説明

車載光学センサカバー及び車載光学センサ装置

【課題】光学センサの視界が雪や氷に遮られてしまうことを未然に回避する。
【解決手段】光学センサユニット1は、カメラ3が着脱可能なカメラカバー2に、洗浄液をカメラ3のレンズ5のレンズ面5aに向けて噴射して当該レンズ面5aを洗浄する洗浄ノズル9を備えると共に、カメラカバー2の筐体6の上面部13を加熱する上面部ヒーター14を備えている。洗浄ノズル9がレンズ面5aを洗浄することで、レンズ面5aに付着した付着物を適切に除去でき、上面部ヒーター14が駆動して筐体6の上面部13が熱を発散することで、筐体6の上面部13に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されている例えばカメラやレーザー等の光学センサと共に使用される車載光学センサカバー、前記車載光学センサカバーと光学センサとを備えた車載光学センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばカメラやレーザー等の光学センサが車両に搭載される傾向にあり、その車両に搭載されている光学センサのレンズのレンズ面に付着した水滴や泥等の付着物を除去する構成として、圧縮空気を噴射する圧縮空気発生ユニットを設け、圧縮空気発生ユニットから圧縮空気や高圧の洗浄水をレンズのレンズ面に向けて噴射して当該レンズ面に付着した付着物を除去する構成がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−171491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の光学センサにおいては、車両ボデーに搭載されるという事情により、降雪地域で使用されるような場合には、光学センサに雪が堆積することが想定される。そして、その堆積した雪が庇状に張り出し(所謂雪庇が形成され)、その庇状に張り出した雪が垂れてしまうと、レンズ面の前方が雪や氷に覆われたりレンズ面に雪や氷が付着したりし、光学センサの視界が雪や氷に遮られてしまうことが想定される。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、レンズのレンズ面又は当該レンズに対向するカバーガラスのガラス面に付着した付着物を適切に除去することができつつ、降雪地域で使用されるような場合であっても、光学センサの視界が雪や氷に遮られてしまうことを未然に回避することができ、光学センサを適切に動作させることができる車載光学センサカバー及び車載光学センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した車載光学センサカバーによれば、洗浄液を貯留可能な洗浄液タンクから供給された洗浄液を収容部に収容されている光学センサのレンズのレンズ面又は当該レンズに対向するカバーガラスがある場合には当該カバーガラスのガラス面に向けて噴射して当該レンズ面又は当該ガラス面を洗浄する洗浄ノズルを備えたので、洗浄ノズルがレンズ面又はガラス面を洗浄することで、レンズ面又はガラス面に付着した付着物を適切に除去することができる。又、光学センサが収容部に収容されている状態で当該光学センサの上方を覆う筐体の上面部を加熱する上面部加熱手段を備えたので、降雪地域で使用されるような場合であっても、筐体の上面部が熱を発散することで、筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができ、レンズ面又はガラス面の前方が雪や氷に覆われたりレンズ面又はガラス面に雪や氷が付着したりすることを未然に回避することができ、光学センサの視界が雪や氷に遮られてしまうことを未然に回避することができる。
【0007】
請求項2に記載した車載光学センサカバーによれば、筐体の上面部は、光学センサが収容部に収容され且つ車両に搭載されている状態で水平方向から傾斜する傾斜面部又は曲面部を有する形状に形成されているので、筐体の上面部に雪が堆積し難くしたり筐体の上面部に堆積した雪が融解した後に上面部から除去され易く(流れ易く)したりすることができる。
【0008】
請求項3に記載した車載光学センサカバーによれば、洗浄ノズルは、筐体の上面部側に設けられ、上面部加熱手段は、筐体の上面部を加熱すると共に洗浄ノズルをも加熱するので、筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができることに加え、洗浄液タンクから供給されて洗浄ノズルを流れる洗浄液を加熱することで、加熱した洗浄液をレンズ面又はガラス面に向けて噴射することができ、レンズ面又はガラス面に付着した雪や氷を融解して除去したりレンズ面又は当該ガラス面の曇りを除去したりすることもできる。
【0009】
請求項4に記載した車載光学センサカバーによれば、上面部加熱手段とは別に、洗浄ノズルを加熱する洗浄ノズル加熱手段を備えたので、この場合も、洗浄液タンクから供給されて洗浄ノズルを流れる洗浄液を加熱することで、加熱した洗浄液をレンズ面又はガラス面に向けて噴射することができ、レンズ面又はガラス面に付着した雪や氷を融解して除去したりレンズ面又は当該ガラス面の曇りを除去したりすることもできる。
【0010】
請求項5に記載した車載光学センサ装置によれば、請求項1乃至4の何れかに記載した車載光学センサカバーと、洗浄ノズルによる洗浄動作、上面部加熱手段による加熱動作を制御する制御手段と、レンズを有する光学センサと、を備えて構成したので、上記した請求項1に記載したものと同様にして、洗浄ノズルがレンズ面又はガラス面を洗浄することで、レンズ面又はガラス面に付着した付着物を適切に除去することができる。又、降雪地域で使用されるような場合であっても、筐体の上面部が熱を発散することで、筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができる。
【0011】
請求項6に記載した車載光学センサ装置によれば、車両の起動開始を検出する車両起動開始検出手段を備え、制御手段は、車両の起動開始が車両起動開始検出手段により検出されると、上面部加熱手段による加熱動作を開始するので、ユーザが例えばアクセサリスイッチやイグニッションスイッチをオンする毎に、即ち、ユーザがこれから運転を開始しようとする毎に筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができる。
【0012】
請求項7に記載した車載光学センサ装置によれば、車両の起動終了を検出する車両起動終了検出手段を備え、制御手段は、車両の起動開始が車両起動開始検出手段により検出されたことに応じて上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、車両の起動終了が車両起動開始検出手段により検出されるまで上面部加熱手段による加熱動作を継続するので、ユーザが例えばアクセサリスイッチやイグニッションスイッチをオフするまで、即ち、ユーザが運転を終了しようとするまで筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができる。
【0013】
請求項8に記載した車載光学センサ装置によれば、上面部加熱手段による加熱動作を開始してから一定時間の経過を検出する時間経過検出手段を備え、制御手段は、車両の起動開始が車両起動開始検出手段により検出されたことに応じて上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、加熱動作を開始してから一定時間の経過が時間経過検出手段により検出されるまで上面部加熱手段による加熱動作を継続するので、ユーザが例えばアクセサリスイッチやイグニッションスイッチをオンしてから一定時間が経過するまで、即ち、ユーザがこれから運転を開始しようとしてから一定時間が経過するまで筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができる。
【0014】
請求項9に記載した車載光学センサ装置によれば、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度を検出する温度検出手段を備え、制御手段は、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満であると温度検出手段により検出されると、上面部加熱手段による加熱動作を開始するので、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満になると、筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができる。
【0015】
請求項10に記載した車載光学センサ装置によれば、制御手段は、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満であると温度検出手段により検出されたことに応じて上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度以上であると温度検出手段により検出されるまで上面部加熱手段による加熱動作を継続するので、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度以上になるまで筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができる。
【0016】
請求項11に記載した車載光学センサ装置によれば、上面部加熱手段による加熱動作を開始してから一定時間の経過を検出する時間経過検出手段を備え、制御手段は、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満であると温度検出手段により検出されたことに応じて上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、加熱動作を開始してから一定時間の経過が時間経過検出手段により検出されるまで上面部加熱手段による加熱動作を継続するので、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満になってから一定時間が経過するまで筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができる。
【0017】
請求項12に記載した車載光学センサ装置によれば、光学センサにより撮影された映像を解析する映像解析手段と、映像解析手段による映像解析結果に基づいて上面部への雪や氷の堆積を検出する堆積検出手段と、を備え、制御手段は、筐体の上面部への雪や氷の堆積が堆積検出手段により検出されると、上面部加熱手段による加熱動作を開始するので、筐体の上面部への雪や氷の堆積が検出されると、筐体の上面部に堆積した雪を融解することができ、これ以降に筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避することができる。
【0018】
請求項13に記載した車載光学センサ装置によれば、制御手段は、上面部への雪や氷の堆積が堆積検出手段により検出されたことに応じて上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、筐体の上面部への雪や氷の堆積が堆積検出手段により検出されなくなるまで上面部加熱手段による加熱動作を継続するので、筐体の上面部への雪や氷の堆積が検出されなくなるまで筐体の上面部に堆積した雪を融解することができ、これ以降に筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避することができる。
【0019】
請求項14に記載した車載光学センサ装置によれば、上面部加熱手段による加熱動作を開始してから一定時間の経過を検出する時間経過検出手段を備え、制御手段は、筐体の上面部への雪や氷の堆積が堆積検出手段により検出されたことに応じて上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、加熱動作を開始してから一定時間の経過が時間経過検出手段により検出されるまで上面部加熱手段による加熱動作を継続するので、筐体の上面部への雪や氷の堆積が検出されてから一定時間が経過するまで筐体の上面部に堆積した雪を融解することができ、これ以降に筐体の上面部に雪が堆積することを未然に回避することができる。
【0020】
請求項15に記載した車載光学センサ装置によれば、制御手段は、上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、洗浄ノズルによる洗浄動作を開始するので、上面部加熱手段による加熱動作により雪や氷が融解した水滴がレンズ面又はガラス面に付着したとしても、そのレンズ面又はガラス面に付着した水滴を適切に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す正面図(a)及び縦断側面図(b)
【図2】カメラカバーとカメラとが分離されている態様を示す図
【図3】車両に搭載されている態様を示す斜視図
【図4】機能ブロック図
【図5】フローチャート
【図6】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図7】図4相当図
【図8】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図9】図3相当図
【図10】その他の実施形態を示す図1相当図
【図11】図10相当図
【図12】図10相当図
【図13】図10相当図
【図14】図10相当図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明の光学センサとしてカメラを適用した第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。光学センサユニット1(本発明でいう車載光学センサ装置)は、図1に示すように、カメラカバー2(本発明でいう車載光学センサカバー)に対してカメラ3(本発明でいう光学センサ)が着脱可能に装着されて構成されている。カメラ3の筐体4の正面側(図1(b)では左側)にはレンズ5が設けられていると共に筐体4の背面側(図1(b)では右側)からは当該カメラ3に電力を供給するための電力供給線(図示せず)や映像信号を出力するための映像信号出力線(図示せず)等が引出されている。レンズ5は広角撮影を可能とするようにレンズ面5aが曲面状に形成されている魚眼レンズである。
【0023】
カメラカバー2の筐体6の下側内部はカメラ3を収容するためのカメラ収容部7(本発明でいう収容部)とされており、筐体6の下側背面側には開口部8が設けられている。カメラ3は、図2にも示すように、外部から開口部8を通じてカメラ収容部7に取付けられ、カメラ収容部7から開口部8を通じて外部に取外される。
【0024】
カメラカバー2の筐体6の上側内部は洗浄ノズル9を収容するための洗浄ノズル収容部10とされている。即ち、洗浄ノズル9はカメラ3の上方に配置されている。洗浄ノズル9は「L」字形状をなし、その基端部9aは筐体6の背面側で可撓性を有するチューブ11に接続されており、その先端部9bは下方に向けて開口して噴射口12として機能する。この場合、筐体6の正面側上部が庇状に張り出して形成されていることで、カメラ3がカメラ収容部7に正常に収容されている状態(図1に示す通常使用時の状態)では、洗浄ノズル9の先端部9b(噴射口12)の真下方向にカメラ3のレンズ5のレンズ面5aが位置するようになっている。
【0025】
カメラカバー2の筐体6の上面部13には上面部ヒーター14(本発明でいう上面部加熱手段)が埋設される格好で配置されている。上面部ヒーター14は、例えば電熱線等から構成され、筐体6の正面側から背面側にかけての略全域にわたって配置されている。この場合、電熱線に電流が流れる(通電される)と電熱線が発熱し、その発生した熱は筐体6の上面部13に伝達されて当該上面部13の表面から外部(上方)に向かって発散される。本実施形態では、このように上面部ヒーター14が上面部13に埋設されて配置されている構成を示しているが、筐体6の上面部13を加熱する構成であれば、例えばシート状の上面部ヒーターが上面部13の裏面に貼付けられていても良い。
【0026】
洗浄ノズル9には洗浄ノズルヒーター15(本発明でいう洗浄ノズル加熱手段)が当該洗浄ノズル9を周回する格好で配置されている。洗浄ノズルヒーター15も、上記した上面部ヒーター14と同様にして例えば電熱線等から構成され、筐体6の正面側から背面側にかけての略全域にわたって配置されている。この場合、電熱線に電流が流れると電熱線が発熱し、その発生した熱は洗浄ノズル9に伝達されて当該洗浄ノズル9を流れる洗浄液に伝達される。
【0027】
このように構成されてなる光学センサユニット1は、図3に示すように、例えばカメラ3の視野方向が車体16の後下方となるように、カメラカバー2の筐体6の上面部13が背面側から正面側にかけて下がるように水平方向から傾斜する格好で例えば取付治具18を介して車体16のリアウィンドウ17の上方に搭載される。即ち、カメラ3は車両が後退する際に車両後方を撮影するバックビューカメラとして機能する。又、カメラカバー2の筐体6の上面部13が背面側から正面側にかけて下がるように水平方向から傾斜して搭載されるので、筐体6の上面部13に雪が堆積し難くなったり筐体6の上面部13に堆積した雪が融解した後に上面部13から除去され易く(流れ易く)なったりする。
【0028】
図4は上記した光学センサユニット1を含む周辺の電気的な構成を機能ブロック図により示している。本発明でいう車載光学センサ装置は光学センサユニット1と制御部19とを構成要件として含んで構成される。制御部19(本発明でいう制御手段、車両起動開始検出手段、車両起動終了検出手段、時間経過検出手段、温度検出手段、映像解析手段、堆積検出手段)は、マイクロコンピュータを主体として構成され、予め記憶している制御プログラムを実行することで、カメラ3による撮影動作を制御し、洗浄液タンク20に設けられているモーター21の動作を制御することで洗浄ノズル9による洗浄動作を制御し、上面部ヒーター14による加熱動作及び洗浄ノズルヒーター15による加熱動作を制御する。
【0029】
この場合、モーター21が駆動すると、洗浄液タンク20に貯留されている洗浄液がチューブ11を介して洗浄ノズル9に供給され、洗浄ノズル9に供給された洗浄液は水圧により噴射口12からカメラ3のレンズ5のレンズ面5aに向けて噴射される。ここでいう噴射とは、洗浄液を霧状にしてレンズ面5aに吹きつける場合や、霧状ほど細かくない程度に粒状にした洗浄液をレンズ面5aに適量供給する場合や、一定量の洗浄液の塊を一度にレンズ面5aに供給する場合等、本発明の効果が発揮されるような噴射であれば全ての場合を含む概念として用いられる。尚、洗浄液タンク20は車体16にあって周知のエンジンルームに設けられている。
【0030】
液晶ディスプレイ装置22は、車室内に設けられ、カメラ3から出力された映像信号を入力すると、その入力した映像信号を復号処理することで当該映像信号に対応する映像を表示する。制御部19は、液晶ディスプレイ装置22に表示されている映像を解析し、映像中に雪や氷が含まれているか否かを判定することで、カメラカバー2の筐体6の上面部13に雪が堆積しているか否かを判定する。
【0031】
洗浄スイッチ23は、ユーザが操作可能なスイッチであり、ユーザが洗浄スイッチ23を操作すると、操作検出信号を制御部19に出力し、制御部19は、洗浄スイッチ23から出力された操作検出信号を入力すると、駆動指令信号をモーター21に出力してモーター21を駆動させる。制御部19からモーター21に出力される駆動指令信号は例えばレベル信号であり、レベル信号がオン(ハイレベル)されている期間だけ洗浄ノズル9による洗浄動作が行われる。
【0032】
上面部ヒータースイッチ24は、ユーザが操作可能なスイッチであり、ユーザが上面部ヒータースイッチ24を操作すると、操作検出信号を制御部19に出力し、制御部19は、上面部ヒータースイッチ24から出力された操作検出信号を入力すると、駆動指令信号を上面部ヒーター14に出力して上面部ヒーター14を駆動させる。制御部19から上面部ヒーター14に出力される駆動指令信号も例えばレベル信号であり、レベル信号がオンされている期間だけ上面部ヒーター14による加熱動作が行われる。
【0033】
洗浄ノズルヒータースイッチ25は、ユーザが操作可能なスイッチであり、ユーザが洗浄ノズルヒータースイッチ25を操作すると、操作検出信号を制御部19に出力し、制御部19は、洗浄ノズルヒータースイッチ25から出力された操作検出信号を入力すると、駆動指令信号を洗浄ノズルヒーター15に出力して洗浄ノズルヒーター15を駆動させる。制御部19から洗浄ノズルヒーター15に出力される駆動指令信号も例えばレベル信号であり、レベル信号がオンされている期間だけ洗浄ノズルヒーター15による加熱動作が行われる。これら洗浄スイッチ23、上面部ヒータースイッチ24及び洗浄ノズルヒータースイッチ25は機械的に設けられているスイッチであっても良いし液晶ディスプレイ装置22に表示される表示画面上に形成されるタッチスイッチであっても良い。
【0034】
装置温度計26は、カメラカバー2の筐体6の温度(光学センサユニット1の温度)を計測し、その計測した温度計測信号を制御部19に出力し、制御部19は、装置温度計26から出力された温度計測信号を入力すると、その入力した温度計測信号を解析することでカメラカバー2の筐体6の温度を検出する。又、制御部19は、時間を計測する計時機能を有している。
【0035】
車載LANインタフェース部27は、車両に搭載されている各種センサや各種ECU等からアクセサリ(ACC)スイッチのオンオフを示すACC信号、イグニッション(IG)スイッチのオンオフを示すIG信号、ギアの位置を示すギア位置信号、ワイパの動作状態を示すワイパ動作信号等を車載LAN28を介して入力すると、その入力した各種信号を制御部19に出力する。制御部19は、車載LANインタフェース部27から出力された各種信号を入力すると、その入力した各種信号を解析することで、ACCスイッチのオンオフ、IGスイッチのオンオフ、ギアの位置、ワイパの動作状態等を検出する。
【0036】
次に、上記した構成の作用について、図5を参照して説明する。
制御部19は、電源オン状態(光学センサユニット1の起動状態)にあるときには、洗浄ノズル9による洗浄動作、上面部ヒーター14による加熱動作及び洗浄ノズルヒーター15による加熱動作の各々について開始条件及び終了条件が成立したか否かを判定している(ステップS1〜S6)。
【0037】
ここで、制御部19は、洗浄ノズル9による洗浄動作の開始条件が成立したと判定すると(ステップS1にて「YES」)、駆動指令信号をモーター21に出力してモーター21を駆動させ、洗浄ノズル9による洗浄動作を開始する(ステップS7)。即ち、制御部19は、例えばユーザが洗浄スイッチ23を操作したことに応じて洗浄スイッチ23から操作検出信号を入力したと判定すると、洗浄ノズル9による洗浄動作の開始条件が成立したと判定し、洗浄ノズル9による洗浄動作を開始する。この場合、洗浄液タンク20に貯留されている洗浄液が洗浄ノズル9に供給されて噴射口12からカメラ3のレンズ5のレンズ面5aに向けて噴射される。
【0038】
そして、制御部19は、このようにして洗浄ノズル9による洗浄動作の開始した後に、洗浄ノズル9による洗浄動作の終了条件が成立したと判定すると(ステップS4にて「YES」)、洗浄ノズル9による洗浄動作を終了する(ステップS8)。即ち、制御部19は、例えばユーザが洗浄スイッチ23を再度操作したことに応じて洗浄スイッチ23から操作検出信号を再度入力したと判定したり、洗浄動作を開始してから一定時間が経過したと判定したり、噴射した洗浄液の液量が所定量に到達したと判定したりすると、洗浄ノズル9による洗浄動作の終了条件が成立したと判定し、洗浄ノズル9による洗浄動作を終了する。
【0039】
又、制御部19は、上面部ヒーター14による加熱動作の開始条件が成立したと判定すると(ステップS2にて「YES」)、駆動指令信号を上面部ヒーター14に出力して上面部ヒーター14を駆動させ、上面部ヒーター14による加熱動作を開始する(ステップS9)。即ち、制御部19は、例えばユーザが上面部ヒータースイッチ24を操作したことに応じて上面部ヒータースイッチ24から操作検出信号を入力したと判定したり、車載LANインタフェース部27から入力した信号に基づいてACCスイッチやIGスイッチがオンしたと判定したり、装置温度計26から入力した温度計測信号に基づいてカメラカバー2の筐体6の温度が所定温度未満であると判定したり、液晶ディスプレイ装置22に表示されている映像に基づいてカメラカバー2の筐体6の上面部13に雪が堆積していると判定したりすると、上面部ヒーター14による加熱動作の開始条件が成立したと判定し、駆動指令信号を上面部ヒーター14に出力して上面部ヒーター14を駆動させ、上面部ヒーター14による加熱動作を開始する。この場合、上面部ヒーター14が加熱動作を開始したことで発生した熱は筐体6の上面部13に伝達されて当該上面部13の表面から外部に向かって発散される。
【0040】
そして、制御部19は、上面部ヒーター14による加熱動作を開始した後に、上面部ヒーター14による加熱動作の終了条件が成立したと判定すると(ステップS5にて「YES」)、上面部ヒーター14による加熱動作を終了する(ステップS10)。即ち、制御部19は、例えばユーザが上面部ヒータースイッチ24を再度操作したことに応じて上面部ヒータースイッチ24から操作検出信号を再度入力したと判定したり、上面部ヒーター14による加熱動作を開始してから一定時間が経過したと判定したり、車載LANインタフェース部27から入力した信号に基づいてACCスイッチやIGスイッチがオフしたと判定したり、装置温度計26から入力した温度計測信号に基づいてカメラカバー2の筐体6の温度が所定温度以上であると判定したり、液晶ディスプレイ装置22に表示されている映像に基づいてカメラカバー2の筐体6の上面部13に雪が堆積していない(雪が融解した)と判定したりすると、上面部ヒーター14による加熱動作の終了条件が成立したと判定し、上面部ヒーター14による加熱動作を終了する。
【0041】
又、制御部19は、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作の開始条件が成立したと判定すると(ステップS3にて「YES」)、駆動指令信号を洗浄ノズルヒーター15に出力して洗浄ノズルヒーター15を駆動させ、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作を開始する(ステップS11)。即ち、制御部19は、例えばユーザが洗浄ノズルヒータースイッチ25を操作したことに応じて洗浄ノズルヒータースイッチ25から操作検出信号を入力したと判定すると、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作の開始条件が成立したと判定し、駆動指令信号を洗浄ノズルヒーター15に出力して洗浄ノズルヒーター15を駆動させ、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作を開始する。洗浄ノズルヒーター15が加熱動作を開始したことで発生した熱は洗浄ノズル9に伝達されて当該洗浄ノズル9を流れる洗浄液に伝達される。
【0042】
そして、制御部19は、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作を開始した後に、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作の終了条件が成立したと判定すると(ステップS6にて「YES」)、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作を終了する(ステップS12)。即ち、制御部19は、例えばユーザが洗浄ノズルヒータースイッチ25を再度操作したことに応じて洗浄ノズルヒータースイッチ25から操作検出信号を再度入力したと判定すると、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作の終了条件が成立したと判定し、洗浄ノズルヒーター15による加熱動作を終了する。
【0043】
尚、以上は、上面部ヒータースイッチ24による加熱動作の開始条件や終了条件と洗浄ノズルヒーター15による加熱動作の開始条件や終了条件とが異なる場合を説明したが、これら上面部ヒータースイッチ24による加熱動作の開始条件や終了条件と洗浄ノズルヒーター15による加熱動作の開始条件や終了条件とが同じであっても良く、上面部ヒーター14と洗浄ノズルヒーター15とが連動する構成であっても良い。又、上面部ヒータースイッチ24による加熱動作を終了した後に、洗浄ノズル9による洗浄動作を開始するようにしても良い。
【0044】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、カメラ3が着脱可能なカメラカバー2に、洗浄液を貯留可能な洗浄液タンク20から供給された洗浄液をカメラ3のレンズ5のレンズ面5aに向けて噴射して当該レンズ面5aを洗浄する洗浄ノズル9を設けると共に、カメラカバー2の筐体6の上面部13を加熱する上面部ヒーター14を設けたので、洗浄ノズル9がレンズ面5aを洗浄することで、レンズ面5aに付着した付着物を適切に除去することができ、又、降雪地域で使用されるような場合であっても、筐体6の上面部13が熱を発散することで、筐体6の上面部13に雪が堆積することを未然に回避したり堆積した雪を融解したりすることができ、レンズ面5aが雪や氷に覆われたりレンズ面5aに雪や氷が付着したりすることを未然に回避することができ、カメラ3の視界が雪や氷に遮られてしまうことを未然に回避することができる。
【0045】
又、洗浄ノズル9を加熱する洗浄ノズルヒーター15を設けたので、洗浄液タンク20から供給されて洗浄ノズル9を流れる洗浄液を加熱することで、加熱した洗浄液をレンズ面5aに向けて噴射して当該レンズ面5aを洗浄することができ、レンズ面5aに付着した雪や氷を融解して除去することができ、又、レンズ面5aの曇りを除去することもできる。
【0046】
又、上面部ヒータースイッチ24による加熱動作を終了した後に、洗浄ノズル9による洗浄動作を開始するようにすれば、上面部ヒーター14による加熱動作により雪や氷が融解した水滴がレンズ面5aに付着したとしても、そのレンズ面5aに付着した水滴を適切に除去することができる。更に、カメラカバー2に対してカメラ3を着脱可能に設けたので、カメラ3だけを容易に交換することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第1の実施形態は、カメラカバー2の筐体6の上面部13を加熱する上面部ヒーター14と、洗浄ノズル9を加熱する洗浄ノズルヒーター15とが別体の構成であるが、第2の実施形態は、カメラカバーの筐体の上面部を加熱する上面部ヒーターと、洗浄ノズルを加熱する洗浄ノズルヒーターとが一体の構成である。
【0048】
即ち、図6に示すように、光学センサユニット31を構成するカメラカバー32の筐体33の下側内部はカメラ3を収容するためのカメラ収容部34とされていると共に、上側内部は洗浄ノズル9を収容するための洗浄ノズル収容部35とされ、ヒーター36が筐体33の上面部37の裏面に接し且つ洗浄ノズル9を周回する格好で配置されている。ヒーター36は、第1の実施形態で説明した上面部ヒーター14と洗浄ノズルヒーター15とを兼用するものであり、例えば電熱線等から構成され、電熱線に電流が流れると電熱線が発熱し、その発生した熱は筐体33の上面部37に伝達されて当該上面部37の表面から外部に向かって発散されると共に洗浄ノズル9に伝達されて当該洗浄ノズル9を流れる洗浄液に伝達される。
【0049】
このように第1の実施形態で説明した上面部ヒーター14と洗浄ノズルヒーター15とがヒーター36として兼用される構成では、図7に示すように、第1の実施形態で説明した上面部ヒータースイッチ24と洗浄ノズルヒータースイッチ25とがヒータースイッチ38として兼用され、制御部39は、ヒータースイッチ38から出力された操作検出信号を入力すると、駆動指令信号をヒーター36に出力してヒーター36を駆動させ、筐体33の上面部37を加熱すると同時に洗浄ノズル9を加熱する。
【0050】
以上に説明したように第2の実施形態によれば、ヒーター36がカメラカバー32の筐体33の上面部37を加熱すると同時に洗浄ノズル9を加熱するように構成したので、カメラカバー32の筐体33の上面部37を加熱するヒーターと、洗浄ノズル9を加熱するヒーターとを別々に備える構成と比較し、部品点数を削減することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
第1の実施形態は、カメラカバー2の筐体6の上面部13が水平な構成であるが、第3の実施形態は、カメラカバーの筐体の上面部が傾斜している構成である。
【0052】
即ち、図8に示すように、光学センサユニット41を構成するカメラカバー42の筐体43の下側内部はカメラ3を収容するためのカメラ収容部44とされていると共に、上側内部は洗浄ノズル9を収容するための洗浄ノズル収容部45とされ、筐体43の上面部46が背面側から正面側にかけて下がるように傾斜している。又、カメラカバー42の筐体43の上面部46には第1の実施形態で説明した上面部ヒーター14と同等の機能を有する上面部ヒーター47が埋設される格好で配置されており、洗浄ノズル9には洗浄ノズルヒーター15が当該洗浄ノズル9を周回する格好で配置されている。
【0053】
このように構成されてなる光学センサユニット41も、図9に示すように、例えばカメラ3の視野方向が車体16の後下方となるように例えば取付治具18を介して車体16のリアウィンドウ17の上方に搭載される。この場合、カメラカバー42の筐体43の上面部46が水平方向から傾斜する角度は、第1の実施形態で説明したカメラカバー2の筐体6の上面部13が水平方向から傾斜する角度よりも大きく、筐体43の上面部46に雪が極めて堆積し難くなったり筐体6の上面部13に堆積した雪が融解した後に上面部13から極めて除去され易くなったりする。
【0054】
以上に説明したように第3の実施形態によれば、カメラカバー42の筐体43の上面部46が背面側から正面側にかけて下がるように傾斜する形状に構成したので、筐体43の上面部46に雪が堆積し難くしたり筐体43の上面部46に堆積した雪が融解した後に上面部46から除去され易くしたりすることができる。尚、この場合は、例えばカメラ3の視野方向が車体16の真後方(水平方向)となるように車体16に搭載される場合であっても、筐体43の上面部46に雪が堆積し難くしたり筐体43の上面部46に堆積した雪が融解した後に上面部46から除去され易くしたりすることができる。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
光学センサは、カメラに限らず、レンズを有して物理量を光学的に測定する装置であれば良く、レーザー等の他のセンサであっても良い。
洗浄ノズルによる洗浄動作を開始する条件として、ギアの後退位置へのシフトを検出したこと、ワイパの動作を検出したこと、映像中に付着物を検出したこと等を含めても良い。又、それらを組み合わせても良い。
【0056】
カメラカバーの筐体の上面部に加えられる荷重を検出する重量センサが設けられ、カメラカバーの筐体の上面部に加えられる荷重が所定重量以上であると検出すると、上面部ヒータースイッチによる加熱動作を開始し、上面部ヒータースイッチによる加熱動作を開始した後に、カメラカバーの筐体の上面部に加えられる荷重が所定重量未満であると検出すると、上面部ヒータースイッチによる加熱動作を終了するようにしても良い。
【0057】
カメラカバーの筐体の上面部に、筐体の上面部に雪が堆積し難くしたり筐体の上面部に堆積した雪が融解した後に上面部から除去され易くしたりするような曲面部が形成されていても良い。
【0058】
洗浄ノズルによる洗浄動作を実施した回数をカウントし、洗浄ノズルによる洗浄動作を実施した回数が所定回数に達しても汚れを除去することができない場合や、洗浄ノズルによる洗浄動作を実施した時間が所定時間に達しても汚れを除去することができない場合に、その旨をユーザに対して報知するようにしても良い。この場合、報知する方法としては、表示画面を液晶ディスプレイ装置に表示させたり、音声をスピーカ(図示せず)から出力させたりしても良いし、シートやハンドルに振動発生装置や静電気発生装置を設け、振動や静電気をシートやハンドルから発生させる構成であっても良いし、これらを併用しても良い。即ち、視覚、聴覚、触覚のうち何れを用いて報知する方法であっても良い。
【0059】
カメラのレンズのレンズ面が撥水処理、親水処理、光触媒処理又は防汚処理され、撥水膜、親水膜、光触媒膜又は防汚膜がレンズ面にコーティングされている構成であっても良い。このように構成すれば、レンズ面に水滴や泥等の付着物が付着することを未然に回避することができ、たとえ水滴や泥等の付着物が付着したとしても、洗浄ノズルによる洗浄動作が行われることで好適にレンズ面を洗浄することができる。
【0060】
カメラカバーの筐体に洗浄ノズルと並行してウィンドウ洗浄ノズルが設けられ、洗浄液タンクに貯留されている洗浄液がチューブを介してウィンドウ洗浄ノズルに供給され、ウィンドウ洗浄ノズルに供給された洗浄液が噴射口からウィンドウに向けて噴射される構成であっても良い。このように構成すれば、カメラのレンズのレンズ面を洗浄することに加えてウィンドウをも洗浄することができ、多機能化を実現することができる。尚、洗浄ノズルに供給される洗浄液を貯留する洗浄液タンクとは別に、ウィンドウ洗浄ノズルに供給される洗浄液を貯留する洗浄液タンクが設けられている構成であっても良い。又、洗浄ノズルの噴射口の噴射方向を可変することでカメラレンズのレンズ面に向けて洗浄液を噴射する動作とウィンドウに向けて洗浄液を噴射する動作とを選択的に行う構成であっても良い。
【0061】
カメラカバーの筐体に受け皿及びチューブが設けられ、洗浄ノズルの噴射口からカメラのレンズのレンズ面に向けて噴射されたことに応じてレンズ面から垂れる洗浄液が受け皿で受けられ、受け皿に受けられた洗浄液がチューブを介して排水される構成であっても良い。このように構成すれば、レンズ面から垂れる洗浄液でウィンドウが汚れてしまうことを未然に回避することができる。又、これとは反対に、受け皿に孔が設けられ、レンズ面5aから垂れた洗浄液が孔を介してウィンドウに流れることでウィンドウが洗浄される構成であっても良い。
【0062】
図10に示すように、カメラカバー51の筐体52にあってカメラ3のレンズ5のレンズ面5aの下端部に近い部位に突起物53が設けられる構成であっても良い。このように構成すれば、レンズ面5aの下端部に溜まった水滴を突起物53に接触させることで、水滴をレンズ面5aの下方に誘導して除去することができる。又、図11に示すように、カメラカバー61の筐体62にあってカメラ3のレンズ5のレンズ面5aの下端部に近い部位に突起物63が設けられ、その突起物63が溝部64に沿って上下方向に移動可能に設けられる構成であっても良い。このように構成すれば、突起物63を上下方向に移動させることで、レンズ5の曲率や径の違いに対してフレキシブルに対応することができる。
【0063】
図12に示すように、カメラカバー71の筐体72に第1の実施形態で説明した上面部ヒーター14及び洗浄ノズルヒーター15が設けられると共に、筐体72の正面側に透明部材からなるカバーガラス73がカメラ3のレンズ5に対向して設けられ、洗浄液タンク20からチューブ11を介して洗浄ノズル9に供給された洗浄液が噴射口12からカバーガラス73のガラス面73aに向けて噴射される構成であっても良い。このように構成すれば、カメラ3のレンズ5をカバーガラス73により保護した上で、洗浄液をガラス面73aに向けて適切に噴射して当該ガラス面73aに付着した付着物を適切に除去することができる。この場合、筐体71の内部にカメラ3全体が収容されるので、筐体71の前後方向(正面側から背面側まで)の寸法は第1実施形態で説明した筐体6の寸法よりも長くなる。
【0064】
図13に示すように、カメラカバー81の筐体82に第2の実施形態で説明したヒーター36が設けられると共に、筐体82の正面側に透明部材からなるカバーガラス83がカメラ3のレンズ5に対向して設けられる構成であっても良い。更に、図14に示すように、カメラカバー91の筐体92に第3の実施形態で説明した上面部ヒーター47及び洗浄ノズルヒーター15が設けられると共に、筐体92の正面側に透明部材からなるカバーガラス93がカメラ3のレンズ5に対向して設けられる構成であっても良い。
【0065】
カバーガラスがカメラのレンズに対向して設けられる構成においても、カバーガラスのガラス面が撥水処理、親水処理、光触媒処理又は防汚処理され、撥水膜、親水膜、光触媒膜又は防汚膜がガラス面にコーティングされている構成であっても良い。
カメラカバーの筐体にカバーガラスのガラス面をワイピングするワイパが設けられ、洗浄液が洗浄ノズルの噴射口からカバーガラスのガラス面に向けて噴射されている途中又は噴射された後に、カバーガラスのガラス面がワイピングされる構成であっても良い。このように構成すれば、カバーガラスのガラス面に洗浄液が付着したまま放置されることを未然に回避することができる。
【0066】
カメラカバーの筐体にカバーガラスを回転させる回転機構が設けられ、洗浄液が洗浄ノズルの噴射口からカバーガラスのガラス面に向けて噴射されている途中又は噴射された後に、カバーガラスが回転機構により回転される構成であっても良い。このように構成すれば、カバーガラスが回転されることで、カバーガラスのガラス面に付着した洗浄液が飛ばされ、カバーガラスのガラス面に洗浄液が付着したまま放置されることを未然に回避することができる。この場合、例えばカバーガラスに人が触れると回転が妨げられ、本来の洗浄液除去の能力が十分発揮されない状況が考えられるので、これを回避するために、車速が一定速度以上(例えば時速1[km]以上)であること又はウィンドウが閉鎖されていることを条件としてカバーガラスが回転機構により回転されるように構成すれば良い。
【0067】
即ち、通常、車外にいる人は、停車中又は停止中の車両には近づくことができるので、不用意にカバーガラスに触れてしまう可能性があるが、走行中の車両には近づかないので、不用意にカバーガラスに触れてしまうことはない。そこで、車速が一定速度以上である場合にカバーガラスを回転機構により回転させるようにする。これにより、車外の人が接触したことによる洗浄液除去の能力低下を防止することができる。又、カバーガラスが例えばドアミラーなど車室内の乗員の手に触れる可能性のある位置に設置されている場合には、乗員の接触防止対策を施しておくのが良い。そこで、ウィンドウが閉鎖されていることを条件としてカバーガラスが回転機構により回転されるように構成すれば、回転しているカバーガラスに乗員が触れることによる不具合が防止できる。この場合、必ずしもウィンドウは閉鎖されている必要はない。少なくとも車両乗員が車窓から身体を車外に突出してカバーガラスに触れることが不可能な状態となる位置までウィンドウが閉められていれば多少窓を開けていても問題ない。この場合は、車窓から外気を導入することができるので、そのようなニーズがある場合には都合が良い。ウィンドウの開閉状態をどの程度にするかは、カバーガラスの車両設置位置と車両乗員がどの程度身体を車外に出すことができるかとの関係に基づいて適宜設計的に決められる。
【0068】
カメラカバーの筐体に超音波又は低周波を発生することでカバーガラスを振動させる振動機構が設けられ、洗浄液が洗浄ノズルの噴射口からカバーガラスのガラス面に向けて噴射されている途中又は噴射された後に、カバーガラスが振動機構により振動される構成であっても良い。このように構成すれば、この場合も、カバーガラスのガラス面に洗浄液が付着したまま放置されることを未然に回避することができる。
【0069】
カメラカバーの筐体にカバーガラスのガラス面にエアを噴射するエア噴射機構が設けられ、洗浄液が洗浄ノズルの噴射口からカバーガラスのガラス面に向けて噴射されている途中又は噴射された後に、エア噴射機構からカバーガラスのガラス面にエアが噴射される構成であっても良い。このように構成すれば、この場合も、カバーガラスのガラス面に洗浄液が付着したまま放置されることを未然に回避することができる。
【0070】
赤外線を照射する赤外線ライトが一体化されたカメラが収容され、洗浄液タンクに貯留されている洗浄液が洗浄ノズルに供給されて噴射口からカメラのレンズのレンズ面に向けて噴射されると共に赤外線ライトにも向けて噴射される構成であっても良い。このように構成すれば、赤外線の照射を好適に行うことができる。又、赤外線ライトに代えて可視光ライトであっても良い。
【0071】
光学センサユニットが車体のリアウィンドウの上方に設けられることに加えて、光学センサユニットが車両側方に取付けられているサイドミラーの下部に設けられ、カメラが車両後側方を撮影する構成であっても良い。即ち、複数のカメラが搭載される構成であっても良い。
上記した実施形態においては、制御部と光学センサユニットとを構成要件として含んで車載光学センサ装置を説明したが、制御部をカメラカバーの一部として構成しても良い。
【符号の説明】
【0072】
図面中、1は光学センサユニット(車載光学センサ装置)、2はカメラカバー(車載光学センサカバー)、3はカメラ(光学センサ)、5はレンズ、5aはレンズ面、6は筐体、7はカメラ収容部(収容部)、9は洗浄ノズル、13は上面部、14は上面部ヒーター(上面部加熱手段)、15は洗浄ノズルヒーター(洗浄ノズル加熱手段)、19は制御部(制御手段、車両起動開始検出手段、車両起動終了検出手段、時間経過検出手段、温度検出手段、映像解析手段、堆積検出手段)、20は洗浄液タンク、31は光学センサユニット(車載光学センサ装置)、32はカメラカバー(車載光学センサカバー)、33は筐体、36はヒーター(上面部加熱手段、洗浄ノズル加熱手段)、37は上面部、41は光学センサユニット(車載光学センサ装置)、42はカメラカバー(車載光学センサカバー)、43は筐体、46は上面部、47は上面部ヒーター(上面部加熱手段)、51はカメラカバー、52は筐体、61はカメラカバー、62は筐体、71はカメラカバー、72は筐体、73はカバーガラス、73aはガラス面、81はカメラカバー、82は筐体、83はカバーガラス、83aはガラス面、91はカメラカバー、92は筐体、93はカバーガラス、93aはガラス面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを有する光学センサを収容する収容部及び前記光学センサが前記収容部に収容されている状態で当該光学センサの上方を覆う上面部を有する筐体と、
前記筐体に設けられ、洗浄液を貯留可能な洗浄液タンクから供給された洗浄液を前記収容部に収容されている前記光学センサの前記レンズのレンズ面又は当該レンズに対向するカバーガラスがある場合には当該カバーガラスのガラス面に向けて噴射して当該レンズ面又は当該ガラス面を洗浄する洗浄ノズルと、
前記筐体の前記上面部を加熱する上面部加熱手段と、を備えたことを特徴とする車載光学センサカバー。
【請求項2】
請求項1に記載した車載光学センサカバーにおいて、
前記筐体の前記上面部は、前記光学センサが前記収容部に収容され且つ車両に搭載されている状態で水平方向から傾斜する傾斜面部又は曲面部を有する形状に形成されていることを特徴とする車載光学センサカバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した車載光学センサカバーにおいて、
前記洗浄ノズルは、前記筐体の前記上面部側に設けられ、
前記上面部加熱手段は、前記筐体の上面部を加熱すると共に前記洗浄ノズルをも加熱することを特徴とする車載光学センサカバー。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載した車載光学センサカバーにおいて、
前記上面部加熱手段とは別に、前記洗浄ノズルを加熱する洗浄ノズル加熱手段を備えたことを特徴とする車載光学センサカバー。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載した車載光学センサカバーと、
前記洗浄ノズルによる洗浄動作、前記上面部加熱手段による加熱動作を制御する制御手段と、
レンズを有する光学センサと、を備えたことを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項6】
請求項5に記載した車載光学センサ装置において、
車両の起動開始を検出する車両起動開始検出手段を備え、
前記制御手段は、車両の起動開始が前記車両起動開始検出手段により検出された場合に、前記上面部加熱手段による加熱動作を開始することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項7】
請求項6に記載した車載光学センサ装置において、
車両の起動終了を検出する車両起動終了検出手段を備え、
前記制御手段は、車両の起動開始が前記車両起動開始検出手段により検出されたことに応じて前記上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、車両の起動終了が前記車両起動開始検出手段により検出されるまで前記上面部加熱手段による加熱動作を継続することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項8】
請求項6に記載した車載光学センサ装置において、
前記上面部加熱手段による加熱動作を開始してから一定時間の経過を検出する時間経過検出手段を備え、
前記制御手段は、車両の起動開始が前記車両起動開始検出手段により検出されたことに応じて前記上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、加熱動作を開始してから一定時間の経過が前記時間経過検出手段により検出されるまで前記上面部加熱手段による加熱動作を継続することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項9】
請求項5に記載した車載光学センサ装置において、
周囲温度又は車載光学センサ装置の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記制御手段は、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満であると前記温度検出手段により検出された場合に、前記上面部加熱手段による加熱動作を開始することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項10】
請求項9に記載した車載光学センサ装置において、
前記制御手段は、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満であると前記温度検出手段により検出されたことに応じて前記上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度以上であると前記温度検出手段により検出されるまで前記上面部加熱手段による加熱動作を継続することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項11】
請求項9に記載した車載光学センサ装置において、
前記上面部加熱手段による加熱動作を開始してから一定時間の経過を検出する時間経過検出手段を備え、
前記制御手段は、周囲温度又は車載光学センサ装置の温度が所定温度未満であると前記温度検出手段により検出されたことに応じて前記上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、加熱動作を開始してから一定時間の経過が前記時間経過検出手段により検出されるまで前記上面部加熱手段による加熱動作を継続することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項12】
請求項5に記載した車載光学センサ装置において、
前記光学センサにより撮影された映像を解析する映像解析手段と、
前記映像解析手段による映像解析結果に基づいて前記筐体の前記上面部への雪や氷の堆積を検出する堆積検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記筐体の前記上面部への雪や氷の堆積が前記堆積検出手段により検出された場合に、前記上面部加熱手段による加熱動作を開始することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項13】
請求項12に記載した車載光学センサ装置において、
前記制御手段は、前記上面部への雪や氷の堆積が前記堆積検出手段により検出されたことに応じて前記上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、前記筐体の前記上面部への雪や氷の堆積が前記堆積検出手段により検出されなくなるまで前記上面部加熱手段による加熱動作を継続することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項14】
請求項12に記載した車載光学センサ装置において、
前記上面部加熱手段による加熱動作を開始してから一定時間の経過を検出する時間経過検出手段を備え、
前記制御手段は、前記筐体の前記上面部への雪や氷の堆積が前記堆積検出手段により検出されたことに応じて前記上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、加熱動作を開始してから一定時間の経過が前記時間経過検出手段により検出されるまで前記上面部加熱手段による加熱動作を継続することを特徴とする車載光学センサ装置。
【請求項15】
請求項5乃至14の何れかに記載した車載光学センサ装置において、
前記制御手段は、前記上面部加熱手段による加熱動作を開始した後に、前記洗浄ノズルによる洗浄動作を開始することを特徴とする車載光学センサ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−230672(P2011−230672A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103461(P2010−103461)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】