説明

車群協調シミュレーション方法及び装置

【課題】車両の流れを評価する交通流シミュレーション方法及び装置に関し、類似する車両属性を有する車両同士を車群として扱うことが可能なシミュレーション方法及び装置を提供する。
【解決手段】交通流シミュレーションを行う交通流シミュレーション手段と、1台毎の車両挙動をもとに、複数台の車両を車群として生成管理する車群走行生成管理手段と、生成された車群の走行状態を格納する車群走行状態格納手段と、車群の走行状態を判定しその走行状態を画像表示する際に必要となる、車群の形状及び走行状態を示す車群表示情報を求める車群走行状態判定手段と、車両1台毎や、車群の挙動を画像表示する車群表示画像生成手段により車群協調シミュレーションを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の交通流シミュレーション装置において、走行する車両の特性である走行速度や車間距離等が同じ車両同士を一つの車群として走行させる機能を持たせ、車両同士の車間距離を詰めることにより、交通渋滞の解消やCOの削減を実現する走行車両自動運転システムの評価を行う新規なシミュレーション方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の交通流シミュレーション装置は、特許文献1のように、交通量のシミュレーション結果を車両1台毎の挙動としてアニメーション表示して解析に利用することができる。一方、実際の車両を制御することにより交通渋滞の緩和やCOの削減を目的に提案されている走行支援道路システム(AHS)では、路車間通信機能を用いて、高速道路合流部や、トンネル部、サグ部での円滑走行を支援する実システムを検討しており、また非特許文献1のようにシミュレーション装置を用いて実システムの有効性評価を行っている例もある。さらに、走行支援システムの発展系として、非特許文献2のようにコンピュータ制御により複数車両間をある条件下で車群形成し走行させる自動運転システムが提案されており、2000年11月には,独立行政法人産業技術総合研究所とJSKが共同で車群協調実走行のデモンストレーション(デモ2000)を実施している。これら車群協調システムでは、車群を構成する車両間の車間距離を最小限に詰め、高速度かつ高密度な走行を実現している。
【0003】
上記車群協調システムでは、一度形成された車群は、走行中の車群にある条件下で車両を参入させたり、車群から車両を分離させたり、車群を解消したりできる。さらに、車群同士を統合したり、車群を分割したりすることもできる。このように、車群の構成法に自由度を持たせることで、車両単独で走行するときと同じような利便性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−83044号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】東芝レビューVol.59 No.4 2004 http://www.toshiba.co.jp/tech/review/2004/04/index_j.htm
【非特許文献2】ITS自動運転車両群による協調走行技術のデモ公開(デモ2000) http://www.aist.go.jp/MEL/soshiki/tokatsu/press/DEMO2000/DEMO2000-2.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の交通流シミュレーション装置では、基本的に車両1台毎の挙動しか扱うことができず、車群管理機能を備えていなかった。このため、個々の車両間を車群で制御するような車群協調システムについてシミュレーション装置を用いて評価するには、従来の交通流シミュレーションの機能の他に、個々の車両の走行状態を把握しながら車群を形成したり、ある条件下で車群を参入・分離・解消したり、車群間を統合あるいは分割したりする機能が新たに必要になる。また、これら車群の挙動を表示装置上でアニメーション等を用いて、分かりやすくかつ高速に表示することが必須となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両の流れを計算機上で模擬し、交通計画の立案や評価を行う交通流シミュレーション装置において、交差点位置や交差点間の位置関係を含む道路構造を表したネットワークデータと、ネットワークデータ上を走行する車両や信号機等の制御に関する交通流パラメータをもとにシミュレーションを行う交通流シミュレーション手段と、1台毎の車両挙動をもとに複数台の車両を車群として生成管理する車群走行生成管理手段と、生成された車群の走行状態を管理する車群走行状態情報を格納する車群走行状態格納手段と、車群走行状態格納手段に格納された車群走行状態情報をもとに車群の走行状態を判定し走行状態を表す車群表示情報を生成する車群走行状態判定手段と、前記車群表示情報に基づき各車両や車群の挙動と走行状態を表す表示画像を生成する車群表示画像生成手段と、生成した車群表示画像を表示する表示手段を設け、車群協調シミュレーションを行うことを特徴とする。
【0008】
また、車群表示画像生成手段は、車群走行状態判定手段により生成した車群表示情報から生成したアニメーション画像、静止画像または文字画像の少なくとも一つを、前記表示手段により表示することを特徴とする。
【0009】
さらに、車両の流れを計算機上で模擬し、交通計画の立案や評価を行う交通流シミュレーション装置のシミュレーション方法において、交差点位置や交差点間の位置関係を含む道路構造を表したネットワークデータと、ネットワークデータ上を走行する車両や信号機等の制御に関する交通流パラメータをもとにシミュレーションを行い、車両1台毎の挙動をもとに複数台の車両を車群として生成管理し、生成された車群の走行状態を管理して走行状態情報を格納し、格納された車群走行状態情報をもとに車群の走行状態を判定してその走行状態を表す車群表示情報を生成し、車群表示情報に基づき車群表示画像を生成して、車両1台毎または車群の挙動を画像表示する車群協調シミュレーション方法を特徴とする。
【0010】
さらに、シミュレーション結果に基づき各車両や車群の挙動と走行状態を表す車群表示情報を求め、車群表示情報に基づきアニメーション画像、静止画像又は文字画像の少なくとも一つを生成して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、交通流シミュレーション装置において、一定の条件を満たす車両同士を車群として走行させる車群走行生成管理手段と、車群走行状態表示を行う車群走行状態判定手段および車群表示画像生成手段を設け、これにより交通流シミュレーション装置を使って、車両単体の走行状態を調べる通常のシミュレーションに加えて車群制御による交通流制御システムの評価を行うことができる。また、車群走行状態表示手段では時々刻々変化する車群の走行状態を、車群全体を表す外形図形で生成することで、生成速度を高速化したり、色々な視点で必要な情報を切替えて表示し、シミュレーション作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の全体システム構成を示すブロック図である。
【図2】車群協調シミュレーション全体の処理フロー図である。
【図3】車群形成処理のフロー図である。
【図4】車群走行状態表示処理のフロー図である。
【図5】車車間通信車両の走行状態について示す模式図である。
【図6】車群の走行状態について示す模式図である。
【図7】車両管理テーブルの内容について示す説明図である。
【図8】車群管理テーブルの内容について示す説明図である。
【図9】車群に参入する処理について示す模式図である。
【図10】車群から分離する処理について示す模式図である。
【図11】車両参入前の車両管理テーブルの内容を示す説明図である。
【図12】車両参入後の車群管理テーブルの内容を示す説明図である。
【図13】車群を解消する処理内容について示す模式図である。
【図14】車群解消前の車両管理テーブルの内容を示す説明図である。
【図15】車群解消後の車両管理テーブルの内容を示す説明図である。
【図16】車群同士を統合する処理について示す模式図である。
【図17】車群を分割する処理について示す模式図である。
【図18】車群統合前の車両管理テーブルの内容を示す説明図である。
【図19】車群統合後の車両管理テーブルの内容を示す説明図である。
【図20】車群走行時の走行状態表示を示す模式図である。
【図21】アニメーション画面上での画面操作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を図面につき説明する。図1は本発明のハードウエア構成を説明するブロック図である。本発明で使用する車群協調シミュレーション装置は、道路の形状情報を定義したネットワークデータ15と、信号機や発生交通量、経路情報など車両の交通特性を定義した交通流パラメータ16をもとに、車両1台毎の挙動を扱うミクロモデルの交通流シミュレーション手段10と、交通流シミュレーション手段10のシミュレーション結果をもとに、車群の対象となる候補車両を探索して車群形成を行う車群走行生成管理手段11と、車群を構成する走行車両や、車群の最新の走行状態についての情報を格納する車群走行状態格納手段12と、車群走行状態格納手段12に格納された車群走行状態情報をもとに、現在の車群の走行状態を判定し走行状態を表す車群表示情報を生成する車群走行状態判定手段13と、シミュレーション結果を車両1台毎及び、車群の挙動として表示する表示画像を生成する車群表示画像生成手段14と、画像表示内容を表示するディスプレイ17で構成される。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。車群協調シミュレーション装置の全体処理の流れを図2に示す。
まず、ネットワークデータ15と交通流パラメータ16をもとに、交通流シミュレーション手段10により車両1台毎の挙動を求め、車群走行状態格納手段に車群の走行状態情報を格納する(S20)。ここで、交通量シミュレーション手段10で求められる車両1台毎の挙動としての扱いは、純粋に1台の車両であったり、複数の車両を纏めた車群を1台の車両として扱ったりする。次に、交通量シミュレーション手段10から車群を形成するために必要な条件が指示されるか、または、交通流シミュレーション装置の指示をもとに車群生成要求が出される(S21)。
【0014】
次いで、車群走行状態管理部11は、車群走行状態格納手段12に格納された車群走行状態情報から車群形成の対象となり得る車両を検索し、車群を形成するとともに車群走行状態情報を生成する(S22)。次に、車群走行状態判定部13は、生成された車群走行状態情報からアニメーション表示等の画像表示に必要となる車群の形状図形や走行状態を表す車群表示情報を生成する。これに基づき、車群表示画像生成手段14により、車群等を表示する画像データを生成し、ディスプレイ17に表示する(S23)。
以上の処理を、シミュレーションの開始時刻から終了時刻まで繰り返して実行する(S24)。
【0015】
図3は、図2のS22における車群形成処理の詳細な流れを示す図である。まず、車群走行生成管理手段11は、車群走行状態格納手段12より車群走行状態情報を取り出し(S31)、取出された車群走行状態情報をもとに、車群を形成する際の条件に適合する車両であるか否か判別する(S32)。
【0016】
車群形成の適合条件としては、例えば、設定値に近い速度や車間距離で走行している車両であったり、または、目的地や目的地までの途中経路が類似な車両であったりする。さらに、設定値の台数の車群を先頭から順に形成したり、車間距離の短い車両を順に所定の車群の長さになるまで形成するなどの条件も考えられる。次に、車群に該当する車群走行状態情報が存在した場合、車群走行状態格納手段12内の車群走行状態情報を更新する(S33)。
【0017】
以上の処理を、車群管理テーブル内の全ての車両データについて処理を行う(S34)。
【0018】
図4は、図2のS23に示す、車群走行状態判定手段13及び車群表示画像生成手段14による車群走行状態表示処理の詳細な流れを示す図である。車群走行状態表示処理では、車群走行時に、当該車群の走行状態である車間距離や走行速度、目的地の情報が、付近を走行する車両で同様な走行状態の車両が存在する場合には(S41)、車群に参入することができる。この場合には、車群の参入の様子がわかるアニメーション表示処理を行う(S45)。車群内の車両で目的地の変更が生じた場合には、車群から当該車両が分離することができる(S42)。この場合には、車群からの分離の様子がわかるアニメーション表示処理を行う(S46)。
【0019】
車群を構成する車両全体において、例えば全ての車両が目的地あるいは経路の変更が生じた場合には、一度車群を解消することができる(S43)。この場合には、車群の解消の様子がわかるアニメーション表示を行う(S47)。車群を構成する台数が所定の台数より増えた場合には、車群を分割することができる(S44)。この場合には、車群の分割の様子を示すアニメーション表示処理を行う(S48)。複数台の車群が存在する中で、ある車群の車両の構成台数が所定値以下で、車群の走行状態である車間距離、走行速度、目的地の情報が近い場合には、車群同士を統合することができる(S45)。この場合には、車群同士の統合の様子を示すアニメーション表示処理を行う(S49)。
【0020】
図5、図6はディスプレイ上に示される走行車両から車群を形成する過程を示す図である。図5中の車両C1、C2、C3は車両同士相互にデータ通信が可能である。車両C4、C5、C6も同様にデータ通信が可能である。ここで、実車の場合、車両同士の位置、アクセル、ブレーキ、ハンドルの制御情報を車両間で共有し、協調しながら走行し車群を形成することになる。しかし、シミュレーション装置上では、シミュレーションの利用目的や計算処理の負荷を考慮し、車両制御系の厳密な挙動を簡略化している。図5の通信車両は制御の結果、図6に示すように、車両C1、C3、C6は車群g1に、C4,C5,C7は車群g2に夫々形成される。
形成された車群の表示は、g1とg2のように車群全体を包含する外形図形で定義するものとする。
【0021】
図7は、図5中の各走行車両の走行状態を管理する走行状態管理テーブル70の内容を示す図である。車両は、基本的に車両固有のIDであるC1〜C7を有し、現在の走行位置座標(x,y)と、現在の走行速度、先行車との車間距離、車両が行き先とする目的地の情報などを有するが、さらに車種や車両性能などの情報を有しても良い。ここで、目的地の情報は、起点と終点のペア情報あるいは、起点と終点を結ぶ経由地点を含む経路情報のどちらでもよい。通常、走行状態管理テーブル70は交通流シミュレーション装置起動時に生成され、実行過程で逐次更新される。
【0022】
図8は、図7の走行状態管理テーブル70の内容をもとに形成された車群の走行状態を管理する車群管理テーブル80の内容を示す図である。車群管理テーブルは、車群固有のIDであるg1、g2と、車群を構成する車両のIDと、車群を構成するのに用いられた条件で構成される。ここで車群g1は、車両管理テーブルのC1、C3、C6を参照すると分かるように目的地が同じ車両で構成されており、車群g2についても同様に、C4、C5、C7を参照することで、車間距離が同じ車両で構成されていることが分かる。
【0023】
図9は、車群に走行車両が参入する過程を示す図である。車両C1〜C4で構成される参入前の車群91に、車両C5が参入すると、車両C1〜C5で構成される参入後の車群94が形成される。ここで、参入後の車群94は、参入前の車群91と比べ車両1台分の大きさ93だけ車群形状が大きくなるため、アニメーション画面上に車群形状を生成する際に車群を構成する車両台数分相当の大きさの矩形を生成する。このように、車群参入の過程を図11の車両管理テーブル110と、車群管理テーブル111の情報を用いてアニメーション画面上に生成する。この際、車群の外形図形の内部に車両1台毎の形状が分かるような車両図形を生成しても良いが、実際には生成処理の負荷が重くなるため、状況により切替えて生成できるようにする。
【0024】
また、車両1台毎の表示の場合、マウスで当該車両を表す図形を選択すると、マウスの位置座標と車両の走行位置座標から車両IDが特定できるため、当該車両に関する走行状態情報をアニメーション画面上に表示することもできる。
【0025】
図10は、車群内の特定車両が車群から分離する様子を示す模式図である。車両C1〜C5で構成される分離前の車群100から、車両C5が分離すると、車両C1〜C4で構成される分離後の車群101が形成される。ここで、分離後の車群101は、参入前の車群100と比べ車両1台分の大きさだけ車群の形状が小きくなるため、アニメーション画面上に車群形状を生成する際に車群を構成する車両台数分相当の大きさの矩形を生成する。
【0026】
このように、車群分離の過程を車群走行状態情報を用いて車群参入の処理と同様に生成する。
【0027】
前述の、車群参入のときの外形矩形生成と同様に矩形内部に車両1台毎の車両図形を生成することもできるが、外形矩形生成の方が、一目で車群かどうかを識別し易いというメリットがある。
【0028】
図11は、図9の車群91に車両92が参入する直前の車両管理テーブル110及び、車群管理テーブル111の内容を表す図である。ここで、車両IDに登録されている車両はg1とC5である。また、g1は車群管理テーブルの車群IDに登録されているため車群であることが分かる。さらに、車群テーブル内の車両IDを参照することで、車群を構成している車両C1〜C4や、車群全体が目的地A→B(AからBに向う)が参照できるため、車両管理テーブル110と車群管理テーブル111を用いて、車群参入前の車両C5と、車群91を生成することができる。車両や車群の生成は例えば、走行位置を重心として、車両の場合車長、車幅を固定的に与え生成し車群の場合、車両1台の車長、車幅を基準に車間を固定的に与え車両台数を車群の長さ相当に換算することで生成できる。
【0029】
図12は、図9の車群91に車両C5が参入した直後の、車両管理テーブル120及び、車群管理テーブル121の内容を表す図である。車両管理テーブル120内には、車両C5が車群g1に参入したためテーブルからC5が外される、代わりに車群管理テーブル121内の車両IDに車両C5が追加される。このように、車群参入直後の車両C5と車群94を、車両管理テーブル120と車群管理テーブル121のデータを用いて生成することができる。図10の車群から車両分離する過程の生成についても、車群参入と同様に車両管理テーブルと車群管理テーブルを用いて生成可能である。
【0030】
図13は、車群全体を一旦解消し個別車両に分離する様子を示す模式図である。車両C1〜C5で構成される車群130全体が解消すると、車両C1〜C5の個別車両131が形成される。ここで、アニメーション画面上に車群形状を生成する際に、車群解消前に生成していた矩形を解消後には生成しないことで、車群の解消をアニメーション画面上で確認することができる。
【0031】
図14は、図13の車群130が車群を解消する直前の車両管理テーブル140及び、車群管理テーブル141の内容を表す図である。ここで、車両IDに登録されている車両はg1のみである。また、g1は車群管理テーブル141の車群IDに登録されているため、車群管理テーブル141を参照することで車群であることが分かる。
【0032】
さらに、車群管理テーブル141内の車両IDを参照することで、車群を構成している車両C1〜C5や、車群全体が目的地A→B(AからBに向う)が参照できる。アニメーション画面上の車群の生成は、車群参入と同様にC1〜C5で構成される車群g1の外形図形130を生成する。ここで、外形図形内に個別車両の車両図形を生成、あるいは切替え表示しても良い。
【0033】
図15は、車群130が車群を解消した直後の車両管理テーブル150の内容を表す図である。
【0034】
車両管理テーブル150内には、車群130が解消され車両C1〜C5が形成されるため、車両C1〜C5が登録される。車群g1のデータは車群解消により車群管理テーブル141から削除される。アニメーション画面上で車群解消後の走行状態を表すには、車両管理テーブル150をもとに車両C1〜C5からなるグループ131を生成する
図16は、車群同士が一つの車群に統合する様子を示す図である。車両C1〜C3で構成される車群160と、車両C4、C5で構成される車群161が統合すると、車両C1〜C5で構成される統合後の車群162が形成される。ここで、統合後の車群162は、統合前の車群160と車群161を加えた分だけ、車群の形状が大きくなるため、アニメーション画面上に車群形状を生成する際に、車群を構成する車両台数分相当の大きさの矩形を生成する。
【0035】
図17は、車群の分割される様子を示す模式図である。車両C1〜C5で構成される車群170を分割した場合、車両C4、C5で構成される車群171と車両C1〜C3で構成される車群172が形成される。ここで、分割後の車群171と172は、アニメーション画面上に車群形状を生成する際に、夫々の車群を構成する車両台数分相当の大きさの矩形を生成する。
【0036】
図18は、図16において車群160と車群161が統合する直前の車両管理テーブル180及び、車群管理テーブル181の内容を表す図である。
【0037】
ここで、車両管理テーブル180に登録されている車両はg1とg2である。また、g1とg2は車群管理テーブル181の車群IDに登録されているため、テーブルを参照することで車群であることが分かる。
【0038】
さらに、車群管理テーブル181内の車両IDを参照することで、車群を構成している車両C1〜C3やC4、C5、車群全体が目的地A→B(AからBに向う)が参照できる。アニメーション画面上の生成は、車群参入と同様に、C1〜C3で構成される車群g1の外形図形161と、c4、c5で構成される車群g2の外形図形160を夫々生成する。
【0039】
図19は、車群160と車群161が統合した直後の車両管理テーブル190及び、車群管理テーブル191の内容を表す図である。車両管理テーブル内には、車群160に車群161が統合したためテーブルから車群g2が外される、替わりに車群管理テーブル内の車両IDに車両C4、C5が追加される。アニメーション画面上の生成は、車群参入と同様にC1〜C5で構成される車群g1の外形図形162を生成する。
【0040】
以上述べたように、図17の車群からの車両分割についても同様に適用されるものとする。
【0041】
図20は、車群の走行状態をアニメーション画面上に表示している例を示す図である。車群201と、202は夫々車群の外形を表す図形で表示されている。203は、車群の外形図形の中に車両1台毎の形状が分かる車両図形を表示をしているが、車両図形の生成には時間がかかるため通常は201、202のように外形図形で表示する。また、車群201、202,203は夫々表示図形内がハッチング200で生成されている。これにより例えば、車群が形成された条件(速度、車間、目的地などの一致)がわかるような表示ができる。また、車群201、202では車群の台数や速度を数値で表示することもできる。
【0042】
図21は、アニメーション画面上で車群を構成する走行中の車群の走行状態を表示する方法を示す図である。例えば、表示画面上を走行する車群211を構成する車両212を、マウスなどで選択することで、図7の車両管理テーブルを参照し、サブウインドウ214に当該車両の走行状態情報を表示することができる。また、メニュー210から必要な表示機能を選択することで、例えば、車両212の目的地情報からネットワークデータ15をもとにダイクストラ法などの経路探索手法を用いてアニメーション画面上に、経路情報を表示することもできる。
【符号の説明】
【0043】
10:交通流シミュレーション手段
11:車群走行生成管理手段
12:車群走行状態格納手段
13:車群走行状態判定手段
14:アニメーションデータ生成手段
15:ネットワークデータ
16:交通流パラメータ
17:ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の流れを計算機上で模擬し、交通計画の立案や評価を行う交通流シミュレーション装置において、交差点位置や交差点間の位置関係を含む道路構造を表したネットワークデータと、ネットワークデータ上を走行する車両や信号機等の制御に関する交通流パラメータをもとにシミュレーションを行う交通流シミュレーション手段と、1台毎の車両挙動をもとに複数台の車両を車群として生成管理する車群走行生成管理手段と、生成された車群の走行状態を管理する車群走行状態情報を格納する車群走行状態格納手段と、車群走行状態格納手段に格納された車群走行状態情報をもとに車群の走行状態を判定し走行状態を表す車群表示情報を生成する車群走行状態判定手段と、前記車群表示情報に基づき各車両や車群の挙動と走行状態を表す表示画像を生成する車群表示画像生成手段と、生成した車群表示画像を表示する表示手段を設けたことを特徴とする車群協調シミュレーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車群協調シミュレーション装置において、前記車群表示画像生成手段は、前記車群走行状態判定手段により生成した車群表示情報から生成したアニメーション画像、静止画像または文字画像の少なくとも一つを、前記表示手段により表示することを特徴とする車群協調シミュレーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された車群協調シミュレーション装置において、前記車群走行生成管理手段は、前記交通流シミュレーション手段により求められる車両の走行状態情報と与えられた車群生成条件をもとに、車群を形成するかどうかを判断し車群生成を行うことを特徴とする車群協調シミュレーション装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された車群協調シミュレーション装置において、前記車群走行状態格納手段は、車群及び車両の走行状態を管理する車両管理テーブルと、車群を構成する車両情報を管理する車群管理テーブルを有し、車群の参入、分離、解消、統合又は分割の少なくとも一つを含む車群走行状態を表す車群走行状態情報を、前記車両管理テーブルと車群管理テーブルにより管理することを特徴とする車群協調シミュレーション装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された車群協調シミュレーション装置において、前記車群表示画像生成手段は、前記車群走行状態判定手段の生成した車群表示情報をもとに前記表示手段上に車群の外形を表す車群外形図形を表示するとともに、車群外形図形上に車群の現在の走行状態を表す車群走行状態情報や、車群を構成する車両の形状図形を切替えて表示することを特徴とする車群協調シミュレーション装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された車群協調シミュレーション装置において、前記車群表示画像生成手段は、前記車群走行状態判定手段により生成された車群表示情報をもとに、前記表示手段上に表示された車群外形図形上で、車群を構成する車両1台毎の車群走行状態情報を表示することを特徴とする車群協調シミュレーション装置。
【請求項7】
車両の流れを計算機上で模擬し、交通計画の立案や評価を行う交通流シミュレーション装置のシミュレーション方法において、交差点位置や交差点間の位置関係を含む道路構造を表したネットワークデータと、ネットワークデータ上を走行する車両や信号機等の制御に関する交通流パラメータをもとにシミュレーションを行い、車両1台毎の挙動をもとに複数台の車両を車群として生成管理し、生成された車群の走行状態を管理して走行状態情報を格納し、格納された車群走行状態情報をもとに車群の走行状態を判定してその走行状態を表す車群表示情報を生成し、車群表示情報に基づき車群表示画像を生成して、車両1台毎または車群の挙動を画像表示することを特徴とする車群協調シミュレーション方法。
【請求項8】
請求項7に記載された車群協調シミュレーション方法において、シミュレーション結果に基づき各車両や車群の挙動と走行状態を表す車群表示情報を求め、車群表示情報に基づきアニメーション画像、静止画像又は文字画像の少なくとも一つを生成して表示することを特徴とする車群協調シミュレーション方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載された車群協調シミュレーション方法において、交通流シミュレーションにより求められる車両の走行状態情報と所定の条件をもとに、車群を形成するかどうかを判断し車群生成を行うことを特徴とする車群協調シミュレーション方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載された車群協調シミュレーション方法において、車群の参入、分離、解消、統合又は分割の少なくとも一つを含む車群走行状態を表す車群走行状態情報を、車群走行状態及び車両走行状態毎に個別に管理することを特徴とする車群協調シミュレーション方法。
【請求項11】
請求項7又は8に記載された車群協調シミュレーション方法において、格納された車群走行状態情報をもとに走行状態を表す車群表示情報を生成し、車群の外形を表す車群外形図形を生成するとともに、車群外形図形上に車群の現在の走行状態を表す車群走行状態情報や、車群を構成する車両の形状図形を、切替えて表示することを特徴とする車群協調シミュレーション方法。
【請求項12】
請求項7又は8に記載された車群協調シミュレーション方法において、格納された情報をもとに、表示手段上の車群の外形を表す車群外形図形上で、車群を構成する特定の車両図形を選択して当該車両の車群走行状態情報を表示することを特徴とする車群協調シミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−81704(P2011−81704A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235160(P2009−235160)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】