説明

車椅子用避難ドアー付シャッター袖扉装置

【課題】シャッター付の建物の内部で火炎が発生した時に袖扉に設けてある避難ドアーを開放して避難する場合に、避難ドアーの開口部の下枠が邪魔となって身体障害者用の車椅子が通行出来ないため、避難ドアーの下部に下枠を設けないで車椅子でも容易に通行避難できるようにしたものである。
【解決手段】袖扉1は、上下の各ヒンジに開閉自在に軸着され、該袖扉には、避難ドアー2を建付けする開口部の下端の下枠を欠除して形成する。該避難ドアーは、該袖扉に上下のヒンジで開閉自在に装設すると共に、該袖扉と該避難ドアーとの召合せ部の全周に防火、防煙用の気密シールを装設する。また、該袖扉と該避難ドアーとの下端には、遮煙シール13を各々装設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋内通路において火炎が発生した時に、空間を区画しているシャッターの側方に、避難ドアーを設けてある袖扉において、避難ドアーが開放した時に、身体障害者の車椅子が障害なく容易に通行できるようにした車椅子用避難ドアー付シャッター袖扉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種のシャッター開閉装置に設けられている袖扉には、例えば、袖扉の一部に避難用のドアーが設けられている。然し、これの避難用のドアーには、該袖扉にドアーの大きさの開口部を設けてドアーを避難用に開閉自在に形成されているのが一般に実施されている現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の如く、従来の避難ドアー付の袖扉には、避難ドアーが該袖扉の外周が枠となる開口部の枠内に装設されているために、該避難ドアーの下部に袖扉の下枠が位置するため、身障者の車椅子が通過できないと云う問題点があった。
本発明は、これ等の従来の袖扉を改良したものであって、該袖扉の避難用ドアーを取付ける開口部の下枠を取り除いて、通路を平坦状に形成し、避難ドアーが開放と同時に車椅子が自由に通行避難できるようにしたものである。また、袖扉と避難ドアーの接合個所と下端には、各々防煙、防火用の遮煙シールを装設している車椅子用避難ドアー付シャッター袖扉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、袖扉には、避難ドアーを建付けする開口部を形成する。この開口部には、下端に下枠を設けない欠除状態で形成されている。該避難ドアーは、該袖扉の所定位置に上部ヒンジと下部ヒンジとによって開閉自在に軸着される。
また、該袖扉と該避難ドアーとの接合する召合せ部には、合成ゴム等よりなる防煙、防火用の気密シールを装設する。更に、該袖扉と該避難ドアーとの下端には、各種の遮煙シールを装着してある。
【発明の効果】
【0005】
以上の如く、車椅子用避難ドアー付シャッター袖扉装置によれば、従来の如く、避難ドアーの下部に袖扉の枠が位置して車椅子の車輪の障害になり通行ができない欠点を解決した効果と、火災時に身障者の人も自力で車椅子を操作して安全容易に避難ドアーより脱出できる効果がある。また、袖扉と避難ドアーとの召合せ部及び該袖扉と該避難ドアーとの下端にも、防煙、防火の遮煙シールを装設してあるので、避難ドアーの閉鎖時において、完全な遮煙を有する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】 本発明の避難ドアー付袖扉の一部欠除した正面図である。
【図2】 同じく本発明の図1の横断を示した平面図である。
【図3】 本発明の避難ドアーと袖扉との閉鎖状態の召合わせ部分を示した横断平面図である。
【図4】 本発明の袖扉の下端の一部を示した斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明では、避難ドアー付袖扉は、火災の発生と共に、袖扉(1)が作動して回転閉鎖し、シャッター(3)は、袖扉(1)の案内レール(7)を自重降下して全閉鎖する。この時、避難ドアー(2)は自由開閉操作によって、避難者、消火作業者と同様に、身障者の車椅子も何等人の力を借りなくても自力で運転して避難が出来るものである。
【実施例】
【0008】
本発明の実施例を図面について説明すると、図1に示すものは、袖扉(1)に出入口となる避難ドアー(2)が装設された閉鎖状態の正面図を示し、符号(3)はシャッターを示し、該袖扉(1)は、側壁(4)の袖扉収納枠(5)内に位置し、まぐさの高さまでの寸法に縦長に形成される。また、該袖扉(1)は、シャッター(3)の左右の片側又は両側に装設される。
且つ該袖扉(1)には、避難ドアー(2)を建付けする開口部の下端に下枠を形成せず、側壁(4)の袖扉収納枠(5)内に上下のヒンジ(6)(6)によって開閉自在に軸着され、該袖扉(1)の開放端部には、シャッター(3)を昇降案内する案内レール(7)を形成してある。該袖扉(1)には、上部に開閉で連動作動するリミットスイッチ(8)を設けると共に、停止用の上部ロック(9)と下部の下部ロック(10)とによって固定される。収納ケース(15)には、内部に巻取軸(16)と、該リミットスイッチ(8)と連動作動するシャッター自動閉鎖装置及びブレーキを解除する開閉器等が装設してある。
【0009】
次に、該避難ドアー(2)には、上下端部に上部ヒンジクローザー(11)と、下部ヒンジクローザー(12)によって開閉自在に軸着されている。
また、図3、図4に示す如く、該避難ドアー(2)と、該袖扉(1)の開口部との接合面には、合成ゴム等よりなり、気密シール(14)(14)を対接してある。また、該袖扉(1)の下端面と該避難ドアー(2)の下端面には、防煙、防火用の遮煙シール(13)を装着して完全に密閉したものである。
【符号の説明】
【0010】
1 袖扉
2 避難ドアー
3 シャッター
4 側壁
5 袖扉収納枠
6 上下のヒンジ
7 案内レール
8 リミットスイッチ
9 上部ロック
10 下部ロック
11 上部ヒンジクローザー
12 下部ヒンジクローザー
13 遮煙シール
14 気密シール
15 収納ケース
16 巻取軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖した袖扉(1)の案内レール(7)にシャッター(3)が昇降するシャッター閉鎖装置において、該袖扉(1)には、上下のヒンジ(6)(6)によって開閉自在に装着され、該袖扉(1)に建付けする避難ドアー(2)の開口部の下端の下枠を欠除し、該避難ドアー(2)を該袖扉(1)の所定位置に上部ヒンジ(11)及び下部ヒンジ(12)に開閉自在に装着し、且つ該袖扉(1)と該避難ドアー(2)との召合せ部に合成ゴム等よりなる気密シール(14)(14)を装設すると共に、該袖扉(1)と該避難ドアー(2)との下端には、遮煙シール(13)(13)を装設した事を特徴とする車椅子用避難ドアー付シャッター袖扉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43517(P2010−43517A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58673(P2009−58673)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3146491号
【原出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000185721)小俣シヤツター工業株式会社 (4)