説明

車載機

【課題】発光部による光信号の送信と、受光部による光信号の受信とを同時に行う全二重の双方向通信を行ったとしても、受光部による光信号の受信を好適に行うことができる車載機を提供する。
【解決手段】本発明の車載機10は、光ビーコン1にアップリンク光UOを送信する発光部11と、光ビーコン1から送信されるダウンリンク光DOを受信する受光部12と、発光部11及び受光部12を収容する車幅方向に長尺な筐体13と、筐体13内に設けられ、発光部11からのアップリンク光UOが受光部12に到達しないようにアップリンク光UOを遮蔽する遮蔽板18,19と、を備えている。発光部11及び受光部12は、筐体13の内部車幅方向両端に離間して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路上に設置された光ビーコンとの間で光信号による双方向通信を行うための車載機に関する。
【背景技術】
【0002】
路車間通信システムを利用した交通情報サービスとして、光ビーコン、電波ビーコン又はFM多重放送を用いたVICS(Vehicle Information and Communication System:なお、「VICS」は、財団法人道路交通情報通信システムセンターの登録商標)が既に展開されている。
【0003】
上記サービスで利用される路車間通信システムでは、近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、道路側に設置される光ビーコンと、道路上を走行する車両に搭載される車載機との間で、互いに光通信による双方向通信を行う。
具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信され、逆に、渋滞情報、区間旅行時間情報、事象規制情報及び車線通知情報等を含むダウンリンク情報が光ビーコンから車載機に送信されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記光ビーコンは、車載機との間で双方向通信を行うための投受光器を備えており、この投受光器からダウンリンク情報を含んだダウンリンク光を送信するとともに、車載機から送信されるアップリンク光を受信する。
また、車載機も、前記光ビーコンから送信されるダウンリンク光を受信する受光部と、前記光ビーコンにアップリンク光を送信するための発光部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−293660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記車載機は、通常、車両のダッシュボードの上に固定されるため、コンパクト化が必須であり、発光部と受光部とを一つの筐体内に配置する構成を採ることが多い。
このため、発光部が発光すると、筐体内部で光が反射し、受光部がその反射光を受光してしまうことがある。
さらに、上述のように、車載機は、ダッシュボードの上に配置される場合が多いので、自機が送信したアップリンク光がフロントガラスによって反射し、その反射光を受光部が受光してしまう場合もあった。
【0007】
これに対して、発光部が出射するアップリンク光と、光ビーコンが出射するダウンリンク光とは、異なる周波数規格を採用して干渉が生じないようにしているが、前記反射光の光強度が高いことから、受光部は、反射光を受光すると受光能力が飽和してしまう。このため、アップリンク光を発光しながらダウンリンク光の受光を行おうとすると、受光に支障を来し、双方向で同時に通信行う全二重の双方向通信を行うことが困難であるという問題を有していた。
そこで、上記車載機は、ダウンリンク光を受信している間においてはアップリンク光を送信しない半二重の双方向通信によって、光ビーコンと通信を行うように構成されている。
【0008】
すなわち、従来の光ビーコンは、車載機との通信を行っていない間は、この投受光器から第一のダウンリンク情報を含んだダウンリンク光を常時送信し、ダウンリンク光の受光が可能なダウンリンク領域を道路上に設定している。
車載機が前記ダウンリンク領域に進入しダウンリンク光を受信すると、当該車載機は、前記発光部からアップリンク光の送信を開始し、光ビーコンがアップリンク光を受信したことを確認するまでアップリンク光の送信を続ける。
【0009】
光ビーコンは、アップリンク光を受信すると、それまで送信していた第一のダウンリンク情報を含むダウンリンク光から、アップリンク光を受信した旨を示す情報やその他各種道路情報からなる第二のダウンリンク情報を含むダウンリンク光に切り替えて送信する。
車載機は、第二のダウンリンク情報を含むダウンリンク光を受信すると、光ビーコンによるアップリンク光の受光を確認でき、アップリンク光の送信を停止してダウンリンク光の受信のみを行う。このようにして、車載機は、光ビーコンとの間で半二重の双方向通信を行う。
【0010】
上記半二重の双方向通信を行う上で、例えば、アップリンクに含まれる情報量が多いことに起因して、光ビーコン側で第二のダウンリンク情報への切り替えが遅れると、その後の車載機におけるダウンリンク光の受光可能な時間が制限される。逆に、ダウンリンク光の受光可能な時間を十分に確保しようとすると、アップリンク光の送信時間が制限されて必要な情報が送信できないおそれが生じる。
【0011】
このように、従来の路車間の光通信では、アップリンク光を送信しながらダウンリンク光の受光を行おうとすると、受光に支障を来すため、全二重の双方向通信を行うことが困難であるという問題を有していたので、半二重の双方向通信を採らざるを得ず、ダウンリンク及びアップリンク双方の通信時間を十分に確保できなかった。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、発光部による光信号の送信と、受光部による光信号の受信とを同時に行う全二重の双方向通信を行ったとしても、受光部による光信号の受信を好適に行うことができる車載機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明は、道路上に設置された光ビーコンとの間で光信号による全二重の双方向通信を行う車載機であって、前記光ビーコンに光信号を送信する発光部と、前記光ビーコンから送信される光信号を受信する受光部と、前記発光部及び前記受光部を収容する車幅方向に長尺な筐体と、前記筐体内に設けられ、前記発光部からの光信号が前記受光部に到達しないように当該光信号を遮蔽する遮蔽板と、を備え、前記発光部及び前記受光部は、前記筐体の内部車幅方向両端に離間して配置されていることを特徴としている。
【0014】
上記のように構成された車載機によれば、発光部と受光部とが車幅方向に長尺な筐体の内部車幅方向両端に離間して配置されているとともに、発光部からの光信号が受光部に到達しないように当該光信号を遮蔽する遮蔽板を備えているので、発光部による光信号が筐体の内部で反射したとしても、その反射光が受光部に到達するのを抑制することができる。
これにより、発光部による光信号の送信と、受光部による光信号の受信とを同時に行う全二重の双方向通信を行ったとしても、受光部による光信号の受信を好適に行うことができる。
【0015】
(2)上記車載機は、通常、車両のダッシュボードの上に設置されるので、フロントガラスに近く、発光部による光信号は、フロントガラスに反射し、その反射光が車載機の受光部に受光されることがある。このため、上記車載機において、前記発光部と前記受光部とが車幅方向に80mm以上離間して配置されていることが好ましい。
この場合、発光部が送信する光信号がフロントガラスに反射したとしても、フロントガラスからの反射光が受光部側に到達しない程度に、十分に発光部と受光部とを離間させることができ、フロントガラスによる反射光による影響を抑制することができる。
【0016】
(3)上記車載機において、前記発光部は、前記光ビーコンが送信する光信号の波長と異なる波長の光信号を送信するように設定され、前記受光部には、前記光ビーコンが送信する光信号の通過を許容し、前記発光部による光信号の通過を制限するフィルタが設けられていることが好ましい。
この場合、発光部による光信号が受光部に到達したとしても、前記フィルタによって、光ビーコンからの光信号のみを通過させることができるので、より好適に受光部による光信号の受信を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車載機によれば、発光部による光信号の送信と、受光部による光信号の受信とを同時に行う全二重の双方向通信を行ったとしても、受光部による光信号の受信を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】路車間通信システムにおける光ビーコン及び車載機を示す側面図である。
【図2】車載機の車両進行方向に沿う断面図である。
【図3】図2中、III−III線矢視断面図である。
【図4】離間距離に関する検証試験の試験方法を説明するための図である。
【図5】検証試験の結果を示すグラフである。
【図6】発光部の他の態様を示す車載機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、路車間通信システムにおける光ビーコン及び車載機を示す側面図である。
光ビーコン1は、道路Rを走行する車両Cに搭載された車載機10との間で、所定の通信領域で光信号による双方向通信を行うものであり、図に示すように、道路Rの上方に配置されたビーコンヘッド2と、このビーコンヘッド2を制御するための制御機(図示せず)とを備えている。
前記制御機は、電話回線等の通信回線を介して交通管制システム等の図示しない中央装置と接続されており、ビーコンヘッド2による通信制御を行う。
【0020】
ビーコンヘッド2は、近赤外線よりなるダウンリンク光DO(ダウンリンク情報を構成する光信号)を出射(送信)するとともに、車載機10からの近赤外線よりなるアップリンク光UO(アップリンク情報を構成する光信号)を受光(受信)するための投受光部3を備えており、車載機10との間で、双方向の光通信を行う。
【0021】
投受光部3は、ダウンリンク光DOを送信するためのLEDや、アップリンク光UOを受信するためのPD(フォトダイオード)を備えている。
投受光部3は、図1に示すように、車載機10との間で路車間通信が可能な領域である通信領域Aを、道路R上において、ビーコンヘッド2の直下よりも車両進行方向の上流側寄りに設定する。
通信領域Aは、車載機10がビーコンヘッド2からのダウンリンク光DOを受信可能なダウンリンク領域(図1において実線のハッチングを設けた領域)DAと、ビーコンヘッド2が車載機10からのアップリンク光UOを受信可能なアップリンク領域(図1において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
投受光部3は、ダウンリンク光DOを道路上の所定の領域に向けて出射することで、ダウンリンク領域DAを道路上に設定している。
【0022】
本発明の一実施形態に係る車載機10は、ビーコンヘッド2が設定しているダウンリンク領域DAに進入することでビーコンヘッド2からのダウンリンク光DOを受光(受信)すると、アップリンク光UOの出射(送信)を開始する。これによって、光ビーコン1、及び車載機10は、互いに双方向の光通信を開始する。
【0023】
図2は、車載機10の車両進行方向に沿う断面図であり、図3は、図2中、III−III線矢視断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る車載機10は、車両Cのフロント側のダッシュボードRの上に配置されており、車両CのフロントガラスFを介在した状態で、ビーコンヘッド2との間で光通信を行う。
【0024】
図2及び図3に示すように、車載機10は、アップリンク光UOを送信するための発光部11と、ダウンリンク光DOを受信するための受光部12と、これらを収容する車両Cの車幅方向に長尺な筐体13とを備えている。
発光部11は、複数のLED14を回路基板15上に並べて配置することで構成されている。本実施形態では、複数のLED14は、車幅方向に沿って一列に、筐体13の内部であって車幅方向一端側に寄せて配置されている。なお、図例では、6個のLED14が、車幅方向長さL1の間に配置されており、L1は約5cmとされている。
【0025】
複数のLED14は、発光することによってアップリンク光UOを出射するが、このLED14には、ビーコンヘッド2が送信するダウンリンク光DOの光波長と異なる光波長の光信号(アップリンク光UO)を出射するものが用いられている。つまり、本システムでは、アップリンク光UOと、ダウンリンク光DOとで、互いに光波長の異なる近赤外線光を用いて光通信を行っている。
本実施形態では、ビーコンヘッド2における投受光部3のLEDとして、光波長850±50nmの近赤外線光を出射するものが用いられ、車載機10のLED14として、光波長950±50nmの近赤外線光を出射するものが用いられている。
【0026】
受光部12は、回路基板15に実装されたPD(フォトダイオード)16によって構成されており、筐体13の内部であって車幅方向他端側に寄せて配置されている。
PD16には、光学フィルタ17が設けられている。光学フィルタ17は、PD16の受光面を覆うように設けられており、PD16は、光学フィルタ17を通過したダウンリンク光DOを受光する。
【0027】
光学フィルタ17は、所定波長以下の光を選択的に通過させることができる。本実施形態の光学フィルタ17には、例えば、光波長900nm以下の光を通過させるショートパスフィルタが用いられている。これにより、光学フィルタ17は、光波長850nmであるダウンリンク光DOの通過を許容する一方、自機の発光部11が発光する光波長950nmのアップリンク光UOの通過を制限する。このため、自機の発光部11が発光したとしても、PD16にアップリンク光UOが到達し受光してしまうのを防止できる。
【0028】
なお、本実施形態において、フロントガラスFの傾斜角度が、当該フロントガラスFの傾斜角度の平均的値として35.8度に設定されている。これに対して、発光部11を構成するLED14、及び受光部12を構成するPD16が実装された回路基板15は、法線が前方斜め上方向に向くように、水平面に対して40度の角度で固定されている。また、PD16は、回路基板15に対して直交する光を好適に受光できるように設けられており、LED14は、回路基板15に対して直交する方向にアップリンク光UOを出射するように設けられている。
【0029】
PD16及び光学フィルタ17の周囲には、当該PD16及び光学フィルタ17の側方を覆う遮蔽筒18が回路基板15上に立設されている。また、遮蔽筒18と、発光部11との間には、遮蔽板19が設けられている。遮蔽板19は、筐体13内部を車幅方向に延びるように形成されており、受光部12と発光部11とが異なる空間に位置するように仕切っている。
また、遮蔽筒18及び遮蔽板19は、上端が筐体13の上蓋部13aに当接する高さに設定されている。このため、筐体13内において、受光部12は遮蔽筒18の内周側空間で隔離され、発光部11は筐体13の側壁と遮蔽板19とに囲まれた空間で隔離されている。
【0030】
遮蔽筒18は、受光部12を筐体13内で隔離することで、筐体13の内部を反射する、ダウンリンク光DO以外の反射光が受光部12に到達しないように当該反射光を遮蔽している。
また、遮蔽板19は、発光部11を筐体13内で隔離することで、発光部11によるアップリンク光UOが筐体13の内部を反射して受光部12に到達しないようにアップリンク光UOの反射光を遮蔽している。
【0031】
上述したように、発光部11は、筐体13内部に車幅方向一端側に寄せて配置されており、受光部12は、筐体13内部に車幅方向他端側に寄せて配置されている。筐体13は、車幅方向に長尺に形成されているので、発光部11及び受光部12は、筐体13の内部であって車幅方向両端に離間して配置されている。
【0032】
上記構成の車載機10によれば、発光部11と受光部12とが車幅方向に長尺な筐体13の内部車幅方向両端に離間して配置されているとともに、発光部11によるアップリンク光UOが受光部12に到達しないようにアップリンク光UOを遮蔽する遮蔽筒18及び遮蔽板19を備えているので、発光部11によるアップリンク光UOが筐体13の内部で反射したとしても、その反射光が受光部12に到達するのを抑制することができる。
これにより、発光部11によるアップリンク光UOの送信と、受光部12によるダウンリンク光DOの受信とを同時に行ったとしても、受光部12によるダウンリンク光DOの受信を好適に行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、発光部11は、光ビーコン1が送信するダウンリンク光DOの光波長と異なる光波長のアップリンク光UOを送信するように設定され、受光部12には、光ビーコン1が送信するダウンリンク光DOの通過を許容し、発光部11によるアップリンク光UOの通過を制限する光学フィルタ17が設けられているので、発光部11によるアップリンク光UOが受光部12に到達したとしても、光学フィルタ17によって、光ビーコン1からのダウンリンク光DOのみを通過させることができ、発光部11によるアップリンク光UOの送信と、受光部12によるダウンリンク光DOの受信とを同時に行ったとしても、より好適に受光部12によるダウンリンク光DOの受信を行うことができる。
【0034】
この結果、本実施形態の車載機10によれば、アップリンク及びダウンリンク双方の光通信を同時に行う全二重の双方向通信を採用することができ、ダウンリンク及びアップリンク双方の通信時間を十分に確保することができる。
【0035】
また、本実施形態の車載機10は、車両CのダッシュボードDの上に設置されているので、フロントガラスFに近く、発光部11によるアップリンク光UOは、フロントガラスFに反射し、その反射光が車載機10の受光部12に受光されることがある。このため、本実施形態では、図3に示すように、車幅方向での、発光部11における受光部12側の端部と、受光部12における発光部11側の端部との間の離間距離L2を80mmに設定している。
これによって、発光部11が送信するアップリンク光UOがフロントガラスFに反射したとしても、フロントガラスFからの反射光が受光部12側に到達しない程度に、十分に発光部11と受光部12とを離間させることができ、フロントガラスFによる反射光による影響を抑制することができる。
【0036】
以下、上記離間距離L2について、本発明者が行った検証試験について説明する。
試験方法としては、図4で示すように、車両のダッシュボードDの上に、上記実施形態にて示した車載機10の発光部11及び受光部12に相当する、発光装置30と、受光装置31とを用いた。これら装置30,31は、発光部11及び受光部12と同様の構成であるが互いに分離している。また、フロントガラスFの傾斜角度は、上記実施形態と同様、35.8度とし、フロントガラスFから装置30,31までの距離L3を20cmとした。
【0037】
発光装置30、及び受光装置31は、車両の中心線Sに対して対称に、予め設定した数通りの離間距離L2に設置した。そして、その離間距離L2ごとに、発光装置30からアップリンク光UOを出射し、そのときの受光装置31の受光レベルを測定し、受光部31がダウンリンク光DOのみ受光したときの受光レベルと比較した。離間距離L2は、5mmごとに0mmから50mmの範囲で設定した。
なお、本試験では、上記実施形態において受光部12に設けられた光学フィルタ17については、設けずに受光レベルを測定した。離間距離L2による受光レベルの変化を正確に評価するためである。
【0038】
図5は、上記検証試験の結果を示すグラフである。図中、横軸は離間距離L2を示しており、縦軸は受光レベルを示しており、各測定点をプロットしている。なお、縦軸で示される受光レベルは、受光部31がダウンリンク光DOのみ受光したときの受光レベルを「1」としたときの比率を表している。
【0039】
図5において、離間距離L2が0mmのときは、受光レベルが約「8」と非常に高いレベルでフロントガラスFで反射したアップリンク光UOの反射光が入射していることが判る。
離間距離L2が大きくなるに従って、受光レベルが低下し、離間距離L2が50mmのとき、受光レベルが約「2.5」となっている。
【0040】
図中、曲線Kは、各測定点から求めた近似曲線である。この曲線Kから、受光レベルが「1」以下となる離間距離L2が、80mmであることが判る。すなわち、離間距離L2を80mmに設定することで、フロントガラスFにより反射したアップリンク光UOの反射光の受光レベルを、ダウンリンク光DOのみ受光したときの受光レベル以下とすることができる。
【0041】
以上により、車幅方向における、発光部と受光部との間の離間距離L2を80mm以上に設定することで、フロントガラスからのアップリンク光UOの反射光が受光部側に到達しない程度に、十分に発光部と受光部とを離間させることができ、フロントガラスによる反射光による影響を抑制することができることが明らかとなった。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることはない。上記各実施形態では、発光部11のLED14を車幅方向に沿って一列に配置した場合を示したが、例えば、図6(a)に示すように、筐体13内であって車幅方向一端側に寄せた状態で、車両進行方向に複列に配置しても良いし、図6(b)に示すように、円状に配置してもよい。このように複数のLED14をより一端側に寄せ集めることで、受光部12に対してより効率よく隔離することができる。
【0043】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 光ビーコン
2 ビーコンヘッド
10 車載機
11 発光部
12 受光部
13 筐体
17 光学フィルタ
18 遮蔽筒
19 遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に設置された光ビーコンとの間で光信号による全二重の双方向通信を行う車載機であって、
前記光ビーコンに光信号を送信する発光部と、
前記光ビーコンから送信される光信号を受信する受光部と、
前記発光部及び前記受光部を収容する車幅方向に長尺な筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記発光部からの光信号が前記受光部に到達しないように当該光信号を遮蔽する遮蔽板と、を備え、
前記発光部及び前記受光部は、前記筐体の内部車幅方向両端に離間して配置されていることを特徴とする車載機。
【請求項2】
前記発光部と前記受光部とが車幅方向に80mm以上離間して配置されている請求項1に記載の車載機。
【請求項3】
前記発光部は、前記光ビーコンが送信する光信号の光波長と異なる光波長の光信号を送信するように設定され、
前記受光部には、前記光ビーコンが送信する光信号の通過を許容し、前記発光部による光信号の通過を制限するフィルタが設けられている請求項1又は2に記載の車載機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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