説明

車両電子制御ユニット用ケース

【課題】防水機能を持つと共に、コネクタ着脱作業の作業性を向上させることができる車両電子制御ユニット用ケースを提供する。
【解決手段】電子制御ユニットを内部に収容し、下方及び一側方に開口を有するケース本体2と、ケース本体2の下方の開口を閉塞するカバー3と、を備え、一側方の開口に電子制御ユニットのコネクタが収まって車両に搭載される車両電子制御ユニット用ケースであって、ケース本体2のうち一側方の開口の上方に位置する上方部位から一側方に突出し、コネクタの被水を抑制する防水ひさし4を備え、防水ひさし4は、上方部位から一側方に突出したひさし本体部41と、上方部位とひさし本体部41とを接合し、ひさし本体部41を一側方に保持すると共に、接合部分を軸として防水ひさし41を上方に可動可能とする可動保持部42と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御ユニットを収容し、車両に搭載される車両電子制御ユニット用ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には複数の電子制御ユニットが搭載されている。この電子制御ユニットは、ケースに収容されて車両の各部位に搭載される。電子制御ユニットは、電子回路を有しており、被水すると誤作動の原因となり得る。そのため、ケースには、電子回路等の防水機能が求められる。特に、ケースには、電子制御ユニットのコネクタを外部に露出する開口が設けられており、コネクタ周辺から内部へと被水する虞がある。
【0003】
そこで、コネクタ周辺の防水機能としては、例えば、特表2002−539027号公報(特許公報1)に記載されたハウジングの装着板を長く延ばしてひさしとすることが考えられる。
【0004】
また、例えば、特開2000−159053号公報(特許公報2)に記載のとおり、コネクタ上方に防水シートを貼ることが行われている。これらの措置により、コネクタ上方からの被水が防がれ、ケース内部の被水が防がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−539027号公報
【特許文献2】特開2000−159053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コネクタ上方にひさしや防水シートを設けると、コネクタを車両側のコネクタと嵌合させる作業(あるいは外す作業)を行う際、ひさしが作業の邪魔となり、作業効率が落ちるという問題があった。
【0007】
また、防水シートは、コネクタ側に垂れ下がってくることもあり、コネクタ着脱作業の妨げとなっていた。防水シートをコネクタ嵌合後に貼ることも考えられるが、貼る作業はそれ自体手間がかかり、作業効率を落とすことになる。また、防水シートは、コストが高く、コスト面での問題もある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、防水機能を持つと共に、コネクタ着脱作業の作業性を向上させることができる車両電子制御ユニット用ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、電子制御ユニットを内部に収容し、下方及び一側方に開口を有するケース本体と、ケース本体の下方の開口を閉塞するカバーと、を備え、一側方の開口に電子制御ユニットのコネクタが収まって車両に搭載される車両電子制御ユニット用ケースであって、ケース本体のうち一側方の開口の上方に位置する上方部位から一側方に突出し、コネクタの被水を抑制する防水ひさしを備え、防水ひさしは、上方部位から一側方に突出したひさし本体部と、上方部位とひさし本体部とを接合し、ひさし本体部を一側方に保持すると共に、接合部分を軸として防水ひさしを上方に可動可能とする可動保持部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、平常状態において防水ひさしがコネクタ周辺への被水を防止し、コネクタ着脱作業時には、可動保持部を軸にひさし本体部を上方へ移動させることができる。つまり、本構成によれば、平常状態において防水機能が発揮されると共に、コネクタ着脱時に防水ひさしが邪魔にならず、作業性を向上させることができる。平常状態とは、コネクタ着脱作業時を除いた、車両に搭載する際の状態(あるいは搭載した状態)を意味する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ひさし本体部が、上方部位から一側方に突出した平面部と、平面部の側端から下方に突出しケース本体に接触した側面部と、を有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ひさし本体部が側面部を有するため、コネクタ周辺への側方からの被水を抑制することができる。また、側面部がケース本体に接触しているため、防水ひさし自体が平常状態より下方に垂れ下がることが確実に防止される。つまり、側面部がストッパーとして機能する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、ケース本体及び側面部のうち、一方にフックが形成され、他方にフックに嵌合するフック孔が形成されていることを特徴とする。この構成によれば、コネクタ嵌合作業後、フックとフック孔を嵌合させれば、防水ひさしが上方にずれることはなく、防水精度を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、防水ひさしが、上方から下方への移動に伴い、コネクタに嵌合される車両側コネクタを嵌合方向に案内する案内部を有することを特徴とする。この構成によれば、コネクタ嵌合作業時に、半嵌合状態のコネクタに対して、上方に回避した防水ひさしを下方の定位置へ戻すことで、車両側コネクタが嵌合方向に案内され、確実にコネクタを嵌合させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、防水ひさしは、コネクタに対応する車両側コネクタがコネクタに嵌合したか否かを検知する検知部を有することを特徴とする。この構成によれば、作業者は、コネクタ嵌合作業時に、コネクタの半嵌合状態を検知でき、作業のミスを予防することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、防水ひさしが、ケース本体の上面に対して、先端が上方となるよう傾斜していることを特徴とする。この構成によれば、ケース本体の上面に対して平常状態において傾斜しているため、防水ひさしが下方に垂れ下がることによる作業性の悪化を防止することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、ケース本体及び防水ひさしが、一体的に形成され、可動保持手段は、ひさし本体部よりも薄肉形状となっていることを特徴とする。この構成によれば、ケースの成形工数及び部品点数を低減することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、電子制御ユニットがエアバッグの制御に用いられることを特徴とする。この構成によれば、例えば、上方にカップホルダが設置された車室内のセンターコンソール下に配置される場合や、インストルメントパネル等のエアコンの下方に配置される場合でも、ケース内への被水を適切に防止することができる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、車両に搭載される電子制御ユニットを内部に収容し、上方及び一側方に開口を有するケース本体と、ケース本体の上方の開口を閉塞するカバーと、を備え、一側方の開口に電子制御ユニットのコネクタが嵌合される車両電子制御ユニット用ケースであって、カバーから一側方に突出し、コネクタの被水を防止する防水ひさしを備え、防水ひさしは、カバーから一側方に突出したひさし本体部と、カバーとひさし本体部とを接合し、ひさし本体部を一側方に保持すると共に、接合部分を軸としてひさし本体部を上方に可動可能とする可動保持部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、請求項1に記載の発明と同様に、防水機能を保ちつつ、コネクタ着脱の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第一実施形態の車両電子制御ユニット用ケース1を示す模式斜視図である。
【図2】第一実施形態の車両電子制御ユニット用ケース1を示す側面図である。
【図3】第一実施形態の変形態様を示す平面図である。
【図4】第一実施形態の変形態様を示す側面図である。
【図5】第二実施形態の車両電子制御ユニット用ケース10を示す斜視図である。
【図6】第二実施形態の案内部43の機能を説明するための説明図である。
【図7】第三実施形態の車両電子制御ユニット用ケース1Aを示す側面図である。
【図8】第三実施形態の検出部44の機能を説明するための説明図である。
【図9】第三実施形態の変形態様を示す側面図である。
【図10】第四実施形態の車両電子制御ユニット用ケース100を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態においては、一例としてエアバッグの展開等を制御する電子制御ユニット(以下、ECUと称する)のケースについて説明する。
【0023】
<第一実施形態>
第一実施形態の車両電子制御ユニット用ケース(以下、車両ECU用ケースと称する)1は、図1に示すように、ケース本体2と、カバー3と、防水ひさし4と、を備えている。
【0024】
ケース本体2は、略直方体形状であって、そのうち下方と一側方(ここでは前方)が開口した樹脂製の筐体である。ケース本体2は、内側にECUを収容する。具体的に、ケース本体2は、上壁面21と、右側壁面22と、左側壁面23と、後壁面24と、を有している。
【0025】
カバー3は、金属製あるいは樹脂製の平板部材であって、ケース本体2の下方の開口を塞ぐ部材である。カバー3は、ケース本体2の内側下方にネジ止め等(図示せず)により固定される。後述するがECUは、カバー3上に固定され、ケース本体2内に収容される。
【0026】
防水ひさし4は、樹脂製の平板部材であって、ケース本体2と一体成形されている。防水ひさし4は、ひさし本体部41と、可動保持部42と、を有している。ひさし本体部41は、ケース本体2の上壁面21の前方端面から前方に突出しており、上方からのECUへの被水を抑制する。ひさし本体部41は、ケース本体2の前方の開口幅より若干大きい横幅(左右の幅)を有し、本実施形態ではケース本体2の横幅と等しくなっている。本実施形態では、ひさし本体部41と上壁面21とは平行となっている。
【0027】
可動保持部42は、上壁面21の前方端面とひさし本体部41とを接合し、ひさし本体部41を前方に保持すると共に、当該接合部分を軸としてひさし本体部41を上方に可動可能とするものである。具体的に、可動保持部42は、図2に示すように、ひさし本体部41及び上壁面21よりも肉厚が薄い薄肉形状となるよう、下面側に切り込みを入れて形成されている。これにより、ひさし本体部41は、平常時にはケース本体2の上壁面21と平行に保持され、コネクタ着脱作業時には可動保持部42を軸として上方に可動することができる。
【0028】
本実施形態において、車両ECU用ケース1に収容されるECUは、エアバッグの制御に用いられる電子制御装置である。図1に示すように、ECUは、主に基板XとコネクタYとを有している。コネクタYは、車両側のコネクタZ(例えば、エアバッグ装置につながるコネクタ:図6参照)と嵌合させられる。
【0029】
ECUは、カバー3上に固定され、ケース本体2の下方の開口からケース本体2内に配置される。この際、ECUのコネクタYが、ケース本体2の前方の開口内に収まる(嵌る)。
【0030】
本実施形態によれば、ECUをケース内に収容した後、ECUのコネクタYと車両側コネクタZとを嵌合させる際、前方に突出した防水ひさし4を上方に起こすことができる。つまり、防水ひさし4が嵌合作業を邪魔することはなく、作業者は、容易にコネクタ同士を嵌合させることができる。防水ひさし4を上方に起こすことで、例えば、作業者の指が防水ひさし4にぶつかることが防がれる。これは、コネクタを外す作業においても同様である。また、コネクタ周辺が防水ひさしにより死角になることがなく、作業者は、上方から、コネクタ同士が完全に嵌合したか否かを確かめやすくなる。このように、本実施形態によれば、コネクタ着脱作業の作業性が向上する。
【0031】
そして、コネクタ同士が嵌合された後は、防水ひさし4を下方に戻し、平常状態(ここでは上壁面21とひさし本体部41とが平行な状態)にすることで、防水ひさし4が防水機能を発揮することができる。ひさし本体部41は、可動保持部42により保持されているため、下方に垂れ下がることもない。このように、本実施形態の車両ECU用ケース1は、防水機能を発揮すると共に、コネクタ着脱作業の作業性を向上させることができる。
【0032】
なお、第一実施形態は上記に限られない。例えば、可動保持部42は、防水ひさし4の上面側(あるいは上面側と下面側の両方)に切り込みを設けることで形成してもよい。ただし、防水ひさし4の下面側に切り込みを設けることで、上壁部21の前方端面がストッパーの役割を果たし、ひさし本体部41が下方に垂れ下がるのを効果的に防止できる。
【0033】
また、ケース本体2と防水ひさし4は別体であってもよい。この場合、可動保持部42は、図3に示すように、上壁面21及びひさし本体部41上面に設置したヒンジ(蝶番)であってもよい。
【0034】
また、ケース本体2とひさし本体部41との接合は、上壁面21の前方端面に限らず、上壁面21の上面であってもよい。これによっても、上記同様の効果が発揮される。つまり、可動保持部42は、ケース本体2の前方の開口の上方に位置する部位(上方部位)に配置されればよい。上方部位としては、例えば、上記のように上壁面21の前方端面又は上面が挙げられる。
【0035】
また、防水ひさし4は、図4に示すように、平常状態において、ケース本体2の上壁面21に対して、可動保持部42を軸に上方に傾斜していてもよい。これは、例えば、成形時に所定角度に癖付ける等により実現できる。これによれば、防水ひさし4が、上壁面21と平行な位置より下方に下がってくることを予防することができる。つまり、防水ひさし4が上記平行位置より下がることによる作業性の悪化、あるいは防水機能の低下を防ぐことができる。
【0036】
<第二実施形態>
第二実施形態の車両ECU用ケース10は、図5に示すように、ケース本体20と、カバー3と、防水ひさし40と、を備えている。なお、第一実施形態と同構成については、同符号を付して説明を省略する。また、図5は、ECUを省略し、防水ひさし40が上方に起こされた状態を表している。
【0037】
ケース本体20は、第一実施形態とほぼ同様の構成であって、上壁面21と、右側壁面22と、左側壁面23と、後壁面24と、前方縁部25と、を有している。前方縁部25は、ケース本体2の前方壁面に開口を設けた後に残った部位である。具体的に、前方縁部25は、右側壁面22の前方端面から左方に突出した右側部位251と、左側壁面23の前方端面から右方に突出した左側部位252と、を有している。右側部位251及び左側部位252には、後述するフック412aに対応するフック孔25aが設けられている。
【0038】
防水ひさし40は、樹脂製であり、ひさし本体部410と、可動保持部42と、案内部43と、を有している。ひさし本体部410は、平面部411と、側面部412と、からなっている。平面部411は、平板状であり、上壁面21の前方端面から前方に突出している。平面部411の横幅は、前方の開口幅よりも若干大きくなっている。
【0039】
側面部412は、平板状であり、平面部411の左右両方の側方端部から下方に突出し、平常状態において後方端面がケース本体2に接触している。具体的に、右側の側面部412は右側部位251に接触し、左側の側面部412は左側部位252に接触する。側面部412の後方端面には、後方に突出したフック412aが形成されている。フック412aは、作業者が防水ひさし40を押し下げることで、前方縁部25に設けられたフック孔25aと嵌合する。ここでは、樹脂の弾性を利用したスナップフィット構造を採用している。
【0040】
案内部43は、側面部412の内側に設けられており、図6に示すように、ひさし本体部410が上方から下方へ移動することで、車両側コネクタZを嵌合方向(前方から後方)に案内するものである。
【0041】
具体的に、案内部43は、側面部412の内側から突出し、後方端面が、上方ほど後方に突き出された凹弧状となっている。ひさし本体部410を上方から下方に移動させると、車両側コネクタZは、左右の突起部分が案内部43の後方端面に当接し、当該後方端面に沿って後方に押し込まれる。案内部43の後方端面は、ひさし本体部410が平常状態となるところで、コネクタ同士が完全に嵌合されるように形成されている。
【0042】
作業者は、コネクタ嵌合時に、フック412aをフック孔25aから外し(又は外れた状態から)、ひさし本体部410を上方に起こすことで、防水ひさし40に邪魔されることなく、コネクタ嵌合作業を行える。例えば、作業者は、コネクタ同士を半嵌合状態とした後、ひさし本体部410を下方に戻すことで、案内部43が車両側コネクタを前方に押し込み、コネクタ同士を完全に嵌合させることができる。
【0043】
また、作業者は、フック412aをフック孔25aに嵌合させることで、コネクタ同士が完全に嵌合したことを知ることができる。反対に、フック同士が嵌合していない状態(ひさし本体部410が上方に傾斜した状態)は、コネクタ同士が完全に嵌合していないことを示している。つまり、第二実施形態において、フック412a及びフック孔25aは、コネクタ同士が嵌合したか否かを検知する手段(本発明における「検知部」に相当する)としても機能する。
【0044】
第二実施形態によれば、第一実施形態同様の効果に加えて以下のような効果が発揮される。第二実施形態では、防水ひさし40が側面部412を有しているため、側方からの被水を抑制することができる。また、側面部412は、平常状態で、ケース本体20(前方縁部25)に接触しているため、防水ひさし40の平常位置(上壁面21と平行)を確実に維持することができる。
【0045】
また、フック412aとフック孔25aがあるため、車両走行中の大きな振動に対しても防水ひさし40が位置ずれすることがない。また、案内部43により、コネクタが半嵌合状態となるようなミスが防止される。また、作業者は、フック同士を嵌合させることで、コネクタ同士が嵌合したことを容易に確認できる。作業者は、フック同士が嵌合するときの音や手の感覚から、コネクタ同士の嵌合を容易に確認することができる。
【0046】
なお、第二実施形態は、第一実施形態の変形態様同様、上記に限られない。例えば、可動保持部42は、防水ひさし4の上面側(あるいは上面側と下面側の両方)に切り込みを設けることで形成してもよい。また、ケース本体20と防水ひさし40は別体であってもよい。この場合、可動保持部42は、ヒンジ(蝶番)であってもよい。また、ケース本体20とひさし本体部410との接合は、上壁面21の上面であってもよい。
【0047】
<第三実施形態>
第三実施形態の車両ECU用ケース1Aは、図7に示すように、第一実施形態のひさし本体部41に検知部44を設けている。検知部44は、ひさし本体部41の下面前方側から下方に突起している。
【0048】
検知部44は、図8に示すように、コネクタ同士が半嵌合状態であるときは、車両側コネクタの一部(例えば突起部分)に当接する。当該当接状態では、防水ひさし4は、平常状態、すなわち上壁面21と平行な状態まで下方に下がらない。つまり、コネクタ同士が半嵌合状態であるとき、防水ひさし4は、上壁面21に対して上方に傾斜した状態となる。
【0049】
反対に、コネクタ同士が完全に嵌合した状態のとき、検知部44は、車両側コネクタの突起部分に当接せず、あるいは車両側コネクタに接触しない。つまり、コネクタ同士が正規の嵌合状態である場合、防水ひさし4は、平常状態、すなわち上壁面21と平行な状態となる。作業者は、防水ひさし4が平常状態であればコネクタが嵌合していると判断でき、防水ひさし4が傾斜している状態(先端が浮いている状態)であれば半嵌合状態であることを検知できる。つまり、検知部44を有する第三実施形態によれば、コネクタ同士が嵌合した否かを検知することができる。
【0050】
なお、第一実施形態の変形態様(図4)のように、防水ひさし4が平常状態で傾斜している場合、検知部44は、図9に示すように、フック形状であることが好ましい。具体的に、検知部44は、防水ひさし4が平常状態(傾斜状態)からさらに下方に下げられて上壁面21と平行になるところで、嵌合状態の車両側コネクタの一部(例えば後端部)に引っかかる(嵌合する)ように形成されている。
【0051】
これによれば、防水ひさし4が下方に下げられた際、検知部44が車両側コネクタと嵌合しなければ、コネクタ同士が半嵌合状態であることが検知できる。検知部44の嵌合を外すことで、防水ひさし4は自然に平常状態(傾斜状態)に戻り、作業者は、そこから防水ひさし4を上方に起こすことで容易にコネクタ着脱作業が実行できる。
【0052】
また、第三実施形態の検知部44は、第二実施形態の防水ひさし40に設けてもよい。
【0053】
<第四実施形態>
第四実施形態の車両ECU用ケース100は、図10に示すように、第一実施形態におけるケース本体2とカバー3とが上下反対となっている場合であって、カバー3に防水ひさし4(又は40)が設けられている。つまり、第四実施形態では、カバー3が第一実施形態の上壁面21に該当する。ケース本体2は、内部にECU基板が配置され、当該コネクタがケース前方の開口に嵌り、カバー3により上方の開口が塞がれる。
【0054】
第一実施形態のようにカバー3が金属性である場合、別部材の防水ひさし4をヒンジ等でカバー3に接合することで、第一実施形態と同様の効果が発揮される。一方、カバー3が樹脂製である場合、ヒンジによる接合のほか、カバー3と防水ひさし4とを一体に成形することも可能である。
【0055】
本発明の防水ひさし4、40は、ECUのコネクタが嵌る開口部の上方に設けられればよく、設置対象は、ケース本体2でもカバー3でもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,10,1A,100:車両ECU用ケース、
2,20:ケース本体、 3:カバー、
4,40:防水ひさし、 41,410:ひさし本体部、 42:可動保持部、
43:案内部、 44:検知部、
X:基板、 Y:コネクタ、 Z:車両側コネクタ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御ユニットを内部に収容し、下方及び一側方に開口を有するケース本体と、前記ケース本体の下方の開口を閉塞するカバーと、を備え、前記一側方の開口に前記電子制御ユニットのコネクタが収まって車両に搭載される車両電子制御ユニット用ケースであって、
前記ケース本体のうち前記一側方の開口の上方に位置する上方部位から前記一側方に突出し、前記コネクタの被水を抑制する防水ひさしを備え、
前記防水ひさしは、
前記上方部位から前記一側方に突出したひさし本体部と、
前記上方部位と前記ひさし本体部とを接合し、前記ひさし本体部を前記一側方に保持すると共に、前記接合部分を軸として前記防水ひさしを上方に可動可能とする可動保持部と、
を備えることを特徴とする車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項2】
前記ひさし本体部は、
前記上方部位から前記一側方に突出した平面部と、
前記平面部の側端から下方に突出し前記ケース本体に接触した側面部と、
を有することを特徴とする車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項3】
前記ケース本体及び前記側面部のうち、一方にフックが形成され、他方に前記フックに嵌合するフック孔が形成されている請求項2に記載の車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項4】
前記防水ひさしは、上方から下方への移動に伴い、前記コネクタに嵌合される車両側コネクタを嵌合方向に案内する案内部を有する請求項2又は3に記載の車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項5】
前記防水ひさしは、前記コネクタに対応する車両側コネクタが前記コネクタに嵌合したか否かを検知する検知部を有する請求項1〜4の何れか一項に記載の車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項6】
前記防水ひさしは、前記ケース本体の上面に対して、先端が上方となるよう傾斜している請求項1〜5に記載の車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項7】
前記ケース本体及び前記防水ひさしは、一体的に形成され、
前記可動保持部は、前記ひさし本体部よりも薄肉形状となっている請求項1〜6の何れか一項に記載の車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項8】
車両に搭載される電子制御ユニットを内部に収容し、上方及び一側方に開口を有するケース本体と、前記ケース本体の上方の開口を閉塞するカバーと、を備え、前記一側方の開口に前記電子制御ユニットのコネクタが嵌合される車両電子制御ユニット用ケースであって、
前記カバーから前記一側方に突出し、前記コネクタの被水を防止する防水ひさしを備え、
前記防水ひさしは、前記カバーから前記一側方に突出したひさし本体部と、
前記カバーと前記ひさし本体部とを接合し、前記ひさし本体部を前記一側方に保持すると共に、前記接合部分を軸として前記ひさし本体部を上方に可動可能とする可動保持部と、
を備えることを特徴とする車両電子制御ユニット用ケース。
【請求項9】
前記電子制御ユニットは、エアバッグの制御に用いられる請求項1〜8の何れか一項に記載の車両電子制御ユニット用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−105494(P2012−105494A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253573(P2010−253573)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】