説明

車用換気扇

【課題】 車窓枠の窓枠側窓ガラス受け溝と、これに嵌りあう窓ガラスの形状に左右されないような、そして車外の新鮮な空気を車内に導入するのみではなく、汚れた車内の空気を車外に排出することができる車用換気扇を提供すること。
【解決手段】 本装置1は、上部が車のサイド窓枠の窓ガラス受け溝に取付けられ、下部が窓ガラスを跨ぐ溝を備えアームと、このアームが車外側に臨む面に設けられた開口、このアームが車内側に臨む面に取付けられ、且つ前記開口を介して車内外を換気する送風ファンを内蔵した送風ケーシングと、ファンに電力を供給するために、前記ケーシングの車外側に臨む面に配置されるソーラパネルを備えている。前記アームが前記送風ケーシングを取付ける部分(以下、中心部)以外の部分(以下、自由端部)は、車窓枠の窓枠側窓ガラス受け溝と、これに嵌りあう窓ガラスの窓閉めに対応して変形可能な材質で成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池(ソーラパネル)により得られる電力を用いた車用換気扇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源に太陽電池(ソーラパネル)を用いた車両用換気装置が開発されている。
例えば特許文献1の図2には、車体のサイド窓枠の窓ガラス受け溝に取り付けられる換気装置が開示されている。
この換気装置は、外面に太陽電池を配置した送風ケーシングが上部から窓枠に沿って両側に延びる二股状の合成樹脂製のジョイントアームに取付けられ、ジョイントアームの上方に突き出した突出片が窓枠側窓ガラス受け溝に嵌入されて装着され、下方に備えた装置側窓ガラス受け溝に、窓ガラスの端縁を受入れ可能にしている。
【特許文献1】実開平5−62303
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この換気装置には次のような解決すべき課題がある。
第1は、前記ジョイントアームは柔軟性に乏しく、例えば、車窓枠の窓枠側窓ガラス受け溝と、これに嵌りあう窓ガラスが、微妙にカーブしている場合に、図4に示したように、そのカーブにジョイントアームJAが追随できない場合がある。
第1の課題に関連するものとして、第2に、車窓枠の窓枠側窓ガラス受け溝とこれに嵌りあう窓ガラスが直線状であっても、窓枠の両端領域が所定の角度で傾斜していたり、ラウンド状になっている場合にも、これらの傾斜やランウドにジョイントアームJAが追随できない場合がある。
第3の課題は、汚れた車内の空気を車外に排出することについては、特にその構成が開示されていない点である。
即ち、特許文献1の換気装置には「車内の空気が換気される」旨記載されているが、その主旨は車外の新鮮な空気を車内に導入して「車内の空気が換気される」ことの意味である。
【0004】
そこで、本願発明は、車窓枠の窓枠側窓ガラス受け溝と、これに嵌りあう窓ガラスの形状に左右されないような、そして車外の新鮮な空気を車内に導入するのみではなく、汚れた車内の空気を車外に排出することができる車用換気扇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、上部が車のサイド窓枠の窓ガラス受け溝に取付けられ、下部が窓ガラスを跨ぐ溝を備えアームと、このアームに吊下げ状に取付けられると共に、このアームが車外側に臨む面に設けられた開口、この開口を介して車内外を換気する送風ファン及びこのファンに電力を供給するソーラパネルを備えた送風ケーシングを有する車用換気扇において、前記送風ケーシングは、前記アームの中心部に配置されていると共に、前記中心部から左右の自由端に向う部分は、軟質材により成形されていることを特徴とする車用換気扇とした(請求項1の発明)。
【0006】
上記発明において、前記ファンの正転又は逆転を制御するスイッチを備えたことを特徴とする車用換気扇とした(請求項2に記載の発明)。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記送風ケーシングが配置されている前記アームの中心部を除いては、軟質材により成形されているので、車のガラス受け溝及び窓ガラスの形状にフィットする車用換気扇を提供することができる。
また、前記ファンの正転又は逆転を制御するスイッチを設けたので、車外の新鮮な空気を車内に導入するばかりでなく、車内の汚れた空気を車外に排出することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記発明に対応する実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は実施形態に係る車用換気扇(以下、本装置)の斜視図、図2は同装置の使用例図、図3は同装置の回路図である。
これらの各図及び後述の各図において、同一の構成には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0009】
図1及び図2に示したように、実施形態に係る本装置1は、上部11が車2のサイド窓枠20の窓ガラス受け溝21に取付けられ、下部12が窓ガラス端部22を跨ぐ溝を備えアーム10と、このアーム10が車外側に臨む面に設けられた開口13、このアーム10が車内側に臨む面に取付けられ、且つ前記開口13を介して車内外を換気する送風ファン14を内蔵した送風ケーシング15と、ファン14に電力を供給するために、前記ケーシング15の車外側に臨む面に配置されるソーラパネル16を備えている。
前記アーム10が前記送風ケーシング15を取付ける部分(以下、中心部)17以外の部分(以下、自由端部)18は、窓枠20の窓枠側窓ガラス受け溝21と、これに嵌りあう窓ガラス端22の窓閉めに対応して変形可能な材質で成形されている。
よって、窓枠20の窓枠側窓ガラス受け溝21と、これに嵌りあう窓ガラス端22の形状に左右されないような、車用換気扇1を提供することができる。
【0010】
前記中心部17は、硬質ゴム等の合成樹脂、例えばAAS樹脂等で成形され、他方、自由端部18は、軟質ゴム等の合成樹脂、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等のTPO樹脂で成形される。これらの成形は、2色成型品(複合成型)、各種材質硬度違いや異材質の組み合わせにより行うことができる。
なお、合成樹脂の種類は、上記のものに限定されることはなく、その他の合成樹脂である。
また、前記自由端部18の軟質材の硬度は、前記ガラス受け溝21及び窓ガラス端22の形状に追随することができる程度であればよい。
また、前記中心部17及び前記自由端部18を加えた長さは、車の窓枠20の平均的な横幅Wであればよい。
【0011】
前記ファン14は、直流モータM(DCモータ)により回転力が付与され、このモータMは逆流防止ダイオードを介してソーラパネル16に接続されていればよい。
また、DCモータMへの印加電圧を極性反転するように回路を組むことにより、前記ファン14の正転又は逆転を制御することができる。
即ち、図3に示した電気回路のように、第1のソーラパネル16Aと、第1の逆流防止ダイオードZAと前記直流モータMがスイッチS1により接続されることにより、正転回路を形成する。この状態からストップスイッチ3の位置を経由してスイッチS2に切換えられることにより第2のソーラパネル16Bと、第2の逆流防止ダイオードZBと前記直流モータMが逆転回路を形成する。
【0012】
以上のように構成された本装置では、次のような作用効果を奏する。
A. 前記アーム10の中心部17は硬質材であるが自由端部18は車のガラス受け溝21及び窓ガラス端22の形状に追随することができる軟質材であるから、アーム10の上部11が車のガラス受け溝21にフィットする共に、アーム10の下部12も窓枠側窓ガラス受け溝21に嵌りあう窓ガラス端22にフィットする。
B. また、窓枠20の一端領域が所定の角度で傾斜していたり、ラウンド状になっている場合にも、これらの傾斜やランウドにアーム10が追随できる。
C. さらに、ファン14の正転又は逆転を制御するスイッチSを設けたので、例えば喫煙者のシートの窓 枠20に本装置1を配置することで、窓ガラスを開けずとも、局所的に汚れる車内の空気を車外に排出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る本装置の斜視図、
【図2】同装置の使用例図、
【図3】本装置の電気回路図、
【図4】状来の車用換気扇の使用例図。
【符号の説明】
【0014】
1 本装置 10 アーム
11 上部 12 下部
13 開口 14 送風ファン
15 ケーシング 16 ソーラパネル
17 中心部 18 自由端部
16A 第1のソーラパネル 16B 第2のソーラパネル

2 車 20 窓枠
21 窓ガラス受け溝 22 窓ガラス端部
ZA 第1の逆流防止ダイオード ZB 第2の逆流防止ダイオード
M 前記直流モータ
S スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が車のサイド窓枠の窓ガラス受け溝に取付けられ、下部が窓ガラスを跨ぐ溝を備えアームと、
このアームに吊下げ状に取付けられると共に、このアームが車外側に臨む面に設けられた開口、この開口を介して車内外を換気する送風ファン及びこのファンに電力を供給するソーラパネルを備えた送風ケーシングを有する車用換気扇において、
前記送風ケーシングは、前記アームの中心部に配置されていると共に、前記中心部から左右の自由端に向う部分は、軟質材により成形されていることを特徴とする請求項1に記載の車用換気扇。
【請求項2】
前記ファンの正転又は逆転を制御するスイッチを備えたことを特徴とする請求項1に記載の車用換気扇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−214852(P2009−214852A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63506(P2008−63506)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(597114041)株式会社ユニオン産業 (4)
【Fターム(参考)】