スイッチ押圧部
15 摘み部
16 作用片
17 フランジ部
20 基板
21〜23 プッシュスイッチ
30 コイルばね(ノブ復帰部)
40 ケース体
130 弾性部(ノブ復帰部)
131 第一弾性部
132 第二弾性部
133 取付軸部
230 弾性部(ノブ復帰部)
231 第一弾性部
232 第二弾性部
331 圧縮コイルばね
332 ねじりコイルばね
O1 軸線
O2 基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された複数のプッシュスイッチを択一的にオン操作可能な操作ノブを備えた車両計器用スイッチであって、
前記操作ノブは、前記基板又はその基板の実装面を覆うケース体の板面に対して直交する姿勢で配置される軸部と、その軸部と一体的に設けられ該軸部の軸線から遠ざかる向きに延び出すアーム部と、そのアーム部の所定位置に設けられ前記プッシュスイッチを押圧するためのスイッチ押圧部とを備え、前記軸部、前記アーム部及び前記スイッチ押圧部が一体的に該軸部の軸線方向に移動可能かつ軸線周りに回転可能とされており、
前記複数のプッシュスイッチは、前記スイッチ押圧部の前記軸線周りの回転軌跡に沿って前記基板上に配置されており、前記操作ノブが、非操作状態にあるときに位置する原点位置から前記複数のプッシュスイッチのいずれかに対応する回転位置まで前記軸線周りに回転操作され、その回転位置から前記軸線方向に押圧操作されたときの押圧位置にて選択されたプッシュスイッチがオンするように構成されており、
前記操作ノブと前記基板又は前記ケース体との間には、前記操作ノブの操作に応じて弾性変形し、操作が解除された前記操作ノブを弾性復帰力に基づいて前記押圧位置から前記原点位置へ復帰させるノブ復帰部が設けられていることを特徴とする車両計器用スイッチ。
【請求項2】
前記ノブ復帰部は、前記操作ノブの前記軸線方向の直線移動、及び前記操作ノブの前記軸線周りの回転移動に応じて弾性変形するコイルばねとして構成され、その一端部が前記基板又は前記ケース体側の係止部に係止され、他端部が前記軸部側の係止部に係止される請求項1に記載の車両計器用スイッチ。
【請求項3】
前記ノブ復帰部は、前記操作ノブの前記軸線方向の直線移動に応じて弾性変形する第一弾性部と、前記操作ノブの前記軸線周りの回転移動に応じて弾性変形する第二弾性部とを備えた弾性部として構成され、前記軸部と一体的に設けられている請求項1に記載の車両計器用スイッチ。
【請求項4】
前記ノブ復帰部は、前記操作ノブの前記軸線方向の直線移動に応じて弾性変形する第一弾性部と、前記操作ノブの前記軸線周りの回転移動に応じて弾性変形する第二弾性部とを備えた弾性部として構成され、前記基板又は前記ケース体と一体的に設けられている請求項1に記載の車両計器用スイッチ。
【請求項5】
前記ケース体には、前記操作ノブのスイッチ押圧部が前記回転位置に対して周方向にずれているとき、押圧操作に伴って前記軸線方向へ直線移動する前記スイッチ押圧部に接触して前記押圧位置へと誘導する誘導部が形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両計器用スイッチ。
【請求項6】
前記ケース体には、前記操作ノブの前記軸線周りの回転を規制する回転規制部が形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両計器用スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−165598(P2011−165598A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29881(P2010−29881)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】