説明

車載用ディスクプレーヤ

【課題】ロック状態におけるラットルノイズの発生を環境温度変化に拘わらず長期に亘って確実に防止することができる「車載用ディスクプレーヤ」を提供すること。
【解決手段】ディスク搬送機構やドライブ機構等のメカニズム全体を搭載したドライブユニット2の左右両側にロック溝13bを有するスライド部材13を前後進可能に配設し、これらスライド部材13にロック溝13bを縦断するように線ばね15を取り付けた。そして、ドライブユニット2が枠体1に対して固定的に支持されたロック状態となっているとき、ロック溝13b内に入り込んだロックピン4で線ばね15を押圧して撓ませることにより、ロック溝13bとロックピン4との間のガタを線ばね15の弾発力で吸収するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVD等のディスクに情報を記録および/または再生する車載用ディスクプレーヤに係り、特に、ドライブユニットを枠体に対してロック状態とアンロック状態とに切り換え可能なロック切換機構を備えた車載用ディスクプレーヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CDやDVD等のディスクを装填して使用される車載用ディスクプレーヤにあっては、光ピックアップやターンテーブル等を搭載したドライブユニットが枠体の内部に固定的に支持されていると、プレイ動作時(情報の再生時や記録時)に外部からの振動が光ピックアップやディスクに直接作用して音飛び等の障害を発生させやすくなるため、通常、ドライブユニットをダンパ等の弾性部材を介して枠体に弾性的に支持し、プレイ中の光ピックアップとディスクに外部からの振動や衝撃が直接作用しないように設計されている。すなわち、この種の車載用ディスクプレーヤには、ドライブユニットを枠体に対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック切換機構が備えられており、ディスクのプレイ動作時にはドライブユニットを枠体に弾性的に支持するアンロック状態にしておき、ディスクの搬送時(挿入/排出)にはドライブユニットを拘束することで枠体に対してロック状態にするようにしている。
【0003】
このようなロック切換機構は、ドライブユニットの左右両側に前後進可能に配設されたスライド部材と、枠体の内側壁に突設されたロックピン等によって構成されており、モータを駆動源としてスライド部材を前後進させることにより、ロックピンがスライド部材に形成されたロック溝と係脱してロック状態とアンロック状態に切り換えられるようになっている。ここで、スライド部材とロックピンの温度膨張率の差や両者の寸法バラツキ等を吸収するために、ロックピンとロック溝との間には若干のクリアランスを確保しておく必要があるが、かかるクリアランスに起因してロック状態のロックピンとロック溝との間にガタが発生し、車両の走行中にラットルノイズと呼ばれる異音を発生するという難点がある。
【0004】
そこで従来より、合成樹脂製のスライド部材に形成されたロック溝の溝幅をロックピンの外形寸法よりも若干小さめに設定すると共に、このようなロック溝の周囲に長孔や薄肉部からなる弾性付与部を形成し、この弾性付与部を利用してロック溝の溝幅をロックピンの外形寸法に応じて変更可能となすことにより、ロックピンをロック溝に対してガタ付きなく係合させるようにしたロック切換機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかるロック切換機構においては、ロックピンがロック溝の溝幅を押し広げて係合することでロック状態となるため、ロックピンとロック溝との間にクリアランスを確保する必要がなくなり、クリアランスに起因するラットルノイズの発生を防止することができる。
【特許文献1】特開2004−334960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のロック切換機構では、合成樹脂製のスライド部材にロック溝の溝幅をロックピンの外形寸法に応じて変更する弾性付与部を形成しており、一般的に高温環境下における合成樹脂の弾性特性は常温時に比べて極端に悪くなるため、環境温度の上昇に伴って弾性付与部の機能が著しく低下するという問題があった。また、ロックピンがロック溝を押し広げながら係脱を繰り返すようになっているため、ロック溝の溝幅がロックピンとの摺動摩耗によって次第に大きくなり、長年の使用によってラットルノイズの抑制効果が低下するという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ロック状態におけるラットルノイズの発生を環境温度変化に拘わらず長期に亘って確実に防止することができる車載用ディスクプレーヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スライド部材にロック溝を縦断するように線ばねを保持し、ドライブユニットのロック時にロックピンをこの線ばねに押し当てるにより、線ばねを撓ませてロック溝とロックピンとの間のガタを吸収するようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車載用ディスクプレーヤは、ドライブユニットの両側に前後進可能に配設されたスライド部材にロック溝を縦断するように線ばねを保持し、ドライブユニットのロック時に枠体のロックピンをこの線ばねに圧接させることにより、該線ばねを撓ませてロック溝とロックピンとの間のガタが吸収されるようにしたので、ドライブユニットのロック時に外部から振動が加わったとしても、この振動を線ばねの弾発力によって吸収することができ、ロックピンとロック溝間のクリアランスに起因するラットルノイズの発生を環境温度変化に拘わらず長期に亘って確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、前面にディスク挿入口を有する枠体と、前記ディスク挿入口から挿入されたディスクを該ディスク挿入口とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構と、挿入されたディスクを前記プレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構と、これらディスク搬送機構およびドライブ機構を搭載して前記枠体の内部に弾性的に支持されたドライブユニットと、このドライブユニットを前記枠体に対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック切換機構とを備え、前記ロック切換機構が、前記ドライブユニットの両側に前後進可能に配設されたスライド部材と、前記枠体の内側壁から前記スライド部材の移動経路に向かって突出するロックピンとを有し、このロックピンが前記スライド部材に形成されたロック溝と係合することにより、前記ドライブユニットがロック状態に保持される車載用ディスクプレーヤにおいて、前記スライド部材に前記ロック溝を縦断するように線ばねを保持し、前記ドライブユニットのロック時に前記ロックピンを前記線ばねに圧接させる構成とした。
【0010】
このように構成された車載用ディスクプレーヤでは、ドライブユニットがロック状態にあるとき、スライド部材に保持された線ばねがロックピンに圧接されて撓むことにより、ロック溝とロックピンとの間のガタが吸収されるため、外部振動を線ばねの弾発力によって吸収することができ、ロックピンとロック溝間のクリアランスに起因するラットルノイズの発生を環境温度変化に拘わらず長期に亘って確実に防止することができる。
【0011】
上記の構成において、線ばねを撓ませた状態でスライド部材に保持するようにしておくと、線ばね自身の弾性復帰力によって線ばねをスライド部材にガタ付きなく取り付けることができると共に、プリテンションの付与された線ばねをロックピンがロック時にさらに撓ませることになるため、線ばねの少ない変形量によって大きな弾発力を生起させることができて好ましい。
【0012】
また、上記の構成において、線ばねをロック溝の内部でスライド部材の移動方向に対して傾斜させた状態で保持すると、線ばねからロックピンに作用する弾発力の上下方向と前後方向の分力によって、ロック溝とロックピンとの間のガタが上下方向と前後方向で吸収されるため、ラットルノイズの発生をより確実に防止することができて好ましい。
【実施例】
【0013】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施例に係る車載用ディスクプレーヤの斜視図、図2は該ディスクプレーヤに備えられるドライブユニットの斜視図、図3は該ディスクプレーヤのイジェクト状態を示す右側面図、図4は該ディスクプレーヤのイジェクト状態を示す左側面図、図5は該ディスクプレーヤのプレイ状態を示す右側面図、図6は該ディスクプレーヤのプレイ状態を示す左側面図、図7は該ディスクプレーヤに備えられるスライド部材の側面図、図8は該スライド部材と線ばねの取り付け状態を示す斜視図、図9は該線ばねとロックピンの圧接状態を示す説明図である。
【0014】
図1に示すように、本実施例に係る車載用ディスクプレーヤは、本体装置の外殻を形成する箱状の枠体1と、この枠体1の内部に収納されたドライブユニット2を備えており、ドライブユニット2は複数のダンパ3や図示せぬスプリングを介して枠体1に弾性支持されている。枠体1の前面板には横長形状のディスク挿入口1aが形成されており、枠体1の左右両内壁にはロックピン4が内方へ向かって突設されている。
【0015】
図2に示すように、ドライブユニット2は合成樹脂製のベース部材5を有しており、このベース部材5の手前側上面には金属製の支持板6がねじ止め固定されている。支持板6の下面には合成樹脂製のガイドトップ7がスナップ結合等によって一体化されており、このガイドトップ7とベース部材5の内底面との間にはディスク挿入口1aに対向するディスク搬送空間が画成されている。図5と図6に示すように、ディスク搬送空間の内部にはゴム製のローラ8が配設されており、このローラ8は図示せぬモータの駆動力によって正逆両方向へ回転駆動されるようになっている。ローラ8はローラブラケット9の後端部に回転可能に支持されており、ローラブラケット9の前端部はベース部材5に回動可能に軸支されている。ローラブラケット9の中央部手前側とベース部材5の底面との間にはスプリング10が張架されており、ローラブラケット9はこのスプリング10の弾性力によってローラ8をガイドトップ7の下面に近接する方向へ付勢されている。ローラブラケット9の後端部には図示せぬピンが設けられており、このピンが後述するスライド部材のカム孔に挿入されることにより、ローラブラケット9はスライド部材の前後進移動に伴ってピンを中心に回動するようになっている。なお、これらガイドトップ7とローラ8およびローラブラケット9によってディスク搬送機構が構成されている。
【0016】
ベース部材5の後壁にはクランプアーム11の左右後端部が回動可能に軸支されており、このクランプアーム11の中央部手前側にはクランパ12が回転可能に支持されている。また、図示省略されているが、ベース部材5の裏面側にはドライブ機構を構成するスピンドルモータや光ピックアップ等が搭載されており、このスピンドルモータの回転軸にはクランパ12の下面に対向するターンテーブルが固着されている。さらに、ベース部材5の左右両側壁の外側には合成樹脂製のスライド部材13が配設されており、これら両スライド部材13はベース部材5の前後方向(X1−X2方向)に移動可能に支持されている。両スライド部材13はベース部材5の裏面側に配置されたリンク機構(図示せず)を介して連結されており、図示せぬモータを駆動源として一方のスライド部材13が前後進すると、その動きに同期して他方のスライド部材13も前後進するようになっている。また、ベース部材5の左右両側壁には回動アーム14が回転可能に支持されており、これら回動アーム14に突設されたピン14aはスライド部材13に形成された係合孔13aに挿入されている。そして、両スライド部材13の前後進に伴ってピン14aが係合孔13a内を移動することにより、回動アーム14が枠体1の左右両側壁に折曲形成されたロック板1bと係脱するようになっている。
【0017】
図7に示すように、一方のスライド部材13には係合孔13aの他にロック溝13bとカム孔13cおよび突起13dが形成されており、他方のスライド部材13にも同様のロック溝13bとカム孔13cおよび突起13dが形成されている。ロック溝13bは前端側を開放して後端側を閉塞する横長形状であり、ロック溝13bの溝幅は前述したロックピン4の外形寸法よりも若干大きめに設定されている。スライド部材13にはロック溝13bの後端部を縦断するように線ばね15が取り付けられており、この線ばね15は3つの係止爪13eによってスライド部材13に保持されている。図8に示すように、ロック溝13bを挟んで上下に位置する2つの係止爪13eは前方側を開放し、真ん中に位置する残り1つの係止爪13eは後方側を開放しているため、線ばね15を斜め上方から下側の係止爪13e内に挿入した後、そのまま線ばね15を真ん中の係止爪13eを支点に前方へ撓めて上側の係止爪13e内に挿入すれば、線ばね15を後方側へ膨らむように湾曲した形状でスライド部材13に保持させることができる。したがって、接着剤やかしめ固定等の特別な固定手段を用いなくても、線ばね15を自身の弾性復帰力によってスライド部材13に簡単にかつガタ付きなく取り付けることができる。また、線ばね15は上端部が後方へ若干傾いた後傾姿勢でスライド部材13に保持されており、線ばね15はロック溝13bの後端部を斜めに横切るように露出している。
【0018】
前述したように、両スライド部材13は図示せぬモータを駆動源として前後進するようになっているが、このように両スライド部材13の前後進に伴ってロック溝13bがロックピン4と係脱することにより、ドライブユニット2を枠体1に対してロック/アンロック状態に切り換えるロック切換機構が動作される。また、両スライド部材13の前後進に伴ってローラブラケット9の図示せぬピンがカム孔13c内を相対移動することにより、ローラブラケット9を回動させてローラ8が昇降動作するようになっている。さらに、両スライド部材13の前後進に伴って突起13dがクランプアーム11の両側壁に形成された図示せぬカムと係脱することにより、クランプアーム11を回動させてクランパ12がターンテーブルに対して昇降動作するようになっている。
【0019】
次に、上述のごとく構成された車載用ディスクプレーヤの動作について説明する。
【0020】
図3と図4に示すように、ディスクDが本体装置に挿入されていないイジェクト時(待機状態)において、両スライド部材13はベース部材5の手前側の前進位置にあり、これらスライド部材13のロック溝13bが枠体1のロックピン4に係止すると共に、両スライド部材13の係合孔13aに係合する回動アーム14が枠体1のロック板1bに当接しているため、ディスク搬送機構やドライブ機構等のメカニズム全体を搭載したドライブユニット2は枠体1に対して固定的に支持されたロック状態となっている。このとき、ロック溝13b内に入り込んだロックピン4がスライド部材13に取り付けられた線ばね15を後方へ押圧するため、予め湾曲した形状で取り付けられた線ばね15が後方へさらに撓み、図9に示すように、こうして撓んだ線ばね15の反力Fがロックピン4に作用する。前述したように、この線ばね15は上端部が後方へ若干傾いた後傾姿勢でスライド部材13に保持されているため、線ばね15からロックピン4に加えられる力Fが前後(水平)方向の分力F1と上下方向の分力F2とに分解され、これら分力F1,F2によってロックピン4とロック溝13b間のガタが前後方向だけでなく上下方向にも吸収される。したがって、イジェクト状態で外部から振動が加わったとしても、この外部振動を線ばね15の弾発力によって吸収することができ、ロックピン4とロック溝13b間のクリアランスに起因するラットルノイズの発生を環境温度変化に拘わらず長期に亘って確実に防止することができる。
【0021】
また、かかるイジェクト状態において両スライド部材13の突起13dがクランプアーム11の図示せぬカムに当接しているため、クランプアーム11は上方へ回動してクランパ12がターンテーブルから離反し、両者の間にディスクDを挿入可能な空間が確保されている。さらに、ローラブラケット9の図示せぬピンが両スライド部材13のカム孔13cの上段位置にあるため、ローラブラケット9はローラ8を支持した後端側が上昇した前傾姿勢となっており、ローラ8の外周面はスプリング10の弾性力を受けてガイドトップ7の下面に圧接されている。
【0022】
この状態でディスクDが枠体1のディスク挿入口1aから装置本体内に挿入されると、該ディスクDはローラブラケット9の上方のディスク搬送空間を通ってローラ8まで達し、この間にディスクDの挿入によって図示せぬディスク検知手段が動作されるため、該ディスク検知手段からの信号に基づいて図示せぬモータが一方向へ回転し始める。その結果、このモータの駆動力によってローラ8が一方向へ回転し始め、ローラ8とガイドトップ7との間に挟持されたディスクDが該ローラ8の回転力によって挿入方向(矢印X2方向)へ自動搬送される。このようにしてディスクDがプレイ位置の上方(ディスクDの中心孔がターンテーブルとクランパ12との間となる位置)まで搬送されると、ディスクDの縁部によって図示せぬ動力切換機構が動作され、この動力切換機構によって前記モータの駆動力がローラ8からスライド部材13へ切り換えられるため、両スライド部材13がモータを駆動源としてベース部材5の前進位置から後退位置まで移動する。
【0023】
このようにして両スライド部材13が後退方向の末端位置まで移動する間に、両スライド部材13のロック溝13bがロックピン4から離れると共に、回動アーム14のピン14aがスライド部材13の係合孔13a内を移動して回動アーム14とロック板1bの係合が解除されるため、ベース部材5は複数のダンパ3等によって枠体1に弾性的に支持されたアンロック状態となる。また、ローラブラケット9のピンが両スライド部材13のカム孔13cの上段位置から下段位置へ移行するため、ローラブラケット9がスプリング10の弾性力に抗して下方へ回動し、ローラブラケット9の後端側に支持されたローラ8がディスクDの下面から離れる。また、このタイミングで両スライド部材13の突起13dがクランプアーム11のカムから離れるため、クランパ12を支持するクランプアーム11が下方へ回動し、ディスクDの中心部がクランパ12とターンテーブル間にクランプされて図5と図6に示すようにプレイ状態となる。そして、このプレイ状態において、図示せぬスピンドルモータを駆動してターンテーブルとディスクDおよびクランパ12を一体的に回転駆動すると共に、光ピックアップをディスクDの径方向へ移動することにより、ディスクDに対する情報の再生動作等が行われる。
【0024】
また、再生等が完了したディスクDを排出(イジェクト)するときには、図示せぬイジェクト釦を投入して前記モータを他方向へ回転させることにより、上記と逆の動作が行われる。この場合、まず下降位置にあるクランプアーム11が上方へ回動してクランパ12とターンテーブルとによるディスクDのチャッキング動作が解除された後、ローラブラケット9がスプリング10の弾性力によって上方へ回動することにより、ディスクDがガイドトップ7とローラ8間に挟持されたイジェクト開始状態となり、しかる後、ローラ8の他方向への回転力によってディスクDがプレイ位置からディスク挿入口1aに向けて排出方向(矢印X1方向)へ自動搬送される。
【0025】
このように本実施例に係る車載用ディスクプレーヤでは、ドライブユニット2の左右両側に前後進可能に配設されたスライド部材13に線ばね15を取り付け、この線ばね15をスライド部材13のロック溝13b内に縦断するように露出させたので、ドライブユニット2が枠体1に対して固定的に支持されたロック状態となっているとき、ロック溝13b内に入り込んだロックピン4で線ばね15を押圧して撓ませることにより、ロック溝13bとロックピン4との間のガタを線ばね15の弾発力で吸収することができる。したがって、ドライブユニット2のロック時に外部から振動が加わったとしても、この振動を線ばね15の弾発力によって確実に吸収することができ、特に、線ばね15は高温環境下でも優れた弾性特性を維持するものであるため、ロック溝13bとロックピン4間のクリアランスに起因するラットルノイズの発生を環境温度変化に拘わらず長期に亘って確実に防止することができる。
【0026】
また、線ばね15を湾曲形状に撓ませた状態でスライド部材13に取り付けたため、自身の弾性復帰力によって線ばね15をスライド部材13に簡単かつガタ付きなく取り付けることができると共に、プリテンションの付与された線ばね15をロックピン4がロック時にさらに撓ませることになるため、線ばね16の少ない変形量によって大きな弾発力を生起させることができる。
【0027】
また、線ばね15がロック溝13bを斜めに横切るようにスライド部材13に取り付けたため、ロック時に線ばね15からロックピン4作用する弾発力Fの前後方向と上下方向の分力F1,F2によって、ロック溝13bとロックピン4間のガタを前後方向と上下方向で吸収することができ、ラットルノイズの発生をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例に係る車載用ディスクプレーヤの斜視図である。
【図2】該ディスクプレーヤに備えられるドライブユニットの斜視図である。
【図3】該ディスクプレーヤのイジェクト状態を示す右側面図である。
【図4】該ディスクプレーヤのイジェクト状態を示す左側面図である。
【図5】該ディスクプレーヤのプレイ状態を示す右側面図である。
【図6】該ディスクプレーヤのプレイ状態を示す左側面図である。
【図7】該ディスクプレーヤに備えられるスライド部材の側面図である。
【図8】該スライド部材と線ばねの取り付け状態を示す斜視図である。
【図9】該線ばねとロックピンの圧接状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 枠体
1a ディスク挿入口
2 ドライブユニット
3 ダンパ
4 ロックピン
5 ベース部材
7 ガイドトップ
8 ローラ
9 ローラブラケット
11 クランプアーム
12 クランパ
13 スライド部材
13a 係合孔
13b ロック溝
13c カム孔
13d 突起
13e 係止爪
14 回動アーム
15 線ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にディスク挿入口を有する枠体と、前記ディスク挿入口から挿入されたディスクを該ディスク挿入口とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構と、挿入されたディスクを前記プレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構と、これらディスク搬送機構およびドライブ機構を搭載して前記枠体の内部に弾性的に支持されたドライブユニットと、このドライブユニットを前記枠体に対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック切換機構とを備え、前記ロック切換機構が、前記ドライブユニットの両側に前後進可能に配設されたスライド部材と、前記枠体の内側壁から前記スライド部材の移動経路に向かって突出するロックピンとを有し、このロックピンが前記スライド部材に形成されたロック溝と係合することにより、前記ドライブユニットがロック状態に保持される車載用ディスクプレーヤにおいて、
前記スライド部材に前記ロック溝を縦断するように線ばねを保持し、前記ドライブユニットのロック時に前記ロックピンを前記線ばねに圧接させたことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記線ばねを撓ませた状態で前記スライド部材に取り付けたことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記線ばねを前記ロック溝の内部で前記スライド部材の移動方向に対して傾斜させたことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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