説明

車椅子用クッション部材

【解決課題】車椅子の使用者の好みでクッションの色が簡単に変えたり、公共の施設で保有される車椅子のクッションの色を変更可能にした表裏使用可能なクッションカバーを着設した車椅子用のクッション部材を提供する。
【解決手段】表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバー10と、表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバー20と薄いカバーに覆われた座部用の弾性材と薄いカバーに覆われた背もたれ部用の弾性材と前記背もたれ部カバーの背面にポケット14を有するたれ部30から構成されている車椅子用のクッション部材100とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車椅子に着設するクッション部材であって、公共の施設で保有される車椅子のクッションの色を変更可能にしたり、車椅子の使用者の好みでクッションの色が簡単に変えることができる表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーと背もたれ部カバーよりなる車椅子用のクッション部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子のクッションは、車椅子は様々な症状を呈する患者が利用すると共に、比較的長時間使用するために、様々な症状の利用者が長時間使用しても苦痛を伴わないように、色々なタイプのクッションが考案されている。
【0003】
特許文献1は、段落[0008]に「車椅子の着座部または背もたれ部に装着して使用する車椅子用クッション部材であって、表面に波形突起が形成された柔軟表層材および前記柔軟表層材より硬質のマット材で形成された複数のクッション体と、通気性を有する素材で形成された複数の前記クッション体をそれぞれ出し入れ可能に収容可能な複数の袋状収容部を有する被覆材と、前記袋状収容部同士の境界部分に形成された折り曲げ部とを備えたことを特徴とする」車椅子用クッションが開示されている。
【0004】
特許文献2の車椅子用のクッションは、段落[0005]に「第1の発明は、折り畳み可能な車椅子に装着されるクッションであって、折り畳み可能な車椅子に装着されるクッションであって、該車椅子を構成する背もたれシートの正面の取付手段を介して取り付けられる背もたれ部と、該車椅子を構成する着座シートの上面に取付手段を介して取り付けられる着座部と、を備え、上記背もたれ部と、着座部とは、折り畳まれることにより、車椅子を構成する肘掛け部の下方に収容されるよう構成されてなることを特徴とするものである。」、「第2の発明は、折り畳み可能な車椅子に装着されるクッションであって、該車椅子を構成する背もたれシートを左右に分割した場合における左側の面積とされてなる一方の背もたれ部半体と、この一方の背もたれ部半体の下端と折り畳み可能に連結されてなるとともに、前記着座シートを左右に分割した場合における左側の面積とされてなる一方の着座部半体と、この他方の背もたれ部半体の下端と折り畳み可能に連結されてなるとともに、前記着座シートを左右に分割した場合における右側の面積とされてなる他方の着座部半体と、を有してなる他方のクッション半体と、を備え、上記一方のクッション半体は、一方の背もたれ部半体と一方の着座部半体とが重ねられるよう折り畳まれた状態とされ車椅子を構成する左側の肘掛け部の下方に収容される一方、上記他方のクッション半体は、他方の背もたれ部半体と他方の着座部半体とが重ねられるように折り畳まれた状態となされ車椅子を構成する右側の肘掛け部の下方に収容されるよう構成されてなることを特徴とするものである。」と記載の車椅子用クッションが開示されている。
【0005】
特許文献3の段落[0008]には、「所期の目的を達成するため本発明は、車椅子の座席に装着されるクッションにおいて、所要厚のウレタンフォームを材質とし、上面に凹状の設置部およびユーザーの着座部を部分的に受け止める第1座面を形成した第1クッション体と、所要形状のウレタンフォームを材質とし、前記設置部に装着されると共に、その上面にユーザーの着座部を部分的に受け止める第2座面を形成した第2クッション体とからなり、前記第2クッション体を前記第1クッション体の設置部に装着することで、前記第1座面および第2座面によりユーザーの着座部を全体的に受け止め得るよう構成したことを特徴とする。」、および「所期の目的を達成するため別の発明は、車椅子の座席に装着されるクッションにおいて、所要厚のウレタンフォームを材質とし、上面に凹状の第1の設置部およびユーザーの着座部を部分的に受け止める第1座面を形成すると共に、下面に凹状の第2の設置部を形成した第1クッション体と、所要形状のウレタンフォームを材質とし、前記第1の設置部に装着されると共に、ユーザーの着座部を部分的に受け止める第2座面を形成した第2クッション体と、所要厚の板状ゲルから形成され、前記第2の設置部に装着される第3クッション体とからなり、前記第2クッション体を前記第1クッション体における第1の設置部に装着すると共に、前記第3クッション体を該第1クッション体における第2の設置部に装着することで、前記第1座面および第2座面によりユーザーの着座部を全体的に受け止め得るよう構成したことを特徴とする。」と記載の車椅子用クッションが開示されている。
【0006】
特許文献4の段落[0008]には、「車椅子の座部、または背もたれ部のフレーム枠に張設する素地と、該素地の表面に着設する弾力性のある少なくとも一つのインナーランバーと、その上部から素地と該素地に着設したインナーランバーを覆うための表面部と裏面部が連なったカバーとよりなることを特徴とする車椅子の座部、又は背もたれ部のフィッティング ダブル シートクッションである。車椅子の座部、又は背もたれ部のフレーム枠に素地を張設して、その素地上に座乗者の疾病状況、体型などに合わせて弾力性のある少なくとも一つのインナーランバーを着設し、その上から素地、及びインナーランバーを覆い隠すように、表面部と裏面部が繋がったカバーで覆うことによって、座乗者にあった座部、又は背もたれ部のフィッティング ダブル シートクッションにすることができる。」と記載の車椅子のクッションが開示されている。
【0007】
上記の特許文献はいずれも車椅子に着設されるクッションについて、収納し易くするための改良や座乗者の疾患に合わせてクッションの形状を変えることができる構造にしたり、様々な工夫が凝らされている。
【0008】
一方、公共の施設に備え付けられている車椅子を利用する場合の車椅子のクッションの色は男性でも女性でも使用できる色に統一されており、使用者が車椅子のクッションの色を選択することができなかった。車椅子のクッションの色が使用者の意志で選べるようになれば、疾患を有する患者も進んで外出するようになるものと期待される。そこで、車椅子を利用しなければ外出のできない患者が楽しんで外出できるように、車椅子の座部カバーや背もたれ部カバーの色や模様を簡単に変えることができる車椅子用のクッションの出現が望まれていた。
【特許文献1】特開2001−238915号公報
【特許文献2】特開2001−276141号公報
【特許文献3】特開2002−85206号公報
【特許文献4】特開2006−218007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、車椅子の使用者の好みでクッションの色が簡単に変えることができたり、公共の施設で共同使用のために保有される車椅子のクッションの色を変更可能にしたりすることができる表裏使用可能な(リバーシブル)クッションカバーを着設した車椅子用のクッション部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車椅子の使用者の好みでクッションの色が簡単に変えることができたり、公共の施設で共同使用のために保有される車椅子のクッションの色を変更可能にしたりすることができる表裏使用可能な(リバーシブル)クッションカバーを着設した車椅子用のクッション部材を提供するために鋭意研究を重ねた結果、表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーと、表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバーと薄いカバーに覆われた座部用の弾性材と薄いカバーに覆われた背もたれ部用の弾性材と前記背もたれ部カバーの背面にポケットを有するたれ部から構成されている車椅子用のクッション部材とした。
【0011】
本発明の特徴は、車椅子に着設するためのクッション部材であって、該クッション部材は、表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーと、表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバーと薄いカバーに覆われた座部用の弾性材と薄いカバーに覆われた背もたれ部用の弾性材と前記背もたれ部カバーに着設する背面にポケットを有するたれ部とから構成されていることを特徴とする車椅子用のクッション部材である。
【0012】
座部カバーと背もたれ部カバーを表裏使用可能に(リバーシブル)にすることによって、表を青系統に裏を赤系統にすることによって、公共の施設では男性用と女性用に分けたり、患者の希望により色の変更が可能となる。また、カバーの表面が汚れた場合に裏返して使用することができる。背もたれ部の後にたれ部を着設することによって、介助者の小物入れとして使用できる。
【0013】
本発明の別の特徴は、表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーと、表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバーと薄いカバーに覆われた座部用の弾性材と薄いカバーに覆われた背もたれ部用の弾性材と前記背もたれ部カバーの背面にポケットを有するたれ部とから構成されていることを特徴とする車椅子用のクッション部材を着設した車椅子である。
【0014】
表裏使用可能な座部カバーと表裏使用可能な背もたれ部カバーとたれ部よりなるクッション部材の大きさは特に限定されるものではなく、折り畳み式の車椅子や固定式の車椅子等車椅子の種類、車椅子の大きさに合わせてそれぞれ作成される。規格にあった車椅子用に作成する場合は、使用目的、設置場所によって色や柄で明示することができる。
【発明の効果】
【0015】
表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーと、表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーと背もたれ部カバーと薄いカバーに覆われた座部用の弾性材と薄いカバーに覆われた背もたれ部用の弾性材と前記背もたれ部カバーの背面にポケットを有するたれ部とから構成されている車椅子用のクッション部材とすることによって、以下の効果が得られる。
【0016】
カバーに内挿するクッションに薄いカバーを着設することによって、クッション部材をカバーから出し入れしやすくなる。座部カバーと背もたれ部カバーを表裏別々の色や柄にすることによって、使用者の気分によって、座部カバーと背もたれ部カバーの色や柄を変えることができる。背もたれ部カバーにポケットを着設したたれ部を着設して車椅子の後部に垂らしておくと介助者が小物を入れておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図で示して本発明のクッション部材の構成と作成例を示すが、本発明のクッション部材は車椅子の大きさや使用目的などによって異なり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の車椅子に着設するためのクッション部材100を構成する表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバー10とカバー内に内装されるクッション部材40を示す。座部カバー10は表と裏の色、柄等が異なる模様として、表と裏の形状は同様の形状とする。即ち、図(1−1)、図(1−2)に示すように、座部カバー10の上下の一方に面ファスナー12、12を着設して、車椅子のフレームに横架された座部着設用のベルト(図示せず)に貼設できるようにする。また、座部カバー10の側面の一辺にファスナー11を着設して、図(1−3)に示すクッション40を出し入れできるようにすると共に、座部カバー10を内側から裏返すことができるようにする。座部カバー10を裏返しても使用できるように、ファスナー11のスライダーは両面から使用できるタイプのものを着設する。
【0019】
前記座部カバー10内に内挿するクッション40は座部カバー10から出し入れしやすいように薄い布の袋に入れておく。ここで使用するクッション40用の弾性部材は通常座部として使用される弾性部材であればよく、その材質は特に限定されないが、ウレタンのような弾力性と耐久性のあるものが望ましい。
【0020】
本実施例においては、縦40cm×横40cm、厚さ3.0cmの座部カバー10を作成して、この座部カバー10内に、前記座部カバーと同寸法(縦40cm×横40cm、厚さ3.0cm)のクッション40を薄いカバー内に入れた後、上記座部カバーに内挿した。
【0021】
図2(2−1)、(2−2)は、表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバー20を示す。図(2−3)は背もたれ部カバーのみみ13に着設して背もたれの後に垂らして介助者の小物を入れるポケット14を有するたれ部30とを示す。
【0022】
本実施例において背もたれ部のカバー12は、縦40cm×横40cmの一方端に縦8.0cm、横40cmのみみ13を着設した背もたれ部カバー12を作成して、この背もたれ部カバー20内に、縦40cm×横40cm、厚さ3.0cmのクッション40を薄い布袋に入れて内挿した。また、たれ部30には横34cm×縦48cmの布の中央部に縦28cm×横25cm、幅5.0cmのポケット14を着設した。
【0023】
図3は、表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバー20とたれ部30より構成されるクッション部材100の1部を示す。背もたれ部20の裏面に貼設された面ファスナー12、12で、車椅子の後部フレームに横架された背もたれ部着設用のベルト(図示せず)に張設する。背もたれ部カバーのみみ13に着設されたたれ部30はポケット14が外向きになるように、後部フレーム(図示せず)の外側に着設する。
【0024】
図4は、薄いカバーに覆われた座部用の弾性材を入れた表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバー10と、薄いカバーに覆われた背もたれ部用の弾性材を入れた表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバー20に背面にポケット14を有するたれ部30よりなるクッション部材100を着設した車椅子200を示す。座部カバー10は面ファスナー12、12で車椅子のサイドフレーム15に横架された座部着設用のベルト(図示せず)に貼設する。背もたれ部カバー20は面ファスナー12、12で車椅子のバックフレーム16に横架された座部着設用のベルト(図示せず)に貼設する。背もたれ部カバー20のみみ13に張設されたたれ部30はバックフレーム16の上から車椅子の後にたれるように着設する。たれ部30の背面に面ファスナーを貼設して、たれ部30がブラブラ動かないようにした方が物を入れた場合に安定する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーの斜視図を示す。
【図2】図2は、表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバーの斜視図を示す。
【図3】図3は、表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバーと表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれ部カバーとたれ部より構成されるクッション部材の斜視図を示す。
【図4】図4は、クッション部材を着設した車椅子の側面図である。
【符号の説明】
【0026】
100:クッション部材
200:クッション部材を着設した車椅子
10:表裏使用可能な(リバーシブル)座部カバー
20:表裏使用可能な(リバーシブル)背もたれカバー
30:たれ部
40:弾性材
11:ファスナー
12:面ファスナー
13:みみ
14:ポケット
15:サイドフレーム
16:バックフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子に着設するためのクッション部材であって、該クッション部材は、表裏使用可能な座部カバーと、表裏使用可能な背もたれ部カバーと薄いカバーに覆われた座部用の弾性材と薄いカバーに覆われた背もたれ部用の弾性材と前記背もたれ部カバーに着設する背面にポケットを有するたれ部とから構成されていることを特徴とする車椅子用のクッション部材。
【請求項2】
請求項1に記載のクッション部材が着設されていることを特徴とする車椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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