説明

車載用連結装置および天吊型ディスプレイ

【課題】車内に車載用表示装置を取り付ける際の作業を容易なものとし、車両を傷つける恐れもない車載用連結装置を提供すること。
【解決手段】車載用連結装置100は、第1の取付部材110と、この第1の取付部材110に当接する第2の取付部材120と、4本のネジ130a〜dとを備えている。取付部材110および120にはそれぞれ、リーンフォースメント200に係合する係合部111a、111bおよび係合部121aが設けられており、さらに、ネジ130a〜dを螺合させるための孔部112a〜dおよび122a〜dが形成されている。第2の取付部材120の外周近傍には、さらに、車載用表示装置300を取り付けるためのネジ孔等の開口部123a〜dが形成されており、図中の下方側から4本のネジ310a〜dが螺合することで、車載用表示装置300が第2の取付部材120に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の車内の天井に取り付けられる天吊型ディスプレイなどの取り付け技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車内の天井にディスプレイ等の車載用表示装置を取り付ける場合、車載用表示装置をネジで直接天井に固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来の車載用表示装置の取付方法を示す図である。図6に示すように、大多数の自動車は、天井裏の骨組みに当たるリーンフォースメント1と、リーンフォースメント1を覆う車両の室内天井の内張りに当たるルーフヘッドライニング2とを有する。自動車の室内天井に、後席用の天吊型ディスプレイなどの車載用表示装置3を取り付ける場合、通常は、リーンフォースメント1に予め設けられているネジ穴に、車載用表示装置3に取り付けたネジ4を螺合し、車載用表示装置3をリーンフォースメント1に固定する。このとき、リーンフォースメント1とルーフヘッドライニング2との間に隙間があるため、隙間と同じ長さのチューブ型スペーサ5をこの隙間に配置して、車載用表示装置3をリーンフォースメント1にネジ4で固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−24922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の車載用表示装置の取付方法においては、リーンフォースメントにネジ穴が無い場合、ドリルでリーンフォースメントに新たにネジ穴を設ける必要がある。しかし、このような穴開け作業を伴う車載用表示装置の取付は煩雑であるばかりではなく、車両を傷つける恐れもあるといった不都合がある。
【0006】
本発明の目的は、車内に車載用表示装置を取り付ける際の作業を容易なものとし、しかも、ドリルによる穴あけといった作業によって車両を傷つける恐れもない車載用連結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載用連結装置は、車載用表示装置を車内に取り付けるために、車内の被取付物と前記車載用表示装置とを連結する車載用連結装置であって、前記被取付物に係合する少なくとも2つの係合部を有する取付部材であって前記車載用表示装置が取り付けられる取付部材と、該取付部材に設けられた孔部を貫通して前記被取付物に押し当てられることにより前記係合部を前記被取付物に係止するネジ部材とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車内に車載用表示装置を取り付ける際の作業を容易なものとし、しかも、ドリルによる穴あけといった作業によって車両を傷つける恐れもない車載用連結装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載用連結装置を用いて車載用表示装置を車内に取り付ける方法を示す図
【図2】本発明の実施の形態に係る車載用連結装置を車内の被取付物に係止させる方法を示す図
【図3】本発明の実施の形態に係る車載用連結装置を車内の被取付物に係止させた状態を示す側断面図
【図4】本発明の実施の形態に係る取り付け完了後の車載用連結装置を車両室内から眺めた斜視図
【図5】本発明の実施の形態に係る取り付け完了後の天吊型ディスプレイを車両室内から眺めた斜視図
【図6】従来の車載用表示装置の取付方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の態様を例示により説明する。なお、以下の説明においては、車内に取り付けられる車載用表示装置は天吊型ディスプレイであり、車内の被取付物は室内天井裏の骨組みであるリーンフォースメントであるものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。車載用表示装置は天吊型ディスプレイ以外の表示装置であり得るし、車内の被取付物は室内天井裏の骨組みであるリーンフォースメント以外のものであり得る。
【0011】
図1は、本発明を実施するための態様の一例を説明するための図で、本発明の実施の形態に係る車載用連結装置100を用いて車載用表示装置300を車内に取り付ける方法を示す図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る車載用連結装置を車内の被取付物に係止させる方法を示す図である。
【0012】
車載用表示装置300は、車載用連結装置100を介して、リーンフォースメント200に取り付けられる。車載用連結装置100は、被取付物であるリーンフォースメント200と、車両の室内天井のルーフヘッドライニング150との間に設けられる。
【0013】
ルーフヘッドライニング150に開けられた孔窓151の大きさは車載用連結装置100の底部の大きさに概ね一致しており、車載用連結装置100の底部の位置はルーフヘッドライニング150の高さと概ね一致するようにパッド160cにより調整されている。なお、車載用表示装置300は、例えば、有機ELまたは液晶等で構成されたモニターと、CDまたはDVD等を再生する再生部とを有する。
【0014】
車載用連結装置100は、車載用表示装置300をリーンフォースメント200に連結させて取り付けるためのもので、図1に示した例では、第1の取付部材110と、この第1の取付部材110に当接する第2の取付部材120と、4本のネジ130a〜dとを備えている。
【0015】
取付部材110および120にはそれぞれ、リーンフォースメント200に係合する係合部111a、111bおよび係合部121aが設けられており、さらに、ネジ130a〜dを螺合させるための孔部112a〜dおよび122a〜dが形成されている。
【0016】
車両の室内天井のルーフヘッドライニング150には、車載用表示装置300を納めるために必要最小限の孔窓151が開けられており、この孔窓151の周囲には、リーンフォースメント200とルーフヘッドライニング150の間の隙間を埋めるためのパッド160a、160b、160cが配置されている。
【0017】
さらに、第2の取付部材120の外周近傍には、車載用表示装置300を取り付けるためのネジ孔等の開口部123a〜dが形成されており、図中の下方側から4本のネジ310a〜dを螺合させることで、車載用表示装置300が第2の取付部材120に取り付けられる。
【0018】
なお、符号301で示したものは後席ディスプレイ本体のハーネスであり、符号302で示したものは車両ハーネスであり、符号320で示したものはランプカバーである。
【0019】
図1に示した例では、車載用連結装置100が備える取付部材は、第1の取付部材110とこれに当接する第2の取付部材120に分割されているが、被取付物に係合する少なくとも2つの係合部をスライドさせるなどして位置調整が可能な一体型の取付部材としてもよい。しかし、図1に例示したように取付部材を分割型のものとした場合には、ルーフヘッドライニング150に開けられる孔窓151を小さくすることができるという利点がある。
【0020】
取付部材を分割型とした場合には、先ず、第1の取付部材110の係合部111a、111bを、ルーフヘッドライニング150に開けられた孔窓151から、リーンフォースメント200とルーフヘッドライニング150の間の隙間に差し込んでリーンフォースメント200に係合させ、次いで、第2の取付部材120の係合部121aをリーンフォースメント200に係合させるという手順での取り付けが可能である。このため、分割された取付部材を別々にリーンフォースメント200とルーフヘッドライニング150の間の隙間に差し込むスペースがあれば充分であり、一体型の取付部材とした場合に比較して、ルーフヘッドライニング150に開けられる孔窓151を小さくすることができる。
【0021】
図2および図3はそれぞれ、本発明の実施の形態に係る車載用連結装置を車内の被取付物に係止させる方法を示す図および本発明の実施の形態に係る車載用連結装置を車内の被取付物に係止させた状態を示す側断面図である。
【0022】
第1の取付部材110は、鋼材により形成されるとともに概ね板状であり、その一端部には垂直な側板部111を有している。ここに示した例では、側板部111の上部両端には、リーンフォースメント200に係合するフック状(鉤爪状)の係合部111a、111bが形成されている。係合部をこのような形状とした場合には、車輌の走行に伴う振動等による車載用連結装置の位置ズレや脱落を防止する効果が高い。このような第1の取付部材110を、ルーフヘッドライニング150に開けた孔窓151から下側から差し込み、係合部111a、111bをリーンフォースメント200に係合させる。
【0023】
リーンフォースメント200の側端面には凹部と凸部が交互に形成されており、係合部111aおよび係合部111bがそれぞれ、リーンフォースメント200の側端面の凹部201aおよび凹部201bに係合するようにする。このようにすることにより、振動等による位置ズレや脱落が防止される。なお、この図に例示した第1の取付部材110には、係合をより確実に行うために、係合部は2箇所に設けられているが、一箇所のみに設けるようにしてもよい。つまり、取付部材全体として、被取付物への係合部が少なくとも2つあればよい。
【0024】
第2の取付部材120は、鋼材により形成されるとともに概ね板状であり、底板部は第1の取付部材110に当接する。第2の取付部材120は、一端部に垂直な側板部121を有しており、この側板部121の上端には、リーンフォースメント200に係合するフック状(鉤爪状)の係合部121aが形成されている。
【0025】
上述したように、第1の取付部材110には孔部112a〜dが形成され、第2の取付部材120には孔部122a〜dが形成されている。図3に示したように、4本のネジ130a〜dはそれぞれ、第1の取付部材110に形成された孔部112a〜dおよび第2の取付部材120に形成された孔部122a〜dを貫通し、リーンフォースメント200の下面に押し当てられ、その押圧力によって、係合部111a、111b、121aをリーンフォースメント200に確りと係止させる。
【0026】
また、第2の取付部材120の上面に設けられた傾斜部124a、124bにより、第2の取付部材120が第1の取付部材110の下面と当接した際に、第1の取付部材110が所定の角度だけ傾斜する。この傾斜の分だけ、車載用表示装置300(後席ディスプレイ)の取付後の位置を下げ、これにより、車載用表示装置300とルーフヘッドライニング150が過干渉するのを回避させている。
【0027】
図4は、上述の手順により取り付けが完了した状態の車載用連結装置100を、車両室内から眺めた斜視図で、ルーフヘッドライニング150に開けられた孔窓151内にすっぽりと第2の取付部材120が収まっている。
【0028】
第2の取付部材120の底面には、底面から突出する2つのネジ孔123bおよび123cと、側板部121と対向する側の両端に設けられ係合部121aとは逆方向に突出するコの字状の屈曲端部125aおよび125bが確認できる。ネジ孔123bおよび123cは、ネジ310bおよび310cにより、螺合させるための開口部である。また、屈曲端部125aおよび125bに設けられた矩形の開口部は、第2の取付部材120の底面に形成された矩形の開口部123aおよび123dに、車載用表示装置300に設けられた突起部303aおよび303bを導くためのものである。
【0029】
ここに例示した態様では、取付部材が第1の取付部材110と第2の取付部材120に分割される態様であるため、ルーフヘッドライニング150に開けられる孔窓151を最小限に留めることができる。
【0030】
この状態の第2の取付部材120に、下側から車載用表示装置300を取り付ける。すなわち、ルーフヘッドライニング150の孔窓151から露出する第2の取付部材120下面のネジ孔等の開口部123a〜dに下方側から4本のネジ310a〜dを螺合させ、車載用表示装置300を取り付ける。
【0031】
図5は、このようにして取り付けが完了した状態の天吊型ディスプレイを、車両室内から眺めた斜視図である。ルーフヘッドライニング150に開けられた孔窓151はランプカバー320によって完全に覆われており、すっきりとした仕上がりの取り付け状態となっている。
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、車内に車載用表示装置を取り付ける際の作業を容易なものとし、ドリルによる穴あけ等により車両を傷つける恐れもない車載用連結装置が提供される。
【0033】
また、車載用表示装置が備える取付部材を、第1の取付部材とこれに当接する第2の取付部材に分割する態様の物とした場合には、先ず、第1の取付部材の係合部をリーンフォースメントに係合させ、次いで、第2の取付部材の係合部をリーンフォースメントに係合させるという手順での取り付けが可能となり、ルーフヘッドライニングに開ける孔窓を小さくすることができる。
【0034】
さらに、取付部材の係合部のルーフヘッドライニングと係合する部分をフック状(鉤爪状)とした場合には、車輌の走行に伴う振動等による車載用連結装置の位置ズレや脱落を防止する効果が高い。
【0035】
本発明の車載用連結装置を備えた天吊型ディスプレイは、その取り付け状態がすっきりとしたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、車内に車載用表示装置を取り付ける際の作業を容易なものとし、車両を傷つける恐れもない車載用連結装置を提供する。本発明に係る車載用表示装置は、例えば自動車の車内の天井に車載用表示装置を取り付けるのに好適である。
【符号の説明】
【0037】
100 車載用連結装置
110 第1の取付部材
111、121 側板部
111a、111b、121a 係合部
112a〜d、122a〜d 孔部
120 第2の取付部材
123a〜d 開口部
124a、124b 傾斜部
125a、125b コの字状の屈曲端部
130a〜d、310a〜d ネジ
150 ルーフヘッドライニング
151 孔窓
160a〜c パッド
200 リーンフォースメント
300 車載用表示装置
301 後席ディスプレイ本体のハーネス
302 車両ハーネス
303a、303b 突起部
320 ランプカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用表示装置を車内に取り付けるために、車内の被取付物と前記車載用表示装置とを連結する車載用連結装置であって、
前記被取付物に係合する少なくとも2つの係合部を有する第1の取付部材と、
該被取付物と前記車載用表示装置との間に位置し前記車載用表示装置が取り付けられる第2の取付部材と、
前記第1の取付部材に設けられた孔部を貫通して前記被取付物に押し当てられることにより前記係合部を前記被取付物に係止するネジ部材と、
を備えている車載用連結装置。
【請求項2】
前記第1の取付部材は、第1の係合部を有する第1の係合部材と、前記第1の係合部材に当接し第2の係合部を有する第1の係合部材に分割されている、請求項1に記載の車載用連結装置。
【請求項3】
前記第1の取付部材の係合部は、前記被取付物に係合する部分が鉤爪状である、請求項1に記載の車載用連結装置。
【請求項4】
前記第1の取付部材は鋼材から成る、請求項1に記載の車載用連結装置。
【請求項5】
前記被取付物は、室内天井裏の骨組みであるリーンフォースメントである、請求項1に記載の車載用連結装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車載用連結装置を備えている天吊型ディスプレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−228969(P2012−228969A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98941(P2011−98941)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】