説明

車載用室内照明装置

【課題】複数タイプのランプが使用できる車載用室内照明装置を提供する。
【解決手段】意匠部と機能部20が設けられ、機能部20には舟形バルブ40が装着可能な第1ランプ用接点部31a,32aと、ウエッジベースバルブ41が装着可能な第2ランプ用接点部31b,32bが設けられ、第1ランプ用接点部31a,32aと第2ランプ用接点部31b,32bは、装着された場合の舟形バルブ40とウエッジベースバルブ41の中心位置が同じに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の天井等に設けられ、車室内を照らす車載用室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の車載用室内照明装置としては、特許文献1に開示されたものがある。この車載用室内照明装置100は、図7に示すように、車室の天井位置に配置されたボディ101とトリム102に取り付けされ、トリム102の室内側に配置された意匠部110と、この意匠部110の室外側に配置された機能部120とを備えている。
【0003】
ボディ101には、ロックアーム用切欠部101aが2箇所に設けられていると共にその各近傍に被係止部101bが設けられている。
【0004】
トリム102には、機能部用開口部102aが設けられている。又、トリム102の機能部用開口部102aより外側には、ロックアーム係止孔102bと共にロックアーム挿通孔102cがそれぞれ2箇所に設けられている。
【0005】
意匠部110は、ハウジング111と、このハウジング111の室内側のほぼ全体を覆うレンズカバー112と、スイッチ部(図示せず)を操作するスイッチ操作部116とを備えている。ハウジング111の周縁部で、且つ、対角線上の2箇所には、壁材用ロックアーム113が設けられている。この壁材用ロックアーム113がトリム102のロックアーム係止孔102bに係止されることによって、意匠部110がトリム102に組み付けされている。又、ハウジング111の周縁部で、且つ、他の対角線上の2箇所には、ボディ用ロックアーム114が設けられている。このボディ用ロックアーム114がボディ101の被係止部101bに係止されることによって、意匠部110がボディ101に組み付けされている。ハウジング111のほぼ中央には機能部嵌挿穴115が設けられている。
【0006】
機能部120は、ハウジング121と、このハウジング121に装着されたランプである舟形バルブ122と、同じくハウジング121に装着されたスイッチ部(図示せず)と、ワイヤーハーネスWHを接続する電線用端子部(図示せず)とを有する。ハウジング121の互いに対向する側面には、二対のロック爪124、(図示せず)が設けられている。機能部120は、意匠部110の機能部嵌挿穴115及びトリム102の機能部用開口部102aに配置されていると共に各ロック爪124がトリム102の機能部用開口部102aの周縁に係止されることによって組み付けされている。
【0007】
上記構成において、スイッチ操作部116を操作することによりスイッチ部(図示せず)が操作される。スイッチ部のオン位置では、舟形バルブ122が点灯して車室内を照らす。スイッチ部のオフ位置では舟形バルブ122が消灯する。
【0008】
次に、従来の車載用室内照明装置の配線回路について説明する。配線回路は、図8に示すように、機能部120のハウジング121にインサート成形されるメインバスバー130とバルブ接点部品131とから構成される。メインバスバー130は、スイッチ部(図示せず)に接続するためのスイッチ用端子130aと、ワイヤーハーネスWHを圧接接続する圧接端子130bと、一方のランプ用接点部130cと、接点部品用接続部130dと、これらを所望の配線路で配線する配線部130eと、インサート成形後に切断される切断部130fとから構成されている。バルブ接点部品131は、ランプ用接点部131aを有し、図9(a)、(b)に示すように、メインバスバー130の接点部品用接続部130dに接続される。これによって、一対のランプ用接点部130c,131aは、互いに対向配置された舟形バルブ専用の接点が形成される。そして、図9(a)に示すように、舟形バルブ122の一方の端子122aを一方のランプ用接点部130cにセットし、その後、図9(b)に示すように、舟形バルブ122の他方の端子122bを他方のランプ用接点部131aにセットすることによって舟形バルブ122を装着することができる。
【特許文献1】特開2003−40032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の車載用室内照明装置では、舟形バルブ122しか装着することができない。特に、ランプが切れて新しいランプに交換する際には、同一タイプ(舟形バルブ122)のランプしか使用できないため、不便である。
【0010】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、複数タイプのランプが使用できる車載用室内照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、意匠部とこの意匠部の室外側に配置された機能部とを有し、機能部に収容されたランプの照射光が意匠部を透過して車室内に照射される車載用室内照明装置であって、機能部には、複数タイプのランプが装着できる複数タイプのランプ用接点部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の車載用室内照明装置であって、複数タイプのランプ用接点部は、舟形バルブ、ウエッジベースバルブ及び発光ダイオードの内の少なくとも2つが装着可能な2タイプであることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の車載用室内照明装置であって、複数タイプのランプ用接点部は、各ランプの中心位置が同じに設定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車載用室内照明装置であって、複数タイプのランプ用接点部は、左右対称なバルブ接点部品より構成されたことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4記載の車載用室内照明装置であって、スイッチ部に接続するスイッチ用端子と電線を接続する電線用端子と配線路を形成する配線部は、メインバスバーによって形成され、メインバスバーとは一対のバルブ接点部品が別体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、複数タイプのランプを装着することができるため、使用できるランプの自由度が高い。これによって、特に、ランプが切れて新しいランプに交換する際に便利である。
【0017】
請求項2の発明によれば、2タイプのランプを利用できるため、請求項1の発明と同様の効果が得られる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明の効果に加え、異なるタイプのランプを装着しても照明の位置が変わらないため、ユーザが違和感を感じない。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3の発明の効果に加え、金型費用を低く抑えることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、メインバスバーの形態を変更した場合にあって、同じバルブ接点部品を使用できる。又、バルブ接点部品の形態を変更した場合にあって、同じメインバスバーを使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1〜図6は本発明の一実施形態を示し、図1は舟形バルブを装着した車載用室内照明装置の分解斜視図、図2はウエッジベースバルブを装着した車載用室内照明装置の分解斜視図、図3は機能部の分解斜視図、図4はメインバスバーと一対のバルブ端子部品の接続前の斜視図、図5(a)は舟形バルブを第1バルブ装着用端子に装着する前の斜視図、図5(b)は舟形バルブを第1バルブ装着用端子に装着した状態の斜視図、図6(a)はウエッジベースバルブを第2バルブ装着用端子に装着する前の斜視図、図6(b)はウエッジベースバルブを第2バルブ装着用端子に装着した状態の斜視図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、車載用室内照明装置1は、車室の天井位置に配置されたボディ(図示せず)とトリム(図示せず)に取り付けされ、トリム(図示せず)の室内側に配置された意匠部10と、この意匠部10の室外側に配置された機能部20とを備えている。
【0024】
意匠部10は、ハウジング11と、このハウジング11の室内側のほぼ全体を覆うレンズカバー12と、スイッチ部(図示せず)を操作するスイッチ操作部13とを備えている。ハウジング11の周縁部には、ロックアーム14が設けられており、このロックアーム14によって、意匠部10がボディ(図示せず)とトリム(図示せず)101に固定される。
【0025】
図3に詳しく示すように、機能部20は、ハウジング21と、このハウジング21にインサート成形されたメインバスバー30(図3等に示す)及び一対のバルブ接点部品31,32(図3等に示す)と、ハウジング21に装着され、圧接接続されるワイヤーハーネスWHを被う電線保護カバー22と、ハウジング21内に収容されるスイッチ部(図示せず)と、ハウジング21に装着され、スイッチ部を固定するスイッチ装着カバー23と、ハウジング21に装着され、ランプ収容スペース24の室外側を被うランプ保護カバー25と、ランプ収容スペース24内に装着されるランプである舟形バルブ40(又は、ウエッジベースバルブ41)とを備えている。
【0026】
図4に詳しく示すように、メインバスバー30は、3つに分割され、スイッチ部(図示せず)に接続するためのスイッチ用端子30aと、ワイヤーハーネス(電線)WHを圧接接続する電線用端子である圧接端子30bと、一対のバルブ部品連結用接点部30cと、これらを所望の配線路で配線する配線部30dとから構成されている。
【0027】
一対のバルブ接点部品31,32は、左右対称な形態であり、バルブ部品連結用接点部30cによってメインバスバー30に接続されている。一方のバルブ端子部品31は、舟形バルブ用の一方の第1ランプ用接点部31aとウエッジベースバルブ用の一方の第2ランプ用接点部31bとこれらを連結する連結配線部31cとから構成されている。他方のバルブ端子部品32は、舟形バルブ用の他方の第1ランプ用接点部32aとウエッジベースバルブ用の他方の第2ランプ用接点部32bとこれらを連結する連結配線部32cとから構成されている。一対の第1ランプ用接点部31a,32aは、間隔を置いて対向配置されている。そして、図5(a)、(b)に示すように、対向配置された一対の第1ランプ用接点部31a,32a間に、弾性変形を利用して舟形バルブ40を挿入することによって装着される。一対の第2ランプ用接点部31b,32bは、近接位置に平行配置されている。そして、図6(a)、(b)に示すように、一対の第2ランプ用接点部31b,32bの各挟持片間に、弾性変形を利用してウエッジベースバルブ41を挿入することによって装着される。
【0028】
第1ランプ用接点部31a,32aと第2ランプ用接点部31b、32bは、舟形バルブ40とウエッジベースバルブ41の中心位置が同じに設定されている。
【0029】
上記構成において、スイッチ操作部13を操作することによりスイッチ部(図示せず)が操作される。スイッチ部のオン位置では、図1のように舟形バルブ40が装着されている場合には、舟形バルブ40が点灯し、図2のようにウエッジベースバルブ41が装着されている場合には、ウエッジベースバルブ41が点灯して車室内を照らす。スイッチ部のオフ位置では、図1のように舟形バルブ40が装着されている場合には、舟形バルブ40が消灯し、図2のようにウエッジベースバルブ41が装着されている場合には、ウエッジベースバルブ41が消灯する。
【0030】
以上、説明したように、機能部20には、舟形バルブ40用の第1ランプ用接点部31a,32aと、ウエッジベースバルブ41用の第2ランプ用接点部31b,32bが設けられているので、舟形バルブ40とウエッジベースバルブ41を選択的に装着することができるため、使用できるランプの自由度が高い。これによって、特に、ランプが切れて新しいランプに交換する際に便利である。
【0031】
この実施形態では、第1ランプ用接点部31a,32aと第2ランプ用接点部331b,32bは、舟形バルブ40とウエッジベースバルブ41に対応する2タイプであるが、舟形バルブ40、ウエッジベースバルブ41及び発光ダイオードの全てが装着できるように構成しても良い。又、舟形バルブ40と発光ダイオードの2つが装着できるように、若しくは、ウエッジベースバルブ41と発光ダイオードの2つが装着できるように構成しても良い。
【0032】
この実施形態では、第1ランプ用接点部31a,32aと第2ランプ用接点部31b、32bは、舟形バルブ40とウエッジベースバルブ41の中心位置が同じに設定されている。従って、異なるタイプのランプを装着しても照明の位置が変わらないため、ユーザが違和感を感じない。
【0033】
この実施形態では、第1ランプ用接点部31a,32aと第2ランプ用接点部31b、32bは、左右対称なバルブ接点部品31,32より構成されている。従って、金型費用を低く抑えることができる。
【0034】
この実施形態では、一対のバルブ接点部品31,32は、メインバスバー30とは別体に形成されている。従って、メインバスバー30の形態を変更した場合にあって、同じバルブ接点部品31,32を使用できる。又、バルブ接点部品31,32の形態を変更した場合にあって、同じメインバスバー30を使用できる。
【0035】
尚、この実施の形態では、車載用室内照明装置1を車室の天井に取り付ける場合を示したが、取付け場所は車室の天井に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態を示し、舟形バルブを装着した車載用室内照明装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、ウエッジベースバルブを装着した車載用室内照明装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、機能部の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、メインバスバーと一対のバルブ端子部品の接続前の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、(a)は舟形バルブを第1バルブ装着用端子に装着する前の斜視図、(b)は舟形バルブを第1バルブ装着用端子に装着した状態の斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態を示し、(a)はウエッジベースバルブを第2バルブ装着用端子に装着する前の斜視図、(b)はウエッジベースバルブを第2バルブ装着用端子に装着した状態の斜視図である。
【図7】従来例の車載用室内照明装置の分解斜視図である。
【図8】従来例のメインバスバーとバルブ端子部品の接続前の斜視図である。
【図9】従来例を示し、(a)は舟形バルブの装着途中を示す斜視図、(b)は舟形バルブを装着した状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 車載用室内照明装置
10 意匠部
20 機能部
30 メインバスバー
30a スイッチ用端子
30b 圧接端子(電線用端子)
30d 配線部
31 バルブ接点部品
31a,32a 第1ランプ用接点部
31b,32b 第2ランプ用接点部
40 舟形バルブ
41 ウエッジベースバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
意匠部と前記意匠部の室外側に配置された機能部とを有し、前記機能部に収容されたランプの照射光が前記意匠部を透過して車室内に照射される車載用室内照明装置であって、
前記機能部には、複数タイプのランプが装着できる複数タイプのランプ用接点部が設けられていることを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載用室内照明装置であって、
複数タイプの前記ランプ用接点部は、舟形バルブ、ウエッジベースバルブ及び発光ダイオードの内の少なくとも2つが装着可能な2タイプであることを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の車載用室内照明装置であって、
複数タイプの前記ランプ用接点部は、前記各ランプの中心位置が同じに設定されていることを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車載用室内照明装置であって、
複数タイプの前記ランプ用接点部は、左右対称なバルブ接点部品より構成されたことを特徴とする車載用室内照明装置。
【請求項5】
請求項4記載の車載用室内照明装置であって、
スイッチ部に接続するスイッチ用端子と電線を接続する電線用端子と配線路を形成する配線部は、メインバスバーによって形成され、前記メインバスバーとは前記一対のバルブ接点部品が別体に形成されていることを特徴とする車載用室内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−274675(P2009−274675A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129903(P2008−129903)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】