車椅子用クッション及びそれを備えた車椅子
【課題】差込穴部に差し込んだ持上杆を持ち上げてクッション材を傾斜状態に浮上させることで座材とクッション材との間に移乗板材を差込可能な差込間隙を形成することができる。
【解決手段】車椅子1の座部2の座材1e上に載置されるクッション材8及び車椅子の座材とベッドBとの間に掛架され、車椅子とベッドとの間での使用者Nの移乗に用いられる移乗板材9を備えてなり、クッション材の側面部に差込穴部10aを形成し、差込穴部に差込可能な持上杆10を設け、差込穴部に差し込んだ持上杆を持ち上げてクッション材を浮上させることにより座材とクッション材との間に移乗板材を差込可能な差込間隙Tを形成するように設けてなる。
【解決手段】車椅子1の座部2の座材1e上に載置されるクッション材8及び車椅子の座材とベッドBとの間に掛架され、車椅子とベッドとの間での使用者Nの移乗に用いられる移乗板材9を備えてなり、クッション材の側面部に差込穴部10aを形成し、差込穴部に差込可能な持上杆10を設け、差込穴部に差し込んだ持上杆を持ち上げてクッション材を浮上させることにより座材とクッション材との間に移乗板材を差込可能な差込間隙Tを形成するように設けてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、病院患者、身体障害者、介護老人、被介護者等に用いられる車椅子用クッション及びそれを備えた車椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の車椅子の座部とベッドとの間に掛架され、使用者をその臀部において案内して、該車椅子と該ベッドとの間での使用者の移乗に用いられる移乗板材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3161344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、上記移乗板材を上記座部の上面とベッドの上面との間に掛架するに際し、車椅子の座部に着座している被介護者たる使用者の臀部を座部上から持ち上げ、この持ち上げにより差込間隙を形成し、その持ち上げ状態を保持したまま、差込間隙に移乗板材の一方端部を差込み、移乗板材の他方端部を上記ベッドの上面に載せ、移乗板材により使用者をその臀部において案内して車椅子と該ベッドとの間で移乗させることになるが、被介護者たる使用者の臀部を座部上から持ち上げるには大変な労力が必要となり、介護者に労苦を強いたり、手間の掛かることとなり、使用の利便性が低いことになるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、車椅子の座部の座材上に載置され、該座材とベッドとの間に掛架された移乗部材上における使用者の滑り移送に用いられるクッション材であって、上記クッション材の側面部に該クッション材を浮上させて上記座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するための持上杆が差し込まれる差込穴部を形成してなることを特徴とする車椅子用クッションにある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項4記載の発明は、車椅子の座部の座材上に載置されるクッション材及び車椅子の座材とベッドとの間に掛架され、該車椅子と該ベッドとの間での使用者の移乗に用いられる移乗板材を備えてなり、上記クッション材の側面部に差込穴部を形成し、該差込穴部に差込可能な持上杆を設け、該差込穴部に差し込んだ該持上杆を持ち上げて上記クッション材を浮上させることにより該座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するように設けたことを特徴とする車椅子にある。
【0008】
又、請求項5記載の発明は、上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とするものであり、又、請求項6記載の発明は、上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如く、請求項1又は4記載の発明にあっては、上記移乗板材を上記座部とベッドとの間に掛架するに際し、上記クッション材の側面部に形成された差込穴部に持上杆を差し込み、差し込んだ持上杆を持ち上げて上記クッション材を傾斜状態に浮上させることにより座材とクッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成することができ、この差込間隙に移乗板材の一方端部を差込み、移乗板材の他方端部を上記ベッドの上面に載せ、使用者をクッション材に載せたまま、クッション材と一緒に使用者を移乗板材により滑り移送案内して車椅子とベッドとの間で移乗させることになり、したがって、上記差込穴部に差し込んだ持上杆を持ち上げて上記クッション材を傾斜状態に浮上させることで座材とクッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成することができ、上記移乗板材を上記座材とベッドとの間に容易に掛架することができ、クッション材と一緒に使用者を移乗板材により滑り移送案内して車椅子とベッドとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【0010】
又、請求項2又は5記載の発明にあっては、上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなるので、摩擦係数が小さな平滑板材の底面と摩擦係数が小さな平滑板材の上面との面接触により上記クッション材を上記移乗板材上で滑り移送させることができ、クッション材上の使用者をクッション材と一緒に摩擦抵抗の少ない状態で楽に移乗させることができ、それだけ、移乗板材の使用の利便性を高めることができ、又、請求項3又は6記載の発明にあっては、上記クッション材の側面部にクッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設しているから、引寄紐材を掴んでクッション材を引き寄せることができ、クッション材と一緒に使用者を移乗板材上で滑り移送案内して車椅子とベッドとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の第一形態例のクッション材の斜視図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例のクッション材の分離斜視図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例のクッション材の平面図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の移乗板材の斜視図である。
【図5】本発明の実施の第一形態例の移乗板材の分離斜視図である。
【図6】本発明の実施の第一形態例の使用状態の側面図である。
【図7】本発明の実施の第一形態例の使用状態の平面図である。
【図8】本発明の実施の第一形態例の使用状態の平面図である。
【図9】本発明の実施の第一形態例の使用状態の正面図である。
【図10】本発明の実施の第二形態例のクッション材の斜視図である。
【図11】本発明の実施の第二形態例のクッション材の分離斜視図である。
【図12】本発明の実施の第二形態例のクッション材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図9は第一形態例、図10乃至図12は第二形態例である。
【0013】
図1乃至図9の第一形態例において、1は車椅子であって、この場合、左右一対の側フレーム1a・1aを連結軸1bにより枢着されたX状リンク1c・1cにより折曲自在に設けられ、側フレーム1a・1aにはハンドル部1d・1dが設けられ、図1の如く、車椅子1に座部2、背当部3、肘掛部4及び足載せ部5を配設し、車椅子1の左右両側部に円形状の支持車輪6・6を車椅子1に固定された車軸Sにより回転自在に配設すると共に小の前輪7・7を配設している。
【0014】
8はクッション材であって、図1、図2の如く、上記車椅子1の座部2の上記左右一対の側フレーム1a・1a間に架設されてX状リンク1c・1cの折曲による左右一対の側フレーム1a・1aの接近離反を許容する帆布や合成樹脂などのシート状材からなる座材1e上に載置され、この場合、上記クッション材8は、クッション性に富む芯材8a及び芯材8aの裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材8bからなり、この平滑板材8bとして、株式会社ダイサン製の商品名スライダーボードが用いられている。かつ、この場合、上記芯材8aの底面に金属周枠8cを有して使用者Nの臀部を支持可能な剛性を備える木製の板材8dを積層形成し、さらに、金属周枠8cの周囲に複数個、この場合、六個のリング8eを突設し、リング8eに合成樹脂等の引寄紐材8fを貫通して環状に配置して構成している。
【0015】
9は移乗板材であって、上記車椅子1の座材1eとベッドBとの間に掛架され、車椅子1とベッドBとの間での使用者Nの移乗に用いられ、この場合、図4、図5の如く、移乗板材9は、上記使用者Nの臀部を案内可能な剛性を備える合成樹脂等の芯板材9a及び芯板材9aの上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材9bからなり、平滑板材9bとして、上記同様、株式会社ダイサン製の商品名スライダーボードが用いられている。
【0016】
10は持上杆であって、上記クッション材8の側面部に持上杆10を差込可能な差込穴部10a・・を複数個、この場合、六個を形成し、いずれかの差込穴部10a・・に差し込んだ持上杆10を持ち上げて上記クッション材8を浮上させることにより座材1eとクッション材8との間に上記移乗板材9を差込可能な差込間隙Tを形成するように設けて構成している。
【0017】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、上記移乗板材9を上記座部2とベッドBとの間に掛架するに際し、図6及び図7の如く、上記クッション材8の側面部に形成された差込穴部10aに持上杆10を差し込み、差し込んだ持上杆10を持ち上げて上記クッション材8を傾斜状態に浮上させることにより座材1eとクッション材8との間に上記移乗板材9を差込可能な差込間隙Tを形成することができ、図6、図8、図9の如く、この差込間隙Tに移乗板材9の一方端部を差込み、移乗板材9の他方端部を上記ベッドBの上面に載せ、使用者Nをクッション材8に載せたまま、クッション材8と一緒に使用者Nを移乗板材9により滑り移送案内して車椅子1と該ベッドBとの間で移乗させることになり、したがって、上記差込穴部10aに差し込んだ持上杆10を持ち上げて上記クッション材8を傾斜状態に浮上させることで座材1eとクッション材8との間に上記移乗板材9を差込可能な差込間隙Tを形成することができ、上記移乗板材9を上記座部2とベッドBとの間に容易に掛架することができ、クッション材8と一緒に使用者Nを移乗板材9により滑り移送案内して車椅子1と該ベッドBとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【0018】
又、この場合、上記クッション材8は、クッション性に富む芯材8a及び芯材8aの上面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材8bからなり、上記移乗板材9は、上記使用者Nの臀部を案内可能な剛性を備える芯板材9a及び芯板材9aの上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材9bからなるので、摩擦係数が小さな平滑板材8bの底面と摩擦係数が小さな平滑板材9bの上面との面接触により上記クッション材8を上記移乗板材9上で滑り移送させることができ、クッション材8上の使用者Nをクッション材8と一緒に摩擦抵抗の少ない状態で楽に移乗させることができ、それだけ、移乗板材9の使用の利便性を高めることができ、又、この場合、上記クッション材8の側面部にクッション材8を上記移乗板材9の上で滑り移送させるための引寄紐材8fを配設しているから、引寄紐材8fを掴んでクッション材8を引き寄せることができ、クッション材8と一緒に使用者Nを移乗板材9上で滑り移送案内して車椅子1と該ベッドBとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【0019】
図10乃至図12の第二形態例は別例構造であって、上記第一形態例のクッション材8は円形状であったが、この場合、四角板状に形成されている。
【0020】
この第二形態例にあっても、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができる。
【0021】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、車椅子1、座材1e、座部2、クッション材8、芯材8a、平滑板材8b、引寄紐材8f、移乗板材9、芯板材9a、平滑板材9b、持上杆10、差込穴部10aの構造や形態、材質等は適宜変更して設計されるものである。
【0022】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0023】
N 使用者
B ベッド
T 差込間隙
1 車椅子
1e 座材
2 座部
8 クッション材
8a 芯材
8b 平滑板材
8f 引寄紐材
9 移乗板材
9a 芯板材
9b 平滑板材
10 持上杆
10a 差込穴部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、病院患者、身体障害者、介護老人、被介護者等に用いられる車椅子用クッション及びそれを備えた車椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、この種の車椅子の座部とベッドとの間に掛架され、使用者をその臀部において案内して、該車椅子と該ベッドとの間での使用者の移乗に用いられる移乗板材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3161344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、上記移乗板材を上記座部の上面とベッドの上面との間に掛架するに際し、車椅子の座部に着座している被介護者たる使用者の臀部を座部上から持ち上げ、この持ち上げにより差込間隙を形成し、その持ち上げ状態を保持したまま、差込間隙に移乗板材の一方端部を差込み、移乗板材の他方端部を上記ベッドの上面に載せ、移乗板材により使用者をその臀部において案内して車椅子と該ベッドとの間で移乗させることになるが、被介護者たる使用者の臀部を座部上から持ち上げるには大変な労力が必要となり、介護者に労苦を強いたり、手間の掛かることとなり、使用の利便性が低いことになるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、車椅子の座部の座材上に載置され、該座材とベッドとの間に掛架された移乗部材上における使用者の滑り移送に用いられるクッション材であって、上記クッション材の側面部に該クッション材を浮上させて上記座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するための持上杆が差し込まれる差込穴部を形成してなることを特徴とする車椅子用クッションにある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項4記載の発明は、車椅子の座部の座材上に載置されるクッション材及び車椅子の座材とベッドとの間に掛架され、該車椅子と該ベッドとの間での使用者の移乗に用いられる移乗板材を備えてなり、上記クッション材の側面部に差込穴部を形成し、該差込穴部に差込可能な持上杆を設け、該差込穴部に差し込んだ該持上杆を持ち上げて上記クッション材を浮上させることにより該座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するように設けたことを特徴とする車椅子にある。
【0008】
又、請求項5記載の発明は、上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とするものであり、又、請求項6記載の発明は、上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如く、請求項1又は4記載の発明にあっては、上記移乗板材を上記座部とベッドとの間に掛架するに際し、上記クッション材の側面部に形成された差込穴部に持上杆を差し込み、差し込んだ持上杆を持ち上げて上記クッション材を傾斜状態に浮上させることにより座材とクッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成することができ、この差込間隙に移乗板材の一方端部を差込み、移乗板材の他方端部を上記ベッドの上面に載せ、使用者をクッション材に載せたまま、クッション材と一緒に使用者を移乗板材により滑り移送案内して車椅子とベッドとの間で移乗させることになり、したがって、上記差込穴部に差し込んだ持上杆を持ち上げて上記クッション材を傾斜状態に浮上させることで座材とクッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成することができ、上記移乗板材を上記座材とベッドとの間に容易に掛架することができ、クッション材と一緒に使用者を移乗板材により滑り移送案内して車椅子とベッドとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【0010】
又、請求項2又は5記載の発明にあっては、上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなるので、摩擦係数が小さな平滑板材の底面と摩擦係数が小さな平滑板材の上面との面接触により上記クッション材を上記移乗板材上で滑り移送させることができ、クッション材上の使用者をクッション材と一緒に摩擦抵抗の少ない状態で楽に移乗させることができ、それだけ、移乗板材の使用の利便性を高めることができ、又、請求項3又は6記載の発明にあっては、上記クッション材の側面部にクッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設しているから、引寄紐材を掴んでクッション材を引き寄せることができ、クッション材と一緒に使用者を移乗板材上で滑り移送案内して車椅子とベッドとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の第一形態例のクッション材の斜視図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例のクッション材の分離斜視図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例のクッション材の平面図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の移乗板材の斜視図である。
【図5】本発明の実施の第一形態例の移乗板材の分離斜視図である。
【図6】本発明の実施の第一形態例の使用状態の側面図である。
【図7】本発明の実施の第一形態例の使用状態の平面図である。
【図8】本発明の実施の第一形態例の使用状態の平面図である。
【図9】本発明の実施の第一形態例の使用状態の正面図である。
【図10】本発明の実施の第二形態例のクッション材の斜視図である。
【図11】本発明の実施の第二形態例のクッション材の分離斜視図である。
【図12】本発明の実施の第二形態例のクッション材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図12は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図9は第一形態例、図10乃至図12は第二形態例である。
【0013】
図1乃至図9の第一形態例において、1は車椅子であって、この場合、左右一対の側フレーム1a・1aを連結軸1bにより枢着されたX状リンク1c・1cにより折曲自在に設けられ、側フレーム1a・1aにはハンドル部1d・1dが設けられ、図1の如く、車椅子1に座部2、背当部3、肘掛部4及び足載せ部5を配設し、車椅子1の左右両側部に円形状の支持車輪6・6を車椅子1に固定された車軸Sにより回転自在に配設すると共に小の前輪7・7を配設している。
【0014】
8はクッション材であって、図1、図2の如く、上記車椅子1の座部2の上記左右一対の側フレーム1a・1a間に架設されてX状リンク1c・1cの折曲による左右一対の側フレーム1a・1aの接近離反を許容する帆布や合成樹脂などのシート状材からなる座材1e上に載置され、この場合、上記クッション材8は、クッション性に富む芯材8a及び芯材8aの裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材8bからなり、この平滑板材8bとして、株式会社ダイサン製の商品名スライダーボードが用いられている。かつ、この場合、上記芯材8aの底面に金属周枠8cを有して使用者Nの臀部を支持可能な剛性を備える木製の板材8dを積層形成し、さらに、金属周枠8cの周囲に複数個、この場合、六個のリング8eを突設し、リング8eに合成樹脂等の引寄紐材8fを貫通して環状に配置して構成している。
【0015】
9は移乗板材であって、上記車椅子1の座材1eとベッドBとの間に掛架され、車椅子1とベッドBとの間での使用者Nの移乗に用いられ、この場合、図4、図5の如く、移乗板材9は、上記使用者Nの臀部を案内可能な剛性を備える合成樹脂等の芯板材9a及び芯板材9aの上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材9bからなり、平滑板材9bとして、上記同様、株式会社ダイサン製の商品名スライダーボードが用いられている。
【0016】
10は持上杆であって、上記クッション材8の側面部に持上杆10を差込可能な差込穴部10a・・を複数個、この場合、六個を形成し、いずれかの差込穴部10a・・に差し込んだ持上杆10を持ち上げて上記クッション材8を浮上させることにより座材1eとクッション材8との間に上記移乗板材9を差込可能な差込間隙Tを形成するように設けて構成している。
【0017】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、上記移乗板材9を上記座部2とベッドBとの間に掛架するに際し、図6及び図7の如く、上記クッション材8の側面部に形成された差込穴部10aに持上杆10を差し込み、差し込んだ持上杆10を持ち上げて上記クッション材8を傾斜状態に浮上させることにより座材1eとクッション材8との間に上記移乗板材9を差込可能な差込間隙Tを形成することができ、図6、図8、図9の如く、この差込間隙Tに移乗板材9の一方端部を差込み、移乗板材9の他方端部を上記ベッドBの上面に載せ、使用者Nをクッション材8に載せたまま、クッション材8と一緒に使用者Nを移乗板材9により滑り移送案内して車椅子1と該ベッドBとの間で移乗させることになり、したがって、上記差込穴部10aに差し込んだ持上杆10を持ち上げて上記クッション材8を傾斜状態に浮上させることで座材1eとクッション材8との間に上記移乗板材9を差込可能な差込間隙Tを形成することができ、上記移乗板材9を上記座部2とベッドBとの間に容易に掛架することができ、クッション材8と一緒に使用者Nを移乗板材9により滑り移送案内して車椅子1と該ベッドBとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【0018】
又、この場合、上記クッション材8は、クッション性に富む芯材8a及び芯材8aの上面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材8bからなり、上記移乗板材9は、上記使用者Nの臀部を案内可能な剛性を備える芯板材9a及び芯板材9aの上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材9bからなるので、摩擦係数が小さな平滑板材8bの底面と摩擦係数が小さな平滑板材9bの上面との面接触により上記クッション材8を上記移乗板材9上で滑り移送させることができ、クッション材8上の使用者Nをクッション材8と一緒に摩擦抵抗の少ない状態で楽に移乗させることができ、それだけ、移乗板材9の使用の利便性を高めることができ、又、この場合、上記クッション材8の側面部にクッション材8を上記移乗板材9の上で滑り移送させるための引寄紐材8fを配設しているから、引寄紐材8fを掴んでクッション材8を引き寄せることができ、クッション材8と一緒に使用者Nを移乗板材9上で滑り移送案内して車椅子1と該ベッドBとの間で移乗させることができ、介護者の労苦を軽減することができ、使用の利便性を向上することができる。
【0019】
図10乃至図12の第二形態例は別例構造であって、上記第一形態例のクッション材8は円形状であったが、この場合、四角板状に形成されている。
【0020】
この第二形態例にあっても、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができる。
【0021】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、車椅子1、座材1e、座部2、クッション材8、芯材8a、平滑板材8b、引寄紐材8f、移乗板材9、芯板材9a、平滑板材9b、持上杆10、差込穴部10aの構造や形態、材質等は適宜変更して設計されるものである。
【0022】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0023】
N 使用者
B ベッド
T 差込間隙
1 車椅子
1e 座材
2 座部
8 クッション材
8a 芯材
8b 平滑板材
8f 引寄紐材
9 移乗板材
9a 芯板材
9b 平滑板材
10 持上杆
10a 差込穴部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子の座部の座材上に載置され、該座材とベッドとの間に掛架された移乗部材上における使用者の滑り移送に用いられるクッション材であって、上記クッション材の側面部に該クッション材を浮上させて上記座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するための持上杆が差し込まれる差込穴部を形成してなることを特徴とする車椅子用クッション。
【請求項2】
上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とする請求項1記載の車椅子用クッション。
【請求項3】
上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子用クッション。
【請求項4】
車椅子の座部の座材上に載置されるクッション材及び車椅子の座材とベッドとの間に掛架され、該車椅子と該ベッドとの間での使用者の移乗に用いられる移乗板材を備えてなり、上記クッション材の側面部に差込穴部を形成し、該差込穴部に差込可能な持上杆を設け、該差込穴部に差し込んだ該持上杆を持ち上げて上記クッション材を浮上させることにより該座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するように設けたことを特徴とする車椅子。
【請求項5】
上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とする請求項4記載の車椅子。
【請求項6】
上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とする請求項4又は5記載の車椅子。
【請求項1】
車椅子の座部の座材上に載置され、該座材とベッドとの間に掛架された移乗部材上における使用者の滑り移送に用いられるクッション材であって、上記クッション材の側面部に該クッション材を浮上させて上記座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するための持上杆が差し込まれる差込穴部を形成してなることを特徴とする車椅子用クッション。
【請求項2】
上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とする請求項1記載の車椅子用クッション。
【請求項3】
上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とする請求項1又は2記載の車椅子用クッション。
【請求項4】
車椅子の座部の座材上に載置されるクッション材及び車椅子の座材とベッドとの間に掛架され、該車椅子と該ベッドとの間での使用者の移乗に用いられる移乗板材を備えてなり、上記クッション材の側面部に差込穴部を形成し、該差込穴部に差込可能な持上杆を設け、該差込穴部に差し込んだ該持上杆を持ち上げて上記クッション材を浮上させることにより該座材と該クッション材との間に上記移乗板材を差込可能な差込間隙を形成するように設けたことを特徴とする車椅子。
【請求項5】
上記クッション材は、クッション性に富む芯材及び該芯材の裏面に積層形成され、底面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなり、上記移乗板材は、上記使用者の臀部を案内可能な剛性を備える芯板材及び該芯板材の上面に積層形成され、上面となる面の摩擦係数が小さな平滑板材からなることを特徴とする請求項4記載の車椅子。
【請求項6】
上記クッション材の側面部に該クッション材を上記移乗板材の上で滑り移送させるための引寄紐材を配設してなることを特徴とする請求項4又は5記載の車椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−106718(P2013−106718A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253141(P2011−253141)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(591051612)越後工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(591051612)越後工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】
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