車体用バンパ芯材、及びその成形装置及び成形方法
【課題】強度を保ちつつ、レインフォースメント取付け面にバリが無い、又はバリが従来よりも小さなバンパ芯材を提供する。
【解決手段】成形装置内にて、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティ30内には、複数の仕切板31、31がスリット44を通って出没可能に設けられる。仕切板31に仕切られた各空間内に、粒径の小さな発泡樹脂ビーズと粒径の大きな発泡樹脂ビーズを夫々充填して、高強度部11と低強度部12とを一体に具えてレインフォースメント取付け面10を有するバンパ芯材1が形成される。スリット44の幅は、高強度部11を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されている。
【解決手段】成形装置内にて、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティ30内には、複数の仕切板31、31がスリット44を通って出没可能に設けられる。仕切板31に仕切られた各空間内に、粒径の小さな発泡樹脂ビーズと粒径の大きな発泡樹脂ビーズを夫々充填して、高強度部11と低強度部12とを一体に具えてレインフォースメント取付け面10を有するバンパ芯材1が形成される。スリット44の幅は、高強度部11を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に取り付けるバンパ用のバンパ芯材、及びそれを成形する装置及びその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、自動車の車体の後部に取り付けられる従来のバンパ(2)の側面断面図である。バンパ(2)は、合成樹脂発泡体から形成されるバンパ芯材(1)を、車体(図示せず)に取り付けられるレインフォースメント(20)に取り付け、これをポリプロピレン等の成形品からなる表皮(21)にて覆って構成される。以下の記載では、バンパ芯材(1)に対して車体側、即ちレインフォースメント(20)側を後方、レインフォースメント(20)と反対側を前方と呼ぶ。また、バンパ芯材(1)上にてレインフォースメント(20)が取り付けられる面を、レインフォースメント取付け面(10)と呼ぶ。バンパ芯材(1)は、発泡樹脂ビーズを金型内に充填し、加熱して発泡樹脂ビーズを発泡させて形成される。
図13は、従来のバンパ芯材(1)の斜視図である。バンパ芯材(1)は取り付けられるべき車体の形状に合わせて、長手方向が車体の幅方向に合わさって円弧状に形成される。また、バンパ芯材(1)はバンパ(2)の形状に応じて、前面が、丸みを帯びた形状に形成されることが多い。ここにおいて、バンパ芯材(1)は長手方向の中央部が車体の前方向に突出しているから、該中央部に衝突等の衝撃が加わりやすい。従って、該中央部には、高い強度が要求される。一方、バンパ芯材(1)の長手方向の両端部は、中央部に比して衝撃が加わることが少ないと考えられ、低い強度でも良い。
【0003】
バンパ芯材(1)を全体に均一な密度の発泡成形体から形成せんとする場合は、強度の低い発泡成形体から形成すると、強度が不足してバンパ芯材(1)が破損しやすい。故に、強度の高い発泡成形体にて、バンパ芯材(1)の全体が形成されることになる。しかし、これでは、不要な重量増加になるとともに、バンパ芯材(1)の値段が重量によって決まるからコスト上昇を招来する。
そこで、バンパ芯材(1)の長手方向の中央部を、高い強度、即ち密度の高い樹脂にて形成し、両端部を密度の低い樹脂にて形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。バンパ芯材(1)の長手方向の中央部が、粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる密度の高い高強度部(11)であり、長手方向の両端部が、粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる密度の低い低強度部(12)(12)である。これにより、バンパ芯材(1)の重量を軽くするとともに、コスト上昇を防いでいる。
【0004】
図14は、バンパ芯材(1)を成形する従来の金型(3)の一部断面平面図である。周知の如く、金型(3)は固定型(4)と移動型(5)を合わせて構成され、両型(4)(5)間のキャビティ(30)に発泡樹脂ビーズを充填させて、バンパ芯材(1)が形成される。キャビティ(30)は仕切板(31)によって複数の空間S1、S2に分割され、空間S1が高強度部(11)、空間S2が低強度部(12)となる。仕切板(31)は移動型(5)に開設されたスリット(44)を通って、キャビティ(30)内に出没可能に設けられる。移動型(5)上にてスリット(44)の周部には、バンパ芯材(1)の溝(18)を形成する突出部(58)が設けられている。移動型(5)はバックプレート(51)を具え、該バックプレート(51)に各仕切板(31)に繋がったシリンダ(32)が設けられている。シリンダ(32)によって仕切板(31)はキャビティ(30)内を出没する。固定型(4)には、空間S1、S2に応じて樹脂充填用のフィーダ(42)(42)が接続されている。
成形時には、仕切板(31)がキャビティ(30)内に挿入された状態で、各フィーダ(42)(42)から所定の粒径に予備成形された発泡樹脂ビーズが空間S1、S2内に充填される。シリンダ(32)によってキャビティ(30)内から仕切板(31)を後退させた後に、両型(4)(5)を加熱して、発泡樹脂ビーズを融着させる。冷却後に離型して、高強度部(11)と低強度部(12)を一体に具えたバンパ芯材(1)を得る。バンパ芯材(1)上にて、移動型(5)の前面に接した面がレインフォースメント取付け面(10)となる。
【0005】
従来のバンパ芯材(1)の形成時にて、仮に突出部(58)を設けず、溝(18)を形成しなければ、以下の不具合がある。仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は、ビーズの粒径よりも大きいから、図15に拡大して示すように、仕切板(31)をキャビティ(30)から抜いた後の仕切板(31)の移行路内に、発泡圧力によりビーズ(6)(60)が進入する。該進入したビーズ(6)(60)は移動型(5)側の面に突出して、点線で示すレインフォースメント取付け面(10)上のバリ(61)となる。
図16は、図15をB方向から見た断面正面図である。仕切板(31)はバンパ芯材(1)の形状に合わせて先端部が丸みを帯びている。この場合、発泡樹脂ビーズを充填後に、仕切板(31)をキャビティ(30)内から抜くと、仕切板(31)の先端部とキャビティ(30)との間に、図16に点線で示す隙間(33)ができる。従って、該隙間(33)に発泡樹脂が充填され、これによってもバンパ芯材(1)上にてレインフォースメント取付け面(10)にバリ(61)ができやすい。
該バリ(61)が突出しすぎると、バンパ芯材(1)がレインフォースメント(20)に取り付けられた際に、バンパ芯材(1)が浮き上がるから、衝撃吸収能力がバンパ芯材(1)の長手方向に亘って不均一となる。また、レインフォースメント(20)上の所望の位置にバンパ芯材(1)を取り付けにくくなり、バンパ(2)の組立作業性が悪くなる。従って、移動型(5)上に突出部(58)を形成して、バンパ芯材(1)のレインフォースメント取付け面(10)に溝(18)を設け、バリ(61)を溝(18)内に納めている。これにより、バリ(61)はレインフォースメント(20)に当たりにくい。
【0006】
【特許文献1】特開2001−63496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のバンパ芯材(1)では、上下に亘って溝(18)を設けているから、該溝(18)の分だけバンパ芯材(1)の厚みが減り、強度が低下していた。
本発明の目的は、強度を保ちつつ、レインフォースメント取付け面にバリが無い、又はバリが従来よりも小さなバンパ芯材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
成形装置内にて、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティ(30)内には、複数の仕切板(31)(31)がスリット(44)を通って出没可能に設けられる。仕切板(31)に仕切られたキャビティ(30)の各空間内に、粒径の小さな発泡樹脂ビーズと粒径の大きな発泡樹脂ビーズを夫々充填して、高強度部(11)と低強度部(12)とを一体に具えてレインフォースメント取付け面(10)を有するバンパ芯材(1)が形成される。スリット(44)の幅は、高強度部(11)を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されている。
また、仕切板(31)は、レインフォースメント取付け面(10)側とは反対側の型側からキャビティ(30)内に進入し、キャビティ(30)進入完了時に、先端部がレインフォースメント取付け面(10)を形成する型の面に位置する。
【発明の効果】
【0009】
キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填する時には、仕切板(31)の先端部がレインフォースメント取付け面(10)を形成する型の面に接する。キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填した後に、仕切板(31)をレインフォースメント取付け面(10)側とは反対側の型に移動させて、キャビティ(30)から抜く。従って、図16で点線で示すような隙間(33)がレインフォースメント取付け面(10)側に生じない。これによって、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は従来よりも小さくしている。
また、仕切板(31)をスリット(44)を通ってキャビティ(30)から抜いた後に、発泡樹脂ビーズを加熱する。スリット(44)の幅は、高強度部(11)を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも薄く形成されているから、該仕切板(31)の移行路内に発泡樹脂ビーズが進入しても、発泡樹脂のビーズはレインフォースメント取付け面(10)から外側に突出することはない、若しくは突出量が小さい。
これにより、従来のようにレインフォースメント取付け面(10)に溝(18)を設けなくとも、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は従来よりも小さくすることができた。従って、かかるバンパ芯材(1)は安定してレインフォースメント(20)に取り付けられる。また、従来の如く、溝(18)の形成によって、バンパ芯材(1)の強度が低下することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図を用いて、説明する。
図1は、バンパ芯材(1)の斜視図である。バンパ芯材(1)は従来と同様に、円弧状に形成され、長手方向が車体の幅方向に略一致する。また、バンパ芯材(1)の前面が、稍丸みを帯びた形状に形成されている。但し、従来と異なり、レインフォースメント取付け面(10)に溝(18)は設けられていない。バンパ芯材(1)の長手方向の中央部が、粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる密度の高い高強度部(11)であり、長手方向の両端部が、粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる密度の低い低強度部(12)(12)である。出願人は、発泡樹脂ビーズとして原料粒子を5−30倍に予備発泡して得られた直径1−5mm程度のビーズを用いることを提案しており、発泡樹脂ビーズを構成する樹脂については、後記する。また、低強度部(12)のビーズの粒径は高強度部(11)のビーズの粒径の約2倍であるが、この値に限定されない。
図2は、図1をA−A線を含む面にて破断した断面図である。バンパ芯材(1)の上面及び下面は、夫々レインフォースメント取付け面(10)側から前方に向かって、下向き及び上向きに傾いたテーパ面(13)となっている。従って、左右に開閉する金型を用いてバンパ芯材(1)を成形する場合には、テーパ面(13)が抜き勾配となる。
【0011】
図3は、バンパ芯材(1)を成形する金型(3)の斜視図である。金型(3)は周知の如く、固定型(4)と移動型(5)を合わせて構成される。固定型(4)は固定側フレーム(40)の前面を第1バックプレート(41)で覆って構成される。移動型(5)は移動側フレーム(50)の後面を第2バックプレート(51)で覆って構成され、移動型(5)はスライド機構(図示せず)によって、固定型(4)に対して接近離間する。第1バックプレート(41)には、固定側フレーム(40)内に発泡樹脂のビーズを注入するフィーダ(42)(42)(42)が設けられている。
【0012】
図4は、図3の金型(3)をD−D線を含む面にて破断した断面平面図である。固定側フレーム(40)は、凹型(43)を具え、前記フィーダ(42)の先端部は凹型(43)に嵌まる。移動側フレーム(50)はコアとも呼ばれる凸型(52)を具え、固定型(4)と移動型(5)が合わさったときに、凹型(43)と凸型(52)との間に形成されるキャビティ(30)に発泡樹脂のビーズが充填されて、蒸気加熱及び冷却によりバンパ芯材(1)(図1参照)が形成される。凸型(52)の先端面は円弧状に形成され、バンパ芯材(1)上にて、凸型(52)の先端面に対向する面が、レインフォースメント取付け面(10)となる。即ち、凸型(52)にてレインフォースメント取付け面(10)を形成する。
凹型(43)と第1バックプレート(41)、凸型(52)と第2バックプレート(51)との間には、加熱蒸気が導入される蒸気室(45)(53)が夫々形成され、該加熱蒸気によってキャビティ(30)内の発泡樹脂ビーズが発泡・融着される。
キャビティ(30)は仕切板(31)(31)によって複数の空間S1、S2に分割され、空間S1が高強度部(11)、空間S2が低強度部(12)となる。前記フィーダ(42)(42)(42)は、空間S1、S2に応じて配備される。仕切板(31)は凹型(43)に開設されたスリット(44)(図5参照)を通って、ガタツキのない状態でキャビティ(30)内に出没可能に設けられ、仕切板(31)は第1バックプレート(41)に取り付けられたシリンダ(32)によってキャビティ(30)内を出没する。即ち、仕切板(31)は図14に示す従来の構成と異なり、固定型(4)側からキャビティ(30)内に挿入される。
仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は、粒径の小さな方の発泡樹脂ビーズの粒径よりも薄く、具体的には1.5mm以下である。図5は、図4をG方向から見た拡大図であり、図6(a)、(b)は、図3をE−E線を含む面にて破断した断面正面図である。仕切板(31)は従来に比して薄いので、強度不足となり、不用意に衝撃等が加わると変形する虞れがある。そこで、仕切板(31)をスリット(44)にガタツキを規制された状態で嵌めて、スリット(44)にて仕切板(31)の前後移動を案内するとともに、仕切板(31)をスリット(44)の両側壁で受け、強度不足を補っている。
金型(3)には一般的な材料として、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、鋼などを用いることができるが、金型(3)をアルミニウム(AC7A)で形成し、仕切板(31)をステンレス(SUS304)にて形成するのが好ましい。金型(3)と仕切板(31)を異質材料にて形成することにより、仕切板(31)が滑らかにスライドすることができる。実施例では、仕切板(31)の厚みは1mmで、発泡樹脂ビーズの粒径は、粒径の小さな方が1.2〜1.5mmで、粒径の大きな方が1.9〜2.3mmである。
【0013】
(樹脂充填時)
以下に、成形動作の手順を示し、先ず発泡樹脂ビーズの充填動作を示す。図4及び図6(a)に示すように、発泡樹脂のビーズを充填する時には、仕切板(31)はシリンダ(32)によってキャビティ(30)内に進出して嵌まる。仕切板(31)の先端は凸型(52)の先端面に接する。
フィーダ(42)から空間S1に粒径の小さなビーズが、空間S2に粒径の大きなビーズが夫々充填される。充填完了後は、シリンダ(32)を駆動して、図6(b)に示すように、キャビティ(30)から仕切板(31)を固定型(4)に向けて抜く。
図7は、このときの図4のF部の拡大図であり、スリット(44)に向けてビーズ(6)(60)が流れ出るようにも見える。しかし、前記の如く、仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は粒径の小さな方の発泡樹脂ビーズ(60)の粒径よりも薄いから、スリット(44)に向けてビーズ(6)(60)が突出する量はゼロ、若しくは非常に小さい。
また、仕切板(31)を固定型(4)に向けて抜くから、図16で点線で示すような隙間(33)がレインフォースメント取付け面(10)側に生じない。これによって、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は小さくしている。
【0014】
(溶融時及び離型時)
仕切板(31)がシリンダ(32)によってキャビティ(30)内から抜かれると、蒸気室(45)(53)に加熱蒸気が導入される。凹型(43)及び凸型(52)を加熱して、空間S1、S2内の発泡樹脂ビーズを融着させる。高強度部(11)と低強度部(12)(12)とが一体となったバンパ芯材(1)が形成される。
両型(43)(52)の冷却後に、図8に示すように、移動型(5)が後退して離型する。このようにして、バンパ芯材(1)を得る。
【0015】
(本例の効果)
本例にあっては、キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填する時には、仕切板(31)の先端部がレインフォースメント取付け面(10)を形成する移動型(5)の面に接する。キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填した後に、仕切板(31)を固定型(4)に向けて移動させて、キャビティ(30)から抜く。従って、図16で点線で示すような隙間(33)がレインフォースメント取付け面(10)側に生じない。これによって、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は小さくしている。
また、仕切板(31)をキャビティ(30)から抜いた後に、発泡樹脂ビーズを加熱するが、仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は、高強度部(11)を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されているから、該仕切板(31)の移行路内に発泡樹脂ビーズが進入しても、発泡樹脂のビーズはレインフォースメント取付け面(10)から外側に突出することはない、若しくは突出量が小さい。
これにより、従来のように溝(18)を設けなくとも、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は小さくすることができた。従って、かかるバンパ芯材(1)は安定してレインフォースメント(20)に取り付けられる。
【0016】
出願人は、上記の成形方法を用いて、スチレン改質ポリエチレン系樹脂(商品名:ピオセラン(登録商標)POOP、積水化成品工業株式会社製)を5倍と20倍とに発泡した予備発泡粒子を用いて、バンパ芯材(1)を作成し、バリを検査治具(7)にて測定した。
図10は、測定治具(7)の背面図であり、図11は、図10をX−X線を含む面にて破断した断面図である。測定治具(7)は、固定部(70)上に、バンパ芯材(1)の長手方向に沿って複数の保持部(71)と測定部(72)を配備している。保持部(71)には、バンパ芯材(1)が設置され、測定部(72)は厚さ3mmのアルミ板から形成されて、固定部(70)に形成された溝(73)に嵌まって、バンパ芯材(1)に対し接近離間可能に設けられている。測定部(72)のバンパ芯材(1)に対向する箇所は、バンパ芯材(1)の測定個所の形状に沿って、所定の隙間(約2mm)が設けられる形状に形成されている。
バリ測定時には、保持部(71)にバンパ芯材(1)を設置した後に、溝(73)に測定部(72)を嵌める。測定部(72)を溝(73)に沿ってバンパ芯材(1)に近づけ、バンパ芯材(1)と測定部(72)上の所定位置の隙間X1をテーパゲージにて測定する。
バンパ芯材(1)は円弧面に沿う長手方向の長さが約110cmであり、長手方向の中央部の高さが約13cmである。バリは、高強度部(11)と低強度部(12)の境界である図1のK部に生じる。レインフォースメント取付け面(10)上の境界K1に於いて、バリは0mmであった。また、バンパ芯材(1)上にて、レインフォースメント取付け面(10)以外の面上の境界K2に於いて、バリは1mm以下であった。
【0017】
上記の記載では、レインフォースメント取付け面(10)は、移動型(5)の凸型(52)に対向しているとした。しかし、図9に示すように、凸型(52)を固定型(4)に設け、レインフォースメント取付け面(10)を該凸型(52)にて形成し、仕切板(31)を移動型(5)からキャビティ(30)内に進入させてもよい。
また、発泡樹脂ビーズを、キャビティ(30)内に充填するには、キャビティ(30)とフィーダ(42)との間に圧力差を設けて充填する所謂圧縮充填法を用いてもよい。
発泡樹脂ビーズは、合成樹脂に物理型発泡剤を含浸させて構成され、加熱によって発泡し、予備発泡させたものも含まれる。合成樹脂としては、スチレン改質ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のポリメタクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。これら合成樹脂の混合物やモノマーの共重合体なども使用できる。
また、物理型発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロブタン等の脂肪族環化水素類、二酸化炭素、窒素、空気等の無機ガス等が挙げられる。これらの物理型発泡剤は単体で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0018】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】バンパ芯材の斜視図である。
【図2】図2は、図1をA−A線を含む面にて破断した断面図である。
【図3】バンパ芯材を成形する金型の斜視図である。
【図4】図3の金型をD−D線を含む面にて破断した断面平面図である。
【図5】図4をG方向から見た拡大図である。
【図6】(a)、(b)は、図3をE−E線を含む面にて破断した断面正面図である。
【図7】図4のF部の拡大図であり、発泡樹脂ビーズが充填された状態を示す。
【図8】移動型が移動した状態を示す断面平面図である。
【図9】別の金型を示す断面平面図である。
【図10】測定治具の背面図である。
【図11】図10をX−X線を含む面にて破断した断面図である。
【図12】従来のバンパの側面断面図である。
【図13】従来のバンパ芯材の斜視図である。
【図14】バンパ芯材を成形する従来の金型の一部断面平面図である。
【図15】図14のC部の拡大図であり、突出部が無い状態を示す。
【図16】図15をB方向から見た断面正面図である。
【符号の説明】
【0020】
(1) バンパ芯材
(4) 固定型
(5) 移動型
(10) レインフォースメント取付け面
(11) 高強度部
(12) 低強度部
(30) キャビティ
(31) 仕切板
(44) スリット
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に取り付けるバンパ用のバンパ芯材、及びそれを成形する装置及びその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、自動車の車体の後部に取り付けられる従来のバンパ(2)の側面断面図である。バンパ(2)は、合成樹脂発泡体から形成されるバンパ芯材(1)を、車体(図示せず)に取り付けられるレインフォースメント(20)に取り付け、これをポリプロピレン等の成形品からなる表皮(21)にて覆って構成される。以下の記載では、バンパ芯材(1)に対して車体側、即ちレインフォースメント(20)側を後方、レインフォースメント(20)と反対側を前方と呼ぶ。また、バンパ芯材(1)上にてレインフォースメント(20)が取り付けられる面を、レインフォースメント取付け面(10)と呼ぶ。バンパ芯材(1)は、発泡樹脂ビーズを金型内に充填し、加熱して発泡樹脂ビーズを発泡させて形成される。
図13は、従来のバンパ芯材(1)の斜視図である。バンパ芯材(1)は取り付けられるべき車体の形状に合わせて、長手方向が車体の幅方向に合わさって円弧状に形成される。また、バンパ芯材(1)はバンパ(2)の形状に応じて、前面が、丸みを帯びた形状に形成されることが多い。ここにおいて、バンパ芯材(1)は長手方向の中央部が車体の前方向に突出しているから、該中央部に衝突等の衝撃が加わりやすい。従って、該中央部には、高い強度が要求される。一方、バンパ芯材(1)の長手方向の両端部は、中央部に比して衝撃が加わることが少ないと考えられ、低い強度でも良い。
【0003】
バンパ芯材(1)を全体に均一な密度の発泡成形体から形成せんとする場合は、強度の低い発泡成形体から形成すると、強度が不足してバンパ芯材(1)が破損しやすい。故に、強度の高い発泡成形体にて、バンパ芯材(1)の全体が形成されることになる。しかし、これでは、不要な重量増加になるとともに、バンパ芯材(1)の値段が重量によって決まるからコスト上昇を招来する。
そこで、バンパ芯材(1)の長手方向の中央部を、高い強度、即ち密度の高い樹脂にて形成し、両端部を密度の低い樹脂にて形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。バンパ芯材(1)の長手方向の中央部が、粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる密度の高い高強度部(11)であり、長手方向の両端部が、粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる密度の低い低強度部(12)(12)である。これにより、バンパ芯材(1)の重量を軽くするとともに、コスト上昇を防いでいる。
【0004】
図14は、バンパ芯材(1)を成形する従来の金型(3)の一部断面平面図である。周知の如く、金型(3)は固定型(4)と移動型(5)を合わせて構成され、両型(4)(5)間のキャビティ(30)に発泡樹脂ビーズを充填させて、バンパ芯材(1)が形成される。キャビティ(30)は仕切板(31)によって複数の空間S1、S2に分割され、空間S1が高強度部(11)、空間S2が低強度部(12)となる。仕切板(31)は移動型(5)に開設されたスリット(44)を通って、キャビティ(30)内に出没可能に設けられる。移動型(5)上にてスリット(44)の周部には、バンパ芯材(1)の溝(18)を形成する突出部(58)が設けられている。移動型(5)はバックプレート(51)を具え、該バックプレート(51)に各仕切板(31)に繋がったシリンダ(32)が設けられている。シリンダ(32)によって仕切板(31)はキャビティ(30)内を出没する。固定型(4)には、空間S1、S2に応じて樹脂充填用のフィーダ(42)(42)が接続されている。
成形時には、仕切板(31)がキャビティ(30)内に挿入された状態で、各フィーダ(42)(42)から所定の粒径に予備成形された発泡樹脂ビーズが空間S1、S2内に充填される。シリンダ(32)によってキャビティ(30)内から仕切板(31)を後退させた後に、両型(4)(5)を加熱して、発泡樹脂ビーズを融着させる。冷却後に離型して、高強度部(11)と低強度部(12)を一体に具えたバンパ芯材(1)を得る。バンパ芯材(1)上にて、移動型(5)の前面に接した面がレインフォースメント取付け面(10)となる。
【0005】
従来のバンパ芯材(1)の形成時にて、仮に突出部(58)を設けず、溝(18)を形成しなければ、以下の不具合がある。仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は、ビーズの粒径よりも大きいから、図15に拡大して示すように、仕切板(31)をキャビティ(30)から抜いた後の仕切板(31)の移行路内に、発泡圧力によりビーズ(6)(60)が進入する。該進入したビーズ(6)(60)は移動型(5)側の面に突出して、点線で示すレインフォースメント取付け面(10)上のバリ(61)となる。
図16は、図15をB方向から見た断面正面図である。仕切板(31)はバンパ芯材(1)の形状に合わせて先端部が丸みを帯びている。この場合、発泡樹脂ビーズを充填後に、仕切板(31)をキャビティ(30)内から抜くと、仕切板(31)の先端部とキャビティ(30)との間に、図16に点線で示す隙間(33)ができる。従って、該隙間(33)に発泡樹脂が充填され、これによってもバンパ芯材(1)上にてレインフォースメント取付け面(10)にバリ(61)ができやすい。
該バリ(61)が突出しすぎると、バンパ芯材(1)がレインフォースメント(20)に取り付けられた際に、バンパ芯材(1)が浮き上がるから、衝撃吸収能力がバンパ芯材(1)の長手方向に亘って不均一となる。また、レインフォースメント(20)上の所望の位置にバンパ芯材(1)を取り付けにくくなり、バンパ(2)の組立作業性が悪くなる。従って、移動型(5)上に突出部(58)を形成して、バンパ芯材(1)のレインフォースメント取付け面(10)に溝(18)を設け、バリ(61)を溝(18)内に納めている。これにより、バリ(61)はレインフォースメント(20)に当たりにくい。
【0006】
【特許文献1】特開2001−63496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のバンパ芯材(1)では、上下に亘って溝(18)を設けているから、該溝(18)の分だけバンパ芯材(1)の厚みが減り、強度が低下していた。
本発明の目的は、強度を保ちつつ、レインフォースメント取付け面にバリが無い、又はバリが従来よりも小さなバンパ芯材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
成形装置内にて、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティ(30)内には、複数の仕切板(31)(31)がスリット(44)を通って出没可能に設けられる。仕切板(31)に仕切られたキャビティ(30)の各空間内に、粒径の小さな発泡樹脂ビーズと粒径の大きな発泡樹脂ビーズを夫々充填して、高強度部(11)と低強度部(12)とを一体に具えてレインフォースメント取付け面(10)を有するバンパ芯材(1)が形成される。スリット(44)の幅は、高強度部(11)を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されている。
また、仕切板(31)は、レインフォースメント取付け面(10)側とは反対側の型側からキャビティ(30)内に進入し、キャビティ(30)進入完了時に、先端部がレインフォースメント取付け面(10)を形成する型の面に位置する。
【発明の効果】
【0009】
キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填する時には、仕切板(31)の先端部がレインフォースメント取付け面(10)を形成する型の面に接する。キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填した後に、仕切板(31)をレインフォースメント取付け面(10)側とは反対側の型に移動させて、キャビティ(30)から抜く。従って、図16で点線で示すような隙間(33)がレインフォースメント取付け面(10)側に生じない。これによって、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は従来よりも小さくしている。
また、仕切板(31)をスリット(44)を通ってキャビティ(30)から抜いた後に、発泡樹脂ビーズを加熱する。スリット(44)の幅は、高強度部(11)を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも薄く形成されているから、該仕切板(31)の移行路内に発泡樹脂ビーズが進入しても、発泡樹脂のビーズはレインフォースメント取付け面(10)から外側に突出することはない、若しくは突出量が小さい。
これにより、従来のようにレインフォースメント取付け面(10)に溝(18)を設けなくとも、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は従来よりも小さくすることができた。従って、かかるバンパ芯材(1)は安定してレインフォースメント(20)に取り付けられる。また、従来の如く、溝(18)の形成によって、バンパ芯材(1)の強度が低下することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図を用いて、説明する。
図1は、バンパ芯材(1)の斜視図である。バンパ芯材(1)は従来と同様に、円弧状に形成され、長手方向が車体の幅方向に略一致する。また、バンパ芯材(1)の前面が、稍丸みを帯びた形状に形成されている。但し、従来と異なり、レインフォースメント取付け面(10)に溝(18)は設けられていない。バンパ芯材(1)の長手方向の中央部が、粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる密度の高い高強度部(11)であり、長手方向の両端部が、粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる密度の低い低強度部(12)(12)である。出願人は、発泡樹脂ビーズとして原料粒子を5−30倍に予備発泡して得られた直径1−5mm程度のビーズを用いることを提案しており、発泡樹脂ビーズを構成する樹脂については、後記する。また、低強度部(12)のビーズの粒径は高強度部(11)のビーズの粒径の約2倍であるが、この値に限定されない。
図2は、図1をA−A線を含む面にて破断した断面図である。バンパ芯材(1)の上面及び下面は、夫々レインフォースメント取付け面(10)側から前方に向かって、下向き及び上向きに傾いたテーパ面(13)となっている。従って、左右に開閉する金型を用いてバンパ芯材(1)を成形する場合には、テーパ面(13)が抜き勾配となる。
【0011】
図3は、バンパ芯材(1)を成形する金型(3)の斜視図である。金型(3)は周知の如く、固定型(4)と移動型(5)を合わせて構成される。固定型(4)は固定側フレーム(40)の前面を第1バックプレート(41)で覆って構成される。移動型(5)は移動側フレーム(50)の後面を第2バックプレート(51)で覆って構成され、移動型(5)はスライド機構(図示せず)によって、固定型(4)に対して接近離間する。第1バックプレート(41)には、固定側フレーム(40)内に発泡樹脂のビーズを注入するフィーダ(42)(42)(42)が設けられている。
【0012】
図4は、図3の金型(3)をD−D線を含む面にて破断した断面平面図である。固定側フレーム(40)は、凹型(43)を具え、前記フィーダ(42)の先端部は凹型(43)に嵌まる。移動側フレーム(50)はコアとも呼ばれる凸型(52)を具え、固定型(4)と移動型(5)が合わさったときに、凹型(43)と凸型(52)との間に形成されるキャビティ(30)に発泡樹脂のビーズが充填されて、蒸気加熱及び冷却によりバンパ芯材(1)(図1参照)が形成される。凸型(52)の先端面は円弧状に形成され、バンパ芯材(1)上にて、凸型(52)の先端面に対向する面が、レインフォースメント取付け面(10)となる。即ち、凸型(52)にてレインフォースメント取付け面(10)を形成する。
凹型(43)と第1バックプレート(41)、凸型(52)と第2バックプレート(51)との間には、加熱蒸気が導入される蒸気室(45)(53)が夫々形成され、該加熱蒸気によってキャビティ(30)内の発泡樹脂ビーズが発泡・融着される。
キャビティ(30)は仕切板(31)(31)によって複数の空間S1、S2に分割され、空間S1が高強度部(11)、空間S2が低強度部(12)となる。前記フィーダ(42)(42)(42)は、空間S1、S2に応じて配備される。仕切板(31)は凹型(43)に開設されたスリット(44)(図5参照)を通って、ガタツキのない状態でキャビティ(30)内に出没可能に設けられ、仕切板(31)は第1バックプレート(41)に取り付けられたシリンダ(32)によってキャビティ(30)内を出没する。即ち、仕切板(31)は図14に示す従来の構成と異なり、固定型(4)側からキャビティ(30)内に挿入される。
仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は、粒径の小さな方の発泡樹脂ビーズの粒径よりも薄く、具体的には1.5mm以下である。図5は、図4をG方向から見た拡大図であり、図6(a)、(b)は、図3をE−E線を含む面にて破断した断面正面図である。仕切板(31)は従来に比して薄いので、強度不足となり、不用意に衝撃等が加わると変形する虞れがある。そこで、仕切板(31)をスリット(44)にガタツキを規制された状態で嵌めて、スリット(44)にて仕切板(31)の前後移動を案内するとともに、仕切板(31)をスリット(44)の両側壁で受け、強度不足を補っている。
金型(3)には一般的な材料として、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、鋼などを用いることができるが、金型(3)をアルミニウム(AC7A)で形成し、仕切板(31)をステンレス(SUS304)にて形成するのが好ましい。金型(3)と仕切板(31)を異質材料にて形成することにより、仕切板(31)が滑らかにスライドすることができる。実施例では、仕切板(31)の厚みは1mmで、発泡樹脂ビーズの粒径は、粒径の小さな方が1.2〜1.5mmで、粒径の大きな方が1.9〜2.3mmである。
【0013】
(樹脂充填時)
以下に、成形動作の手順を示し、先ず発泡樹脂ビーズの充填動作を示す。図4及び図6(a)に示すように、発泡樹脂のビーズを充填する時には、仕切板(31)はシリンダ(32)によってキャビティ(30)内に進出して嵌まる。仕切板(31)の先端は凸型(52)の先端面に接する。
フィーダ(42)から空間S1に粒径の小さなビーズが、空間S2に粒径の大きなビーズが夫々充填される。充填完了後は、シリンダ(32)を駆動して、図6(b)に示すように、キャビティ(30)から仕切板(31)を固定型(4)に向けて抜く。
図7は、このときの図4のF部の拡大図であり、スリット(44)に向けてビーズ(6)(60)が流れ出るようにも見える。しかし、前記の如く、仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は粒径の小さな方の発泡樹脂ビーズ(60)の粒径よりも薄いから、スリット(44)に向けてビーズ(6)(60)が突出する量はゼロ、若しくは非常に小さい。
また、仕切板(31)を固定型(4)に向けて抜くから、図16で点線で示すような隙間(33)がレインフォースメント取付け面(10)側に生じない。これによって、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は小さくしている。
【0014】
(溶融時及び離型時)
仕切板(31)がシリンダ(32)によってキャビティ(30)内から抜かれると、蒸気室(45)(53)に加熱蒸気が導入される。凹型(43)及び凸型(52)を加熱して、空間S1、S2内の発泡樹脂ビーズを融着させる。高強度部(11)と低強度部(12)(12)とが一体となったバンパ芯材(1)が形成される。
両型(43)(52)の冷却後に、図8に示すように、移動型(5)が後退して離型する。このようにして、バンパ芯材(1)を得る。
【0015】
(本例の効果)
本例にあっては、キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填する時には、仕切板(31)の先端部がレインフォースメント取付け面(10)を形成する移動型(5)の面に接する。キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填した後に、仕切板(31)を固定型(4)に向けて移動させて、キャビティ(30)から抜く。従って、図16で点線で示すような隙間(33)がレインフォースメント取付け面(10)側に生じない。これによって、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は小さくしている。
また、仕切板(31)をキャビティ(30)から抜いた後に、発泡樹脂ビーズを加熱するが、仕切板(31)の厚み及びスリット(44)の幅は、高強度部(11)を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されているから、該仕切板(31)の移行路内に発泡樹脂ビーズが進入しても、発泡樹脂のビーズはレインフォースメント取付け面(10)から外側に突出することはない、若しくは突出量が小さい。
これにより、従来のように溝(18)を設けなくとも、レインフォースメント取付け面(10)から突出するバリ(61)を無くし、又は小さくすることができた。従って、かかるバンパ芯材(1)は安定してレインフォースメント(20)に取り付けられる。
【0016】
出願人は、上記の成形方法を用いて、スチレン改質ポリエチレン系樹脂(商品名:ピオセラン(登録商標)POOP、積水化成品工業株式会社製)を5倍と20倍とに発泡した予備発泡粒子を用いて、バンパ芯材(1)を作成し、バリを検査治具(7)にて測定した。
図10は、測定治具(7)の背面図であり、図11は、図10をX−X線を含む面にて破断した断面図である。測定治具(7)は、固定部(70)上に、バンパ芯材(1)の長手方向に沿って複数の保持部(71)と測定部(72)を配備している。保持部(71)には、バンパ芯材(1)が設置され、測定部(72)は厚さ3mmのアルミ板から形成されて、固定部(70)に形成された溝(73)に嵌まって、バンパ芯材(1)に対し接近離間可能に設けられている。測定部(72)のバンパ芯材(1)に対向する箇所は、バンパ芯材(1)の測定個所の形状に沿って、所定の隙間(約2mm)が設けられる形状に形成されている。
バリ測定時には、保持部(71)にバンパ芯材(1)を設置した後に、溝(73)に測定部(72)を嵌める。測定部(72)を溝(73)に沿ってバンパ芯材(1)に近づけ、バンパ芯材(1)と測定部(72)上の所定位置の隙間X1をテーパゲージにて測定する。
バンパ芯材(1)は円弧面に沿う長手方向の長さが約110cmであり、長手方向の中央部の高さが約13cmである。バリは、高強度部(11)と低強度部(12)の境界である図1のK部に生じる。レインフォースメント取付け面(10)上の境界K1に於いて、バリは0mmであった。また、バンパ芯材(1)上にて、レインフォースメント取付け面(10)以外の面上の境界K2に於いて、バリは1mm以下であった。
【0017】
上記の記載では、レインフォースメント取付け面(10)は、移動型(5)の凸型(52)に対向しているとした。しかし、図9に示すように、凸型(52)を固定型(4)に設け、レインフォースメント取付け面(10)を該凸型(52)にて形成し、仕切板(31)を移動型(5)からキャビティ(30)内に進入させてもよい。
また、発泡樹脂ビーズを、キャビティ(30)内に充填するには、キャビティ(30)とフィーダ(42)との間に圧力差を設けて充填する所謂圧縮充填法を用いてもよい。
発泡樹脂ビーズは、合成樹脂に物理型発泡剤を含浸させて構成され、加熱によって発泡し、予備発泡させたものも含まれる。合成樹脂としては、スチレン改質ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のポリメタクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。これら合成樹脂の混合物やモノマーの共重合体なども使用できる。
また、物理型発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロブタン等の脂肪族環化水素類、二酸化炭素、窒素、空気等の無機ガス等が挙げられる。これらの物理型発泡剤は単体で用いても、2種類以上を併用してもよい。
【0018】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】バンパ芯材の斜視図である。
【図2】図2は、図1をA−A線を含む面にて破断した断面図である。
【図3】バンパ芯材を成形する金型の斜視図である。
【図4】図3の金型をD−D線を含む面にて破断した断面平面図である。
【図5】図4をG方向から見た拡大図である。
【図6】(a)、(b)は、図3をE−E線を含む面にて破断した断面正面図である。
【図7】図4のF部の拡大図であり、発泡樹脂ビーズが充填された状態を示す。
【図8】移動型が移動した状態を示す断面平面図である。
【図9】別の金型を示す断面平面図である。
【図10】測定治具の背面図である。
【図11】図10をX−X線を含む面にて破断した断面図である。
【図12】従来のバンパの側面断面図である。
【図13】従来のバンパ芯材の斜視図である。
【図14】バンパ芯材を成形する従来の金型の一部断面平面図である。
【図15】図14のC部の拡大図であり、突出部が無い状態を示す。
【図16】図15をB方向から見た断面正面図である。
【符号の説明】
【0020】
(1) バンパ芯材
(4) 固定型
(5) 移動型
(10) レインフォースメント取付け面
(11) 高強度部
(12) 低強度部
(30) キャビティ
(31) 仕切板
(44) スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定型と移動型の間に、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティを設け、該キャビティ内に、複数の仕切板をスリットを通って出没可能に設け、粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる高強度部と粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有するバンパ芯材を形成する成形装置に於いて、
スリットは、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側に形成され、
スリットの幅は、高強度部を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されたことを特徴とする車体用バンパ芯材の成形装置。
【請求項2】
固定型と移動型の間に、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティを設け、該キャビティ内に、複数の仕切板を出没可能に設け、高強度部と低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有するバンパ芯材を形成する成形装置に於いて、
仕切板は、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側からキャビティ内に進入し、キャビティ進入完了時に、先端部がレインフォースメント取付け面を形成する型の面に接することを特徴とする車体用バンパ芯材の成形装置。
【請求項3】
仕切板は、レインフォースメント取付け面側に位置する型とは反対側の型に形成されたスリットにガタツキを規制された状態で嵌まって、キャビティに対する出没を案内される請求項2に記載の車体用バンパ芯材の成形装置。
【請求項4】
粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる高強度部と粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有するバンパ芯材を形成する成形方法であって、
固定型と移動型の間に形成されたキャビティ内に、仕切板を、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側から挿入して、キャビティを空間S1、S2に仕切る工程と、
仕切板の先端部をレインフォースメント取付け面を形成する型の面に当接させる工程と、
仕切板に仕切られた空間S1、S2内に、高強度部を形成する発泡樹脂ビーズ及び低強度部を形成する発泡樹脂ビーズを夫々充填する工程と、
仕切板をレインフォースメント取付け面側とは反対側の型に向けて、キャビティから抜く工程と、
を有するバンパ芯材の成形方法。
【請求項5】
粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる高強度部と粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有し、
固定型と移動型の間に形成されたキャビティ内に、仕切板を、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側から挿入して、キャビティを空間S1、S2に仕切る工程と、
仕切板の先端部をレインフォースメント取付け面を形成する型の面に当接させる工程と、
仕切板に仕切られた空間S1、S2内に、高強度部を形成する発泡樹脂ビーズ及び低強度部を形成する発泡樹脂ビーズを夫々充填する工程と、
仕切板をレインフォースメント取付け面側とは反対側の型に向けて、キャビティから抜く工程とによって形成されるバンパ芯材。
【請求項1】
固定型と移動型の間に、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティを設け、該キャビティ内に、複数の仕切板をスリットを通って出没可能に設け、粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる高強度部と粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有するバンパ芯材を形成する成形装置に於いて、
スリットは、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側に形成され、
スリットの幅は、高強度部を構成する発泡樹脂ビーズの粒径よりも小さく形成されたことを特徴とする車体用バンパ芯材の成形装置。
【請求項2】
固定型と移動型の間に、発泡樹脂ビーズが充填されるキャビティを設け、該キャビティ内に、複数の仕切板を出没可能に設け、高強度部と低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有するバンパ芯材を形成する成形装置に於いて、
仕切板は、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側からキャビティ内に進入し、キャビティ進入完了時に、先端部がレインフォースメント取付け面を形成する型の面に接することを特徴とする車体用バンパ芯材の成形装置。
【請求項3】
仕切板は、レインフォースメント取付け面側に位置する型とは反対側の型に形成されたスリットにガタツキを規制された状態で嵌まって、キャビティに対する出没を案内される請求項2に記載の車体用バンパ芯材の成形装置。
【請求項4】
粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる高強度部と粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有するバンパ芯材を形成する成形方法であって、
固定型と移動型の間に形成されたキャビティ内に、仕切板を、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側から挿入して、キャビティを空間S1、S2に仕切る工程と、
仕切板の先端部をレインフォースメント取付け面を形成する型の面に当接させる工程と、
仕切板に仕切られた空間S1、S2内に、高強度部を形成する発泡樹脂ビーズ及び低強度部を形成する発泡樹脂ビーズを夫々充填する工程と、
仕切板をレインフォースメント取付け面側とは反対側の型に向けて、キャビティから抜く工程と、
を有するバンパ芯材の成形方法。
【請求項5】
粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる高強度部と粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる低強度部とを一体に具えてレインフォースメント取付け面を有し、
固定型と移動型の間に形成されたキャビティ内に、仕切板を、レインフォースメント取付け面側とは反対側の型側から挿入して、キャビティを空間S1、S2に仕切る工程と、
仕切板の先端部をレインフォースメント取付け面を形成する型の面に当接させる工程と、
仕切板に仕切られた空間S1、S2内に、高強度部を形成する発泡樹脂ビーズ及び低強度部を形成する発泡樹脂ビーズを夫々充填する工程と、
仕切板をレインフォースメント取付け面側とは反対側の型に向けて、キャビティから抜く工程とによって形成されるバンパ芯材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−123732(P2006−123732A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314930(P2004−314930)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(591014961)株式会社丸豊鋳材製作所 (1)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(591014961)株式会社丸豊鋳材製作所 (1)
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