説明

車載用電子機器

【課題】本発明は、タッチパネル端面を保護することができる表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の車載用電子機器は、ディスプレイ1と、ディスプレイ1の背面と対向して設けた回路基板7と、中央が開口した横長の枠状でディスプレイ1の周囲を覆う前面パネル2と、前面パネル2の横方向の枠に連なって設けられた複数の横長釦5a〜5fと、回路基板7上に設けられ、横長釦5a〜5fにそれぞれ割り当てられた機能を表す文字部分をそれぞれ背面から照明する発光素子9とを備え、横長釦5a〜5fの背面の横方向の厚みは、発光素子9の照明範囲外よりも照明中心の方が大きく、照明中心から離れるにつれて漸減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面パネルに設けた押釦に照光する車載用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のダッシュボードにはナビゲーション装置等の車載用電子機器が設けられている。(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図4は、従来の車載用電子機器を説明する図である。図4に示すように、車載用電子機器は、ディスプレイ1と、中央が開口してこのディスプレイ1の周囲を覆う枠状の前面パネル2と、前面パネル2の上枠に設けられたディスク挿入口3と、このディスク挿入口3に挿入されたディスクを取り出すイジェクト釦4と、前面パネル2の下枠に設けられた横長の釦5とを備える。
【0004】
釦5は、複数の横長釦5a〜5fで構成される。横長釦5a〜5fは、前面パネル2の桟を挟んで隣り合い、前面パネル2の下枠の一端から他端に向かって連なって配置されている。横長釦5a〜5fは、オーディオやナビゲーションの機能を示す文字や図形が表示されている。横長釦5a〜5fは、この文字や図形部分では光を透過するが他の部分では光を遮断する。横長釦5a、5fは、それぞれ早送りや巻戻し、音量の上げ下げといった同種だが互いに逆の機能を行うため、複数のスイッチを有する。一方、横長釦5b〜5eは、オーディオ機能や地図表示切替機能など単一の機能を行うため単一のスイッチを有する。
【0005】
図5は、図4の点線部分AについてのB−B断面をC方向から見たときの断面図である。図5に示すように、横長釦5bは、背面の横方向端部に突起部6を有する。また、車載用電子機器は内部に回路基板7を有する。この回路基板7はディスプレイ1の表示等の処理を行う。回路基板7上には、横長釦5bの押圧によって突起部6に押圧されるスイッチ8と、横長釦5bを背面から照らす発光素子9とが設けられている。発光素子9は例えばLEDで構成されている。横長釦5bの文字は、横長釦5bの略中心に位置する。発光素子9は、照明中心が横長釦5bの文字位置中心となる位置に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−127466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、小型化と高機能化の両立を求められる車載用電子機器では、横長釦5bで例示されるように横長釦5と回路基板7の間隔を広く取ることができない。このため、釦群5の各横長釦5a〜5fの文字や図形の幅を発光素子9の照明範囲でカバーすることができない場合が生じた。この結果、発光素子9の照明中心と周辺とで輝度ムラが起こる。そして、各横長釦5a〜5fの文字や図形に輝度ムラが生じて見えにくくなるという問題があった。この点、従来は、釦5における各横長釦の背面に導光板を設けたり、釦5に拡散剤を混ぜたりすることでこの輝度ムラを解消していたが、部品点数の増大や釦5の製造工程の複雑化という問題があった。
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、導光板や拡散剤を用いることなく、横長釦に表示される文字列や図形部分における輝度ムラを抑えることができる車載
用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の車載用電子機器は、横長釦の背面の横方向の厚みが、照明部の照明範囲外よりも照明部の照明中心の方が大きく、照明部の照明中心から離れるにつれて漸減することを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導光板や拡散剤を用いることなく、横長釦に表示される文字列や図形部分における輝度ムラを抑えた車載用電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の車載用電子機器における横長釦の断面図
【図2】本発明の車載用電子機器における別な横長釦の断面図
【図3】同図1の要部である横長釦の別な構成を説明する断面図
【図4】従来の車載用電子機器を説明する背面図
【図5】同図4の点線部分AのB−B断面をC方向から見たときの断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る車載用電子機器について図面を用いて説明する。なお、従来と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、本実施形態では横長釦5a、横長釦5bについて説明し、それぞれ構造が同様である横長釦5f、横長釦5c〜5eについては説明を省略する。
【0013】
図1は本発明の車載用電子機器における横長釦の断面図である。
【0014】
図1に示すように、車載用電子機器の横長釦5bの背面には、内側に突出した肉厚部10が設けられている。「内側」は図1の紙面の上方から下方への向きを意味する。この肉厚部10は、横長釦5bの表面に設けられた文字の文字幅の略中央に配置されている。この文字の中心は横長釦5bの横方向の中心位置に略一致するため、肉厚部10は、横長釦5bの横方向の略中心に設けられている。
【0015】
発光素子9は、外側に照明を行う。「外側」は図1の紙面の下方から上方への向きを意味する。この照明光は横長釦5bの位置で横長釦5bの文字幅に略等しくなる照明範囲を有する。また、発光素子9の照明範囲には、発光素子9から外側に直進する方向に輝度の大きい輝点直下部が設けられている。この輝点直下部は、発光素子9による照明光の照明中心を意味する。
【0016】
肉厚部10は、この発光素子9の照明範囲のうち輝点直下部の範囲を含む頂部11と、この頂部11から横方向に離れるにつれて厚みが漸減する漸減部12とを有する。頂部11の厚みは横長釦5bの厚みよりも大きい。換言すると、横長釦5bのうち、発光素子9による照明範囲外に対応する部分の厚みよりも発光素子9による輝点直下部に対応する部分の厚みの方が大きい。頂部11の肉厚は、漸減部12よりも大きく、略平坦に構成される。漸減部12は、頂部11の端部から照明範囲の端部まで厚みが漸減する。これによって、漸減部12の端部は横長釦5bの背面と滑らかにつながる。
【0017】
漸減部12の端部の厚みは横長釦5bの背面の厚みと等しい。このように、横長釦5bに設けた肉厚部10の頂部11から漸減部12よって厚みを漸減していくことによって、横長釦5bと発光素子9との間隔を十分に取れない車載用電子機器であっても、横長釦5aの文字列や図形部分を輝度ムラなく均一に照明することができる。
【0018】
次に、複数の機能を有する横長釦における構成について説明する。図2は、本発明の車載用電子機器における別な横長釦の断面図である。なお、上述の説明と同様な構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0019】
図2に示すように、横長釦5aは、横方向の両端に第1の突出部13aと第2の突出部13bとを有する。回路基板7上には、この第1の突出部13aと第2の突出部13bの先端に対応する位置に第1のスイッチ14a、第2のスイッチ14bとが設けられている。
【0020】
また、第1の突出部13aと第2の突出部13bとの間における回路基板7上には、左から順に第1〜第3の発光素子15a〜15cで構成される発光素子15が設けられている。
【0021】
横長釦5aには、背面に、第1〜第3の肉厚部16a〜16cを有する。この第1の肉厚部16aと第3の肉厚部16cとによって第2の肉厚部16bが挟まれている。第1〜第3の肉厚部16a〜16cは、図1と同様に、それぞれ、第1〜第3の発光素子15a〜15cの輝点直下部に対応する部分の肉厚が最も厚く、照明中心から離れるにつれて肉厚が漸減する。
【0022】
図2に示すように、第1の発光素子15a、第3の発光素子15cのそれぞれの輝点直下部に対応する第1の肉厚部16a、第3の肉厚部16cの厚みda、dcは、発光素子15bの輝点直下部に対応する第2の肉厚部16bの厚みdbよりも厚みが大きい。これは、第1の発光素子15a、第3の発光素子15cの照明光が、第1、第2のスイッチ14a、14b等で構成される横長釦5aの側壁によって反射されることによって、第1の発光素子15a、第3の発光素子15cの照明光が第2の発光素子15bの照明光よりも強度が大きくなるからである。
【0023】
厚みda、dcを厚みdbよりも厚くすることによって、横長釦5aの文字列や図形部分を複数の発光素子15a〜15cで照明することが必要な場合であっても、横長釦5aの文字列や図形部分の輝度ムラを抑えて均一な照明を行うことができる。
【0024】
次に、本発明の車載用電子機器における変形例について説明する。図3は、図1の横長釦の別な構成を説明する断面図である。なお、上述の説明と同様な構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
図3に示すように、横長釦5bには、突起部17が設けられている。回路基板7にはスイッチ18と発光素子19が設けられている。突起部17は横長釦5bへの押圧によってスイッチ18を押圧する。発光素子19は、横長釦5bの文字部分の横方向の中心から離れて配置されている。横長釦5bの文字部分の中心位置は、横長釦5bの横方向の中心位置と略等しい。換言すると、発光素子19は、横長釦5bの横方向の中心位置から離れて配置されている。
【0026】
横長釦5bの背面には、肉厚部20が設けられている。この肉厚部20は、図1における肉厚部10と同様な頂部や漸減部を有するが、肉厚部10とは横長釦5bにおける配置位置が異なる。肉厚部20は、横長釦5bの横方向の中心位置から離れて配置されている。
【0027】
肉厚部20を横長釦5bの横方向の中心位置から離れて配置することによって、横長釦5bの横方向の中心に肉厚部10を配置する場合に比べて、横長釦5bにおける文字部分
全体の輝度は下がるが、突起部17とスイッチ18の配置の自由度を向上させることができる。このような肉厚部20の配置によれば、突起部17とスイッチ18を図1における突起部6とスイッチ8よりも横長釦5bの横方向の中心側に配置することができる。したがって、横長釦5bをユーザが押圧する際に、横長釦5bの押圧をユーザに知覚しやすくすることができる。
【0028】
以上のように、本発明の車載用電子機器によれば、導光板や拡散剤を用いることなく、釦5に表示される文字列や図形部分における輝度ムラを抑えることができる。さらに、発光素子19と肉厚部20を横長釦5bの横方向の中心から離れて配置することによって、発光素子19の照明範囲を横長釦5bの横方向の中心から一方にずらすことができる。したがって、突起部17とスイッチ18の配置の自由度を向上させ、ひいてはユーザによる横長釦5bへの押圧を知覚しやすくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、発光素子とこの発光素子によって照明される釦の間隔を十分に取れない車載用電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 ディスプレイ
2 前面パネル
5 釦
7 回路基板
9 発光素子
10 肉厚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
このディスプレイの背面と対向して設けた回路基板と、
中央が開口した横長の枠状で前記ディスプレイの周囲を覆う前面パネルと、
この前面パネルの横方向の枠に連なって設けられた複数の横長釦と、
前記回路基板上に設けられ、前記横長釦にそれぞれ割り当てられた機能を表す文字部分をそれぞれ背面から照明する照明部とを備え、
前記横長釦の背面の横方向の厚みは、前記照明部の照明範囲外よりも前記照明部の照明中心の方が大きく、前記照明部の照明中心から離れるにつれて漸減することを特徴とする車載用押釦装置。
【請求項2】
前記回路基板上に設けられ、前記横長釦にそれぞれ押圧されるスイッチをさらに備え、前記照明部の少なくとも1つは、照明中心が前記横長釦の横方向の中心から離れて配置されたことを特徴とする請求項1に記載の車載用押釦装置。
【請求項3】
前記照明部は、照明中心が前記横長釦の横方向の中心に配置された第1の照明部と、照明中心が前記横長釦の横方向の中心から離れて配置された第2の照明部とを有し、
前記スイッチは、前記横長釦のうち前記第1の照明部が照明する横長釦によって押圧される第1のスイッチと、前記横長釦のうち前記第2の照明部が照明する横長釦によって押圧される第2のスイッチとを有し、
前記第2のスイッチは、前記第1のスイッチよりも前記横長釦の横方向の中心方向に配置されることを特徴とする請求項2に記載の車載用押釦装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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