説明

車体組立ラインにおけるドアの搬送方法及び車体組立ラインにおけるドアの搬送装置

【課題】低コストで敷設スペースを必要としない車体組立ラインにおけるドアの搬送方法及び車体組立ラインにおけるドアの搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送コンベアC/Vの搬送パレット1に車体Wを載置して搬送することにより前記車体Wに部品を組み付ける車体組立ラインLにおけるドア搬送方法であって、前記搬送パレット1の基台2に配設したドア収納部4に、前記車体Wから取り外したドアDを載置して搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体組立ラインにおけるドアの搬送方法及び車体組立ラインにおけるドアの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗装が完了した車体からドアを取り外し、搬送装置を用いて第1のドアストレージ装置に搬送し、ドアを第1のドアストレージ装置からドア組立ラインに搬出し、ドア組立ラインでドアにドア構成部品を組み付ける工程と、ドア構成部品を組み付けたドアを第2のドアストレージ装置に搬送しこの第2のドアストレージ装置に送り込む工程と、第2のドアストレージ装置からドアを搬出し、部品の組付けを完了した車体本体とドアの組み付け場所までこのドアを搬送し、車体本体にドアを組み付ける工程とからなる、ドアの搬送装置及びドアの搬送方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−358976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術にあっては、塗装された後の車体からドアを取り外すドア取り外し工程から第1のドアストレージ装置へドアを搬送するためにドア搬送工程が必要となり、また、第2のドアストレージ装置から車体本体にドアを組み付ける車体組立ラインへドアを搬送するため、ここでもドア搬送工程が必要となる。そのため、ドア搬送ハンガーの製作、搬送コンベアの敷設が必要となり、コスト高となる課題がある。また、搬送コンベアを敷設するための広大なスペースを確保しなければならないという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、低コストで敷設スペースを必要としない車体組立ラインにおけるドアの搬送方法及び車体組立ラインにおけるドアの搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、フロアコンベア(例えば、実施形態における搬送コンベアC/V)の車体搬送台車(例えば、実施形態における搬送パレット1)に車体(例えば、実施形態における車体W)を載置して搬送することにより前記車体に部品を組み付ける車体組立ライン(例えば、実施形態における車体組立ラインL)におけるドア搬送方法であって、前記車体搬送台車の基台(例えば、実施形態における基台2)に配設したドア収納部(例えば、実施形態におけるドア収納部4)に、前記車体から取り外したドア(例えば、実施形態におけるドアD)を載置して搬送することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記車体組立ラインの初工程(例えば、実施形態における)ドア取り外し工程F)で前記ドアを車体から取り外し、前記車体搬送台車の前記ドア収納部(例えば、実施形態におけるドア収納部4)に載置して前記車体組立ラインの下流側に向けて前記ドアを搬送することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記車体組立ラインに近接してドア小組ライン(例えば、実施形態におけるドア小組ラインB)の初工程(例えば、実施形態におけるドア移載工程H)を配設し、前記車体搬送台車の前記ドア収納部に載置されて搬送されてきたドアを前記ドア収納部から取り出し、前記ドア小組ラインのドア搬送台車(例えば、実施形態におけるドアパレットP)に移載することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記ドア収納部はドア収納部出入り手段(例えば、実施形態におけるドア収納部出没機構10)により前記車体搬送台車の基台から外方に出没されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記車体組立ラインにおいて車体を載置して搬送する車体搬送台車の基台下面であって搬送方向に沿う両側に一対のガイドレール(例えば、実施形態におけるガイドレール30,30)を敷設し、前記ガイドレールに係合する複数のローラ(例えば、実施形態におけるローラ31,31,…)を有するドア収納部を前記基台に対してその外方に出没自在に配設したことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載した発明は、前記ドア収納部は前記基台から外方への突出状態において、水平状態と垂直状態に変位可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載した発明は、前記ドア収納部は前記ドア収納部出入り手段により前記車体搬送台車の前記基台に対して外方に出没されることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載した発明は、前記ドア収納部出入り手段は前記車体組立ラインの前記車体搬送台車に同期して作動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した発明によれば、車体搬送台車が車体組立ラインに沿って搬送されることを有効利用して、車体から取り外されたドアを搬送することができる。よって、ドアを別途搬送するためのドア搬送ハンガーの製作、搬送コンベアの敷設が必要なく、敷設のための広大なスペースも必要なく、低コスト化を図ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、特別な搬送コンベアを必要とせず車体から取り外されたドアを車体搬送を行うだけで搬送することができる。
請求項3に記載した発明によれば、車体組立ラインに近接した位置に配置されたドア小組ラインに対して搬送コンベア等を経由する必要なく短い経路で素早くドアを移載することができる。
請求項4に記載した発明によれば、ドア収納部に収納されたドアは車体搬送台車の搬送の邪魔になることはなく、車体搬送台車の搬送方向へは突出しないため、既存の車体搬送台車の搬送ライン長を延長させるようなことはない。
請求項5に記載した発明によれば、車体搬送台車に手を加えるだけで、ドアをコンパクトに収納して、ドアを長い経路搬送する搬送コンベアを設ける必要が無くなる。
請求項6に記載した発明によれば、ドアを垂直状態にできるため、ドアを収納部に収納したり、ドアを収納部から取り出す作業が、作業者の負担を軽減して行い易くなる。
請求項7に記載した発明によれば、ドアの外方への出没動作を確実に行うことができる。
請求項8に記載した発明によれば、ドア収納部出入り手段によるドア収納部の出没動作が車体搬送台車の搬送動作に悪影響を与えることなく、通常通りの車体組立工程を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施形態の車体組立ラインの一部切欠き平面図である。
【図2】ドア搬送装置の平面説明図である。
【図3】一部を断面にした図2のY矢視図である。
【図4】図2のX矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、塗装ラインにおいて塗装が施された車体Wは搬送コンベア(C/V)によって車体組立ラインLに搬送される。この搬送コンベア(C/V)は周知のフリクションローラ(F/R)を用いたフリクションコンベアである。車体組立ラインLでは、車体Wは車体Wごとに搬送パレット1に載置されて搬送される。車体Wは搬送パレット1の基台2上に配置された昇降装置3(図3、図4参照)により昇降し、車体Wは昇降装置3によって各工程で各々部品組み付けに適した昇降位置3に保持され、その状態で車体Wに部品が組み付けられる。
【0017】
搬送パレット1は矩形形状に形成され、搬送パレット1の基台2上には搬送方向に平行な辺に搬送パレット1内に出没自在にドア収納部4が各々2個配設されている。搬送方向の上流側のドア収納部4には該当する側のリヤドアD1が、また搬送方向の下流側のドア収納部4には該当する側のフロントドアD2が収納される構造となっている。したがって、搬送パレット1には上流側の左右と下流側の左右に対応してドア収納部4が合計4個設けられている。
【0018】
そして、車体組立ラインLの初工程で搬送パレット1に載置された車体WからフロントドアD2とリヤドアD1(以下、総称してドアDともいう)を取り外し、ドア収納部4を搬送パレット1内から引き出し、ドアDをドア収納部4に載置して、搬送パレット1にドア収納部4を収納する。
そして、搬送パレット1は車体組立ラインLの上流側から下流側に向けて搬送され、各工程で前述したように車体Wに必要な部品の組み付けが行われる。
車体組立ラインLの初工程としてドア取り外し工程Fが配置され、また車体組立ラインLの最終工程近傍にドア取り付け工程Gが配置されている。
【0019】
車体組立ラインLの途中には、車体組立ラインLからドア小組ラインBにドアDを移載するのに先だって、搬送パレット1のドア収納部4からドアDを取り出すドア取り出し工程Mが配置されている。このドア取り出し工程Mの両側には、車体組立ラインLのドア取り出し工程Mでドア収納部4から取り出されたドアDをドアパレットPに移載するドア移載工程(ステージ)Hが配置されている。このドア移載工程Hにおいてドア取り出し工程Mの両側に近接するドア小組ラインBの初工程にドアDが移載される。
車体組立ラインLのドア取り付け工程Gの両側にはドア小組ラインBから車体組立ラインLにドアDを移載するドア移載工程(ステージ)Kが配置されている。
【0020】
ドア取り外し工程Fでは、この工程に至った搬送パレット1と、この搬送パレット1に隣接している上流側の搬送パレット1のうち、この工程に至った搬送パレット1の上流側のドア収納部4と、上流側の搬送パレット1の下流側のドア収納部4を搬送パレット1から引き出し、各々リヤドアD1、フロントドアD2を搬送パレット1のドア収納部4に収納する。そして、次のサイクルで、先ほどドア収納部4が引き出されドアDが収納された下流側の搬送パレット1の上流側のドア収納部4と、上流側の搬送パレット1の下流側のドア収納部4が搬送パレット1の基台2内に収納され、搬送パレット1は車体組立ラインLを下流側に搬送される。
【0021】
そして、搬送パレット1がドア小組ラインBのドア取り出し工程Mに到着すると、この工程に至った搬送パレット1の上流側のドア収納部4と、上流側の搬送パレット1の下流側のドア収納部4が搬送パレット1から引き出される。そして、作業者がドア収納部4からドアDを取り出し、ドア小組ラインBのドア移載工程Hに待機しているドアパレットPにドアDを移載し、ドアDにはドア小組ラインBで部品の組み付けが行われる。
【0022】
そして、次のサイクルで、先ほどドア収納部4が引き出されドアDが取り出された下流側の搬送パレット1の上流側のドア収納部4と、上流側の搬送パレット1の下流側のドア収納部4は搬送パレット1の基台2内に収納され、搬送パレット1は車体組立ラインLの下流に向けて搬送され、各工程で基台2上の車体Wに対して部品の組み付けを行う。
そして、搬送パレット1がドア取り付け工程Gに到着すると、その両側に配設されたドア小組ラインBのドア移載工程Kに到着した小組の完了したドアDを作業者がドアパレットPから取り出し、搬送パレット1上の車体Wに取り付ける。そして、ドアDが取り付けられた車体Wは更に車体組立ラインLの下流に向けて搬送される。
【0023】
図2は隣接する搬送パレット1,1の一部を切欠いてドア収納部4を実線で示した平面図であり、隣接する上流側の搬送パレット1と下流側の搬送パレット1とを、下流側の搬送パレット1はドア収納部4を収納した状態、上流側の搬送パレット1はドア収納部4を引き出した状態として示している。
次に、図2〜図4に基づいて、搬送パレット1の基台2に対して出没されるドア収納部出没機構10について説明する。
【0024】
このドア収納部出没機構10は車体組立ラインLのドア取り外し工程Fとドア取り出し工程Mの両側に配設されている。具体的には、ドア取り外し工程Fとドア取り出し工程Mの上流側直近と下流側直近に左右に配設され、上流側直近に配置されているのがドア収納部出機構10aであり、下流側直近に配置されているのがドア収納部入機構10bである。両者は同一構造の装置であるのでドア収納部出機構10aを例にして説明する。
【0025】
ドア収納部出機構10aは、第1基台11を備えている。第1基台11上には車体組立ラインLの搬送方向に平行に第1ガイドレール12が敷設され、この第1ガイドレール12上にリニアシリンダ13を介して摺動する第2基台14が配置されている。第2基台14上には車体組立ラインLに直行する方向に第2ガイドレール15が敷設され、この第2ガイドレール15上に第1駆動シリンダ16を介して摺動する第3基台17が配置されている。
【0026】
第3基台17上には車体組立ラインLに直行する方向にロッドを延出する第2駆動シリンダ18が設けられている。第2駆動シリンダ18のロッドには車体組立ラインLに直行する方向に移動するラックギヤ19が設けられている。第3基台17上には一対の支持板20,20が立設され、支持板20,20に軸支された支持軸22のピニオンギヤ21がラックギヤ19に螺合している。支持軸22の両端部には押圧部材23が起立可能に取り付けられている。
【0027】
第2基台14上には4つの支持板24を脚にして第4基台25が設けられている。この第4基台25の支持板24は、第3基台17及び支持軸22と緩衝しないように、これら第3基台17及び支持軸22の外側に配置されている。
第4基台25上には、第3駆動シリンダ26がロッドを車体組立ラインLに直行する方向に延出するようにして設けられている。この第3駆動シリンダ26のロッドに支持板28が取り付けられ、支持板28の上面に車体組立ラインLに直行する方向に移動する一対のラックギヤ27が取り付けられている。
【0028】
次に、搬送パレット1の基台2に取り付けられたドア収納部4の構成について説明する。搬送パレット1の基台2には、車体組立ラインLの上流側の端部及び下流側の端部の両側部に各々ドア収納部4が設けられている。基台2の下面には一対のガイドレール30,30が車体組立ラインLに直行する方向に敷設されている。ガイドレール30には四角形状のドア支持枠32のローラ31,31…が係合している。よって、ガイドレール30,30に係合する複数のローラ31,31…を両側面に有するドア収納部4が基台2に対してその外方に出没自在に配設されることとなる。尚、図2では一部のドア収納部4にのみローラ31を示す。
【0029】
ドア支持枠32は支持部33と回動部34とで構成されている(図2参照)。支持部33は基部33aとその先端の切り欠かれた係合部33bより形成され、この係合部33bの外側に回動部34を構成するコの字型の枠体41が回転軸36によって係合されている。この状態で回動部34の両側面と支持部33の基部33aの両側面は面一になる。
また、支持部33の下面から前方に支持板35が延出され回動部34を支持している(図4参照)。回転軸36の両側にはピニオンギヤ37が固定され、このピニオンギヤ37がドア収納部出機構10aのラックギヤ27に噛合している。
【0030】
回動部34の枠体41の基端側には支持板38が配設され、支持板38上には両側にドア支持棒39を有するドア保持部40が回転軸42により回転自在に保持されている。通常時は固定ピン43を支持板38とドア保持部40に係合することにより枠体41内に収納状態となる。
【0031】
次に、ドア収納部出没機構10及びドア収納部4の作用を説明する。
搬送パレット1がドア取り出し工程Fの近傍まで搬送されてくると、ドア収納部出機構10aのリニアシリンダ13が作動して第2基台14が搬送パレット1と同時に下流側に移動する同期状態となる。
【0032】
この状態で第1駆動シリンダ16が伸張し第3基台17を伸張端まで移動させ、更に第2駆動シリンダ18を作動させラックギヤ19が摺動すると、ピニオンギヤ21が回転して、支持軸22の両端の押圧部材23,23は水平状態から垂直状態へと変位する。これにより押圧部材23,23が上流側と下流側で隣接する搬送パレット1,1の隣接する各ドア収納部4の回動部34の枠体41内に起立する。その後、第1駆動シリンダ16が縮退すると、隣接する搬送パレット1,1の隣接するドア収納部4,4が搬送パレット1の基台2から各々外方に引き出された突出状態となる。
【0033】
次いで、第3駆動シリンダ26が作動し、これによりラックギヤ27が摺動し、ラックギヤ27と係合するピニオンギヤ37が回転することにより、各ドア収納部4の回動部34が水平状態から垂直状態に変位する(図4鎖線参照)。この状態で図示しないピンが搬送パレット1の基台2内から突出すると回動部34が水平状態に戻るのが阻止され回動部34の垂直状態が維持される。これと同時に第2駆動シリンダ18を作動させ、ラックギヤ19を介してピニオンギヤ21を回転させて押圧部材23,23を垂直状態から水平状態に復動させ、各ドア収納部4との係合を解除する。
【0034】
そして、リニアシリンダ13を作動させ第2基台14を元の位置に復帰させる。このように第2基台14を元の位置に復帰させる際には、ラックギヤ27は搬送パレット1の搬送方向に沿って溝を有しているため、ラックギヤ27とピニオンギヤ37との係合はスムーズに解除される。
【0035】
搬送パレット1上では作業者が下流側の車体WからリヤドアD1を上流側の車体WからフロントドアD2を取り外し、起立状態にある各回動部34のドア保持部40に形成されたドア支持棒39間にリヤドアD1、フロントドアD2をボルトにより締結する。ここで、締結はリヤドアD1、フロントドアD2の図示しないヒンジ穴及びドアストライカー孔とドア支持棒39に形成された図示しない締結孔にボルトを挿通することにより行われる。
【0036】
次に、搬送パレット1がドア収納部出機構10aに近接したドア収納部入機構10bの近傍まで搬送されると、前述したドア収納部出機構10aと同様に、リニアシリンダ13が作動して第2基台14が搬送パレット1と同期状態となる。このとき、ドア収納部入機構10b側のラックギヤ27が搬送パレット1,1側の各ピニオンギヤ37に噛合する。その後、図示しないピンを搬送パレット1の基台2内に後退させて回動部34のロックを解除し、回動部34の垂直状態をラックギヤ27とピニオンギヤ37により維持する。
【0037】
そして、第3駆動シリンダ26が作動し、これによりラックギヤ27が摺動しラックギヤ27と噛合するピニオンギヤ37が回動することにより、各ドア収納部4の回動部34が垂直状態から水平状態へと変位する。このとき、第1駆動シリンダ16は縮退状態にあり、第3基台17は縮退端に位置する。この状態で第2駆動シリンダ18を作動させることにより、ラックギヤ19が摺動し、これによりピニオンギヤ21が回転し、支持軸22の両端の押圧部材23,23を水平状態から垂直状態に変位させて押圧部材23,23が各ドア収納部4の回動部34のコの字型の枠体41の外側に起立する(図4参照)。
【0038】
次に、第1駆動シリンダ16を伸張すると、各ドア収納部4が搬送パレット1の基台2内に収納される。これと同時に、第2駆動シリンダ18を作動させ、ラックギヤ19を介してピニオンギヤ21を回転させ押圧部材23,23を垂直状態から水平状態に復動し、各ドア収納部4との係合を解除する。そして、リニアシリンダ13を作動させ、第2基台14を元位置に復帰させる。
【0039】
そして、搬送パレット1がドア取り外し工程Mに近接すると、前述したと同様にドア収納部出機構10aによって隣接する搬送パレット1,1の隣接する各ドア収納部4を引き出し、回動部34を起立状態として、作業者が回動部34のドア保持部40に形成されたドア支持棒39とドアDとの間のボルトによる係合を解除して、ドアDをドア小組ラインBのドア移載工程Hに待機しているドアパレットPに移載する。そして、引き出された各ドア収納部4は、前述したと同様にドア収納部出機構10aに近接するドア収納部入機構10bにより各搬送パレット1内に収納される。
【0040】
ドア小組ラインBで小組の完了したリヤドアD1、フロントドアD2はドア移載工程KおいてドアパレットPから取り外され、車体組立ラインLのドア取り付け工程Gにおいて、搬送パレット1の基台2で昇降装置3上に載置された車体Wに取り付けられる。ここで、このドア取り付け工程Gにおいて車体Wに取り付けられるリヤドアD1、フロントドアD2は、車体組立ラインLのドア取り外し工程Fにおいてその車体Wから取り外されたそのリヤドアD1、フロントドアD2である。したがって、ドア小組ラインBは車体組立ラインLに対して、ドア取り外し工程Fで取り外されたリヤドアD1、フロントドアD2がドア取り付け工程Gにおいてタイミング良く取り付けられるように、同期している。
【0041】
上記実施形態によれば、搬送パレット1の基台2に配設したドア収納部4に、車体Wから取り外したドアDを載置して搬送することにより、搬送パレット1が車体組立ラインLに沿って搬送されることを有効利用して、車体Wから取り外されたドアDを搬送することができる。よって、ドアDを別途搬送するためのドア搬送ハンガーの製作、搬送コンベアの敷設が必要なく、敷設のための広大なスペースも必要なく、低コスト化を図ることができる。
【0042】
車体組立ラインLの初工程であるドア取り外し工程FでドアDを車体Wから取り外し、このドアDを搬送パレット1のドア収納部4に載置して車体組立ラインLの下流側に向けてドアDを搬送することにより、特別な搬送ハンガーや搬送コンベアを必要とせず車体Wから取り外されたドアDを車体Wの搬送を行うだけでドア取り付け工程Gまで搬送することができる。
【0043】
車体組立ラインLに近接してドア小組ラインBの初工程であるドア移載工程Hを配設し、搬送パレット1のドア収納部4に載置されて搬送されてきたドアDをドア収納部4から取り出し、ドア小組ラインBのドアパレットPに移載することにより、車体組立ラインLに近接した位置に配置されたドア小組ラインBに対して搬送コンベア等を経由する必要なく短い経路で素早くドアDを移載することができる。
【0044】
また、ドア収納部4に収納されたドアDは搬送パレット1の搬送の邪魔になることはなく、搬送パレット1の搬送方向へは突出しないため、既存の搬送パレット1の搬送ライン長を延長させるようなことはない。
【0045】
そして、車体組立ラインLにおいて車体Wを載置して搬送する搬送パレット1の基台2の下面であって、搬送方向に沿う両側、この実施形態では搬送方向両端両側に一対のガイドレール30,30を敷設し、ガイドレール30,30に係合する複数のローラ31,31,…を両側面に有するドア収納部4を基台2に対してその外方に出没自在に配設したことにより、搬送パレット1に手を加えるだけで、ドアDをコンパクトに収納して、ドアDを長い経路搬送する搬送コンベアを設ける必要が無くなる。
【0046】
また、ドア収納部4は基台2から外方への突出状態において、水平状態と垂直状態に変位可能に構成されているため、ドアDを垂直状態にできるため、ドアDをドア収納部4に収納したり、ドアDをドア収納部4から取り出す作業が、作業者の負担を軽減して行い易くなる。
【0047】
そして、ドア収納部4はドア収納部出没機構10により搬送パレット1の基台2に対して外方に出没されるため、ドアDの外方への出没動作を確実に行うことができる。
ここで、ドア収納部出没機構10は車体組立ラインLの搬送パレット1に同期して作動するため、ドア収納部出没機構10によるドア収納部4の出没動作が搬送パレット1の搬送動作に悪影響を与えることなく、通常通りの車体組立工程を実施することができる。
【0048】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、搬送パレット1に車体Wを載置して搬送する搬送形式の車体組立ラインLを例にして説明したが、車体Wを載置して搬送する形式であり、ドア収納部を設けることができればどのような形式の車体搬送台車にも適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
C/V 搬送コンベア(フロアコンベア)
1 搬送パレット(車体搬送台車)
W 車体
L 車体組立ライン
2 基台
4 ドア収納部
D ドア
F ドア取り外し工程(初工程)
B ドア小組ライン
H ドア移載工程(初工程)
P ドアパレット(ドア搬送台車)
10 ドア収納部出没機構(ドア収納部出入り手段)
30 ガイドレール
31 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアコンベアの車体搬送台車に車体を載置して搬送することにより前記車体に部品を組み付ける車体組立ラインにおけるドア搬送方法であって、前記車体搬送台車の基台に配設したドア収納部に、前記車体から取り外したドアを載置して搬送することを特徴とする車体組立ラインにおけるドアの搬送方法。
【請求項2】
前記車体組立ラインの初工程で前記ドアを車体から取り外し、前記車体搬送台車の前記ドア収納部に載置して前記車体組立ラインの下流側に向けて前記ドアを搬送することを特徴とする請求項1記載の車体組立ラインにおけるドアの搬送方法。
【請求項3】
前記車体組立ラインに近接してドア小組ラインの初工程を配設し、前記車体搬送台車の前記ドア収納部に載置されて搬送されてきたドアを前記ドア収納部から取り出し、前記ドア小組ラインのドア搬送台車に移載することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体組立ラインにおけるドアの搬送方法。
【請求項4】
前記ドア収納部はドア収納部出入り手段により前記車体搬送台車の基台から外方に出没されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の車体組立ラインにおけるドアの搬送方法。
【請求項5】
前記車体組立ラインにおいて車体を載置して搬送する車体搬送台車の基台下面であって搬送方向に沿う両側に一対のガイドレールを敷設し、前記ガイドレールに係合する複数のローラを有するドア収納部を前記基台に対してその外方に出没自在に配設したことを特徴とする車体組立ラインにおけるドアの搬送装置。
【請求項6】
前記ドア収納部は前記基台から外方への突出状態において、水平状態と垂直状態に変位可能に構成されていることを特徴とする請求項5記載の車体組立ラインにおけるドアの搬送装置。
【請求項7】
前記ドア収納部は前記ドア収納部出入り手段により前記車体搬送台車の前記基台に対して外方に出没されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車体組立ラインにおけるドアの搬送装置。
【請求項8】
前記ドア収納部出入り手段は前記車体組立ラインの前記車体搬送台車に同期して作動することを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか一項に記載の車体組立ラインにおけるドアの搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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