説明

車載機器用支持構造

【課題】 サンバイザーに吊り下げ支持することができるボールジョイントを用いた支持構造を提供すること
【解決手段】 車載機器1の底面に取り付け可能な第1ブラケット18と、その第1ブラケットの表面に設けたボール部18bを保持可能な細長な支持部材16と、その支持部材に連結され、車両のサンバイザーに装着可能なサンバイザー用ステー17とを備える。支持部材は、細長な略帯板状の基部20の一端に環状の取付枠21を一体的に形成すると共に、その取付枠内にボール部と符合する凹部22aを有するボール受け部22を取り付ける。これにより、凹部とボール部とでボールジョイントが構成され、サンバイザー用ステーをサンバイザーに取り付けることで、車載機器を吊り下げ支持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波検出器,赤外線検出器,目標物検出装置その他の車載機器を支持して車室内の所定位置(ダッシュボード,サンバイザー等)に固定させるための車載機器用支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波検出器や目標物検出装置等の車載機器は、所定の支持具を介して車室内の所定位置に設置するようになっている。支持具の取り付け場所としては、一般的にダッシュボードの上などが用いられており、通常、それぞれに適した支持具が用意されている。そこで、ユーザは設置箇所に適した支持具を選択し、車載機器を設置するようにしている。
【0003】
この種の支持具としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された発明では、車室内の所定位置に取り付ける基台部にアーム部材を上下方向に所定角度範囲内で回転可能に取り付け、そのアーム部材の先に車載機器に固定するための載置台を取り付ける。そして、載置台は、アーム部材に対して左右方向に正逆回転可能に構成する。これにより車載機器は、3次元空間内で移動可能となり、任意の位置・姿勢に置くことができる。そして、アーム部材と、基台部並びに載置台との連結部分は、ネジやバネその他適宜の機構により、任意の角度で固定できるようになる。また、部材間の連結部分にボールジョイントを用いたものもある。
【0004】
このボールジョイントを用いたタイプは、たとえば、ダッシュボード上に貼り付ける扁平な台座の上面に球面状の凹部を設け、その凹部内に上端に載置台(車載機器への取付部材)を設けた支柱の下端に取り付けたボールを挿入するように構成し、ボールと凹部の材質を適宜に設定し、両者間に生じる摩擦力を利用して車載機器の姿勢を保持することができる。なお、ボールジョイントを着脱自在にすることは、たとえば、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2005−112305号公報
【特許文献2】特開平11−182592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示されたボールジョイントは、磁力を利用したものであり、ボールジョイントを構成するボール部を凹部から離脱させることができることが開示されているものの、サンバイザー等に適切に取り付けるためのボールジョイントを利用した支持構造の技術思想については、開示はもちろんのこと示唆等されていない。
【0006】
また、近年では、表示部分と、受信機部分とを別の筐体(ケース)に分離して構成し、両者を接続ケーブルで接続するようにしたものがある。この場合、通常、接続ケーブルはケース本体の背面から外部に引き出されることになり、その引き出し位置がボール部と凹部が嵌り合ったボールジョイント部分の付近に存在することが多々あり、そのボールジョイントによる回転等の妨げになる。さらには、ケース本体の小型化を図ると、接続ケーブルの配線レイアウトに制限がかかりケース本体から外部へ引き出す位置も背面の中央部位などに限定されてしまい、そうすると、引き出された接続ケーブルが、ボールジョイントを構成するボール部を備えたブラケットの取り付けのじゃまとなり、ボールジョイントを含めた簡単な構成からなる支持構造を採ることができなくなると言う問題も生じる。
【0007】
本発明は、ボールジョイントを用いた支持構造を採りつつ、車室内の適宜の位置への設置が容易となる車載機器用支持構造を提供することを目的とする。また、複数のケースに分割され、両者を接続ケーブルで接続するような車載機器に対する適切な支持構造を提供することを副次的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る車載機器用支持構造は、(1)車載機器の底面に取り付け可能な第1ブラケットと、その第1ブラケットの表面に設けたボール部を保持可能な細長な支持部材と、その支持部材に連結され、車両のサンバイザーに装着可能なサンバイザー用ステーと、を備える。そして、前記支持部材は、細長な略帯板状の基部の一端に環状の取付枠を一体的に形成すると共に、その取付枠内に前記ボール部と符合する凹部を有するボール受け部を取り付けてなり、前記凹部と前記ボール部とでボールジョイントが構成されるようにした。このようにすることで、ボールジョイントを用いた支持構造を採りつつ、車載機器をサンバイザーに吊り下げ支持することができる。ボールジョイントを用いているので、車載機器を任意の角度・姿勢で保持可能となる。ダッシュボードに取り付ける台座の上面に球面状の凹部(ボール部に符合する寸法形状)を設けることで、その凹部内に車載機器を取り付けた第1ブラケットのボール部を装着すると、ダッシュボード用の支持構造となる。つまり、本発明は、ダッシュボード用の設置部材(台座)を別途用意することで、ダッシュボード用とサンバイザー用のいずれに対しても適用可能なボールジョイント方式の支持構造が実現できる。しかも、ボール部と凹部とで構成されるボールジョイント部を着脱可能とすると、状況等に応じて適宜設置場所を変えることにも適切に対応できるようになる。
【0009】
(2)本発明の車載機器用支持構造は、前記基部並びに前記取付枠は、プラスチックその他の合成樹脂等の比較的硬質な材料から構成され、前記ボール受け部は、ゴム等の弾性変形可能な材質から構成するとよい。係る構成を採ると、簡単にボール部の凹部への着脱が行なえるとともに、装着した状態では、しっかりと保持し、不用意に離脱することがない。
【0010】
(3)本発明の車載機器用支持構造は、ケース本体の背面から接続ケーブルが外部に引き出される構成を採る車載機器用(実施形態では、第2車載機器30に対応)の支持構造であって、その車載機器の背面に装着する取付部材と、車室内の所定位置に設置される設置部材(台座11,第2支持具15等)に連結する連結部材と、を備えた第2ブラケットを有する。そして、前記取付部材は、平板状の基板の一辺側を二股状に延長させるとともに、その先端を湾曲させて第1係止片を設け、前記基板の反対側の辺の中央部位を外側に延長させると共に、その先端を湾曲させて第2係止片を設け、それら第1係止片と第2係止片とで車載機器のケース本体の上下面を挟み込んで保持するように構成し、前記基板の前記ケース本体の非対向面である表面の前記第1係止片側には、所定の間隔をおいて複数の台部を設け、この複数の台部の間に形成される谷部内に前記外部に引き出される接続ケーブルを配置可能とし、前記連結部材は、前記台部に連結される小片の一側面にボールジョイントを構成するためのボール部を設けるように構成する。さらに、前記ボール部を保持可能なボール部を保持可能な細長な支持部材と、その支持部材に連結され、車両のサンバイザーに装着可能なサンバイザー用ステーと、を備え、前記支持部材は、細長な略帯板状の基部の一端に環状の取付枠を一体的に形成すると共に、その取付枠内に前記ボール部と符合する凹部を有するボール受け部を取り付けてなり、前記凹部と前記ボール部とでボールジョイントが構成されるようにした。
【0011】
(4)本発明の車載機器用支持構造は、ケース本体の背面から接続ケーブルが外部に引き出される構成を採る車載機器用の支持構造であって、その車載機器の背面に装着する取付部材と、車室内の所定位置に設置される設置部材に連結する連結部材と、を備えた第2ブラケットを有し、前記取付部材は、平板状の基板の一辺側を二股状に延長させるとともに、その先端を湾曲させて第1係止片を設け、前記基板の反対側の辺の中央部位を外側に延長させると共に、その先端を湾曲させて第2係止片を設け、それら第1係止片と第2係止片とで車載機器のケース本体の上下面を挟み込んで保持するように構成し、前記基板の前記ケース本体の非対向面である表面の前記第1係止片側には、所定の間隔をおいて複数の台部を設け、この複数の台部の間に形成される谷部内に前記外部に引き出される接続ケーブルを配置可能とし、前記連結部材は、前記台部に連結される小片の一側面にボールジョイントを構成するためのボール部を設けるように構成するとよい。
【0012】
上記(3),(4)の発明によれば、ケース本体から外部に引き出される接続ケーブルは、第2ブラケットの台部間の谷部内に配線することで、たとえば上方(谷部の方向)などへ引き回すことができ、取付部材の上方側から外部に導くことができる。よって、第2ブラケットを構成する基板をケース本体の背面に接触させてしっかりと保持することもできるし、ボールジョイントを構成するボール部は取付部材の下方側に配置されるとすると、ボールジョイント部に接続ケーブルが絡まったりすることを可及的に抑制できる。
【0013】
(5)前記小片の前記ボール部と反対側の側面中央に凹状の切り欠き部を設け、前記谷部内に配置される前記接続ケーブルが前記切り欠き部から外部に引き出し可能にするとよい。切り欠き部の内側面が接続ケーブルのガイド部となり、その引き出し方向がある程度規制できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ボールジョイントを用いた支持構造を採りつつ、サンバイザー等の車室内の適宜の位置への設置が容易となる。また、上記の(3)から(5)に記載の構成を採れば、複数のケースに分割され、両者を接続ケーブルで接続するような車載機器に対する適切な支持構造を構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図7は、本発明の好適な一実施の形態を示している。図1は、本実施形態の第1車載機器1をダッシュボード用の第1支持具10に接続した状態を示している。この第1車載機器1は、車両の現在位置情報や、外部から飛来する電波情報を取得し、取得した情報が設定した条件に合致した場合に警報・報知をする装置である。この第1車載機器1は、表示パネル等を収納する第1ケース本体2aの背面側に、各種の受信機等を収納する矩形状の第2ケース本体2bを連係させる構成を採る。第1ケース本体2aは、扁平な矩形箱体を起立させた態様からなり、その前面側に表示パネル3を露出状態で取り付ける。この表示パネル3は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現される。また、この第1ケース本体2aの側面には、SDスロットの挿入口4が設けられ、その挿入口4からSDメモリカードを装着することで、第1車載機器1が記憶保持する位置情報等のデータの更新等が行なえる。さらに、第1ケース本体1a内には、スピーカ等の警報出力機器や、制御部その他の電子回路基板などが組み込まれる。
【0016】
また、第2ケース本体2b内には、第1ケース本体2aと反対側の先端側内部にマイクロ波受信機並びに無線受信機を配置し、第1ケース本体2aの上面側内部には、GPS受信機を配置する。これら各受信機で受信した情報は、内部の配線を利用して第1ケース本体2aに設けられた電子回路基板上の制御部へ送られる。
【0017】
第1支持具10は、台座11と、第1ブラケット18と、からなる。台座11は、図2に示すように、その上面所定位置に球面状の凹部11aを備えている。台座11は、ゴム等の弾性変形可能で、適度な摩擦係数を有する材質から構成している。一方、第1ブラケット18は、平板状のプレート18aの下面所定位置に、ボール部18bを備えた形状としている。この第1ブラケット18は、プラスチックその他の樹脂等の適度な剛性を有する材質から構成している。
【0018】
ボール部18bの外形よりも凹部11aの内径をわずかに小さく設定している。また、凹部11aは、球面の上部が開口した形状となり、上部の開口径は、その凹部11aの内径よりも小さくし、半球以上としている。これにより、図2に示すように、ボール部18bが凹部11a内に入り込んだ状態では、ボール部18bの外形状と凹部11aの内形状とが略符合し、ボール部18bは球面に沿って任意の方向に回転・移動できるようになる。そして、両者の径をほぼ一致させると共に、凹部11aの内形状に適度な摩擦係数を持たせることで、ボール部18b(第1ブラケット18)を任意の角度・姿勢で保持させることができる。さらに、台座11は弾性変形が可能であるので、図2に示す状態から台座11を保持しつつ第1ブラケット18を上方に引き上げる方向に付勢すると、凹部11aの開口部の径が広がりボール部18bを凹部11aから離脱させることができる。逆に、台座11と第1ブラケット18とが分離した状態の場合、ボール部18bを凹部11aの開口部に押し当て、その状態のまま台座11に向けて押し込むように付勢すると、凹部11aの弾性変形によりその開口部が一旦広がり凹部11a内にボール部18bが収納される。その後は、台座11の弾性復元力により凹部11aの形状は元に戻り、ボール部18bが簡単に凹部11aから離脱するのが抑制される。
【0019】
また、図2に示すように、台座11の底面には、底浅の凹所11bが形成されている。この凹所11b内には、粘着シートや両面接着テープや面ファスナー等の接着部材の一面が装着され、その接着部材の他の面がダッシュボード等の車室内の所定位置に取り付けられる。これにより、係る車室内の所定位置に台座11が固定される。
【0020】
また、この第1ブラケット18のプレート18aは、第2ケース本体2bの底面に連結され、一体化される。これにより、図1に示すように、台座11の上に、車載機器1が支持された構造となり、しかも、上述したように台座11と第1ブラケット18とは、相対的に球面に沿った回転移動が可能であるので、仮に台座11を車室内の所定位置に固定した場合、台座11に取り付けた第1ブラケット18ひいては車載機器1は、水平面内の任意の方向に向かせると共に、上下方向に適宜傾ける姿勢を取った状態で保持できる。
【0021】
このように、ダッシュボード上に車載機器を設置するためのボールジョイントを用いた支持具は、類似する構成が従来から市販されている。そして、本実施形態では、このボールジョイントを用いた支持具として、サンバイザーにも取り付けることができるようにした。
【0022】
すなわち、図3に示すように、車室内の前上方所定位置に設置されるサンバイザーに取り付けるためには、第1車載機器1の天地を逆に向けた状態とする。また、本実施形態では、サンバイザーに取り付ける場合も、ダッシュボードと同じ第1ブラケット18を使用する。つまり、サンバイザー用の支持具である第2支持具15は、第1車載機器1の底面(取付状態では上側)に取り付けた第1ブラケット18と、その第1ブラケット18のボール部18bを保持可能な細長な支持部材16と、その支持部材16に連結され、サンバイザーに装着するサンバイザー用ステー17と、を備えている。
【0023】
図4に示すように、第1ブラケット18は、上述したように平板矩形状のプレート18aの先端側にボール部18bを備え、そのプレート18aの両側縁には、それぞれ外側に向けて突出する爪片18cを備えている。この爪片18cが、第1車載機器1の第2ケース本体2bの底面に設けた係止用穴部2b′内に挿入させると共にスライドさせることで連結される。
【0024】
図5に示すように、支持部材16は、細長な略帯板状の基部20の一端に環状の取付枠21を一体的に形成すると共に、その取付枠21内にボールジョイントを構成するボール受け部22を取り付けた構成を採る。基部20,取付枠21は、プラスチックその他の合成樹脂等の比較的硬質な材料から構成し、ボール受け部22は、台座11と同様にゴム等の弾性変形可能で、適度な摩擦係数を有する材質から構成している。
【0025】
基部20は、ネジ23を挿入するための貫通孔20aを設けると共に、留め具25を係止するための長孔20bを設けている。取付枠21は、上下が開口する円筒状であり、第1ブラケット18に対向する一方の開口部位21aを徐々に径が細くなるようにしている。また、反対側の開口部の内周縁には、90度間隔で中心に向けて突出する爪部21bを設けている。
【0026】
ボール受け部22は、略円錐台形状で、一方の面(細くなった面:上面)の中央部に、球面状の凹部22aを形成している。この凹部22aは、台座11に設けた凹部11aと同様の寸法形状としている。そして、このボール受け部22を、凹部22a側を先にした状態で、取付枠21の反対側の開口部側から挿入すると、図6に示すように、ボール受け部22の凹部22a側の先端が取付枠21から突出すると共に、ボール受け部22の底面は、取付枠21の爪部21bに接触し、ボール受け部22の取付枠21からの離脱が抑止される。これにより、基部20,取付枠21並びにボール受け部22が一体化し、支持部材16が構成される。
【0027】
そして、第1ブラケット18のボール部18bは、ボール受け部22の凹部22a内に着脱自在に装着することができる。また、ボール部18bを凹部22a内に挿入した状態では、ボール部18bはその球面に沿って凹部22a内で所定角度範囲内で回転・移動させることができ、また、両者の間の摩擦抵抗により、ボール部18bひいては第1ブラケットは、停止した位置でその姿勢が保持される。よって、第1ブラケット18に第1車載機器1を取り付けた状態では、支持部材16に対する第1車載機器1の向き、姿勢を適宜に設定し、その状態を保持することができる。
【0028】
サンバイザー用ステー17は、金属プレートを略U時形状に湾曲させた板バネから構成される。つまり、サンバイザー用ステー17は、支持部材16の基部20と接触し連結させる平板部17aと、その平板部17aの一端に連続するバネ性を発揮する湾曲部17bと、その湾曲部17bの他端に連続する傾斜面部17cと、からなる。傾斜面部17cの中央部位には、内側(平板部17a側)に折り曲げた抑えバネ部17dを形成している。そして、図7に示すように、湾曲部17bの両端の間隔、つまり、平板部17aと傾斜面部17cとの最大間隔は、サンバイザー25の厚さとほぼ等しいか、やや広めに設定している。もちろん、車種によってサンバイザー25の厚さは異なるので、実際には、それを考慮して大きめ(広め)に設定する。また、平板部17aと傾斜面部17cの先端側(湾曲部17bと反対側)の間隔は、サンバイザー25の厚さよりも十分に狭くしている。
【0029】
これにより、このサンバイザー用ステー17を車両のサンバイザー25に取り付けるには、平板部17aと傾斜面部17cの先端を広げるように変形させた状態で、サンバイザー25の側縁から挿入することになる。すると、サンバイザー用ステー17の弾性復元力により平板部17aと傾斜面部17cの先端が狭まる方向の力が働き、サンバイザー用ステー17をサンバイザー25に固定することができる。さらに、本実施形態では、抑えバネ部17dを設けたので、この抑えバネ部17dもサンバイザー25に接触し、そのバネ力により平板部17aとの間でサンバイザー25を挟み込む力を発揮する。
【0030】
また、サンバイザー用ステー17の平板部17aの所定位置には、第1孔部17eと第2孔部17bを設けている。第1孔部17eは、上記の基部20に設けた貫通孔20aに対向する位置に設定され、第2孔部17fは、上記の基部20に設けた長孔20bに対向する位置に設定される。平板部17aの裏面側(傾斜面部17cと対向する側)から、第1孔部17eにはナット24を配置すると共に第2孔部17fには留め具25を装着する。これにより、図5に示すように、サンバイザー用ステー17と支持部材16とを位置あわせしつつ、まず、留め具25を用いてサンバイザー用ステー17と支持部材16とを連係する。これは、長孔20bの幅を、基部20の中心側の端部は留め具25の外径よりも広くし、基部20の先端側は留め具25の外径よりも狭く設定したため、留め具25を中心側から長孔20b内に挿入し、その状態でサンバイザー用ステー17と支持部材16を所定の方向に相対的にスライドさせることで、留め具25を幅の狭い長孔20bの先端側に位置させ、離脱を抑止させる。さらに、その状態で、ネジ23とナット24とを締結し、サンバイザー用ステー17と支持部材16とを一体化する。
【0031】
上記の構成を採ることで、図3等に示したように、天地を逆にした第1車載機器1を第1ブラケット18を介して第2支持具15の一端に連結し、さらに、第2支持具15の他端にサンバイザー用ステー17を装着した構成を採ることができる。よって、図7等に示すように、サンバイザー用ステー17をサンバイザー25に装着することで、第1車載機器1をサンバイザー25に吊り下げ支持することができる。さらに、第1ブラケット18と第2支持具15の接続部分は、ボール部18bと凹部22aとによるボールジョイントとなっているので、第1車載機器1を適宜の方向に向け、その位置で固定することができる。
【0032】
このように、本実施形態では、ボールジョイントを用いた支持構造を用いつつ、第1車載機器1をダッシュボード上に設置したり、サンバイザー25に吊り下げたりすることができるので、状況に応じた設置位置を採ることができ、ユーザにとって使い勝手の良いものとなる。
【0033】
図8以降は、別の構成の車載機器(第2車載機器30)に、ボールジョイントからなる支持具を用いた例を示している。まず、第2車載機器30について説明する。この第2車載機器30は、表示パネル等を収納するケース本体31を備える。このケース本体31は、扁平な矩形箱体を起立させた態様からなり、その前面側に表示パネル36を露出状態で取り付ける。この表示パネル36は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現される。また、このケース本体31の側面には、SDスロットの挿入口32が設けられ、その挿入口32からSDメモリカードを装着することで、第2車載機器30が記憶保持する位置情報等のデータの更新等が行なえる。
【0034】
さらに、図9に示すように、ケース本体31内には、スピーカ33等の警報出力機器や、制御部その他の電子回路基板34などが組み込まれる。この電子回路基板34は、その四隅にてビス34aによってケース本体31に固定される。また、この電子回路基板34上の所定位置には、上記のスピーカ33やSDスロット37も実装される。そして、スピーカ33やSDスロット37は、ある程度の大きさが必要となり、装置全体の小型化を図ることから相俟って、図9に示すように、電子回路基板34のほぼ全面を占めるようになる。そして、SDスロット37は挿入口32に近接し、また、電子回路基板34の四隅はビス止めされることから、その配置レイアウトはある程度決まってしまう。
【0035】
また、マイクロ波受信器,赤外線受信機,GPS受信機等の各種の受信機等は、このケース本体31とは別のアンテナユニット(図示省略)内に実装される。そして、アンテナユニット内の各受信機と、ケース本体31内の電子回路基板34(制御部)とは、接続ケーブル35を経由して連結され、データの送受が行なわれるようにしている。そして、上述したように電子回路基板34における各機器・素子の配置レイアウトが限定されると共に、四隅で固定されることなどが、接続ケーブル35の配線の引き回しレイアウトもある程度の制限がなされ、必然的に図9に示すように、電子回路基板34(ケース本体31の背面)の中央下方部位から外部に引き出すようになってしまう。
【0036】
通常、ケース本体を支持するブラケットは、ケース本体31の背面から取り付けられる。簡単な構成で保持するためには、ブラケットは、ケース本体31の背面を覆うと共に、ケース本体の対向する両辺部分を両側から把持する形態となる。そして、安定して保持するためには、ブラケットは、ケース本体の上下面を保持することであり、しかも、ブラケットは、ケース本体31の左右方向の中央部位に配置し、さらに、ケース本体31の背面にも接触させる必要がある。また、本実施形態のように、ケース本体31の一方の側面にSDスロット用の挿入口32が存在する場合には、把持する箇所は、上下面にせざるを得ない。しかし、上述したように、接続ケーブル35の外部への引き出し位置が、ケース本体31の背面の中央下方部位となると、ブラケットを背面にしっかりと接触させることができず、安定した保持がしにくくなると言う問題が生じる。
【0037】
本実施形態の支持具(支持構造)は、このように接続ケーブル35がケース本体31の背面中央下方から外部に引き出されるような第2車載機器30をボールジョイント構造で支持するのに適したものである。具体的には、図10に示すような第2ブラケット40を用いるようにした。
【0038】
この第2ブラケット40は、第2車載機器30の背面に装着する取付部材41と、台座11や第2支持具15の凹部11a,22aに連結する連結部材42と、を備え、両者をネジ43により一体化する。取付部材41は、平板状の基板41fの一辺側を二股状に延長させるとともに、その先端を湾曲させて第1係止片41aを設ける。また、基板41fの反対側の辺の中央部位を外側に延長させると共に、その先端を湾曲させて第2係止片41bを設ける。第1係止片41aと第2係止片41bの湾曲させる方向は同じにすると共に、両係止片41a,41b間の間隔は、第2車載機器30のケース本体31の高さに合わせている。これにより、図8,図9に示すように、第2車載機器30のケース本体31の背面に第2ブラケット40を装着すると、第1係止片41aはケース本体31の下面に、第2係止片41bはケース本体31の上面にそれぞれ連係される。そして、両係止片41a,41bのケース本体31に対向する面の所定位置には、突条41a′,41b′が形成され、ケース本体31の上下面に形成された凹溝に噛み合い、しっかりと保持するようになっている。
【0039】
また、基板41fの表面(ケース本体31の非対向面)の第1係止片41a側には、二股状の部分にかけて、表面側に突出する肉厚の台部41c,41cを設ける。この2つの台部41c,41cの間には、谷部41dが形成される。この谷部41dは、基板41aの左右方向中央線に沿って上下に延びるように形成され、その上下両端は開放された状態となる。また、台部41c,41cは、二股状の部分にも位置するように形成されているので、第1係止片41a側の谷部41dの底は、基板41fが存在せず、その基板41f側も開口された状態となっている。さらに台部41c,41cの表面所定位置には、雌ネジ41eが形成されている。
【0040】
連結部材42は、矩形状の小片42dの一側面にボール部42aを設け、小片42dのボール部42aと反対側の側面中央に凹状の切り欠き部42bを設けた形状としている。また、小片42dの平面形状は、上記2つの台部41c,41cの設置領域は外形とほぼ一致させている。さらに、小片42dの所定位置(台部41c,41cに形成した雌ネジ41eに対応する位置)には、貫通孔42cを設けている。これにより、貫通孔42cと雌ネジ41eとの位置あわせをしつつ両台部41c,41cを跨ぐように小片42dを台部41c,41cに接触させると共に、ネジ43を雌ネジ41eに締め付けることで、小片42d(連結部材42)と基板41とを連結して一体化することができる。
【0041】
このように両者を一体化するとともに、第2ブラケット40をケース本体31に装着した状態で、ボール部42aを台座11の凹部11a内に挿入すると、ボール部42aは凹部11aの球面に沿って回転・移動できるので、第2ブラケット40ひいては第2車載機器30を所望の向き・姿勢にすることができ、その状態を維持して支持することもできる。つまり、ボール部42aと凹部11aとでボールジョイントとなる。
【0042】
さらに取付部材41と連結部材42とを接続した状態では、谷部41dは小片42dにて覆われてトンネル状となり、その上下両端は開口した状態となる。さらに、切り欠き部42bを設けたので、そのトンネルの一端(ボール部42aと反対側:第2係止片41b側)は、その表面側(基板41fと反対側)も開放された状態となる。また、トンネルの他端の表面側は小片42dにより覆われるものの、谷部41dの底が開口されているので当該トンネルの他端の基板41f側(ケース本体31の背面側)は開口された状態となる。
【0043】
そして、このトンネルの他端の位置は、第2ブラケット40をケース本体31の背面に装着した際に、そのケース本体31の背面に設けた接続ケーブル35の引き出し部位に一致させるようにしている。これにより、図9に示すように、ケース本体31の外部に引き出された接続ケーブル35は、トンネルの他端の基板側開口部位より進入し、トンネル(谷部41d)内を上方に進むように引き回された後、トンネルの一端(連結部材42の切り欠き部42b)から外方に露出・突出するようになる。
【0044】
よって、第2ブラケット40に第2車載機器30を取り付けた状態で、その第2車載器30を台座11条に連結し、ダッシュボード上に設置する場合でも、第2車載機器30から引き出された接続ケーブル35は、ボール部42a(ボールジョイント)のじゃまになることなく、上側に引き回された後、外部に取り出すことができ、配線もすっきりとする。また、その後に本体を適宜回転・移動等させても、接続ケーブル35は、その移動のじゃまをしない。
【0045】
なお、係る構成を採るには、たとえば、まず、取付部材41(基板41f)を第2車載機器30のケース本体31の背面所定位置に取り付ける。次いで、ケース本体31から引き出された接続ケーブル35を、台部41c,41c間の谷部41d内に位置させる。その状態で、連結部材42(小片42d)を台部41c,41cに跨ぐように取付け、ネジ43にて締結する。これにより、接続ケーブル35を、取付部材41と連結部材42との間に形成されるトンネル内を引き回した後、ボール部42aと反対側の上方側から外部に取り出すことができる。
【0046】
なお、図示省略するが、この第2ブラケット40を第2車載機器30に取り付けた状態で、ボール部42aをサンバイザー取り付け用の第2支持具15の凹部22aに装着するように構成すると、第2車載機器30をサンバイザーに対して吊り下げ支持することができる。
【0047】
また、上記構成の接続部材41を用いると、ボールジョイント以外の支持構造にも好適に適用することが可能となる。つまり、たとえば、連結部材42を用いることなく接続部材41の台部41c,41cを覆うように所定形状のプレートを取り付け、そのプレートの端部を適宜に折り曲げ、その折り曲げた部位を車室内の所定位置に挿入したり、折り曲げた部位に粘着シートや両面接着テープ等の接着部材を貼り付けると共に、その接着部材をダッシュボード等の所定位置に貼り付けたりすることで、回転等はしないものの第2車載機器30を安定して車室内の所望の位置に支持することができる支持構造を提供できる。
【0048】
なお、本実施形態が適用される車載機器は、上述した構成の各車載機器に限ることはなく、たとえば、マイクロ波検出器(レーダー探知機),赤外線検出器,目標物検出装置,PND(ポータブルナビゲーションデバイス),ドライブレコーダ等の各種のものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の好適な一実施形態を適用した第1車載機器をダッシュボード用の第1支持具に接続した状態を示す図である。
【図2】ボールジョイント部分を示す図である。
【図3】本発明の好適な一実施形態を適用した第1車載機器をサンバイザー用の第2支持具に接続した状態を示す図である。
【図4】サンバイザー用の支持構造の好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【図5】サンバイザー用の支持構造の好適な一実施形態を示す分解斜視図である。
【図6】サンバイザー用の支持構造の好適な一実施形態を示す図である。
【図7】図6(c)のA−A線矢視断面図である。
【図8】本発明の好適な別の実施形態を適用した第2車載機器をダッシュボード用の第1支持具に接続した状態を示す図である。
【図9】(a)は図8(a)のB−B線矢視断面図であり、(b)は第2車載機器の内部構造を示す図である。
【図10】第2車載器を第1支持具に連結するための第2ブラケットを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 第1車載機器
2a 第1ケース本体
2b 第2ケース本体
3 表示パネル
10 第1支持具
11 台座
11a 凹部
15 第2支持具
16 支持部材
17 サンバイザー用ステー
18 第1ブラケット
18b ボール部
20 基部
21 取付枠
22 ボール受け部
22a 凹部
30 第2車載機器
31 ケース本体
35 接続ケーブル
40 第2ブラケット
41 取付部材
41a 第1係止片
41b 第2係止片
41c 台部
42 連結部材
42a ボール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器の底面に取り付け可能な第1ブラケットと、
その第1ブラケットの表面に設けたボール部を保持可能な細長な支持部材と、
その支持部材に連結され、車両のサンバイザーに装着可能なサンバイザー用ステーと、を備え、
前記支持部材は、細長な略帯板状の基部の一端に環状の取付枠を一体的に形成すると共に、その取付枠内に前記ボール部と符合する凹部を有するボール受け部を取り付けてなり、
前記凹部と前記ボール部とでボールジョイントが構成されることを特徴とする車載機器用支持構造。
【請求項2】
前記基部並びに前記取付枠は、プラスチックその他の合成樹脂等の比較的硬質な材料から構成され、
前記ボール受け部は、ゴム等の弾性変形可能な材質から構成されることを特徴とする請求項1に記載の車載機器用支持構造。
【請求項3】
ケース本体の背面から接続ケーブルが外部に引き出される構成を採る車載機器用の支持構造であって、
その車載機器の背面に装着する取付部材と、車室内の所定位置に設置される設置部材に連結する連結部材と、を備えた第2ブラケットを有し、
前記取付部材は、平板状の基板の一辺側を二股状に延長させるとともに、その先端を湾曲させて第1係止片を設け、前記基板の反対側の辺の中央部位を外側に延長させると共に、その先端を湾曲させて第2係止片を設け、それら第1係止片と第2係止片とで車載機器のケース本体の上下面を挟み込んで保持するように構成し、
前記基板の前記ケース本体の非対向面である表面の前記第1係止片側には、所定の間隔をおいて複数の台部を設け、この複数の台部の間に形成される谷部内に前記外部に引き出される接続ケーブルを配置可能とし、
前記連結部材は、前記台部に連結される小片の一側面にボールジョイントを構成するためのボール部を設けるように構成し、
かつ、前記ボール部を保持可能なボール部を保持可能な細長な支持部材と、その支持部材に連結され、車両のサンバイザーに装着可能なサンバイザー用ステーと、を備え、
前記支持部材は、細長な略帯板状の基部の一端に環状の取付枠を一体的に形成すると共に、その取付枠内に前記ボール部と符合する凹部を有するボール受け部を取り付けてなり、前記凹部と前記ボール部とでボールジョイントが構成されることを特徴とする車載機器用支持構造。
【請求項4】
ケース本体の背面から接続ケーブルが外部に引き出される構成を採る車載機器用の支持構造であって、
その車載機器の背面に装着する取付部材と、車室内の所定位置に設置される設置部材(台座,第2支持具)に連結する連結部材と、を備えた第2ブラケットを有し、
前記取付部材は、平板状の基板の一辺側を二股状に延長させるとともに、その先端を湾曲させて第1係止片を設け、前記基板の反対側の辺の中央部位を外側に延長させると共に、その先端を湾曲させて第2係止片を設け、それら第1係止片と第2係止片とで車載機器のケース本体の上下面を挟み込んで保持するように構成し、
前記基板の前記ケース本体の非対向面である表面の前記第1係止片側には、所定の間隔をおいて複数の台部を設け、この複数の台部の間に形成される谷部内に前記外部に引き出される接続ケーブルを配置可能とし、
前記連結部材は、前記台部に連結される小片の一側面にボールジョイントを構成するためのボール部を設けるように構成したことを特徴とする車載機器用の支持構造。
【請求項5】
前記小片の前記ボール部と反対側の側面中央に凹状の切り欠き部を設け、前記谷部内に配置される前記接続ケーブルが前記切り欠き部から外部に引き出し可能にしたことを特徴とする請求項3または4に記載の車載機器用支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−179152(P2009−179152A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19237(P2008−19237)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】